寂れたスナックで語る物語 第二話 「時計をめぐる物語」
奈津夫がその店をのぞいたのは気まぐれでしかなかった。 「時計をめぐる物語」 通りを歩いていると路地から少し入った所に時計屋が見える。古くさい店だ。こんな場所で、しかも寂れたような店に客が来るのだろうか? 窓越しに店の中を見てみると案の定、誰もいない。だが意外にも、店主は女性で若かった。 店主に惹かれた奈津夫はドアを開けて、店の中に入った。 時計を修理中だったのか店主は小さなドライバーを持った手を止...
2023/03/26 18:33