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会場の入っている百貨店の玄関口でDさんを待つ。 通常の場合、会場を先に出るのは個室の廊下側に座っている男性の方だ。 女性は全ての男性が出た後で出口に向かうので、姿を現すまでにそれなりの時間がかかる。 さて、この後どこに行こうかな…… 時間は午後三時。 昼食は済んでるだろうから、お茶がいいか。 そして、肝心の話題は…… Dさんのプロフィールを思い出しながら、ふと辺りを見ると、自分と同じようにカップリング相手を待つ人が数人いた。 中には同じパーティーから出てきた男性もいて、はて、相手はどの女性かな? と思わずニヤッとしてしまう。 あのパーティーでの一番の美人さんはDさんだったけど…… そんなくだら…
ブログの今後(あくまで予定) 30歳頃にアプリで知り合った黒崎さんについて書きたいと思います。 タイトルでネタバレしてます。そして、そろそろ、出会いのネタストックが切れてきました。笑 印象的な方々を語り尽くしたら、当初から予告(匂わせ)している、忘れられない年下の彼について書いていく予定です。(もう何年も前だけどいまだにモヤモヤします。筆を取るのがめちゃ重いです。泣) アプリ玄人の身のこなし、軽やかなり 黒崎さんスペック 30歳同い年 マーケティング系の会社勤務 有名私大卒 顔は普通。犬系の顔で、わりと整っているがなんか垢抜けない感じ。 メッセージのやり取りも普通で、特筆はなし。 アプリ歴後半…
Dさんと並んで歩きつつ、カフェを探した。 いくつか心当たりはあったが、土曜の夕方ということで、混雑が予想される。 「どこも混んでるかもしれませんね」 「そうですね」 「お茶で大丈夫ですか? 食事でしたら少し歩けば知ってますけど」 「あ、お茶でいいです。そんなに時間もないので」 駅前の繁華街だけにカフェや喫茶店は数多くあり、選ばなければ入れる店はあるだろう。 少し歩いたところで、通りに面した喫茶店の窓から店内の空席が見えた。 「ここでいいですか?」 「はい」 お洒落とは言い難い店構えだったが、「そんなに時間もないので」というDさんの言葉が、店を選ぶ難易度を下げてくれていた。 そして、その言葉が軽…
一生俺についていけるか? 俺俺俺俺俺俺俺と◯◯な俺演出にうんざりするのがはっきりとわかった。 初対面の合コンでは気遣いがあるなぁと好印象。 1回目のデートではエスコートはスムーズで、盛り上げてくれて好感。 2回目のデートでは本性が爆裂。俺俺モードになってしまった。 2回目のデートの途中だけど、『この人はないな』とサーッとなにかが引いていくのがわかった。 というより、この人と付き合ったら延々と『◯◯な俺』に付き合わなくてはいけないと考えると吐き気がした。 まさかの岩崎登場 なんかもういいやと思い、この先がないようにするにはどうするのがいいかなぁと、適当に相づちをうちながら考えていた。(ひどい) …
運ばれてきた飲み物に口をつける。 僕はアイスコーヒーで、Dさんはアイスティー。 ストローでミルクを掻き回しながら、同時に頭の中も高速で回転させる。 わかっているのは猫好きだということ。 「猫、飼ってるんですか?」 当たり障りのないことを訊いて、次の話題を捻り出すための時間を稼ぐ。 ペットの次は仕事関係が無難だろう。 たしか職業欄には「一般事務」と書かれていた。 漠然とした記載にしてあるのは、なにか理由があってのことか。 ① あまり突っ込まれたくないから ② 単純に特徴の薄い仕事だから 「実家では飼ってましたけど、今はいないです。飼いたいんですけど」 「今、一人暮らしなんですか?」 「ええ。まだ…
アイコン一つとっても鼻につく 俺話を連発した前野さん。ただの自分語り好きのお方ならまだ『ほぉ~ん』という感じでやり過ごせたのだが、さらに鼻につく話をし始めた。 LINEやSNSのアイコンの話になった時だ。 前野さんは某有名キャラクターをアイコンに設定していた。 女性に圧倒的に人気のあるキャラクターのため、前から不思議に思っていた。なぜそのアイコンなのか尋ねると、またペラペラと語り出した。 あ~これね。俺は別に好きじゃなかったんだけど、元カノがすごい好きでさ。いろいろ付き合ってくうちに俺も好きにならされて。俺はもうアイコン変えてもいいと思ってるんだけど、このアイコン結構好評でさ~。俺も変えるに変…
「私はまあまあです。忙しいですか?」 「たまに残業があって、遅くなったりします。あまりしないようにしてるんだけど、上司がしてるとどうしても」 「私もです」 この話題もたいして盛り上がりそうになかった。 こちらの職種や業務内容を具体的に話して、なにか質問でもしてくれればと思ったが、大きな反応はない。 まだしも「昇給しますか?」くらい訊いてくれた方が、笑えるシチュエーションになるのに。 ……もしかして、僕に興味がない? いや、少なくとも今の段階でそれはないはずだ。 35歳で婚活パーティーに参加する女性。 そこでカップリングした相手とお茶をしている。 その目的は相手の情報収集に他ならないはずで。 つ…
関連する話題で多少話した後、これ以上、Dさんに無理をさせるのも悪いと思って、「時間、まだ大丈夫ですか?」と尋ねた。 彼女が「そんなに時間もないので」と言っていたのを利用したのだ。 口にしてから、この問いかけは少し強引というか強制力が強すぎて、彼女に対して申し訳ない気持ちが湧いてくる。 このような場面で「時間は大丈夫か」と帰りを促されて、まだ話したいことがあったとしても、そうと告げられる女性は少ないだろう。 そのあたりの形式がわかっているから、お互い笑顔にはなれる。 そして、席を立つ前に、形式がもう一つ。 「もしよかったらLINE交換しませんか?」 これも断ることが難しい問いかけだが、訊く方もな…
婚活パーティーでマッチング、食事の支払いは男性。ですが・・・
普段は婚活パーティーに参加した体験談を小説風に書いてますが、たまには関連トピックについても投稿したいと思います。 今回は、婚活パーティーでマッチング後の食事の支払いに対する、女性のお礼の言葉、について。 要約すると、ささやかな一言が女性としてのあなたの株を上げる、です。 実際の経験をもとに、おすすめの言葉とその理由を書いていきたいと思います。 お支払いは男性。代わりに女性は? まず、食事の支払いは男性。 これは共通認識だと思います(とりわけ初回)。 僕もカップリングした女性とパーティー後に食事に行ったら、全て払ってきました。 私、払います、とすら言われたことがありません(笑) もしかすると女性…
下がりつつ、だがまだ嫌いではない 好感度が少し下がりつつ、2回目のデートを迎えた。場所は前回と同じで、3つ提示してくれたうちの一つの別の店に行った。同じく仕事終わりに会った。 前野さんは相変わらずスーツの着こなしが上手だった。 他愛のない会話をしていたが、やっぱりどんな話にも最終的に『俺』が絡んでくる。 過去の恋愛を話す俺 2回目ということで、お互いの過去の恋愛に関しても触れたりしていた。 ユキコの情報通り、いきいきと元カノについて話し出した。俺の職場の後輩で、新卒の時はすごくかわいい子がいるって会社で話題になったりして。俺はなんとも思ってなかったんだけど、俺が元カノの教育係りになったことがき…
山手線の内回りに揺られながら、窓の外を眺めた。 隣にはDさんが立っているけど、初めのころのような緊張感はなく、過ぎてゆく時間もいい意味でゆるやかに感じられる。 日差しの眩しさに目を背けた拍子に、彼女の水色のペディキュアが目に入った。 綺麗ですね、と言いそうになって、それはやめておく。 マニキュアやネイルアートと違って、直截的な言及を控えさせる何かがあったから。 誰かに見せるのではなく、むしろ自分のために綺麗にしておいた。 そんな感じ。 彼女が乗り換えのために電車を降りるまで、あと二駅に迫っていた。 「パーティーはよく行くんですか?」 普通なら訊きにくい質問が、驚くほど自然に出てくる。 午後から…
盛り上がりに貢献はしていた 前野さんが知識や話題が豊富なのは事実だ。 私が話の内容に詰まっていても、すぐに話題提供してくれた。だが、何かにつけて『俺』を絡めてくるのが少し気になった。ただ、初回だし、話を盛り上げようとしてくれている気概はとても感じたので、少し気になる程度にとどまった。会自体はそれなりに楽しかった。 前野さんの話題豊富なところ、理知的なところ、全体的にふるまいがスマートなところなど好感が持てた。 1回目のデートを終え、また2回目も誘われた。 前野さんが私に興味を持ってくれていることは明らかであり、悪い気はしなかった。 お楽しみの後日談女子トーク 2回目のデートよりも前に、ユキコや…
そのうち停車駅を告げる車内アナウンスが始まって、電車のスピードも落ちていく。 Dさんが降りるまで、あと10秒くらい。 「次ですよね」 「はい」 「今日はありがとうございました」 「こちらこそありがとうございました。楽しかったです」 最後の「楽しかったです」は僕が最初に言うべきだったかもしれない。 そう思ってすぐに「僕も楽しかったです」と付け加えたが、なんだか後出しじゃんけんみたいで不格好だった。 「あとでLINEしますね」 「はい」 「気を付けて帰って下さい」 「駅でちょっと買い物していくので」 「甘いものも買うんですか?」 「バレました?」 その台詞を口にした時のDさんの挑戦的な表情が、一番…
気遣いができる人…? 前野さんにディナーに誘われた。正直、前野さんの外見は好みではなかった。 中肉中背、顔は前野朋哉さんをシュッとさせた感じ。 だが、生理的に無理ではなかったのと、気遣い(ハロウィーンお菓子)に期待をして会うことにした。 会う場所を決めるとき、お互いの中間よりも、私の最寄り駅寄りの駅をチョイスしてくれた。そして、お店選びも積極的で、趣向の違う店を3つピックアップして私の意見を聞いてくれた。 私はこういうまめさがある人に好感を抱きやすかった。 (相手(私)への気遣いがあるかどうかをこういうところで計っていた。) 『俺』 そして、当日前野さんに会った。 前野さんは仕事帰りのため、ス…
こんにちは。 過去の印象的だった出会い相手について書きます。 今思うと、結構鼻について嫌だったので辛口かもしれません。(さっそくネタバレ) 印象的な自己紹介 彼の名は仮に前野さんとする。 俳優の前野朋哉さんに似ていた。と今になって思うからだ。前野朋哉さんをもう少しシュッとさせた感じだ。 私は当時は28か29歳。 合コンで前野さんに知り合った。 前野さんは32歳位だったと思う。 よく覚えているのが初回の合コンの時だ。いつものユキコとなっちゃんもいたと思う。 (詳細は忘れてしまったのだけど、このことは覚えてる) 自己紹介を順番にしていき、前野さんの番になった。 前野さん「えー、前野といいます!今日…
電車を乗り換えて、運よく席に座ることができた。 そこでもう一度、疲れた頭を働かせる。 今後の道筋をつけるためにも、今日の出来事を振り返っておこう。 第一の目的はカップリングすること。 これは達成。 第二の目的はその相手とパーティーの外で時間を共有すること。 これも達成。 その時間で二人の関係を進展させるための手がかりらしきものを得られたかどうか。 ……不明。 相手をより深く知ることはできたが、付き合ってみたいというレベルに達するほどの高波はやってこなかった。 今よりもっと多くの時間を共に過ごせば、徐々にでも高まってくるのだろうか。 そんな気配くらいはあっただろうか。 もう一度会いたいな、とは思…
ネタじゃないのよ 季節外れのダウンジャケットさんとの連絡先交換をズバッと断り、ひと安心したのも束の間、次なる刺客が現れた。 ???「あの~、連絡先交換しませんか?」 そこには小太りのメガネをかけた秋元康のようなおじさんがいた。誰だコイツこの人? 同じグループにはいなかった。 ソノミ「…えーっと?」 秋元康似「こちらの集合場所にいらっしゃるのを見て、素敵だなと思ってお声かけしました。連絡先交換しましょう。」 どうやら他のグループの参加者だが、連絡先交換タイムに便乗して声をかけてきたらしい。 まぁ!なんて勇気のある殿方!ぜひ交換いたしましょう!!などと、なるわけない。 ソノミ「ごめんなさい。個人情…
「雨、大丈夫でしたか? 通り雨かもしれませんけど」 雨? 天気はよかったはずだけど。 振り向いて窓を覗くが、濡れた模様はない。 彼女の言うように通り雨かなんかで、局所的なものだったのだろう。 メッセージの次に、傘をさすヒヨコ?の姿が愛らしいスタンプが送られてきた。 「こっちは降らなかったみたいです。同じ東京でも違うものですね」 微笑みながらそう打つと、今度は別の動物をモチーフにした「ラッキー」のスタンプが届く。 可愛いところもあるんだな、と思っていると、駅で電車が停車して、乗客が乗り込んできた。 一瞬、雨の匂いを感じ取った。 Dさんのいるあたりから移動してきたのかな…… そんな感傷ともつかない…
帰宅して、やっと一息つけたのは21時を回ってからだった。 PCに向かうと、半ば無意識のうちにParty Partyのサイトを訪れて、新たなパーティー情報に目を通していく。 たとえ気持ちの半分がDさんに残っていても、残りの半分が次の出会いを求めている。 一見、節操ないように見えても、この活動をしている人たちにとってはある意味当たり前であることを、この時点での参加回数を二桁に乗せている僕は知っていた。 なにも予備を準備しておくとかの話ではない。 今という時間が大切なだけだ。 パーティー会場で出会った多くの女性たちは、あからさまに口にはしなくても、差し迫った思いに駆られて足を運んできている。 その種…
その日、僕は新宿のパーティー会場に向かっていた。 夏本番少し前の、清涼感を残した風。 電車のつり革をつかみながら、もう片方の手でスマホを操作し、場所を確認する。 新宿にはパーティー会場が複数あって、今回は西口。 その西口のビルでもたくさんのパーティーが行われている。 この時はまだ無頓着だったが、新宿ラウンジでは定期的により大人数のパーティーがあって、頻繁に参加することになるのは半年ほどたってからの話だ。 それでも今回の募集人数も男女各16人ほどで、それなりの規模だろう。 やることはもうルーティーンになっている。 早めに席について参加女性のプロフィールを確認しつつ、相席の人と軽いトーク。 この日…
運営、よく権張ってるね わざわざ、最後に各グループを集合させた理由…。 それは連絡先交換をさせるためだったのだ。運営、よく考えているなぁと感心したものよ。散策中に自由に交換だと男女とも勇気がいるし、タイミングが図りにくい。 (実際に、私のグループでは連絡先交換の話題は出ていなかった。) イベントの一部として実施すれば格段に連絡先交換のハードルは下がる。だが、良くできた構成だなぁと喜べるのは『連絡先を交換したい相手がいる時』のみだ。今回は一刻も早く帰りたいのだ。 この街コンに参加したことを一刻も早く忘れ去りたいのだ。 交換希望者が2名 ユキコとなっちゃんと顔を見合わせて、『どうする?帰る?』と無…
婚活パーティーへの参加が長引く原因として、よく「高望み」が挙げられています。 わかりみ深いですね(笑) たくさんの異性との出会いが待っている婚活パーティーでは、ついつい選り好みしがち。 参加したパーティーにいい人がいなければ、次のパーティーに期待して。 「次で、もっと高く」を繰り返すうち、身も心もお財布も疲弊して、婚活そのものが嫌になってしまう…… 残念ながらよくあるお話です。 それでは婚活パーティーでは理想を追い求めたりしないで、お手頃な相手とマッチングしていくのがよいのでしょうか? 個人的には、同調しかねます。 たくさんの異性と出会える婚活パ―ティーだからこそ、「高望み」が醍醐味。 そう考…
元気な運営、今までどこにいたんだ 集合場所に向かうと、元気な運営がまたもや元気に誘導していた。 運営「はいっ!皆様お疲れ様でしたぁ~!この後は、全員集合後、ご案内をして解散となりまぁ~す!」 なにやら最後に集合して何か案内があるらしい。 最後の1グループを待っている状況とのこと。 感動の再開と地獄報告 周囲を見渡し、ユキコとなっちゃんを探した。 集合場所にはいくつか座れるスペースがあり、各々好きなように座っていた。 心なしか皆、ぐったりと疲れているように見えた。 実際にしゃべっている人はほとんどいなかったと思う。 (その中でも、積極的小柄女性は男性にも女性にも話しかけてた。) そんなことを観察…
「こんにちは」 「はじめまして」 7番の個室に入って、オーソドックスなやりとりが始まる。 たまに、挨拶をするより早く相手の女性から特殊な反応をもらうことがあるが、実はこれはいい兆候で、その人なりに興味を示してくれている証拠になる。 その場で特に気付いたことがあったり、僕のプロフィールからなにかしら感じ取っている場合だ。 こちらがそうであるように、女性側だって事前に参加者のプロフィールをよく見ているのだ。 ここでは普通の挨拶から始まったので、その後の会話をリードするのは僕の役目。 「舞台お好きなんですね」 「ええ」 「最近観た中で、面白かったのはありますか?」 予定通りの順序で話を進めると、「最…
こんにちは。ソノミです。最近知り合った年下の女性の話です。 とあるつながりで、たまに話をする間柄なのですが、彼女の話を聞いているといろいろと思うことがあり、記事にして整理したいと思います。 仮にAちゃんとします。Aちゃんプロフィール 26歳 既婚、18歳年上の夫、義実家に同居 夫は高校部活のOBで、18歳の時から付き合ってる。 ここまではよくある年の差夫婦なのかなといった感じだ。 (18歳で36歳と付き合うのはちょっと受け入れがたいけど) (あっ、あと義両親と同居は私なら無理)しかし、Aちゃんの話を聞けば聞くほどもやもやがたまるのだ。 夫は家事しない 仕事休みがち 体調不良のAちゃんにたいして…
いよいよ12番の個室だ。 事前にプロフィールを見た段階でいいなと思っていた2人のうちの1人。 もう1人の7番さんは手応えが皆無だったし、他の席の人にも特に惹かれなかった。 12番の後にも13、14、15、16と4人残っているが、なんとなく期待できない。 当たりだといいな…… ガチャを引く時のような心境で中に入った。 「こんにちは」 12番のEさんは、同じ言葉を返しつつ、お辞儀をしてくれた。 でもそれは、挨拶をしたというよりも、視線が合うのを避けた感じ。 笑顔が少し引きつっていて、頬も赤みを帯びている。 一見して、慣れてないのがわかった。 32歳という、相手の僕よりもけっこうな年下であることも、…
罰だとしても受け入れられないよ おしゃれ、大人の隠れ家的なカフェで、J-POPを聴き、口ずさむ季節外れのダウンジャケットを着た人物の連れってどんな苦行なのか。一応、店の中ということは認識なさっているようで、口ずさむ音量は小さめだった。 だが、普通に半径2メートル範囲では聞こえていたと思う。 何より音楽に合わせて体が動いているのが丸わかり。 途中、店員さんと目が合った時、自分の終わりを感じた。 なにが終わったかは明確ではないが、なにかが私の中で終わったのだ。 これは一体、いつのなんの罰なのか?考えてもわからなかった。 (今考えてもわからないよぉ) 季節外れさんの執着心がすごい ぼんやりと時をすご…
今回は少し真面目な題材について書きたいと思います。 たいした知見はありませんが、現下の難局にあって、自分ができることをしたいという一心で。 まず…… 人との出会いが遠慮されるのがコロナ渦。 人との出会いを求めて行動するのが婚活。 残念ながら、両者は相容れないものです。 ではどちらを優先させるかといえば、当然、コロナ渦の状況を踏まえての自粛になるでしょう。 つまり婚活はしばしのお休み。 ……なのですが。 家族と同居している方ならまだしも、一人暮らしで婚活をされていた方は、たった一人きりで、いつ終わるとも知れないSTAY HOMEを余儀なくされます。 これは想像以上に辛いことです。 まるでこの世に…
「どんなスイーツが好きですか?」 Eさんの「はい」に引きずられるように、思わず的を得ない問いかけをしてしまった。 「えっと、洋菓子とか和菓子とか。いろいろありますよね」 慌ててフォローを入れると、彼女は「どっちも好きだけど、洋菓子を選ぶことが多いです」と満更でもなさそうに続ける。 「毎日、コンビニスイーツ買って食べてます」 恥ずかしがりながらも微笑む彼女に、この話題を選んだ自分を褒めたくなった。 ここでのトークタイムは数分しかないのだから、この話題で突っ切って、好感度を高めてカップリングを目指そう。 そう心に決めて、話を進める。 「あ、一緒です。僕も甘いの好きなんですけど、どちらかというと洋菓…
皆様、全神経を動員して想像してみてください 「「ソノミさんも聴いてください!」」 無邪気な笑顔で差し出された片方のイヤホン。 私が高校生で、夕暮れの部活の帰り道、好きな人から「聴く?」と差し出された片方のイヤホンだったらどんなに素敵か…。 今私に起こっているのは 私は29歳。街コン会場にしてはおしゃれすぎるカフェで、季節外れのダウンジャケットを来た初対面の男性から、よく知らないバンドの曲を聴くように勧められている。 そもそも相手が知り合いだったとしても、イヤホン貸してもらうの抵抗あるタイプなんですが…!? 泣きたい。泣いて逃げ出したい…!! 戸惑いを隠せずうろたえている私が見えないのか、季節外…
最初の個室に戻って、手早く隣の女性に挨拶を済ませると、タブレットに目を走らせた。 いいなアピール受付までの少しの時間を使って、Eさんのプロフィールを再確認するためだ。 カップリングして再会した後、どこかに移った場合に備えて、話題をストックしておく。 フフ、我ながら気の早いことだ。 自嘲に駆られはするが、実際問題として、彼女のデータを記憶しておけるのは今しかない。 プロフィールにしっかり書かれてあることを後からもう一度訊いてしまうと、時として大きな失点になる。 ネットショップ店員、あ、ランニングもやってて、お住まいは埼玉。出身地は…… 「お待たせしました! いいなアピールの送信をお願いします!」…
なにかまずったかな。 天を仰ぎたい気分だった。 いや、むしろ時間を巻き戻して、トークタイムをもう一度―― できるわけもなく、肩を落とすしかない。 楽しく会話して、盛り上がったはずなのに。 カップリング後の計画まで練っていた自分が恥ずかしく、恨めしい。 「それでは続いてカップル希望の提出をお願いします! カップリングしたからといって、それが直ちに交際を意味するわけではなく――」 すっかり当てがなくなってしまった僕は、虚しさを持て余してそのアナウンスを聞いていた。 いいなアピールをくれた人に送ってみようかな…… そんな邪心が芽生える。 忙しく画面をスクロールして、いいなアピールをくれた6人のプロフ…
「」内を真剣に読むと損します ○○というバンドの××という曲について質問をしたところ、季節外れのダウンジャケットさんの温度が急上昇した。 季節外れさん「この曲は、メンバーの□□が高校時代に好きだった先輩との思い出を歌ったものなんです!!あっ、□□っていうのは主に歌詞とメインボーカルを担当してて、切ない歌詞を書くのがすごくうまいんですっ!!カリスマ性がとにかくすごくて!ファンからは□□しゃまって呼ばれたりしてて!デュフフ!!それでそんな□□が全身全霊をかけて作ったと言われているのが××なんですっ!!高校時代の□□は今では考えられないほど内気なタイプだったようで、先輩は憧れの存在として直接関わった…
……マジか? もう一度、画面を見直すが、間違いなくEさんとカップリングしている。 いいなアピールがなくて、一段飛びでのカップリング成立。 う~む。 Eさんにどんな心境の変化が起こったのだろう。 あるとすれば、僕からのいいなアピールを見て、その気になったとか。 あるいは、元々がいいなアピールをくれた人にカップル希望を出す主義なのかもしれない。 自分がいいなアピールを出した出さなかったにかかわらず…… 推論は尽きないが、ひとつ確かなのは、当然といえば当然だが、彼女もカップリングしたかったということだ。 一応、僕もその候補に入れてもらったらしく、多少なりとも縁があって今回カップリングした。 そんなと…
『負のスパイラルな男たち』、大分長くなってきているので、改めて1を載せておきます。 【街コン】負のスパイラルな男たち1 - 婚活ってこんなにしんどいものなんですね もうどうにでもなれ 意を決して、めちゃくちゃおしゃれなカフェに入った。 6名なので、大きめのテーブルに3名3名で対面して座ることとなった。 もう、席に関してはどう座ろうがどうもならないため諦めた。詳しくは忘れてしまったが、男女がバラけて座っていた。 私の右側には無口女性さん、左側には季節外れのダウンジャケットさん、目の前は誰か思い出せない。入店後は各々コーヒーやケーキなどを注文していた。 この時、かなり疲れていたので、節約中のピンク…
カフェへの道中も必死 よく知らない○○というバンドについて熱く語られ、途方に暮れていた時、積極的小柄女性が「そろそろカフェ行きましょうー!」と声をかけてくれた。救世主の声によって季節外れさんとの会話は終わり、カフェに向かった。 (結局なにも買えなかった…くそっ) カフェに向かう道中でも、隙あらば季節外れさんが話しかけようとしてくるのがわかった。 こちらをチラチラと見ている。私は何とか距離を保ちながら必死に歩いた。 本当に素敵なお店だった やっとカフェについた。 (実際には5分くらいの所要時間) そのカフェはめちゃくちゃおしゃれだった。 インスタ映え方向とは別で、格式があるような洗練された大人が…
弾まない会話 季節外れのダウンジャケットさんに話しかけられた。 季節外れさん「ソ、ソノミさん今日は一人で参加ですか?」 (やべ、商品を見るのに夢中で、話しかける隙を与えてしまった) ソノミ「いえ、友人と参加しました。」 季節外れさん「………」 (えっ、会話終わり??) 季節外れさんは目をキョロキョロさせて何か話題を考えているようだった。 一応言葉を待ってみるが、何も出てこないようだった…。 (つらい) 耐えられなくなり、私から質問した。ソノミ「何かいい商品ありました?」季節外れさん「っ、商品、はい。たくさんありますね!」ソノミ「…そうですねー」 (え…えーと。話聞いてた??) 突然の熱量アップ…
一階ロビーの玄関手前でEさんを待つ。 パーティーが終わって帰っていく人に、これから参加するために入ってくる人。 人通りはそこそこある。 エレベータ―が着く度に、出てくる人々を観察して、それを5回ほど繰り返した後、Eさんが現れた。 こんにちは、も変なので、ただ笑顔をつくって彼女を迎える。 「えっと、どうしましょう。時間、大丈夫ですか?」 「あ、はい。大丈夫です」 「お昼過ぎですけど、ランチでも行きますか?」 「じゃあ軽いので」 彼女のリクエストに沿うよう、近場のカジュアルなイタリアン店に向かった。 席に着くと、おすすめパスタのサラダセットを2つ注文して、先に運ばれてきた飲み物に口をつける。 「後…
ランチも半分くらい終えた頃には、スイーツネタも尽きかけていた。 パーティー中のトークタイムからここまで、ずいぶんお世話になった。 ありがとう、スイーツ。 次のネタはもちろん仕込み済みだ。 スイーツネタから自然な流れで、話題転換を図る。 「そういえば職場ではおやつを食べづらいって言ってましたけど、ネットショップの店員さんでしたっけ?」 「そうですよー」 「そのへん、あまり詳しくないんですけど、ネット専門のお店ですか?」 「うちは実店舗もあって、そこのネット部門です」 「あぁ、なるほど。だったらITにお強いんですね」 「実はそうでもなくて、周りの人たちに教わりながら、なんとか」 「その周りの人たち…
職場の話が一段落して、次の話題に移らないと、と思っていると、後から頼んでおいたデザートが運ばれてきた。 実のところ、職場の話題はあまり盛り上がらず、次の話題は何にしようかと、多少、焦っていたところだったので、助け舟を出してもらった感じになった。 とはいえ、猶予の時間は短い。 店員さんがデザートをテーブルの上に並べ、それを食べ始めるまでのわずかな時間で、適当な話題をチョイスしなければならない。 無言のデザートタイムなんて拷問だから…… そう思いつつも、直前に感じた疑問が消えずに残っている。 それは、僕の職業だったり職場について、たいして関心を示さなかったことだ。 年収だったらプロフィールに記載し…
同じこの土地で別の地獄が生まれていた 自身の指で歯に詰まったウインナーをとろうとしているピンクジャージさんを一切見ないようにして、泣きそうなのをこらえてとにかくランチセットを平らげることに集中した。私は人よりも食べるのが遅いのだが、この時は女性メンバーの中で一番に食べ終わった。 ここまで1時間30分くらい経過したでしょうか。 もう帰りたいと心で泣いた。 なっちゃんとユキコはどうしているだろうか…? ふとスマホを見るとグループラインにユキコからメッセージが入っていた。 ユキコ「これはヤバイ。帰りたい。」 ユキコもどうやら大変な目にあっているようだった。 無口さんの疑問に答える(答えられなかった)…
事件は目の前で起きていた いたたまれなさを勝手にピンクジャージさんに感じ、恐る恐るチラ見した。 私は絶句した。 ピンクジャージさんは指を口に突っ込んで、歯の間のウインナーをとろうとしていた。 えー、もう一度言います。 ピンクジャージさんは指を口に突っ込んで、歯の間のウインナーをとろうとしていた。 えー、今現在判明していることをお伝えいたしますと、ピンクのジャージを着た40代の男性が、ウインナーを食べた後、歯の間に詰まった食べかすを、指でとろうとしている模様です。 楊枝を使っているのではありません。直接、口に自分の指を突っ込んでとろうとしています。 詳しいことはわかっていません。現場からは以上で…
小柄女性への感謝と疑念 ピンクのジャージさんの明け透けな事情大公開に驚きつつも、私の中では『もうこの方のことはそってしておこう』と慈悲にも似た感情が芽生えた。なんのトラブルもなくこの場をやり過ごすことに集中しようと切り替え、私は基本的に貝になった。中央に座っている積極的小柄女性が、男性たちに質問を投げ掛けてくれていたおかげで場がシーンと静まり返ることもなかった。ただ、何を話していたかはもうその時から現在まで記憶にない。 とにかく覚えているのは積極的小柄女性がグイグイ男性たちに話しかけていたことだけだ。私はその様子を見て、『このお方はこの3名とあわよくば縁を結びたいと思っていてのこの積極性なのか…
メニュー決めでも爪痕を残すピンクジャージさん どっと疲れているが、離脱することもできない。とにかく美味しいものを食べようと切り替えてメニューを決めた。ランチセットが二種類あり、メインがハンバーグかチキンソテーか選べた。価格は1500円ほどだったと思う。 お店のおすすめとのことで皆さんそこから注文していた。 ただ一人を除いて…… 私のグループの6名中、5名は順番に一人ずつランチセットのどちらかを注文していた。最後、ピンクジャージさんの注文の番になった。 ピンクジャージさん「えっと、ぼくはこのウインナーをお願いします。」 もちろん、ランチセットにウインナーはない。 ピンクジャージさんが注文したウイ…
ここまで、「負のスパイラルな男たち」をお読み頂きありがとうございます。改めて自分でも読んでみると、まるで外見至上主義、ハイスペ以外は男じゃない!と言わんばかりの内容に見えてきました。しかし、そういうつもりではないんですね。あれなんですよ、決して年齢を重ねているお方や、スタイリッシュでないことをディスろうとしているわけではないんです。これってたぶん人間の本能で、健康的な人を望ましいと感じるように遺伝子にプログラミングされているのだと思います。 主語が大きい話してはありますが、生物学的な歴史としては、健康的なお方を魅力的だと感じなければ、生物は絶滅してしまうんだと思うんですよね。そこまでいわゆる美…
「そういえばランニングが趣味なんですか」 そう言ってから僕は、ちょっとまずかったかな、と思った。 さっきEさんが「でも最近、太ってきちゃって」と顔を赤らめたことを思い出したからだ。 ダイエットの一環としてランニングをしているのかもしれない―― 彼女の答えは、悪い予想が当たってしまった。 「矛盾してるけど。甘いもの食べた後に走って、また食べるって。悪循環」 「それはそれで健康的な気も」 埒もないことを言ってしまって、「どこを走るんですか?」と慌てて繕う。 「皇居ランとか?」 「本格的なのじゃなくて、家の近所を」 「公園まで行ったりですか?」 「そうです。散歩かも」 「ははは……」 この話題はこれ…
「結婚……そうですよね。したいですよね」 「したいです」 「パーティーではいい人に出会えませんでしたか?」 出会えていたら今日のパーティーに来てないだろ、と自分につっこみつつも、やはり気になるところで。 「そうですね、ちょっと男運、悪いかも」 またまた強力なフレーズ。 男運が悪い。 どのように悪いのだろう。 つっこみたい。 根掘り葉掘り。 これまでどんな男性を相手に、どんな恋愛をしてきたのか。 案外パーティーに通い始めたのも何か決定的な出来事があったからかもしれない。 相手の男が浮気して壮絶な修羅場を迎えたとか。 実は浮気したのは自分の方で、しかも不倫で、相手の奥さんが乗り込んできたとか。 い…
席を選ぼうとしたのが間違い 流れで席に着くことになり、私はテーブルの一番端になっ。私の隣は積極的小柄女性さん。 私の目の前はピンクジャージさん、その隣は季節外れのダウンジャケットさんが座った。 そして気づいた。このグループの場合、どの席についても大差はない…。 ピンクジャージさんをよく見てみる 改めて、ピンクジャージさんを見ると、服の袖がボロボロだった。髪の毛も思った以上にパサパサだった。 髪質というりは、栄養が行き渡ってない感じ。 一本一本が限界まで栄養を節約して細くなって成り立っているような感じ。 そしてロン毛。芸人の永野さんの髪型にパーマをかけたような髪型。(くせ毛) このロン毛にファッ…
二人して、照れたような、可笑しいような、そんな仕草で視線を交わし合う。 「うまく行きませんね」 「本当に。結婚したいのに」 諦めにも似た笑みを漏らすEさんだったが、結婚、と自ら口にした彼女からは、俄然、強い「女」の気配が伝わってきた。 それは色気にも近いが、もっと現実的で、いい男をつかまえて結婚して子供を産み育ててよりよい老後を迎える、というような希望というか気迫がこもっている空気。 匂いまでしてきそうだ。 そんな彼女が魅力的に思えた一方で、結婚を重く捉えがちであることを自覚している僕は、内心、たじろぐ。 本気のEさんを受け止められるだろうか。 そこまで彼女のことを想えるだろうか。 お付き合い…