冬の雨本日の一曲・Chet Baker - Autumn In New York - 1956冬の雨続く弦楽四重奏冬茜いつかはみんな物語いくつになっても、冬茜にばったり出会うと、心を奪われてしまう。めっきり寒くなって来ると、身の回りには淋しいものが多くなってくるけれど、あの深い濃紺から茜色への、ガレのガラスのような緻密なグラデーションは、いつ何時見てもしみじみ感動する。小さい頃好きだった「影絵」を思い出すからなのだろうか、冬茜を見ると...
駆け足で過ぎてしまう毎日に俳句の足跡を付けてきました。浮遊している思いを短文にし音楽も少々コラボ。
60代・主婦兼グラフィックデザイナー。在宅ワーカーです。 趣味は俳句・デザイン・音楽・手織り。
冬の雨本日の一曲・Chet Baker - Autumn In New York - 1956冬の雨続く弦楽四重奏冬茜いつかはみんな物語いくつになっても、冬茜にばったり出会うと、心を奪われてしまう。めっきり寒くなって来ると、身の回りには淋しいものが多くなってくるけれど、あの深い濃紺から茜色への、ガレのガラスのような緻密なグラデーションは、いつ何時見てもしみじみ感動する。小さい頃好きだった「影絵」を思い出すからなのだろうか、冬茜を見ると...
秋の空深々と我を泳げり秋の空やっと秋らしくなってきた。まだ暑い日も混じるのだけれど。深海のような底なしの青い空が広がっている。思わず深呼吸をして、その青に飛び込んでみる。そこはもう、空なのか、私の中なのか、定かではない。秋になると私の俳句には、「我」という言葉がちょくちょく出てくるようになる。秋になると私は、私について行きたくなってくる。秋になると私は、私に声をかけたくなる。秋になると私は、人付き...
月明本日の一曲・We're all alone [日本語訳付] Boz Scaggs月明の夜を展きて進みをりなんという長い残暑だろう。九月ももう真ん中あたりまで来たというのに、どう考えてもこれは真夏という温度。クーラーを点けなくては眠れない。秋の季語を拾い集めようとしても、どうにも実感が湧かない。私の句は写生句ではないけれども、実物や実感によって、感性が刺激されて、様々な過去の体験と交感した後でなければ俳句を詠もうという気...
八月八月の何処を歩いていたものか一体全体、どのくらい歩いていたものだろう。何処をどう、歩いていたものだろう。何のために自分は歩いていたのだろう。誰のためにここまで来たのだろう。同じような淋しいことを繰り返し、同じような虚しい結果を繰り返し、全力で前から飛んでくる変化球を打ち返してはいたけれど、もう疲れてしまった。それでなくてもこの暑さだ。地球も何処へ行くのだろう。人々も、何処へ向かっているのだろう...
梅雨空梅雨空の天の睡りは長きかなハンカチの忘れてしまった物語噴水高く逃げてゆく日々ばかり踏み出せば青葉風四肢の中まで乳癌の検診が近づくと、俄かに自分の中に色んな人格が増殖する。疑い深い人格。最悪の展開ばかり想像する人格。なるようにしかならないと開き直る人格。きっと大丈夫と、信じる人格。取り越し苦労はもうやめようと、合理的に考える人格。これら様々な相反する考えを持った小人のような人格達が、入れ替わり...
新緑 / ラ・カンパネラ本日の1曲/ラ・カンパネラ(パガニーニによる大練習曲 S.141-3)(リスト)/フジコ・ヘミング新緑の繋いでゆきぬ街の風スクランブル交差点五月の真ん中聖五月素足で踏んで行くひかりにほんブログ村人々の影濃くなりぬ躑躅かな日傘開けば立ち上る小さき過去ラ・カンパネラ千の窓が朝焼ける2024年4月21日、フジコ・ヘミングが92歳の生涯を閉じた。冥福をお祈りしたい。まだ私が独身の頃、母の洋装店を手伝っ...
桜柔らかく時間が止まっている桜桜の周りではいつも、時間が止まっているように見えるのは何故だろう。ぎゅうぎゅう詰めな時間も、重たい時間も、賑やかな時間も、軽やかな時間も、人々の持っている様々な時間が、桜の樹の下で桜を見上げた途端に、柔らかく、しかしぴたりと、停止してしまうのである。桜は風に揺らいでいるし、絶えず陽の光を集めたり、ほどいたりして動いているのだけれど、そこではありとあらゆる時間というもの...
春の海春の海過去よりできるだけ遠く春光や瞳の中の風車ヘアピンを全部はずして春の月ある日やっと夜の家事を終えてベランダへ出ると、ふくよかな紺色の闇に春の三日月が浮いていた。それが正真正銘春の月だということは、きっと誰にでもわかるだろう。浮いていたというのがぴったりな軽さ儚さで、まだまだ気温は持ち上がらないのに、何故月だけがこうも先駆けて春の様子に変わっているのかが、如何にも不思議だと思った。冬の三日...
鬼やらい本日の1曲・Bill Evans - B Minor Waltz (Official Audio)声しばし闇にとどまる鬼やらい長年不思議に思っていることがある。節分の豆撒きのことである。コンビニやスーパーに売っている節分用の豆は、当日の深夜にもなれば、もうどこにも無い。すっからかんに売り尽くしている状態だ。となれば当然、かなりのパーセンテージで、節分の豆撒きが各家庭で正々堂々と行われているのだと考えていいだろう。しかし、私は生まれて...
初夢初夢にごった返すや過去未来実南天昇りつめたる赤なりしかなしみに続いてをりぬ初御空今年の初空は、大きな悲しみに染まってしまった。年末には身を粉にして働いて整えた家で、心づくしのお節料理も用意して、久しぶりに会える子供や孫たちと和んでいたであろう時間。その大切な時間を襲った地震。晴れやかな一日のはずが、一転して大きな恐怖と悲しみのひと日となってしまった。同じ被害といっても、この寒さである。被災地の...
山茶花山茶花の風振りほどく月日かな寒月やしだいに闇に隙間無く冬に入るひとの睡りの集まりて冬になると・・・。人の睡りは一気に重さが増すような気がする。どんよりと肉厚な長い夢。相変わらず荒唐無稽な筋書き。夜中にトイレに起きると、体中が痛くてまるで難破船のようであるし、朝、起床後も家事をして体を慣らしていくのに、えらくまた時間がかかる。冬の眠りは重い。けれども、冬の眠りは生きるものにとって、必要不可欠な...
初紅葉吉報は突然来たり初紅葉車の後部座席の窓からぼんやりと外を見ていたら、いきなり何か晴れ晴れとしたものを通り過ぎた。余りにも一瞬の出来事だったので、あたかも晴れ晴れとした自分の気持ちの方が先に来て、一体何故そうなったのか良くわからなかったような気がしたのだが、すぐに同じことが繰り返されたので、なるほどと思った。それは車道の縁の並木の、紅葉の鮮やかさだった。次から次へと同じ木を繰り返し通り過ぎて、...
秋夕暮本日の1曲・Feels Like Home - Edwina Hayes物音の底まで落ちる秋夕暮がっくんがっくん、と階段を二段跳びか三段跳びするような具合で、いきなりの秋となった。半袖から、七分袖を通り越していきなり長袖になる、そんな妙な季節の進行である。クローゼットを開けると、やはり着るチャンスの無かった服が色々と眼に着き、あら、この服を飛ばしてこっちに行っちゃうの、と何か納得いかない気持ちである。確実にひと月ほどの初...
明月本日の1曲・Definitely Maybe・Jeff Beck明月のひかりの水の如きかな深夜ベランダへ出たら、おやまあ、という凄みのある月だったので、しばしの間我を忘れて見とれていた。その光は遮るもの無く晴れ晴れと、それでも決してかしましいところ無く、あくまでも静かに、透徹とした光で、周囲の闇を洗っている。一瞬で日常の色々な芥のようなものも、洗われるようだ。コロナは相変わらず猛威を振るっていて、ついに息子も感染してし...
踊り本日の1曲・STAND BY ME. (Ultimate Mix, 2020) - John Lennon 回りつつ地球も溶ける踊りかなただ事ではない暑さである。しかしこんな日がやって来るのはわかっていたことだし、恐ろしいのは年々もっとエスカレートしていくであろうということだ。一体何をどうすればいいのか。日が落ちてもムンムンと蒸し暑い中を家へ向かっていると、いきなりの大音響に腰を抜かしそうになる。「月がぁ―出た出た、月が出たぁ」ああ、あ...
炎天本日の1曲・Dana Winner - One Moment In Time live炎天に我と我が影ひとつづつ汗拭いて笑顔も拭いてしまゐたり問ふてみる我の背丈の向日葵ににほんブログ村七夕の交差点にひとは行き交ふ近い記憶遠い記憶も夏帽子持ち歩くハンカチほどの不安かな万緑や洗濯物も盛大ににほんブログ村白粉花に夕風の巾広くなり洗い物終われば窓に涼しき灯爪伸びて髪伸びて凌霄花咲きぬにほんブログ村言葉みな洗い晒しに夏の海やっと体調が良くな...
明け易し本日の1曲・Firefly / Hiromi Uehara閉じた目のその中までも明け易し 夜が明けるのが早くなってきた。最近寝るのは、大抵午前三時半ころであるが、ちょっと眠れずに四時過ぎになってしまうと、もう空の色が青々としてくるので、慌てる。その後次第次第に淡く透明になって来る未明の空の色を見てしまうと、それは白々とした意識そのもののように眼裏に棲みついてしまって、容易には取れなくなってしまう。そしてこわごわと...
新緑本日の1曲・The Beatles - Instrumental新緑の風を着ているひと日かなちょっと昼間外出しなかったら、見慣れた街の街路樹達も、眩いばかりの新緑の噴水と化していて、公園の中の大木などは今が盛りと、燃えるような若草色を惜しみなく氾濫させている。しかし今年の春は風が強い。気温はさほどでもなくても、風が冷たくて強いために、まったりした「春」という感じの日が、あまり無かった。まあ、昨今の異常気象はどうにもなら...
桜本日の1曲・David Fray and Esa-Pekka Salonen - Ravel, Piano Concerto in G Major抜けて来し風の湿りて桜かなひとの背を見ているひとや花冷えぬ夜桜に幾千万の瞳のありぬ桜というものは、なにか巨きなものに、繋がっている。それが何なのか、一口にいう事は難しいのだけれども、巨きな静謐、巨きな溜息、巨きな安らぎ、巨きな悲しみ、巨きな歓び、それは一人の溜息ではない。それは一人の安らぎではない。それは一人の悲しみで...
紅梅紅梅にひかり一喜一憂す新しき水彩絵の具春立ちぬ春が立つとはまさによく言ったもので、晴れた日の陽の光が、日に日に立ち上がってくる感じがある。実際に太陽の通り道の高度が上がるのだから、当然と言えば当然なのだろうけれども、風や気温はまだ冬と大差ない日であっても、光だけが勢いを得て、背丈が増してくる。それからこの後、段々と風が暴れ出すようになってくると、いよいよ春が頭角を現し始める。それはまだ、...
寒オリオン本日の1曲・Dana Winner - When You Say Nothing At All 眉間より我を洗へば寒オリオン我が家には新年は来たけれども、正月はまだ来ていない。何故と言って、まだ雑煮を食べていないからだ。先月25日にケーキを買いに行った主人が、帰ってくるとひどく咳き込んだ。そのケーキ屋は、この辺では知る人ぞ知る安くて美味しいケーキを、変わり者のぶっきらぼうな店主が一人で作って売っている店で、そこのケーキはボリュ...
冬銀河本日の一曲・Lauren Daigle - Winter Wonderland (Deluxe Edition)秒針のすみやかに行く冬銀河眉を濃く描き過ぎてゐる寒さかな寒月が夜の肋骨組み立てるにほんブログ村頼まれて断れなくて山茶花咲く昔にもそのまた昔山眠るさめざめと泣けば流れるシクラメンにほんブログ村語るべきことひとつ無く冬木立寒燈やたまに口紅引いてみるクリスマスいつかどこかにあるリボン「そんなに言う事を聞かないなら、今年のクリスマスは皆プ...
十一月の無限本日の1曲・Dana Winner - Fields Of Gold 十一月のどこにでもある無限そんなつもりはなかったのに・・・人はいつの間にか十一月に深入りしてしまう。それは十一月というものの通低音が「無限」でできているのだから、当然と言えば当然の話である。一年を通して賑やかだった日々の舞台の、様々な大道具、小道具も、いつの間にかどこかへ片付けられていて、カメラの超広角レンズを覗いた時のように、風景は一瞬に...
鱗雲少しづつ始動している鱗雲何かを始めると、ついつい早くその結果を出したくなる。特に自分は、せっかちな方だと思う。サプリメントを呑み始めてまだ3日目だというのに、なにか喜ばしい変化はないものかしらと自己観察するし、花の種を植えて1,2日で芽が出るわけもないのに、ただ真っ黒な土の表面を見ては、そこに何の兆しも無いことが、釈然としないような気持ちになる。チェスや将棋をすれば、「こーするとあーなっちゃって...
九月の声名月や骨の階層深きまで今年の中秋の名月は9月21日だったということだが、 曇っていたので残念ながら出会えなかった。天気の悪い日が多かったせいか今月、月にゆっくりと出会えたのは、私の場合、1回だけだった。その時私はダイニングの椅子に腰かけていて、食事の後何をするでもなく、ただとりとめのないことを考えていたのだけれど、誰かがいるような気がしてふと窓の外を見ると、いましたね、九月の月。ああ、やっぱり...
風鈴本日の1曲・SANDY DENNY - LISTEN,LISTEN風鈴鳴りて流れ出す空と雲今年の夏は、しまい込んだ風鈴が見つからなくなった。ありそうなところは大抵探したのだが、いまだに出てこない。こんなに寂しいことは無い。夏に風鈴が無いということは、梅雨に紫陽花を一度も見なかった、というのとほぼ同じである。これがあるから、厳しい夏もまあいいとするか、と思える一瞬、これがあるから鬱陶しい梅雨もまあいいとするか、と思える一瞬...
夏草本日の1曲・All Thru the Night/Larry Carlton夏草や命の先端恐ろしき以前富士山麓へ行った時、草の丈の大きいことに驚いた。どこでも見かけるような夏草ばかりだったと思うが、その大きなこと、人の背丈なんぞ優に越している。よく「草葉の陰から」などと言うが、街中の脆弱な夏草と違い、こういうものが滾々と噴き出してそこいらじゅうに生い茂っているからには、陰にどのようなものが隠されていたとて何の不思議もない。木...
梅雨深し梅雨深し水の中から水産まれ普通に考えればやはり雨の日が続くと気が重い。しかしそんな折にも、雨の夜、雨の音を聞きながら風呂に入っていると、雨というものがしみじみ好きになってくる。あれは何なのだろう、昔からそうだった。外界のものは皆、雨に濡れている。家々も、木々も、道路も、公園も、皆雨に濡れている。私は風呂場の浴槽の中で、温かい水に濡れている。外界と自分の境界線が一時的に無くなって、雨に濡れて...
五月本日の1曲・Greensleeves Wes Montgomeryできるだけ遠くへ跳べば五月かな私にしてみれば盛りだくさんな行事のある、心の忙しい五月となった。母の一回忌、主人の身内の方の墓参り、乳癌の再発検査とその結果を聞きに行く日、美容院に髪をカットしに行く日、まだこれからの、心臓のアブレーションの入院のための検査の日、コロナ予防接種の日など。つくづく行事の内容が若い頃と違っていることに気が付く。法要に病...
桜本日の1曲・辻井伸行 ラ・カンパネラ遠いもの遠いままなる桜かな花冷えや世界どこから綻びる今年の桜に私が会いに行ったのは、冬に逆戻りしたのかと言うほどの花冷えの真っ只中で、真冬のダウンコートを引っ張り出して着て行って、丁度良かった。この寒さでは花の宴をしているひともちらほらで、家族単位くらいの少人数で、こうあってほしいものである。もともと桜という花ほどに、静かな花はないのだから、どんなに盛大に咲き...
春星本日の1曲・Eva Cassidy - What A Wonderful World春星や無念の数を数えてはそのひとは誰かの母親だった。そのひと誰かの父親だった。そのひと誰かの娘だった。そのひと誰かの息子だった。そのひとだれかの祖母だった。そのひと誰かの祖父だった。そのひと誰かの妻だった。そのひと誰かの夫だった。そのひと誰かの恋人だった。そのひと誰かの友人だった。3.11から11年。津波に呑まれた沢山の人々。遺体さえ見つからな...
春立ちぬ本日の1曲・Diana Krall - Narrow Daylightどこかまだ遠いところで春立ちぬ一匙の砂糖の重さ春は今寒晴れにわたくしの置き所無く水仙の身じろぎもせぬ片想い応援お願いします。にほんブログ村薄氷や背中から逃げていく日々ターンテーブル回り出せば冬野原鎖骨から上は芽吹いているような春寒の空の底私の底そのマンションは崖の斜面に建っていたから、表側の道路からみれば二階部分の部屋でも、裏側の通路に立って下を覗け...
雪本日の1曲・五嶋みどり・Violin Partita No. 3 in E Major, BWV 1006: I. Preludio綿雪や空の閂外れをり静けさが太ってゆきぬ牡丹雪あのことは黙っていよう雪積もる降る雪に別々のこと考えて雪止んで我に返っている街角応援お願いします。にほんブログ村松の内に雪が降ったのは、この辺では少し珍しい。12月にふっと初雪が降るようなことは結構あるのだが、松の内というタイミングではあまり覚えがない。降り始めはふわふわと、...
山茶花本日の1曲・I'll Close My Eyes · Blue Mitchell散ってまた今が生まれる山茶花に今年は山茶花が咲き揃ったのが、例年よりもとても早かった。10月下旬にいきなりコートを引っ張り出さなくてはならなかったほど寒くなったかと思えば、その後再び暖かくなって、役者が出番の順番を間違えたような秋だったから、無理もない。混乱してしまったのだろう。玄関前の山茶花の植え込みは、ある日4、5輪明々と灯るように咲いたと思っ...
黄落本日の1曲・ONLY TRUST YOUR HEART / YOSHIKO KISHINO黄落の一糸纏わぬひかりかなどの道を行けども秋の空ばかり応援お願いします。にほんブログ村足音となって愁思が通り過ぎ白菊を残して誰もいなくなる芒野で一晩中起きている誰か今年の秋は体調が悪かった。9月からずっと過敏性大腸がぶっ続けで、年齢のせいもあり、腸内の善玉菌がすっかり減ってしまったためか、細菌性膣炎と膀胱炎を同時に起こすという凄い体験をした。そ...
鱗雲本日の1曲・Thea Gilmore - Bad Moon Rising少しづつ私に戻る鱗雲鱗雲考えただけでまた終わるコスモスのひらがなのような素顔応援お願いします。にほんブログ村その門を曲がると夜に曼殊沙華赤信号秋夕焼けに溶解すワクチンの副反応は、本当に人それぞれだ。高熱、頭痛、吐き気、筋肉痛、倦怠感、関節痛、下痢、などなど。私の場合は、接種してから五時間くらいは、なんてことはないのだった。今日は二度目の接種の日だ。基礎...
秋晴れ本日の1曲・SONATA (天空のソナタ) European Jazz Trio秋晴れて何処かに神殿ある如く逃げていくものの速さや十三夜鏡には何も映らず虫の声応援お願いします。にほんブログ村林檎ひとつほどの空しさに躓くワクチンの副反応や菊緊まる10円の中の自由を猫じゃらし家から歩いて子供の足で3分ほどの所に、駄菓子屋があった。母にしつこく10円をせがんで、やっとの思いでそれを貰うと、汗ばんだ手の中に硬貨を握りしめて、私は駄菓...
秋の雨本日の1曲・上原 ひろみ (Hiromi Uehara) Wake Up And Dream秋の雨自問自答を繰り返すまだ夢に漬かったままに水母かなレモン切り一日が一時停止する応援お願いします。にほんブログ村涼しくてひとりの時をイヤリング猫じゃらし全部忘れてまた始め花火ひらくまだ幸せを覚えている緊急宣言下のある夏の夜、突然花火のような音がしたので不審に思ってキッチンの小窓を覗くと、果たしてそれはれっきとした花火だった。紫がかっ...
晩夏本日の1曲 / Cry Like a Rainstorm (Remastered Version)晩夏かな我からゆっくり逃げる我交響曲長きが終わり晩夏かな秋の蝉言葉の裏を読んでいる応援お願いします。にほんブログ村向日葵に放置しているいのちかな半身は夕焼けとなり悲しめば香水やその一言が余計でしょ香水を使わなくなったのは、いつからだったろう。若い時は、好きな香水はただ一つ、「ディオリッシモ」だった。「ディオリッシモ」は、他のどんな香水と...
八月の檻本日の1曲・The Police - Every Breath You Takeマスクして八月の見えない檻何と言う八月だろう。感染者の数は過去最多。三千、四千と言ったって、なかなか本当の所を実感できない。しかし緊急宣言が出ていると言っても、用事があって街に出れば全くそんな様子はうかがえない。休日ともなれば、寧ろ以前より街は人が出ているような気がする。足の下で、見えない地雷が一挙に増えているのだけれど、私達に見えているものは...
七月のスケッチ本日の1曲・Esperanza Spalding - On The Sunny Side Of The Street (Live 2016)七月の底抜けていて海となりカンナ咲く自由の女神立ち上がる噴水の主語も述語も無い話応援お願いします。にほんブログ村未来より過去が増えゆく夏帽子溜息は金魚となりて旋回す魂のありかはどこか虹消える母が亡くなった後、初めて母の住んでいたマンションに行った。中に入ると、どの部屋も驚くほどきちんと整頓されていて、キッチン...
紫陽花本日の1曲・五嶋みどり 「カンタービレ ニ長調 op.17」(パガニーニ)紫陽花や母という字の柔らかく青葉縦横無尽検診の結果良し一年経ち、癌の検診の結果が出た。再発は無く、全て良好、とのことだった。この日に至るまで、病院に着くまで、診察室に入るまで、自分の中に、決して安らがない部分があった。診察室に入った途端、まだ椅子に座る前に、主治医が早口で言った。「何ともなかったからね」「え?」一瞬、何の話かわか...
私の好きな俳人・小久保佳世子本日の1曲・Thea Gilmore - Midwinter Toast小久保佳世子は1945年生まれ、「萬緑」を経て現在は「街」同人。句集「アングル」より抜粋。涅槃図へ地下のA6出口より東京ドーム膨らみきつてゐる春愁手遅れのやうなる街や春マスク中心にブランコ化学工場跡毛皮着て東京タワーより寂し薔薇迫る軍用機に耳塞ぐ時万緑の味する美術館の水夏来る突然変異の魚跳ねて黒蟻の集まつてきて鬱の字に顔ほどの窓を余...
藤の花オペラには悲劇多くて藤の花藤の花輪廻転生してここに応援お願いします。にほんブログ村新緑に等高線も揺らぎをり緑夜かな燐家の蛇口閉める音木漏れ日過ぎるいつかの顔誰かの顔薫風にマスクしてワクチンの話今誰かを裏切っている躑躅燃ゆ鯉のぼり風が形になりたがる思い出の遠い青痣姫女苑ノートまた一枚めくる花水木...
蝶本日の1曲・The Beatles - I Will (Cover by Sara Niemietz & W.G Snuffy Walden)名案の如く白蝶現れる初蝶ふいに思い出す名前かな応援お願いします。にほんブログ村春の波行きつ戻りつ思案せず暮れの春巨船まんじりともせずに穏やかな春の日には、波は浜を撫でる様に行ったり来たりしていて、決して何かに本気にならない。波が岸と睦み合うようになってくる。和やかに他愛のない世間話でもしているかのように、どこにも力ん...
葉桜本日の1曲・Danny Boy · Yoshiko Kishinoわからぬことわからぬままに花は葉に葉桜に風が目となり耳となり葉桜の下を通りたくなる時がある。もっといえば、通り抜けるのではなく、その下で、葉桜に抱かれるように、しばらくじっとしていたいのだ。桜の花が開花している間は、こういう感じとは少し違っている。桜の花は、やはり「見に行く」あるいは「会いにいく」ものとして、つまり「相対して」いる、そんなイメージがあるのだ...
桜咲く本日の1曲・Chick Corea & Hiromi 上原ひろみ&チックコリア天地のどこか弛みて桜咲くすみやかに今睡り来る桜来る桜咲き不安は平行四辺形耳の中傷疼いてる桜かな色々な花が咲く時に、もし音がしたら、どんな音だろう?そりゃあ、肉眼で見えないくらいゆっくりと開花するのだから、音はしないのだろうけれども、もし早回しの動画のような速さで咲くのだとしたら、どんな音がするだろう?小さく慎ましい梅の花でさえ、...
桃の花本日の1曲・Simone Kopmajer - Reality 短編のような一日桃の花桃の花ずっとあたためてきた言葉 ずっと言わずに、胸の内に仕舞ってきたきた言葉が、「愛している」なら良いけれど、そうとばかりは限らない。「もう、いい加減にしてください!」かもしれないし、「あなたとは、金輪際もうやっていけません」かもしれない。長く厳しい冬の間中、命の日々の営みの中で、擦れ違っていく沢山の言葉。ちっとも伝わっていかず...
白梅本日の1曲・
紅梅本日の1曲・ドヴォルザーク「4つのロマンティックな小品」作品75 から 第1番・ヴァイオリン: 漆原啓子 /ピアノ: 林絵里紅梅に明るい記憶のみ辿る紅梅や少女の自転車連続す紅梅に流れる時と止まる時満開の紅梅の前に立った時。その感動を何と言って良いものやら。言葉は時々いくつあっても足りない。間に合わない。じれったい。その紅梅は、どんな喜びかではなく、喜びそのもの、のように咲いている。咲いていることと、喜...
日脚伸ぶ本日の1曲・You've Got A Friend / Carole King思い出しかけていた何か日脚伸ぶ午後5時になっていた。はっとして空を見上げると、その色は淡いグレーで、まだ夕暮れの色にはなっていない。その途端、何か大切な、昔のことを思い出したような、そんな気持ちになった。でもそれが何だったのか、それはガラス窓を伝う雨の滴の様に、あっという間に掻き消されてしまった。12月にはまだ、5時と言えば暗くなっていたのだ。5時に...
破魔弓本日の1曲・Road Song · Wes Montgomery破魔弓や天までの距離持ち歩く初空のただ一枚の広さかな参拝の列の涼しく初詣初詣は行きたかった。去年の破魔弓をお焚き上げしてもらい、新しいものが欲しかった。しかしコロナのことがあるから、混む神社はやめようということになった。少し離れてはいるが、大抵は空いている、こじんまりとした神社にお参りすることに決めた。しかし果たして行ってみると、皆考えていることは同じな...
冬天に本日の1曲・Have Yourself A Merry Little Christmas (Fingerstyle arrangement) - Emil Ernebro冬天に小さき我の座標かな冬蔦や神話どこかで繋がりぬマネキンの四肢の硬さや寒晴れぬ応援お願いします。にほんブログ村厚化粧の我に驚くポインセチア冬紅葉やっとあなたを好きになる湯豆腐や言ふべきか言はざるべきか電波時計狂いしままに冬銀河深夜ベランダに出ると、西空の冬の星々が、ちょっと恐ろしいような光り方をしてい...
寒月の高さ本日の1曲・Chet Bake/Everytime We Say Goodbye寒月の高さでひと夜眠り得ず追憶やセーターの毛玉増えている山茶花や人入れ代わり立ち代わり枯木立全ての言葉尽くしても応援お願いします。にほんブログ村毛糸編む黙っていてねと言われても黄落やどこか似ている物語冬の月レコード静かに回り出す私が十代の頃は、まだCDではなく、レコードの時代だった。LPレコードの、漆黒の夜空のような黒々とした艶は、いかにもそこに...
落ち葉だろうか本日の1曲・Fly Me to The Moon - Diana Panton落ち葉だろうか風のてのひらだろうかいい年をしてと思うのだけれども、落ち葉の吹き溜まりを見つけると、踏み込まずにおれない。その柔らかく乾いた空気をどっさり含んだ、ミルフィーユさながらな落ち葉の重なり、それを踏みしだくのは、この上ない贅沢、と思う。生まれた時から街暮らしで、こうした「自然の感触」というものに飢えているからなのだろうか。ぼんやりと...
11月の遠景本日の1曲・Ben E. King - Stand by Me (LIVE Cover by Sara Niemietz)踏み出せば全て遠景へ十一月コスモスや一歩踏み出し引き返し振り出しに戻る二人や林檎剥く長き夜へ鉛筆ころがっていって落ちる夜霧濃し記憶の目鼻探るとき買い物に出ていたのだが、ショッピングモールから外へ出てみると、街はさっきまでと違って、濃いめの霧に包まれていた。人々の喋り声が、ゴム毬のように柔らかく、ゆっくりと響いて転がって来る...
10月雑詠本日の1曲・Wes Montgomery・Eleanor Rigby人の声皆遠くより金木犀渾身の力で眠る柘榴かな曼殊沙華向こう岸で待っている情熱月明の小数点以下なめらかに応援お願いします。にほんブログ村十月の一樹に落陽安らげる「秋」とくれば「寂しい」が世の常套句であるが、それはもう少し肌寒い頃になってからのような気がする。10月はまだ温かい。それでいて、空も地もすっかり篩い分けられたかのように自らに落ち着いていて、浮つ...
秋晴れ本日の1曲・I Gave My Love a Candle 地平線まで続くアリアや秋晴れぬ頭上いつも空の頂点秋晴れぬこの時期になるとふと思い出すのは、嫌いだった運動会のことだ。足が遅かったので、一番嫌だったのは短距離走。あのスタートラインの、眼に食い入って来るような唐突な白さが、嫌がおうにもドキドキしている気持ちを倍増する。そしてあの、ピストルの音がまたそのドキドキに拍車をかける。私は短距離走のスタートライン、...
9月雑詠本日の1曲・Alan Jackson - Remember When 梨食ふや対岸まで一気に泳ぐ秋涼しうっかりうんと言っている全身を委ねてみるか鱗雲謎々を解iいていくよに葡萄食べ息子が小さい頃、ピアノを習わせたことがあった。幼稚園くらいだっただろうか。お隣の家に、音大生の娘さんがいた。ある夜、家族で通りかかると、隣から、ブラームスの(たぶん)ピアノソナタが聞こえてきた。やはりこんな、初秋だったと思う。夜だったこともあり...
新涼本日の1曲・Just The Way You Are - Simone Kopmajer新涼に空の結び目ほどけゆく「新涼」という言葉を知ったのは、俳句を始めて暫くした時だった。真っ白な半紙がふっと眼前に落ちてきたような、それは「大根」に「すずしろ」という別名があるのだと知った時と、同質の喜ばしい驚きを携えていた。「涼しさ」という言葉のシンプルな響きも、実にそれらしいのだが、「新涼」と言われると、これはまた「涼しさ」が、きちんとした...
8月雑詠Wes Montgomery - When a Men Loves a Woman向日葵が空に先手を打っていく振り向けば口開けたまま原爆忌白粉花がほどけていけば少女かなソース瓶残りわずかに熱帯夜応援お願いします。にほんブログ村花も素肌風も素肌白木槿胡瓜食べみずにながしてあげようか深呼吸一つしてから朝顔咲く猛暑到来である。今までは弱冷房で普通に頑張れたが、最上階の3階である我が家は、クーラーを23度設定にしても、大して利かないような暑...
百合本日の1曲/Sting - Fields of Gold (Live) - Sara Niemietz & W.G. Snuffy Walden百合の香の湖となりゆく静けさや (ゆりのかのうみとなりゆくしずけさや)百合の香に今日一日の指輪置く偽れば百合のかをりに包囲され応援お願いします。にほんブログ村万緑の一天押せりどこまでもほぼ二カ月ぶりに、時々通りがかることのある、長い銀杏並木の下を車で通って、驚いた。以前よりも、銀杏の樹々が、あからさまに大きくなって...
睡蓮睡蓮の遠ざかりても刻明に睡蓮を見てよりこころ決まりをり数ある睡蓮の句の中でも、とりわけ好きな句がある。睡蓮の水に二時の日三時の日 後藤比奈夫睡蓮と言う花は、幻想的とよく言われるけれども、何か明晰な透明感もあって、特に白睡蓮は見た者の心のもやもやした芥を一瞬にして払ってくれるような、清涼な雰囲気を持っている。比奈夫の句は、睡蓮の浮かんでいる水に午後二時の日差しがあり、そしてまた午後三時の日差しま...
「ブログリーダー」を活用して、ネコヤナギさんをフォローしませんか?
冬の雨本日の一曲・Chet Baker - Autumn In New York - 1956冬の雨続く弦楽四重奏冬茜いつかはみんな物語いくつになっても、冬茜にばったり出会うと、心を奪われてしまう。めっきり寒くなって来ると、身の回りには淋しいものが多くなってくるけれど、あの深い濃紺から茜色への、ガレのガラスのような緻密なグラデーションは、いつ何時見てもしみじみ感動する。小さい頃好きだった「影絵」を思い出すからなのだろうか、冬茜を見ると...
秋の空深々と我を泳げり秋の空やっと秋らしくなってきた。まだ暑い日も混じるのだけれど。深海のような底なしの青い空が広がっている。思わず深呼吸をして、その青に飛び込んでみる。そこはもう、空なのか、私の中なのか、定かではない。秋になると私の俳句には、「我」という言葉がちょくちょく出てくるようになる。秋になると私は、私について行きたくなってくる。秋になると私は、私に声をかけたくなる。秋になると私は、人付き...
月明本日の一曲・We're all alone [日本語訳付] Boz Scaggs月明の夜を展きて進みをりなんという長い残暑だろう。九月ももう真ん中あたりまで来たというのに、どう考えてもこれは真夏という温度。クーラーを点けなくては眠れない。秋の季語を拾い集めようとしても、どうにも実感が湧かない。私の句は写生句ではないけれども、実物や実感によって、感性が刺激されて、様々な過去の体験と交感した後でなければ俳句を詠もうという気...
八月八月の何処を歩いていたものか一体全体、どのくらい歩いていたものだろう。何処をどう、歩いていたものだろう。何のために自分は歩いていたのだろう。誰のためにここまで来たのだろう。同じような淋しいことを繰り返し、同じような虚しい結果を繰り返し、全力で前から飛んでくる変化球を打ち返してはいたけれど、もう疲れてしまった。それでなくてもこの暑さだ。地球も何処へ行くのだろう。人々も、何処へ向かっているのだろう...
梅雨空梅雨空の天の睡りは長きかなハンカチの忘れてしまった物語噴水高く逃げてゆく日々ばかり踏み出せば青葉風四肢の中まで乳癌の検診が近づくと、俄かに自分の中に色んな人格が増殖する。疑い深い人格。最悪の展開ばかり想像する人格。なるようにしかならないと開き直る人格。きっと大丈夫と、信じる人格。取り越し苦労はもうやめようと、合理的に考える人格。これら様々な相反する考えを持った小人のような人格達が、入れ替わり...
新緑 / ラ・カンパネラ本日の1曲/ラ・カンパネラ(パガニーニによる大練習曲 S.141-3)(リスト)/フジコ・ヘミング新緑の繋いでゆきぬ街の風スクランブル交差点五月の真ん中聖五月素足で踏んで行くひかりにほんブログ村人々の影濃くなりぬ躑躅かな日傘開けば立ち上る小さき過去ラ・カンパネラ千の窓が朝焼ける2024年4月21日、フジコ・ヘミングが92歳の生涯を閉じた。冥福をお祈りしたい。まだ私が独身の頃、母の洋装店を手伝っ...
桜柔らかく時間が止まっている桜桜の周りではいつも、時間が止まっているように見えるのは何故だろう。ぎゅうぎゅう詰めな時間も、重たい時間も、賑やかな時間も、軽やかな時間も、人々の持っている様々な時間が、桜の樹の下で桜を見上げた途端に、柔らかく、しかしぴたりと、停止してしまうのである。桜は風に揺らいでいるし、絶えず陽の光を集めたり、ほどいたりして動いているのだけれど、そこではありとあらゆる時間というもの...
春の海春の海過去よりできるだけ遠く春光や瞳の中の風車ヘアピンを全部はずして春の月ある日やっと夜の家事を終えてベランダへ出ると、ふくよかな紺色の闇に春の三日月が浮いていた。それが正真正銘春の月だということは、きっと誰にでもわかるだろう。浮いていたというのがぴったりな軽さ儚さで、まだまだ気温は持ち上がらないのに、何故月だけがこうも先駆けて春の様子に変わっているのかが、如何にも不思議だと思った。冬の三日...
鬼やらい本日の1曲・Bill Evans - B Minor Waltz (Official Audio)声しばし闇にとどまる鬼やらい長年不思議に思っていることがある。節分の豆撒きのことである。コンビニやスーパーに売っている節分用の豆は、当日の深夜にもなれば、もうどこにも無い。すっからかんに売り尽くしている状態だ。となれば当然、かなりのパーセンテージで、節分の豆撒きが各家庭で正々堂々と行われているのだと考えていいだろう。しかし、私は生まれて...
初夢初夢にごった返すや過去未来実南天昇りつめたる赤なりしかなしみに続いてをりぬ初御空今年の初空は、大きな悲しみに染まってしまった。年末には身を粉にして働いて整えた家で、心づくしのお節料理も用意して、久しぶりに会える子供や孫たちと和んでいたであろう時間。その大切な時間を襲った地震。晴れやかな一日のはずが、一転して大きな恐怖と悲しみのひと日となってしまった。同じ被害といっても、この寒さである。被災地の...
山茶花山茶花の風振りほどく月日かな寒月やしだいに闇に隙間無く冬に入るひとの睡りの集まりて冬になると・・・。人の睡りは一気に重さが増すような気がする。どんよりと肉厚な長い夢。相変わらず荒唐無稽な筋書き。夜中にトイレに起きると、体中が痛くてまるで難破船のようであるし、朝、起床後も家事をして体を慣らしていくのに、えらくまた時間がかかる。冬の眠りは重い。けれども、冬の眠りは生きるものにとって、必要不可欠な...
初紅葉吉報は突然来たり初紅葉車の後部座席の窓からぼんやりと外を見ていたら、いきなり何か晴れ晴れとしたものを通り過ぎた。余りにも一瞬の出来事だったので、あたかも晴れ晴れとした自分の気持ちの方が先に来て、一体何故そうなったのか良くわからなかったような気がしたのだが、すぐに同じことが繰り返されたので、なるほどと思った。それは車道の縁の並木の、紅葉の鮮やかさだった。次から次へと同じ木を繰り返し通り過ぎて、...
秋夕暮本日の1曲・Feels Like Home - Edwina Hayes物音の底まで落ちる秋夕暮がっくんがっくん、と階段を二段跳びか三段跳びするような具合で、いきなりの秋となった。半袖から、七分袖を通り越していきなり長袖になる、そんな妙な季節の進行である。クローゼットを開けると、やはり着るチャンスの無かった服が色々と眼に着き、あら、この服を飛ばしてこっちに行っちゃうの、と何か納得いかない気持ちである。確実にひと月ほどの初...
明月本日の1曲・Definitely Maybe・Jeff Beck明月のひかりの水の如きかな深夜ベランダへ出たら、おやまあ、という凄みのある月だったので、しばしの間我を忘れて見とれていた。その光は遮るもの無く晴れ晴れと、それでも決してかしましいところ無く、あくまでも静かに、透徹とした光で、周囲の闇を洗っている。一瞬で日常の色々な芥のようなものも、洗われるようだ。コロナは相変わらず猛威を振るっていて、ついに息子も感染してし...
踊り本日の1曲・STAND BY ME. (Ultimate Mix, 2020) - John Lennon 回りつつ地球も溶ける踊りかなただ事ではない暑さである。しかしこんな日がやって来るのはわかっていたことだし、恐ろしいのは年々もっとエスカレートしていくであろうということだ。一体何をどうすればいいのか。日が落ちてもムンムンと蒸し暑い中を家へ向かっていると、いきなりの大音響に腰を抜かしそうになる。「月がぁ―出た出た、月が出たぁ」ああ、あ...
炎天本日の1曲・Dana Winner - One Moment In Time live炎天に我と我が影ひとつづつ汗拭いて笑顔も拭いてしまゐたり問ふてみる我の背丈の向日葵ににほんブログ村七夕の交差点にひとは行き交ふ近い記憶遠い記憶も夏帽子持ち歩くハンカチほどの不安かな万緑や洗濯物も盛大ににほんブログ村白粉花に夕風の巾広くなり洗い物終われば窓に涼しき灯爪伸びて髪伸びて凌霄花咲きぬにほんブログ村言葉みな洗い晒しに夏の海やっと体調が良くな...
明け易し本日の1曲・Firefly / Hiromi Uehara閉じた目のその中までも明け易し 夜が明けるのが早くなってきた。最近寝るのは、大抵午前三時半ころであるが、ちょっと眠れずに四時過ぎになってしまうと、もう空の色が青々としてくるので、慌てる。その後次第次第に淡く透明になって来る未明の空の色を見てしまうと、それは白々とした意識そのもののように眼裏に棲みついてしまって、容易には取れなくなってしまう。そしてこわごわと...
新緑本日の1曲・The Beatles - Instrumental新緑の風を着ているひと日かなちょっと昼間外出しなかったら、見慣れた街の街路樹達も、眩いばかりの新緑の噴水と化していて、公園の中の大木などは今が盛りと、燃えるような若草色を惜しみなく氾濫させている。しかし今年の春は風が強い。気温はさほどでもなくても、風が冷たくて強いために、まったりした「春」という感じの日が、あまり無かった。まあ、昨今の異常気象はどうにもなら...
桜本日の1曲・David Fray and Esa-Pekka Salonen - Ravel, Piano Concerto in G Major抜けて来し風の湿りて桜かなひとの背を見ているひとや花冷えぬ夜桜に幾千万の瞳のありぬ桜というものは、なにか巨きなものに、繋がっている。それが何なのか、一口にいう事は難しいのだけれども、巨きな静謐、巨きな溜息、巨きな安らぎ、巨きな悲しみ、巨きな歓び、それは一人の溜息ではない。それは一人の安らぎではない。それは一人の悲しみで...
紅梅紅梅にひかり一喜一憂す新しき水彩絵の具春立ちぬ春が立つとはまさによく言ったもので、晴れた日の陽の光が、日に日に立ち上がってくる感じがある。実際に太陽の通り道の高度が上がるのだから、当然と言えば当然なのだろうけれども、風や気温はまだ冬と大差ない日であっても、光だけが勢いを得て、背丈が増してくる。それからこの後、段々と風が暴れ出すようになってくると、いよいよ春が頭角を現し始める。それはまだ、...
初紅葉吉報は突然来たり初紅葉車の後部座席の窓からぼんやりと外を見ていたら、いきなり何か晴れ晴れとしたものを通り過ぎた。余りにも一瞬の出来事だったので、あたかも晴れ晴れとした自分の気持ちの方が先に来て、一体何故そうなったのか良くわからなかったような気がしたのだが、すぐに同じことが繰り返されたので、なるほどと思った。それは車道の縁の並木の、紅葉の鮮やかさだった。次から次へと同じ木を繰り返し通り過ぎて、...
秋夕暮本日の1曲・Feels Like Home - Edwina Hayes物音の底まで落ちる秋夕暮がっくんがっくん、と階段を二段跳びか三段跳びするような具合で、いきなりの秋となった。半袖から、七分袖を通り越していきなり長袖になる、そんな妙な季節の進行である。クローゼットを開けると、やはり着るチャンスの無かった服が色々と眼に着き、あら、この服を飛ばしてこっちに行っちゃうの、と何か納得いかない気持ちである。確実にひと月ほどの初...
明月本日の1曲・Definitely Maybe・Jeff Beck明月のひかりの水の如きかな深夜ベランダへ出たら、おやまあ、という凄みのある月だったので、しばしの間我を忘れて見とれていた。その光は遮るもの無く晴れ晴れと、それでも決してかしましいところ無く、あくまでも静かに、透徹とした光で、周囲の闇を洗っている。一瞬で日常の色々な芥のようなものも、洗われるようだ。コロナは相変わらず猛威を振るっていて、ついに息子も感染してし...
踊り本日の1曲・STAND BY ME. (Ultimate Mix, 2020) - John Lennon 回りつつ地球も溶ける踊りかなただ事ではない暑さである。しかしこんな日がやって来るのはわかっていたことだし、恐ろしいのは年々もっとエスカレートしていくであろうということだ。一体何をどうすればいいのか。日が落ちてもムンムンと蒸し暑い中を家へ向かっていると、いきなりの大音響に腰を抜かしそうになる。「月がぁ―出た出た、月が出たぁ」ああ、あ...
炎天本日の1曲・Dana Winner - One Moment In Time live炎天に我と我が影ひとつづつ汗拭いて笑顔も拭いてしまゐたり問ふてみる我の背丈の向日葵ににほんブログ村七夕の交差点にひとは行き交ふ近い記憶遠い記憶も夏帽子持ち歩くハンカチほどの不安かな万緑や洗濯物も盛大ににほんブログ村白粉花に夕風の巾広くなり洗い物終われば窓に涼しき灯爪伸びて髪伸びて凌霄花咲きぬにほんブログ村言葉みな洗い晒しに夏の海やっと体調が良くな...