いつもありがとうございます。突然ですが「こあのみずたまり」はこちら↓に引っ越しをしました。https://note.com/coaqua/これからもよかったら覗きにきてください!...
子犬ばりに元気な不登校中学生!WISC-IV 知覚推理(PRI) IQ:141/処理速度(PSI)104の凸凹のんびり屋。フォルケホイスコーレで人生を謳歌中!自作のショートショートや絵、写真でへんちくりんな心象風景を刻みます。
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「私がセロトニンジャです」「ほう、ヒドロキシトリプタミンジャよりも優れているところは?」「はい。あやつ、ヒドジャよりも、俊敏生に長けていると思う所存でございます」「ほうほう。だが、あやつは身を隠すのが上手いぞ」「ええ、ですので、私、水の中で四半時、息を止めていられるようになりました」「ほうほうほう」「どうでしょうか。どうか、師匠の弟子にさせてください!」「ほほっほ。私はな」「?」「トリプトファンジ...
『鳥に羽が来ふふぬ湯』ここは異常な温泉。「わあ、ここが噂の温泉か」「お湯がとっても気持ちいいらしいわよ」「ちょっと!体を洗ってから入らないとじゃない?」「え、別にいいじゃない?」「すごく素敵ね、ここは」「そうね。また来ましょう」「コーヒー牛乳売っているわ」「飲みましょうよ!」ここは異常な温泉。誰もこの看板名を指摘しない。この温泉に入っている間、人間たちの脳は、異常になってしまうのである。...
その珈琲店では、ある決まりがあった。一つ。一人、必ずどこかの国の王を連れて来て、珈琲店で働く王たちの中に加えなければいけない。二つ。自分が連れてきた王の非、短所を、どこか言わなければならない。それをしないと、美味しい 珈琲 はできあがらないのだ。...
太陽電球が発明されました。太陽をえぐりとって、一つの電球を作るのです。それは、いつまでも使えて、普通の電球の何倍も明るいのです。ぜひ、それを世界中の皆さんに一つずつお配りしたいと考えております。ただ、そうなると、太陽はちょうどなくなってしまうのですが。...
ここはどこだ?あたりが真っ白だ。見渡す限り全て真っ白。出口がない。少し歩いてみると、何やら遠くに、小さく赤いものが見える。それの近くに歩いていく。なんだこれ?赤い玉だ。中に浮いている。自分の何倍かほどの大きさの赤い玉が浮いている。そこで僕は、あることに気づく。そうか、ここは日本国旗の中だ。...
「あれは月のじゅうすだね」「月のジュース?」「ううん、月のじゅうす」「何それ」「四角形なんだけど、三角形で、ざらざらしていて滑らかなんだよ」「それが月のジュース?」「ううん、月のじゅうす」...
蠅は、自分の中から一つずつ何かが失われていくような気がした。初めに、楽しいという概念が自分から抜け落ちた。野原を飛び回ったり、素敵な雄蠅を見つけても何も感じなかった。次に、美味しいと言う概念がなくなった。大好物のはずの、地面に落ちたパンも、機械的に咀嚼するだけとなった。そして、飛びたいと思わなくなった。その概念も同じように抜け落ちてしまったのか、それとも。生きたいと思わなくなった。体が動かなくなっ...
どこまでも続く草原、その真ん中に、卵がひとつたたずんでいた。「これは、一年ごとに殻が一枚ずつ割れるのですよ」「殻は一枚ではないのですか?」「ええ、何枚、何十枚、何千枚、もっとたくさんだったでしょうね」「だった、と言うのは?」「はい、大昔、そのまた昔、ここには地球と同じくらいの大きさの卵があったのでした。それが一年ごとにどんどん小さくなっていき、今はこのくらいなのです」サッカーボールほどの大きさの卵...
眠い。眠くて仕方がない。眠いと言うことすら考えられないくらい眠い。そんな時の対処療法をお教えします。まず、「いむくおむくいむくおん」と唱えます。すると脳みそが耳の穴から出てくるので、それを引っ掴んで全てを引きずり出します。脳を空っぽにしたら、耳に蚊の足を3本入れます。すぐに頭の中で蚊が育ち、子を産んで、頭の中は羽音でいっぱいになります。あとは戻すだけです。もう一度「いむくおむくいむくおん」と唱える...
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ぽつりぽつりと本音を漏らす人。そう言う人を、ぽつりぽつり星人は狙います。「実はな、俺な、本当はな・・・ぽつり、ぽつ、ぽつぽつり!」本音を漏らす人の脳みそを食べて生きながらえているぽつりぽつり星人はたちまち人間の脳を占領してしまうのです。「ぽつり、ぽつ、ぽっつり、ぽぽぽつり、ぽつぽぽつ、ぽつり!」そうなるともう、ぽつりぽつり星人は歯止めが効かなくなり脳だけでなく心臓や肺なども蝕んでいきます。「ぽつり...
ぽんぽーん、ぽん、ぽぽぽぽん、ぽんぽぽぽぽ、ぽぽーん、ぽん、ぽぽぽぽん、ぽんぽんぽんぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽぽん、ぽんぽんぽん、ぽぽーんぽぽーーん、ぽんぽん、ぽん、ぽぽっ、ぽん ぽ ぽぽんぽんぽん、ぽぽっ、ぽん、ぽん、ぽぽーーんぽぽーぽぽぽぽっぽんぽぽぽぽぽぽぽ、ぽぽーん、ぽぽーんぽぽーぽ、ぽぽぽぽぽぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽぽーぽーぽぽぽぽ、ぽ、ぽ、ぽっ、ぽ、ぽ、...
ほくろでできた人間が生まれた。一年たつごとにそのほくろは一粒ずつ減っていき、50年ほど経つと体の半分からほくろがなくなった。でも、それからほくろは何年経っても一粒も消えることがなかった。仕方なくそのまま生活していると、周りから、新しいファッションと人気者になりほくろを増やす人が続出してきた。居心地が良くなったほくろ人間は、自分のほくろが愛おしくなったのだが。次の日、起きて鏡を見ると体から全てのほくろ...
「人魚姫なんか、絶対にいないよ」「何でそう思うんだい?」「だって、人魚姫なんかおとぎ話にしか出てこないじゃないか」「でも、いつかどこかで人魚姫と会えるかもしれないよ」「だって、僕たち人魚男しか、この世界にはいないじゃないか」「そうだな、やっぱり、人魚姫なんか、おとぎ話なのかもな」...
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その扉は、開けると自分の髪の毛の中に出る。時折毛根につまずきながら、進んでいくと、また扉がある。それを開けると、自分の腸の中に出る。地面のひだに足を取られながら歩くと、胃に出る。そこで半分溶けかかった扉をこじ開けると、オポリン星に出る。なぜか、そこには扉がないのだ。すると、オポリン星人が群がってきて、自分の手足についている吸盤を貸してくれる。それを受け取り、その吸盤で、自分の髪の毛の中を探る。ドア...
アルキョプ粒子というものが集まると、巨大なアルキョプが出来上がるのだ。人間の耳の中から、海の底から、木のほらから、卵の中から。集まれば集まるほど、大きな大きなアルキョプが出来上がる。アルキョプが出来上がったら、それを細かく刻んで、ご飯にかけて食べよう。よだれを垂らす僕の耳の中からも、アルキョプ粒子はどんどん放出されている。...
ある広い原っぱで、太陽がもう少しで消えてしまう時原っぱは真っ赤になる。原っぱの真ん中に一本佇む木は、真っ青になる。その木はとてもとても綺麗だから、じっと見つめてしまう。たちまち真っ青な木に吸い寄せられて、原っぱの真ん中へ歩いていく。そうすると、もう木に触れたくなって、自分の手先が真っ青になっているのにも気づかず。ぺたりと触れる。体の中が、真っ青に染まっていく。染まって染まって、木に吸収される。ゆっ...
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「何でこの子はにんじんが食べられないのよ!」うさぎの母は憤慨していた。そのうさぎは、生まれた時から、にんじんアレルギーなのだ。うさぎは、肌で「これは危険なもの」と察知していた。だから、これまで一切、口をつけてこなかった。だが___「うさぎなのに、にんじんが食べられないなんて!」「そうだぞ、にんじんは、お前がうさぎとして生まれた限り、必ず食べんといかんのだ」母と父に、そう毎日言われ、うさぎはもう、ま...
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何か声がする。私は部屋の中を見回る。リビングへ行く。声は小さくなる。キッチンへ行く。声が大きくなる。「・・・も・・・・です」「・・・うも、・・・・人間です」「どうも、私、電気人間です」その声は、コンセントから漏れ出ているようだった。「どうも、私、電気人間です。どうも、私、電気人間です。どうも、私・・」「うるさい!わかったわよ」電気人間の声が、一瞬の間止まった。そして、「どうも、私、電気人間です。ど...
桃を一つ食べると、尻の割れ目が四つになるのです。桃を二つ食べると、尻の割れ目は八つになるのです。桃を三つ食べると、尻の割れ目は十六になるのです。人間の尻は、元々は一つも割れていなかったのです。でも、お母さんのお腹の中で、取り込まれた栄養分の中に桃が含まれていた時、人間は初めて尻が割れるのです。桃が好物な方は、食べ過ぎにご注意ください。ちなみに、ギネスにのっている尻の割れ目の数は一万ほどだと聞きます...
その喫茶店では、店に入る前に、入り口で「えりえりくとくとあせあせでりんぱ」と言わなければならないのだ。その列車では、決して、しばしば走行中に開いているドアの向こうを覗いてはならないのだ。その森では、切り株の中のこりすをいじめてはならないのだ。何があっても、絶対に。その海の中に、もしぽっかり穴が空いていたとしても飛び込んではならないのだ。朝一番に、水を吸収するのはガジュマルの木でなければならないのだ...
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空のずっとずっと上は、地面のずっとずっと奥なんだよ。じゃあ、空のずっとずっとずっと上は、なんなの?地面のずっとずっとずっと奥なんだよ。本当かな、そうなのかな。試そう。父の片腕が急に太くなって、家ほどある大きな石を持ち上げたかと思ったら終わりの見えない空へ、力強く放り投げた。「ドスン」本当に地面のずっとずっと奥から聞こえてきた、その音が私の耳に届く前に地球はアボカドみたいにパックリ割れてしまった。本...
__人間の耳と口には、スピーカーのつまみがついているのだ。耳についているつまみを右に回すと、より多くの音を取り入れられる。反対に左に回すと、小さな音だけを聞くことができる。口についているつまみを右に回すと、声量が多くなる。反対に左に回すと、小さな声しか出なくなる__え、そんなもの、ついてないって?ああ間違えた。これ人間の情報じゃなくて、「わせとん人」の情報だった。どうも失礼しました。...
キジの鳴き声が運悪く耳に突き刺さると、耳はスパッと真っ二つになってしまう。「ケーン、ケーン」そんな声を聞いたら、これは「ケン」ではなく、「キン」だ、と思い込むのだ。そうすると、運が良ければ「金」がどさどさと落ちてくるだろう。思い込み方が足りないと、「菌」が降ってきてベトベトになることもあることはあるが。思い込むのが苦手なものは「ケケーン、ケケーン」と叫び返せば良い。そうすれば、声が打ち消しあって、...
地層から、数字の化石が発掘されるようになった。古い地層からは「1000050000000」新しいものからは「23000」これはいい研究の材料になりそうだと、学者たちは喜んだ。時はすぎ、その数字の化石は、朽ちていく学者の家で時を刻んでいた。「1000050000001」、「10000510000000」、「2000000000000」・・・・「見てみろよ。これ、数字じゃないか?」「ああ、そうだな」ある科学者は古い地層へと発掘をしにきていた。「すごいな、今か...
毎年恒例、馬の中身はなんなのか選手権が始まりました。ピンポーンはい、クマロンチーム。「ガラスですか」ただいま採点の結果が・・出ました出ました。クマロンチームに一点!おめでとうございます。ピンポーンはい、ラッケンチーム。「プラスチックでしょう」ただいま採点中・・はい。ラッケンチームに三点!ラッケンチーム高得点です。ピンポーンはい、クツツクチーム。「アブラムシですか」少々お待ちを。採点中・・クツツクチ...
平凡な、売れない小説家がいた。その小説家、書いている話はとても面白いのだ。だが、なぜ売れないかというと・・「江頭先生、これ、またかぶってますよ」何を書いても、他人が書いた話とかぶってしまうのだ。本人は、何も他の人を真似しようと思ったわけじゃないのだ。でも、悲しいことにその小説家の書く文章は全てお蔵入りになるわけである。「どうしたもんかね」小説家こと江頭は、頭を抱えていた。頭の中には、次から次へとア...
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人の毛根は、夜になると起き出して、すぽっ、すぽっと頭皮から抜けると冷蔵庫へと駆け込む。「はああ、ヒトの頭は暑いからねえ」「涼しいや、これがいいや」そしてひとしきり涼むと、夜の野に出て、草と共に風を受けるのだ。しばらくそうして、朝一番の鶏の声がしたら、皆は急いで家へと戻る。寝ている人の頭にすぽっ、すぽっと潜り込むと、また眠りにつくのだ。「ふぁああ、よく寝た」人が起きて、冷蔵庫を開けると、そこにはひと...
「あなたは本当に顔を洗わないのですか」「ええ」「なぜですか」「洗うと、目鼻や口が取れてしまうので」「なんと。体は洗うんでしょう」「いえ」「なぜですか」「洗うと、手足が取れてしまうので」「なんと。歯は磨くんでしょう」「いえ」「なぜですか」「歯なんかないですから」「・・あなたは何者ですか」「ただの魂ですよ」...
物事は、ちゃんと内面を見てみないとわからないことがたくさんあるのです。例えば、メロンだと思ったら、中はキノコだったり人間だと思ったら、中身は宇宙人だったりするのです。メロンキノコをメロンと決めつけて、フルーツポンチに盛ってしまったりするともう取り返しのつかないことになります。そして、人間宇宙人を人間と決めつけて、仲良くなったりすると捕まってどこか遠いところに連れて行かれたりするのです。自分を自分だ...
扇風機だって、呼吸をしている。涼しい息を吐くばかりではない。電源が入っていない時は、扇風機はひたすら周りの少しでも涼しいところの空気を吸うのだ。扇風機をただ置いておくと、周りが暑くなるだけなのである。だからと言ってつけっぱなしにしておくと、扇風機は怒って生暖かい息を吐くようになるので、たまには休憩させてやらねばならない。そんなに完璧な器具など、なかなかないのである。...
教科書に落書きをすると、その落書きの線が動きだし正しい文に取り憑いて、文ををおかしくしてしまうのだ。卑弥呼は、邪馬台国の女王である。という文なら、卑弥呼は、東京都の首長である。という文になってしまうのだ。教科書に落書きをすると、間違った情報を手に入れてしまって自分のテストの点が悪くなるというわけである。...
ぽつ、ぽつ、しゃああ、ざあああ。雨の中で耳を澄ますと、音が聞こえてきます。雨の音と、それから___しゅわっ、しゅ、しゅう、しゅわっ。そんな音も聞こえてくるのです。これは、紫陽花が雨に溶ける音。紫陽花の花びらに雨粒がひとつ落ちると、紫陽花は雨に溶けて、消えてしまうのです。紫陽花が溶け込んだ雨粒は、大地に染み込み、地球にじんわり染みわたっていくのです。もうすぐ、梅雨も終わって、紫陽花も見かけなくなるこ...
ある泥棒二人が、大豪邸に忍び込もうとしていた。「おいお前、窓から入り込んで、鍵を開けて来られるか」「へへっそんなの朝飯前だいっ」男は、意気揚々と駆けて行った。__少し時がすぎて。男は、ボロボロになりながら、フラフラと帰ってきた。「お、おい、どうしたんだ、鍵は開けられたのか」「へへっレーザーにやられたよ、鍵は無理だった。 ・・すまね、朝飯前だった」「何が朝飯前だ、どうするんだよ」「ははっ、やっぱり、...
「そらさって、なあに?」幼い私は、「そらさ」と呟き続ける祖母に、質問を投げかけていた。「そらさはね、お空のすなだよ。何かどうしようもない苦しみや悲しみに襲われた時そらさを一粒、舌の上に乗せるんだ。するとたちまち、心は、晴天になるんだよ」その時はあまり理解できていなかった祖母の言葉。いや、今だって正直信じられない。スコップで空をすくったら、空色のすながたくさん落ちてきたことなんて。ああ、これが、そら...
きりんは、雲でできているのです。遠い昔、動物がほとんど絶滅して、もう地球に何も残っていないような時、雲が、集まったのです。世界中の雲が、雲が、雲が。集まってできたのがきりんなのです。きりんは、それからどんどん子孫を増やし、地球にはたくさんの生物が帰ってきました。私たち人間も、きりんの子孫、つまり雲からできているのです。人間の涙は、雨なのです。...
木の年輪は、多ければ多いほど老木、今までそう思ってきた。でも、実は違った。木は、生まれた時は年輪が千本あって、それから、一年ごとに一本減っていくのだ。年輪が数本しかないような木が、実はものすごい老木なのだ。でも、千年以上生きてしまった木はどうなるだろうか。そんなことは、誰も知らない。...
落花生を掘り出すと、くびれた形のものが出てきます。なぜ、くびれてなくてはならないのかというとそれは二人部屋だからです。ピーナツだって、二人部屋は嫌でしょう。でも、一人一人に部屋を与えるほど、落花生は裕福ではないのです。ただ、たまに、裕福な落花生がいます。その子供が入っている殻は、くびれていない、つまり、一人一人に、部屋があるのです。ただ、今は少子化で、ピーナツたちの数も減っているのでたとえ裕福でな...
じじじ じじじ じじ じじ じじじ じじ じじ じじじ じじじ じじじ じじじ じじじ じじじ じじじ じじじ じじじじ じじじ じじじじじじじじじ じじじじじ 字字...
マンホールの中は、もぐらの巣なのだ。もぐらは、山の中や畑で、しがない暮らしをしていると思われがちだが実はそれは田舎もぐらの話で、都会もぐらというのもいるのである。それらは、コンクリートを穴掘り機で破壊し地面の下に道を作り、家を作り、そしてどこからでも地上に出られるようにマンホールというものを作ったのだ。最初はすぐ立ち退くようにと、憤慨した政府だったがもぐらの文明の方が、まあちょっと上だったのである...
こみみみに挟んだのだが、あなたは「こりつむ」ですかええ、ええ、私がこみみみみに挟んだ限り、あやつは「こりつむ」でしょう私がこみみみみみに挟んだ限り、あなたは「こりつむん」でしょうはいんはいん、私はこみみみみみみに挟んだことしかないのだが、あなたこそ「こりつむん」でしょうこみみみみみみみみみみみみうふふん、こみみみみみみみみみみみみみみみみみみみそうです、私が「こりつむ」ですいいえ、私が「こりつむ」...
空腹な狼は、人間を食べようとしていた。「うししし」狼が待ち伏せていると、青いずきんを被った女の子がやってきた。「ううん、なんか食欲が湧かねえ」そうして、どうしたことか狼はその子を逃してしまった。「ああ、いけねえ。次こそ食ってやる」今度は、青い帽子を被った男の子がやってきた。「ううう、なんでだっ、食欲が・・・」狼は、その男の子も見送った。その後に来たの者も、全員、青い物を身につけていたのだ。「うおん...
沖に出ると、水がさあっと引いた。魚が獲れないので、さらに沖へ出ると、また水が引いた。躍起になって、船をさらに、さらに沖へ出した。また水が引く。沖へ行く。水が引く。沖へ行く。水が引く。気づけば、あたりは見渡す限り砂、砂、砂だった。__その男は、海の水を消した男として、島流しにされた。いや、流せなかったのだが。...
2Dの、強いくまがいた。でも、3Dのくまには勝てなかった。「ねえ、なんで君はそんなに強いの?」2Dのくまは聞いた。少し考えて、3Dのくまは言った。「わかんない」2Dのくまは、ふと自分の体を見た。そして、3Dのくまを見た。「なんか、僕って、薄っぺらいんだね」「そうかな」3Dのくまは他人事のように言ってのける。2Dのくまは、分厚くなりたいと思った。毎日、鍛錬をすることにした。岩を飛び越える。また岩を飛び越える。小さな...
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ここは、だっくすふんとの国。野原に住んでいるくっくすふんとは、足が長かった。だっくすふんとは、くっくすふんとを馬鹿にした。「なんだお前、そんなひょろひょろした無駄に長い足で。 俺の足の方が、ほれみろ、効率的だぞ」「ううう、僕、だって、走るの、早いもん」「でも、よく足をもつれさせて転ぶだろ」「うう」だっくすふんとは、くっくすふんとをからかっていた。と、そこに、むっくすふんとがやってきた。むっくすふん...
「う、う、ぎゃあああん」「ああ、もう!せっかく寝かしつけたと思ったのに」私は子育て中の主婦だ。なかなか寝てくれない赤ちゃんをやっと寝かしつけたのに隣の家の声で毎回目が覚めてしまう。もう、直接隣に文句を言ってやろうと私は心に決めた。__翌朝「ピンポーン」「あの、すみません!」ドアを叩くと、バタバタと足音がして、ドアがいきおいよく開いた。文句を言おうとしたところで、相手の口が開くのが早かった。「ああ、...
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「最近ご飯が美味しくてさあ」「へえ、よかったね」「何を食べても美味しいって感じるんだよね。 木の幹とか、バッタとか、スプーンとか、本とか」「・・・・」「はあ、お腹すいちゃった。 ちょっと、そこの木かじってくるわ」私はひとまず、友人にかじられる前にその場から立ち去ることにした。...
「学者の皆さん、最新の薬、1b5h+についてどう思われますか」「うむ、その薬は何かと面倒な副作用が多いのじゃ。 わしからすると、その薬はだめじゃな」「ああ、そうですね。私も同意見です。 あとは、その、何か得体の知れない薬なんて そうそう飲むものではありませんから」「あっ、それねっ。それはさー、原料にさー 頭痛くなったりー、吐き気がしたりする成分が いっろいろ入ってるんだよねっ。 しかもさっ、その薬がど...
ある夏の最中、ある催し事での出来事だ。「パチパチパチパチ」「なんだあいつ。ここは拍手するところじゃねえぞ」「パチパチパチパチ」「はあ、ほっとこう」「パチパチパチ」「パチパチ」「パチ」「・・・・・」男は、拍手をやめた。すると、いきなり皆に向かって「さあ、蚊は全部退治いたしました」と声を張り上げた。その場はシーンと静まりかえり、皆は後にその男がプロの「蚊取り屋」だったことを知るのだった。...
月の裏側のさらに裏側の裏側には、扉があるんだとか。それを開けば、誰でもたちまち幸福になれるという。皆は、我先にと月へ向かった。圧倒的に定員オーバーだったが、中には宇宙船に忍び込んで月へ行く者もいた。そうして、決死の大捜索が始まるが、扉は一向に見つからない。諦めて地球へと変える者もいたが、中には月に定住してしまうのもいた。入れ替わり立ち替わり、月には様々な人々がやってきた。自分こそ最初に扉を見つける...
「ピリプリペリペリ」変な音がするせんべいだな、と思った。「プリプリピリペリ」なぜ、こんな音がするのだろう。「パパパピリピリプリ」面白い、もう一枚。「ポポリパリプクパー」もう一枚、もう一枚。「プリッポリンパッパリペッ」「パフパフピッピペリペリポン」気がつくと、せんべいが入っていた袋はからになっていた。ああ、だめだ、この衝動を抑えきれない。ペリンポせんべい店へと男は走った。前にもこんなことがあった気が...
ある日、腕時計が狂った。その日から、速水の人生も狂い始めていた。朝6時に目覚ましをかけた。でも、目覚めた本当の時間は正午。腕時計では正午になった。でも、昼ごはんを食べ始めた本当の時間は夕方の6時。腕時計では9時になった。でも、眠りについた本当の時間は夜中の3時・・・・ゴールデンウィークが明けて、速水は会社へと出勤した。「おい、遅刻だぞ!」そんなことを言われても、自分はただただ規則正しいリズムを送ってき...
蚊に刺されると痒くなる。栗久里鳥に刺されると、寒くなる。亜楽蟲に刺されると、くすぐったくなる。三味淡蠅に刺されると、悲しくなる。人間に刺されると、しぬ。何に刺されるか、それは自分次第。...
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『特製みそ汁』『特製わかめみそ汁』『特製せみみそ汁』『特製せみ汁』「どうなさいます?わたくしのお勧めといたしましては 『特製わかめ味噌汁』なのですが」店主は少しいらついていた。私の判断が遅いからだろうか。『特製せみ汁』というのも悪くはない。だが、この地方ではせみ汁はあまり流通していない。それでもあえて『特製せみ汁』を出しているのだからよほど店主のお勧めなのかと思えば、店主はわかめ味噌汁を勧めてくる...
高校生、見た目を気にする年頃の私は、体重計に乗ってため息をついた。「はあ、なんでこんなになっちゃうかな」やれやれと後ろを振り向くと、短身の男が覗き込んでいた。「キャッ、パパ」人目を盗んで体重計に乗っていたというのに、恐るべきエスパーだ。「・・体重計というものは、人間のおもさも表しているんだよ」「えっ」おかげで少し気が楽になったが、私は、小太りな父の言い訳ではないかと考えている。...
「あんたもそろそろ住む家決めなさいよ」「ええ?じゃあ、ここなんかどうかな」「そこ、事故物件らしいわよ、色々大変じゃない?」「ああ、そうだよなあ、先着がいるのはどうも・・・」幽霊たちの家探しの旅は、まだまだ続きそうである。y...
「なあ、学校で授業をしてみないか?」そう言われて、研修生のぼくの頭は真っ白になった。「え?だって、ぼくなんか・・」「いいじゃないか、いい勉強になるぞ。 しかも、相手は一年生だ、お前みたいに優しい奴がちょうどいい」そう言われて、僕はとうとう引き受けてしまった。さあ、大変だぞ、テキストを読んで、教材を揃えて・・・「おはよう、みんな!初めましてだね。 研修生の、坂本雄也だよ。ゆうや先生って呼んでね」うん...
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ごつん、と何かが頭に当たった。ああ、来たな。「梅雨」だ。ごつ、こつんこつん、ごつ、ごつごつごつごつごつ・・・・・さあ、今年も梅仕事を始めるか。...
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「この世界のどこかには、寿命を伸ばす木の実があるらしい」そんな噂話を聞き、男は旅に出た。見つけた木の実は、全て口にした。美味いもの、なんとも言えないもの、まずいもの、毒があるもの・・・。だが、どれも特別な木の実というわけではなかったように感じた。男は諦めずに、探し続けた。でも、見つからない。青年から中年になり、中年から爺さんになりよれよれの老人になるまで、男は木の実を探し続けた。でも、ずっと旅をし...
うちの犬は皆賢い。ちゃんと「よし」と言わないと好物のものでも我慢するのだ。うちには三匹の犬がいる。ボス的な存在の「ムク」面倒見がいい「アマコ」子犬の「チュチュ」。ご飯の時は、ムク、アマコ、チュチュの順に「よし」「よし」「よし」。ちゃんと自分の順番をわかっているのだから、本当に賢い。さ、ご飯にするか。「ザザザー」ドッグフードを皆の皿に注ぐ。さあ、よしと言おうとしたところで、つけていたテレビがわっと湧...
こちらは、代々「座れない椅子」を作られてきた職人、粕田雅彦さんです。質問いいですか、座れない椅子とは、どのような意味があるのでしょうか。粕田さんによると、座れないからこそ、意味があるそうです。それではわかりません。もう少し詳しくお願いします。椅子は座れるものという概念を覆すためにやっているのだと粕田さんはおっしゃいます。はあ・・・。___「あーよかった。うちは代々設計が苦手だったからなあ。上手く誤...
ごく稀に、キャベツの芯が「ギャリギャリベツ」に変異することがあります。芯から、謎の物体が飛び出してくるのです。それは、目にも留まらぬ速さで飛んでいきついには「ギャリギャリラ」へと姿を変え、地球をキャベツにしてしまうのです。それをもし見つけた場合は、慌てずに「キャベンキャッペンキャベキャベコポン」と唱えてください。ニュニュニュ・・...
二休は、一休老師の弟子である。二休が橋を渡ろうとすると、立て札が立ててあった。「このはしわたるべからず」(うーん・・・あっ、そういえば老師に 昔このような経験をしたとかいう話を 聞かせてもらったなあ。確かその時・・)二休は迷わず橋の真ん中を渡ろうとした。だが、ちょうどその橋の真ん中だけ腐っていたのだ。二休は、真っ逆さまに橋から落ちて行きながら思い出した。(ああ、そういえば、何事もよく観察することが...
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その男は眼鏡をかけている。でも、それが伊達だという事は、とうにわかっていた。そんなある日。「メガネは、目が疲れますねえ」「えっ、好きでつけているのではなかったのですか」「ええ、私は元々、目が良すぎたんです。 そうですね、二十かそこらくらいあったかな」「それで、なぜ眼鏡を?」「ああ、そうでした。 目が良すぎると色々と困ったことがあってですねえ。 地球がぐるっと見えてしまうのですよ。 いつも自分の後ろ...
ひしお城へようこそ!さあさ、どうぞ中へ・・ぬお、入りたくないですと?ご冗談を。だって、ひしおの中で死にたいと言ったのはあなたの方ですよ。では、今からでもわさびとからしにまみれる方を選びますか。はい。ええ、ええ、それが賢明です。では、改めて。ようこそ、ひしお城へ!ちゃぽんっ...
「ううん、半紙が・・ちくしょうっ」全く。文鎮を剣にして遊ぶのはやめておいた方が良かった。文鎮が折れて、反省しろと言われたもんだから新しいのなんかすぐに買ってもらえるはずもなく。でもこれでは、半紙が動いてしまう。「ああ、もう!」と、開け放していた窓から「ぢゅーい、ぢゅぢゅぢゅ」と声がして、小さな鳥が半紙の上に乗った。「ぎゅい、ぢゅい、きゅきゅー」「うわあ、かわいい」文鎮の代わりになってくれているのだ...
「どうも、私、なんの類でもない、『たぐいた・ぐい』でございます」「へえ。本当になんの類でもないの?」僕は何か、ぐいの類を見つけようとした。だが、見つからなかった。ぐいは、本当になんの類でもなかったのだ。「どうも、私、なんの類でもない、『たぐいた・ぶい』でございます」「ううん、君は、『たぐいた・ぐい』の類だ」...
ある日スーパーに行き、バナナを買うと、種が入っていた。バナナの種など初めて見たものだから、小瓶に入れて、飾ることにした。翌日___目を開けると、何か異変を感じた。「んんん・・・?」起き上がって面食らった。部屋中がバナナの木で埋め尽くされていたのだ。まるで熱帯雨林だ。まあでも、バナナの実がたくさんついていることだしちょっと剪定をしてやれば立派な観葉植物になるだろう。そう思ったのだが、うちのとれたてバ...
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あなななしいにににしうぬぬぬしの三兄弟は、とっても仲良しだった。何をするのにも一緒だった。あの日までは。あなななしが、いにににしに変わりいにににしが、うぬぬぬしに変わりうぬぬぬしが、あなななしに変わってしまった日までは。でも、もともと仲の良かった三人だ、結局は入れ替わった三人でも仲良くやっていけた。めでたしめでた・・おっと、かはははしが加わった。まあ結局、四人でも仲良くやっていけたのである。めでた...
六角形がある。五角形がある。四角形もある。三角形もある。二角形はない。一角形もない。だから、作ろうと思う。...
3000年。過去の人と電話ができるようになった時代だ。「私今日は、2024年の人と喋ってくるね」ピンポコピンは、昔の人と話をするのが大好きだった。「・・・もしもし?」「あ、もしもし」「私、ピンポコピン。あなたは?」「あ、僕は、宗太郎」「へえ、変な名前」「そっちこそ」少し打ち解けたところでピンポコピンは聞いた。「ねえ、今何してるの」「ん、アイスクリームを食べているんだけど 最近だんだん暑くなってきて、すぐ溶...
どうも、デジャ部です。デジャ部では、デジャブがなぜ起こるのかを研究しています。初めてのことのはずなのに、なんだか一度体験したかのような感覚に襲われる。それはなぜか。理由は簡単です。遠い遠い宇宙のどこかで、私たちの日常を見ている人たちがいるのです。そして、気に入った場面があると、繰り返し巻き戻すのです。そのため、デジャブが起こるというわけなのです。あ、あ、デジャブだ。宇宙のどこかの誰かさんは、きっと...
くきみんぱは、地球を丸呑みにしてしまおうと考えていた。でも、くきみんぱは冥王星をも飲み込めないような小さな体なのだ。「お前は一日にくじら一億万匹しか食べられないのかよ」「俺なんか、一日に火星一つは食べられるぞ」いじめっ子からはそういびられ、くきみんぱはしゅんとなる。だから、すこうしずつ、訓練を積み重ねてきたのだ。そして今日、くきみんぱは地球をいよいよ飲み込もうとしている。...
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人間の種。そう書かれた商品が出回るようになってから、もう3年ほど経つだろうか。その種を植えると、目が生えてくる。次に歯ができて、そして鼻が咲く!鼻が枯れると、実ができる。その実はグングン大きくなり、ついには人間になるのだ。この人間には、肥料と水を与えるらしい。これは面白いと、人間の種ブームが世間に巻き起こった。今や、自己紹介などの時に、わざわざ「私は種からできた方の人間です」「僕も種からの人間です...
卵を割ると、小さな家が出てきた。小さい家の扉を開け、冷蔵庫の扉を開け、中にある卵を割ると・・・また、さっきとは違う小さな家が。家の扉を開ける。やれやれ、また冷蔵庫を探さなくちゃ。...
「カメムシさんって、とってもかっこいいね!」「しかも、飛ぶのも早いんでしょ?すごいや」...
空には氷が浮いていた。でも、道ゆく人はそれにちっとも気付かずに、氷をすり抜けていく。氷が見えるのは僕だけだろうか。道ゆく人が氷をすり抜けるたびに、氷のまくが人を包んでいく。あ、あの人など、もう氷になりかけている。でも、僕にはわかる。人間は、本当はあたたかい。ほら、あの人の氷が溶けた。あの人のも。...
サンタクロースが、皆が寝静まった夜の街にシャンシャンシャンと降りてきた。「この子には、これ」サンタクロースは早速ぶら下がった靴下にプレゼントを放り込んでいく。「この子には、これ」「この子には、これ」「この子には・・・・ううむ」今にも倒れそうな、ぼろぼろの家の靴下には、穴が空いていた。「これでは、プレゼントがこぼれ出てしまうのう・・」サンタクロースは靴下を新しいものに取り替えてあげた。その真新しい靴...
眠っていると、枕元にきりんが来た。でも、うちはとても天井が低い。首がつっかえないだろうか。そんな心配はいらなかった。そのきりんは、首が短かったのだ。体もなんだかまるっとしていてまるで上から押しつぶされたような形をしていた。それでもきりんだと分かったのだから、自分を褒めるしかない。それはさておき、このままここにいられたら、安眠妨害もいいところだ。「あの、何か御用でしょうか?」僕は恐る恐る聞いてみた。...
皆で登山に行ったら、道中にとても大きいキノコがあった。あまりにも大きいので、びっくりしていると、その横に小さな立て札があった。『山田きのこ』このきのこは、山田きのこというのだろうか。よく見ると、その立て札の『山田きのこ』の後に、何やら小さい文字で文章が書かれている。『むかしむかし、このきのこは世界で一番小さいきのこだったのです。 でも、小さいと踏みつけられたり食べられたり、色々と大変だったので...
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あるところに、五角形の星がいた。五角形の星には悩みがあった。周りを見ると、全部の星が、丸い形をしているのだ。五角形の星は不安になった。どうしよう、5個もトゲがあるのは僕だけだ。でも、五角形の星は、絵本を読んで、安心した。なあんだ、星はみんな、五角形じゃないか。僕は普通なんだ。でも、それから何人も何人も、いろんな者たちがやってきて「うわあ、これが、五角形の星か」「本当にあるんだねえ」「あるわけないで...
野次馬は、やじうまを取り囲んでいた。ねえ、あれ、馬だよね。なんか汚えの。どこどこ。見せて見せて。やじうま・とこりんぷすは野次馬たちに囲まれて、まんざら嫌でもなさそうだった。やじうま、野次馬、やじうま、野次馬。野次馬は、やじうまを敵だと思った。やじうまは、野次馬を仲間だと思った。やじうま、野次馬、やじうま、野次馬。だって、仲間じゃないか。やじうまはそう言うようにヒヒーンと嘶いた。そこにいるのは、ただ...
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いつもありがとうございます。突然ですが「こあのみずたまり」はこちら↓に引っ越しをしました。https://note.com/coaqua/これからもよかったら覗きにきてください!...
「私がセロトニンジャです」「ほう、ヒドロキシトリプタミンジャよりも優れているところは?」「はい。あやつ、ヒドジャよりも、俊敏生に長けていると思う所存でございます」「ほうほう。だが、あやつは身を隠すのが上手いぞ」「ええ、ですので、私、水の中で四半時、息を止めていられるようになりました」「ほうほうほう」「どうでしょうか。どうか、師匠の弟子にさせてください!」「ほほっほ。私はな」「?」「トリプトファンジ...
『鳥に羽が来ふふぬ湯』ここは異常な温泉。「わあ、ここが噂の温泉か」「お湯がとっても気持ちいいらしいわよ」「ちょっと!体を洗ってから入らないとじゃない?」「え、別にいいじゃない?」「すごく素敵ね、ここは」「そうね。また来ましょう」「コーヒー牛乳売っているわ」「飲みましょうよ!」ここは異常な温泉。誰もこの看板名を指摘しない。この温泉に入っている間、人間たちの脳は、異常になってしまうのである。...
その珈琲店では、ある決まりがあった。一つ。一人、必ずどこかの国の王を連れて来て、珈琲店で働く王たちの中に加えなければいけない。二つ。自分が連れてきた王の非、短所を、どこか言わなければならない。それをしないと、美味しい 珈琲 はできあがらないのだ。...
太陽電球が発明されました。太陽をえぐりとって、一つの電球を作るのです。それは、いつまでも使えて、普通の電球の何倍も明るいのです。ぜひ、それを世界中の皆さんに一つずつお配りしたいと考えております。ただ、そうなると、太陽はちょうどなくなってしまうのですが。...
ここはどこだ?あたりが真っ白だ。見渡す限り全て真っ白。出口がない。少し歩いてみると、何やら遠くに、小さく赤いものが見える。それの近くに歩いていく。なんだこれ?赤い玉だ。中に浮いている。自分の何倍かほどの大きさの赤い玉が浮いている。そこで僕は、あることに気づく。そうか、ここは日本国旗の中だ。...
「あれは月のじゅうすだね」「月のジュース?」「ううん、月のじゅうす」「何それ」「四角形なんだけど、三角形で、ざらざらしていて滑らかなんだよ」「それが月のジュース?」「ううん、月のじゅうす」...
蠅は、自分の中から一つずつ何かが失われていくような気がした。初めに、楽しいという概念が自分から抜け落ちた。野原を飛び回ったり、素敵な雄蠅を見つけても何も感じなかった。次に、美味しいと言う概念がなくなった。大好物のはずの、地面に落ちたパンも、機械的に咀嚼するだけとなった。そして、飛びたいと思わなくなった。その概念も同じように抜け落ちてしまったのか、それとも。生きたいと思わなくなった。体が動かなくなっ...
どこまでも続く草原、その真ん中に、卵がひとつたたずんでいた。「これは、一年ごとに殻が一枚ずつ割れるのですよ」「殻は一枚ではないのですか?」「ええ、何枚、何十枚、何千枚、もっとたくさんだったでしょうね」「だった、と言うのは?」「はい、大昔、そのまた昔、ここには地球と同じくらいの大きさの卵があったのでした。それが一年ごとにどんどん小さくなっていき、今はこのくらいなのです」サッカーボールほどの大きさの卵...
眠い。眠くて仕方がない。眠いと言うことすら考えられないくらい眠い。そんな時の対処療法をお教えします。まず、「いむくおむくいむくおん」と唱えます。すると脳みそが耳の穴から出てくるので、それを引っ掴んで全てを引きずり出します。脳を空っぽにしたら、耳に蚊の足を3本入れます。すぐに頭の中で蚊が育ち、子を産んで、頭の中は羽音でいっぱいになります。あとは戻すだけです。もう一度「いむくおむくいむくおん」と唱える...
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ぽつりぽつりと本音を漏らす人。そう言う人を、ぽつりぽつり星人は狙います。「実はな、俺な、本当はな・・・ぽつり、ぽつ、ぽつぽつり!」本音を漏らす人の脳みそを食べて生きながらえているぽつりぽつり星人はたちまち人間の脳を占領してしまうのです。「ぽつり、ぽつ、ぽっつり、ぽぽぽつり、ぽつぽぽつ、ぽつり!」そうなるともう、ぽつりぽつり星人は歯止めが効かなくなり脳だけでなく心臓や肺なども蝕んでいきます。「ぽつり...
ぽんぽーん、ぽん、ぽぽぽぽん、ぽんぽぽぽぽ、ぽぽーん、ぽん、ぽぽぽぽん、ぽんぽんぽんぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽぽん、ぽんぽんぽん、ぽぽーんぽぽーーん、ぽんぽん、ぽん、ぽぽっ、ぽん ぽ ぽぽんぽんぽん、ぽぽっ、ぽん、ぽん、ぽぽーーんぽぽーぽぽぽぽっぽんぽぽぽぽぽぽぽ、ぽぽーん、ぽぽーんぽぽーぽ、ぽぽぽぽぽぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽぽーぽーぽぽぽぽ、ぽ、ぽ、ぽっ、ぽ、ぽ、...
ほくろでできた人間が生まれた。一年たつごとにそのほくろは一粒ずつ減っていき、50年ほど経つと体の半分からほくろがなくなった。でも、それからほくろは何年経っても一粒も消えることがなかった。仕方なくそのまま生活していると、周りから、新しいファッションと人気者になりほくろを増やす人が続出してきた。居心地が良くなったほくろ人間は、自分のほくろが愛おしくなったのだが。次の日、起きて鏡を見ると体から全てのほくろ...
「人魚姫なんか、絶対にいないよ」「何でそう思うんだい?」「だって、人魚姫なんかおとぎ話にしか出てこないじゃないか」「でも、いつかどこかで人魚姫と会えるかもしれないよ」「だって、僕たち人魚男しか、この世界にはいないじゃないか」「そうだな、やっぱり、人魚姫なんか、おとぎ話なのかもな」...
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その扉は、開けると自分の髪の毛の中に出る。時折毛根につまずきながら、進んでいくと、また扉がある。それを開けると、自分の腸の中に出る。地面のひだに足を取られながら歩くと、胃に出る。そこで半分溶けかかった扉をこじ開けると、オポリン星に出る。なぜか、そこには扉がないのだ。すると、オポリン星人が群がってきて、自分の手足についている吸盤を貸してくれる。それを受け取り、その吸盤で、自分の髪の毛の中を探る。ドア...
アルキョプ粒子というものが集まると、巨大なアルキョプが出来上がるのだ。人間の耳の中から、海の底から、木のほらから、卵の中から。集まれば集まるほど、大きな大きなアルキョプが出来上がる。アルキョプが出来上がったら、それを細かく刻んで、ご飯にかけて食べよう。よだれを垂らす僕の耳の中からも、アルキョプ粒子はどんどん放出されている。...
ある広い原っぱで、太陽がもう少しで消えてしまう時原っぱは真っ赤になる。原っぱの真ん中に一本佇む木は、真っ青になる。その木はとてもとても綺麗だから、じっと見つめてしまう。たちまち真っ青な木に吸い寄せられて、原っぱの真ん中へ歩いていく。そうすると、もう木に触れたくなって、自分の手先が真っ青になっているのにも気づかず。ぺたりと触れる。体の中が、真っ青に染まっていく。染まって染まって、木に吸収される。ゆっ...
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この穴は、地獄の入り口だと言われている。天国の入り口も、ある。だが、これは一種の罠である。地獄行きの悪人は、絶対に地獄の道を選ばず、天国に入ろうとするだろう。天国行きの善人は、些細なことでも自分が悪いと考え、地獄に入ろうとするだろう。そのために、この二つの入り口は、中身が入れ替えられているのだ。だから、あなたが地獄に行くか天国に行くか迷うときは、地獄の方にわざと行くと、いい。・・これも罠かもしれな...
僕は世界各国の名所を巡る冒険家。この前は万里の長城に行ってきた。もうほとんど世界の名所には行き尽くしたが、ただ一つだけまだ訪れていないところがある。「アンテロープ・キャニオン」だ。いつかあの幻想的な場に行ってみたいと、子供の頃からずっと思っていた。今日はついにアンテロープ・キャニオンに行くんだ・・・!胸がワクワクした。・・それにしても、まだかな。もうすぐ着くはずなんだが。と、赤い洞窟のような入り口...
この道を辿っていけば、何かある。魚は、そう思っていた。もう少し。もう少しで、何かが変わる。生まれてからずうっと歩んでいる気がする。だけど、もう少しで、ゴールなんだ。魚は、強い期待を抱きながら、ドーナツ状に繋がった道を、今日も進んでいる。...
「ああ、あなた、あいしてるわ。」「ぼくもだよ。」「チュッチュッ」ではありません。本当は・・・「ああ、あなた、このお腹の卵重すぎるわ。 口から出すから、半分食べちゃってちょうだい。」...
あった、あった、僕の居場所。僕たちは、咲いた花の中に住む、「ふふりん」という虫だ。早い者勝ちで、口が開いている花の中へ入ると、花は閉じ、そこはそのふふりんだけの家となる。僕も家を決めようと、あっちが良いか、こっちが良いか、などと迷っているうちに、他のふふりんたちはもうみんな家を決めてしまって、残った花は一つしかなかった。これにするしかないかと、僕が花に入ろうとしたそのとき。「ブウーンブーン」羽音が...
今日あの猫ちゃんに告白するんだ。ドキドキドキドキあっ!いた!えと、あのお・・・モジモジモジモジ...
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「ねえ、ハトさん、なんで僕はスズメに生まれて、君はハトに生まれたんだろう。」「・・・・」「死ぬってどういうことなんだろうか。ハトさん」「・・・・」「すごいなあ、ハトさんは。心の奥深くで、すごいことを考えているんだろうなあ、 見習わなくちゃ。」「・・・・・ん?なんじゃって?わしは耳が遠いんじゃ。もうちょい近くで話してくれい」...
屁、こかれたぁー。...
まずいまずい。追手が来る!どこかに隠れないと!あ、ここがいい。寝転がって身を低くして、と・・ぷはあっ、やっといなくなった。さあ戻・・・・・ん?ここ、なんか気持ちいいぞ。あ、瞼が閉じる。眠いなあ。日がちょうどよく当たって・・気も・・ち・・いい・・・・「すぴー、すぴー」...
不思議なことが大好きな僕は、伝説の聖地にやってきた。ここには一人の妖精が住んでいるという。早速僕は聖地の隅から隅まで、妖精を探すことにした。途中には、みたことのないキノコや、透き通る花を咲かせた植物。それからピンク色の池など、あちこちに不思議なものがいっぱいあった。それだけでもう満足と言えば満足なのだが、自分は妖精にどうしても会いたくてここまできたんだ。ここで諦めては踏ん切りがつかない。日暮れまで...
「日替わり定食始めました から屋」「店長、今月もまた赤字っすよ!どうするんですか!」「うーん、どうするかねえ」「何のんきなこと言ってるんすか!しかも、日替わり定食始めるなんて。 そんな材料、どこにもないっすよ!」「まあまあ。同じ食材でも、工夫すればなんとかなるさ。」〜今日のメニュー〜鮭の炊き込みご飯ピーマンのサラダにんじんの煮物「・・今日はいいとして、明日はどうするんすか!」「なんとかなるさ。ほら...
「お嬢様、頼まれていたお帽子が届きましたよ。」「本当!嬉しいわ」「こちらでございます。」...
おじいさんが畑を耕していると、「おーい、おじいさん」と声がして、おばあさんが駆け寄ってきました。「どうしたんじゃい。・・それは」見ると、おばあさんは鶏の卵より少し大きいくらいの、金の卵を持っていたのです。「綺麗だなあ。おい婆さん、わしにも触らせてくれんかね。」「それができねえんだ。」「なんでだよ。少しでええから、な。」それでもおばあさんは首を横に振るばかり。「ええい!もう怒った!」おじいさんは無理...
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僕はスラミツミミツバチ。お花から聞こえてくる、素敵な音色の中で、自分の一番気に入った音色のお花だけから蜜を集めるんだ。だけど前、僕、あんまり美しい花があったから、メロディーをあまり聞かずに、蜜を集めてしまったんだ。たくさん集めて、もともと採ってあった蜜と混ざった頃に、その音色の醜さに気づいてしまった。でもそのあと、がっかりしながら一応、自分が集めた蜜の塊を、ペロっと舐めてみたんだ。ーーそしたら、普...
夜の冷気でしんと静まり返った銀色の砂漠に、銀色の毛並みの馬がたたずんでいた。月の光に照らされて、堂々としている。誰として聞く人のいない広い砂漠に向かって、馬はヒヒーンと嘶いた・・ーーそんな夢を見ながら、倉庫に忘れられて、ほこりを被ったおもちゃの木馬を蛍光灯の光が冷たく照らし出した。...
歯が痛い・・・痛すぎ・・・・っル!?やめてやめて!歯、抜かないでよお!あと3本・・あと2本・・ぎゃあああ!最後の一本!「カポッ」・・入れ・・歯・・・・・?...
「紅茶のプールって、初めてきたよ。いいねえ。香りもいい。」「誠でございますか。そう言っていただければ、本望でございます。」「・・ただ、ねえ。ちょっと狭いんだよなあ。もうちょっと広く・・・」「ざっけんな。何個ティーバッグ入れたら気が済むんだ。」定員の口調が変わり、上を見上げると数百個のティーバッグがぶら下がっていた。...
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