9-1-2 流血のメアリー
『絶対主義の盛衰世界の歴史9』社会思想社、1974年1エリザベス朝――四十四年間のイギリスの治世――2流血のメアリーメアリーが即位したとき、イギリスは宗教改革からすでに二十年ちかく経過しており、教皇至上権を知らない世代が成年に達していた。そのうえイギリス人には、外国の支配――教皇至上権もそれであるが――に対してきわめて敏感な国民感情があった。母親のキャサリンから、スペイン・カトリシズムの精神をうけついだメアリーは、このイギリスにふたたび教皇至上権をうちたて、カトリシズムを復活させようとした。そして、さきに祈祷書をつくったクランマーなど、有力な聖職者たちをロンドン塔におくった。このとき、イギリスから信仰の自由をもとめて、大陸にのがれたものも少なくなかった。彼らは各地で組織をつくり、「メアリー時代の亡命者」と...9-1-2流血のメアリー
2024/03/20 10:16