いつもの土手を歩く。近くに飼い主はいるものの、たまにリールに繋がれていない犬を見掛けることがある。この日も、前からやってくる茶トラのような色をした二匹は、リールに繋がれていなかった。首輪すらしていない。その後ろには、飼い主と思われるおじさんが、二匹の歩幅に合わせて自転車をゆっくり動かしている。 二匹は、やはり犬ではなかった。視覚では認識していたはずだが、脳内で処理されるのに間があった。二羽と数えなくてはならない。あまりに珍しい光景に、飼い主に声を掛けようか迷った。向こうから飼い主とは別のおじさんが、やってきた。彼も少しびっくりした顔をしていた。彼と私は、二羽に道を阻まれてしまった。飼い主の”す…