この土地に引っ越してきたのはもう20年ほど前のことになる。 妻の実家から1キロほどの所に家を建てることにしたのは、生まれてからこの地を離れたことがない妻を思ってのことだ。妊娠中だった妻にとって母親が近くにいることはぼくにとっても力強かった。 都内に勤めるぼくは通勤時間が長くなることにストレスはあったが、静かな環境の中で新しい生活を送ることは悪い気もしなかった。 都内で購入できる土地の広さの2倍の広さの土地を購入できたのは片田舎故で、家の周りには畑や田んぼがちらほら。無人の精米所があったり、イチゴ狩りやブルーベリー狩りができる場所がある。都内通勤圏のぼちぼちの田舎。 引っ越しの挨拶には妻とタオル…