chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
RIYO
フォロー
住所
埼玉県
出身
未設定
ブログ村参加

2022/01/09

arrow_drop_down
  • 『つゆのあとさき』永井荷風 感想

    こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 銀座のカフェーの女給君江は、容貌は十人並だが物言う時、「瓢の種のような歯の間から、舌の先を動かすのが一際愛くるしい」女性である。この、淫蕩だが逞しい生活力のある主人公に、パトロンの通俗作家清岡をはじめ彼女を取巻く男性の浅薄な生き方を対比させて、荷風独特の文明批評をのぞかせている。 永井荷風(1873-1959)は、幼少期より文学に興味を持ち、江戸時代の戯作文学に多く触れて育ちました。早々に文士として目覚めると、小説家である広津柳浪に弟子入りをして、巌谷小波の催す句会を中心とした文学サロン「木曜会」に参加します。また、小説家の三宅青軒に紹介され…

  • 『二十歳の原点』高野悦子 感想

    こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 独りであること、未熟であることを認識の基点に、青春を駆けぬけていった一女子大生の愛と死のノート。学園紛争の嵐の中で、自己を確立しようと格闘しながらも、理想を砕かれ、愛に破れ、予期せぬうちにキャンパスの孤独者となり、自ら生命を絶っていった痛切な魂の証言。明るさとニヒリズムが交錯した混沌状態の中にあふれる清洌な詩精神が、読む者の胸を打たずにはおかない。 第二次世界大戦争で広島と長崎を筆頭に甚大な被災を受けた日本は、イギリス、アメリカ、中国から与えられたポツダム宣言(日本への降伏を求めた宣言)を受け入れ、連合国へ降伏して戦争は終わりました。日本が支…

  • 『ジュリアス・シーザー』ウィリアム・シェイクスピア 感想

    こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 プルターク英雄伝を概ねの種本として描かれた本作『ジュリアス・シーザー』は、シェイクスピアにとって絶頂期に差し掛かろうとする成長著しい時期に執筆されました。『空騒ぎ』『十二夜』などの喜劇、『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』といった史劇を生み出していたなか、浮かび上がるこの悲劇は特徴的な立ち位置と言えます。喜劇でありながら強く浮かび上がった悲劇性を持つ『ヴェニスの商人』以来、シェイクスピアは悲劇の舞台を探し続けていました。彼はどこまでも歴史を遡り、古代ローマ史劇へと辿り着きます。公人たちによる政治と戦争が綴られた英雄伝の悲劇を、シェイクスピアの芸術…

  • 『堕落論』坂口安吾 感想

    こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 単に、人生を描くためなら、地球に表紙をかぶせるのが一番正しい──誰もが無頼派と呼んで怪しまぬ安吾は、誰よりも冷徹に時代をねめつけ、誰よりも自由に歴史を嗤い、そして誰よりも言葉について文学について疑い続けた作家だった。どうしても書かねばならぬことを、ただその必要にのみ応じて書きつくすという強靱な意志の軌跡を、新たな視点と詳細な年譜によって辿る決定版評論集。 第二次世界大戦争後、日本には戦禍が広がり、民衆は衣食住もままならない世界を生きなければなりませんでした。天皇制により与えられた道徳、希望、観念は、敗戦という形で全てを否定され、生きるための心…

  • 『リチャード三世』ウィリアム・シェイクスピア 感想

    こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 あらゆる権謀術数を駆使して王位を狙う魔性の君主リチャード──薔薇戦争を背景に偽善と偽悪をこえた近代的悪人像を確立した史劇。 1339〜1453年まで続いたプランタジネット家(イギリス)とヴァロワ家(フランス)によるフランス王位をめぐる実質的な領地争い「百年戦争」。この両諸侯による長い争いは、両国において封建領主の没落をもたらし、結果的に王権が強化されることになりました。国王のもとで統一的な国家機構(絶対王政)を構築し、主権国家となって領地と国民が紐付けられました。ここから封建社会は衰退し、近代主権国家へと移行していきます。この「百年戦争」を終…

  • 『間違いの喜劇』(間違いつづき)ウィリアム・シェイクスピア 感想

    こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 本作『間違いの喜劇』(間違いつづき)はシェイクスピア作品の中でも初期に執筆された喜劇で、最も短い作品として知られています。古代ローマの喜劇作家プラウトゥスの「メナエクムス兄弟』という双子の人違いが引き起こす作品を種本として書かれ、これに双子をもう一組増やしてスラップスティックな印象を強めています。また中心となる双子アンティフォラス兄弟の父イージオン、修道女院院主エミリアのドラマ性を追加して、単純な笑劇に終わらせない喜劇を作り上げています。また、フランス古典劇で厳格に守られる「三一致の法則」が用いられ、舞台はエフェサスから動かず、時間は一日のあ…

  • 『みずうみ』テオドール・シュトルム 感想

    こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 月光に浮かび上がる少女エリーザベトの肖像。老学究ラインハルトはいま少年の日の昔にいる。あの頃は2人だけでいるとよく話がとぎれた。それが自分には苦しくて、何とかしてそうならないように努めた。──若き日のはかない恋とその後日を物語る「みずうみ」ほか、抒情詩人シュトルムの若々しく澄んだ心象を盛った短篇を集めた。 フランスのブルボン朝を打倒したブルジョワ革命により権力を得たナポレオン一世は、勢力をさらに増して周辺諸国へ領土を広げようとする戦争を次々と起こしていきます。しかし、帝国列強諸国はこれを突き返し、絶対王政の体制を復活させようと推し進めます。戦…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、RIYOさんをフォローしませんか?

ハンドル名
RIYOさん
ブログタイトル
RIYO BOOKS
フォロー
RIYO BOOKS

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用