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  • 父母から聞かされたこと 友だちが一人、いなくなるということ 【沙河36】

    不安に過ごした夜が明けました。 父母の会話で、大体の事情は分かりましたが、はっきりと聞いたのはその日の夜のことでした。 そのとき、どのように感じたのかは覚えていません。 ただ、うまく説明のできない無力感があったように思います。 【沙河】昭和五一年~昭和五二年 (十六)③ 朝食を食べていると、父と母が小声で話していた。 「きっと、川に行ったんだろうって」 「下の子も、一緒らしい」 そんなことをいっていた。 教室での朝の会に、西森先生は少し遅れて来た。 何か心配事があるような顔をしていた。それでも先生は普段通りに授業を始めた。 朝はとても寒かった。通学路の脇の雑草が、霜で白くなっていた。それが、帰…

  • 2017年12月 ミュンヘンのホテルから

    2017年12月ミュンヘンのホテルから 2017年は、一人で海外をうろつくことが多かった。 どれも仕事の出張で出掛けていたが、好んで一人切りで歩き回っていた。 会社の現地拠点の人々と打ち合わせをしたり、特許関連の現地事務所を訪問したりした。 少しの英語と、わずかばかりの度胸と、抑えきれない好奇心で動いていた時期でもあった。 出かけると、ホテルで一人きり、静かに過ごす時間がとても好きだった。 街中で買ってきた現地のビールとパンやスナックを友に、のんびりとしているのだ。 ヨーロッパでは、大概の街で、中華料理のテイクアウトができる。 日曜日でなければ、食事に困ることはほとんどない。 そして、現地語で…

  • 【現代詩】「軽い朝」 思いの隅に溜まっていたもののイメージ 現代詩の試み

    軽い朝 いつもより眠れた 身体がゆったりと よくのびてい 今日はこのまま 眠っているように 過ごそうか 軽く あそこまで行ける そんな気がする ああ、雪が 降っていたのか それで こんなに 軽いのか ***** 記憶とは、頭のどこかに記録されているものではなく、いつもずっと考え続けているものだと思うことがあります。 考える部分が小さいだけで、いつもそれを考えているので、覚えている。 だから、それを大きくすることで、思い出すことができるということで。 忘れてしまうというのは、いつもずっと考え続けているということをしなくなったこと。 それを、もう考えることをやめてしまったということ。 そうすると、…

  • 夜中聞こえていた遠い声 暗い中での捜索 【沙河36】

    近所の大人たちが夜遅くまで、外で何かを探しているようでした。 呼びかけるような声が、寝ている僕にもずっと聞こえていました。 なにが起こっていたのかは知らされていませんでした。 いつもと違う、とても不安な夜でした。 【沙河】昭和五一年~昭和五二年 (十六)② それからは沢井さんと一緒に帰ることはなかった。 小学校に入学してから、一度も同じクラスになったことがないので、学校では遊んだこともなかった。時々は、帰り道で、僕のずっと前を歩いているのを見ることもあった。だけど沢井さんは僕には気づかず、僕も追いついて話しかけることもなかった。 その年は、秋が来ると、急に気温が下がった。時々、霜が降りるくらい…

  • 「渡り鳥 はぐれ鳥」 新田一郎 地声の魅力

    こんにちは、暖淡堂です。 出向までの期間、色々と準備が必要で、落ち着かない日々を過ごしております。 出向後は原則毎日出社なので、時間の制約がきつくなります。 まあ、それでも、それなりに諸々続けていこうと思っています。 金曜日ですね。 渡り鳥のような気分で、とらわれることなく、生きていきたいなあと思っています。 新田一郎さん、スペクトラムの「リーダー」だったかな。 ギターの西さんとツインボーカルで、迫力のある演奏を楽しませてくれていました。 「渡り鳥 はぐれ鳥」は新田一郎さんのソロアルバムから。 LPレコードで持っていました。 名曲が多かったのですが、今回は、動画の見つかったこの曲を紹介します。…

  • 「矜持 鬼役(十一)」 坂岡 真 泣く準備を

    鬼役とも呼ばれる将軍家毒見役矢背蔵人介は、非番の日、町中を散策していて、商家甲州屋の店先で赤子を拾ってしまう。矢背家でその赤子を育て始めるが、ある日、その子の母であるという若い女が訪れる。その女の話から、甲州屋の金を狙った町方与力と同心の陰謀が浮かび上がる。「子捨て成敗」 矢背蔵人介の子鐵太郎が剣術道場に通い始めるが、書院番組頭の息子やその取り巻きの子らに執拗ないじめをうける。その鐵太郎をかばってくれた人は、鐵太郎に自分と同じ才能があることを見抜き、「算術本「塵劫記」を手渡す。しかし、その人は、書院番組頭毒殺未遂の濡れ衣を着せられ、殺されてしまう。鐵太郎は刀を手に取り、仇を討とうと書院番組頭の…

  • 「管子」の言葉より 国会や選挙があると、一定数のアクセスがあります

    こんにちは、暖淡堂です。 ブログを複数運営しています。 アメブロでは2サイト作っていて、思い出したようにポツリポツリと記事を更新しています。 アメブロははてなと同じように、ユーザーが特に何をしなくてもSEO的に強いと感じられます。 放置状態でも、一定数のアクセスがあります。 で、そんなアメブロに3年ほど前にアップした記事が以下になります。 この記事ですが、コンスタントに一定数のアクセスがあります。 それも、なんとなく国会期間中であったり、国政選挙の時期だったりすると、アクセス数が増えます。 関心を持ってもらえるのでしょうね。 ameblo.jp 一部引用します。 指導者が指導者としての振る舞い…

  • 【現代詩】「灯」 微睡のなかで思い出すもの 現代詩の試み

    灯 雪、の夢をみた 少年は膝を抱えて 窓際にうずくまっていた そこが一番暗いことを知っていたから少年の祖母は ストーブの上で 干し芋を焙っていた 猫は丸くなって寝ていた外は吹雪いている 父も母もまだ帰らない * 目覚めると、まだ雨が降っていた * ああ、あの家に、灯がともる頃だ ***** 自分の暮らしは、長く長く続く旅のようなものだと思うことがあります。 旅立ったところに、もう戻ることのない。 自分が生まれ落ちたところから、南に進んだ距離、北に進んだ距離、東に進んだ距離、西に進んだ距離、それぞれ、かなりの値になると思いますが、それらを全部ベクトルで足し合わせると、結局は、生まれ落ちた場所から…

  • 「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに」 後京極摂政前太政大臣 妻を亡くした寂しさを和歌に昇華させた

    百人一首第91番目の歌の作者は後京極摂政前太政大臣ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじんです。 関白九条兼実の子で、藤原忠通の孫にあたります。 今回は後京極摂政前太政大臣について紹介します。 後京極摂政前太政大臣とは 後京極摂政前太政大臣とは藤原良経のこと。 生年が1169年、没年が1206年。 祖父の藤原忠通は百人一首第76番目の歌の作者ですね。 保元の乱の中心人物でした。 dantandho.hatenadiary.com 藤原良経は政界で活躍しながらも、和歌や漢詩などの文学に通じていました。 自らも優れた和歌を残しています。 そして、当時の文学界の有力なパトロンで、百人一首の選者…

  • 幻魔大戦よりも前の平井和正作品から読んでいました 「死霊狩り(ソンビー・ハンター)」はお勧めです

    「死霊狩り(ゾンビー・ハンター)」巻末の作品一覧 こんにちは、暖淡堂です。 中学生の頃から高校生くらいまでの間、平井和正さんの作品を好んで読んでいました。 ハヤカワの「狼男(ウルフガイ)」シリーズにはハマっていました。 平井さんの作品で、角川でも刊行されていたものは、その多くを読んでいました。 当時購入していた本は、実家の引越しの時に処分されてしまって、今手元にはどれもありません。 絶版になっているものが多く、ほとんど再入手が不可能な状態です。 数年前にたまたま古書で見つけた「死霊狩り(ゾンビー・ハンター)」全3巻は、宝物として長く残しておきたいと思っています。 で、この本を眺めていて、とても…

  • 外浦の海岸でのんびりと過ごしました 伊豆下田への家族旅行2日目

    こんにちは、暖淡堂です。 伊豆下田への家族旅行2日目の午前中。 泊まっていたホテルから見えていた海岸に降りてみました。 人はほとんどいなく、家族連れが我が家の他に1組だけ。 それも砂浜で少しだけキャッチボールをした後に引き上げていきました。 それからは、砂浜にいるのは我が家の3人だけ。 とても贅沢に、のんびりと過ごせました。 僕と娘は、ゆっくりと写真を撮りながら歩き、堤防の先端までいきました。 湾の外側にも綺麗な海が広がっていました。 内側はずっと白い砂浜。 夏に来たら、気持ちがいいだろうなと思います。 もう何年も海には入っていません。 そういえば、直近で海に入ったのは、小樽の海。 娘は小学生…

  • 2010年8月下旬 移動が多くてこの頃もまた疲れていた【微笑みの国の記憶:タイ駐在備忘録】

    シラチャのサッカー場 2010年8月下旬。 北海道帰省から僕だけ先にシラチャに戻っていた。 数日遅れて妻と娘が戻ってきた。 娘は、残りわずかの夏休みで、読書感想文を書き始めていた。 それに妻はつききりでサポートをしていた。 読書感想文の課題図書は、帰国した時に購入。 それを読むところから始めていた。 この頃、家族で暮らしていたサービスアパート(ホテル)のフロントで、日本で放送されているTV番組や映画のDVDが借りられることがわかって、それを時々部屋で観るようになっていた。 日本のTV放送は数局観ることができたが、画像が悪かったので、このDVDはよく借りることになった。 今思えば、著作権の処理な…

  • 小学生の頃に起こった、とても寂しく、悲しい出来事のこと 【沙河35】

    小学生の頃の、一番悲しい出来事です。 今でも時々思い出したりします。 のんびりとした田舎でしたが、事件といってもいいようなことも起こりました。 【沙河】昭和五一年~昭和五二年 (十六)① 通学に使っていた道路は、車がほとんど走っていなかった。私は、縦笛を吹いたり、本を読んだりしながら歩いて帰った。 ある日の放課後、川田君や西森君と学校の玄関で別れた後、家への道を一人で歩いていた。稲穂が実り、風に揺れて乾いた音を立てていた。風は頬に冷たく感じられた。 灌漑溝に架けられた鉄筋コンクリート製の橋の手前で、沢井さんと会った。学年が同じで、家も近かったが、普段はあまり話さない。 僕は本を読みながら歩いて…

  • 「血路 鬼役(十)」 坂岡 真 家慶日光社参

    家慶がついに将軍となり、家斉は退位して大御所となった。 ある日、将軍毒見役(鬼役)の矢背蔵人介の家を使者が訪れる。 矢背家の居候、望月宗次郎を将軍家の影として召し抱えたいというのだ。 確かに、家慶の子である宗次郎は、影として適任であった。 家慶は将軍になると、父家斉が成し得なかった「日光社参」を行う。 莫大な費用と人員の動員を伴う社参は大事業であり、これを行うことで家慶は父家斉に将軍としての威光を示し、政治から手を引いてもらいたいのだ。 しかし、家斉はそれを激しく憎み、命をも奪おうとする。 家慶の日光社参を、刺客の一群が追う。 鬼役矢背蔵人介と影望月宗次郎は、家慶を守り切ることができるか。 *…

  • 日の出をのんびりと見ていました 伊豆下田への家族旅行2日目

    こんにちは、暖淡堂です。 伊豆下田の宿に着いて、食事前に僕は温泉とビールを先に済ませました。 で、食事して、妻と娘はそれから温泉。 僕はビール2回戦。 で、テレビを観た後、早めに寝ました。 運転で疲れていたので。 寝る前に、妻が「朝日が見たい」と言っていたので、目覚ましをセットしました。 で、起きて、妻に声をかけて、窓から外を眺めていました。 そこに、ゆっくりと朝日が上ってきました。 空が明るくなってから、太陽が見え始めるまではずいぶんと待ったのですが、上り始めると早いですね。 数分で太陽の全体が見えました。 空が晴れて、良い天気の1日になりそうでした。 この後、もう一度温泉に入ってから朝食。…

  • 里山の桜 多摩丘陵地区の散策

    こんにちは、暖淡堂です。 曇りの予報だった日曜日、空が明るくなってきたので、妻と二人で散策に出かけました。 途中、桜をいろんなところで目にしました。 大体は、満開の一歩手前の感じでしたね。 やっと暖かくなって、のんびりとお散歩をするのにちょうどよい季節になりました。 土地にはアップダウンがあって、それなりに運動になります。 小汗をかくくらいですね。 年齢的には、ちょうどいい運動になりました。 2024年4月7日の桜1 2024年4月7日の桜2 *☺☺☺☺☺* 地図で読み解く小田急沿線 (地図で読み解く沿線シリーズ) 三才ブックス Amazon 地図で読み解く京王沿線 (地図で読み解く沿線シリー…

  • 学生帽 最近見かけませんねえ 昭和のスタイルということでしょうか

    こんにちは、暖淡堂です。 昭和の頃のことを考えていて、ふと思ったのが、「学生帽」のこと。 そういえば、最近見かけません。 僕が小学生の頃は、入学した時から学生帽をかぶっていました。 黄色い帽子はありませんでしたね。 北海道だったからでしょうか。 小学生の頃、外出する時には、学生帽をかぶることになっていたような気がします。 社会科見学や修学旅行の時も、基本はかぶることになっていたかと。 それは、中学校でも同じでした。 それで、修学旅行の時の写真は、だいたい学生帽をかぶって写っています。 ジーパン(今風にいうとデニムのパンツ)にジージャンを着ていて、その頭には学生帽を乗せいているという姿の写真があ…

  • Kindleで出版している本の増補版とペーパーバック版を作成していました 先週やっていたこと

    こんにちは、暖淡堂です。 先週は「暖淡堂書房」で出版しているKindle本関連の作業をしていました。 易経(周易)を江戸時代の儒学者新井白蛾が解説した「易学小筌」の現代語訳を出版していて、多くの方に読んでいただけています。 今回、その増補版をまず作成しました。 で、増補版と一緒に、ずっと作ろうと思っていたペーパーバック版も作成しました。 増補版は、原稿と表紙のデータの差し替えでよいのですが、ペーパーバック版はちょっと追加で作業が必要になります。 まずペーパーバック版の判型を決めます。 その次に、判型のサイズに合わせて原稿データを修正します。 縦と横の長さ、マージン(余白)などを設定して、PDF…

  • 【現代詩】「雨の街」 身近にある野生のイメージ 現代詩の試み

    雨の街 人通りなくカラスが路上を食卓にして跳ね回っているこの血を雨は流せるのだろうか ***** カラスは雑食であることを思い起こさせてくれます。 そして、知性が高い。 雪の処方箋 (暖淡堂書房) 作者:暖淡堂 Amazon 腐朽船群 (暖淡堂書房) 作者:暖淡堂 暖淡堂書房 Amazon dantandho にほんブログ村 ランキング参加中詩 ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ

  • 学校の天井裏での冒険 午後の教室 【沙河34】

    通っていた小学校の校舎は、古かったせいか、工事が途中で放置されたままになっているようなところがありました。 天井がポッカリと開いたままになっているところもあったりして。 小学生の男子がそんなところを見つけたら、放っておくはずがありません。 僕は、友人に誘われるようにして、そんなところから、学校の裏側に入ってみたりしていました。 【沙河】昭和五一年~昭和五二年 (十五)④ ある日、私たちの教室の掃除用具入れの天井の板がずれていることに気がついた。 身体の小さかった川田君が、板の隙間から天井裏に上がってしまった。そして私を呼んだ。私も身体は小さいので、そこを上がるのは難しくなかった。川田君と同じよ…

  • 百人一首の時代 第81歌から第90歌まで まとめ

    百人一首の第81歌から第90歌までをまとめます。 保元の乱、平治の乱、それに続く源平の合戦期。 その時代の歌人たちの作品が中心になります。 選者の藤原定家と、実際に交流のあった歌人の作品もいくつかありますね。 この後は第91歌から第100歌まで。 源平の合戦後までの歌人の作品になります。 dantandho.hatenadiary.com dantandho.hatenadiary.com dantandho.hatenadiary.com dantandho.hatenadiary.com dantandho.hatenadiary.com dantandho.hatenadiary.com…

  • 【現代詩】「たどりつけない」 身体に現れる「戸惑い」のイメージ 現代詩の試み

    たどりつけない 足が、重くなって、もう歩けない日は傾き、人々は家路を急ぐが僕は、もうどこへもいけない北で生まれて、西に帰る僕はその涯に、何かがあるのを確かに知っているだけど、もう歩けないのだうずくまると周囲のものがごうごうと音を立てて僕を置き去りにする気がつくと、僕は後ろ向きに速度を上げながらどこかへ向かっているのだがああ、もうそこにはたどりつけない… ***** 北で生まれて、西の土地で暮らしていた頃。 そのさらに西にあるものを、想像したりしていました。 仏教や、その他の宗教について、集中して読んでいたのもこの頃ですね。 この頃、「禅」の書物に出会い、今でも読み続けています。 雪の処方箋 (…

  • 運動部は全員丸刈りの時代 昭和の思い出

    丸刈り こんにちは、暖淡堂です。 昭和の頃のことを時々思い出しています。 今ちょうど高校野球の春の選抜大会が行われています。 最近の選手の髪型を見ると、昭和(僕たちの学生時代の頃)とはずいぶん変わった気がします。 丸刈りでない選手の数が、増えていますね。 ちょっとおしゃれな髪型をしている選手もいるくらいで。 僕たちの頃(繰り返しますが、昭和のことです)は、全員丸刈り。 髪が伸びてくると、すぐに短くしていました。 野球部だけやっていればよかったのでしょうが、学校によっては運動部は皆丸刈りというところもあったようで。 僕の通っていた中学校(豊沼中学校)は、野球部は基本丸刈りでした。 「丸刈り以外で…

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