臥龍的陣 番外編 空が高すぎる その5
ほんとうに莫迦だな、と怒りをおさめて、徐庶は思った。自分のことを持ち出した連中のことではなく、人のために本気で怒った、孔明のことを、である。そして、孔明と自分とで、生まれも育ちもまったくちがうが、その性質は、兄弟のように似ているなと思った。かつて、自分も、故郷の町で人のために本気で怒り、そして怒りに流されて人を斬って、人生を狂わせた。おそらく、孔明も、同じ立場に立たされたら、同じようなことをするのではないだろうか。「一張羅をびりびりに、か。そういや、孔明の爪が伸びていたな」「泊めるのだろう。だったらついでに切ってやればいい」「そこまでやるか。自分で切らせる」「そう?たまに君たちが妬ましくなる。孔明が言っていたように、二人で田舎に引っ込んでいるのもいいのじゃないかい。それを許されているかぎりは、だが。けれど...臥龍的陣番外編空が高すぎるその5
2023/05/08 10:02