今回は、戦後に着物の色柄が洋服ファッションの流行に合わせて一気に地味になったことと、洋服でモノトーンと黒の洗礼を受けた世代を中心に、呉服の世界で「地味なもの=上品」「シックなものこそ正統派の高級呉服らしい色柄だ」という思想を流布している可能性があるというお話です。 戦後生まれの呉服関係者さんを見ていると、「洋服感覚の着物を~」「洋服の中で浮かない色柄を~」「都会のコンクリートジャングルになじむシ...
当ブログは、近年着物に興味を持つようになった着物初心者さんや若い世代向けに書いているブログです。 着物の知識・情報のメモ&お買い物&着物ファッションをアルバム風にまとめてみました。
トラベル用のメイクパレットを作る② コスメ関連のトラベルグッズ
(前回からの続き) ②長期旅行用のメイクパレット 次に、長期旅行用のパレットを作ってみました。 パレットは100均(ダイソー)の色鉛筆の缶を代用することにしました。 18色の色鉛筆とスチール製の缶付きで100円はすごい😲! 鏡は、セリアの鏡がサイズがちょうどよかったので、鏡を取り外して接着材で色鉛筆の缶蓋に付けました。↑鏡面が13㎝×8㎝で色鉛筆の蓋にぴったり。 今回は、長期旅行用ということで、オールシーズン対...
トラベル用のメイクパレットを作る① 昭和の海外旅行とコスメの話、コスメ関連のトラベルグッズ
夏は旅行ムードの季節なので、今回はトラベル用のメイクパレットのお話です。 着物で旅行する時は結婚式の参列や特別なシーンが多いので、最低限のメイクは必要ということで、トラベル用のメイクパレットを作ってみました💄💋。 コンパクトなケースに自分の1軍コスメを一つのパレットにまとめることで、メイクの時短や荷物のコンパクト化ができます。 ここ数シーズン、ミニバッグが流行しているのと、旅行ブームでパッキング...
昭和後期のおかしな言説 紬に金糸の帯を合わるのは一切ダメ×→戦前は高級紬に金糸の帯も合わせていた○(後編)
(前回からの続き) 前回の具体例から、戦後に作られた今の着物の決まりごとしか知らない新興呉服屋さんと、戦前からの知識を持っている呉服屋さんとでは、帯合わせの基準にこんなに差があるというのがおわかりいただけたと思います。 和裁士さんのお店では、基本的に、大島紬・結城紬に合わせる帯については、「紬にはカジュアルな帯を合わせるべきだ」という狭い許容範囲に徹底し、博多帯、真綿紬の帯、塩瀬の染帯など、ツヤも...
昭和後期のおかしな言説 紬に金糸の帯を合わるのは一切ダメ×→戦前は高級紬に金糸の帯も合わせていた○(中編)
(前回からの続き) 次に、以下のような華やかな金駒刺繍のある帯について、大阪の店員さんは、「塩瀬地なので高級紬にも合う帯です」とおっしゃっていました。 ↑塩瀬地に金駒刺繍の名古屋帯。私物。 大阪の店員さんによると、こういう金駒刺繍のある帯も、戦前から高級紬に合わせられる帯だったのだそう。 豪華な刺繍があるから紬にはいけないのかと思いきや、その逆で、塩瀬地の帯はいくら金糸やドレッシーな絵...
昭和後期のおかしな言説 紬に金糸の帯を合わるのは一切ダメ×→戦前は高級紬に金糸の帯も合わせていた○(前編)
着物の紋様の組み合わせと定式シリーズはまだ続きますが、今回は昭和後期のおかしな言説シリーズにしたいと思います。 昭和後期のおかしな言説シリーズは、今回が初になります。 私が和裁士さんの話や着物本で気になったのが、店により着物の格と帯合わせの基準が違うようだということ。 調べるうちにわかったのは、帯の格と帯合わせの基準についても、1970年代以降に作られた今の着物本では、初心者向けの安全パイマニュアル...
着物の紋様の定式と組み合わせ② 能を題材にした「石橋」「芭蕉」「鼓の滝」「通小町」「蘆刈」
(前回からの続き) 次に、石橋(しゃっきょう)について。 唐獅子と牡丹の組み合わせで「石橋」紋様、もしくは「唐獅子牡丹」と呼びます。 今の着物本にも紹介されていることも多く、能や歌舞伎の題目としても有名です。↑『きもの紋様事典いろは』藤井健三、弓岡勝美、ピエブックス(2010)より。着物文様事典いろは?明治・大正・昭和の着物、帯の図柄 (弓岡勝美コレクション)中古価格¥2,197から(2022/8/9 22:05時点) 本に...
着物の紋様の定式と組み合わせ① 「物語性」「謎解き」「判じ物」「連想」を生み出した江戸時代の人々
今回は、紋様の話の続きで、江戸時代の文化では、着物の紋様には、「定式の組み合わせ」「物語性」「謎解き」「判じ物」「連想」によるものがあるというお話です。 戦後の着物の世界では、着こなしにおいては配色や帯合わせや季節柄にばかり目線が行きがちですが、実は、今の季節柄の概念は明治以降に百貨店主導で商業的に作られたものではないかということが近年判明してきており、江戸時代の紋様の文化をよく見ていると、今と...
着物と洋服でイメージが異なる紋様 ~「野晒し」「蝙蝠」「亀甲」、侘び寂びと不完全の美「破れ」~
今回は、紋様の話の続きで、日本と海外ではイメージが異なる紋様をメモしておこうと思います。 まず、ドクロの絵柄について。 ドクロ柄は、洋服ではダークでロックなイメージがありますが、日本の伝統紋様では仏教的な絵柄として、「諸行無常」「魔除け」「再生」の意味があるのだそう😲。 ↑『きもの紋様事典いろは』藤井健三、弓岡勝美、ピエブックス(2010)より。「風雨に曝されて白骨化した人骨。(中略)仏教では...
クモの巣と露芝と蝶の紋様の話 ~日本人が着物の紋様を知らないことで、海外から思わぬ誤解をされることがある!?~
(前記事からの続き) 私がこの話題を採り上げたもう一つの理由は、日本人が着物のことをよく知らないために、海外から日本文化を誤解される可能性があると思ったからです。 ある北斎関連のテレビ番組で、日本の女優さんが、ボストン美術館で北斎の娘(応為)の浮世絵を見せてもらう場面がありました。↓↑7分54秒からボストン美術館の話になります。↑続き。 「三曲合奏図」において、遊女が「蝶に露草」と「クモの巣に蝶」の紋様...
クモの巣の紋様は「お客さんが(巣に)引っかかるように(=商売繁盛)」の意味がある? ~着物の紋様の意味~
今回は、着物の紋様において、クモの巣は玄人さんが好むイメージや商売繁盛・金運の意味があるというお話です。 着物の紋様については、いつも意味を気にして着ないといけないわけではないのですが、「これはオタクな豆知識だな~」と思いました💰🕷↑クモの巣柄の帯と着物。画像はネット上より拝借しました。 ネット情報によると、クモの巣柄は、古くから日本書紀や古今和歌集、平家物語にも登場し、「待ち人くる」「幸せをつか...
呉服屋の話は伝言ゲームで成り立っている?④ 師匠の話を絶対視してしまうことについて
前回からの続きで、今回は、「学術的には誤った知識であっても、師匠の話を盲目的に信じてしまう」という件について書きたいと思います。 私が呉服の世界を見ていて気になったのは、学術的にも明らかに誤った言説なのに、その証拠や裏付けを見せられても信じられず、師匠からの口伝のほうを信じてしまう人が多いこと。 未来記事で詳述するので今回は簡潔に書きますが、例えば、和裁士さんは、振袖の帯結びの中では「ふくら雀」...
ヘチマで帯枕を作る話。軽くて涼しくて、夏だけでなく年中使えます。
今回は、ヘチマの帯枕を作る話です。 着物雑誌で、京都の芸舞妓さんはヘチマの帯枕を使っているという話を知り、私もヘチマの帯枕を作ってみました。 作り方は、YouTubeを参考にさせていただきました。 ご近所の92歳のお婆さんによると、戦前は帯枕は自分で作るのが普通で、ヘチマは昔から使われていたそうです。 既存の和装用品にも、夏用のへちまの帯枕があるのですが、和装用品あるあるで、けっこう割高…。帯枕 涼感 へ...
今回は、長襦袢をみやこ染めでセルフ染色して、好きな色の長襦袢を作る話です。 今の中古市場の長襦袢は、淡いピンクのものばかりなので、自分で欲しい色を染めることにしました。 今回も「みやこ染」を使いました。 ↑袖部分をオレンジ色に染めたところ。↑長襦袢(正絹)、中古品、108円。 元々の長襦袢はこちら。 ↑袖口もムラなく染めることができました。 袖だけを染めたのは、染料の節約もありますが、水に浸けるとど...
呉服屋の話は、師匠からの伝言ゲームで成り立っている?③ 師匠や職人の話をそのまま受け売りする慣習について
前回からの続きで、今回は、「師匠や産地の職人から聞いた話を、裏付けを取らずにそのまま受け売りする」という慣習について。 過去記事で書きましたが、着物のウンチクやモノの良し悪しの評価については、呉服関係者によっては評価が真逆になることもあり、師匠の個人的な趣味や店の商業的な都合により、着物の理論が歪められてしまうことがあります。(過去記事→呉服の理論は商業的な都合で歪められていることがある!?自店...
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今回は、戦後に着物の色柄が洋服ファッションの流行に合わせて一気に地味になったことと、洋服でモノトーンと黒の洗礼を受けた世代を中心に、呉服の世界で「地味なもの=上品」「シックなものこそ正統派の高級呉服らしい色柄だ」という思想を流布している可能性があるというお話です。 戦後生まれの呉服関係者さんを見ていると、「洋服感覚の着物を~」「洋服の中で浮かない色柄を~」「都会のコンクリートジャングルになじむシ...
(前回からの続き)私:「和裁士さんによると、昭和後期の着物の世界では、黄八丈は町娘が着る若向きのイメージがあるから年配は着れないとか、格子は若づくりだという説が流布されていたらしいです。 Fさんは(本場)黄八丈にどんなイメージがありますか?」 Fさん:「黄八丈は年配世代が着るものというイメージだし、黄色が若い人しか着れないという話も聞いたことない。 誰がそんなこと言ってるのかしらね?? ...
今回は、Fさんのお話シリーズの第一回です。 (過去に一度公開した記事ですが、差し障りがある箇所があったため非公開にしており、今回再掲させていただきました。) ご実家が明治初期からの呉服屋だったというFさんに、大島紬の話や戦前の宮崎県の庶民の衣生活の話を聞かせていただきました。 Fさん(2018年現在で78歳)のご実家は、お父方が江戸時代に大名の馬廻り役だった武家のご家系で、明治以降は商家に鞍替えし、...
今回は、帯締めの話に続き、帯揚げについて調べてみました。 帯揚げは、お太鼓結びが生まれた後に、帯回りの付属品・装飾品として生まれたものの、帯締めのように組紐の文化や伝統技術などの背景があるわけではないためか、帯揚げを専門的に調べた本はほとんどないようです。 時代考証家の山田順子さんによると、「文化年間(1804~1818)にお太鼓結びが考案されると、帯がずり落ちないように、帯締めだけでなく、背中の折山に...
(前記事で、「組紐の帯締めの普及は、月印という帯締めの問屋が仕掛けた」という説を載せ忘れたので追記しました。よろしければご覧ください。) 今回は、夏用の帯締め・帯揚げのお話です。 戦後の呉服の世界では、季節柄や衣更えをうるさく言っていたので、「夏には夏用の帯揚げ・帯締めにしないといけない」と思う方がおられるかもしれませんが、夏用の帯締めは衣更えのしきたりでも何でもなく、戦後の昭和後期に商業的に作ら...
🎍新年のご挨拶申し上げます🎍 今年は元旦から地震・事故・事件など様々なことがありました。 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 当ブログの新年の抱負は、昨年は更新が少し滞っていたので、今年は着物の理論のほうに力を入れ、もっと多くの記事を投稿できる一年にしたいと思います📒🖋~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 今年の初記事は、特にお正月らしくもないのですが、帯締めと...
今回は、麻の着物の話に続き、芭蕉布の着物の格についてです。(画像参照元:芭蕉布 - Wikipedia) 戦後の呉服の世界では、芭蕉布は帯も着物もカジュアル着着として知られ、とても高価で希少性の高い商品となっていますが、琉球王国時代は古くから王家の夏の礼装として用いられ、戦前でもフォーマル着として着られていたようです。 『図説琉球の染めと織り』によると、琉球王朝では古くから芭蕉布が存在し、王族から庶民に至る...
今回は、戦前までは麻の紋付礼装があったというお話です。 結論から先に述べると、麻についても、昔は紋付の礼装があり、夏場はフォーマルで着られていましたし、同じ麻でも上質なものは上流階級の礼装や日常着として着られ、質の劣るものは庶民が日常着・労働着として着ていたということがわかりました。 戦後の着付け教室の教本や着物雑誌を読むと、「麻は素材からして格が低い」「麻は農家が自家用に作る自然布が起源で格が...
今回も前回に続き、紬や木綿は格が低いという言説についてです。 結論から先に述べると、「紬はとにかく格が低い」というような言説は、戦後の昭和後期に高級紬ブームになった時に、高級紬のライバルであった友禅の産地が紬を下げるような言説を流布したのが原因という説があったり、歴史的には高級紬は別格に扱われていて、地域によっては正式な礼装として着られていたという事実があるようです。 紬については色々な種類があ...
今回は、前回の木綿友禅の話に続き、「紬は紬というだけで格が低い」という言説は誤解であり、戦前までは紬の礼装があり、着物の格は素材よりも紋の有無と色柄で判断していたというお話です。 戦後の呉服の世界では、「紬はどこまでいっても格の低い着物(カジュアル着)だ。」「紬の訪問着は戦後に作られるようになった邪道の商品だ。紬の訪問着をフォーマルな席で着るのはおかしい。」「紬はいくら高級品でも格の低い着物だか...
今回は、「木綿は木綿というだけで格が低い」というのは誤解であり、大正時代までは木綿の礼装が作られていたし、着物の格は紋の有無と柄ゆき(裾模様・絵羽)で判断していたというお話です。 戦後の呉服の世界では、「木綿着物は着物の中でも最も格が低い」「木綿の着物はカジュアルな格だから部屋着として着たり、働く時に着るものだ」「隣人や極親しい人と会う時、近場の買い物で着る」「木綿の着物は格が低いからマフラーや...
続いて羽織のお買い物の話です。 ↑小紋の羽織、中古品、324円。 こちらは、和裁士さんが小物作り(つるし飾り)用に買ったもの。 茶色でこういう小さな柄は、雀などの小鳥の素材に使えるのだそう。↑バティック調の型染めで、羽裏もアジアンテイストです。 羽裏の下の表生地の折り返しが多いので、羽織にしては生地がたくさん取れたそう。 ↑小紋の羽織、中古品、324円。 こちらも和裁士さんがリメイク用に購入。 羽織紐が...
前回に続き、羽織のお買い物の話です。↑寿光織の絵羽織、未使用品、仕付け糸付き、108円。 こちらは知人のNさんが買ったもの。寿光織でこの価格はびっくりです😧 上品な糸菊が描かれていて、絵羽なので、関西の感覚だと、紬の着物ではなく、格のまあまあ高い垂れ物に合わせるべきものなのかも? 金糸・銀糸と白糸で立体的な糸菊が抽象的に表現されています。 「大小あられ」のような地紋があり、光の加減で浮き立ってオシャレ...
今回は、羽織のお買い物の話です。 今は長羽織が流行なので、昭和の短い羽織は流行遅れになりがちですが、とはいえ昔のものは良いものが多いので、そこまで短くなければ今着ても恥ずかしいわけではないと思いますし、生地や加工が良いのでリメイクにもオススメです。(過去記事→今の流行と昭和の着物のイメージあれこれ② ~着物を着るうちにわかってきたこと~)↑刺繍入りの絵羽織、未使用品、仕付け糸付き、108円。 手刺繍と...
今回は、地方の呉服屋さんでは、京都のネームバリューを都合のいい時だけ利用していたり、本当は田舎の趣味なのに、自店が京都のセンスであるかのように販売しているというお話です。 今まで呉服の世界を見ていて、着物で嫌な思いをしたり、着物離れが起きる大きな要因は、消費者と直接関わる販売現場が原因ではないか?とわかってきたため、今回は地方の呉服屋シリーズ第一弾として、愛知の田舎好みの呉服屋さんの話を例に挙げ...
今回は、はんなりという言葉は京都人でもあまり使わないという話と、地方の呉服関係者さんの中には、はんなりの意味を誤解していたり、江戸好みの着付けや趣味なのにそれが京好みだと勘違いしている人がいるのではないか?というお話です。 和裁士さんと話していて気が付いたのですが、和裁士さんが習った着付け教室では、「うちの教室でははんなりした着付けを目標にしている」と言っていたり、和裁士さんのお店の社長が、...
(前回からの続き) 呉服の世界では、伝統工芸の藍染めの浴衣だけをホンモノとし、他の安価な浴衣をニセモノとする風潮があるようですが、アパレルの世界では、藍染めの浴衣は、品揃えやカテゴリーとしては単に「紺色の浴衣」として分類されるということをもっと理解する必要があると思います。 紺色の浴衣は、伝統工芸の高級品だろうが、プリント印刷の安価なものだろうが、色柄のカテゴリーとしては単に「紺色の浴衣」に分...
今回は、前回の話の続きで、藍染めの浴衣に関するお話です。 昭和後期の呉服の世界では、「浴衣は藍染めが正統派で正しい浴衣で、日本人なら藍染めの浴衣を良いものだと思うべきだ」「藍染めの浴衣こそ伝統的な本物の浴衣だ」「昔ながらの紺地や白地の藍染めの浴衣こそ日本人らしい趣味だ」というような価値観が流布されていたようです。 現在でも、呉服関係者さんの発言やテレビ番組の日本の浴衣文化の紹介を見ていると、さり...
今回は、昭和後期のおかしな言説シリーズで、浴衣の格と絵羽柄についてのお話です。 浴衣についてよく耳にする話として、昭和後期の着物世界では、「絵羽の浴衣は近年作られるようになったもので、いくら絵羽でも格は低い。(=絵羽の浴衣は邪道だ)」」「浴衣を長襦袢と足袋で夏着物として着るのはいかがなものか。」「浴衣は湯上りに着るバスローブだから、昼間から着るのはおかしい。」「浴衣はオシャレ着や外出着には...
今回は、男性の和装は今でも慶事と弔事が同じ格好になるというお話です。 男性の和装の喪服について、「慶事では羽織紐と草履の鼻緒は白、弔事では黒にする。(中には半衿も足袋も黒にするという説もあり)」という言説が昭和後期に流布されていたようですが、これについても昭和後期のおかしな言説の一つのようです。 結論から先に述べると、和装では戦前までは慶事も弔事も同じ格好で、男性は白喪服の場合と黒紋付羽織袴が混...
今回は、戦後に着物の色柄が洋服ファッションの流行に合わせて一気に地味になったことと、洋服でモノトーンと黒の洗礼を受けた世代を中心に、呉服の世界で「地味なもの=上品」「シックなものこそ正統派の高級呉服らしい色柄だ」という思想を流布している可能性があるというお話です。 戦後生まれの呉服関係者さんを見ていると、「洋服感覚の着物を~」「洋服の中で浮かない色柄を~」「都会のコンクリートジャングルになじむシ...
(前回からの続き)私:「和裁士さんによると、昭和後期の着物の世界では、黄八丈は町娘が着る若向きのイメージがあるから年配は着れないとか、格子は若づくりだという説が流布されていたらしいです。 Fさんは(本場)黄八丈にどんなイメージがありますか?」 Fさん:「黄八丈は年配世代が着るものというイメージだし、黄色が若い人しか着れないという話も聞いたことない。 誰がそんなこと言ってるのかしらね?? ...
今回は、Fさんのお話シリーズの第一回です。 (過去に一度公開した記事ですが、差し障りがある箇所があったため非公開にしており、今回再掲させていただきました。) ご実家が明治初期からの呉服屋だったというFさんに、大島紬の話や戦前の宮崎県の庶民の衣生活の話を聞かせていただきました。 Fさん(2018年現在で78歳)のご実家は、お父方が江戸時代に大名の馬廻り役だった武家のご家系で、明治以降は商家に鞍替えし、...
今回は、帯締めの話に続き、帯揚げについて調べてみました。 帯揚げは、お太鼓結びが生まれた後に、帯回りの付属品・装飾品として生まれたものの、帯締めのように組紐の文化や伝統技術などの背景があるわけではないためか、帯揚げを専門的に調べた本はほとんどないようです。 時代考証家の山田順子さんによると、「文化年間(1804~1818)にお太鼓結びが考案されると、帯がずり落ちないように、帯締めだけでなく、背中の折山に...
(前記事で、「組紐の帯締めの普及は、月印という帯締めの問屋が仕掛けた」という説を載せ忘れたので追記しました。よろしければご覧ください。) 今回は、夏用の帯締め・帯揚げのお話です。 戦後の呉服の世界では、季節柄や衣更えをうるさく言っていたので、「夏には夏用の帯揚げ・帯締めにしないといけない」と思う方がおられるかもしれませんが、夏用の帯締めは衣更えのしきたりでも何でもなく、戦後の昭和後期に商業的に作ら...
🎍新年のご挨拶申し上げます🎍 今年は元旦から地震・事故・事件など様々なことがありました。 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 当ブログの新年の抱負は、昨年は更新が少し滞っていたので、今年は着物の理論のほうに力を入れ、もっと多くの記事を投稿できる一年にしたいと思います📒🖋~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 今年の初記事は、特にお正月らしくもないのですが、帯締めと...