風を感じて! 空と海とネモフィラと SUMMER SUSPICION
丘一面に広がる可憐な“青”が風に揺れている。この頃の海からの風は案外冷たい。「いまが見ごろみたいね」とせがまれて、早朝のEXPWAYを駆け上った。インターチェンジを降りたら真っ先に海岸に向かう。ヘルメットを脱ぐ前から潮の香りがくすぐる。「ワイキキともサンタモニカとも違うわ」•••少なくともキミと行ったことはない。確かに、どちらかというと磯の香りだね。それでも信州育ちのボクには、胸が高なる香りにかわりない。小径をゆくと朝陽を浴びて菜の花がそよいでいる。「ねぇ、ありんこがたくさん」時折り少女みたいなことを口にする。しなやかな指先を追うと、黄色い地平の先に“青”が広がって、なるほど花と空をありんこが分けている。「私たちもありんこになりましょ」ボクの左手を優しくひっぱる。さっきの小さな嫉妬はいつしか忘れてしまった...風を感じて!空と海とネモフィラとSUMMERSUSPICION
2023/05/04 20:10