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「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」。それを追いかけ、海の中での潜水のごとく、ひとつのテーマについて皆が深く考える哲学対話。若き哲学研究者にして、哲学対話のファシリテーターによる、哲学のおもしろさ、不思議さ、世界の ...
板よりも固い畳の上には所々に獣の皮が敷きつめられていて、障子に近い大きな白熊の毛皮の上の盛上るような座蒲団の上に、はったんの褞袍どてらを着こんだ場主が、大火鉢に手をかざして安座あぐらをかいていた。仁右衛門の姿を見るとぎろっと睨みつけた眼をそのまま床の方に振り向けた。仁右衛門は場主の一眼でどやし付けられて這入る事も得せずに逡しりごみしていると、場主の眼がまた床の間からこっちに帰って来そうになった。仁右衛門は二度睨みつけられるのを恐れるあまりに、無器用な足どりで畳の上ににちゃっにちゃっと音をさせながら場主の鼻先きまでのそのそ歩いて行って、出来るだけ小さく窮屈そうに坐りこんだ。「何しに来た」 底力の…
「ヴィトゲンシュタイン哲学」分かったよーな、分からなかったよーな。(´・_・`)https://youtu.be/DKuZeqTpTco?si=F4_r182…
日常で役立つ哲学の教えは?怒っても殺せないときは、笑えば殺すことができる。骨の髄まで、ニーチェ。▼本日限定!ブログスタンプ あなたもスタンプをGETしよう
「(省略)ぼくはただ自分の根本思想を信じているだけです。それはつまり、人間は自然の法則によって二つの層に大別されるということです。つまり低い層(凡人)と、これは自分と同じような子供を生むことだけをしごとにしているいわば材料であり、それから本来の人間、つまり自分の環境の中で《新しい言葉》を発言する天分か才能をもっている人々です。それを更に細分すれば、むろんきりがありませんが、二つの層の特徴はかなりはっきりしています。第一の層、つまり生殖材料は、一般的に言うと、保守的で、行儀がよく、言われるままに生活し、服従するのが好きな人々です。ぼくに言わせれば、彼らは服従するのが義務なのです、だってそれが彼ら…
昨日書いたテーマですが、ちょっと言葉足らずだったような気がするので、少し補足したいと思います。 昨日の文章の最後の方で、僕はこう書きました。 エロでも妄想でもざまあでも、そりゃどんな物語を書いたっていい。 でも少なくてもそんなものが、文学の潮流になどなって欲しくない。 だから僕は人間賛歌を書く。 ただのアマチュアがそんなもん書いたからどうなるんだ、そんなことをしてもエネルギーの無駄だろうと思うかもしれない。 それでも、僕は書きたい。 それは、わずかでも読んでもらい、人間の善性の向上に寄与したいという思いも確かにあることはある。 でもそればかりじゃない。 まず僕自身が、そういう風潮に戦いを挑みた…
僕が物語を書く理由の一つが、内面から湧き上がる怒りだということは、先日話したかもしれない。 不条理な社会や自分勝手な人間に対する凄まじいまでの怒りだ。 だが、物語を書く理由はそれだけではない。 もし、僕がそれだけを理由に書いたとしたら、僕の書く物語は、ただの暴力賛美小説か、それこそ今流行りのざまあみろ的な妄想小説となんら変わらないかもしれない。 でも僕はそんなものを書きたいとは思わない。 そんなものが本屋に堂々と並べられていることに嫌悪すら感じる。 日本人って、こんなに下劣になったんだろうかと感じる。 こんなものを日本を背負うべき若者たちが読んでいるのかと思うと悲しくてしょうがない。 僕が物語…
僕の中には鬼がいる。 その鬼は普段は出てこないが、自分勝手なやつや、理不尽なものを見ると腹の底からじわじわ昇ってきて、僕を凶暴なまでに一変させる。 そういう心に巣くう鬼が、自分に物語を書かせているような気がする。 おかしいだろ! こんなんで本当にいいのかよ! こんな腐った社会、ぶち壊した方がましだ! 振り返ってみると僕の書いた物語の根底には、こういう思いが必ずある。 せっかくなのではっきり言うが、僕は努力もしないで甘え切ってる奴が大嫌いだ。 人の悪口や愚痴ばかり言って、自分の力で前に進もうとしない奴も大嫌いだ。 現実を無視して、理想ばかり語る政治家や批評家もどきも大嫌いだ。 いろんな国の人と話…
国破れて山河在り 城春しろはるにして草木深し 時に感じて花にも涙を濺そそぎ 別れを恨んで鳥にも心を驚かす 峰火ほうか三月に連なり 家書萬金ばんきんに抵あたる 白頭はくとう掻かいて更に短かし 渾すべて簪しんに勝たえざらんと欲す 引用:『春望』(作:杜甫) この有名な詩は中学の時、僕が初めて学んだものであり、いまだに最も心惹かれる漢詩です。 戦により荒廃した街並み、しかし山や川は何も変わらぬようにそこにあり、春を前に草花もいよいよ深く生い茂っている。 戦争を知らない僕ですら、ありありとその情景を感じられ、おそらく戦争に負けて帰ってきた日本兵も、焼け野原と化した故郷とともに変わらぬ姿で聳える山々や、…
この記事では、人生に大きな影響を与えた、どうしても忘れられない本、心に残る言葉、心に残る一文を古今の名作の中から紹介していきます。
三界の狂人は狂せることを知らず 四生の盲者は盲なることを識らず 生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く 死に死に死に死んで死の終りに冥くらし 引用:『秘蔵宝鑰』(著:空海) この文章、非常に印象的なフレーズで、一度読んだら忘れられないんじゃないだろうか。 空海和尚は密教の祖というだけでなく、筆や歌もよくし、文章にも通じた当代きっての才人であり、なんと日本初の小説ではないかと個人的に思っている三教指帰さんごうしいきという書物までも書いているが、この文章を見ると、改めて空海の凄さ、人を惹きつけてやまないその言葉の魅力に圧倒させられる。 人というのは、自分たちがどこから生まれたのかも知らず、自分た…
心に残る言葉 『I Have a Dream』(演説:マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)より
I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.I have a dream that one day even the state of Mississippi, a state sweltering with the heat of injustice, sweltering wi…
臣亮りょう言す。 先帝創業未だ半ばならずし、中道に崩殂せり。 今 天下三分して、益州疲弊す。 此れ誠に危急存亡の秋ときなり。 然れども侍衛の臣、内に懈おこたらず、 忠志の士、身を外に亡わするるは、 蓋し先帝の殊遇を追いて、之を陛下に報いたてまつらんと欲すればなり。 誠に宜しく聖聴を開張して、以て先帝の遺徳を光おおいにし、 志士の気を恢おおいにしたまふべし 。 宜しく妄りに自ら菲薄し、喩えを引き義を失いて、 以て忠諫の路を塞ぎたまふべからざるなり。 宮中府中は、倶もとに一体為たり、 臧否ぞうひを陟罰ちょくばつして、宜しく異同あるべからず。 若し姦を作なし科とがを犯し、及び忠善を為す者有らば、 宜…
やまとうたは、人の心を種として、万よろずの言ことの葉とぞなれりける。世の中にある人、ことわざ繁しげきものなれば、心に思ふことを、見るもの聞くものにつけて、言ひ出せるなり。 花に鳴く鶯、水に住む蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける。 力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神きしんをもあはれと思はせ、男女の中をも和らげ、猛たけき武士の心をも慰むるは歌なり。 引用:『古今和歌集仮名序』(著:紀貫之) 古今和歌集。日本初の勅撰和歌集として紀貫之らによって編纂された和歌の書。 ここには、当時の優れた歌人たちが詠んだ歌が集められており、学校でも習うのでそのいくつかはご存じのこと…
お釈迦様は極楽の蓮池のふちに立って、この一部始終をじっとみていらっしゃいましたが、やがて犍陀多かんだたが血の池の底へ石のように沈んでしまいますと、悲しそうなお顔をなさりながら、またぶらぶらお歩きになり始めました。自分ばかり地獄から抜け出そうとする、犍陀多の無慈悲な心が、そうしてその心相当な罰をうけて、元の地獄へ落ちてしまったのが、お釈迦様のお目から見ると、あさましく思し召されたのでございましょう。 しかし極楽の蓮池の花は、少しもそんなことにはとんじゃくいたしません。その玉のような白い花は、お釈迦様の御足のまわりに、ゆらゆらうてなを動かして、その真ん中にある金色の蕊ずいからは、なんとも言えないよ…
心に残る言葉 『ツァラトゥストラはこう言った』(著:ニーチェ 訳:氷上英廣)より
「それにしても聖者は、森の中で何をしておられるのですか?」とツァラトゥストラはたずねた。 聖者は答えた。「わしは歌をつくって、それを歌う。歌をつくるとき、わしは笑い、泣き、唸る。こうしてわしは神を讃えるのだ。歌を歌い、泣き、笑い、唸ることによって、わしはわしの神である神を讃える。ところであなたはわれわれにはなんの贈物をしてくれるのかね?」 このことばを聞いたとき、ツァラトゥストラは聖者に一礼して言った。「あなたにさしあげるような何者があるでしょう! いまはあなたから何物も取らせないように、わたしをさっそく立ち去らせてください!」 こうしてこの老者と壮者とは、さながらふたりの少年が笑うように笑い…
或ひと曰く、「天道に親無し。常に善人に与す」と。 伯夷はくい・叔斉しゅくせいの若きは善人と謂いふべき者か非か。 仁を積み行ひの絜きこと此くの如くにして餓死せり。 且つ七十子の徒、仲尼ちゅうじは独り顔回がんかいを薦めて学を好むと為す。 然るに顔回や屡しばしば空しく、糟糠そうこうすら厭かずして、卒ついに蚤夭ようせいせり。 天の善人に報施ほうせすること、其れ何如ぞや。 盜蹠とうせきは日に不辜ふこを殺し、人の肉を肝にし、暴戻恣雎ぼうれいしき、党を聚あつること数千人、天下に横行するも、竟ついに寿を以て終はる。 是れ何の徳に遵したがふや。 此れその尤ゆうも大いに彰明較著しょめいこうちょなる者なり。 近世に…
「しかし、お前の、女道楽もこのへんでよすんだね。これ以上は、世間が、ゆるさないからな」 世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。けれども、何しろ、強く、きびしく、こわいもの、とばかり思ってこれまで生きて来たのですが、しかし、堀木にそう言われて、ふと、「世間というのは、君じゃないか」 という言葉が、舌の先まで出かかって、堀木を怒らせるのがイヤで、ひっこめました。(それは世間が、ゆるさない)(世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)(そんな事をすると、世間からひどいめに逢うぞ)(世間じゃない。あなたでしょう?)(いまに世間…
以前、カクヨムという投稿サイトで活動していた時、「心に残る言葉」というエッセイを書きました。 これまでの人生の中で読んできた小説、詩歌、随筆の中で、どうしても忘れられない言葉を紹介する内容のエッセイでした。 カクヨムを卒業すると同時にアカウントも削除してしまいましたが、せっかくブログを立ち上げたので、その時のエッセイの内容を復活させ、自分の記録として残しておきたいと思います。 心に残る言葉 自分の命を愛しすぎても憎んでもいけない。だが、生きてる限りは生命を大切にするがよい。長く生きるか短命に終るかは、天に委ねるがよい。 引用:『失楽園』(著:ミルトン 訳:平井正穂) 思えば、僕はこの小説を読ん…
渓流が流れて来て断崖の近くまで来ると、一度渦巻をまき、さて、それから瀑布となって落下する。悟浄よ。お前は今その渦巻の一歩手前で、ためらっているのだな。一歩渦巻にまき込まれてしまえば、那落までは一息。その途中に思索や反省や低徊のひまはない。臆病な悟浄よ。お前は渦巻きつつ落ちて行く者どもを恐れと憐れみとをもって眺めながら、自分も思い切って飛込もうか、どうしようかと躊躇しているのだな。遅かれ早かれ自分は谷底に落ちねばならぬとは十分に承知しているくせに。渦巻にまき込まれないからとて、けっして幸福ではないことも承知しているくせに。それでもまだお前は、傍観者の地位に恋々として離れられないのか。物凄い生の渦…
これはこの世の事ならず 死出の山路の裾野なる 賽の河原の物語 聞くにつけても哀れなり 二つ三つや四つ五つ 十にも足らぬみどり子が 賽の河原に集まりて 父上恋し母恋し 恋し恋しと泣く声は この世の声とはこと変わり 悲しさ骨身を通すなり かのみどり子の所作として 河原の石を取り集め これにて廻向《えこう》の塔を組む 一重組んでは父のため 二重組んでは母のため 三重組んでは故郷の 兄弟我身と廻向して 昼は一人で遊べども 陽も入相《いりあい》のその頃は 地獄の鬼が現れて やれ汝等はなにをする 娑婆に残りし父母は 追善作善《ついぜんさぜん》の勤めなく ただ明け暮れの嘆きには むごや悲しや不憫やと 親の嘆…
僕の前に道はない僕の後ろに道は出來るああ、自然よ父よ僕を一人立ちにさせた廣大な父よ僕から目を離さないで守る事をせよ常に父の氣魄を僕に充たせよこの遠い道程のためこの遠い道程のため 日本人でこの詩を知らない人がいるんだろうか。 僕は、この詩を生み出した高村光太郎と同じ日本人であることを本当に誇りに思う。 この詩の一行一行に、人間のあるべき姿が刻まれている。 この詩の背後から薫り高い香気のようなものが立ち昇っている。 この詩を読むだけで、魂が震えるような感動を覚える。 この詩を見ただけで、新たな一歩を踏み出す勇気が湧いている。 この詩はあらゆる人にとって価値があると思うが、とりわけ、10代、20代の…
戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。だが人間は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。なぜなら人間の心は苦難に対して鋼鉄の如くでは有り得ない。人間は可憐であり脆弱であり、それ故愚かなものであるが、堕ちぬくためには弱すぎる。人間は結局処女を刺殺せずにはいられず、武士道をあみださずにはいられず、天皇を担ぎださずにはいられなくなるであろう。だが他人の処女でなしに自分自身の処女を刺殺し、自分自身の武士道、自分自身の天皇をあみだすためには、人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。そして人の如くに日本も亦堕ちることが必要であろう。堕ちる道を堕ちきる…
僕は人間の前途に光明を見て進んで行く。祖先の霊があるかのように背後を顧みて、祖先崇拝をして、義務があるかのように、徳義の道を踏んで、前途に光明を見て進んで行く。そうして見れば、僕は事実上極蒙昧な、極従順な、山の中の百姓と、なんの択ぶ所もない。只頭がぼんやりしていないだけだ。極頑固な、極篤実な、敬神家や道学先生と、なんの択ぶところもない。只頭がごつごつしていないだけだ。ねえ、君、この位安全な、危険でない思想はないじゃないか。神が事実でない。義務が事実でない。これはどうしても今日になって認めずにはいられないが、それを認めたのを手柄にして、神を涜す。義務を蹂躙する。そこに危険は始て生じる。 引用:『…
「これから将来、五年十年と経つて、稀に皆さんが小学校時代のことを考へて御覧なさる時に――あゝ、あの高等四年の教室で、瀬川といふ教員に習つたことが有つたツけ――あの穢多《えた》の教員が素性を告白けて、別離を述べて行く時に、正月になれば自分等と同じやうに屠蘇《とそ》を祝ひ、天長節《てんちょうせつ》が来れば同じやうに君が代を歌つて、蔭ながら自分等の幸福を、出世を祈ると言つたツけ――斯《こ》う思出して頂きたいのです。私が今斯ういふことを告白けましたら、定めし皆さんは穢しいといふ感想を起すでせう。あゝ、仮令《たとえ》私は卑賤しい生れでも、すくなくも皆さんが立派な思想を御持ちなさるやうに、毎日其を心掛けて…
「書物を読むのはごく悪うございます。有体に云うと、読書ほど修業の妨になるものは無いようです。私共でも、こうして碧巌《へきがん》などを読みますが、自分の程度以上のところになると、まるで見当がつきません。それを好加減に揣摩《しま》する癖がつくと、それが坐る時の妨になって、自分以上の境界を予期して見たり、悟を待ち受けて見たり、充分突込んで行くべきところに頓挫ができます。大変毒になりますから、御止しになった方がよいでしょう。もし強いて何か御読みになりたければ、禅関策進というような、人の勇気を鼓舞したり激励したりするものが宜しゅうございましょう。それだって、ただ刺戟の方便として読むだけで、道その物とは無…
心に残る言葉 『カラマーゾフの兄弟』(著:ドストエフスキー 訳:江川卓)より
「真理をあがなうために必要な苦しみの一定量が定まっているとして、その量を補うために子供たちの苦しみが必要だということになら、ぼくはあらかじめ断言しておくよ、一切の真理もそんな代償には値しないとね。要するにぼくは、例の母親に、自分の息子を犬に噛みちぎらせたあの加害者と抱き合ってもらいたくないんだよ。彼女が彼を赦すなんてもってのほかだ! もしそうしたいのなら、自分の分だけ赦すがいい、自分の母親としてのかぎりない苦悩の分だけ、加害者を赦してやればいい。しかし八つ裂きにされた子供の苦しみについては、たとえ子供自身が赦すと言っても、彼女には赦す権利がないんだ、加害者を赦すわけにはいかないんだ! だが、も…
心に残る言葉 『隠された十字架 -法隆寺論-』(著:梅原猛)より
私はこの原稿を書きながら、恐ろしい気がする。人間というものが恐ろしいのである。仏様の頭に釘を刺し、しかもそれを何らかの技術的必要のように見せかけて、けろりとしている人間の心が恐ろしいのである。このような恐ろしいことなしに。政治は可能ではなかったのか。このような恐ろしいことなしに、日本の国造りは可能ではなかったのか。 引用:『隠された十字架 -法隆寺論-』(著:梅原猛) この著者のことを知らない人は多いかもしれない。 この人は作家ではない。哲学者であり仏教学者だ。 だがこの人は歴史に対する多くの仮説を打ち立てて、日本の歴史学界に波紋を呼んだ。 そのうちの一つがこの著書で、おおまかにいえば、法隆寺…
心に残る言葉 『鬼平犯科帳(七 寒月六間掘)』(著:池波正太郎)より
「つまりは、人間というもの、生きて行くにもっとも大事なことは……たとえば、今朝の飯のうまさはどうだったとか、今日はひとつ、なんとか暇を見つけて、半刻か一刻を、ぶらりとおのれの好きな場所へ出かけ、好きな食物でも食べ、ぼんやりと酒など酌みながら……さて、今日の夕餉には何を食おうかなどと、そのようなことを考え、夜は一合の寝酒をのんびりとのみ、疲れた躰を床に伸ばして、無心にねむりこける。このことにつきるな」 引用:『鬼平犯科帳(七 寒月六間掘)』(著:池波正太郎) ドラマでもお馴染みの鬼平犯科帳。 大抵、小説を映像化すると矮小化する傾向が強いが、このドラマは原作の良さを余すことなく伝えて、さらに、新規…
心に残る言葉 『1945年6月6日夜の大本営海軍次官宛ての電文-第062016番電-』(発:大田実中将)より
「-左の電を、次官にご通報方、取り計らい得たし。沖縄県民の実情に関しては、県知事より報告せらるべきも、県にはすでに通信力なく、三十二軍司令部もまた通信の余力なしと認められるにつき、本職県知事よりの依頼を受けたるにあらざれど、現状を看過するに忍びず、これに代わって緊急ご通知申しあぐ。沖縄県に敵攻略を開始以来、陸海方面とも防衛戦闘に専念し、県民に関してはほとんど顧るに暇なかりき。しかれども、本職の知れる範囲においては、県民は青壮年の全部を防衛召集にささげ、残る老幼婦女子のみが、相次ぐ砲爆撃に家屋と財産の全部を焼却せられ、わずかに身をもって、軍の作戦に差し支えなき場所の小防空壕に避難、なお砲爆下をさ…
いくら物価の安いときだって熊の毛皮二枚で二円はあんまり安いと誰でも思う。実に安いしあんまり安いことは小十郎でも知っている。けれどもどうして小十郎はそんな町の荒物屋なんかへでなしにほかの人へどしどし売れないか。それはなぜか大ていの人にはわからない。けれども日本では狐けんというものもあって狐は猟師に負け猟師は旦那に負けるときまっている。ここでは熊は小十郎にやられ小十郎が旦那にやられる。旦那は町のみんなの中にいるからなかなか熊に食われない。けれどもこんないやなずるいやつらは世界がだんだん進歩するとひとりで消えてなくなっていく。僕はしばらくの間でもあんな立派な小十郎が二度とつらも見たくないようないやな…
Jアラートに「国民の為の良い意味」を感じない。警報を聞いたところで、逃げ切れるのか?たまたま伏せただけでも助かったという場面も無くはないだろうが、破片等の飛来物を避けられたかどうかという程度だろう。その程度ではなく、あなたのいる場所が核爆発の影響をまともに受ける範囲だったら、どうしますか?避難訓練をしたこと無いよね?避難場所を知らないよね?そもそも日本の殆どの場所には核シェルターが無いし、地下という場所も少ない。私は埼玉県在住ですが、自宅周辺には私が入れる地下は無い。「強引に入れろ」と言うにしても、あると言う話を聞いたことが無い。きっとこの街には地下は無い。頑丈な建物も、窓だらけのマンション以…
選挙の期日前投票へ行ったものの、誰にするか困った。こんなに候補者が少ないとは。かろうじて現行勢力以外に入れたけれども。 そもそも、野党勢力は政党が多く候補者が少ない。これでは政権交代にならないのでは?開票する前から現行勢力の維持が決定している様なもの。充分な数の候補者を出さないのは、野党が現行勢力維持に加担しているのか?ワザとか?そんな事なければいいが、まず、議席の数が多過ぎる。これでは巨大組織でなければ、用意しきれない。一党支配が確実にされているとしか思えない。 投票率も問題だ。低かろうとも、得票が多かったら当選。これでは、組織票で充分当選可能。これなら現行勢力は投票率を下げた方がいい。下が…
少子化対策として現在とられているものは、子がいる家庭が対象。既に存在している子が対象なので、まだ存在していない子の為ではないから、子が増えはしない。 現状では子を作る余裕が無いとか、結婚・交際は無理とか、その様な窮状を改善出来なければ子は増えないのだから、現在の対策は少子化対策にはならない。 もっとも、現在生きている子がバタバタと死んでいくのを止める為としても、今の金額で大丈夫なのかと言いたくなる程度でしかない。本当に食ってさえいけるのか心配な程の生活なのを上は正しく理解しているのか? 上の存在とは、下を食わせるのが役目だ。しかし、食わせる気が無い政治家や経営者が多過ぎやしないか?実際には、下…
思えば、2022年2月27日。あれから1年たった。さすがにもう俺はそろそろ駄目だと思う。だから、今までだったら憚る様なことも綴ってしまう事にした。 みなさん、ビリの経験ありますか?俺は中学の時の持久走で全力を出してビリだった。ビリには人権が無い。その地獄を知ってて手を抜く筈は無い。本当に全力でビリだった。さて、もし俺がビリから2番目の人を追い抜いたら、その人がビリとして非難轟々にあう。俺の為にそれで良いのか?心は駄目だと思う。しかし、脚は全力で走っていた。ビリになったら散々な目にあう。その恐怖から全力で走ってしまった。アイツを犠牲にするのは駄目だ駄目だと思いながら、ビリは嫌だ嫌だと全力で走った…