千葉県の個人的な場所をテーマにしたマニアック音源集 全26曲収録父が危篤との報を受け急ぎ故郷へ向かっていた。仕事の忙しさを理由にもう10年以上ぶりだろうか。一般的な「息子」というものは果たして病床の父にどんな言葉を掛けるものなのだろう、 羽田に向かう機内、男はそんな事ばかりを考えていた。声を荒らげ名前を呼ぶのだろうか、それとも涙を滲ませ過去の出来事を語るのだろうか。 そのどちらにせよ、その源泉たるものもの、つまりは思い出の類が男には圧倒的に少なかった。中略中年の看護師に2、3日が山と言われた。結局父にはなんの言葉も掛けられなかった。中年の看護師と事務的な会話を2、3言交わし病室を後にした。病院…