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2015/04/05

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  • 「Perfect Days」ささやかな幸せを拾い集めること

    先週の日曜日、映画「PERFECT DAYS」を見に行った。コロナ後はじめての映画館だった。カンヌ映画祭で主演の役所広司がBest Actorを獲得したことで話題の映画だが、上映館はそれほど多くない。梅田に行けば大阪駅のステーションシネマでやってはいるようだが、少しバタバタしている時だったので車で行けるところを探した。幸い車で40分ほどのモール内にある映画館で上映しているようでホッとしたのだが、調べてみると17時50分からの一枠のみ。えっ?一枠?・・・しかもまた中途半端な時間に・・・となったが、それでも強烈に見たかったので、席を予約した。約200席に観客は20人もいない。前から3列目、かぶりつ…

  • 箸休め的「Like Someone In Love」に心安らぐ

    最近、新ショウガの甘酢漬けにはまっている。言ってしまえば、寿司屋のガリに近いのだが、多少甘みを抑え少し厚めにスライスしているので、サクサク食べられてどんなお酒にでも合う。本来は箸休めの一品なのだろうが、常に大量摂取の誘惑と戦っている。 そういえば学生時代、友人と入った寿司も出す居酒屋で、大量のガリ(タダです)をお皿に乗せ、焼酎のアテにしている僕の姿に友人はあきれ顔で「・・・ガリ小僧なんやね。」と一言。その記憶は何故かしっかりと定着し、その後、寿司屋で多めのガリをいただくときの免罪符として、「ガリ小僧」を自任するようになっていた。とはいえ、寿司の箸休めとしてのガリの「多め」は、常識の範囲内での「…

  • コロナ禍に沁みる「ファクトフルネス」と独りの音楽

    5月の後半。例年であれば、花粉に悩まされる季節がようやく終わって、さわやかな天候を満喫している一時期だが、今年は随分違う印象だった。快適さは早々に退散し、ここ近畿地方では観測史上最も早い梅雨入りを迎えたのだ。 観測史上といっても1951年からという事なので、たかだか70年だが、これもまた「百年に一度」の異常気象ということなのだろうか。まあ最近は、色々なところで「百年に一度」や「千年に一度」がなんだかしょっちゅうやって来るし、「異常」がいつのまにか「日常」になったりもするので、あまり驚かない。 そうは言っても、「百年に一度」の全世界を巻き込んだパンデミックに翻弄される日常だけは、そろそろ勘弁して…

  • 「So In Love」にまつわる記憶の連鎖の行先は

    前回紹介したカエターノ・ヴェローゾのアルバム『異国の香り ~アメリカン・ソングス』を聞いていて、思い出したことがある。何年か前、土曜の朝の対談番組に、作詞家の松本隆が出演していた時のことだ。 あのぼんやりやさしい語り口で、ヒットを連発しはじめた頃の作詞に関するエピソードを色々披露していたのだが、番組の最後に「今、心に響く曲」として松本隆が選んだ音楽が、コール・ポーターの「ソー・イン・ラブ」だったことを、僕は意外に感じたのだった。今なお新しい挑戦を続けているこの稀代の作詞家の「今」と、1948年に作られ既にスタンダードにもなっている古いアメリカンソング「So In Love」が、一瞬マッチしなか…

  • 「Feelings」が導くかっこいい二人についての話

    ブラジルポピュラー音楽界(MPB)のレジェンド、カエターノ・ヴェローゾが2004年にリリースしたアルバム『A Foreign Sound』は、その日本盤タイトルである『異国の香り~アメリカン・ソングス』が示す通り、全曲英語で歌われる古今のアメリカン・ポップ・ソングのカバー集だ。ジャズのスタンダードからボブ・ディランやスティーヴィー・ワンダー、果てはニルヴァーナまで、全23曲がカエターノ流のMPB的文脈でバリエーション豊かに詰め込まれている。タイトルである「Foreign Sound=異国の香り」は、アメリカ音楽の側から見たスタンス(異国=ブラジル風)を表したものなのだろう。カエターノ関連のアル…

  • 10年目の扉はトニー・コジネクがこじ開けた

    ジャケットの絵が不思議に印象的なカナダのシンガー・ソング・ライター、トニー・コジネクの『バッド・ガール・ソングス』は、ずいぶん前から目を付けていたアルバムだったが、最近になって思い立って入手し、事あるごとに聞いてきた。1970年、トニー・コジネクが22歳の時のアルバムなのだが、その音楽は時代の垣根を軽々と越えて、今そこにいるように生々しく新鮮に響く。 あるいは、ちょっと懐かしい感じを予測していたのかもしれない。でも、そういう風にはならなかった。50年も前の音楽なのに、そのシンプルで繊細な感触ごと切り取られ、僕の日常の中に違和感なくはめ込まれた。 色褪せないものが厳然とある。それが時を経ないとわ…

  • イエスタデイ

    前回、ボサノヴァ誕生のきっかけとなる曲と、それが収められているジョアン・ジルベルトのファーストアルバムを紹介したが、ジョアンが本当に世界に出たのはそこから5年後、1964年にサックス奏者のスタン・ゲッツと共同名義でリリースしたアルバム 『ゲッツ/ジルベルト』 からである。このアルバムは、このジャンルとしては今ではちょっと考えられないが、翌年のグラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞し、その中の曲「イパネマの娘」が最優秀レコード賞を受賞したのだ。 (ご参考:2011年6月12日のブログ) 実はこの年のグラミー賞の最優秀新人賞はビートルズだった。さらに受賞こそ逃したが、最優秀レコード賞にはビートルズの「…

  • ジョアン・ジルベルトを探して

    もう一か月ほど前のことになる。9月の最後の日曜日、封切られたばかりの映画「ジョアン・ジルベルトを探して」を観に行った。春先に雑誌で知って以来、ぜひ封切を観たいと思っていたこの映画のタイトルは、ボサノヴァの父とも呼ばれるジョアン・ジルベルトの存在が、生きながらにして既に伝説と化していることを物語っていた。 いくら伝説的とは言っても、ジョアン・ジルベルトがその映画の撮影時点でリオの街に暮らしていたことは間違いない。2008年のボサノヴァ誕生50周年記念ライブを最後に、公の場に姿を現していないとは言え、健康上の問題で人前に出られないというわけでもなさそうな彼を、ただ「探す」ことで成立するドキュメンタ…

  • レディオヘッドの解釈

    気持ちのいいアルバムである。高く澄んだ空をすくっと見上げて、クリアな空気を胸いっぱい吸い込みたくなる。英国の女優、エリザ・ラムレイ(Eliza Lumley)のアルバム 『She Talks in Maths』 の第一印象はそんな感じだった。 She Talks In Maths (2007) / Eliza Lumley エリザ・ラムレイと言われても、知っている人は少ないだろう。このアルバムは、彼女が今までにリリースした唯一のアルバムであり、しかも日本盤は発売されていない。それでも、音楽誌の片隅で見たこのアルバムを入手しようと思った理由は、そのサブタイトル「Interpretations o…

  • 平成の終わりを迎えて

    今日で平成が終わる。僕はもちろん昭和生まれの昭和世代だと思っているが、よくよく考えると、生きてきた時間は今や平成の方が長くなっている。昭和が終わった日、僕は28歳だった。結婚3年目で子供はいなかった。就職して5年目。まだまだ何もわかっていない、青い時代だった。 いわゆるバブル全盛の時期。世の中には華やかな雰囲気が蔓延していたが、僕たちの世代にとっては、結婚して一家を構えても、サラリーマンでいる限り、地価高騰のあおりで一生住む家すら持つことができないと思える、ある意味理不尽な世の中の流れに翻弄された時代だった。事実、都会で就職していたたくさんの同級生が、その後田舎にUターンした。どこか諦めを漂わ…

  • The Moon is a Harsh Mistress

    前回、アメリカのSF作家、ロバート A. ハインラインの小説 「夏への扉」 を読んで、山下達郎の懐かしい同名の曲がその内容を歌っていたことに気づき、少しばかり驚いたことを書いた。実はこの話には続きがある。 「夏への扉」 で俄然勢いづき、この流れで引き続き読んでみようとアマゾンサイトを物色中、ちょっとそそられるタイトルの本が目に留まった。「月は無慈悲な夜の女王」・・・うーん、意味わからんけど、何とも不思議なタイトル。おまけに、「ヒューゴー賞受賞のハインライン最高傑作」とある。おおっ、文庫本なのに1200円以上するなんて、きっと分厚い本に違いない・・・ふふっ、相手にとって不足はない・・・かも。 月…

  • 夏への扉

    「夏への扉」という小説のタイトルは、これまで何度か目にしたことがあった。それは、読書をテーマにした雑誌の特集記事でのことだったと思うが、日本の小説ではなく外国文学であるということを知ったくらいで、特に触手が動いたわけでも、内容を確認したわけでもなかった。 タイトルからは、夏の海が舞台の青春小説のようなものを漠然と思い描いていた。そういえば、夏がばっちり似合う山下達郎の古いアルバムの中にも「夏への扉」という曲があったなあ・・・あれ?「夏の扉」だったっけ。あ、それは松田聖子か・・・なんてことも思った。 そういう記憶がまだ残っていた今年の春、NHKの番組 『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、またま…

  • The Moon, The Stars And You

    何気なく聴いた音楽が、思いがけず心に沁みることがある。 とあるコンピレーションアルバムの中の一曲。音楽を流しながら拡げた雑誌に目を落としつつも、文字を追っていたわけではなく、考え事をしていた。そんな中でこの曲に意識が行ったのは、バッハの無伴奏を思わせるような、開放弦の響きが印象的なチェロの前奏に、ふと耳が留まったからだろうか。 ゆったりとテンポをとるピアノとドラムス、ベースが続き、やがて少しかすれた男性ボーカルが重なる。決して流暢ではないけれど味のあるその声は、思い切りやさしい。心惹かれるシンプルで穏やかなメロディーは、初めて聞いたはずなのにどこか懐かしくさえある。どうしようもない堂々巡りの思…

  • パントンケント揃い踏み

    「最近カナダのダイアナに心酔している」と書くと、ダイアナ・クラールのこと?なんて思われるかもしれないが、少し・・・いや、ずいぶん違う。ちょっとこわいダイアナ・クラールの声とは正反対のイノセント・ヴォイス。いわゆる、かわいい系の声だが、その声の置き方や音程の取り方にも、天性と思えるキュートな味わいがあるジャズシンガー。正解はダイアナ・パントンだ。 2年ほど前、たまたま手にした彼女のセカンドアルバム『ムーンライト・セレナーデ ~月と星の歌』で、その声と雰囲気にたちまち捉えられてしまった。ベースやピアノのマルチプレイヤーであり彼女の師匠でもある巨匠ドン・トンプソン、ベテランギタリストのレグ・シュワガ…

  • The Rose

    先日、NHKの音楽番組『SONGS』が「平井堅オールタイムリクエストベスト」ということだったので、久々に録画して見た。平井堅といえば、最近は様々なタイアップ曲をちょこっと耳にするくらいだけど、少し前にはアルバムも購入して結構聴いていたんだっけ、なんて思いながら。でも、その「少し前」が実は十数年前だったことにハタと気づき、愕然として思考停止。我に返って気を取り直し、数枚あった当時のアルバムを引っ張り出してみたんだけど・・・ 確かにリクエスト上位の、当時のベタなヒット曲の入ったオリジナルアルバムもいいのだが、その中で最もよく聴いた大好きな一枚は、2003年に発売されたカバーアルバム『Ken’s B…

  • ゆく夏を惜しめない

    ゆく夏を惜しむ。そんな表現が妙に懐かしい。今や、ゆく夏を喜んで見送ることはあっても、惜しむことなど、ほとんどなくなってしまった。夏によく行った海にも、今は全く行かなくなった。この夏帰った四国でも、一度も海に近寄らなかった。唯一海の表情を垣間見たのは、大阪に戻る途中、瀬戸大橋にあるサービスエリアからだった。そんな海を見ても、心躍ることは無い。大好きだった夏のさわやかさや鮮やかさの記憶は、最近の不快なほどの夏の表情に、かき消されてしまったのだろうか。 若い頃は、お盆も過ぎて9月の足音が聞こえはじめると、それまで遠くに見えていた「ゆく夏」の背中が、急に近くに迫ったような気がして、少し寂しく感じたもの…

  • ブルーに生まれついて

    「チェット・ベイカーの音楽には、紛れもない青春の匂いがする。ジャズ・シーンに名を残したミュージシャンは数多いけれど、「青春」というものの息吹をこれほどまで鮮やかに感じさせる人が、ほかにいるだろうか? ベイカーの作り出す音楽には、この人の音色とフレーズでなくては伝えることのできない胸の疼きがあり、心象風景があった。」 和田誠がジャズ・ミュージシャンの肖像を描き、村上春樹が愛情に満ちたエッセイと共に、自ら所蔵している愛聴盤LPを紹介したジャズ・ブック「ポートレイト・イン・ジャズ」は、冒頭の書き出しで始まる。単行本だと2巻構成、それぞれ26人ずつのジャズ・ミュージシャンをとりあげているのだが、文庫に…

  • 人生は夢だらけ

    前回に引き続き、またもやCMから。こういう話題が続くと、ひょっとしてテレビばかり見ているの? なんて思われそうだが、日頃は毎週録画している何本かの番組をスキップしながら見る程度で、リアルタイムで見ることはあまりない。さらにはNHKのものが多いのでCMに遭遇する機会も少ないはずだが、そういう中でも時々気になるCMが現れたりするのだからおもしろい。 そのCMの場合、まずは音楽だった。ほんのわずかな時間流れるミュージカル仕立ての音楽は劇的だ。僕は、一瞬にして人を惹きつける魔法のような音楽に心を奪われていた。画面を見ると、あの「とと姉ちゃん」が宙吊りで歌っている。ピーターパンはとっくに卒業したはずなの…

  • Autumn

    そのCMは美しい。純日本的な背景の中、姿勢にも所作にも日本を体現する金髪の女性。たどたどしい日本語は彼女が外国人であることを明らかにする。だからこそ、より一層引き立つ日本の美がそこにはある。 思わず見惚れてしまう映像には、おかしがたい気品が漂う。その印象は静寂そのものだが、音が鳴っていないわけではない。いや、むしろそこに流れる音楽は、映像をしっかり縁どり、その風情を演出している。 Link: [JTのCM] 日本のひととき 茶道篇、和食篇、折り鶴篇 Link: [JTのCM] 日本のひととき 水引篇、和歌篇、生け花篇 「日本のひととき」と題される一連のJTのCMはこれまでに5篇出ている。あまり…

  • 月とキャベツ

    学生時代に弾いて以来、古びた黒いハードケースの中に入れっぱなしになっていたアコースティックギターを、ちょいと弾いてみようという気になったのは、社会人になって十数年たった頃だった。結婚してからも手許に置いてはいたものの、ベッドの下の見えないところでほこりをかぶったままになっていたのだ。 きっかけは、当時SMAPが歌って流行り始めていた「セロリ」を見知らぬ青年が歌うライブ映像だった。その映像を何気なく眺めていて、思わず身を乗り出した。それは、山崎まさよしの演奏に初めて触れた瞬間だった。僕はその新しい才能を感じる新人ミュージシャンの映像を見て、とても高揚した気分になり、同時になんだか無性にギターを弾…

  • 長い休日

    久しく書いていなかった。いや、書けなくなっていたというのが正確だろうか。気がつけばそこから一年近くたっていた。 先日思い立って、これまで書いてきた内容を、最初からぱらぱらと追ってみた。だんだん先細りしてはいるものの、毎月必ずアップしてきた文章は膨大だった。紹介した愛聴盤も300枚近くはあるだろうし、楽曲はさらに多いはずだ。区切りの年齢を目前に、様々な思いの中で書き始めた文章には、その時々の感情がベールに包まれ、そっと置かれていた。そこで紹介した音楽も含め、その文面を振り返ることで、表現の外にある当時の思いが手繰り寄せられ、この5年間の自らの意識の変遷を思いがけず認識した。 何故書けなくなったの…

  • 今更ながら米原万里

    今更ながら米原万里にはまっている。立て続けに4冊読んで、ついに手持ちが無くなった。禁断症状が出る前に早急に補給しなくては...ハアハア... 訃報に接してもう9年。そんなに経った印象は無いのだが、今や日めくりのスピードが確実に加速しているので致し方ない。調べてみると2006年5月。確か日曜朝のTBSのニュース番組でそのことを知った。その少し前まで時折コメンテーターとして出演していただけに、あまりに早い死にショックを受けた。同時に、「あー、結局この人の本、読まなかったなー」という、後悔にも似た思いが胸に残ったのだった。 ロシア語の同時通訳にして文筆家でもあった米原万里は、僕よりひと回りほど年上だ…

  • 雨の匂い

    去る6月の夕刻。ずっと閉じこもっていた建物から一歩外に踏み出ると、一面低く垂れ込めた雲が視界を覆った。初夏の雰囲気さえ漂わせていた午前中の陽射しは完全に遮断され、梅雨であることを思い出させる舞台装置に、いくぶん気分も重くなる。 雲の流れは速い。雨は降っていないが、外気に触れた腕に湿気を感じる。そのとき、ふと鼻腔をくすぐる懐かしい匂いに気づいた。雨の匂いだ。 昼間の熱気に温められた足元のアスファルトには、まだ雨の痕跡はなかったが、それは時間の問題だった。「雨の匂い」を感じれば、じきに、ポツリ...ポツ、ポツ、と降り始めるはずだ。駐車場を足早に横切り、キーロックを解除して車に乗り込む。エンジンは掛…

  • You Belong to Me

    ゴールデン・ウィークも過ぎて、何か楽しい話でもできればいいんだけど、何だかそういう気分でもないので、今日は前回の続きということで。 前回、聴きたい一心で引っ張り出してきたカセットテープの話をした。両面にドゥービー・ブラザーズの2枚のアルバムを録音したもので、そのB面に入っていたアルバム 『Minute By Minute』 をCDで買い直したという話だった。このアルバムは1978年のリリースだが、A面に入っていたのは、その前年のアルバム 『Livin’ on the Fault Line(邦題:運命の掟)』 だった。実は前回、インデックスカードを眺めながら、A面のこのアルバムも少し地味だったけ…

  • 懐かしくも新しい

    もう一年以上前のこと。突然テレビから流れてきたドゥービー・ブラザーズの「What A Fool Believes」を耳にして、不思議な感覚に陥った。目を向けると、キムタクが出てくる車のコマーシャルだったが、あの特徴的で軽快なイントロが30年以上の時を経てとても懐かしいのに、何故か思いっきり新しく感じたのだ。 Link: TOYOTA トヨタウンCM5「ラブ&ジーンズ 市長登場」篇 イントロに続き、わずかに歌が流れただけでCMは終わったが、当然の如く、続きが聴きたい、さらにはこの曲の入ったアルバム 『Minute By Minute』 が久々に聴きたい、となる。とは言っても確かドゥービー・ブラザ…

  • ドレス一枚と愛ひとつ

    春を感じさせてくれるもの。その一つに、明るく響く弦楽合奏の音がある。誰もがそういう気分になるのかどうかはわからない。ただ僕自身のその感覚には、思い当たる記憶がある。 学生時代、3回生の3月末にチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」を、4回生の3月末にはドボルザークの「弦楽セレナーデ」を演奏した記憶だ。どちらもその演奏会のためだけに、近くのK大のOBを中心に結成された小さなオーケストラでの演奏だったが、特に4回生の時は確か卒業式の翌日が本番で、その二日後には引越しの荷物を送り出し、チェロだけを抱えて福岡の地を後にした。どちらもアマチュアにとっては難曲で、演奏会までの練習も思い出深いが、その音は、桜…

  • 秋でもないのに...

    秋でもないのに、「When October Goes」が無性に聴きたくなった。昨年もそうだったように、この時期、晩秋に通じるような感覚に陥ることがよくある。その背景を普段意識することはあまり無いのに、無意識に求める音楽から、ふと自分自身の心持ちに気づかされるのだ。期末という点では、様々な思いが重なる時期ではあるんだけど、やはり季節は春。4月になればそんな気分もどこかにかくれてしまうんだろうな。 僕がこの曲を知ったきっかけは、日本の老舗ジャズレーベル、澤野工房から2002年に発売されたジャズピアニスト・山中千尋のセカンドアルバム 『When October goes』 だった。思えば、その少し前…

  • The Other Side of Love

    先日、今年の「耳鳴りミュージック・第1号」が個人的に発生してしまった。特定の曲やメロディーが耳について離れず、頭の中をぐるぐる回るようになり、ついには熱に浮かされるように無意識のうちに口ずさんだり、鼻歌で歌ったりしてしまって、「また同じ曲?」とまわりから白い目で見られる、というあれだ。ここに来てようやく抜けてきたが、今日はその話でいくことにしよう。 半月ほど前、今や大女優の風格すら漂う中谷美紀を、休日の朝、テレビの情報番組で目にすることがあった。恐らく最近では当たり前になっている、新しく始まるドラマの番宣を兼ねたゲスト出演なのだろう。そういう場所であまり見かける人ではないので、僕もちょっと興味…

  • 未来は明るいですか?

    ふわふわした、どこか落ち着かない新年だった。少しはそれらしくしようと飾りつけもして、久々に家族が一同に会しても、やはり新年らしさは年々薄まるばかりだ。かつてのような特別な感覚に満たされることは、もう無いのかもしれない。さびしいことだけど... 元日、浅い眠りから目覚めたまだ暗い朝、今年最初に選んだ音楽はJanis Crunch & haruka nakamura のアルバム 『12 & 1 SONG』 だった。エアコンからの暖気が冷えきった部屋に少しずつ拡がる中、1曲目のピアノ・ソロ「Solitude」は、心地よく体に馴染んだ。 Link: Solitude / Janis Crunch 12…

  • ストックホルムでワルツを

    先週の日曜日、公開を待ちわびていた映画、「ストックホルムでワルツを」を観に行った。原題は「Monica Z」。スウェーデンの歌手、モニカ・ゼタールンドの半生を描いた映画で、僕はそのことを数ヶ月前に音楽情報誌で知った。 モニカ・ゼタールンド・・・懐かしい名前に出会った気がした。まだジャズを聴き始めてどれほども経っていない頃、恐らく僕が初めて購入したジャズ・シンガーのCDが彼女のアルバム 『ワルツ・フォー・デビイ』 だった。初めてなら、そんなマイナーな人じゃなくて、もっとビッグネームがたくさんいるだろう、なんて思われるかもしれないが、僕のジャズへの嗜好はまだまだそこまで拡がっておらず、誰がその「ビ…

  • ラストダンス

    キース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンの新作デュオアルバム 『Last Dance』 を店頭で目にしたのは、確か6月の終わり頃だった。日本語に訳せば、単に「最後のダンス」なのだが、このアルバムタイトルに少し引っかかるものを感じて、ジャケットに記された曲名を確認した。 Last Dance (2014) / Keith Jarrett & Charlie Haden 全9曲の中にタイトルと同名の曲があるわけではない。しかし最後の3曲を見て、はっとした。7曲目が「Where can I go without you (君なしでどこへ行けと言うの)」、8曲目が「Every time we say …

  • ペルトのいた街

    アルヴォ・ペルトの音楽が生み出す静謐の世界に身をまかせていると、その扉を初めて叩いた日のことが不意に思い出された。それは僕にとって彼の音楽を知るきっかけだっただけではなく、ジャンルを越えた未知の音楽世界に迷い込む楽しさを知るきっかけでもあった。 場所は京都の三条河原町から西に入ったところにある十字屋本店。楽器や音楽ソフトを扱う大きな店で、今も同じ場所にあるのだが、これは今から30年も前の秋口の話だ。当時レコード売り場が2階にあって、店外から直接上ることのできる階段の踊り場のあたりまで、直輸入のLPレコードを詰め込んだラックが所狭しと置かれていた。ちなみにCDはまだまだ黎明期で、タイトル数も少な…

  • ヘルシンキでのこと、あれこれ

    ◆それは、お日柄の良い日だった... ヘルシンキのシンボルといえば、ヘルシンキ大聖堂だろうか。この白亜の教会と、その前方に広がる元老院広場は思った以上に巨大だった。階段に座ってしばしくつろいだあと、建物の正面まで上がってみたが、開いているはずの入り口が閉じていた。この時期は9時から24時まで建物の中が公開されているはずだが、その日は昼間は公開中止、開くのは18時からと書かれた立て札が。どうりで観光バスはたくさん見えているのに建物の近くは閑散としているはずだ。 僕はこういうところでは、人のいない方に、ちょいと行ってみたくなる性質で、ひとけのない大聖堂の周りをぐるっと一周してみようと思い、右手側か…

  • ヘルシンキは静かな街だった

    静かな白夜だった。いや、正確には白夜とは呼べないのかもしれない。フィンランドの夏至祭は6月21日だから、そこからすれば随分日は短くなっているはずだ。それでも欧州大陸の最北の首都であるヘルシンキは、夜の9時を過ぎてもまだ西日が差し、通りすがりのカフェのテラス席はどこも賑わっていた。人通りがまばらになったカイサニエミ通りを北に歩いてホテルに戻る。ピトゥカシルタ橋の袂にあるフライング・ダッチ・ビア・ガーデンでは、まだまだ人が減る気配はない。 橋を渡りきり、入り江に沿って左折すれば、レジャー船を係留している板張りの小さな桟橋に出る。少し薄暗くなった桟橋には、いくつかの人の輪が見える。地元の人達が床板に…

  • つゆのあとさき

    そろそろここ近畿でも梅雨明け宣言が出るのだろうか。昨日まではなんだかはっきりしない感じだったし、出かける時は必ず傘を持って出て、ああ、やっぱりまだ梅雨なんだ、と納得するような天気だった。でも、今朝の天気図を見る限りは、いよいよ梅雨明けかな。 昨日気象庁は「中国地方と四国地方が梅雨明けしたとみられる」などという歯切れの悪い発表をしていたけど、どうもこれが梅雨明け宣言の常套句のようだ。この微妙にあざとい表現を聞きながら、「宣言」なんやからCMの「赤ちゃんやめました!」のように、スッパリと「梅雨が明けました!」と何で言えへんかなー、と一人憤慨していたわけだけど、まあ、どこにも大人の事情というものがあ…

  • マイ・ソング、ユア・ソング

    透明感溢れるまっすぐなサックス・サウンド。北欧を思わせるひんやりとした感覚。だけど何故か温かい。そんなヤン・ガルバレクの吹くソプラノサックスの登場を、爪弾くように始まるキース・ジャレットのピアノは、完璧なまでにお膳立てする。最初の数小節を聴きさえすれば、後に続く世界がスッと頭の中に浮かびあがってくる。キース・ジャレットの名曲、「My Song」だ。 Link: My Song / Keith Jarret & Jan Garbarek 梅雨の幕あい。晴れ間の見える休日の朝。昨日までとは打って変わって、さわやかな風が開け放った窓から入り込んでくる。キースのアルバム 『マイ・ソング』 を聴きたくな…

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