バッハの「エール」に乗せて母を送る
11月16日10時34分、母が静かに逝った。88歳。もうひとつ歳を重ねる1週間前の旅立ちだった。 24年前に父が急逝してからは、愛媛の実家でひとり暮らしていた母だが、八十路を迎える頃から少し認知症状が出始めた。それでも近くに住む僕の妹夫婦の力も借りながら、何とか一人で生活できていたのだが、そろそろ限界かも、と聞かされていた矢先にコロナ禍に突入。日本中が混乱する中で、様子を見に帰郷することもできなくなった。 田舎でのコロナへの警戒感は大阪よりはるかに強く、帰省して母に会おうものなら、そこから2週間、母は誰にも会えない状態となり、デイ・サービスにも病院にも行けなくなる。歯がゆい状況の中、実家近くの…
2025/06/28 09:44