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子犬ばりに元気な不登校中学生!WISC-IV 知覚推理(PRI) IQ:141/処理速度(PSI)104の凸凹のんびり屋。フォルケホイスコーレで人生を謳歌中!自作のショートショートや絵、写真でへんちくりんな心象風景を刻みます。
「どうも、私、なんの類でもない、『たぐいた・ぐい』でございます」「へえ。本当になんの類でもないの?」僕は何か、ぐいの類を見つけようとした。だが、見つからなかった。ぐいは、本当になんの類でもなかったのだ。「どうも、私、なんの類でもない、『たぐいた・ぶい』でございます」「ううん、君は、『たぐいた・ぐい』の類だ」...
ある日スーパーに行き、バナナを買うと、種が入っていた。バナナの種など初めて見たものだから、小瓶に入れて、飾ることにした。翌日___目を開けると、何か異変を感じた。「んんん・・・?」起き上がって面食らった。部屋中がバナナの木で埋め尽くされていたのだ。まるで熱帯雨林だ。まあでも、バナナの実がたくさんついていることだしちょっと剪定をしてやれば立派な観葉植物になるだろう。そう思ったのだが、うちのとれたてバ...
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あなななしいにににしうぬぬぬしの三兄弟は、とっても仲良しだった。何をするのにも一緒だった。あの日までは。あなななしが、いにににしに変わりいにににしが、うぬぬぬしに変わりうぬぬぬしが、あなななしに変わってしまった日までは。でも、もともと仲の良かった三人だ、結局は入れ替わった三人でも仲良くやっていけた。めでたしめでた・・おっと、かはははしが加わった。まあ結局、四人でも仲良くやっていけたのである。めでた...
六角形がある。五角形がある。四角形もある。三角形もある。二角形はない。一角形もない。だから、作ろうと思う。...
3000年。過去の人と電話ができるようになった時代だ。「私今日は、2024年の人と喋ってくるね」ピンポコピンは、昔の人と話をするのが大好きだった。「・・・もしもし?」「あ、もしもし」「私、ピンポコピン。あなたは?」「あ、僕は、宗太郎」「へえ、変な名前」「そっちこそ」少し打ち解けたところでピンポコピンは聞いた。「ねえ、今何してるの」「ん、アイスクリームを食べているんだけど 最近だんだん暑くなってきて、すぐ溶...
どうも、デジャ部です。デジャ部では、デジャブがなぜ起こるのかを研究しています。初めてのことのはずなのに、なんだか一度体験したかのような感覚に襲われる。それはなぜか。理由は簡単です。遠い遠い宇宙のどこかで、私たちの日常を見ている人たちがいるのです。そして、気に入った場面があると、繰り返し巻き戻すのです。そのため、デジャブが起こるというわけなのです。あ、あ、デジャブだ。宇宙のどこかの誰かさんは、きっと...
くきみんぱは、地球を丸呑みにしてしまおうと考えていた。でも、くきみんぱは冥王星をも飲み込めないような小さな体なのだ。「お前は一日にくじら一億万匹しか食べられないのかよ」「俺なんか、一日に火星一つは食べられるぞ」いじめっ子からはそういびられ、くきみんぱはしゅんとなる。だから、すこうしずつ、訓練を積み重ねてきたのだ。そして今日、くきみんぱは地球をいよいよ飲み込もうとしている。...
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人間の種。そう書かれた商品が出回るようになってから、もう3年ほど経つだろうか。その種を植えると、目が生えてくる。次に歯ができて、そして鼻が咲く!鼻が枯れると、実ができる。その実はグングン大きくなり、ついには人間になるのだ。この人間には、肥料と水を与えるらしい。これは面白いと、人間の種ブームが世間に巻き起こった。今や、自己紹介などの時に、わざわざ「私は種からできた方の人間です」「僕も種からの人間です...
卵を割ると、小さな家が出てきた。小さい家の扉を開け、冷蔵庫の扉を開け、中にある卵を割ると・・・また、さっきとは違う小さな家が。家の扉を開ける。やれやれ、また冷蔵庫を探さなくちゃ。...
「カメムシさんって、とってもかっこいいね!」「しかも、飛ぶのも早いんでしょ?すごいや」...
空には氷が浮いていた。でも、道ゆく人はそれにちっとも気付かずに、氷をすり抜けていく。氷が見えるのは僕だけだろうか。道ゆく人が氷をすり抜けるたびに、氷のまくが人を包んでいく。あ、あの人など、もう氷になりかけている。でも、僕にはわかる。人間は、本当はあたたかい。ほら、あの人の氷が溶けた。あの人のも。...
サンタクロースが、皆が寝静まった夜の街にシャンシャンシャンと降りてきた。「この子には、これ」サンタクロースは早速ぶら下がった靴下にプレゼントを放り込んでいく。「この子には、これ」「この子には、これ」「この子には・・・・ううむ」今にも倒れそうな、ぼろぼろの家の靴下には、穴が空いていた。「これでは、プレゼントがこぼれ出てしまうのう・・」サンタクロースは靴下を新しいものに取り替えてあげた。その真新しい靴...
眠っていると、枕元にきりんが来た。でも、うちはとても天井が低い。首がつっかえないだろうか。そんな心配はいらなかった。そのきりんは、首が短かったのだ。体もなんだかまるっとしていてまるで上から押しつぶされたような形をしていた。それでもきりんだと分かったのだから、自分を褒めるしかない。それはさておき、このままここにいられたら、安眠妨害もいいところだ。「あの、何か御用でしょうか?」僕は恐る恐る聞いてみた。...
皆で登山に行ったら、道中にとても大きいキノコがあった。あまりにも大きいので、びっくりしていると、その横に小さな立て札があった。『山田きのこ』このきのこは、山田きのこというのだろうか。よく見ると、その立て札の『山田きのこ』の後に、何やら小さい文字で文章が書かれている。『むかしむかし、このきのこは世界で一番小さいきのこだったのです。 でも、小さいと踏みつけられたり食べられたり、色々と大変だったので...
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あるところに、五角形の星がいた。五角形の星には悩みがあった。周りを見ると、全部の星が、丸い形をしているのだ。五角形の星は不安になった。どうしよう、5個もトゲがあるのは僕だけだ。でも、五角形の星は、絵本を読んで、安心した。なあんだ、星はみんな、五角形じゃないか。僕は普通なんだ。でも、それから何人も何人も、いろんな者たちがやってきて「うわあ、これが、五角形の星か」「本当にあるんだねえ」「あるわけないで...
野次馬は、やじうまを取り囲んでいた。ねえ、あれ、馬だよね。なんか汚えの。どこどこ。見せて見せて。やじうま・とこりんぷすは野次馬たちに囲まれて、まんざら嫌でもなさそうだった。やじうま、野次馬、やじうま、野次馬。野次馬は、やじうまを敵だと思った。やじうまは、野次馬を仲間だと思った。やじうま、野次馬、やじうま、野次馬。だって、仲間じゃないか。やじうまはそう言うようにヒヒーンと嘶いた。そこにいるのは、ただ...
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5時37分41秒に水道の蛇口を開くと、チミチミムがぞろぞろ出てくる。5時37分42秒に水道の蛇口を開くと、ムミチミチが数人出てくる。それに噛まれると、自分もチミチミムになってしまうらしい。...
世の中には、世界一長いミミズがいる。そいつの全長は、地球の周りほどだという。でもまあそれだけ長ければ、何度も千切れたことだろう。でもそのおかげで、よく見る短いミミズができた。短いミミズは、みんな世界一長いミミズの一部なのだ。おっと、世界一長いゾウの話をしていなかった。鼻はそのままで、耳も、目も、そのまま。でも、胴体だけが・・・・・長長動物園には、とにかく長い動物がたくさんいる。世界一長いゾウや、ミ...
やはり友人の言は当てにならない。無人島なんか行くから、こんなことになるんだ。「おい、おめら、我をじょここ、じょここじゃ」無人島には、くさび色をした毛布を首から下げているカエル人がいた。何か必死の目で訴えかけてくるが、僕はじょここの意味を追求する気にもならなかった。「おい、早く行こうぜ」僕が言うと、友人は「おい、おめ、我はじょここぱー」そう言って何やら嬉しそうである。やられたか、と僕は思った。ちらり...
大きい岩を持てるのは、人間しかいない。だからと言って、アリを見下すんじゃない。地面の細かい砂、それを一粒だけ持てるのは、アリしかいないのだ。...
かえるがこの植物、すなわちオピキ草に飛び乗るとかえるの小さな体はズブズブと吸収されてしまう。そして、完全に吸収された時、葉が一枚増えるのである。そうしてたくさんのカエルを飲み込んだオピキ草が枯れると一斉にかえるの大群が溢れ出してくる。あ、やめなさい、そこは・・・ああ、遅かったか。かえるさん、またオピキ草が枯れるまで、しばしさようなら。...
服のボタンが取れた。代わりに、うちの猫を丸めてくっつけておこう。おかげで仕事中も、うちの可愛い猫の寝息を聞いていられる。と、また服のボタンが取れた。しょうがない、うちの猫を丸めてくっつけておこう。おかげで仕事中も、うちの2匹の可愛い寝息を聞いていられる。と、また服のボタンが取れた。しょうがないしょうがない、うちの猫を・・またボタンが取れた。あ、また。また。ぶち、ぶちぶち。僕はうちの猫たちを、みんな...
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鉛筆、突然むくりと起き上がり、線を描き始めた。すると、消しゴム、むくりと起き上がり、線を描き始めた。しゃーしゃーしゃー、ゴシゴシゴシ。二人は書いて消して書いて消して、まるで追いかけっこのよう。何年も何年も、二人は追いかけっこをしてる。そんなある日、ついに消しゴムが消えた。ケースだけになった消しゴムは、鉛筆が書いた線、消すことはなかった。しゃーしゃーしゃー。しゃーしゃーしゃー。鉛筆、消しゴムが帰って...
僕たちはコンマ虫。昔、この水槽には、僕らの仲間が、溢れ出すくらいにたくさんいたんだ。でも、世界中でコンマが使われるごとに、一匹ずつ減っていくんだ。,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,ほら、そうやって無駄にコンマを使うと!みんながどんどん黒ずんでいく。誰かにコンマを使われると、黒くなって、消えるんだ。・・残ったのは僕を入れて二人だけか。...
にんじんを切ろうとしていると、うちの子に声をかけられた。「ねえママ、それ、にんじんじゃないよ」「ええっ」何をいうのだろうか。これはどこからどう見てもにんじんだ。「これはにんじん。いつものにんじんじゃない」「ううん、これ、デカガメの巣。中には卵がたくさんだよ」何かのアニメだろうか。「あのねぇ、これは、に、ん、じ、ん、なーのっ」さあ、にんじんを切ろう。「ザクッ」...
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「私がセロトニンジャです」「ほう、ヒドロキシトリプタミンジャよりも優れているところは?」「はい。あやつ、ヒドジャよりも、俊敏生に長けていると思う所存でございます」「ほうほう。だが、あやつは身を隠すのが上手いぞ」「ええ、ですので、私、水の中で四半時、息を止めていられるようになりました」「ほうほうほう」「どうでしょうか。どうか、師匠の弟子にさせてください!」「ほほっほ。私はな」「?」「トリプトファンジ...
『鳥に羽が来ふふぬ湯』ここは異常な温泉。「わあ、ここが噂の温泉か」「お湯がとっても気持ちいいらしいわよ」「ちょっと!体を洗ってから入らないとじゃない?」「え、別にいいじゃない?」「すごく素敵ね、ここは」「そうね。また来ましょう」「コーヒー牛乳売っているわ」「飲みましょうよ!」ここは異常な温泉。誰もこの看板名を指摘しない。この温泉に入っている間、人間たちの脳は、異常になってしまうのである。...
その珈琲店では、ある決まりがあった。一つ。一人、必ずどこかの国の王を連れて来て、珈琲店で働く王たちの中に加えなければいけない。二つ。自分が連れてきた王の非、短所を、どこか言わなければならない。それをしないと、美味しい 珈琲 はできあがらないのだ。...
太陽電球が発明されました。太陽をえぐりとって、一つの電球を作るのです。それは、いつまでも使えて、普通の電球の何倍も明るいのです。ぜひ、それを世界中の皆さんに一つずつお配りしたいと考えております。ただ、そうなると、太陽はちょうどなくなってしまうのですが。...
ここはどこだ?あたりが真っ白だ。見渡す限り全て真っ白。出口がない。少し歩いてみると、何やら遠くに、小さく赤いものが見える。それの近くに歩いていく。なんだこれ?赤い玉だ。中に浮いている。自分の何倍かほどの大きさの赤い玉が浮いている。そこで僕は、あることに気づく。そうか、ここは日本国旗の中だ。...
「あれは月のじゅうすだね」「月のジュース?」「ううん、月のじゅうす」「何それ」「四角形なんだけど、三角形で、ざらざらしていて滑らかなんだよ」「それが月のジュース?」「ううん、月のじゅうす」...
蠅は、自分の中から一つずつ何かが失われていくような気がした。初めに、楽しいという概念が自分から抜け落ちた。野原を飛び回ったり、素敵な雄蠅を見つけても何も感じなかった。次に、美味しいと言う概念がなくなった。大好物のはずの、地面に落ちたパンも、機械的に咀嚼するだけとなった。そして、飛びたいと思わなくなった。その概念も同じように抜け落ちてしまったのか、それとも。生きたいと思わなくなった。体が動かなくなっ...
どこまでも続く草原、その真ん中に、卵がひとつたたずんでいた。「これは、一年ごとに殻が一枚ずつ割れるのですよ」「殻は一枚ではないのですか?」「ええ、何枚、何十枚、何千枚、もっとたくさんだったでしょうね」「だった、と言うのは?」「はい、大昔、そのまた昔、ここには地球と同じくらいの大きさの卵があったのでした。それが一年ごとにどんどん小さくなっていき、今はこのくらいなのです」サッカーボールほどの大きさの卵...
眠い。眠くて仕方がない。眠いと言うことすら考えられないくらい眠い。そんな時の対処療法をお教えします。まず、「いむくおむくいむくおん」と唱えます。すると脳みそが耳の穴から出てくるので、それを引っ掴んで全てを引きずり出します。脳を空っぽにしたら、耳に蚊の足を3本入れます。すぐに頭の中で蚊が育ち、子を産んで、頭の中は羽音でいっぱいになります。あとは戻すだけです。もう一度「いむくおむくいむくおん」と唱える...
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ぽつりぽつりと本音を漏らす人。そう言う人を、ぽつりぽつり星人は狙います。「実はな、俺な、本当はな・・・ぽつり、ぽつ、ぽつぽつり!」本音を漏らす人の脳みそを食べて生きながらえているぽつりぽつり星人はたちまち人間の脳を占領してしまうのです。「ぽつり、ぽつ、ぽっつり、ぽぽぽつり、ぽつぽぽつ、ぽつり!」そうなるともう、ぽつりぽつり星人は歯止めが効かなくなり脳だけでなく心臓や肺なども蝕んでいきます。「ぽつり...
ぽんぽーん、ぽん、ぽぽぽぽん、ぽんぽぽぽぽ、ぽぽーん、ぽん、ぽぽぽぽん、ぽんぽんぽんぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽぽん、ぽんぽんぽん、ぽぽーんぽぽーーん、ぽんぽん、ぽん、ぽぽっ、ぽん ぽ ぽぽんぽんぽん、ぽぽっ、ぽん、ぽん、ぽぽーーんぽぽーぽぽぽぽっぽんぽぽぽぽぽぽぽ、ぽぽーん、ぽぽーんぽぽーぽ、ぽぽぽぽぽぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽぽーぽーぽぽぽぽ、ぽ、ぽ、ぽっ、ぽ、ぽ、...
ほくろでできた人間が生まれた。一年たつごとにそのほくろは一粒ずつ減っていき、50年ほど経つと体の半分からほくろがなくなった。でも、それからほくろは何年経っても一粒も消えることがなかった。仕方なくそのまま生活していると、周りから、新しいファッションと人気者になりほくろを増やす人が続出してきた。居心地が良くなったほくろ人間は、自分のほくろが愛おしくなったのだが。次の日、起きて鏡を見ると体から全てのほくろ...
「人魚姫なんか、絶対にいないよ」「何でそう思うんだい?」「だって、人魚姫なんかおとぎ話にしか出てこないじゃないか」「でも、いつかどこかで人魚姫と会えるかもしれないよ」「だって、僕たち人魚男しか、この世界にはいないじゃないか」「そうだな、やっぱり、人魚姫なんか、おとぎ話なのかもな」...
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その扉は、開けると自分の髪の毛の中に出る。時折毛根につまずきながら、進んでいくと、また扉がある。それを開けると、自分の腸の中に出る。地面のひだに足を取られながら歩くと、胃に出る。そこで半分溶けかかった扉をこじ開けると、オポリン星に出る。なぜか、そこには扉がないのだ。すると、オポリン星人が群がってきて、自分の手足についている吸盤を貸してくれる。それを受け取り、その吸盤で、自分の髪の毛の中を探る。ドア...
アルキョプ粒子というものが集まると、巨大なアルキョプが出来上がるのだ。人間の耳の中から、海の底から、木のほらから、卵の中から。集まれば集まるほど、大きな大きなアルキョプが出来上がる。アルキョプが出来上がったら、それを細かく刻んで、ご飯にかけて食べよう。よだれを垂らす僕の耳の中からも、アルキョプ粒子はどんどん放出されている。...
ある広い原っぱで、太陽がもう少しで消えてしまう時原っぱは真っ赤になる。原っぱの真ん中に一本佇む木は、真っ青になる。その木はとてもとても綺麗だから、じっと見つめてしまう。たちまち真っ青な木に吸い寄せられて、原っぱの真ん中へ歩いていく。そうすると、もう木に触れたくなって、自分の手先が真っ青になっているのにも気づかず。ぺたりと触れる。体の中が、真っ青に染まっていく。染まって染まって、木に吸収される。ゆっ...
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この穴は、地獄の入り口だと言われている。天国の入り口も、ある。だが、これは一種の罠である。地獄行きの悪人は、絶対に地獄の道を選ばず、天国に入ろうとするだろう。天国行きの善人は、些細なことでも自分が悪いと考え、地獄に入ろうとするだろう。そのために、この二つの入り口は、中身が入れ替えられているのだ。だから、あなたが地獄に行くか天国に行くか迷うときは、地獄の方にわざと行くと、いい。・・これも罠かもしれな...
僕は世界各国の名所を巡る冒険家。この前は万里の長城に行ってきた。もうほとんど世界の名所には行き尽くしたが、ただ一つだけまだ訪れていないところがある。「アンテロープ・キャニオン」だ。いつかあの幻想的な場に行ってみたいと、子供の頃からずっと思っていた。今日はついにアンテロープ・キャニオンに行くんだ・・・!胸がワクワクした。・・それにしても、まだかな。もうすぐ着くはずなんだが。と、赤い洞窟のような入り口...
この道を辿っていけば、何かある。魚は、そう思っていた。もう少し。もう少しで、何かが変わる。生まれてからずうっと歩んでいる気がする。だけど、もう少しで、ゴールなんだ。魚は、強い期待を抱きながら、ドーナツ状に繋がった道を、今日も進んでいる。...
「ああ、あなた、あいしてるわ。」「ぼくもだよ。」「チュッチュッ」ではありません。本当は・・・「ああ、あなた、このお腹の卵重すぎるわ。 口から出すから、半分食べちゃってちょうだい。」...
あった、あった、僕の居場所。僕たちは、咲いた花の中に住む、「ふふりん」という虫だ。早い者勝ちで、口が開いている花の中へ入ると、花は閉じ、そこはそのふふりんだけの家となる。僕も家を決めようと、あっちが良いか、こっちが良いか、などと迷っているうちに、他のふふりんたちはもうみんな家を決めてしまって、残った花は一つしかなかった。これにするしかないかと、僕が花に入ろうとしたそのとき。「ブウーンブーン」羽音が...
今日あの猫ちゃんに告白するんだ。ドキドキドキドキあっ!いた!えと、あのお・・・モジモジモジモジ...
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「ねえ、ハトさん、なんで僕はスズメに生まれて、君はハトに生まれたんだろう。」「・・・・」「死ぬってどういうことなんだろうか。ハトさん」「・・・・」「すごいなあ、ハトさんは。心の奥深くで、すごいことを考えているんだろうなあ、 見習わなくちゃ。」「・・・・・ん?なんじゃって?わしは耳が遠いんじゃ。もうちょい近くで話してくれい」...
屁、こかれたぁー。...
まずいまずい。追手が来る!どこかに隠れないと!あ、ここがいい。寝転がって身を低くして、と・・ぷはあっ、やっといなくなった。さあ戻・・・・・ん?ここ、なんか気持ちいいぞ。あ、瞼が閉じる。眠いなあ。日がちょうどよく当たって・・気も・・ち・・いい・・・・「すぴー、すぴー」...
不思議なことが大好きな僕は、伝説の聖地にやってきた。ここには一人の妖精が住んでいるという。早速僕は聖地の隅から隅まで、妖精を探すことにした。途中には、みたことのないキノコや、透き通る花を咲かせた植物。それからピンク色の池など、あちこちに不思議なものがいっぱいあった。それだけでもう満足と言えば満足なのだが、自分は妖精にどうしても会いたくてここまできたんだ。ここで諦めては踏ん切りがつかない。日暮れまで...
「日替わり定食始めました から屋」「店長、今月もまた赤字っすよ!どうするんですか!」「うーん、どうするかねえ」「何のんきなこと言ってるんすか!しかも、日替わり定食始めるなんて。 そんな材料、どこにもないっすよ!」「まあまあ。同じ食材でも、工夫すればなんとかなるさ。」〜今日のメニュー〜鮭の炊き込みご飯ピーマンのサラダにんじんの煮物「・・今日はいいとして、明日はどうするんすか!」「なんとかなるさ。ほら...
「お嬢様、頼まれていたお帽子が届きましたよ。」「本当!嬉しいわ」「こちらでございます。」...
おじいさんが畑を耕していると、「おーい、おじいさん」と声がして、おばあさんが駆け寄ってきました。「どうしたんじゃい。・・それは」見ると、おばあさんは鶏の卵より少し大きいくらいの、金の卵を持っていたのです。「綺麗だなあ。おい婆さん、わしにも触らせてくれんかね。」「それができねえんだ。」「なんでだよ。少しでええから、な。」それでもおばあさんは首を横に振るばかり。「ええい!もう怒った!」おじいさんは無理...
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僕はスラミツミミツバチ。お花から聞こえてくる、素敵な音色の中で、自分の一番気に入った音色のお花だけから蜜を集めるんだ。だけど前、僕、あんまり美しい花があったから、メロディーをあまり聞かずに、蜜を集めてしまったんだ。たくさん集めて、もともと採ってあった蜜と混ざった頃に、その音色の醜さに気づいてしまった。でもそのあと、がっかりしながら一応、自分が集めた蜜の塊を、ペロっと舐めてみたんだ。ーーそしたら、普...
夜の冷気でしんと静まり返った銀色の砂漠に、銀色の毛並みの馬がたたずんでいた。月の光に照らされて、堂々としている。誰として聞く人のいない広い砂漠に向かって、馬はヒヒーンと嘶いた・・ーーそんな夢を見ながら、倉庫に忘れられて、ほこりを被ったおもちゃの木馬を蛍光灯の光が冷たく照らし出した。...
歯が痛い・・・痛すぎ・・・・っル!?やめてやめて!歯、抜かないでよお!あと3本・・あと2本・・ぎゃあああ!最後の一本!「カポッ」・・入れ・・歯・・・・・?...
「紅茶のプールって、初めてきたよ。いいねえ。香りもいい。」「誠でございますか。そう言っていただければ、本望でございます。」「・・ただ、ねえ。ちょっと狭いんだよなあ。もうちょっと広く・・・」「ざっけんな。何個ティーバッグ入れたら気が済むんだ。」定員の口調が変わり、上を見上げると数百個のティーバッグがぶら下がっていた。...
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