旅情・山陰本線
海岸沿いの斜面に沿い、切通しで丘を、谷を築堤で越え、岬に続く山はトンネルで抜け、川は鉄橋で渡る、次々に移り行く車窓の景色が、心に染みていく汽車の旅。 山あいの勾配区間のS字カーブで身をくねらせるD51牽引の旅客列車。切通しで窓に迫った緑から、展望の開ける築堤へと列車は進みます。景色の連続する変化が、見る者の胸に、移動する距離感を刻む汽車の旅です。 駅にモクモクと迫る山からの緑も、きれいに処理された汽車旅の駅。停車した車窓から眺める駅名標が、ここまで来たのか、と到達感を乗客に伝えます。レールのジョイントをタタンタタンと刻む音と共に、着実に旅程は進み、目的地は近づくのでした。 窓の景色の中で、乗客…
2023/10/02 22:45