chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
うお座のゆめ子
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2022/06/30

arrow_drop_down
  • 近づく終わり

    どーん、どーんという音で目が覚めた。ソファーから体を起こし、一人外に出た。 土手に上がると、皆、下流の方に体を向けていた。私もそれにならって、同じ方向に体を向けた。混み合っていたので、邪魔にならないところに移動をする。しばらく居るつもりで、しゃがみこんだ。しかし、いくら待っても花火は上がらなかった。 どうも、私はあきらめが悪かったようだ。振り返ると、一組の家族しか居なかった。土手から下りるとき、携帯のカメラを空に向けている人がいた。花火は上がっていないし、方角もまるで違っていた。見上げた先には、綺麗な月が浮かんでいた。 「明後日、試験をします」 急な話だ。今日は課題の方を少し進めておきたい。な…

  • 空の下で

    歩くたびに、ぴょんぴょんと揺れている。毛先が跳ねているのが、影でも分かる。 揺れる影と駅に向かった私が、雲一つない空に気付いたのは、電車に乗ってからだった。遅れているとアナウンスされた電車は、混んでいた。ドア付近から、それ以上奥に進むことはできず、ずっと窓から外を眺めていた。青い空は、しばらくすると消え去った。電車は地下へと潜っていく。 改札を出るとき、二回目の洗濯を干したか気になった。いや、干したなと思い直した。地上へ出ると、雲一つない空に再会した。 要領の悪さが、よく分かる。忙しくさせてるのは、紛れもなく私自身だ。足りない時間をどう作るかを考える。何かをするのにかかってる時間を短くする、も…

  • 一期とも一会ともいわず

    地面の斑点模様を見て、雨だと気付いた。降り始めの雨よりも、結構風が強いことが気になった。 近くの土手から花火が見えるのを期待して、娘が実家に帰ってきた。息子を誘ったが、行く気はなく、夫と娘と、三人で家を出た。 雨にあたらぬよう、高架下で腰を下ろす。遠くで上がる花火は、まだ先に進めばもっと大きく見えるが、ここでも十分だ。 今年初めて花火を見た。花火玉の中身を覗いたとしても、よく分からないだろう。様々な形の花火に、素直に綺麗だと感想を抱き、どうしてあんな風に上がるのだろうと不思議に思う。 ラインの履歴をみると、彼女との前回のやり取りは三年前だった。彼女は、私がパートの仕事を辞めたのを知らなかった。…

  • 風のしわざ

    庭に小さな洋服が落ちていた。強風がもたらす影響を受けたのは、私だけではなかったようだ。 「ゆめ子ちゃん、目が真っ赤だよ」 別れ際、私の顔を正面からみた遥子ちゃんが言った。 そろそろ声を掛けようと思いながら、先延ばしになっていたウォーキングがやっと実現した。 「ちょうど昨日、ゆめ子ちゃんのことを思っていたら、連絡が来た」と彼女は言っていた。土手のどこかで合流できれば良し、としている私達だが、なかなか遥子ちゃんの姿が見えない。そのことにちょっと安心する。家を出た時間が遅かったのは、私だけではなかたようだ。 土手を歩いている途中で、涙が出ると訴えた私に、彼女はすぐ道を変えようと言ってくれた。いつもは…

  • 大人の靴屋

    「どこに置いたっけ?」 週末、家を空ける前はそこにあったはずだ。しかし見当たらなかった。 洋室にあるソファーと長椅子の上には、丁寧に畳まれた洗濯物が仕分けされていた。畳み方と、仕分けが、いつもと少し異なった。 それらの洗濯物と、洋服を収めている引き出しを何度見ても、手持ちの服が増えるわけではない。何を着ようか、いつも決めかねる。 結果、一昨日と同じ服を着ていることもしばしばだ。すぐにターンが回ってくる服の上から羽織った上着は、教室に到着後は椅子に掛けられたままだ。外が窺えない窓は、ロールカーテン越しに陽射しを感じとる。 週末の長旅の疲れが、まだ残っているのだろうか。それともこの季節のせいだろう…

  • 秋晴れ

    「さむっ」寝床に入りながら、思わず声が出る。娘もよく言っていた。 雲一つない空だった。夏にはプールが広げられていた保育所の前には、一台のカートが置かれていた。その中には、小さな子供が4~5人乗っている。これから外へ出掛けるようだ。しかし、まだ出発できずにいた。一人、先生の膝に乗って、なだめられている子がいる。 午後になっても、ビルの窓から覗く空は、雲一つなかった。あの子は、みんなと一緒にカートに乗ったのだろうか? 以前寝床にしていた和室とは、室内温度がやはり異なるようだ。部屋に入ると、ひんやりとした空気に触れた。昼間の心地よさは一転し、夜になると随分と冷える。 娘から譲り受けた部屋で、この秋、…

  • 再開せよ

    リュックを下ろし、うがいと手洗いを済ませたら、すぐさまベッドに潜り込んだ。携帯電話のアラームを一時間後にセットし、仮眠をする。 途中で雨音が聞こえ、洗濯物が気になったが、体を起こすことはしなかった。 長い制作期間を終えた。帰ったら寝る、そう決めて訓練校を出た。 三十年ぶりに学生となって、使っていなかった脳は、フル回転している。しかし、三ヶ月で詰め込まれたことが、形に出来ることに達成感がある。と同時に、仕上がりはまだまだだと痛感させられる。 折り返し地点となった。「制作」は、個人とグループを含め、あと三つだ。 三ヶ月後の終了時には、年が明けている。その前に、私の嫌いな年末がやって来る。”やらなけ…

  • 寄り道

    「お幸せにお降りください」 何も急ぐことはなかったのだ。そう遠くない目的地に行くのに、”普通”でも”急行”でもどちらでも良かった。しかもまだ間に合う時間だ。なんとなく人の流れに沿って急行に乗り換える。やはり混んでいた。 頭の中で、言葉を変換する。車内のアナウンスは「押し合わずにお降りください」だった。 帰りの電車は、押し合うこともない。早く帰りたいと訴える、疲れた体を座席に委ね、帰路に着く。自宅に着く時間はいつも同じだ。 川の向こうに渡るには、ほんの十数メートル歩くだけだ。土手を降りたら、河川敷で野球やサッカーができるほどの広さのある、自宅の最寄りの川とはまた様子が違う。 道路と道路に挟まれた…

  • 挑む

    クラスの何人かは、授業中イヤホンをしていた。注意事項は、”音漏れはしないように”だった。 どうにも集中できない。曲や、その音に合わせた歌詞を聴いてしまう。先生からの注意事項は、私には無用だった。イヤホンをつける必要がないからだ。 制作期間中、各々机に向かって作業をする。音はない環境だったが、集中力は途切れる。作業量も多く、家での作業時間を足さないと、どうにも追いつかなかった。それは、”人による”ものではあったが、私には授業時間外の時間が必要だった。 まだ作業途中ではあったが、見えてくるものがある。その一つは自分の欠点が浮き彫りになることだ。ここは職業訓練校なので、仕事に就くための学びをしている…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、うお座のゆめ子さんをフォローしませんか?

ハンドル名
うお座のゆめ子さん
ブログタイトル
片付けられない「私」と向き合う
フォロー
片付けられない「私」と向き合う

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用