2025年2月中旬にリハビリ病院を退院した後は、復職を目指して会社と調整を行った。4月1日から職場復帰ができれば、とても区切りが良いというのが僕の目論見だった。ただ、そのためには職場の産業医の許可が必要とのことで、3月下旬に産業医面談を行った。 「吉田さん、大変でしたねぇ」 ──事務所の最上階にある診療所で、産業医の先生と面談を進める。右足にやや不自由さは残るものの、幸い、言語や認知には問題がない(はず)。今の症状を説明し、職場復帰の目途をたずねる。 「通勤に関しても問題ないとのことなので、4月1日から復帰しても良いでしょう」 産業医の先生の許可も得られ、ほっと胸をなでおろした。 ただぁ! 産…
2025年2月23日、愛知県にある野外民族博物館「リトルワールド」の外周をコースにしたロードバイク(スポーツ自転車)の草レースが行われた。 脳梗塞からの退院後、初めてピチピチウェアに袖を通し、レースへと参加する。とにかく風が冷たく、不自由な右脚の動きもぎこちなく感じる。 スタートの合図とともに集団が動き出す。ビギナークラスは2.5kmの外周コースを3周、計7.5kmで争われる。 想像以上にアップダウンがあり、上りがハードに感じるがなんとか集団に食らいつく。ただそれも1週目までである。2週目の上りで早くも僕の心は折れ、ジリジリと集団から離されていく。3周目では前走者の姿が視界から消え、完全な一人…
リハビリ病院の先生方のおかげもあり、歩行時には一見健常者と変わらないフォームで歩けている。(理学療法士の方が見たら気が付くかもしれないが。) だが右脚はやはり不自由で、スピードとパワー、精密動作が不足しているため、ふらついた際には危険が伴う。 一見健常者風でちょっと不自由というのが一番不利なのかもしれない。 ・・・ 繁華街に足を運んだ際に、今はやりの「ぶつかりおじさん」に遭遇した。 前方の人込みから斜めに、早歩きの速度で近づいてきた。違和感のあるコース取り、スピードから嫌な雰囲気を察知し、直前に身体をひねったが、肩が接触した。 幸い転倒はしなかったものの大きく体勢を崩し、よろけた。ぶつかりおじ…
2024年11月くらいの出来事。リハビリ病院入院中に、理学療法担当の眼光ニキからのアドバイスで退院後に身体障害者手帳の取得を勧められた。最悪自動車の運転ができなくなった場合、公共交通機関などの優遇措置はぜひ欲しいところである。 眼光ニキの話を受け、ネットによる事前のリサーチを行った。 厚生労働省のサイトに障害と等級との対応表があり、僕の症状だと7級に該当する予感がある。(実際の判定には医師の診断書が必要) https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/shougaishatechou/dl/toukyu.pdf そして昨日、区役所の福祉課に問い合わせに行っ…
脳梗塞での入院中にあらためて振り返った。このような形で突然倒れることが今後もありうる。加齢により更に可能性は高まるだろう。 残された家族が困らぬよう、伝えておくべき情報は整理し、エンディングノートに記載しておこうと思う。 取り急ぎ重要だと考えられるのは銀行口座情報などだろうが、それだけだとあまりに事務的で味気ない。一般的なエンディングノートの内容をChatGPTに相談してみよう。 で提案してもらったのが以下。(見出しのみ) 1. 基本情報・個人情報2. 自己紹介と想い3. 終末期の医療・介護に関する希望4. 葬儀・お別れの儀式に関する希望5. 財産管理・遺産に関する情報6. デジタル遺産の管理…
昨日リハビリ病院から退院し、10時過ぎには自宅に戻ることができた。迎えに来てくれたリアル妻オバに感謝しつつ、昼飯をどうするかを相談した。 「あのー、ランチの件ですが・・・何か作ってくれたりするんでしょうか・・?」 正月に一時帰宅して以来、約2か月ぶりのリアル妻オバの手料理が食べたかったのだ。 「作るわけないじゃん!(ガチギレ)」 「・・・では、外に食べに出ますか・・?」 「一人で行ってきなさいよ!!外食したかったんでしょ!!」 「・・じゃあ、近くのイオンで食べてきます・・・。リアル妻オバは昼飯どうするの?」 「近くのイオンに行くわよ!!!」 「・・・」 というわけで、一人近くのイオンに向かった…
ついにこの日がやってきた。 2024年10月下旬に脳梗塞で倒れ、約4か月の入院生活が、今日終わる。 長かった・・・ あとは本日9時に手続きをすれば、この支配からの卒業となる。 入院最後の1週間は4人部屋の他の患者に恵まれ、ストレスフリーな幸せ生活だった。 どうやらいろんな意味で重症度が高い患者をスタッフステーションから近い部屋に固める方針に変わったようだ。その結果、最も遠い僕の病室は「それほど手が掛からないオジ」が4人集まった形となる。 その代わりスタッフステーション近辺は魔境のようになってしまった。 4か月前は入院患者の多様性にビビったものだが、現在は大概のことはスルー出来るスキルを手に入れ…
明日のリハビリ病院退院に向け、私物をまとめている。 3か月以上入院したにしては、比較的荷物は少ない方だと思う。衣類については最低限の枚数を残し、日曜日にリアル妻オバに持って帰ってもらった。 意外と重量があるのが靴。履いて帰るスニーカー以外にリハビリで利用したスリッパ、登山靴、ビジネス革靴がある。それなりにかさばるし、2kg近くはあるだろう。 あとリアル妻オバがくれたお守りだけは、何があっても忘れてはいけない。 本日のリハビリを2コマ消化し、あと1回眠れば晴れて自由の身である。 結果として右脚の膝から下の回復にはやや課題が残るものの、解放される嬉しさの方が勝る。3月中にセルフリハビリを行い、可能…
退院まで残されたリハビリもあと数えるほど。以前から課題になっていた右足首に力が入りにくい状態は薄っすらと改善傾向にある。 ※過去の課題はこちら tsureduregusa2023.hatenablog.com 以前は階段で以下のような状態になってしまっていたが、 上段に足を置く際の角度を十分意識することで、力が出るようになってきた。 「今日は梯子に挑戦してみましょう。」 理学療法担当の眼光ニキからの指示である。 入院当初から気になっていた、リハビリ室の壁面に取り付けられた梯子。入院中の3か月間、利用されているシーンを一度も見ることがなかった、この梯子。 ♪今は、もう、動かない、このはしご。(最…
2月19日が退院予定日ということで、既に気持ちは外に向いている。4か月近く病院に閉じ込められていたため、まずは旨いものを食べて羽を伸ばしたい。 その後は何をしよう・・映画館にでも行こうか・・・。 健常時は月に1回程度の頻度で映画館に足を運んでいた。大画面と迫力のある音響はもちろん、映画館特有の集中できる空間と、ほかの観客との一体感、いつまでも捕まる映画泥棒が何とも言えず好きである。 将来的には動画配信サービスに取って代わられてしまうのだろうか、映画館好きとしては何とか頑張ってほしい。 大きな製作費をかけて見たこともない映像表現を見せてくれる映画には、子供のころからワクワクさせられた。 ウィキペ…
脳梗塞が原因の右脚の不自由は、リハビリのおかげでかなり改善してきた。機能的には日常生活でほぼ支障がないレベルまでになっている。 ただし趣味であるロードバイク(スポーツ自転車)や登山を行うには不安が残る。どちらも転倒すれば最悪命にかかわる可能性がある。 そんなわけで少し前から、リハビリの先生方には上記を視野に入れたメニュー設定をお願いしている。 「吉田さん、そのまま踵上げをやりましょう。」作業療法担当のパーマニキが指示をする。 本来作業療法では上肢を中心としたリハビリが多いはずである。 僕の場合は比較的早めに上肢が回復してきたため、作業療法の時間も下肢のリハビリに充てられている。そしてその内容も…
【本記事にはプロモーションが含まれます】 入院中のムキムキオジ化を目指し、継続的にプロテインを飲んでいる。毎日の朝食時に飲むため消費が早く、すでに4袋目に差し掛かっている。 リアル妻オバが面会の際に差し入れてくれており、非常にありがたい。ただ、リアル妻オバは健康志向であるため、ブランドのセレクトにクセがあるような気がする。 現在飲んでいる製品がこちら。 ハリウッド化粧品の「ソイプロビューティ」だ。(ハリウッド化粧品・・・) Amazon ソイプロビューティ SAKE味 200g ハリウッド化粧品 ソイプロテイン 植物性タンパク質 ヴィーガン SOY PROTEIN beauty ソ…
「今日のリハビリは自転車に乗ってみましょうか。」 理学療法担当の眼光ニキから提案があった。 以前から眼光ニキには自転車の趣味があることを伝えており、それに配慮いただいた提案である。また車の免許についても取り消しになることはないはずだが、手続きの日程感が不明なため自転車に乗れると非常にありがたい。 「このリハビリ病院に自転車があるんですか?」 「練習用の自転車が1台だけあるんですよ。」と眼光ニキ。 屋外の駐輪場にその自転車を取りに行く。確かにボロボロのママチャリが存在した。僕の趣味はロードバイク(スポーツ自転車)だが、まずママチャリに乗れないことには話にならない。 しかしその日は天気は良いものの…
先日の夕食後、病室の自分のスペースで一休みしている際、訪問があった。普段だとこの時間に看護師さんは来ないはず・・・ 「吉田さん、こんばんは~。看護師長です。」 そういえば医師面談の際に、「退院日については看護師長と調整するように」と聞いていたのだった。 「退院日はいつ頃がよろしいですか?」と看護師長。 こちらの希望を聞いてくれるんだ。それでは、リアル妻オバが都合のよい日程候補の中で、最も早い日で希望しよう。 「2月の19日でお願いします。」 ということで退院日が決定した。 後日、理学療法リハビリ中、担当の眼光ニキに退院日の報告をしたところ、眼光ニキいわく、「僕が会議で、退院はいつでもいいんじゃ…
何とか手を変え品を変え、入院中のヒマさに耐えている。 Amazon Prime Videoでも見よう。初見のものでビビっと来る作品はないだろうかと物色する。DCコミックの「ブラックアダム」を見てみようか。 amzn.to 先日50歳になったばかりだが心は中二男子なので、スーパーヒーロー映画が大好きである。 このことを理学療法担当の眼光ニキに話したところ、「最近の中二はそんなの見ませんよ。中二の心を持ったおっさんしか見ないんじゃないですか?」とのこと。ひどい・・ 健常時はスーパーヒーロー映画を見にわざわざ映画館まで足を運んだものだ。 リアル妻オバを誘ってみても、「どうせ敵が出てきて最後に勝つんで…
毎週末に配布される次週のリハビリ予定表の中に、タイトル空欄の30分枠があった。これは、あれだな。1か月に1度くらいの頻度でやってくる担当医師の回診だろう。 入院当初の予定だと2月中に退院のはずだったが、現時点で何も音沙汰がない。 2024年11月初旬から続く入院生活に、いい加減飽き飽きしていたので、具体的な退院日を担当医師に確認してみよう。 担当医師の回診は14時から14時30分と記載があった。が、14時を過ぎても一向に姿が見えない。これも、いつものことである。医師は多忙なため仕方がない。14時半を過ぎたころ、ようやく担当医師が現れた。 「わしが担当医師、江田島オジである!!」 魁!!男塾の江…
最近の作業療法リハビリでは、退院後の生活に焦点をあてたメニューを組まれることが多い。 その日ご担当いただいたのは20代とみられる女性の作業療法士の先生。外ハネボブが印象的なので「外ハネネキ」と呼ぶことにする。 「吉田さん、退院後の生活で不安なことはないですか?」 外ハネネキはその日のリハビリメニューを決めるため、想定される課題を聞いてきた。 「しいて言うならば、料理ですかねぇ。」 令和の時代、家事の分担は当然である。この入院をきっかけに、退院後は家族のために食事をつくるべきだと思い立った。 いや、ウソである。 リアル妻オバに、「リハビリになるんだから、たまには料理しなさいよ!!(ガチギレ)」と…
本日、50の歳を迎えてしまった。まさか病院で誕生日を迎えることになるとは、健常時は思ってもみなかった。 もうアラフィフと言えないのだろうか? フィフ? でも51はアラフィフだろうから、50もアラフィフに含まれますよね? ジャストフィフなのにアラウンドをつける意味はわかりませんが。 孔子いわく、「天命(天から与えられた自分の使命)を知る」年齢らしい。 内省してみるも、まったく天命はわからない。グーグルマップを調べ、退院後に行ってみたいと考えていたメシ屋の店名を知ったくらいである。 パターンが同じ病院食に飽きてしまっているため、食事のことばかり考える。幸い今日は病院でもお祝いの特別食を出してくれる…
「いきなりですが、運動評価テストを行います。」 理学療法担当の眼光ニキが病室にやってきた。 ああ、月に一度のテストですね。リハビリ予定表には記載がなかったが、評価テストはいつも突然入るようだ。 ※前回のテストの様子は以下 tsureduregusa2023.hatenablog.com 記憶をたどると思い出した。満点がなぜか中途半端な56点の謎テスト。確か運動機能の中でもバランス能力に焦点をあてたテストだ。別のテストで認知や生活関連の項目も含めたものもあり、そちらも126点満点と中途半端な点数。 気にしすぎなのかもしれないが、その半端さに若干イラっとする。 テスト開始。 「それでは6分間歩き続…
先日リハビリ病院に出入りする業者さんからお借りした、登山の際にも利用できる下肢装具「ターボメド」を返却した。 事前の検討通り、「必要ない」という旨をお伝えした。業者オジも複数の患者を相手にしているので、僕から断られようがノーダメージである。 そのやり取りを少し離れたところから見る、鋭い視線を感じた。 その視線の持ち主は妙齢の女性で、リハビリ用ユニフォームではなく白衣を着ている。なにより醸し出されるオーラが療法士のものではない。 「リハビリテーション医の先生です。」その場に同席していた理学療法担当の眼光ニキが紹介してくれた。 「はじめまして、吉田さん。登山をご趣味にされてるんですってね。病気のせ…
このリハビリ病院では、とんと意識をすることが無くなってしまったが、健常時は空気抵抗に非常に気を使っていた。 趣味でロードバイク(スポーツ自転車)をたしなんでおり、空気抵抗は大敵だからである。(脳梗塞のきっかけもロードバイクなわけだが。) 空気抵抗を下げればそれだけ速く走れるし、楽でもある。 空力を改善する方法で、最も手っ取り早いのがライディングフォーム。以下のフォームは下手にペダルを漕ぐよりも速い。(下りのみ) ただし、あまりに危険なため禁止されたフォームである。なによりアホっぽい。 youtu.be 次に手を付けるべきは、着衣。ルーズなものだとバタついてそれが空気抵抗になる。 そこでサイクリ…
現在入院中のリハビリ病院では、「理学」「作業」「言語」の3カテゴリーにそれぞれ担当の療法士の先生が設定されており、基本的に担当の先生に多めにリハビリに入っていただける。シフトの都合ですべてのコマに入っていただけるわけではないため、そこは他の様々な先生でカバーする。 ここ最近の作業療法には、担当外の「おしゃべりニキ」という先生に入っていただくことが多い。 「右脚が重く感じるのは、骨盤が上がってないからなんですね。その原因はここの筋肉に力が入っていないからなんですよ。」 おしゃべりニキは、この病院の作業療法士の中でも比較的ベテランのようで、その言動にも作業療法の神髄に近いものを感じる。 「逆にこの…
脳梗塞からの回復に応じて、理学療法のリハビリ内容は徐々に難易度を増していく。 先日のリハビリでは、バスケのピボットターンのような動きを求められた。「日常生活にピボットターンが必要なのか?」と一瞬思ったが、日常でもその場で方向転換をする場面は多い。 現在右の膝から下が不自由なためその動きができず、ちょこちょこ足踏みをしながら方向転換する必要があり、やや不格好である。 そもそもなぜできないのかを考えてみた。 健常時、ターンする際には軸足がスムーズに回転できるよう、無意識に接地面をかかとか、つま先だけにしていた。現在は地面にべったりと右の足裏がついてしまっている。その場合ターンした際に足が捻じれてし…
脳梗塞での入院も3か月を超え、時間を持て余すようになってきた。1日の平均的な時間配分を、リハビリコマ3時間、自主トレ1時間、食事・風呂・トイレなどの生活関連3時間、睡眠7時間、ブログ2時間程度としてもあと8時間ほど残る。 テレビがビジネスホテルのような有料カード形式のせいで、意地でも見ないようにしているため、なおさら暇である。 幸いwifiは無料。amazon prime videoなどは有効なヒマつぶしのひとつとなる。何か楽しめる映画を物色する。 「タイタニック」・・なつかしい・・・。何度か見たことはあるが、下手に初見の映画に手を出してハズレを引くよりは、間違いがない。 映画の公開は1997…
退院後に装着する下肢装具の検討をしている。 現在入院中の病院はリハビリ病院なので、定期的に装具メーカーが訪問する。訪問日に合わせあらかじめ理学療法担当の眼光ニキが発注をしてくれており、1週間お試しレンタルをさせていただくことになった。 持ってきていただいた装具がこちら。パシフィックサプライ(株)が取り扱う、「ターボメド」だ。 www.p-supply-turbomed.com 病院内では既に装具なしの状態で生活しており、退院後も日常では必要ない気がしている。今回試用で持ってきていただいた装具は、趣味の登山の際に使用する想定である。 ターボメドは自分の靴に装着できるのが大きな特長となっている。防…
脳梗塞発症から3か月を過ぎ、ようやくバリアフリーな床であれば問題なく歩行ができるようになってきた。ただし右ひざから下が特に回復が遅く、現在課題となっている。 階段についても手すりを持った状態であれば危険なく上り下りはできる。ただ、先日の自主トレ中に気になる症状に気が付いた。 つま先だけを階段に乗せた状態で体重をかけると、自重に耐え切れず足首が曲がってしまうのだ。 つまりこの状態が こうなる。 ふくらはぎの力がまだしっかり発揮できていないのが原因だと考えられる。 「階段にちゃんと足を乗せろよ。」という意見はごもっともなのだが、登山道にて足を乗せるスペースが5cmほどの突起しかなく、そこを乗り越え…
【本記事にはプロモーションが含まれます】 「ムキムキになりたい」「脳梗塞後の脳のネットワーク再構築になんとなく効きそう(エビデンスなし)」という理由からプロテインを飲み始めて1か月以上が経過した。 結論から言うと2kgほど体重が増加し、気持ちムッキリ感がでてきた。 プロテインは初めの一袋を飲み切り、リアル妻オバが差し入れてくれた2袋目のものを飲んでいる。リアル妻オバは自然派志向なので「植物性たんぱく質&42種の野菜」をうたい文句にした「スリムプロテイン」というものを持ってきてくれた。 amzn.to リアル妻オバ、ありがとう。毎朝美味しくいただいております。「ムキムキになりたいのにスリムプロテ…
身体がある程度動くようになり僕は全く使わなくなってしまったが、このリハビリ病院にもすべての病床にナースコールが備え付けられている。 アイホン(株)【NF-SBA】ハンド型子機だ。 これにはスピーカーとマイクが内蔵されており、ただ看護師さんを呼ぶだけでなく、双方向通話が可能となっている。これをうまく活用すれば、看護師さんの物理的な移動を削減でき効率化がはかれる。 と、アイホンの商品企画部の人は考えたのであろう。 残念ながらこの病院での双方向通話使用率は0%に近い。結局看護師さんによる何らかの物理的な作業が必要になるため、呼ばれたらすぐに病室に足を運ぶのが結局早いのだと思われる。 なんならナースコ…
栄養士の先生から退院後の食事等について栄養指導があった。リアル妻オバにも同席してもらい、レクチャーを受ける。僕の場合は脳梗塞の要因の一つとして高血圧があったため、それを念頭に置き解説をいただく。 まずは「塩分チェックシート」で日常食の塩分量を把握。チェックの結果「食塩摂取量は平均的」とのこと。外食時に特に留意する必要がある。 ふとリアル妻オバのご機嫌をうかがうと、あまりよろしくない。 次に「高血圧症の方の食事」という簡単なテキストを2枚程度いただき、ご説明をいただいた。早食い傾向があるため、注意しなければならない。 レクチャーは小一時間に及んだ。栄養士の先生が去ったあとリアル妻オバの様子を探る…
「じゃあ、ジョギングしてみましょっか。」 ある日の理学療法中に担当の眼光ニキが言い放った。 いやいや、展開が早すぎませんか・・? 先日確かに退院までにジョギングができるようになるといいっすねぇと言っていたが、数日しか経っていない。 この展開の早急さ、少年ジャンプの打ち切り間際か! リハビリ室を出て廊下に移動する。直線で100m近くあり、人通りもほとんどないため練習にはちょうど良い。が、全く走れるイメージが湧かない。脳梗塞で右脚が不自由なため、歩行する分には支障がないが、ジョギングとなると脚の回転数が追い付かないのだ。 眼光ニキが僕のわきの下を背後から支え、転倒しないようにサポートする。 (こけ…
リハビリ病院退院後にいち早く対応したいことが、運転免許に関する手続きである。 脳梗塞の場合は主治医の診断をもとに、公安委員会が免許取り消しか否かの判断をするらしい。 ただウェブを見ても手続きがよくわからない。似たような境遇の人は多いはずであるが、なぜこんなにわかりづらいのか。 とりあえず県警本部のサイトには、「安全運転相談室」に電話しろと書いてあった。令和の時代に電話ですか・・・ リハビリの合間に記載のあった番号に電話してみる。 ”〇〇の手続きは1を。△△の手続きは2を。・・・”無機質な機械音声で振り分けられる。 散々待たされた末、担当者と繋がった。話をして現在の状況を伝えると、公安委員会フォ…
2024年10月下旬に脳梗塞で倒れ、入院生活は約3か月経過。退院日は未定ながら2月のどこかを想定している。 入院当初、リハビリ病院の主治医が設定した目標を振り返ってみると、退院時点で「ADL(日常生活を送るために最低限必要な基本的な動作)自立」「補助具を使用した歩行獲得」であった。 先日杖なしでの歩行の許可もいただき、現時点で当初目標はクリアしている。退院まではまだしばらく時間があるため、新たな目標の設定が必要である。 理学療法担当の眼光ニキに相談したところ、 「ジョギングができるようになると、いいっすねぇ。」とのこと。 簡単に言ってくれる・・・現時点で無理やりジョギングを行おうとすると100…
「おはようございます~」 朝一番には看護師さんの検温と血圧測定がお決まりとなっている。その日は珍しく2名体制で看護師さんが現れた。 よく顔を見る「超ベテランオバ」に加えて、初めて見かける若者には珍しく黒縁メガネをかけた女性。彼女は「アダルトアラレちゃん」と呼ぼう。 例えがあまりに古すぎるが、アラフィフなのでしかたがない。 おそらくアダルトアラレちゃんは新人で、OJTの最中なのだろうと思われる。超ベテランオバに見守られながら、アダルトアラレちゃんはそつなく検温と血圧測定をこなしていった。 次の日の朝の検温からアダルトアラレちゃんは一人でやってくるようになった。OJT終わるの早っ!さすがは多忙な医…
理学療法のリハビリでは様々なメニューが課される。その時点の回復度合いに合わせて担当の理学療法士の先生が適切なメニューを指示してくれるのだ。したがって基本先生のメニューをこなしていれば一歩ずつ回復につながっていく。 その日の理学療法では、股関節の横向きの可動域拡大とバランス強化に取り組んだ。手すりを持ちながら横向きで踏み台昇降をするイメージである。 まずは10cm程度の土台を床に設置し、不自由な右足から横向きで上り下りを繰り返す。 動作自体に大きな問題はないが、横向きに足を広げて土台に乗せる際に、足を置く場所が定まりずらい傾向がある。 しばらく繰り返した後に担当の眼光ニキが尋ねる。 「疲れはない…
杖を持つことを条件に右脚の装具を外すことを許可された。 右足首が固定されないので当初は歩行に不安感があったが、慣れたのか回復してきたのか次第に恐怖を感じなくなった。 装具をしている時と違い、歩行することによって右足首にも刺激が入るので、回復効果も高そうな気がする。積極的に歩行自主練を進めていきたい。 歩行訓練といっても自分の病室がある病棟の廊下をぐるぐる回るだけである。1周がおよそ100mくらいだろうか。ひたすら回る。 夕食後はリハビリの先生方も帰宅するので静かな環境で歩くことができる。スマホで音楽を聴きながらノリノリで歩く。 紅白で良さを再認識したB'zで歩こう。高校部活の合宿で起床時に爆音…
ここのところ日課となっている病棟のウォーキング自主練中、談話室前を何度も通過する。そこにはわかりやすく大きな表記で本日の日付と曜日が記載されている。病院あるあるで頻繁に本日の日付と曜日を聞かれるため(最近はもう聞かれないが)表示してもらえると助かる患者も多いはず。 先日のウォーキング中、ふと日付表記に目をやると曜日が1日分遅れていた。日めくりカレンダー形式なので、曜日部分だけめくるのを忘れていたと考えられる。 (いちいち指摘するのも、おせっかいオジと思われてしまうか・・・) と考え気にせずウォーキングを継続。しばらくトレーニングを続けたのちに再度目をやると、今度は曜日は修正されていたが、日付が…
現在入院中のリハビリ病院の食事について。 入院当初の2024年11月上旬は、1日分のカロリー設定が1800kcalだった。厚生労働省が示している成人男性の摂取カロリーの目安が2200kcalらしいので、ぱっと見で「少なっ・・」と感じる量だった。 11月の時点では動き回る量も少なかったため何とか我慢できたし、売店に行けるようになった後は間食などでごまかせた。 ここ最近は自主練など運動量が増えてきたのでさすがに厳しく、看護師さんに相談をすると設定カロリーを増やせることを教えていただいた。 後日栄養士さんの訪問があり簡単な面談の後、カロリー設定を2200kcalに引き上げていただいた。おかげで間食の…
脳梗塞による入院生活も約3か月となってしまった。病室の移動などはあるが、当初からずっと4人部屋に入っている。病室のほかのメンバーについては、退院・病室移動などがあり、意外と頻繁に入れ替わる。いかにメンバーが入れ替わろうとも、だれかしら気になる音を発する。とにかく生活音が気になる身体になってしまったようだ。 4人分のスペースはそれぞれカーテンパーティションで仕切られているにもかかわらず、生活音はお構いなしに貫通してくる。むしろカーテンが音を増幅しているのではないかというくらいの聞こえ方。 ・スマホのゲキデカメッセージ受信音 「ビコーーン!!! ブブッ(バイブ音)」 (マナーモードにしろよ・・・)…
2025年1月14日 またしても予定表にない時間に、理学療法担当の眼光ニキが病室にやってきた。 「今から20分ほど時間をもらえますか。」 患者ごとに理学療法、作業療法、言語聴覚の担当療法士が1名ずつ割り振られる。リハビリの時間を通じて患者と接する時間が長いため、各担当分野では医師よりも強い決定権を持っている。療法士が判断し、医師が承認するイメージ。 先日のテスト以来、眼光ニキは退院後に装着させる装具の種類を迷っているようだ。 マイ装具をつけた状態での退院を目指すとなると、退院の1週間以上前には注文をしなければならない。2月の中旬退院と仮定すると、1月中には装具の種類を決定することが必要だ。 下…
2025年1月中旬、作業療法についての評価テストが行われた。こちらも2024年11月中旬に行ったものと同一で、巨大知育玩具を素早く運ぶような内容。前回のスコアと比較することで回復の推移を評価しやすくなっている。 ※前回の内容についてはこちら tsureduregusa2023.hatenablog.com 巨大すぎるが色味だけは近い。 前回の評価点としては、健常の左手を100点とすると不自由な右手は80点くらい。今回は右手が95点くらいまで回復していた。本来右利きなので将来的には左手を超えていきたいが、日常生活には何の問題もないレベル。 面白いのは健常の左手についても前回よりもスコアが向上して…
2025年1月12日、突然朝一番に理学療法担当の眼光ニキが病室にやってきた。 「予定にはないですが、今からリハビリよろしいですか?」 入院中は基本ヒマなため、特に断る理由はない。 「今日はテストを行います。」 そういえば入院時の2024年11月中旬と12月中旬にも同様のテストを実施した記憶がある。1か月に一回行い、経過を見る目的だと思われる。 テスト内容は、 ・短い距離の歩行タイム ・方向転換の所要時間 ・6分間の持続歩行 ・目を閉じての立姿勢維持 ・片足立ち etc. テスト中、眼光ニキは常にストップウォッチを持っているため、必要以上に緊張する。速ければ速いほど良いのかと聞いたところ、 「速…
2024年10月下旬から続く長期入院。問題になってくるのが日々発生する洗濯物である。 これまでは週に2度ほど面会に来てくれるリアル妻オバが、汚れ物の回収と新しい下着の補充を行ってくれていた。リアル妻オバにも悪いので、身体がある程度動くようになってきた現在、自分の汚れ物は自分で洗濯しよう。 いや、ウソである。リアル妻オバに「身体動くんだから自分で洗濯しなさいよ!」と言われたのだ。確かに病院に洗濯室もあり、自分で洗濯することは不可能ではないし、リハビリにもなる。 リアル妻オバの言うことはいつも正しい。 僕がいるフロアの洗濯室には洗濯機・乾燥機が1台ずつ設置されている。 病室の数から判断し、このフロ…
昨日の階段トピックの続き。 上りよりもさらに危険度が増すのが下りである。右脚が不自由な状態での階段下りが想像以上に恐ろしい。 2024年11月中旬時点で、膝を曲げる筋肉「ハムストリング」が全く効かなかった。これにより階段の下りで何に不都合が出るかというと、まず右足を下段におろす際の位置が狙いづらいこと。もう一点、全身の動きに連動して膝を曲げることができないため、気をそらした状態で降りようとすると、右脚が伸びきったまま左脚を下ろそうとしてしまう。 つまり、以下の状態から こうなる。 階段を下りながら、理学療法担当の眼光ニキと会話をしている際にこの現象がおこり、肝を冷やした。もっとも本人よりも眼光…
脳梗塞による右半身まひを経験し、様々な日常行動ができなくなった。「歩けない」のは当然のことだし、リハビリによってある程度歩行ができるようになった後も健康な時には想像もしていなかった困難に見舞われた。 2024年11月中旬、ようやく装具をつけてなんとか床での歩行ができるようになってきたころ、理学療法担当の眼光ニキからサディスティックなメニューの提示があった。 「階段の上り下りを試してみましょう。」 そんな無茶な・・・と思いながらも、素直に階段の方に向かう。 上から言われたことはやる。それがサラリーマン。 案の定、1段目から全く登れない。11月中旬当時は股関節周りの回復が弱く、右足の先を2段目まで…
リハビリ病院のトイレは車いすが中で転回できるようにかなり広く作られている。4畳くらいの広さだろうか。一般的な尺度ではかなり贅沢なつくりである。 万が一の際に看護師さんが駆け付けられるように、使用中もトイレのカギは閉めないルールとなっている。そうすると当然入室中に次の利用者が誤って扉を開けてしまう事故も起こってくる。 ただしそういった事故を防ぐため(だけとも限らないが)とびらの左上に明り取り窓のようなものがついており、個室内の照明がついているかどうかがわかる。ただセンサー感知式の照明は使用後数分は消えないため、そこだけでは100%正確な判断ができない。 明り取り窓で判断できない場合の最終手段が、…
僕の理学療法主担当である眼光ニキとの年明け初めてのリハビリは、外歩き練習からはじまった。特に予告なく実施されたため、うれしいサプライズとなった。 ただ入院した10月下旬とはことなり、季節は真冬。厳しい寒風が吹きつける。 寒さのせいか、リハビリで外に出るという緊張感のせいか、やや足取りがぎこちない。時間にして10分程度、300mほど歩くだけだが歩道の微妙な傾斜や視覚障がい者用の凹凸にも気をつかう。 これといって大きなトラブルなく、外歩きは無事終了。はじめての外歩きを大いに楽しんだ。 眼光ニキ、サディスティックじゃないぞ。 室内のリハビリルームに戻ると、空調の温かさとバリアフリーが行き届いた歩きや…
先日お試ししたドライビングシミュレーターについて、いよいよ本番のテストが実施された。本番といっても作業療法の時間を1コマ使い、シミュレーターの検定用コースを実施するのみ。その結果を出力し、内容を担当医師が判断するということらしい。 担当医師が下した結果を参考に、さらに都道府県の運転免許試験場で可否の判断があるようであるが、それは退院後の手続きとなる。 「本番のテストはかなり意地悪ですのでご注意ください」 作業療法担当のパーマニキからの注意喚起があった。 (・・意地悪とは・・・??) 前回の練習同様、ホンダ製の以下ドライビングシミュレーターをパーマニキがテスト用に設定を変更する。 テストスタート…
普段ネットショッピングではアマゾンを利用することが多い。amazon primeにも入っているし、これまでの実績で安心感があるためである。 ところがここ1年ほど「AliExpress」を利用することも少しずつ増えてきた。中国のアリババグループが提供しているサービスらしい。 きっかけはロードバイクの趣味をはじめたこと。小物やウェアを街の専門ショップで購入しようとすると、引くほど高い。ペラペラのピチピチジャージが2万円超えもざらである。似たようなものが「AliExpress」ならば1800円ほどで入手できる。機能面で劣っていたり(想像)、見た目がいまいちだったりするがトレーニングで利用するだけなの…
新年早々インフルエンザ(みなし)に罹ってしまったため、ただでさえ少ない移動の自由が激しく制限されてしまった。 幸い症状は軽く、1月6日には熱も下がり移動制限は解除。別フロアの、このリハビリ病院に1台だけある、豆から挽くコーヒー自動販売機まで行ってきた。ペットボトルや缶のコーヒーと比較し圧倒的に美味しいため、豆から挽く自販機がある場合は必ず利用することにしている。 病み上がりで久しぶりに飲めるコーヒーに心を躍らせながら、いつものブレンドコーヒーのボタンを押そうとすると、残念ながら売り切れの表示が。 そうか、年始早々なのでベンダーの補充が間に合っていないのかもしれない。諦めようとした直後、「ストロ…
ある日の理学療法リハビリ中、珍しく担当医師の江田島オジが視察に訪れた。江田島オジはリハビリメニューを一瞥し、くわっと目を見開くと一言。 「メニュー内容がぬるい! リハビリ病院名物、獲阿呂倍苦を追加するがよかろう!!」 僕は凄く嫌な予感がした。 -- 獲阿呂倍苦とは古代中国、春秋戦国時代における奴隷使役の代表的手段である。奴隷に平駄留と呼ばれる器具を足で漕がせ、巨大な臼を回す。その臼で穀物を挽き、日々の食事に彩を加えたという。 ちなみに現代のエアロバイクが獲阿呂倍苦を語源としていることは言うまでもない。 民明書房刊『春秋戦国時代の驚くべき食文化』より -- 獲阿呂倍苦ならぬエアロバイクを漕ぐ 左…
脳梗塞の後遺症において社会生活に直接的に影響することのひとつが歩行能力だろう。発症以来2か月と少しの間リハビリを継続し、右足に装具を付けていれば問題なく歩けるレベルには回復をしてきた。しかし、もちろん健常者の歩行と比較するとぎこちなく見栄えもよろしくない。 健常時は意識したこともなかったが歩きの美しいフォームを学び、改善していこう。どうせ学ぶのであればプロに学びたい。 ということでKANSAI COLLECTIONを参考にしたいと思う。以下動画のトリで出演されるアンミカさんのウォーキングが素晴らしい。技術・表現力とも他のモデルさんとは隔世の感がある。 youtu.be アンミカさんが素晴らしい…
先日の病院食に謎メニューが出された。それが以下画像である。 一瞬シャーベットかなと思ったが、質感的に違うような気もする。色と量的にデザートの位置づけっぽい。 謎のまま食べるのも気が引けたので、困ったときのGPT頼みで聞いてみようと思う。ここはそんじょそこらの人間よりも賢いといわれている最新バージョン、ChatGPT o1に見てもらおう。 「添付のようなメニューが食事で出たのですが料理名がわかりません。何だと思いますか?」 -- 写真を見るかぎり、ぱっと見では「いちごシャーベット」のような“ピンク色の氷菓”にも見えますし、あるいは「大根おろしに梅肉や赤しそなどを混ぜたもの」(いわゆる“梅おろし”…
2025年1月1日の午後に一時帰宅を終え、リハビリ病院に戻った後から何となく体調に異変を感じていた。熱っぽく、だるい。 2日の朝には本格的に発熱を感じ、看護師さんにはかっていただくと38.4度だった。 「これはまずいですね、検査をしましょう。病室の自分のスペースから出歩かないようにしてください。」と看護師さん 頼まれなくとも身体がつらく、出歩けない。 世界一長い綿棒のようなものを鼻につっこまれる検査をした。進撃の綿棒が鼻の穴に入ってくる間、シンプルに痛いのと、綿棒が脳みそに突き刺さらないかという恐怖に涙目で耐える。 (大丈夫だよな・・あんた僕の鼻の穴の突き当りまでの距離わかってるよな・・・) …
【本記事にはプロモーションが含まれます】 2024年12月31日午後から2025年1月1日の午前中にかけて、一時帰宅を許された。 昨年10月23日に脳梗塞、右半身不随で倒れて以来、実に2か月ぶりの帰宅である。タクシーをマンション前につけていただき、自宅の呼び鈴を鳴らす。 リアル妻オバとリアル息子ニキも暖かく迎え入れてくれた。年の瀬に入院中となってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいである。 自宅の様子は2か月前とほぼ変わっていなかった。季節だけが残暑から真冬へと変わったことで部屋の中が肌寒く感じられる。 今回の一時帰宅はリハビリで疲れた身体を休めるだけでなく、退院後の生活のシミュレーションを行い…
ある日の作業療法の時間、担当のパーマニキから提案があった。 「そろそろドライビングシミュレーターをやってみましょうか」 このリハビリ病院への入院当初から、車の運転を再びできるようになりたいと希望を出しており、それに対してのアンサーだと思われる。 「そのままシミュレーターの方に向かってください」 リハビリ室の隅にひっそりと設置されていたのがこちら。 本田技研工業(株)のドライビングシミュレーター(リハビリ用)だ。 僕の場合は左脳梗塞で右脚が不自由なため、この日はどのような方法で運転を行うかを検討する目的でシミュレーターを使用するらしい。 「まずは、そのまま右脚で運転してみましょう。」 右脚の回復…
2024年10月下旬に脳梗塞で倒れ、現在のリハビリ病院の退院予定が2月下旬。あまりに長い入院生活にうんざりしかかっていた頃、理学療法担当の眼光ニキから貴重な情報をいただいた。 「年末年始に一時帰宅する患者さんも多いですよ。」 ただしそのためには担当医師の許可が必要らしい。 僕の担当医師は、魁!!男塾の江田島平八塾長を思わせる威圧感が特徴である。江田島オジと名付けよう。 「フフフ、わしがリハビリ病院担当医師、江田島オジである!」 「・・・あの、、年末年始に一時帰宅したいのですが・・・」 「一時帰宅、大いに結構!!ただしリハビリ予定にまる一日穴を開けることはまかりならぬ!!!」 つまり、朝一のリハ…
脳梗塞での入院生活が2か月を超えた。生活全般はおおむね慣れて不都合は感じていないものの、いい加減病院食に飽きてきた。何らかの良い解決策を見つけ出さないと、食の楽しみがなくなってしまう。 困ったときのChatGPTだが、そのまま聞くのもつまらないので戦国武将風に味付けした武将GPTに相談したいと思う。 「長期入院をしてまして、病院食に飽きてきたんですが、どうすれば良いでしょう?」 --- 戦国武将GPT おぬし、長きにわたり病に耐え、病院の食事に飽きが来たとは、さぞ心身ともに疲れ果てておることであろうな。拙者、その辛さに心より同情いたす。 さて、病院食は体を癒すための大切な糧とはいえ、単調さが続…
待望のカードがついに実現した。 ある日、作業療法士のおしゃべりニキと患者のおしゃべりジイのリハビリを目撃。おしゃべりニキとおしゃべりジイについては、本記事下部のリンクを参照してほしい。 が、あいにく僕の方も移動中であり、その対決をじっくりと観察することができなかった。通りすがりに見る限りでは、さすがのおしゃべりニキも防戦一方のように見受けられた。 なんとか会話の内容を聞きたいため、近くを通過した際に耳をすませると、おしゃべりジイの声を部分的に捉えることに成功した。 「・・サイン・コサイン・タンジェントが・・・」 リハビリ中の雑談で、どうやったらそんな話になるのだ、、、雑談の最終形態やないかい、…
【本記事にはプロモーションが含まれます】 クリスマスを過ぎ、リハビリ病院内もなんとなく年末進行っぽい雰囲気を漂わせてきた。ただ基本的にリハビリ病院は年中無休で、それを見越して年末年始は一般病院から入院患者が送り込まれてくるらしい。一般病院のスタッフもなるべく負荷を減らしたいから。 したがってこのリハビリ病院は年末年始満床に近いらしく、あわただしくスタッフが働いている様子が見て取れる。それで良いのか医療業界!? そんな訳もあり、僕の病室(4人部屋)も満室の状態である。 初期メンバーとしては僕以外に朝方くしゃみ10連続ニキ、グチ多めジイであった。 ※二人の初出は以下 tsureduregusa20…
3週間に一度程度だろうか、採血と検尿が実施される。 脳梗塞の右半身麻痺でリハビリ病院に入院するも、このところ比較的身体の自由も効いてきたため、ジム通いをしている気分になっていた。採血と検尿は久しぶりに病院らしさを感じる瞬間である。 ちなみに執行の予告が前日にある。検尿だけに執行・・・だじゃれずにはおられない。 なぜなら左脳梗塞で右脳優位だから。 前日に壮年の角刈り男性看護師、ゴルゴオジが予告にやってきた。 「・・・明日は予定がかなりつまってます・・5時半に採血、4時半に検尿・・・」 (いや、予定がつまっているにしても早すぎない??) 基本的に予告をした看護師さんが採血も行う。この時代にこんなこ…
右半身麻痺からの回復を目指しリハビリを進めて約2か月。残る課題の右脚について集中的に時間を割いている。特につま先については中々回復の兆しを見せず、現在でも自己評価で10点未満だろうか。 つま先を上げる筋肉(脛部分)のリハビリメニューでは、業務用低周波治療器のイメージであるアイビスプラスを用いて強制的に電気で動かしている。 ※アイビスプラスについては以下記事を参照ください。 tsureduregusa2023.hatenablog.com 「今日は別のメニューを試してみましょう。」 理学療法担当の眼光ニキはそう言うとアイビスのボタンをポチポチと操作し始めた。 時間にしてわずか15秒ほど、設定を終…
グリム童話を感じさせる実話。 現在の病室は4人部屋で一人当たりのスペースは3畳程度だろうか。狭いなりに最低限の設備は整っておりちょっとしたビジネスホテルの趣である。ベッドのわきに小さい机もあり、食事やPC作業も可能である。 ある日、机でPC作業を行っていた際に1mmほどの小さいアリが1匹、机上を歩いていた。 (ここは3階だが、、登ってきたのか、珍しいな、、) 可哀想ではあるがここは病院。衛生面で問題がありそうなので、ティッシュで捕獲しゴミ箱へ捨てた。 次の日、机でPC作業を行っていると再びアリが1匹歩いてくる。 (昨日のアリか? ティッシュで捕った際にまだ生きていたのかな?) 再度ティッシュで…
【この記事にはセンシティブな表現が含まれます】 これまで脳梗塞で救急搬送されてからの出来事を、家族と職場への現況報告として記載してきた。倒れた日の出来事からおおむね時系列で書いてきたが、いよいよ記載内容が現在に追い付いてきたため、今後ネタに困りそうな予感がある。 このような時ジャンプアニメの場合は、かめはめ波を打つのに15分くらいかけたり、サブキャラのスピンオフ回をはさんだりして尺を稼いでいた記憶なので、僕も見習おうと思う。 ・・・ 先日の記事にてChatGPTにイラストを描いてもらった際に、安永餅(三重県桑名市名産)をAIに理解してもらえなかった。 tsureduregusa2023.hat…
【本記事にはプロモーションが含まれます】 2024年12月中旬 突然、理学療法担当の眼光ニキから提案があった。 「歩行器をそろそろ外しましょうか。」 ※歩行器については過去記事をご参照ください tsureduregusa2023.hatenablog.com ありがたかった。 足の装具は付いているものの、このところ比較的スムーズに歩けている自覚があり、トイレや風呂の際に歩行器を疎ましく思う感覚があった。 「絶対こけないでくださいよ。」と眼光ニキ。 患者が転倒すると大問題になるらしく、担当の先生は始末書を書く必要があるらしい。どこの業界も大変である。 ただぁ! 先生のその言葉、フリですよね。ダチ…
【本記事にはグロテスクな表現が含まれます】 先日から一人で入れるようになった風呂の鏡をじっくりと見てみる。 麻痺していた右手や右肩は現在90点ほどに回復を見せているものの、若干左側よりも細く見える。もともと右利きだったので、健常時は左手よりも太かったはずである。上半身でこれなので回復が遅い脚についてはさらに差が顕著だろう。 以前、理学療法担当の眼光ニキがこう言っていた。 「右脳と左脳でお互いに制御、けん制をしてるんです。」 「吉田さんは右脳優位になってるかもしれません。」 脳に限らず、この世の真理かもしれない。 陰と陽、男と女、天国と地獄、おしゃべりジイとおしゃべりニキ。 すべてはバランスをと…
【本記事にはプロモーションが含まれます】 脳梗塞による右半身麻痺は日々のリハビリが功を奏し、徐々に回復傾向である。入院当初にはあった言語や手作業のメニューは減っていき、歩行など脚まわりのリハビリに取って代わられた。 いわゆる筋トレ的メニューも増え、特に理学療法担当の眼光ニキが指示するトレーニングには過酷なものが多い。 眼光ニキ、実にサディスティックである。 そうなると蓄積してくる筋肉疲労への対策をとっておいたほうが良い。もともと健常時にも筋トレには興味があり、オジイになったらムキムキを目指そうかと考えていたが、今こそその時かもしれない。 というわけで、準備したものが以下。 (株)明治のホエイプ…
「吉田さん~、ナントカCafeに来ませんか~?」病室に看護師さんがやってきた。 (ナントカCafe? そういえばエレベーターに手作りポスターが貼ってたな・・) どうやら病院内のレクリエーション委員が定期的に開催しているイベントのようである。 伝えに来てくれた看護師さんは、壮年の男性で角刈りである。ゴルゴオジと命名する。ゴルゴオジはいつもの看護服の上からサンタ風の赤ジャケットを羽織っている。 少しでもイベントの楽し気な雰囲気を演出しようというねらいだろう。 情報量が多く若干戸惑ったが、返答の候補を何パターンか検討した。 ① サンタですか、もうすぐクリスマスですもんね。 ② コスプレが似合いますね…
脳梗塞で倒れたのが2024年10月下旬。もうそろそろ2か月が近づいてきた。 入院中は当然だが病院から一歩も出られない。窓の景色は変わらず、立ち並ぶビルからは季節感も感じられない。見舞客の服装でかろうじて季節を感じるのみである。 白一色の無機質な病棟とリハビリ室の往復に、若干気持ちも滅入ってくる。 そんな中、PCのデスクトップに日替わりで表示される写真に癒される。 WINDOWS10から?11から?の機能だろうか。本日はノルウェーのソマロイとやららしい。海の色が実に美しい。 仕事で利用していた業務PCではそのような気持ちはみじんも感じられなかった。 「なんやこの煩雑な写真は・・・アイコンが見づら…
とある理学療法リハビリでの一コマ。この日の先生はマスクの上から覗く甘い目元と少しウェーブがかった髪型が福山雅治を彷彿とさせる30前後の男性。 福山ニキと名付けることにする。 同じ理学療法士でも先生ごとに少しずつ得意分野が違うようだ。福山ニキは患者の身体の動きを見て、働きが弱い筋肉のパーツをピンポイントで見分ける能力に長けているような気がする。 「吉田さん、大腿四頭筋をもう少し鍛えたいですね。」と福山ニキ。 リハビリベッドに腰掛けた状態で、右膝を伸ばす運動を繰り返す。 その際に動かすべき筋肉を先生がポンポンと叩き、刺激する。これによって患者側は力を入れるべき個所をイメージしやすくなる。 「次は大…
2024年12月14日(土) 15時 突然PCがネットに繋がらなくなった。はじめはブラウザの設定等を疑ったが、ネットワークを利用するほかのアプリやiPhoneまでも繋がらなかったため、リハビリ病院のWIFIが落ちていると判断した。 同日 15時5分 WIFIの手続きは入院当初一階の受付で行った。その際の記憶を頼りに受付に行ってみる。窓口には警備員オジが一名おり、ひとまず状況を相談してみる。 「土日は受付の事務員が休みなので月曜まで待ってください。」 (・・・知らんし・・・ただ責任者がおらず月曜まで打つ手なしである。) 入院患者はかなりの高齢者が多いため、WIFIを使っているものがそれほど多いと…
右半身麻痺の回復が進むにしたがって、自分でできることも少しずつ増えてきた。 入浴についてもリハビリ病院への転院当初はムキムキニキに介助をいただいていたが、いよいよ一人での入浴に移行するタイミングが近づく。 ※ムキムキニキについては以下ご参照ください。 tsureduregusa2023.hatenablog.com 独り入浴への移行にあたり万一の事故を防ぐため、練習と審査が行われる。この日は作業療法の時間を使い入浴練習が行われた。 「リハビリ室の突き当りまで移動してください。」 作業療法担当のパーマニキに従って移動する。 初めて足を踏み入れる巨大リハビリ室の最奥には、入浴練習用の装置が鎮座して…
脳梗塞リハビリをスタートし約1か月、その日は久しぶりに初めての先生にご担当いただいた。作業療法士の20代とみられる女性の先生。 やや不自由さが残る右腕を中心にマッサージしていただいている間、世間話に花が咲く。先生もこちらの人となりを知るため積極的に話をしてくださる。 「私、ミスター〇ーナツ大好きで、朝食代わりに毎朝2個食べるんですよ~」 彼女は予備軍ネキと名付けよう。 「若いからまだいいけど、糖尿病には気をつけてね・・・」ホントに生活習慣には注意しなければならない。 「吉田さんの趣味は何ですか?」 「登山は10年以上やってますね・・」 「私も登山やってみたいと思ってたんですよ~! 初日の出を富…
ある日のお手洗いにて。リハビリ病院なので多目的トイレが多く設置されている。 しかし病室から近く、不自由な右足を庇うことができる向きの手すりがあるトイレは一か所に絞られる。その行きつけのトイレでふとウォシュレットのボタンに手を伸ばした際のことである。 「洗浄強さ」が最大に設定されていることに気が付いた。 (・・・まったく、、どの施設にも強さを最大にするいたずら者がいるものだ、、、) 何者かは知る由もないが、彼のことは「洗浄強さMAXジイ」と名付けよう。 設定をミディアムに変更し洗浄ボタンを押してみるが・・・何か物足りない。 (・・・これは、、、) 戸惑いながら、試しに洗浄強さをMAXにしてみる。…
右半身麻痺のリハビリにて、現在は残る課題の右脚にフォーカスし進めている。特に理学療法では歩きについてのバランス、筋の反応、パワーなど様々な観点でトレーニングを進める。 ある日の理学療法終了時に担当の眼光ニキから何やら手渡された。 「これを渡しますので、病室に持ち帰って自主トレしてください。」 こ、これは、、、 敵から押され気味の主人公が、「やっぱりこれを着けたままだと厳しいか・・」とか言いながら足首から外すヤツ! 「き、きさま、、今までこれを着けて闘っていたのか、、、」と言われるヤツ! 「膝を安定させるため、もう少しパワーが必要です。」と眼光ニキ。 そうか、、、やはり力こそパワー。このサイズで…
脳梗塞で入院して以来、1か月半散髪ができていない。それとともにひげも伸び放題である。倒れてすぐは寝たきりでひげを剃るどころではないし、最近こそ余裕が出てきたものの一定以上伸びてしまったため電気シェーバーでは剃れなくなってしまった。 口ひげと顎ひげが繋がった状態、無精ひげを超えて武将ひげになっている。 信長の野望で言うと、地方にいるパラメーター平均10くらいの武将だ。だれも登用してくれないので、ずーっと在野にいるやつ。 で、いい加減うっとうしいので散髪できないかどうか看護師さんに相談したところ、外部業者が出張理容室として来てくれるとのこと。事前予約で、「カット(3,600円)」「丸刈り(3,30…
ある日、配布されたリハビリ予定表に見慣れぬタイトルが記載されていた。 「介護認定 13:00~13:30」 よくよく記憶をたどると数週間前の医師との面談の際に勧められていたことを思い出した。自治体に要介護度合いを判定いただき、ランクに応じて今後購入する介護用品などが割引されるとのこと。その判定のための面談である。 ありのままを判定いただく前提かとは思うが、僕としてはなるべく割り引いて欲しいし、自治体としてはなるべく予算を抑えたいだろう。 これは厳しい戦いになることが予想された。 --- リハビリ病院スタッフには見えず、かといって見舞い客にも決して見えない妙齢の女性が談話室の椅子に腰かけていた。…
脳梗塞からの回復期。残る課題の右脚について、総合点は30から40点程度だが、不思議なことに筋肉の部位ごとに全く点数が違う。太もも前面の筋肉は80点あるにも関わらず、つま先を上げる筋肉に至っては5点程度。 そのつま先を集中的に治療するため、理学療法担当の眼光ニキが最終兵器を持ち出した。 オージー技研(株)のアイビスプラス GD-611だ。 イメージとしては低周波治療器。パッドを足に張り付けそこに電気を流すことで強制的に筋肉を動作させる。ただしさすが業務用。電気の威力が桁違いである。 「痛くなったら教えてくださいね~」 眼光ニキがサディスティックな笑みを浮かべながら電気の出力ボリュームをじわりと上…
おやつが食べたい。 現在入院中の病院の食事は決してまずいわけではない。一般的な病院食のイメージである塩分が足りず味気ないという感覚はないのだが、長期入院になってくるとさすがに飽きてくる。 幸いなことに病室からエレベーターで一階に降りるとコンビニ的な売店があり、入院中に必要なものは大概そこで調達できる。お菓子コーナーにて2週間に一度くらいの頻度で食べたくなるポテトチップスを物色する。 品ぞろえこそ一般的なコンビニに劣るものの様々なお菓子の陳列がある中で、ポテトチップスを一種だけ発見した。 「ポテチを一種類置くなら、うすしおでしょうが!!(CV: 田中邦衛)」 コンソメパンチも非常に人気があるテイ…
現在入院中のリハビリ病院は21時に消灯となる。病院としては一般的な消灯時間だろうか。ただこの時間に布団に入ると、どうしても深夜に目が覚めてしまう。 とある日の丑三つ時、目が覚めた僕はトイレに行くついでに病棟を歩いてみようと思った。日中のリハビリ時間は限られるため、少しでも自主練の時間を増やしたほうが良い。 僕の愛車、パラマウントベッド(株)の歩行器KA-392を引っさげ薄暗い病棟の廊下を歩く。 吉田健康は随筆家であると同時に歌人でもあるので、歩みを進めながら思わず歌を口ずさんでしまう。 --- 病棟を、周回。 気分は、爽快。 go around 足音響く surround アクセルは、全開。 …
2024年11月下旬 「そろそろ車いすからステップアップをしましょうか」 理学療法担当の眼光ニキから提案があった。 脳梗塞発症から1か月と少し。右足の回復もゆっくりとではあるが進んでおり、装具をつけた状態での歩行が安定してきていた。 「望むところです」と答えた僕に、眼光ニキが持ってきたものが以下。 パラマウントベッド(株)の歩行器KA-392だ。 「こ、これは、、、もしや、これ?」 そう、1歳前後の赤ちゃんが利用する歩行器と、考え方は同じである。手遊びできるおもちゃはついていないが代わりにブレーキと小物が置ける台が装備されている。 グリップはエアロポジションが取りやすい設計になっており、快適な…
現在の病院は病室を出るとすぐにリハビリスペースとなっており、さすが専門病院といった趣を感じさせる。 ゆえに僕が休憩時間の時でもそのスペースで別の患者のリハビリが行われていることが多い。 高齢の患者が多いため必然的に会話のボリュームが大きめとなり、病室に居ても会話の内容が耳に入ってくる。 「・・・5000万くらいかのう・・・」 何やらビッグビジネスの話をしているオジイがいる。盗み聞きをしているつもりはないのだが声がでかいので自然に耳に入ってくる。 面白そうなので病室を出て本格的に盗み聞きをしてみた。 「・・・ワシは6000万でもいいと思うんじゃ、前年シーズンの成績を考えると・・・」 どうやらプロ…
現在入院中の病院はリハビリだけではなく投薬や日々の健康管理もしていただける。 毎朝発熱がないかどうか、血圧の測定、体調変化の有無、便通の回数など事細かな指標で見守っていただけるので安心してリハビリに専念できる。 「吉田さ~ん、今朝の調子はどう?」看護師さんがやってくる。 シフトの関係で毎日メンツは変わるが、看護師さんはいずれもこのようにフランクである。 「調子は良いです。ありがとうございます。」 「昨日のお小水とお通じの回数を教えて?」 「5回と1回ですね。」 初めのころは看護師さんに便通の回数を報告することに多少の抵抗はあったが、もう慣れた。健康管理のためには大切なことである。 「お通じの量…
関節は固まっていない、自ら伸ばすものだ。--Sarah Connor--
脳梗塞・右半身麻痺からの復活を目標に、リハビリ病院への入院から約1か月。 現在の自己評価としては、右手90点、右足30点くらいだろうか。 右足についてもゆっくりとではあるが徐々に回復傾向にあった。 上記の装具(ンプ)をつけた状態での歩行訓練を繰り返し、機能回復をはかる。 ある日の理学療法中に担当の眼光ニキが難しい顔をしながら言った。 「足首が少し固くなってきていますね。」 麻痺した部位の回復期には関節が特に固くなりやすいらしい。 「放置すると関節拘縮になってしまうので、今から教えるストレッチを自主トレでやってください」 まずはベッドの上にうつ伏せ状態になる。3週間ほど前まではうつ伏せになるのも…
ある日、リハビリ病院のエレベーター前に見慣れぬパーティションが設置されていた。導線を塞ぐようにそれは立っており、エレベーターへの移動が不便に感じた。 「新しい患者さんが院外に出てしまわないように付けたんですよ」看護師さんが説明してくれた。 リハビリ病院の患者は多様性に富んでいる。僕のように脳梗塞の患者もいれば、骨折等の患者もいる。比較的高齢者が多いため認知症を患っている人も中にはいる。 端的に言うと徘徊防止対策である。 パーティションには鍵がついているわけではなく、手で押せば開くことができるが扉の端に以下の機器が接続されている。 (株)ホトロンの「車椅子用体動コール あゆみちゃん」だ。 扉が開…
言語療法が終わり、右手もほぼ回復してきた今、課題は右足の回復に絞られた。 現在手すりを持っての伝い歩き状態。赤ちゃんでいうと1歳過ぎくらいだろうか。早急に大人への階段を上っていきたい。 1日のリハビリ時間には限りがあるため(法的な縛りがあるようだ)先生からは積極的な自主練を勧められた。 安全に配慮しながら病室のベッドサイドの手すりにつかまり、軽くスクワットしたり身体をゆすって足に刺激を入れていく。 イヤホンを装着しBGMでモチベーションを高める。ここはやはりノリの良い曲が必要である。 COMPLEXの「BE MY BABY(東日本大震災 被災地復興支援LIVEバージョン)」でいこう! "BE …
言語療法のリハビリを数回終え、機能評価テストの最終日となった。 「今日で評価テストは最後です。これまでの吉田さんの成績であれば、もう言語療法は必要なさそうですね。」担当の優男ニキが言った。 今後は言語療法の時間を理学療法や作業療法にあてていく方針のようである。 最後の評価テスト 「最後のテストは忍耐力が必要です。」 優男ニキはおもむろにノートPCを取り出しこちらに向けてセットした。 「数字が1秒おきに一つずつ表示されますので、7が出た時だけ素早くスペースキーを押してください。」 "5, 6, 2, 7(スペース!), 1, 1, 7(スペース!), 9, 7(スペース!), 7(スペース!),…
作業療法のリハビリを受けていたある日のこと。その日の受け持ちの先生は、はじめてお世話になる若い男性。 「初めまして! 今日の作業療法を担当します。まずは身体の状態を見せてくださいね。・・・少し右手がむくんでいるかもしれませんね。ほら、左と比べると若干ここが膨らんでいませんか?・・でここをもみほぐしてやると、、ほら、左右同じになったでしょ? そもそもなぜむくむかというと・・・」 この先生は「おしゃべりニキ」と呼ぶことにする。 患者の病状やリハビリ進捗など、最低限の情報は各先生方で共有されているようであるが各コマのリハビリメニューは担当する先生の裁量にある程度任されるようだ。 おしゃべりニキのコマ…
先日看護師さんのサポートなしでのベッドから車いすへの移乗を許可いただいた。その際に万一転倒事故が起こってはならないということで、車いすの変更を先生から提案された。 新しい車いすがこちら。(株)松永製作所のネクストコアシリーズ。 上の写真のようにひじ掛けの部分を跳ね上げることができるため、ベッドから腰をずらす形で移乗できるようになっている。 車体側面のブランドロゴがかっこよく、かつ野心的である~GLOBAL STANDARD~ フレームの素材は不明だが少なくともカーボンでないことは確か。しかしながら剛性感は高く、かつ快適性もある。残念ながらコンポーネントの搭載はないためピスト車いすである。アルテ…
転院のタイミングの問題で、またしても1週間以上風呂に入れていなかった。自分のにおいが自分ではわかりにくい可能性があるため、周囲に迷惑をかけていないか心配である。 身体の状況は改善してきており、風呂についても前の病院でのようにフル介助の必要はなさそう。どの程度の介助が必要かを理学療法担当の先生にご判断いただき、いよいよ入浴日がやってきた。 介助入浴用の車いすに移り浴室に足(車輪)を踏み入れる。フル介助用浴室とは異なりしっかりと浴室の体をなしている。 今回サポートいただく看護師さんは体格の良い快活な男性。ムキムキニキと名付けよう。 「まず、かけ湯していきますねぇ~」 ムキムキニキがタライを手にする…
リハビリ病院での作業療法がスタートした。作業療法は主に手の動きなどの細かい動作や書字などの生活関連のリハビリもカバーする。 作業療法の担当は若い男性の先生。パーマが印象的なので「パーマニキ」と呼ぶ。 パーマニキは巨大な知育玩具のようなものを取り出し、僕の目の前にセッティングした。作業療法でもテストを行い、現在の状況をスコア化するらしい。 巨大知育玩具を使い、動作の正確性やスピードなどを評価していく。おおむね自己評価通りの結果で、健常な左手を100点とすると右手は80点程度。 パワーはほぼ戻ったものの、スピードや精密動作がやや劣る。スタンドのような評価軸だ。 ただ直径1mm程度の木の棒を指先でつ…
リハビリ病院に転院してきて数日。遅々としたスピードではあるが順調に回復してきている自覚があった。社会復帰にあたり自分でできることを一つずつ増やしていかねばならない。 転院当初は、ベッド・車いす間の移乗、車いすでの移動、トイレについては看護師さんのサポートが必要であった。もよおすたびに看護師さんを呼び、車いすに移乗させてもらい、トイレまで移動、車いすから便座への移乗+ズボン・パンツ下ろし、終わった後は逆の順でベッドまで戻る行程をふむ。 今更恥ずかしいとかないのでトイレの状況を看護師さんに見られているのは気にしないのだが、深夜にお呼びする際はとても気が引ける。 ある朝、 「何だか今日、いけそうな気…
リハビリ病院での言語療法が始まった。担当いただくのは、マスクから覗く瞳が優しい30代くらいの男性。「優男ニキ」と名付けよう。 言語療法は病気により認知や記憶の機能に悪影響が出ていないか確認し、改善していくことが目的。自分としては健常時と比較しこれらの能力が変わったようには感じていなかったが、自分では気づかない部分で影響が出ているかもしれない。 4畳ほどの小部屋で周囲の壁に数々の検査グッズを配した言語療法室。身体のリハビリとは趣の違う雰囲気に緊張感が高まる。 「これから5,6回言語療法の時間を使って認知機能のテストをしていきます」 優男ニキが説明を始める。記憶力・推理力・図形の認識・計算など様々…
リハビリ病院での初めての理学療法。担当の先生は30代前半とみられる男性。若くして威圧感すら感じさせる眼光が印象的なので「眼光ニキ」と命名する。 眼光ニキは手早く僕の回復状況を把握し、適切なリハビリメニューを提示してくれる。 「この段階では色々な装具を試してみることが大切です」 眼光ニキはそう言うと見覚えのある器具を取り出した。 (これは、、、前の病院でもおなじみ、フォレスト・ガンプ、、、) 「吉田さんはここまでは必要ないような気もしますので、これとこれも試してみましょう」 「それぞれ装着して歩いてみて、一番違和感がないものを教えてください」 眼光ニキに支えられながら手すり沿いに歩いてみる。 「…
2024年11月5日 救急搬送された病院からリハビリテーション専門病院へと転院した。介護用タクシー(というものがあることも今回初めて知ったが)に車いすごと乗車し、10分ほど走った。2週間ぶりに見る外の世界は何も変わっていないが、変わっていないそのこと自体が感慨深い。 リハビリテーション病院は専門病院だけあり多数の療法士の先生方と設備を備え、多くの患者さんでにぎわっていた。 「吉田さんはまだ若いから、改善していく可能性が高いですよ」 初回のオリエンテーションで主治医の先生がおっしゃった。 前の病院でもすべての療法士の先生から「まだ若いから・・」と言われていた。 「そうか、僕はまだ若いのか、、、」…
「吉田さん、転院の日が決まりました。11月5日です!」看護師さんから告げられた。 脳梗塞急性期の2週間をクリアしたので、本格的なリハビリを行うべく専門病院へ転院するとのこと。普段の生活とは全く違う状態だったため、とんでもなく長く感じた2週間だった。 現病院のリハビリの先生方にも報告する。 「転院が決まりました、大変お世話になりました。」 「吉田さんおめでとう!ただリハビリ専門病院はここよりもさらに一コマあたりの時間が伸びるし、土日も休みなくリハビリが入るので大変かもよ?」 言語療法担当のメガネ女子は相変わらずメガネの奥の眼光鋭い。 そうだ、この病院の土日祝はリハビリがなく、ヒマなのである。 そ…
「おじゃまします~」 さわやかな笑顔でメガネ女子が病室に現れた。 シフトで頻繁に変わる看護師さんやお茶を補給してくださる方など、とにかく登場人物が多く、加えて制服やマスクのせいで顔を覚えられない。ただメガネ女子は全身から醸し出される雰囲気から普通の看護師さんではない気がした。 「言語療法を担当します、メガネ女子です~」 そういえば救急搬送された日もこのメガネ女子が病床に現れ、イラストの名称を答えさせられたことを思い出した。 「今日は良い天気ですね~。吉田さんは休みの日に何をしているんですか?」 「そうですね、山登りとかサイクリングとかですね。」 ・・・ ・・・ アイドリングトークが10分ほど続…
別離はいつも突然にやってくる。 患者ごとのスペースはカーテンで区切られ基本的に患者同士が顔を合わせることが少ない平安貴族スタイルであるが、姿が見えないがゆえに声はより鮮明なイメージで届いてくる。 4人部屋の病室の隣のスペースにいる「歯ぎしりオジ」。オジと看護師さんのこれまでのやりとりで、病状が軽いこと・退院が近いことは認識していた。 その退院の日が突然訪れたのである。 朝8時、オジのスペースからゴソゴソと音が聞こえる。 「歯ぎしりオジさん、いよいよ退院の日ですねえ」と看護師さん。 「奥さんが1階にいらっしゃっているので準備ができたら降りてきてくださいね」 「ありがとうございます。すぐに向かいま…
2024年10月下旬、理学療法の初回リハビリを受けた。一コマ約40分程度の時間を使い、歩行をはじめとする日常動作の回復を目指す。麻痺している右半身のマッサージから始まり、足に運動刺激を入れる施術を受けていく。 「じゃあ、装具をつけて歩いてみましょうか」理学療法の先生がさらっとおっしゃる。 「そうぐって何ですか?」僕が聞くと先生はおもむろに以下のような器具を持ってきた。 「ああ、フォレスト・ガンプが幼少期に着けてたやつですね」 先生は若いためフォレスト・ガンプをご覧になっていないそうだが、40代以上はしばしばその例えをするらしい。 フォレスト・ガンプを装着し、歩行時の姿勢を見るため正面に移動式の…
いよいよリハビリが始まる。可能な限り身体の状態を戻し、社会復帰を急ぎたいところである。 脳梗塞の一般論としては発症から1~2か月の間が一番機能回復が見込める時期らしく、6か月ほどで状態が固定されるそうである。よって障害等級の判断は発症から6か月後とのこと。 つまり僕にとっては2024年11月、12月が勝負の月となるわけだ。 リハビリは「理学療法(立つ・歩くなどの日常基本動作)」「作業療法(主に手の動きなどの細かい動作)」「言語聴覚(認知・記憶など)」の3種類。 これを1日に3コマこなしていく。 それぞれの科目に専門の資格を持った先生が担当いただけるので安心して頼りたいと思う。 道のりは遠く 歩…
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