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  • 感情をベクトルとして捉える

    常に役立つ訳では無いし誰にでも有効な訳では無いが、あるとお得な考え方。 物理の話 前段として、スカラーとベクトルについてまずは話しましょう。 と言っても理解するために可換体やらテンソルやらの専門用語が必要となる厳密な意味ではなく、もっとシンプルな高校物理でやる範囲の話です。 大雑把に言えば、スカラーとは数で、ベクトルとは矢印です。温度やエネルギーなどの大きさを表す数字がスカラーで、そのスカラーがどちらを向いているかの方向性の情報をプラスしたものがベクトルです。 例えば誰かが走っているとして、その人の質量や速度、運動エネルギーなどはスカラーです。それらに対してスカラー量がどっちの方向に向かってい…

  • 技術屋は勉強しないとダメだ

    私は「社会人に勉強が必要か」については人それぞれ異なるとした立場を取ってはいますが、技術職については勉強を推奨しています。 雇用契約上「能率的な職務遂行」が求められる人、医者や弁護士、エンジニアのような専門職や総合職の人々からすれば自主的な学びはある程度の範囲で否応なしに必要なものです。それが契約の範囲である以上、非能率的な業務をしていては解雇理由になり得ますし、職務の遂行能力が査定や評価に反映されることから自ら学ぶことにはインセンティブが存在しています。 やはり技術屋は勉強をしてもらわないと困ります。 少なくとも製造業の技術職であればお勉強は必須です。 なにせメーカーにとって「技術力」は生命…

  • ブログ開設から3周年となりました

    うっかり忘れそうになっていましたが、2021年4月24日にこのブログを始めましたので、昨日、ブログを始めてから3年が経ちました。 ・・・つまり、うっかり忘れていました。3周年ぴったりは今日じゃありません、昨日言及すべきでした。 今月は仕事の異動やら引っ越しの手続きやらで色々と忙しかったので仕方がないです、はい。誰に何の言い訳をしているんだか分からないですが。 まあそれはさておき3周年です。 実感としては、長いような、長くないような、微妙な長さです。 3年間毎日更新をしてきたので約1100記事くらいを投稿したことになります。 実感としては、多いような、そうでもないような、微妙な量です。 何はとも…

  • もう少しで断捨離に近づける気がする(するだけ)

    5月に引越しをする予定です。 時が経つのはあっという間なので、来月だと油断している場合ではありません。ただでさえ長時間通勤で平日には時間を作れないのだから今から計画的に片付けをする必要があります。 引越しの準備は順調、という程でもありませんが、一応手続き関連は順調です。家と車は一通り目処が立ちました。後は荷造りと荷運び、その他お役所関係の雑務だけです。 片付けの進捗は・・・微妙な感じです。 まだまだ捨てるものが多くありそうです。 新しい住家は家賃の額を変えない条件で探したため、必然的に埼玉よりも東京の方が部屋面積が狭くなることから荷物も減らさねばなりません。 モノへの執着を断つ、まさしく断捨離…

  • 経営者目線を持った方がお得

    「経営者目線」は若者に嫌われている言葉の中でもそこそこ上位に入るかと思います。 実際、雇われている人は経営者と同じだけの報酬を貰っていないのですから経営者と同じだけの仕事のレベルを求められたとしても負担ですし、実際に求めてくる組織は問題です。 そもそも被雇用者は会社運営全般に対する権限も責任も無く、ライン工が経理知識を持っていても活用し難いですし、受付担当に財務情報を詰め込んでもあまり有益ではないでしょう。 ですので、よく分からない要求だと若者が嫌うのも当然かと思います。 ただ、経営者目線を毛嫌いして極端に遠ざけると時に損をしかねないと考えます。 なにも意識が高いことを言いたいのではなく、むし…

  • 民主主義の強み/弱みは「話し合いが続くこと」

    民主集中制・民主主義的中央集権主義・Democratic centralism。 呼び名は様々ですが、これは共産主義政党や社会主義国家の組織原理の一つであり、組織の下部構成員が上級機関や指導者の決定に無条件で従う行動規範のことを指します。 もう少し噛み砕いて言えば「上意下達」です。投票等の政治プロセスによって得られた意志決定が全てのメンバーを拘束することを意味します。 投票や話し合いなどを経由している以上、民主集中制による意思決定は表面的には民主的なはずです。 ただ、どうにもこれが民主的だとは腑に落ちなかったため、民主的とは具体的にどのような状態かについて言語化してみたいと思います。 時間の概…

  • たとえAIに取って代わられるとしても

    今を努力しない理由にはならないだろう。 視点の高低は価値の高低ではない たまには真面目風で前向き風な話をしてみましょう。 まず、長い目で見れば人は必ず死にます。 これは自然の摂理です。 では人はいずれ死ぬのだから何かを成し遂げたり築き上げたりする行動や今日のご飯を食べることですら無駄かと言えば、それはどの視点で見るかによって変わります。 高い視点、それこそ地球や世界の視点から見れば無駄です。高い視点から見れば一人の人間なんてちっぽけなものであり、その人がどんな人生を歩むとも歩まずとも大した影響はありません。 しかし私たちは地球でも世界でもありません。ただの一人の人間です。 よってそのような高い…

  • 小さな日々で思っていること

    近況報告、とは少し違うような気がする。 電車で席を譲らない理由 この話をブログでしたか定かでは無いのですが、私は電車で席を譲らないタイプの人間です。 電車で席を譲るのって、少しややこしいじゃないですか。席を譲られたら喜ぶ方もいる一方でプライドが傷付く方もいますし、気が引ける人も申し訳ない気持ちになる人もいます。その心中を外から見て察することはできず、しかし相手に心理的負担を与えることは好みではありません。 ですので、そもそも私は電車で座りません。 座席の優先順位で言えば最下位である健康な成人男性ですので立っていてもおかしくないですし、端から座らなければ譲る際の手間や葛藤を省略できる、電車の座席…

  • availabilityを重視した幸福論

    幸福(Happiness)は意外と難しい概念です。喜びや楽しさに類する瞬間的な感情を指す場合もあれば、もっとレンジの広い生活満足度を意味することもあります。 幸福を定義して定量的に測定するため、様々な尺度が開発されている程度に「幸福」は人々の関心を惹く言葉ですが、何を幸福と感じるかは実際のところ人それぞれです。それは単純に幸福を生み出す要因が無数にあるためだと言えます。 遺伝や性別のような生物学的要因、年齢や健康のような個人的要因、家族や知人のような人間関係要因、教育や職場のような制度的要因、犯罪や経済のような社会的要因、自然や汚染のような環境的要因、宗教や思想のような文化的要因、その他さまざ…

  • 評価は他者がするものであり、しかしてそれは

    今回は「評価は他者がするもの」をテーマに、考えをつらつらと書いていきます。 それは動かせない 仕事や人間関係、学問や芸術など多くの事柄において、評価は他者がするものです。 これがこの世の真理とまで大仰なことは言いませんが、決して変えることができない事実の一つだと言えます。 どれだけ自分なりに頑張ったとしても評価する人が見ていなければ努力は評価されませんし、結果が伴っていなければやはり評価はされません。評価は採点をする人の感情的な好き嫌いすら影響します。 自らが望む通りに他者から評価されるべきだと考えることは、残念ながら幻想に等しいものです。 これは誰しも同じです。 他者だけではなく誰しもが同じ…

  • 半月で堕ちた:(元)現金至上主義者の戯言

    クレジットカードや電子マネーなんて使えない店もあるし、いくら使ったか把握するのも面倒!現金なら財布に入っている分しか使えないから管理しやすいし使い過ぎることも無い!だから現金がいい!現金最高! ・・・とまで熱烈ではありませんが、私は基本的に現金至上主義者でした。 なにせ私はお金の管理があまりにも下手で、「宵越しの銭は持たねえ」「吝嗇でありたくない」「気前は良いほうがかっこいい」とばかりにお金が財布に入っていればパッパと全部使い果たしてしまい、人に金を出すことをさっぱり気にしない質のしょうもない人間です。 ちなみにこの辺りの心持ちはちょっと説明が難しいところがあります。 私は他者にケチだと思われ…

  • 主張では「どうしたいか」だけでなく「どうすべきか」も必要

    先週の日曜日は引っ越す街を見極めるためにいくつかの駅を出てうろついたり不動産賃貸仲介業者に物件の紹介を受けたりなどをして過ごしました。 ケータイの充電が切れそうだったので夕方頃に住処の駅に帰ってきたところ、いつものように政治団体が演説をしているところへ出くわしました。 この駅では様々な政治団体が何らかの政治主張をしている光景をよく見かけます。今回は黒い街宣車に「憂国」と書いてあるコテコテの右翼団体です。 マイクの調整が下手なのかあるいは弁舌家の滑舌が悪いのか何を語っているかはほとんど聞き取れなかったのですが、バス停へ向かう途中にビラ配りをしていたオジサンがビラを渡してきたので受け取って見ること…

  • ひとつの記事にするほどでもない思い付きトーク

    変わりつつあるライフスタイルの過渡期の記録。 ・・・とまでは言えない、ただのふと思ったことメモ。 油断大敵 道路事情に左右されるため仕方がないことですが、通勤で乗るようになったバスが大体数分は遅れて来ることに慣れつつあり、バス停で待つのも面倒なので家を出る時間がバスの遅れを前提とした時間になりつつあります。 いつか定刻通りにバスが来た時に乗り遅れるだろうなという予感。 予知能力など無くとも分かる必然の未来。 そろそろ気を引き締めねばなりません。油断とは実に分かりやすく素晴らしい言葉です。私も油を断って灯を消してしまわぬよう戒めねば。 そもそも安定状態とは定常性を維持するための何らかの制御が働い…

  • 故きを温ねて新しきを知る

    ■勝って兜の緒を締めよ ■好きこそ物の上手なれ ■人事を尽くして天命を待つ ここ最近投稿した記事で、締めの文章に出てきた成句です。当ブログではこの手の成句、ことわざ、昔からの言い伝えや格言を時々ちょこちょこと使っています。 なにせ私の文章は極めて冗長な傾向があり、「長々と語ってるけど、まあこれはつまり、一言で言えばこういうことだよな」と記事を書き綴る途中に自分で思い至ることが多々あるため、一言で要約できる言葉を思い付いた時は記事のどこかに載せています。 温故知新 この手の成句、ことわざ、昔からの言い伝えや格言には深い含蓄があります。 古くから語り継がれている言葉とは大抵の場合で物事の本質を的確…

  • 「心地よい失敗経験」によって諦観へと近づくことの推奨

    私の口癖の一つに「仕方がない」があります。 この「仕方がない」が含意する諦観について、少し述べていきましょう。 「諦め」と「諦観」の違い 諦観とは「諦め」とは異なる概念です。 諦めは望みが実現できないことへの絶望や断念といったネガティブな感情を伴う行動であるのに対して、諦観は物事の本質を見て取ることを意味します。 例えとして、出先で急に予定外の雨が降ったことを考えてみましょう。 その際の諦めとは、たとえやむを得ないとしても服が濡れることへの嫌悪や予定通りに物事が進まないことへの怒りのように負の感情を伴って現れます。 対して諦観は、雨が降ることはただの自然現象だと悟ることです。そこにはネガティブ…

  • 得意だから楽、不得意だから苦、では勿体ない

    日常とはつまり「常日頃」のことであり、生活スタイルが変わったばかりの今の日々はまだ日常ではないのではないかと思ったりする、そんな日常。 本社は怖いところかもしれない 職場ではよく知らない人でも会話できるタイミングがあれば「まあ同じ会社の人だし少なくとも敵ではないだろう」くらいの気持ちで気軽に話しかける、私はそんなタイプの人間です。 もっと歳を取ったら若者に煙たがれるタイプのオジサンになりそうな気がします。 それはさておき、最近は引っ越しの相談がてら本社にいるあっちゃこっちゃの人と話していました。知らないオジサンばかりですので引っ越し話はちょうどいい会話のフックになっています。 先日もどこかで見…

  • 在宅勤務、その手があったか

    事業所勤務時代にはもはや誰の口にも上らなくなっていた在宅勤務なるワード。 それが本社に転勤してからは毎日のように耳に入ります。 むしろ通勤時間の長さへの配慮で上司から在宅勤務の推奨を受けるほどです。 なるほど、その手があったか。 工場で働く人間は在宅勤務など無理 コロナ禍以降、在宅勤務やリモートワークの良し悪しについては各所で散々語られましたので私が新たに語るようなことは特にありません。 何はともあれ絶対的な良し悪しの判定を下す必要などなく、向いている仕事と向いていない仕事、そして向いている人と向いていない人がいるだけの話だと思っています。 私が勤めているようなメーカーは在宅勤務が向いていない…

  • 新しい仕事に脳の大部分を割いている

    「仕事とは真剣に取り組めば取り組むだけ早く熟達できて後々に余裕を作れるものだ」とした個人的な信念に基づき、4月からの新しい部署では不真面目なくせに生真面目に全力を尽くしています。 私は「怠惰を求めて勤勉に行き着く」を地で行うタイプの人間です。 ただ、そのせいでしばらくは仕事以外の思考力が著しく低下する予定です。 覚えることが多いよー。 そんなわけで気分転換に雑談的な話をしましょうそうしましょう。 不真面目で生真面目 私は不真面目で生真面目な人間です。 自分で言うのもなんですが、根っこの部分は物凄く真面目です。なんだかんだフリーダムなことを口にはするものの物事の決まりやルールは遵守しますし、倫理…

  • 「敗者は勝者に従う」発想の功罪

    先の戦争における「太平洋戦争」と「大東亜戦争」の呼称について少しネット上で話題になっているようです。 私はそもそも「大東亜戦争」の呼称を積極的には使わないので論争自体にはそこまで興味がないのですが、言葉の制限や制約は戦時中の「敵性語」と同じメンタリティを感じるため、そういった仕草はあまり好みではありません。 とはいえそれを好む人もいますのでそこは是々非々だと考えます。 他者の感情的な側面を慮ることはあって然るべきですし、それは双方向性を持つものです。使いたい人が使いたくない人に強いたり、あるいは使いたくない人が使いたい人に強いるから揉め事になるのであって、使いたい人は使えばよく、使いたくない人…

  • 時間を効率的に使う意識は何事にも役立つ

    当たり前のことなのですが、今月から通勤時間が往復20分から往復3時間に伸びたので一日の可処分時間がそこそこ削られた感覚です。 一応、車から電車への変化であり車の運転中にはできなかったことが電車ではできるので可処分時間の純減ではありません。 とはいえ電車内でできることは限られていますので自由度の減少ではあります。 まあ、せっかくなので通勤時間は英語の勉強にでも費やします。 遊べる環境にいると遊ばずにはいられない性格ですので、勉強くらいしかやることのない電車通勤は勉強に集中する良い機会だと思うことにしましょう。 それで先日も降りる駅を間違えたわけですが。 私は意外と集中力が高い人間です。視野が狭い…

  • 「考える力」を育むだけでなく、「より良い答えを見つける力」も育む必要がある

    実のところ、学校の勉強方法はとても合理的です。 傾倒学習と問題解決学習 暗記よりも考える力そのものを育むことの重要性は各所で語られています。 実際、現実は答えが無いことのほうが多いので、そのような問題に対しても立ち向かえるよう考える力を育むことは正しい発想だと言えるでしょう。 学習には大きく分けて系統学習と問題解決学習があります。 前者は教科書等を用いて体系的に知識を詰め込んでいく受動的な学習方法で、後者は答えのない問題へと取り組む能動的な学習方法です。 大雑把に言えば、「空はどのような理由で青いか」と順を追って教えていくことが系統学習、「空はなぜ青いのか」と考えさせることが問題解決学習です。…

  • 自分の人生を生きることとは、他人の人生を蔑ろにすることではない

    似ているようで、まったく異なること。 自分の人生を生きること どれだけ他者の手助けがあろうとも自らの人生に対して責任を負っているのは唯一己自身のみであり、他者は責任の主体者足り得ません。 責任とは結果に対処する義務であり、決定も、判断も、他者に委ねることはできますが、その委ねた結果に対する責任はやはり自らのものです。 そして自らの責任を取れない人が社会に対する責任を負えるはずもなく、大人はまずもって社会に対する責任ではなく自らに対する責任を果たす必要があります。 率直に言えば、大人とは自らに対する責任を取れる人を意味します。 よって自分の人生を生きることは誰にとっても最上位の目的にあるべきです…

  • ついにサラリーマンになったような気がしている

    さすがに疲労気味なので、まったり雑談を。 なんだかサラリーマンになった気がする スーツを着て鞄を持って電車に乗って出社して首から社員証をぶら下げていると、なんだかサラリーマンになったような気がします。 ・・・と言うと、誰に言っても「お前は元々サラリーマンだ」と突っ込まれます。 いや、これは実態の話ではなく気分的な違いなのです。サラリーマンとはこういうものだというステレオタイプ的存在になったというか、そんな感じの話です。 雑なたとえ話をしましょう。 世の中には様々なヒーロー像が存在しています。 とはいえやはりマフラーを付けていると仮面ライダーやサイボーグ009のようなヒーローっぽい感じがするじゃ…

  • 物理的な経験は共感を生み出す

    新しい職場では、事務方を除けば最年少になりました。 この歳で最年少になれるのは実に良い経験だと考えます。人間、どうしても下が増えてくると増上慢になりがちなものですので、立場が変わって新米の気持ちを思い出すことは効果的です。 今は心機一転、仕事へのモチベーションがかなり高くなっています。 無理を言われるとムキになるタイプ なにより新しい職場では要求が高いことが面白いです。 この職場に異動してくる人は他所で管理職を経験してきたベテランも多く、適当に仕事を振ってもこなせる程度の能力を持っていることが最低限求められます。指示をしなければ動けないノービスはいません。手取り足取り教育をした上であれをやれこ…

  • 同族企業に関する善し悪し

    インターネットの一部で蛇蝎のごとく嫌われている同族企業(家族経営、ファミリービジネス)について、少し自論を語っていきます。 悪いことばかりではない 初春になるとSNS上で新社会人や就活生に向けた先達の様々なアドバイスが溢れかえります。役に立つものも極端なものも様々ではありますが、まあ概ね善意に基づいた提言ですので無下にすることもないでしょう。 その中の一つに「同族企業は避けるべき」とした提言を時々見受けますので、それについて述べていきます。 まず第一に、同族企業は極めて一般的な形態です。 日本は同族企業の比率が高いと言われており、企業全体の9割、上場企業に絞っても5割は同族企業です。とはいえイ…

  • 新しいことはいつでも不安で、楽しい

    遅刻は常に許されないとはいえ、初日からではあまりにも印象が悪くなり過ぎる。ただでさえ慣れない道を移動せねばならないのだから、時間、そして心に余裕を持っておきたい。 そんな心境から、4月1日の朝はいつもよりも少しだけ早く起床した。 元々目覚まし時計に頼る睡眠サイクルではないので、すでに目を覚ましていた私はいつも通りアラーム直後にスマートフォンをタップして大人しくさせる。 アラームの時間設定を変更したのは何年ぶりだろうか。 アラームは私にとって起床のための道具ではなく、浴室に向かう合図に近い。アラームを止めたらそのままのそりと布団から転がり出てシャワーを浴びることで、身体よりもよほど寝坊助な脳の目…

  • 意外と面倒な用語「ヒートポンプ」

    どうにもニュース等で用いられる際に混乱のある用語「ヒートポンプ」に関して、解説を試みます。 世界情勢 昨今、欧米ではヒートポンプ(heat pumps)が話題です。 欧米では主に化石燃料等を用いるボイラーが家屋の暖房を担ってきたのですが、近年はCO2排出量削減のために電気で暖房ができるヒートポンプでの暖房へ徐々に置き換えが進められています。 たくさんの補助金が出て各国で推し進められてきたものの、ここ数年は戦争の影響による電気代の高騰もあり、なかなか進捗は芳しくない状況です。 例として海外の報道のリンクを2つほど貼ってみます。 【(アメリカ) ヒートポンプはアジアではすでにどこにでもある。アメリ…

  • 物事の比較における主観的評価の課題

    世の中には様々な事柄について国際的な比較分析がなされています。例えば、農業・経済・文化・教育・環境・安全・健康・産業・政治・技術・軍事・スポーツ、などなどです。 国際比較は意外と奥が深く、各国が統計を取っているような定量情報であれば比較的容易ではありますが、データの収集が難しかったり主観的な側面が含まれている場合はより難しくなります。 何を測定するかによって異なる難易度 例えばアルコールを例にして考えてみましょう。 『アルコールの消費量』を比較することは容易です。例えば日本であれば国税庁が酒類に関する定量データを公開しているように、酒類は各国の公的機関が観測している定量データがありますので、そ…

  • 若者が海外へ働きに行くことへの認識の違い

    どうにも、恐らく世代によって認識が異なる話。 国際移住や海外での労働に対する価値観 ここ1年ほど海外へ働きに出掛ける若者が利用する制度であるワーキングホリデーのニュースが多くなったように感じます。 まあコロナ禍による渡航制限が緩和されたこともあり伸び率としては高くなっていて話題性はあるのでしょう。 ただ、それを「出稼ぎ労働」「日本は途上国になった」といったような、どうにも海外に出ていったり海外で働くことに対するネガティブなイメージを持って評する論調が一部で見受けられるような気がします。 これは世代的な認識の違いが大きく影響していそうです。 今どきの若者は一所懸命に一つ所で頑張り続けることを美徳…

  • 職場での日々、それは大体こんな感じです

    最近は日記的な緩い記事を多めに投稿していますが、裏では堅苦しいテーマの記事も書いています。 ただ、なんとなく重い記事を投稿したい気分にならないので、今日も緩い日記を書いていきましょう。この心情はきっと日常の急激な変化に適応するための心理的な緩和機構です。 ワタワタしているときこそ、まったりとした心持ちを。 乗り気じゃない 私「なんか、年度末で異動直前なのに算数の依頼がきちゃった、ちょっと面倒な流量計算」 同僚「そりゃ大変だな」 私「もう気分的にはラーメン屋なんだけど」 同僚「は?」 私「閉店直前、客も捌けて今夜はもう来ないだろう夜、ちょっと早いけど店仕舞いするかとアルバイトに椅子や調味料の片付…

  • 異動に際して、せっかくだから溝浚いもしておこう

    いよいよ3月も終わりが近づき、気候も仕事も寒暖差の目立つ季節となりました。 この時期の技術屋は、年度内の案件さえちゃんと片付いていれば比較的まったりできる暖かい時期です。 対して最後の最後まで数字や施行の帳尻を合わせなければいけない忙しい人も居るため、職場の温度差はまさに三寒四温です。 ・・・上手いことを言ったつもりで言えていません。 もちろん私はまったりしている場合ではなく、異動に備えて業務の引継ぎやデスクの片付けをしなければいけないのですが。 異動に際しては「ええい、後のことなど知らん!」とほっぽり出す人もいらっしゃるとは思いますが、個人的に立つ鳥としては跡を濁さないほうが気分が良いと言い…

  • 自然エネルギーの反対は、不自然エネルギー?

    小人閑居して不善を為す。 或いは下手の考え休むに似たり。 不自然エネルギー 最近、ニュースで「自然エネルギー」なる単語を見かけました。 ふと思ったのですが、自然エネルギーではないエネルギーってなんでしょうね? 自然エネルギーの厳密な定義は無いはずですが、大まかに言えば太陽光や地熱、風力や水力など自然現象から得られるエネルギーを指して自然エネルギーと呼ばれているようです。またバイオマスエネルギーは大枠の「再生可能エネルギー」には含まれますが「自然エネルギー」のカテゴリには含まれないことが一般的です。 とはいえバイオマスエネルギーだって動植物などの生物由来であり、光合成や発酵や燃焼なども自然の法則…

  • 技術者にとって本社への転勤は栄転か否か

    技術者にとって本社への転勤は栄転か否か。 それは人によって異なります。(万能な答え) 技術者のキャリアパス 機械エンジニアのキャリアパスについては説明が長くなるので綺麗に纏まった資料が無いものかと探してみたのですが、「エンジニア キャリアパス」で調べてみても「ITエンジニア」の情報しか出てきませんでした。インターネットの悪いところです、まったくもう。 そんなわけで、機械エンジニアのキャリアパスについてゆるい感じで話していきましょう。 機械系技術者の多くは企業へ所属して現場の部署に配属されます。 行先は研究開発部署であったり実際の製品設計部署であったり保守メンテ部署であったりと様々ではありますが…

  • ネクタイをロクに結べない社会人なんているわけないだろ・・・?

    いるさ、ここにな! ・・・そんな、恥ずかしい話をしましょう。 まあ、普通にいる、よね・・・? 社会人のステレオタイプと言えば、スーツをピシッと決めてビジネスバッグをバシッと持ってシャシャッと小走りに進む都会のビジネスパーソンを誰しもイメージしがちなものです。 もちろんステレオタイプになるだけあってそういった人々はかなりの比率でいるものの、そうではない社会人もたくさんいます。 例えば私が勤めるような製造業のメーカーの話をしましょう。 本社機能や営業機能は都会に置くことが多くそこで働く人もピッシリした感じの人ばかりですが、都会から離れた場所にある生産拠点や事業所ではスーツを着ている人なんてほとんど…

  • 人種と民族の違いから民族自決権の意味を考える

    ふと思ったことをまとめていきます。 本日のテーマは『民族自決』です。 ・・・重いテーマだこと。 翻訳の難しい言葉 民族自決は存外に難しい、字面通りには捉え難い概念です。 そのまま読めば「各民族」が「自己決定」を行うことを是とする言葉なのですが、そもそも「民族」や「自己決定」の範囲が不明瞭です。 まず、民族自決権は国際社会の基本原則の一つであり、国連憲章にも記述されています。また民族自決権は人権(Human rights)の一つでもあり、英語ではSelf-determination(自己決定権)となります。 ここがややこしいところで、英語のSelf-determinationには”民族”の表記が…

  • これからなんと名乗っていこう?

    ふと、気付いてしまいました。 私は今までこのブログで場末の技術屋を自称していましたが、人事異動と転勤によって現場の技術者でなくなる私は、これからなんと名乗っていけばいいのでしょう? 機械設計の流れと役割 前提情報として、製造業のうち機械設計を行う会社が製品を設計する主な流れと役割をまとめてみましょう。 (上流) 【企画】:市場情報を基に、新しい製品の立案を行う 【研究】:新技術の開発や新技術を取り入れる下地を作る 【開発】:企画と研究の情報を基に、新製品の構想設計を行う 【設計】:開発の設計を基に、量産に適した詳細設計を行う 【工程】:設計された製品を量産する製造工程・設備を設計する (下流)…

  • ブログに関する非業務連絡

    ブログに関するあれやこれやの雑談です。 今後の更新頻度はどうなるやら 4月から仕事の場所も内容も大きく変わり忙しくなることが予測されるため、特に意味もなく続けているブログの毎日更新が途絶える懸念があります。 いえ、まあ、特に何の意味もなく趣味的に続けているだけですので途絶えたって別に構いやしないのですが。 しかし逆に言えば趣味だからこそ得られる享楽が日常から損なわれる状況に陥りかねないわけで、それはそれでメンタルには宜しくないことです。何より毎日ブログを書いていることは健康な日々を過ごせていることの証明でもあり、ブログにとっては意味がありませんが私の健全性にとっては意味があることかもしれません…

  • 感謝をするから喜びが生まれる

    ここ数日ほど『感謝の要不要』についてネットの一部で騒がれていたのを見かけましたので、感謝の考え方に関する凄くふわふわした個人的見解を語ってみましょう。 通常、感謝は何かしらの喜びをもらった時にするものです。 例えばプレゼントをもらったり、親切な対応をしてもらったり、困りごとを助けてもらったりしたときは感謝の言葉を述べることが適切でしょう。 しかしながら、喜びをもらったから感謝をするのではなく、感謝をするから喜びが生まれる。そういった側面もあるのではないかと思っています。 なんとも、実にふわふわした話です。 感謝の是非に関する自論 私自身は飲食店やコンビニでもお礼の言葉を述べるタイプの人間ではあ…

  • 愛車とお別れしなければならない時が来たようだ

    私「車が好きなんですよ、まあ車というよりは運転のほうですけど」 同僚「そっか」 私「ああ、でも今の車には愛着があります。結構長く乗ってますからね」 同僚「そっか」 私「東京に引っ越した場合、車の所有は厳しいですかね?」 同僚「駐車場に今いくら払ってる?」 私「うちはなんと駐車場代が家賃に込みの物件です。内訳的にはたぶん5000円くらいですね」 同僚「そっか」 同僚「もちろん場所によるけど、2万円以上かかるよ」 私「あ、はい。諦めます」 都会は土地の金銭感覚がちげえや。 愛車との思い出 我が愛車、HONDA VEZEL(ヴェゼル)。 初めて買った車は父の教えに従い「排気量の小さい」車であるHON…

  • 技術伝承を軽んじる組織は必然的に滅びる

    もはやただの愚痴。 先日の会話 私「来年度以降、私の業務は誰に引き継げばいいですか?」 上司「残念ながらまだ決まっていない」 私「まだ決まってないんですか。引き継ぐ時間はもうあまり無いのですが」 上司「たとえ決まっても向こうは向こうで引継ぎがあるだろうから、ほとんど引き継ぐ時間は無いと思ったほうがいい」 私「困った話ですね」 上司「仕方がない」 私「目先のタスクよりも技術的な知見を引き継ぎたいので、時間が欲しいのですが」 上司「やむを得ないが、知見に関しては後継者に自ら考えさせて学んでいってもらうしかない」 車輪の再発明なんて馬鹿馬鹿しい 先達と同じ地平に辿り着くまで、後継者が一から勉強して進…

  • 算数で考える『排除の論理』の非合理性

    『排除の論理』は明確な定義のある表現ではありませんが、意見が合わない人を集団から排除したり、異なる意見を持つ人を認めずに争ったり、意見の違いを発端として集団を分裂させたりすることなどを意味する言葉です。 『排除の論理』を用いる人は政治的な立場に関わらず存在しています。外国人を追放せよと叫ぶ右派団体も、政治思想の違いで分裂する左派団体も、根底は同じです。 たとえ集団の人数が少なくなろうとも構成員を純化することがより良い結果をもたらすと信じている『排除の論理』は、それはそれで一つの理屈ではあります。数の論理が必ずしも勝るとは限りませんので、少数精鋭が適した場合もあるでしょう。 ただ少なくとも『排除…

  • 電車通勤へのしようもない覚悟

    ここ数日、通勤のことばっかり考えている。 これは・・・恋? この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ 完全なる雑談をしましょう。 私は電車での移動があまり得意ではありません。 酔いや乗り心地ではなく、単純に人が多い空間が苦手だからです。私は田舎で伸び伸びと育ってきたためパーソナルスペースが広いタイプの人間であり、人が近距離にたくさん居るととてもソワソワしてしまいます。 電車自体が嫌いなわけではなく、田舎の路線で2両編成に各車一人ずつしか乗っていない、そんな牧歌的な状況はむしろ好きです。「2両編成なんて贅沢だな」「1時間毎に電車が来るなんて頻繁だな」「ボタンを押さなくても勝手にドアが開くのか」と思う…

  • 誕生日、それは思い出話を記事にする日

    3月16日、今日は私の誕生日です。わーい。 この書き出しも3回目です。芸が無いですね。 でも、ブログをやっているおかげで今年は誕生日を思い出すことができました。忘れん坊とブログはとても相性が良いようです。 少しだけ振り返ってみる ブログは4月に始めたので、来月にはこのブログもいつの間にかの3周年です。 さすがに3年ともなると、よくもまあ飽きもせず毎日雑文を投稿できているものだと自分自身に少し感心します。少なめに見積もっても200万字以上、文庫本換算で20冊オーバーですので、案外馬鹿にできない文章量です。統一性もなくバラバラに好き勝手書いているだけですので合計量に意味があるわけではありませんが。…

  • 絶対的な信念に対する不信感

    絶対的な信念やドグマを抱いている人と話す度に思うこと。 穏健派の言い分 当ブログではドラスティックでラディカルな行動に対して批判的な記事を度々書いてきています。私は過激な行動を良しとはあまり考えません。基本的には穏健なほうが望ましいと思っています。 私個人の信念を再度整理してみましょう。 まず、物事をより良くするためには現状を変える以外になく、そのため変革にはまったくもって全面的に同意しています。改修の行われないシステムは停滞であり、停滞とは相対的には後退に他ならないものです。 ただし変革を急進的に行うことに対しては批判的です。私は穏健かつ堅実に進めることを是と考えます。 私は一点の曇りもない…

  • 現実投擲(逃避よりも悪質):ライフスタイルが変わりそうな気配

    ちょっとストレスが溜まっているのか、思考が尖り気味です。どうにもここ最近の記事の内容が重いというか選ぶテーマが固いというか、そんな雰囲気が滲み出てしまっています。下書きに保存してある記事もやけに攻撃的な気配を醸し出しているような、そんな感じです。 急な話題転換ですが、仕事の余裕度とストレスは、難易度よりも納期に概ね依存すると考えています。100の難しさの仕事を100の時間掛けてやるよりも、10の難しさの仕事を5の時間で終わらせるほうがストレスです。 つまり、期日直前まで放置されていた仕事の尻拭いは、しんどいものです。 せめて、せめてもっと早くヘルプの声を上げてくれればいいものを。 ここらで少し…

  • ロシアが恵んでくれる自由はどの程度か

    昨日の記事の続き。 ヘヴィなテーマではありますが、権威主義国家の国民が得られる自由に関して語っていきましょう。 「自由」の測定 各国の自由を測定している団体や指標は様々ありますが、その中でも代表的な指標として国際NGO団体フリーダム・ハウスが毎年公表しているFreedom in the Wolrdがあります。 この指標では各国の『政治的権利』と『市民の自由』を100点満点のスコアで測定しており、当ブログでも2022年と2023年の日本のスコア・評価を記事にしています。 2024年のスコアもすでに発表されており、日本は例年と変わらず96/100点です。 さて、昨今ではロシアによるウクライナ侵攻が…

  • 日本が中露の権威主義陣営に寝返った場合の想定

    若者「アメリカはもう沈みゆく国です。欧州だって不調です。日本は西側陣営から抜けて、中国やロシア側の陣営に加入したほうがいいんじゃないでしょうか」 私「うーん、またヘヴィな話題を。とりあえず自由主義を愛する私としては権威主義に与するのは好みじゃないかなー。あと、こればかりは美学に属する考えだけど、外様になるのはちょっと。負けそうだから勝てそうなほうに付くよりも、負けないように努力するほうが好みだね」 「日本は自由主義陣営を抜けて中露の権威主義陣営に加わるべきだ」 このような言説は今回話した若者に限ったものではなく、時々ですがSNSやメディア等でも見かけます。 まあそれはそれで一つの選択肢としてア…

  • 技術職のプレイングマネージャーが生み出す機能不全と士気低下

    少子高齢化の進展に伴い労働人口が徐々に減っている社会を背景に、一部の組織やチームには役職として明記されて、乃至はなし崩し的にプレイングマネージャーが存在しています。 プレイングマネージャーとは現場で実務を行う「プレイヤー」と管理職である「マネージャー」を兼任する人です。一人二役を期待されており、労働人口が低減しつつある組織のニーズに適合したポジションだと言えるでしょう。 もちろんそんな理想は大抵の場合で現実的ではなく、プレイングマネージャーでグーグル検索してみればなんとも悲惨なサジェストが出ることからも分かるように、誰もがはっきりと、あるいは内心でプレイングマネージャーは問題だと思っています。…

  • 無理をして善人にならなくてもいいんじゃないかな

    どこかの誰かに向けて言うわけではないけれど、きっとどこかの誰かには厳しい話。 よくある日常 上司「企画部の一人が育休に入っちゃったらしくてさ、悪いんだけどちょっとそいつの代わりに顧客のところへ今度行ってきてくれないか」 私「それはうちの仕事ですかね?まあ、しゃーないですね」 ・・・ 私「というやり取りがあったから、今度顧客のところに行ってくるよ」 同期「なんでだよ。明らかにお前の仕事じゃないだろ。代打はあっちの部署で出せばいいわけで技術屋が引き受ける話じゃないんだからそんなのノーウェイトで断れや」 私「あー、まあ、たしかにね」 実によくある流れです。 私も上司も基本的に断らない側の人間なので、…

  • 日々出力される無意味な思考

    ふと頭の中で流れた考えをメモしてみたので書き残してみます。 そんな雑談記事です。なんだか重いテーマばかりを取り扱っているので、たまには意図的に軽い記事を書いていきます。 幸せを逃がさない方法 ため息をすると幸せが逃げると言われています。 とはいえ体や心が疲れていると「はぁ・・・」とため息は出てしまうものです。 そんな時は「はぁ・・・ひふーへほー・・・」とばいきんまんの真似をすることで、なんとなく元気が出ます。 ちょっとしたライフハックです。 ※効果には個人差があります。 オタクが見え隠れする瞬間 私は知識オタクなので、無駄な知識を色々と持っています。 そのせいか、人から時々「なんでも知ってるね…

  • 憲法について議論をする前段階で必要な認識の擦り合わせ

    社会的なテーマの中でも触れ難いものは多々あれど、その中でも憲法は特に語りにくいと感じます。 とはいえ憲法について誰もが口をつぐんで語れなくなるほうが問題だと思っているため、過去にもいくつかなるべく穏当なつもりで記事を書いてきました。 今回はより根源的な部分、そもそも憲法をどう捉えているか、すなわち価値観の違いについて述べていきます。 憲法とは 憲法(constitution)は多義的な言葉であり、各国によって成立経緯や取り扱い方、そして意味するところが異なります。また学問分野として憲法学が成り立つ程度には憲法を厳密に理解することは難しく、学者によってさまざまな解釈が存在している言葉でもあります…

  • 中国の国防費に関するニュースを見ての雑感

    二日続けて軍事の話をするのは恐縮なのですが、なんとなく語りにくい話題なので続けて書き切ってしまいましょう。 今回は毎年の恒例行事である中国の全人代、そこで発表された国防費について雑感を述べていきます。 ◆中国 ことしの国防費 日本円で34兆8000億円余 昨年比7.2%増 NHK 中国 軍事の話はヘヴィになりがちなので、なるべく軽めの口調で語っていきます。 大人になるとニュースが分かるようになる 子どもはあまりニュースに親しみませんが、大人になるとニュースを見るようになる人が多いかと思います。 もちろんビジネス目的であったり話題作りであったりと人それぞれニュースを見る理由はあるかと思い…

  • 結局のところ、軍産複合体と呼ばれる兵器産業の規模感はどのくらいか?

    軍産複合体なるワードを近年あまり聞かなくなっていましたが、各地での戦争の影響か、またチョコチョコと見かけるようになりました。 軍産複合体の影響力は半世紀以上も前、アイゼンハワーの時代であれば実際的なものではありましたが、現代では大して意味のある言葉ではありません。 以前にも軍需産業に対する過大評価へ苦言を呈する記事を書いたことがありますが、今回はもう少し具体的な数字をまとめてみましょう。 (過去の記事) 産業の規模感 軍産複合体の"産"である軍需産業ですが、軍需産業と一口に言っても幅が広いため、今回はメインである兵器産業に絞りましょう。軍需産業の定義からすれば兵器以外の消耗品や衣料や食料なども…

  • エアコンの冷媒を入れ替えてはいけない

    私はエアコン屋ではありません。 とはいえ熱力の技術屋ではありますので、HVAC&Rについてある程度理解していて、その知見からエアコンに関しても過去にいくつか業界の回し者的な記事を書いています。 ◆エアコンに関する小話『修理は難しい、悪徳業者、おすすめメーカー』 - 忘れん坊の外部記憶域 ◆そろそろエアコンの試運転をしましょう - 忘れん坊の外部記憶域 今回は、少し前にダイヤモンドオンラインで見かけた記事について少し苦言を呈する形で、思ったよりも世間に周知されていないような気がする『エアコンの冷媒入れ替え』について私見を述べていきます。 diamond.jp 業界団体の見解に従おう まず大前提と…

  • 公平さを求めるがゆえの非感情論

    感情論。 定義としては『理性によってではなく感情によってなされる議論』を意味する言葉であり、多くの場合は否定的な意味合いで用いられると思います。 そんな感情論に関して、私も基本的には否定的なポジションです。人の感情を否定しているわけではなく、ただ、感情論は公平さに欠けており弱者に優しくないと考えるためです。個人的な感情ではありますが、弱者に優しい世界のほうが好みです。 「理性」を用いるべきだと求めているのは「感情」 感情論の対義語を明確に定義することは難しいですが、概ね「理性的」「論理的」あたりが対角にくると考えられているでしょう。 ただ、『言説や議論は理性的/論理的であるべきだ』とする根底は…

  • 苦い意見であっても、聞く必要はある:ウクライナ戦争に関する専門家の見解に耳を傾ける

    ロシアのウクライナ侵略が始まってから約2年。 おそらく世界中のほとんどの人がいち早い収束と停戦を願って止まないことと思います。 しかしながら、そのような停戦は適切ではないと警鐘を上げる専門家がいることにも留意が必要です。 もちろんそのような意見は心情的に同意しがたく人によっては不快ですらあるでしょう。しかし理解と同意は別の次元であり、私たちは異なる見解に耳を傾ける姿勢を持ち、様々な意見を理解したうえでどれかを選ぶ必要があります。 今回は英国王立国際問題研究所、通称チャタムハウスが発表した昨年のレポートから関連する言説を紹介します。レポートはかなり長いため、序文から一部のみの抄訳です。 個人的に…

  • カラースターが意外と減らない

    はてなブログの特徴的なサービスの一つである『はてなスター』。 その中でも無料で無限に使える黄色いはてなスターではなく色付きのはてなスターは『カラースター』と呼ばれているとかなんとか。 カラースターが正式名称だったか自信がないので調べておきましょう。 ああ、カラースターで正解でした。 カラースターを買った時のことを思い出す カラースターは基本的に有料で販売されています。運営から少量のカラースターが無料で配布されることもありますが、そんな些少なカラースターなんてすぐに使い切るか、もしくは大事に取っておいてまったく使わないかのどちらかだと思います。 特に意味は無いですがショップのリンクを貼っておきま…

  • 会議の日時を先に指定して欲しい人の考え方

    私も一応は社会人ですので、なんだかんだと会議やら打ち合わせやらミーティングやら様々な名称を持つ集会に参加する機会が多々あります。 正直なところ会議関連はそれ自体が何も生まず生産性が無いので好みではないものの、ビジネスは一人で完結するものではないので仕方なく参加しています。 そんなわけで会議等に参加する際は活発に発言して適度にファシリテートしてさっさと終わらせることを良しとする派閥に属していますが、そのせいで会議に前向きな真面目人間扱いされるのは少し困りどころです。好みではないから早く終わらせたいだけなのですが。 今回はそんな会議やら打ち合わせやらミーティングやらをあまり好まない効率厨の私が、会…

  • 主張において、エビデンスに対する意識がなぜ必要か

    過去にも言及したことがあるように、個人の意見や感想にはエビデンスは不要です。個人の感性は人それぞれで定量化できないものですので、そもそもエビデンスの出しようもありません。 しかし文章でおぜぜを頂戴している人がメディアを通して見解を述べるのであればそれは主張であり、エビデンスを重視する必要があります。 新聞やwebメディア等でエビデンスも無しに物事を主張している記事を残念ながら時々見かけるため、主張においてエビデンスに対する意識がなぜ必要かへの見解を述べていきます。 ただし科学的方法に関して深堀りしていくと科学哲学の沼に嵌っていき終わりが無くなるので、本記事は触りの部分だけで終わらせる予定です。…

  • 「戦争は科学技術を発展させる」に関する私見

    何か雑談的な記事を書きたい気分になったので、時々見聞きすることのある「戦争は科学技術を発展させる」について私見を述べていきます。 ・・・これは雑談で扱うようなテーマだろうか? 真でもあり偽でもある 真っ先に結論から述べてしまえば、これは真でもあり偽でもあるでしょう。 戦争によって科学技術が発展することは当然ながらあります。 そしてそれは戦争以外では科学技術が発展しないことを意味しません。 当たり前ですが平時であっても科学技術は発展します。よって戦争を科学技術にとって肯定的なものだと捉える必要はありません。 今回は戦争と技術に関して【方向性】【時代性と予算】の2つの切り口で述べていきましょう。 …

  • 情報と知識の違いと、その注意事項

    最近、以下のような言説を見かけました。どうやら昔からネットに転がっているミームのようです。 「体系的に学んでいないならそれは知識とは言わない」 「ネットで拾ってきた雑学は知識ではない」 いや、まあ、これは概ね真ではあるのですが、必ずしも万人に適用できるほど汎用性が高いわけではないと思うことを述べていきます。 知識とは何か この手の話をする時に役立つフレームワークとして、いつものようにDIKWピラミッドを援用しましょう。 ■データ(Data): 数字や文字など、生の、または整理されていない形式の事実の集まり ■情報(Information): 特定の目的のために測定、視覚化、分析しやすいように処…

  • アメリカの動きを理解するための、大統領と連邦議会に対する認識

    別にトランプを擁護したいわけではないけども、ただ、彼を絶対悪だとして石を投げ続けているだけでは見誤ることがある、そういう話をします。 おそらく大して面白い話題ではありません。 過去から学ぶ 2024年米大統領選挙の話題では猫も杓子もトランプを批判しておけばいいような空気があるものの、まあそれ自体はいつもの政治的プロパガンダ合戦の様相ですのでそこまでおかしなことではありません。 もちろんトランプが各所から批判されるのは彼の言説が根本原因であり、つまりは自業自得ではあるのですが、とはいえ周囲の憶測が過剰になり過ぎてもいます。大口を叩いて注目を集めるのは彼の選挙戦略であり、それに引き摺られて現実が見…

  • 「感情輸入」の誤字から考える余計な思索

    極めて稀に見かける誤字の「感情輸入」。 もちろん正しい日本語は「感情移入」ですが、意外と考察の余地があるのではないかと思うので余計なことを考えてみます。 アクティブ / パッシブ 感情はアクティブ(能動的)にもパッシブ(受動的)にも起こります。 例えば「困難な物事を前にして自らを奮い立たせるための高揚」はまさしくアクティブな感情ですし、「不幸な出来事に直面して気落ちするような悲哀」は否応なしに沸き起こってくるパッシブな感情です。 感情をアクティブとパッシブの視点で見ると自身の感情が色々と捉えやすくなるかと思います。多くの感情はパッシブに生じると思われがちですが、よくよく感情の機序を観察してみる…

  • 敬称として用いられる「san」に関する、あるアメリカ人の見解

    海外のビジネスマンと文書やメールでやり取りをしたことがある人であれば、恐らく「san」を見たことがあるかと思われます。 「san」とは冒頭の宛名においてYamada-sanやTaro-sanのように用いられるもので、Mr.やMs.と同様に敬称の意味です。日本語の「さん」よりも少しかしこまった表現で、どちらかと言えば「様」に近いニュアンスを持っています。 なぜ「san」が外国で広まったかは分かりませんが、日本人の名前から性別を読み取りにくい海外の人からすれば性別を問わず使える利便性の高さや日本文化への敬意の表しやすさなどいくつかの理由が挙げられています。 とはいえ「san」は定型化されたフォーマ…

  • 「日本人は会社への貢献意欲を持っている人が5%しかいない」は解釈を間違えている

    正しくは、「日本の組織・リーダー・マネージャーは従業員の5%からしか熱意を引き出せていない」です。個々人に問題があるのではなくマネジメント層に問題があると提言しているのが米調査会社ギャラップの調査報告であり、そこに言及しないと読者が誤解しかねません。 www.sankei.com 従業員エンゲージメントに関する新聞やメディアの記事を見かける度に噛みつく、それが私です。 (過去の噛みつき記録) 今回もさらっと噛みついていきましょう。 終身雇用は本題ではない 新聞記事上では終身雇用が槍玉に挙げられていますが、本当にギャラップのレポートを読んだのか気になるレベルです。全14ページのとても短いレポート…

  • 家族と共食をしている人の推移としない人の意識

    爽風上々 (id:sohujojo)さんとよんばば (id:yonnbaba)さんが『共食』について書いていらっしゃったのを見かけて、とても興味深く共食の現状について関心を持ったため、私も共食について記事を書いてみます。 sohujojo.hatenablog.com hikikomoriobaba.hatenadiary.com 私は技術屋という職業柄かどうにも定量的に物事を見る考え方が強いため、統計やデータからマクロな視点で共食について語ってみましょう。 共食とは まずは言葉の意味の共有ですが、今回はお手軽にお役所のwebサイトを引用させてもらいます。 「共食(きょうしょく)」という言葉を…

  • 「仕方がない」は前向きな言葉だと思っている話

    私の口癖は「仕方がない」です。 このブログには1000以上の記事を投稿してきましたが、その内の約130記事に「仕方がない」が入っている程度には口癖です。数えてみてちょっとびっくり。「仕方ない」などの表記揺れや類義語を含めればもっと使っていることでしょう。 「仕方がない」は不満足と諦めを含意したネガティブな印象を持つ人が多い言葉かと思いますが、個人的には前向きでポジティブなニュアンスで使っています。 そんな「仕方がない」について細かく語っていきましょう。 仕方(手段) 「仕方がない」とは「やむを得ない」「どうしようもない」「なすすべがない」の類義語で、理不尽や困難な事態に対して不満足ではあるけど…

  • 職場いじめに関する一例と愚見

    いじめに関する学びの続き。 いじめの形態は極めて多種多様であり、銀の弾丸は存在しません。 よって全体像を語るのは専門家の書籍に任せることとして、今回は事例研究的に一例をもって述べていきます。 職場いじめ 大人のいじめとして典型的なものが『職場いじめ』です。職場いじめ(Workplace bullying)としてWikipediaで長文のページがある程度には一般的に存在しています。 ◆職場いじめ - Wikipedia ◆Workplace bullying - Wikipedia (英語ページの文章量がえぐい) このタイプのいじめは組織や社会に存在する規範の範囲内で行われる複雑で狡猾なものが多…

  • イジメに関して見解を深めるための入口としての思索

    今回は社会問題となって久しいイジメの問題に関して語っていきます。 ただ、正直なところ私には語るほどの前提知識がありません。普段であれば専門外の分野について何かしらを語る場合は様々な統計をチェックして定量データを把握し、書物や論文を読んで最低限の知見を得てから語るのですが、今回はそれもありません。 しかし、今回はあえてイジメ問題に関して学習する前段階、まっさらな状態での意見を述べてみます。これは後々に勉強をした結果から答え合わせをするための記録記事です。 よって今回はいつも以上に不正確な情報が記述されている可能性が高いためご留意ください。 回遊魚ポジションに居る人間のイジメに対する無知度合い ま…

  • 成果はアピールするまでが仕事です

    自らの成果をアピールする行為は人によっては「品が無い」ように映るでしょう。 私もあまり得意ではありませんし、好みでもありません。「見ている人はちゃんと見ている」ものですので、黙っていても仕事の成果を評価されるほうがスマートだとは思います。 ただ、公私を混同せず、適切なアピールを行うことも仕事の一環だと考えたほうが気が楽になります。 そんな、人によっては愉快ではない話をしましょう。 『ごんぎつね』 新美南吉さんの名作『ごんぎつね』は国語の教科書にも載っていますのでほとんどの日本人が知っているでしょう。 村人の「兵十」にいたずらをしていたキツネの「ごん」。 ある日いたずらによって兵十を酷く傷つけた…

  • 他人に石を投げるべきではない

    このブログで度々取り上げていますが、大切なことは何度繰り返してもいいと思っていますので、2019年のオバマ大統領のスピーチについて再度取り上げましょう。 オバマ大統領のスピーチ オバマ大統領が2019年に行ったスピーチは昨今のコールアウト・カルチャーやキャンセルカルチャーへの批判として有名です。 過去に抄訳した記事ではワシントンポストから一部を引用させてもらいましたが、今回はニューヨークタイムスを見てみましょう。 引用元:Obama on Call-Out Culture: ‘That’s Not Activism’ - The New York Times “This idea of pur…

  • 職場で味方を作ることの意義:セルフ働きやすさ改革

    先日ふと見かけた言説、 「職場の同僚は仲間だが味方ではないので気を許さないほうがいい」 に関して思索したことをまとめていきます。 敵・仲間・味方 まずは言葉の整理をしましょう。 仲間と味方はどちらも物事において協業する関係性ですが、問題事態や対立状況が生じた際に差があります。 仲間とは対立状況が生じた際に必ずしもこちら側に立つとは限らない関係です。対して味方とは対立状況においてこちら側に立って共に行動してくれる関係を指します。そしてあちら側に立つ人は敵です。 もう少し具体的に、例えば誰かが仕事でミスをしたとしましょう。 その際にミスを責め立てるのは敵、 ミスの過失度合いによって立ち位置を決める…

  • 暴力を恣意的に運用することの副作用

    「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」 ある種のネットミームとして定着している言葉ですが、以前にも述べたことがあるようにこのような発想はあまり私の好みではありません。これは露悪的に言えば犯罪者の発想に似たものであり、自己中心的で自己満足的な思想に他ならないためです。 誰かが何かを失敗した時、その際に外野の人間がその誰かへ石を投げるかのように攻撃をすることがあります。その失敗は悪であり、それを責めることは正義であるという理屈を持ってです。SNSでの炎上などは代表的なものでしょう。あいつは悪人だから石を投げていいんだ、いや、石を投げることこそが正しいんだ、という考えに基づいた行動は日々各所で…

  • 労働生産性を上げるためには、高く売ればいいんじゃない、かな・・・?

    もっとみんなで合理的かつ効率的に頑張れば生産性は高まる。 労働生産性の話となるとそんな物語が各所で語られていますが、どうしてそんな精神論や根性論を前面に押し出す人が多いのだろうと常々疑問に思っています。私とは違って経済に詳しい方々の提言ですのできっと深い意味があるとは思うのですが、そんな気合や根性でなんとかなる単純なものなのだろうか、そんな気持ちです。 経済は専門分野外の話なので、ざっくばらんに語っていきます。 [アウトプット]÷[インプット] 労働生産性は測定内容によって変数が変わるものの基本的には[アウトプット]÷[インプット]ですので、国家であれば総付加価値(GDP)÷労働者数(もしくは…

  • 不具合選別の思ひ出

    なんとなくの昔語り。 「選別」 不具合選別、或いは選別という言葉は製造業に勤める人間ならばある程度の比率でご存じかと思います。この場合の"選別"は自社内での検査工程ではなく顧客工程での不具合品捜索を意味する言葉で、人によっては耳にするのも恐ろしい単語です。 選別をとても大雑把に言えば、納品した製品に不具合が見つかったため顧客へ赴いて他の不具合品を探す行為です。顧客の製造ラインや製品倉庫に行き、納品済みの他の自社製品に不具合品が無いかをひたすら探し回ります。 1個でも不具合品が見つかれば最低でも同ロット品は全部見直す必要があります。そして工業製品はたくさん数を作りますので、100個納品していれば…

  • 企業理念の浸透と業績の関連性はどこまで実際的なのか

    ビジネス系のメディアにおいて「企業理念が従業員へ浸透している企業のほうが業績が優れている」とする言説を多数見かけます。 またその帰結として、この言説は「企業理念を浸透させれば業績が向上する」とした意見に繋がっています。 企業理念の浸透と業績の相関自体は定量的な分析結果ですので否定するものではありません。また企業理念自体を否定するつもりもありません。 ただ、それらが因果関係なのかについては少し疑問に思っていたりします。 相関と因果 企業理念の浸透と企業の業績に相関があることは国内外の研究によって報告されています。 ◆https://www.sciencedirect.com/science/ar…

  • あまり「あってはならないこと」とは言わないほうが・・・

    何か大きな問題や事件、災害や事故が起きた時、盛んに騒ぎ立てられるのが「あってはならないことが起きてしまった」といった言説です。 その気持ちはとてもよく分かります。 起こるべきでないことは世の中にたくさんありますし、それが起こってしまったことを悔やみ、誰かや何かを責めたくなるのは人情です。 ただ、「あってはならないこと」をあまり強調してしまうと、それはそれで望ましくない結果をもたらすことがあります。 「あってはならないこと」ならば・・・ 「あってはならないことだ」とメディアや世論から攻撃された個人や組織は、その種の攻撃を避けるために不正のトライアングルで言うところの正当化を内面的に行使します。 …

  • 理系の臭いが漂う文章

    理系の臭いとは・・・? 過去の文章を読み返す機会 自分で書いた文章を読み返す機会が度々あります。 仕事においては過去に作成した報告書や教育資料を読み返して再利用・転用することがありますので自らの稚拙な過去の文章と度々向き合うこととなりますし、当然このブログも機会の一つです。このブログは記憶力に乏しくすぐに物事を忘れてしまう私の外部記憶域であり、頻繁に読み返しています。 ブログの記事は「以前に何を書いたっけなー」と適当に巡回して読み返すこともありますが、どちらかと言えば外部記憶域としての使い方のほうが多いです。 「あれ、学問の自由に関しての元データはどこだっけ・・・そういえばブログにリンクを貼っ…

  • 教育をすべきは末端ではなくトップである

    「従業員にコンプライアンス研修をしましょう」なんてセミナーの広告メールが届きました。 うーん。 研修をすべき対象 もちろん従業員に何らかの研修を受けさせること自体は否定しません。それはそれで必要なことですし効果はあります。 ただ、真っ先にコンプライアンスの研修を受けなければならないのはトップ層です。末端の従業員ではなく上位の経営層こそが研修の対象となる必要があります。 昨今の品質不正や企業不祥事が露呈した経路の多くは内部告発です。組織内の内部通報システムが適切に機能しておらず自組織内での体質改善や自浄ができなかったために外部機関へ告発したことが理由であり、つまり末端の人間はちゃんとしたコンプラ…

  • マンスプレイニングに関する研究結果と私見

    過去にも一度だけ取り上げたことがあるマンスプレイニングについて、再度私見を述べていきます。 マンスプレイニングに関して マンスプレイニングはMan(男性)とSplaining(説明するの俗語)を組み合わせた造語です。 マンスプレイニングは社会学的な用語ではありますが、厳密な定義はなく、大枠としては「男性が他者に対して見下したかのような自信過剰な態度で何かについてコメントしたり説明したりすること」を意味する言葉であるものの、男性から行われるもののみをマンスプレイニングと定義する学者もいれば男女を問わず誰でも行い得るものだとする学者もいます。 また、そもそも他者を批判するための造語にマン(男性)を…

  • 人の温もりを感じる時

    ふと、職場のデスクから左に位置する窓の外を見る。白く塗装された隣の建屋の壁面は日光による発色を失い、こちらの建屋の蛍光灯に淡く照らされた部分だけが薄墨に再塗色されている。 外を眺めていても仕方がないので、右へ振り返る。首を曲げるだけでは足りず上半身を捻り腰を軽く浮かしながら後方を眺めると、視界の端に映った古い壁掛け時計の短針が9を再び通り過ぎていることに気付く。 時計を見るついでにフロア全体を眺めてみれば、人影はもう疎らだ。残った人々も帰り支度を始めている。以前であればまだ盛況であったこの時間と場所も、厳密な労務管理が適用されるようになったことで今では人間の発する喧騒からの自由を謳歌できるよう…

  • 精神的な余裕の在庫を確認すること

    個人的なメンタルの管理について語っていくだけの記事。 信念とは個人の内面にだけ依拠するものではない 人間は精神的な余裕が損耗しているとどうにも攻撃的な気持ちが芽を出してくるものです。「ニュースを見て独り言ちつつ不寛容にいちいち半畳を入れるような大人」はそうやってこの世に現出します。 ”寛容”はリベラリズムの骨子ですが、そのリベラリズムの思想が富裕層や被扶養者の若者に流行するのも必然だということです。日常や仕事に手一杯であれば誰しも保守的になるように、思想信条は大抵の場合で本人の精神よりも周囲の環境が生み出します。 率直に言えば、”寛容”とは"余裕"の言い換えに他なりません。余裕の有無を争ったと…

  • 無識者会議

    座長「皆様、おはようございます。この度はご多忙の中、ご参集を賜りまことにありがとうございます」 座長「開始時間となりましたので、ただいまより『第1回持続可能なブログの運営に関する無識者会議』を開催いたします。本日の配布資料をご確認ください。まずは会議開催の趣旨をご説明させていただきます。お手元の資料1をご覧いただければと存じます」 「資料こっち来てないです」 座長「申し訳ございません。直ちにお持ちいたします」 座長「資料は行き渡りましたでしょうか。それでは進めさせていただきます。本会議の趣旨といたしまして、日毎切れ目なしに記事を作成し投稿しております当ブログについて、現状と致しましては当人の私…

  • 日本の野党がアメリカ大統領選挙から学ぶこと

    政治の話題は党派性や事情の複雑さから重くなりがちですので普段はなるべく軽めのトピックを重くならないような語り口で語るよう心掛けているのですが、今回は少し重めのテーマをいつも以上に軽く話していきましょう。 理解と共感は別物 常日頃より各所からボコボコに批判を受けているアメリカのトランプですが、大方の世間の予想通り米共和党候補選で勝ち上がりそうな気配を濃厚に醸し出しています。競合が小粒とはいえ現時点での支持率は圧倒的です。 もちろん人によっては「なんであんな奴を支持するんだ、支持者は愚かだ!」と言いたい気持ちを持っていることは分かります。 ただ、少なくとも現状の立候補者の中で現大統領への対抗馬とし…

  • 仕事の日常とは、かくも恐ろしい

    お仕事で疲れているので、お仕事における不思議なエピソードを羅列していきましょう。 つまりは雑談記事です。 ??? 上司「どうしてこのテーマの進捗が芳しくないんだ」 私「そのテーマを進めていた人が別の部署に取られたためです」 上司「もっと時間外労働をして、なんとか進められないか」 私「じゃあ休日出勤するので承認ください」 上司「そういうことじゃないんだ」 私「???」 上司「他の全ての仕事を止めてもいいからこのテーマを進められないか?」 私「そうなると生産部署や営業部署の仕事が止まりますけど」 上司「それは止めずに、このテーマを進められないか?」 私「???」 どうすればいいんでしょうね? 神様…

  • 労働時間の削減は「手段」ではなく「結果」でなければならない

    大した話ではない。 短いに越したことはない 働き方改革や週休三日制の導入など、昨今では労働時間を削減する方向への改革が様々進みつつあります。 まあ、人類の目的を鑑みればこれは妥当なベクトルです。大仰な言い回しではありますが人類の目指す方向とは生存の安定・労働からの解放・余暇の獲得に他なりませんので、実に正しい文明の進め方だと言えるでしょう。 そもそも人類が仕組みを作ったり装置を作ったりして文明を発展させてきた目的は効率的に必要物資を生産して余裕を作ること、つまり生存を安定させて余暇をたくさん作ることが目的です。なので「労働時間を減らそうぜ」というのは人類共通の願望と言えます。 鶏が先か、卵が先…

  • 食品を個装することの意味

    意味があるからやっているのだ。 若手との雑談 私「アメリカ出張お疲れ、部署へのお土産ご馳走様です」 若手「はい」 私「ちなみに、お菓子はありがたいんけどさ、部員へのお土産は個装されたお菓子のほうが配りやすくていいんじゃない?」 若手「それが探したんですけど個装されたお菓子が全然見つからなかったんですよ」 私「知ってる。イジワルだから知ってて言ってる。アメリカで個装のお菓子を見つけるのは至難の業だわな」 若手「それにしても、日本の過剰包装は問題だと思います」 私「まあ、時と場合によるかな。必ずしも悪い側面ばかりではないよ」 包装の是非 日本の食品包装は過剰包装だと批判されることが多々あります。 …

  • 標準偏差によるばらつきの分析と工程能力指数

    昨今の品質不正問題を見るに、個別の事例における真因ではないものの品質管理の初歩的な知見が適切に教育されていないのではないかと疑うような事例が多々見受けられます。 特に多いのが、その場での試験に合格すればよいとした、量産でのばらつきを考慮していないような事例です。 現実にはまったく同じものが生産できることなどなく、生産品には必ずばらつきが生じます。そういったばらつきを考慮した信頼性設計をしていれば数値を書き換えたり供試品に手を加えたりするような不正をする必要なんてありません。 品質管理の大家であるトヨタグループですら誤魔化しのための数値書き換えやデータ選別に類する不正が行われていたことは、正直理…

  • 陰謀論との個人的な接し方

    よく行くお店の店長さんがそこそこに陰謀論を好む質だったのですが、コロナ禍でのワクチンをきっかけに年々深みにハマりつつあるのか近頃はかなりメジャーなところに触れつつあります。 先日も、東日本大震災や能登半島地震はアメリカの人工地震で日本への脅迫だと言い、1繋がりで9.11、3.11、1.1を関連付けたうえ、9.11のビル倒壊は不自然でアメリカの自作自演だと述べていました。 少し情報は古いもののトレンドを押さえており、実に勉強家です。 否定することの無意味と危険 以前から述べていますように、私としては個人で楽しんでいる範囲であれば他者の思想信条は自由だと思っています。 ですので、いちいち 「人工地…

  • 肩の力を抜かねばならぬと、肩に力を入れて漫画の話をする

    ヘヴィなテーマが続き過ぎて堅苦しく肩が苦しいので、緩い記事を書こうと思ったら全然文章が出てきませんでした。精神の肩こりが酷いです。 そんなわけで、フリーなライティングで圧倒的雑談をします。 ちなみに「圧倒的」って表現は勢いがあって好きだからつい使ってしまうのですが、圧倒の正しい意味は「他と比べて優れていたり勝っていたりすること」ですので、実際はもう少し用途の狭い言葉ではあるんですよね。圧倒的雑談は実に意味の分からない表現です。 なんで使ってしまうかというと、これは、たぶん、漫画の影響です。『カイジ』や『アカギ』の読み過ぎです。 言語センスの高い漫画が好きなのです。 漫画オタクの端くれ さあ、雑…

  • 共感のスポットライト性に関する注意

    当ブログで度々取り上げてきた共感について、及び腰ながら再度言及していきます。 実のところ、共感を論考のテーマとして記事を作成することはとても難しいです。なにせ共感は絶対善で否定されるべきでないものだとする不文律の社会通念があり、僅かでも共感に否定的な言説を取ろうものならば情や心の無い人非人であるかのような扱いを受けかねない、ある種の聖域に近いものとなっているためです。 しかしながら、共感を絶対善の公理として扱うことは必ずしも適切ではありません。共感には極めて素晴らしい側面があるのと同時に、常にそれが有効に働くわけではなく、時に極めて不公平な意思決定をもたらします。 ただし、その事実は決して共感…

  • 投票率が低いのは政治に興味が無いから。じゃあどうする?

    投票に行かない人を強い言葉で非難するのはあまり好みではありません。 それよりも、ポジティブな対策をゆるーく考えましょう。 ヘヴィなテーマですが、今回は軽めに語っていきます。 問題には対策を取らなければならない(職業病) どこかで選挙がある度に投票率が低いことを嘆く声が各所で見られます。 投票率が低いことは問題提起として適切です。個人的には棄権も一つの意思表示ではあると思ってはいますが、棄権は白紙投票と比べれば曖昧でもあります。投票率が高ければ確実に民意を反映していると断定できるようになりますので、投票率は高いに越したことはありません。 とはいえ、「問題だ、問題だ」と騒ぐだけでは問題は消えて無く…

  • アンフェアな批判は好まない:生産性を例として

    デメリットを提示しない一方的な批判はフェアではないと思う話。 フェアな批判 個人的な趣味ではありますが、私は民主主義と自由主義を是とする思想であり、誰であろうと権利は平等に所有していて公平公正に扱われるべきだと期待しているため、公平公正をとても大切だと思っています。 そのため批判についても同様の考え方です。過度な党派性に寄り過ぎていたりデメリットを隠してメリットだけを喧伝するような批判は民主と自由に必要なフェアネスが無いことからあまり好みではありません。 もちろん一部の批判はそういったことに対して無意識なだけで、純粋たる善意に基づいて行われている場合もあります。「こうしたほうがいいのに何故やら…

  • 技術を社会に実装する際の地域性

    HVAC&Rに携わる一日本人技術屋の独り言。 業界動向 空調冷熱システムには様々な方式がありますが、主流は蒸気圧縮冷凍サイクルを用いています。蒸気圧縮冷凍サイクルとは冷媒を循環させて熱を移動する、シンプルながら効率的なサイクルです。 家庭にある冷蔵庫やエアコン、スーパーやコンビニにある冷蔵冷凍食品ケース、コールドチェーンを繋いでいる低温倉庫や冷蔵車、などなど人や物品を冷やす機械の多くは蒸気圧縮冷凍サイクルの原理を用いています。 私たちの文明的な日常に欠かせないそんな蒸気圧縮冷凍サイクルですが、昨今では用いる冷媒の変更が進んでいます。 フロンガスがオゾン層を破壊するので使用禁止になったことはみな…

  • 「敵・味方」の単純な世界観からの脱却

    他国の政治動向を観察することは学者や専門家以外にとってあまり有意義なことではありませんが、まあ国際社会を理解する上ではそこまで無意味でもないかと思います。 そんなわけで・・・どんなわけかは分かりませんが、ちょっと気分転換がてらドイツ辺りに目を向けてみましょう。 ドイツはどこに向かってるんでしょうね 昨今の日本語圏での国際政治ニュースはアメリカ大統領選挙の動向が話題を掻っ攫いがちですが、ドイツの政治も色々な意味でアメリカ大統領選挙よりも面白い様相を呈してきていると思います。 まず前提として、現在のドイツでは圧倒的に強い政党はいません。現在の政府も中道左派系の3党連立です。メルケルさん全盛期には単…

  • 品質不正と制度に関して:制度やルールは破るのではなく交渉して調整する

    あまり人様の記事を直接批判的に取り上げるのは好みではない・・・と言い訳しつつも時々そんな記事を書いているのでなんともアレではありますが。 今回も、ふと見かけた記事に絡めて見解を述べていきます。 品質と性能の混同 話題とする記事は以下です。 ダイハツ、三菱電機、日産…品質不正はなぜ続く?誰も言わない制度側の問題 【井上久男の産業インサイト】認証試験をズルしても社長が「安心して乗って」と言えたワケ(1/7) JBpress (ジェイビープレス) この記事の趣旨は次のようなものだと解釈します。 ■制度やルールは守らなくてはならない、不正を行った企業は擁護できないしその責任は大きい ■しかし制度や…

  • 政治と党派性:一つの見解としての愚考

    主義・主張などが特定の党派に偏っていることを党派性と言います。 "党"の字が入っているためなんとなく政治用語に思える言葉であり実際に政治に関する議論の場で多く用いられていますが、これは政治のみに限定される言葉ではありません。党派とは「考え方・主義や利害関係などを同じくする人々の集まり」であり、例えば血縁や企業、自治体や宗教などによる集団も党派の一種です。 党派性の功罪 党派性自体は集団を構築するために不可欠です。主義や利害、血縁や嗜好など何らかの共通点があるからこその集団であり、そういった共通点がまったく無い人々の集まりではそもそも組織化自体が生じません。 そして自分の家族と隣の家の家族を同じ…

  • 人に敬意を払うこと

    世の中には明文・不文律問わず、様々なルールや決まり事があります。 ルールや決まり事は時に個々人の行動を制約する好ましくない存在となりますが、その不都合を堪えて守ることが共同体に安定をもたらし、そこに所属する人々の幸福に資することへ繋がります。 もちろんそれが度を過ぎれば全体主義的な態度になりかねませんし、時には非合理的なルールや決まり事もありますのでそれは是正が必要です。 しかしルールや決まり事の完全な不存在もまた望ましくありません。それは紐帯の切断に繋がり、共同体に所属することで得られている利益すら損ねることとなります。 つまるところバランスが重要であり、ルールや決まり事とは適量が重要な苦い…

  • どの程度珈琲好きで、どの程度忘れん坊か

    近頃、私の忘れん坊ぶりに疑いがかかっているような気がします。 ですので、言い訳をしましょう。 入出力バランス 一昨日の夕飯すら思い出せない私は紛うことなき忘れん坊のはずです。 たしかにちょっとした知見を披露することはありますし一応は色々なことを知っていたりもしますが、それは曲がりなりにも知識で商売している技術屋として人並み程度には頭を働かせているから、です。たぶん。まあ、最近はいよいよ固有名詞が出てこず「こそあど言葉」に頼る率は高まっていますが。 「色々なことを記憶しているのだから忘れん坊ではない」と思う方がいらっしゃるのも自然なことかもしれません。 ということで、説明のために図示しましょう。…

  • 災害時における役人と土建屋はもっと評価されて欲しい

    災害における報道ではどうしても実際の発災現場における救助や救援に関する映像や情報が多くなります。 もちろんニュースとは人々が知りたい情報を報じることが目的の一つであり、被災者の安否は報道価値の高い情報であることは間違いありません。 例として、海外での事故に関するニュースなどで「日本人の搭乗客は居ませんでした」といった報道を「国籍で差別するな」と批判する声をネットで時々見かけますが、あれはニュース配信先の日本人にとって”知人や親族が事故に巻き込まれていないか”こそがニーズであり、速報はそれに応えているだけです。なにも差別的な意図があるわけではありません。 同様に、災害時にどこで誰が救助されたかな…

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