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老人を残して店を出た。外は曇り空に早代わり、風が雲を引き連れるように運ぶ。犬を連れた人物が足早に通り過ぎて、首輪に繋がるリードをぐっと喉に食い込ませ、躾を教え込んでいた。数歩遅れて本来の飼い主が心配そうに見守る。トレーナーに犬の扱いを習っているのだろう、パートナーであり、ペットであり、家族であり、外では迷惑をかけない性格を重んじる。それを自分に課す選択が頭にはないのだろうな、調月は哀れにそれらの物体が通りすがるのを見送った。足を、手に入れた土地に向けた。 レストラン、ファミリー向けの大き目の駐車場を完備する飲食店の隣にもう一軒、奇抜な深い緑を基調としたログハウス風の建物を見つけた。国道沿い真後…
2024/08/18 07:12