アユタヤ 輝きの大航海時代 <トラキチ旅のエッセイ>第29話
東アジアをゆるがした豊臣秀吉の朝鮮侵攻―――文禄・慶長の役(1592~1598)。 このとき、応戦に忙しい中国・明に対し、遠いインドシナの地から、 「われらに賊どもを迎え撃つ用意あり―――」 名乗り出た国があることをご存知だろうか。 その名を「アユタヤ」という。多くの諸外国はシャムと呼んだ。今のタイ王国につながる国である。 世界が海のみちでひとつに結ばれた大航海時代。 日本、中国、琉球、ベトナム―――アジアからも、さまざまな国や地域がこの巨大なうねりに身を投じ、歴史に参加した。 なかでも、その主役の一人としてひときわ輝きを放ったのが、アユタヤだった。 16世紀を迎える頃、アユタヤは、まるで中国…
2024/05/11 13:09