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  • 日々の恐怖 6月2日 コンビニ(2)

    日々の恐怖6月2日コンビニ(2)バックから相方が出て来て、俺のレジ補助につく形で、おばさんのお買い上げ商品を袋詰めをし出した。突然、おばさんが相方に話し掛けた。「あんた初めて見るねぇ。」「あ、○○と言います。いつも一応店の中にはいるんですょ~。」相方はかなり明るい奴なので、いつもの調子で、悪く言えば馴れ馴れしい口調で話し出した。俺が、「○○円になります。」と言うと、おばさんは財布から1万円札を取り出してレジに置き、相方を見てこう言った。「あんた、怖いもん見た事ないやろぅ。」突然のおばさん強い口調に、俺も相方もギョッとした。相方が、怪訝そうに、「ハイ・・・?」と答えると、「いっぱい、いっぱい悲しい。あんたあかんよ。」店員二人沈黙。「うちが喋り出したら皆そんな顔しよる。うちが日本語使えへん思てるんちゃうか?」...日々の恐怖6月2日コンビニ(2)

  • 日々の恐怖 5月30日 コンビニ(1)

    日々の恐怖5月30日コンビニ(1)うちのコンビニに、週3回毎朝5時過ぎにやってくる初老のおばさんがいる。週3回全て俺が入ってる日、決まって俺が店内で一人で作業してる時に来る。雨の日でもズブ濡れになりながら来る。毎回水鉄砲、水風船、関連性の無い漫画やレディコミ、お菓子をカゴ一杯に詰めてレジにやってきては、「子供がね、いっぱいいるんよ、いっぱい。」「○○言います私。」「機嫌のええ時はいいんやけどね。また、かんしゃく起こすさけね。」などと、聞いてもいないのに訳の分からない事を一人で喋っている。”あぁ・・・、若年層の認知症かなぁ・・・。”自分の子供が小さい時の事で時間が止まってるんだろう。そんな事を考えて適当に接客していた。「○○円になります。」と言うと、ピタっと話しを止めてキチンと代金は支払うし、店にとって害は...日々の恐怖5月30日コンビニ(1)

  • 日々の恐怖 5月26日 女の幽霊

    日々の恐怖5月26日女の幽霊私のおばが大型ショッピングモールで清掃のパートをしてた時の話です。当時オープンから一年ほど経ってはいたものの建物も設備もまだまだ綺麗で、田舎の割に繁盛していた。しかし、そこに勤める従業員の間で不穏な噂が流れ出した。それは、二階のトイレに女の幽霊が出るというものだった。話としてはありがちだが、記述の通り建物も新しく、元々はただの田畑で曰く付きの土地でもない。おばが初めてその噂を耳にした時は、学校の怪談とか都市伝説くらいの感覚だったらしい。しかし、その噂が出るのと時を同じくして、従業員の怪我や病気が増えていった。とはいえ何百人もの人が働いていれば多少の偶然はあるだろう。だか不思議な事に、怪我や病気になった従業員の大半は二階フロアで働く人ばかりだった。そこのショッピングモールは防犯も...日々の恐怖5月26日女の幽霊

  • 日々の恐怖 5月21日 じーちゃん

    日々の恐怖5月21日じーちゃん前にじーちゃんが亡くなった時の話です。俺ん家とじーちゃん家は隣り町で、ジジババっ子の俺は小さい時は毎週末のように遊びに行って、サザエさん見てみんなで飯食って帰るのが日曜の楽しみだったんだけど、社会人になってからは仕事が忙しいのと住んでるトコも離れちゃって、ここ4、5年は盆暮れ正月くらいしか顔を出さなくなってた。それでもジジババは満面の笑みで迎えてくれたりして、もっと短い間隔で来れたらなぁとか思ってた。んである日の朝、会社行く支度してたら突然ばーちゃんから電話があって、『朝起きたらじーちゃん突然冷たくなって全然動かない』って震えた声で言われて、会社に連絡すんのも忘れて飛んでった。じーちゃん家についたら、俺の両親とばーちゃんと親戚の人が先に来てて、じーちゃんの寝てる布団の周りに座...日々の恐怖5月21日じーちゃん

  • 日々の恐怖 5月18日 心が弱ったとき思い出す、ある人の”じーちゃんの話”

    日々の恐怖5月18日心が弱ったとき思い出す、ある人の”じーちゃんの話”うちのじーちゃんは、とある伝説の持ち主である。じーちゃんは何の病気か知らんが、俺がちっさいころに死んだ。そのとき、ハートビートセンサーっていうのか?心拍が止まった時に、”ピーーーーーー!”てなる奴あるじゃん?アレが、”ピーーーーーー!”って鳴って、脈とって医者が、「ご臨終です。」って言ったのよ。その瞬間、じーちゃんが”がばっ!!!!”って上半身はね起きて、ニッカリ笑って、「根性の勝ちや!」って言った。一同、心臓が飛び出るくらいに驚いた。看護婦さんが、点滴のつり下げる台に引っかかってこけてたのを覚えてる。おかげでじいちゃんの死に顔はニッカリ笑顔だった。そのまま上半身だけ起こした姿で、もっかい死んだ。遺書にこうあった。”昔、軍に居た頃に、先...日々の恐怖5月18日心が弱ったとき思い出す、ある人の”じーちゃんの話”

  • 日々の恐怖 5月11日 コースターの顔

    日々の恐怖5月11日コースターの顔あるとき、会社の飲み会である同僚の隣になったことがありました。飲み会は盛り上がり、かなり時間が経ち、寝始める人や帰る人もいる中、お酒が強い私と同僚はほとんど飲み比べのようになっていました。しばらくして、ふと同僚がグラスを載せる紙の丸いコースターに、人の顔を描いていることに気がつきました。”ずいぶん子どもっぽいことをするなァ・・・。”と思った私は、「それ何してるの?」と同僚に訊ねました。すると同僚は、「ああ・・・・。」と返事をして、「酔っていると思って聞いて。」と言いました。「はなから、そのつもりだよ。」と私が答えると、同僚はこんなことを話し始めました。「実はさ、俺むかしから、しょっちゅうのっぺらぼうを見るんだよ。」同僚の地元は温泉街で、家にあるお風呂に入るよりも近所の温泉...日々の恐怖5月11日コースターの顔

  • 日々の恐怖 5月2日 再会(5)

    日々の恐怖5月2日再会(5)激しく混乱しているのは明らかだった。話をしている最中も奇妙な仕草を取った。奴はバシバシ自分の頭を叩きながら、ごくごくお茶を飲んだりした。突然額の上の部分を押さえて、「また声が聞こえてきた。」などとうめいた。俺に耳を当てて聞いてくれと言うのでその通りにしたが、何も聞こえなかった。だがその間、奴は聞き取れないほどの早口で、時代がかった言葉を唱えたりした。支離滅裂な話に数時間付き合わされたせいで、こちらもひどく消耗してしまった。「俺はお前のことを覚えていない。」奴にそう言われて、かなり安堵したのは確かだ。こちらの手におえる話ではない。係わり合いになるのも嫌だと感じ始めていた。「お前もすぐに俺のことを見失うさ。」一瞬奴の表情が変わった。はっきりと悪意を感じた。「こいつは俺のもんだ。」背...日々の恐怖5月2日再会(5)

  • 日々の恐怖 4月25日 再会(4)

    日々の恐怖4月25日再会(4)その声は、ある時は歌いながら、またある時は怒鳴りながら、しつこく奴に語りかけた。奴はとうとう根負けして、その声に耳を貸した。「会話が成立したんだよ。ここが分裂病と違うところだ。」奴は声の主にその証拠を見せろと言ったらしい。「あの体育教師が事故って死んだだろ。」奴を目の敵にしていた教師が死んだと言うのだが、そんな事実は無かった。「A子から告ってきたよ。」学校でも美人で人気があった女の子が、奴に付き合ってくれと言ってきたそうだが、彼女は他の男とずっと付き合っていた。俺がその事を否定すると、奴は自信ありげに答えた。「新聞の切り抜きもあるし、A子からもらった手紙もあるんだ。」おまえの妄想だと言うと、奴は笑いながらぼろぼろになった学生証を見せた。「最初のうちはうまくいってた。受験勉強な...日々の恐怖4月25日再会(4)

  • 日々の恐怖 4月17日 再会(3)

    日々の恐怖4月17日再会(3)俺は悲しくなって奴の肩に手をかけた。「俺××だよ。そっちこそ俺のこと忘れたのか?それより、どうしてここにいるんだ?向こうの大学に行ってたんじゃないのか?」奴は何も答えず、自分の頭を手でなでている。「立ち話もなんだ、どっかファミレスでも入るか?」「いや、人がいる所じゃ緊張してしゃべれない。誰もいない静かな場所がいい。」奴はそれだけ言うと、自分の自転車にまたがった。そして行く先も告げず、いきなり立ちこぎしながら走り出した。辿り着いた場所は、倉庫が立ち並ぶ埠頭だった。奴は自転車を降りると、自動販売機でお茶を買った。それから防波堤に腰掛け、ポケットから薬袋を取り出すと、幾つかの錠剤を飲んだ。その間、会話は無かった。俺が隣に座り、二、三話し掛けるが、目を閉じてうつむいている。成す術もな...日々の恐怖4月17日再会(3)

  • 日々の恐怖 4月11日 再会(2)

    日々の恐怖4月11日再会(2)それから二年の月日がたったある日、俺はバイト先の古本屋で奴に再会した。うだつのあがらない退屈な日々を過ごしていた俺は、時々奴のことを思い出していたのだが、その再会は思いも寄らぬ事だった。奴は深夜閉店間際に現れた。一目でその異様さに気が付いたが、それが奴だと分からなかった。つるつる頭に銀縁めがね、白髪まじりの無精ひげ。がりがりに痩せこけていた。「すいません、もう閉店なんすけど。」俺は立ち読みに耽る奴に声をかけた。顔の肌はアトピーで荒れ、眉毛は無かった。それでもかすかに面影があった。「もしかして○○?」思わずそう訊ねると、奴はあらぬ方をきょろきょろ窺いながら、後ずさりするみたいに店を出て行った。ショックだった。あれが本当にあいつなら、完全に気がふれていると思ったからだ。その夜、複...日々の恐怖4月11日再会(2)

  • 日々の恐怖 4月6日 再会(1)

    日々の恐怖4月6日再会(1)かなり前の話になる。ある日、俺は中高時代に友人だった男と二年ぶりに再会した。まず、そいつのことを紹介しないと話は始まらない。少し長くなるが、興味のある人は聞いてくれ。そいつと俺が通っていた高校は、まあ平凡な進学校というのか、市内で五番目くらいのレベル、というと想像できるだろうか。そんな高校の落ちこぼれグループに、俺とそいつはいた。中途半端なヤンキーですらない、今思うと恥ずかしいツッパリみたいなものか。くだらない事でいきがる、バカそのものだった。で、そいつは三年になってからがらっと人が変わった。何があったのか知らないが、受験勉強に専念し始めた。学校にいる間は、休み時間もずっと勉強していた。俺らとの付き合いを一切断ち、傍から見ると呆れるくらい一心不乱に勉強した。成績も夏休み前くらい...日々の恐怖4月6日再会(1)

  • 日々の恐怖 3月29日 鍵

    日々の恐怖3月29日鍵ある男性とのおつき合いが始まった頃、彼がアメリカに2週間程出張するというので、当時、仕事もなかった私は、彼の三匹の猫の世話で、彼の家で2週間留守番することにしました。でも、彼の家では前の奥さんが亡くなっていて、(もっとも、亡くなって7年ほどになりますが)亡くなっているとはいえ、私が先妻の立場だったら、嫌なんじゃないかと思っていました。そして、アメリカに行く彼を見送った帰り、彼の家に戻ってほっと一息ついたとき、ふと飾ってある亡くなった奥さんの遺影に、「私がここにいてもいいのかしらん?」と尋ねました。次の日、買い物に行こうと玄関に置いてある鍵をみると、家の鍵だけがなくなっています。車の鍵と一緒にコイル状の金具できっちり付いていたはずなのに見つかりません。家中探しましたが、その日は結局見つ...日々の恐怖3月29日鍵

  • 日々の恐怖 3月20日 石の家(3)

    日々の恐怖3月20日石の家(3)会社に戻るといきなり社長に俺たちは怒られた。コウさんが激怒して会社辞めるって飛び出した。「お前たち何したんだ!」って怒られたけど、俺たちに分かるわけがない。だから社長に、「あの石のある蔵を壊そうとしたらコウさんは怒り出して、いきなり帰ったんでわかりません。」て言ったら、社長は俺たちを突き飛ばすようにダンプに積んだ石の所に行って、「早くこれを運ばんか!」って怒鳴り始めた。本当に訳がわからなかったけれど、社長の言う通りに応接間にその石を社員総出で運んだ。そして社長は、それを応接間のソファーの上に置かせた。それから暫くして、社長はその石にお茶を出したり話しかけたりするようになった。俺たちと社長の息子は気持ち悪いと思ってたけれど、何も言わなかった。1週間くらいしたら、社長が突然、「...日々の恐怖3月20日石の家(3)

  • 日々の恐怖 3月14日 石の家(2)

    日々の恐怖3月14日石の家(2)興味の出た俺は、その家に入って社長たちを探すことにした。門から入ると、母屋と荒れてはいるが広い庭。そしてその庭の片隅には蔵が三つ並んでた。ちょうどそこに社長の息子の姿があったから、俺は蔵の方に歩いて行った。社長と息子がいたのは、三つの蔵のうち真ん中の蔵。社長はその中にいたんだけど、その蔵の中が変わっていた。その真ん中の蔵だけ正方形で、その中央に土俵みたいに円の形で、白い石が埋め込まれてて、そのまた円の中央に、1m真っ角くらいの黒い石の板と、直径1mくらいの白い石の板が向かい合うように立っていて、社長はそれをずっと眺めていた。俺は、”モノリスみて~だなァ~、気色ワリィ~。”としか思わなかった。その日はその家を調査して帰ったが、数日後すぐにその家の解体を請けることが決まった。解...日々の恐怖3月14日石の家(2)

  • 日々の恐怖 3月7日 石の家(1)

    日々の恐怖3月7日石の家(1)昔、解体屋でバイトをしていた。家屋を解体してると、いろんな変わった家もあるし、中から変わったもんも出てくる。特に、山の方の古民家や古民家はアツい。押入れの中に骨がギュウギュウに入ってたり、漆喰っていうか塗り物の壁の中に、長い髪の毛が入ってたり、家の真ん中に入口のない部屋があって、そこに小さい鳥居が立ってたり。結局は、何でもかんでも壊してダンプに乗せて捨てちゃうんだけど。余りにも気味の悪いもんや縁起モンは酒と塩かけて、まあ結局は捨てる。そんな中でもある日、某渓谷のとある古くからの豪邸を壊す仕事を持ちかけられた。そして俺は社長と一緒に運転手として下見に行った。家の中の残置物とかの確認は、見積もりする社長とその息子が見るから、俺は車外でタバコ吸ってジャンプ読んでた。すると田舎に珍し...日々の恐怖3月7日石の家(1)

  • 日々の恐怖 2月26日 建物を間違えちゃったのかな?

    日々の恐怖2月26日建物を間違えちゃったのかな?不動産会社にいたときの話です。入居して1ヶ月もしない入居者から、『この部屋、以前何かありましたか?』とTEL。俺:「イイエ、特に何もありませんが。」数日後、また同じ入居者から『本当に何もありませんでしたか?』とTEL。一応、先輩社員から確認したが特に何もないので、俺:「調べましたが、特に何もありませんでした。」と返答。またまた数日後、入居者から、『一度きてください、絶対なにかあります。』俺:「では近くに行ったときか、時間ができたら伺います。」でも、どうせ池沼のクレーマーだと放置。またまた、数日後、『あんた来てくれるっていたじゃないか!』ってお怒りモード。少々お怒りなので詳しく話を聞くと、特に浴室、『暖かい風呂に入っていても寒気がする。』とのこと。まぁ、怒らせ...日々の恐怖2月26日建物を間違えちゃったのかな?

  • 日々の恐怖 2月22日 佐藤さん

    日々の恐怖2月22日佐藤さん親父から聞いた話です。親父が大学3~4年の間、男3人で小さくて古い一軒家を借りて住んでいた。といっても、家賃をちゃんと払ってるのは親父と鈴木さんだけ。もう一人の佐藤さんはあまりにも貧乏なので、居候させる代わりに家の掃除、ゴミ出しなどをやってもらうことにしていた。親父と鈴木さんは、佐藤さんの困窮ぶりを助けてやろうということだったようだ。間取りは3LDKで、LDK6畳・6畳・6畳に4畳半。佐藤さんが4畳半。この佐藤さんの4畳半に出た。親父も鈴木さんも何度も見たのが、恨めしそうに正座する白髪の老婆。出るタイミングも朝昼晩関係なし。多い時には一日に三回くらい見る。4畳半の襖が開いている時、何気なく目をやると、中に白髪の老婆が恐ろしい形相で正座している。来客の中にも見た人が5人ほどいたら...日々の恐怖2月22日佐藤さん

  • 日々の恐怖 2月11日 町内会長

    日々の恐怖2月11日町内会長23区内私鉄沿線住宅地での話。10年ぐらい前に爺さん地主が死んで、50代の息子夫婦が越してきた。越してきて1年ぐらい経ってから、奥さんの姿が見えなくなり、一人残された旦那の奇行が始まった。・一日中、隣近所に聞こえるような大音量でクラシック音楽(主にベートーベン)を鳴らし続ける。・庭に裸のマネキン人形を運んできて並べる。そして、金色に塗りたくってライトアップ。・昼間は冬でも海パン一丁でベランダに出て、不思議な体操を何時間も踊り続ける。・隣近所に対して罵声を浴びせまくり、洗濯物にホースで放水。うちの家からこの地主の家は良く見える位置にあったんだが、しょっちゅう隣近所からの通報でパトカーが来ていた。そんな日々が3~4年続いて、ある日、迷惑行為がプツリと止んで、息子の姿が見えなくなった...日々の恐怖2月11日町内会長

  • 日々の恐怖 2月1日 服

    日々の恐怖2月1日服知人の祖母・Nさんが若い頃体験した話だ。Nさんにはお気に入りの服があった。生成り地に小花が少し刺繍された、可愛らしいデザインのワンピース。Nさんはその日も、お気に入りのワンピースを着て買い物に出かけた。そして帰宅後はすぐに着替え、ワンピースをハンガーに通して鴨居にかける。湿気を飛ばしてからしまう為だ。そうしている内に、外出の疲れからか、ついうたた寝をしてしまったのだそうだ。しばらくして目が覚めたNさんは、ぼんやりとあたりを見回した。すると、鴨居にかけたワンピースが、風もないのに揺れているではないか。不思議に思い目をこらすと、裾から見え隠れする物がある。生成りのワンピースより、もっと白い何か。それは音もなく降りて来た。人の爪先であった。凍りつくNさんをよそに、白い脚はゆっくりと降りて来て...日々の恐怖2月1日服

  • 日々の恐怖 1月25日 足(2)

    日々の恐怖1月25日足(2)同じ先輩がやはり小学4年生晩秋の頃に体験した話です。その日は風邪気味で学校を休んでおり、自宅の2階にある自室で布団にくるまっていた。ぼんやりとベッド横の窓から外を眺めていると、家の前にある道に、喪服のような黒い服と帽子をまとった髪の長い女性が、俯いて立っていることに気がついた。何故かその女性のことが気になり、彼女はベランダに出ていった。なぜそのようなことを考えたのか、後になって振り返ってみてもよくわからないという。すると彼女がベランダに出ると同時に、その女性がふっと顔をあげた。その顔は雪のように白かった。比喩ではなく本当に肌が真っ白だったのだ。そしてつぶやいた。そのつぶやきは離れているはずの彼女にもはっきり聞こえたという。「足が欲しい。」気がつくと彼女は部屋で倒れていた。時計を...日々の恐怖1月25日足(2)

  • 日々の恐怖 1月21日 足(1)

    日々の恐怖1月21日足(1)大学時代、一つ上の先輩(女性)から聞いた話です。小学4年生の夏頃、学校から帰るときいつもある脇道からでてくる中年の男性がいた。しかも常に彼女がその脇道を通りかかる時に出てきてぼんやりと立っていたという。幼心ながら不気味に思っていた先輩はそのことを母親に相談した所、しばらく車で送り迎えをすることになった。1ヶ月ほど車で送り迎えを行った後、もうそろそろいいだろうと言いことになり再び徒歩での登下校になった。そして実際、それからしばらくは何も無かった。しかし、その男は再び現れた。彼女がいつものように帰り道を歩き例の脇道にさしかかったときだった。ヌッと誰かが脇道から出てきた。あの中年の男だった。そしていつも黙って立っているだけだった男は、彼女の方をみてこう言った。「足が欲しい。」気がつく...日々の恐怖1月21日足(1)

  • 日々の恐怖 1月14日 輸入雑貨(3)

    日々の恐怖1月14日輸入雑貨(3)しかし、俺の主張に彼女は難色を示した。「あれが原因とは限らないじゃん。違ってたらもったいないもん。」どうしても捨てるのは嫌だと言う彼女と折衝を重ねた結果、とりあえず何日か俺が預かってみることで話が付いた。俺はネックレスを持ち帰り、彼女がしていたようにベッドの脇に置いて眠ってみたが、特に悪夢は見なかった。だが、彼女の方は効果覿面だった。ネックレスを手元に置かなくなってから、悪夢を見る事がなくなったのだ。明らかな変化に、今度は彼女の方から処分を頼んできた。彼女は俺が鈍感だから影響を受けないのだと茶化したが、「だからって普通に捨てたりしないで、ちゃんとした人にやってもらってね。」と俺の身を案じてくれた。俺は彼女の言葉に従い、神社で禰宜をやっている知人に処分をお願いした。そのネッ...日々の恐怖1月14日輸入雑貨(3)

  • 日々の恐怖 1月6日 輸入雑貨(2)

    日々の恐怖1月6日輸入雑貨(2)結果的に上手く騙されたような気がしないでもなかったが、彼女はああいう妙な小技を瞬時に繰り出せるほど器用なタイプではない。あの時の嫌な感じはただの気のせいだと自分に言い聞かせ、「今後、記念日は月一回だけな。それ以上は認めん!」と彼女を小突いた。夕食を摂ろうと入ったレストランで、注文の品が来るまでの暇つぶしに、彼女はさっきのネックレスを取り出し、さっそく首に掛けた。「どう?似合う?」と笑ってみせる彼女は実に嬉しげだったのだが、胸元にかかったそのネックレスをまじまじと見直してから、「あれ・・・・?」と首をかしげた。「なんか思ったより地味。こんなだったっけ?」そのネックレスはバッファローの角を楕円に削った黒と白の大きなビーズの間に、緑と黄色の小さなガラスビーズが交互に挟まれているだ...日々の恐怖1月6日輸入雑貨(2)

  • 日々の恐怖 12月31日 輸入雑貨(1)

    日々の恐怖12月31日輸入雑貨(1)今の彼女と付き合い始めたばかりの頃の話です。とある駅前で彼女と待ち合わせをしていたのだが、その日は時間より早く着いてしまった。近くに喫煙所があったのでそこで煙草を吸っていると、すぐ近くで黒人男性が露店の準備をし始めた。並べているのは、カラフルなビーズで作られたネックレスやブレスレット。どれも鮮やかな原色が多用されており、大ぶりなビーズが多く使われた派手なものばかりだ。退屈なので横目で品物を見ていると、その黒人が視線に気付いて声をかけてきた。「オニイサン、見テッテヨ。コレ、アフリカ本物ネ。ケニア、コンゴ、スーダン、イロンナ国ノヨ。安イ安イヨ。」いや俺そんなの付けないし、と断ろうとした時、運悪く彼女が来てしまった。「お待たせ~、あ、カワイイ!」俺の顔もろくに見ないうちから、...日々の恐怖12月31日輸入雑貨(1)

  • 日々の恐怖 12月24日 病院の夜の巡回

    日々の恐怖12月24日病院の夜の巡回前勤めてた病院での話です。夜中に巡回してたら、二人部屋からうなり声がした。二人部屋の一人は入院したてで症状が重く、全然意識のないおじさんA。もう一人も時々弱くうなるだけで、1ヶ月ずっと夢の中にいる寝たきりのおじいちゃんB。”Bさんがうなったのかな?”と思い訪室すると、寝たきりのはずのBさんのベッドが空だった。”えっ?”と思って部屋を見回し、巡らせた目が真後ろの開いたドアをとらえた時、廊下の光を背にして立つガリガリのBさんがいた。点滴抜いて左半身血まみれだ。あごが外れるくらい口を開いて、目は前方斜め上を見ている。”えっ、えっ、なにこれ?”と混乱していたらBさん、「ぅうぅうううおおおーー!」と雄叫びとともに、両手を横に広げて倒れ込んできた。突然のことに私は悲鳴を上げてしりも...日々の恐怖12月24日病院の夜の巡回

  • 日々の恐怖 12月17日 モニター

    日々の恐怖12月17日モニター俺が警備員やってたのは、テナントがいくつか入ってるビルだった。常駐警備員ってのは途中に待機時間あるくらいで、基本的に交代制の24時間勤務だ。故に深夜ビル内の巡回や駐車場の巡回なんかもやるんだけど、必ず決まった時間に発報するパッシブセンサー(人影とかで反応する)箇所がある。先輩や隊長からは、「あのパッシブはオカルト発報だから。」って聞いていたから、あまり気にしていなかった。でも、発報あれば一応行かなきゃいけないのが警備員だから、一応行く、6階に。でもって毎度のことながら発報したんだが、俺は駐車場の巡回をしていた。無線で、「また発報したよ、外から何か見える?」って言われたから、「見て来ます。」って言って、ビルの表に回って6階を見上げた。外から見て初めて気付づいたんだけど、6階のパ...日々の恐怖12月17日モニター

  • 日々の恐怖 12月9日 二つ目の玄関(2)

    日々の恐怖12月9日二つ目の玄関(2)どうやら彼女の生まれた集落では、死者が彼女の家を訪ねることは、死者を送る一連の手順に含まれているようだ。いや、送られるための手順といったほうが正確か。死んでから四十九日を終えるまでの間に、彼女の家を訪れることで、迷わず向こうへ旅立てる。そんな風習というか、思想のようなものを集落全体で共有している。なにがどうなってそんな話になったのかは、誰も知らない。知らないが、そういう考えがある以上、軽々に玄関を変えるのも気が引ける。古い玄関を残したのは、そういう理由らしい。「ドアのほうには来ないんだ?」「そう。なんでか知らないけど、古いほうだけ。」昔は普通の客も死者もそちらに来たから、区別はできなかった。今は、普通の客はドアのほうに来るのでわかりやすいらしい。「昔は嫌だったな~、お...日々の恐怖12月9日二つ目の玄関(2)

  • 日々の恐怖 12月3日 二つ目の玄関(1)

    日々の恐怖12月3日二つ目の玄関(1)彼女の家には玄関が二つある。ひとつは、ドア。ご家庭にある玄関ドアをイメージして貰えばおおむね合っているだろう、普通のドアだ。もうひとつは引き戸。星のような放射状の模様がある型板ガラスを使った、古い引き戸だ。開け閉めするたびガラガラうるさいという。ドアが二つあるというと二世帯住宅を想像するが、そうではない。彼女の家は普通の一軒家だ。玄関が二つあるということと、それに付随して変則的な間取りになっている以外、特筆するところはない。なんでも古い家を壊すとき、祖父母の希望でわざわざ残したらしい。つまり、引き戸のある場所が元々は玄関だったわけだ。それを残して新しい家を建てた。そしてわざわざ新しい玄関も作った。そういうことらしい。「なんだってまた、そんなことを?」「死んだ人が訪ねて...日々の恐怖12月3日二つ目の玄関(1)

  • 日々の恐怖 11月24日 Reserved seats(2)

    日々の恐怖11月24日Reservedseats(2)私が頷くのを見届けてから、彼は話しはじめた。「いや、大した話ではないんですけどね。親父が定食屋を改装してこの喫茶店をはじめてから、なぜだかあんなことになったんです。あの予約席のプレート、いくら片付けても、朝になったら勝手にあそこに置かれてるんですよ。もちろん、誰も触ったりしてませんよ。プレートを捨てても、いつの間にかあそこに戻ってきてるんです。それにあの席、妙にひんやりとして寒気がすると思ったら、別の時は、今しがたまで誰かが座ってたような温もりが残っていることもあって。正直、気味が悪いんです。一度椅子ごと撤去したこともあったんですがね。次の日私が来たら、店の窓ガラスが全部割れていて、それも内側から。その後も雨漏りやら空調の不調が続いて、結局椅子を戻した...日々の恐怖11月24日Reservedseats(2)

  • 日々の恐怖 11月20日 Reserved seats(1)

    日々の恐怖11月20日Reservedseats(1)雰囲気の良いジャズ喫茶だった。中に入るとコーヒーのかぐわしい香りが漂い、音楽は耳に心地よい。何時間でも居座れるような空間で、実際店内にはいつも、長居の常連客の姿があった。現在切り盛りしている店主は二代目で、初代は戦後の混乱期、小さな定食屋からこの店を始めたそうだ。そして晩年、念願だったジャズ喫茶へ趣旨変更したらしい。この店のカウンターの一番奥の席には、いつでも予約席のプレートが置かれている。しかし、実際に誰かが座っていることはない。その席は、先代店主の戦友専用のものらしい。先代店主は戦時中、出征先で戦友たちと夢を語らった。そして、いつか自分が大好きなコーヒーとジャズの店を開くから、その時はお前たち必ず来いよと約束したそうだ。先代店主はなんとか生きて帰る...日々の恐怖11月20日Reservedseats(1)

  • 日々の恐怖 11月11日 校庭を通る人達

    日々の恐怖11月11日校庭を通る人達生前小学校の教員をしていた祖父が大学生だった頃の話です。ちなみに場所は宮城県です。先に学校を卒業して県内の小学校に勤めていた先輩に、「年末年始の宿直を代わってほしい。」と頼まれた祖父は、先輩の頼みをバイト感覚で引き受けました。その小学校は村外れに建っていて、学校の西の方には村の人たちの作業場(木を切ったりとか何かしていたそうです)があり、学校を挟んで、東の方には村の人たちの家がありました。学校の北側に作業場と村の人たちの家をつなぐ道があって、校舎はその道の南側に建っていました。ところが、日が暮れると村の人たちは、西の作業場から東の自宅まで、校舎の北の道ではなく、校舎の南側、つまり校庭の中を通って帰っていたそうです。宿直係の祖父としては校庭に勝手に入られると困るんですが、...日々の恐怖11月11日校庭を通る人達

  • 日々の恐怖 11月6日 子供の幽霊

    日々の恐怖11月6日子供の幽霊友人Kの家には子供の幽霊がいた。右の頬に赤アザのある、小さい女の子だった。歳は小学校低学年か、もしかしたら未就学児だったかもしれないというから、幼いと言っていい。ごく普通のシャツとスカート姿だったけれど、季節を問わず、あかね色のはんてんを着ていたという。その子はKが中学生の頃に現れるようになったそうだ。最初に見つけたのは中廊下だった。L字の廊下を曲がっていく背中を見たのだという。驚いて追いかけたが、女の子は煙のように消えていた。廊下の先の部屋も調べたが、見つけることはできなかった。その日以降、Kの家の中では女の子がたびたび目撃されるようになった。最初はKだけが見ていたが、そのうち家族も見るようになった。女の子は、家の敷地の中ならどこにでも現れた。母親の家庭菜園を眺めていること...日々の恐怖11月6日子供の幽霊

  • 日々の恐怖 10月30日 石鹸

    日々の恐怖10月30日石鹸小学校の教員をしていた友人から聞いた話である。当時友人が勤務していた小学校は、都市部と田園部が半々といった場所だった。ある初夏の頃、学校の校庭にある手洗い場の石鹸が盗まれるという小さな事件が続いた。水道の蛇口の根元に縛り付けられた、赤いビニールネットに入ったレモン石鹸である。新しいものに付け替えても、すぐに何者かがカッターのようなものでネットを切り裂いて、中の石鹸を持ち去ってしまうのである。始めのうちは、「物好きもいるものだ。」と職員室の軽い話題でしかなかったが、事件が頻発し目撃者がだれもいないという事で、やがて校舎の内外を管理する教頭が乗り出してきた。教頭は、「いたずら者を捕まえて、しっかりと指導しなくては!」と意気込んで、付近の見回りを強化したのだが、犯人の目星もつけられない...日々の恐怖10月30日石鹸

  • 日々の恐怖 10月22日 不動産屋(6)

    日々の恐怖10月22日不動産屋(6)一昨日、男の姉がKさんに謝罪に来てくれたのだという。そして男の奇怪な行動について話してくれた。姉が男から聞いた話によると、男は彼女が自殺をした後、部屋に篭りがちになっていた。しかし夜になると誰からか見られているような不安な気持ちになる。気になって窓から外をそっと覗いてみると、近くの道路に死んだはずの彼女がこちらを見て立っていた。女性はしばらくそのままでその後、どこかに去っていく。毎日それが続き、我慢できなくなった男は彼女の後を追うことにした。彼女に気づかれないよう静かに後を追うと、Kさんの住んでいるアパートに行き着いた。しかし彼女は部屋の前まで来ると姿は消えてしまう。彼女が部屋に入ったのだと思って、部屋の前まで忍び寄り、様子を伺うのだがどうにもならない。どうにもならない...日々の恐怖10月22日不動産屋(6)

  • 日々の恐怖 10月14日 不動産屋(5)

    日々の恐怖10月14日不動産屋(5)俺は警察官から男の素性について聞いて驚いた。男はKさんの部屋で自殺した女性と知り合いだった。以前、男は女性と付き合っていたがしばらくして別れたとの事だった。しかし女性の方が未練があり、ストーカーになってしまったのだという。女性はその後自殺、男も女性からの激しいストーカー行為に心を病んでしまい、病院の精神科に通院していたようだ。Kさんの部屋に行った動機に関しては、あいまいな事を言っていて良く分らないとのことだった。結局、男は家族に向かいに来てもらい、そのまま実家で療養することになった。事件はとりあえず解決し、Kさんも一安心した様子で別れた。翌日、仕事に行きMさんに昨日の出来事を話した。「幽霊の正体見たり、ですよ。」俺は得意そうに言い、「いわくつきの物件は出る出るというけど...日々の恐怖10月14日不動産屋(5)

  • 日々の恐怖 10月7日 不動産屋(4)

    日々の恐怖10月7日不動産屋(4)Kさんの住むアパートまでは俺の自宅から自転車で十分位の所にあり、急いで現場に向かった。アパートの隣接する道路まで来て遠目に部屋を見ると、アパートの電灯の中に人影が見える。自転車を降り、静かに歩いてアパートの入り口まで来ると、そこには黒い薄手のジャンパーに青色のジーパン姿の男が、Kさんの部屋の前で何か怒鳴っているのが見えた。警察はまだ来ていなく、どうしようか迷って立ち尽くしていると、男が不意にこちらに顔を向けた。男は人がいる事に気づいて驚いたが直ぐに顔を隠すように俯き、こちらに向かってくる。そして入り口で立ち止まっている俺の脇をすり抜けるように男は立ち去ろうとしていたので、逃げられると思い咄嗟に男の腕をつかんだ。男は俺の手を振り払い逃げ出そうとしたので、今度は男の腰にしがみ...日々の恐怖10月7日不動産屋(4)

  • 日々の恐怖 9月29日 不動産屋(3)

    日々の恐怖9月29日不動産屋(3)しかし、それから二週間ぐらいが経って、またKさんから以前と同じような事が起きたと言う連絡を受けた。俺はただ事ではないと思い、彼に直接会って話を聞きくことにした。それによるとKさんはその日の夜、二時ぐらいまでゲームをしていた。すると突然、どこからか革靴のコツコツと鳴る足音が聞こえてきた。足音はだんだんと近づいてきて部屋の前まで来ると止まり、その後ドアを激しく叩く音が聞こえ、それと同時に男の怒鳴り声が聞こえてきたという。男は、「いい加減にしろ!」「もう俺に付きまとうな!」などと言っていて、十分ぐらいそれが続いた後、静かになったということだった。霊とかオカルトが平気なKさんもこれには参ったらしく、青ざめた表情を浮かべていた。警察に通報しようかどうか考えたが、またその男が来るかも...日々の恐怖9月29日不動産屋(3)

  • 日々の恐怖 9月19日 不動産屋(2)

    日々の恐怖9月19日不動産屋(2)興味を持った俺は、Kさんに紹介する部屋の事について聞いてみた。その部屋は一人暮らしの二十代の女性が半年くらい前に自殺した部屋で、事件後は誰も借り手がついていない物件だった。実際に部屋を見てみたくなった俺はKさんの担当を代わってもらい、二日後にKさんと共に部屋を見に行った。部屋に行く途中、Kさんと話をしたのだが、彼は霊などのオカルトは全く信じていないようで、以前にもいわくつきの部屋に住んでいたという。その時も特に霊体験をしたことはなかったそう。アパートは築八年ほどの二階建てのごく平凡な建物だった。以前は近くにある機械の部品組み立て工場で働く、一人暮らしの派遣労働者がほとんど入居者だったようだが、不況の煽りを受け派遣切りがあったので、今ではアパートの入居率は2割ほどしかいない...日々の恐怖9月19日不動産屋(2)

  • 日々の恐怖 9月12日 不動産屋(1)

    日々の恐怖9月12日不動産屋(1)俺は一年前から不動産の仕事をしている。主な仕事は部屋の紹介など。そこの不動産会社は高校の部活の先輩、Mさんが勤務していて、そのつてで紹介してもらった。ある時、二十代ぐらいの男性が部屋を探しに来た。その男性、Kさんからいわくつきの物件を紹介して欲しいと言われたのだ。突然の事に要領の得ない俺の様子をみて、先輩のMさんが間に入ってくれた。「お客さん、そうゆうものをお探しならこちらへ。」「後は俺がやるから大丈夫だ。」と代わってくれた。Kさんが帰った後、Mさんが事情を話してくれた。Mさんによると時々、Kさんの様にいわくつき部屋を狙ってやってくる客がいるのだそう。目的は大体二つに別れていて、一つは怖いもの見たさや興味本位で、もう一つは家賃が安いからとの事。Kさんは後者だった。この仕事...日々の恐怖9月12日不動産屋(1)

  • 日々の恐怖 9月5日 オッサンの家(6)

    日々の恐怖9月5日オッサンの家(6)それからは見知らぬ人達が家を出入りするようになった。たぶん霊媒師だと思った。その頃から家の中は変なお香の匂いと、訳の分からない念仏みたいのが聞こえ続け、近所から苦情が来る毎日だった。俺の高校の入学式にも両親は顔も見せず、家族バラバラで部屋で過ごす日々が続いた。夏頃に異音と泣き声は無くなった。どっかの霊媒師が成功したみたいだと俺は思ったが、誰も居間に寄り付かなかった。その後、俺は高校3年になり東京の大学に進学が決まり、母とオッサンと縁を切りたかったので新聞奨学生の手続きをしてた2月の終わりに、また異音が鳴り始めた。しかも今度は家中で聞こえるようになった。俺は話すタイミングはここしかないと思って、卒業式の次の日に弟と妹に兄から聞いた話をした。当然、その夜に母とオッサンに呼ば...日々の恐怖9月5日オッサンの家(6)

  • 日々の恐怖 9月1日 オッサンの家(5)

    日々の恐怖9月1日オッサンの家(5)ある日、オッサンが納骨も終わって落ち着いたぐらいに、「今夜は帰らん。」と言ってどっかに行った。兄が夜1時過ぎにトイレに行ったら、オッサンが血相変えて帰ってきて、仏間に飛び込んで念仏みたいのを唱えてた。それで、また母親が出たんだなと理解したそうだ。さらに、兄が中学に上がる頃から異音が鳴るようになり、赤ちゃんの鳴き声がするようになった。家の中でしか寝れないし、原因不明の物音と赤ちゃんの泣き声にいたたまれなくなったオッサンは、霊能者にすがりまくったらしい。兄は、「ガキだったから分からないけど、親父は凄い大金使ったと思う。効果が無ければ霊能者に電話でがなりたて、また新しい霊能者を探す。そんなのが1年間ぐらい続いたよ。」と言った。ちなみに、兄はその頃から非行に走って家にあんまり帰...日々の恐怖9月1日オッサンの家(5)

  • 日々の恐怖 8月29日 オッサンの家(4)

    日々の恐怖8月29日オッサンの家(4)そんな状況がしばらく続き、兄が小学生高学年になった年に奥さんはその部屋で死んでいた。自殺した形跡もなく、ただ動かなくなってたと兄は言った。(実際に警察も来たが心筋梗塞と言われたらしい)その時点で自分も正直、母親のバカさ加減が原因とはいえなんでこんな家で暮らさなきゃいけないのか分からなくなったし、それとオッサンがこの家を離れないのも疑問に思った。で、兄に聞いた。「なんでそれでもこの家に住んでるの?」すると兄は、「ここ離れたらお袋が出るんだってよ、鬼の形相で。」と言った。俺の疑問を感じ取ったのか、兄は話を続けた。葬儀を終わらせて、オッサンの実家に休養を兼ねて行ったらしいんだが、オッサンは毎夜、亡くなった奥さんが動かない赤ちゃんを抱いてオッサンに縋りつく夢を見たらしい。夜中...日々の恐怖8月29日オッサンの家(4)

  • 日々の恐怖 8月25日 オッサンの家(3)

    日々の恐怖8月25日オッサンの家(3)そんな状況でもなんとか第二志望の高校に合格できて、中学最後の春休みになった。たまたま自分一人が家にいた時に兄が帰ってきた。「探し物しにきただけだから。」と言う兄に、半年ほど起こってる異音と泣き声について話してみた。兄はまじめに聞いてくれて、「ちょっと待ってろ。」と言って居間の棚から知らない鍵を持ってきた。そして、「誰にも言うなよ。」と言って、2階の入ってはいけない部屋の前に連れてきてくれた。そして鍵を開けて入った。俺はてっきり御札だらけとかの怖い部屋を想像してたんだが、いたって普通の和室だった。ただ、襖の後ろに張られた1枚ずつの御札と、仏壇と異様なほどに供えられた人形を除いては。人形の数は30~50ぐらいだったと思う。兄に、「誰の仏壇?」と聞くと、「俺の姉らしい。」と...日々の恐怖8月25日オッサンの家(3)

  • 日々の恐怖 8月22日 オッサンの家(2)

    日々の恐怖8月22日オッサンの家(2)オレ達が家に入ると、入れ替わるようにオッサンの息子(義理の兄)が家を出て行った。兄は俺達兄妹に優しかったから、”自分達のせいで出て行ったのかな?”と思うと兄に凄く申し訳なかった。その後もオッサンに虐待されるでもなく無事に過ごしていたのだが、俺が中3の夏に奇妙な事が起こり始めた。それは、家族で居間にいると2階から異音が鳴り始めた。今で言うと壁ドンみたいな音が。居間の真上の2階の部屋は、”仕事道具があるから。”という理由で立ち入りを禁じられ、鍵がかかってて入る事は出来なかったから、最初は”荷物が崩れたんだろう。”ぐらいにしか思ってなかった。オッサンもネズミかなんかだと言ってたので気にしないようにしてたが、だんだん異音が鳴る頻度が増え、仕舞いには赤ちゃんの鳴き声が聞こえ始め...日々の恐怖8月22日オッサンの家(2)

  • 日々の恐怖 8月20日 オッサンの家(1)

    日々の恐怖8月20日オッサンの家(1)お嬢様育ちで世間知らずな母が、俺と弟と妹を連れて父と離婚したのは俺が小学校低学年の時だった。母の実家が地方都市のそこそこの名家っだったんで、自由で裕福な暮らしが出来ると思ったらしい。しかし祖父母は激怒し1年足らずで絶縁状態となり家を追い出され、地元でも評判の悪い土建屋のオッサンと再婚した。オッサンはいかにも成金で趣味の悪い男だったが、両親に絶縁され頼る者が無かった母からすれば最高の男だったんだと思う。しばらくのホテル暮らしのあと、オッサンの家に引っ越す事になった。オッサンの家は無理に増改築をしたのか、大きいのだが和風の家にプレハブ小屋みたいのを足した感じで、歪な感じだった。しかしガキで何も知らないオレ達は、無邪気にデカイ家を見て喜んでいた。童話・恐怖小説・写真絵画MA...日々の恐怖8月20日オッサンの家(1)

  • 日々の恐怖 8月13日 故郷

    日々の恐怖8月13日故郷小学2年の夏休みだった。8月の始めに一人でおじいちゃんの家に行った。1週間くらい遊んで、お盆に母と弟が合流して帰るという方法だった。夏休みなので朝はラジオ体操があるわけだが、地元の子たちに混じってやるのがなんか恥ずかしい。知らないやつらだし、スタンプだって違うだろうし。でも、いざ行ってみると、別に普通に受け入れられた。「スタンプカード違う!」とかって最初に話しかけてくれたのが、5年生のお兄ちゃん。そのお兄ちゃんとは帰るまでの間、ラジオ体操をやる家に集合してから開始までに結構話した。最後の日は、「来年もくる?」って言ってくれた。結局その年以降は、おじいちゃんの家にお盆に行っても日帰りという方法になり会えなかったんだけど、この間おじいちゃんの家に行ったときに、従兄弟と犬の散歩をしてたら...日々の恐怖8月13日故郷

  • 日々の恐怖 8月7日 異国の悪魔(2)

    日々の恐怖8月7日異国の悪魔(2)親父は、”これは身ぐるみはがされるかな・・・・・。”と思ってたらしいんだが、(インドネシアに限らず、日本製の物とか日本人が不用意に持ち歩く多額の現金目当ての奴らなんかはいっぱいいる)仲間の大事には変えられないんで了承した。別室に連れて行かれ、ポケットの中身を全部出させられた。あ、この時点で親父は雨と泥でめちゃくちゃになったスーツは既に脱いで手に持ってる状態、本人は下着だけだったらしく、オマケで掘られるかもとかビクビクしてた。結局そんなことはなかったんだが、シャーマンの目にとまったのが定期入れ。日本で通勤してる時に使ってる定期しか入ってないんで、おかしいなと思ったそうだが、中身を見せろと言われたので見せた。そしたら、シャーマンは定期の後ろに入ってた俺の写真を持って、これのお...日々の恐怖8月7日異国の悪魔(2)

  • 日々の恐怖 7月30日 異国の悪魔(1)

    日々の恐怖7月30日異国の悪魔(1)十数年くらい前、俺の親父がインドネシアに出張した時の話。親父は語学堪能な人だから、現地のガイド、中国支社の人、日本の同僚の三者通訳みたいな感じで行っていた。郊外の工場行った帰り、夜になってきた頃にスコールにあって、街灯もガードレールもなく舗装もされてない山路を車で走ってたらしい。二台に分乗してて、親父は後続の方に乗っていた。すると前の車がスリップ、親父の乗ってた車もそれ避けようとして横転した。前の車は山肌を回転しながらズルズル落ちて、みんな骨折してたり手足ザックリ切ってたり、死人はいないけどかなり酷い状態だった。後続の方もガラスはめちゃくちゃで、負傷っぷりはおんなじ感じの中、親父だけが奇跡的に右手の側面を削っただけで済んで、血もそんなに出てなかった。ガイドが言うには歩い...日々の恐怖7月30日異国の悪魔(1)

  • 日々の恐怖 7月24日 空き地

    日々の恐怖7月24日空き地俺のうちは親父が地元企業に勤めていたから、生まれてから一度も引っ越しをしたことがなく、生まれた時から高校を卒業するまで18年間、同じ所に住んでいた。(大学は東京の私大だったのでそれ以降一人暮らし)家と同じ並びで4軒ほど離れた家に、おじいさんが一人暮らしをしていた。俺が地元を離れる時もぴんぴんしてたから、実際はそれほど年じゃない初老の人で、子ども目線だから年寄りに見えたのかも知れない。近所づきあいはあまりしない人だけど偏屈ということもなくて、普通だった。おじいさんの家は敷地の奥まった所に建ってて、前は小さな空き地みたいになっていた。駐車スペースみたいな感じだが、車はなかった。あとコンクリートやアスファルトで固めてもないから、夏は雑草が伸びて、たまにおじいさんが草刈りしてた。親からは...日々の恐怖7月24日空き地

  • 日々の恐怖 7月17日 左手(5)

    日々の恐怖7月17日左手(5)「それ以来さ、寝る時はずっと左手吊ってんのよ。もう30年だぜ。」Kさんは力なく笑うとリストバンドを捲って左手首を見せてくれた。「だからさ、手首が擦れすぎてこんななっちゃった。」同じ場所で擦り傷を何度も繰り返すと、こんななんとも言えない跡になるのか。「左手ちょっと長いのもそのせいですか?」と、ぶっちゃけついでに聞いてみた。「多分そうだと思う。こうなると右手と両足も吊しとけば良かったなって今は思うよ。」そう言うとKさんは普段のようにからっと笑った。「お祓いとかは行ったんですか?」「行った行った。何回もお祓いしてもらった。あの祠にも行って何回も謝ったけどダメ。許してくんない。」「投げた石は?」「探したけど結局分かんない。まあただの石だからね。あの時投げなきゃって、今でも後悔してるよ...日々の恐怖7月17日左手(5)

  • 日々の恐怖 7月10日 左手(4)

    日々の恐怖7月10日左手(4)異変が起きたのは彼女が亡くなって7日目の夜だった。ベッドで寝ていたKさんは、激しい息苦しさで目を覚ました。「ハッ、ハッ、ハッ・・・・。」呼吸を整えながら周囲を見るが、おかしな所は何もない。再び横になって眠りにつくが、また息苦しさで目を覚ます。まるで誰かに首を絞められているようだった。たまらなくなったKさんはもう眠るのはやめようと思い、顔を洗おうと洗面所に行き鏡を見てギョッとした。首に手で絞めた赤い跡がくっきりと残っている。「なんだよ、これ・・・・。」そこで初めて心霊現象が頭を過ったKさんは、部屋に戻ると電気をつけたまま布団をかぶってガタガタと震えた。が、それでも睡魔がやって来る。ウトウトするKさんを再び息苦しさが襲う。布団を跳ね上げたKさんは、そこで初めて自分の首を絞める物の...日々の恐怖7月10日左手(4)

  • 日々の恐怖 7月4日 左手(3)

    日々の恐怖7月4日左手(3)彼女は祠に手をつっこむと無造作に石を掴み、「ねえ、せっかくだから、おみやげにこれ持って帰ろうか?」と、Kさんに差し出した。Kさんは彼女から石を受け取ると、「やめとけよ、バカらしい。」と言いながら、元に戻せば良かったのに、石を林の奥に放り投げてしまった。肝試しはこれで終わったが、その翌日に大事件が起こった。電車通学だったKさんは、いつものように駅で彼女と待ち合わせ、2人で電車が来るのを待っていた。ホームでの彼女はかなり様子が変だったらしい。酔っ払ったようにふらふらしてて、今にも倒れそう。「おい危ないぞ。体調悪いのか?」心配するKさんの問いかけに彼女は、「大丈夫、大丈夫。」と言うだけで相変わらずふらふらしている。そのまま彼女は身体を揺らしながら、線路に落ちそうになった。「危ない!!...日々の恐怖7月4日左手(3)

  • 日々の恐怖 6月28日 左手(2)

    日々の恐怖6月28日左手(2)しばらく沈黙が続いたが、失言に酔いが一気に覚めた俺は、「なんか変なこと聞いちゃってスイマセン。」と、心から詫びた。その間、リストバンド越しに手首をさすっていたKさんは不意に、「君さ、お化けとか幽霊とか、そう言う話信じるタイプ?」と、意外なことを聞いてきた。唐突な質問に面食らったが、俺はこう答えた。「いや、むしろ好きっすね。昔、稲川淳二のライブとか行ったことありますよ。」Kさんは、「そうか、好きなんだその手の話が・・・。」と言うと、ゆっくりと傷跡の由来を語ってくれた。Kさんは高校の頃、彼女と肝試しに行ったことがあるそうだ。肝試しと言っても本格的な心霊スポットではなく町外れの小さな雑木林で、幽霊が出ると噂が流れた程度の場所らしい。放課後、彼女と2人で雑木林に来てみたが、それらしい...日々の恐怖6月28日左手(2)

  • 日々の恐怖 6月22日 左手(1)

    日々の恐怖6月22日左手(1)以前勤めていた会社の取引先の営業にKさんって人がいた。歳は40代で見た目は平凡、仕事もそつなくこなす、いわゆる普通のサラリーマンだ。変わったところと言えば、常に腕時計の下にリストバンドをしているくらい。あと、左手が右手より少しだけ長かった。それは初対面の時から気になってたけど、身体的なことだから特に話題にもせずスルーしていた。その理由を初めて聞いたのは、一緒に仕事するようになって何年も経ってからだ。あるプロジェクトが終わり、俺の会社とKさんの会社で合同の打ち上げが催された。その席でKさんの隣に座った俺は、仕事の話や雑談に花を咲かせ、楽しい時間を過ごしていた。Kさんは俺より二回りも上だけど気さくないい人で、営業だけに話もバツグンにうまい。小一時間ほど差しつ差されつ杯を重ねていた...日々の恐怖6月22日左手(1)

  • 日々の恐怖 6月17日 妹の話(2)

    日々の恐怖6月17日妹の話(2)父は気のせいだろと言い、相手にはしてくれませんでしたが、学校が終わり帰ってくると母が青ざめてました。「天気いいから窓を開けといたんよ。そしたら知らない人が縁側に座ってて話しかけてきたんで、近所の人かと思ったらいきなりおかしくなって・・・。」空中を見上げ突然笑い出し、大声で威嚇されたらしい。「変よこの家、もう嫌。」母は父に事の顛末を話したが、父は一軒家を買ったのにそんなにすぐに引っ越しできるかといい取り合ってくれませんでした。しかも、そのあと何度もその変な人が現れたと聞きました。そしてこの剥製の家にすんで5年たったある日、夜中に私は目を覚ましました。チャイム音と窓をたたく音が聞こえるのです。”ピンピンピンピンピン・・ドンドンドンドン!!バンバンバンガツン!”ヒ...日々の恐怖6月17日妹の話(2)

  • 日々の恐怖 6月13日 妹の話(1)

    日々の恐怖6月13日妹の話(1)兄が中学生になるとのことで、家族で近くに家に引っ越しをしたときの話です。築40年以上の家で古臭い一軒家なのですが、その家に変なものが大量にありました。カラフルに色ずくミラーボールや甲冑、大量の漢字が書かれた札。そして、大量の剥製でした。大きいものは虎から小さいものはネズミまであり、私は親から穢れるから触るなと言われました。お祓いをし、何度も清めました。もうないはずとのことで家に入れてもらえることとなり、落ち着いたときに私が兄と家でかくれんぼをしました。私が隠れたのは畳の間で押し入れみたいなところの上の部分です。おとなしくしていると、横に何かがあるのに気が付きました。這って近寄ると黒いさらさらしたものに触れました。「〇〇みーっけ!」兄に見つかり、襖を開けられ光が入ってくると、...日々の恐怖6月13日妹の話(1)

  • 日々の恐怖 6月9日 窓の外

    日々の恐怖6月9日窓の外3年ほど前、関東のとある古い大学病院に入院したときのことです。換気のために病室の窓を開けていると、部屋付きの看護助手のおばちゃんが、「ごめんね~。ここ、閉めさせてね!」とバタバタ閉めていく。「暑いよ~。」と不満を言うと、おばちゃんは、「落ちる人がいるから・・・・。」みたいなことを言う。それで、「朝、病院に来るとね、この窓の外に患者さんが立っているのよ。で、下から見上げた私たちと目が合うと、ニッコリ笑ってから飛び降りるの。そんなことが何回かあってね・・・・。」同室の人たちは思わず顔を見合わせて沈黙した。”何でそんな話をここでする?”と、こっちの顔に書いてあったのか、おばちゃん、「ああ、余計な話をごめんね~。」と、そそくさと出て行ってしまった。その後、手術を受けて別の病棟に移動になった...日々の恐怖6月9日窓の外

  • 日々の恐怖 6月6日 襖

    日々の恐怖6月6日襖祖父母の家では、”襖を間違っても逆に閉めるな”という厳しい戒律がある。というのも、左右逆に閉めた時だけ、その隙間からぼんやりとした人型の白い影が出てくるから。私は見た事ないけど、子供の頃に面白がって祖父母宅の近所の友人に話したら、友人がやってしまい泡吹いて倒れた。祖母は見えないけど、祖父や娘である私の母、おば達は見える。おばの一人が商売人だからか、やたら縁起を担ぐ人で、お祓いを試した事があった。神主、お寺さん、仙人のような修験者、皆ダメだった。皆、「何かもわからない。」「祓う事も出来ない。」と言ったらしい。修験者が帰った後、たまたま襖が互い違いのままで、またぼんやり影が出ていた。その影が頭を何回も下げているのを見て、おばはお祓いをやめたらしい。で、今もそのまま。私が結婚した時は旦那にそ...日々の恐怖6月6日襖

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