「それでは、経済学部の松井です。ニューヨークで双子を育てています」「新田敏夫です。世界を飛び回っています」「元宗です。子どもはカナダに行っていて夫婦2人でレストランしています」「宮田です。今はフリーとして仕事をしています」「桑田耕平です。会社を興して30年ですが、軌道に乗っています」それでは、そのほかの方たちよろしく。「田宮俊平です。そのほかの方たちで紹介されて良かった。忘れられてるかと思ったよ。し...
オリジナルBL&MLを毎週月・水・金の夜21時に更新!※アスリートCP/医者CP/リーマンCP/学生CP/短編も有ります。
妄想&空想が好きです(*≧m≦*) 浸るのも大好きです。 プロフのイラストは自動生成AIに描いてもらいました。 オリジナルでBL小説を書いてます。 他のジャンルも多少あります。 性的表現がございますので、苦手な方はご遠慮ください。
マサは聞いていた。「持ち帰って、明日の食事にするの?」スズメは即答だ。「違う! ジュンに食べて貰うように味を研究するためだ。食べてくれるまでな!」ジュンは一言だ。「試食は嫌だ」その言葉にスズメは即答だ。「マサとジュンヤ。お前らが試食組だ」名指しされたマサとジュンヤは嫌そうな表情だ。「嫌だなぁ・・・・・・」どうにかして、この空気を変えたい。そう思ったジュンは無いものに気がついた。「デザートがあるんだ。持っ...
ジュンは本当に嬉しそうだ。その表情が少し曇る。「あのね、スズメが嫌いで会いたくない訳じゃないんだ。会えば、僕は酷いことを言いそうで会わないようにしていたんだ」スズメは分かっていたので、こう応じる。「分かってるよ。本当に嫌ならドア越しでも話はしないもんだ」「ダディには話してないから」「何もかも全部を話さなくて良いよ。話したくなったら話せば良いんだ」「ごめんなさい・・・・・・」「でも、ジュンがここまで作るこ...
シェフハットと上着を脱いだジュンはスラリと背が伸びており、小学生には見えない。「お代わりあるから」その声にハッと気がつく。スープを一口、口に含む。良い味を出しているコンソメだ。お次はプレート。メインとなる肉は見ただけで分かる。鴨だ。その肉はほどよくウェルダンに焼かれており、ソースを付けなくても美味しい。ソースは醤油風味だ。これは、ワインでなく紹興酒、いや日本酒の方が良かったかも。和には煮しめ、洋は...
食堂の広さに目が行く。スズメとマサは目を見張り、呟きが出る。「喫茶より広い」その声にGPボスは応じてくれる。「ドイツ風だからな」ジュンヤはテーブルを指さす。「テーブルセッティングしてあるよ」4人が席に座ると、奥からシェフが出てくる。ワゴンには鍋が載っている。「最初にスープです」そう言うと、それぞれにスープを注ぐ。そして、空席になっている席のスープ椀にも注ぎ入れる。それはタマゴを散らしたコンソメスープ...
コートを脱ぎドアベルを鳴らすと、GPボスが出てきた。この人の私服はいつもお洒落だが、今日のは違う。ジュンの料理に対しての服装だ。スズメが口を開く。「ご招待ありがとうございます」「ま、入って」ドクター・博人とは違い、この人はいつも朗らかだ。スズメは気になっているみたいだ。「ジュンは」「今は、まだシェフしてるから。ウェルカムドリンクは私からだよ。受け取ってくれ」「いただきます」ウェルカムドリンクを飲み...
3年ぶりに見るジュン。こう言うと失礼にあたるが、会えるのが楽しみでもある。ラフな服しか持っていないが、少しお洒落をして行こう。選んだ服は紺色のカッターシャツとチノパン。同色のブレザーを羽織り、ブレザーの胸ポケットにはクリーム色のハンカチーフを挿す。そんなスズメを見てマサは笑う。「なにそれ。お洒落だこと」「なにしろGPボスの家には初めて行くからな」「そうなんだ」スズメの紺に対し、マサは淡いクリーム色...
いつも当ブログへお越しいただきありがとうございます!!実は、3DCGをやっていまして。CGアーティスト賞をいただきました!!そのサイトではインタビュー記事を掲載させていただいております。こちらです英語でのインタビュー記事です。それを日本語版にしたものを、自分の公式サイトに掲載させていただいております。それにつきまして、私自身のCGに目覚めてからこの8月、メールをいただいた40数年間の思いを記事にしました。~...
油っこいと言われ、スズメはこう応じるしかなかった。「たしかに中華は油を使うが」GPボスの表情と声からは悪気が感じられない。「トモの作る中華はアッサリなんだ。だから私はトモの作る中華は好きでよく食べていた」マサはこんなことを言ってくる。「スズメ、料理の改良をしないといけないね」その言葉に反論できないでいた。いや、しかしこれでは立つ瀬がない。なんとかして、ジュンに会わないと。でも、口から出た言葉はこれ...
中庭の畑に行ってみると、たしかに色々とある。誰かが引き抜いた跡もある。「まさか、おチビの食材はここか」「毎月、お金が振り込まれてるはずだよ。お店で買うこともできるしね」「誰が、ここを管理してるのだろう」その呟きに答えるように違う声が答えてくる。「私だ」振り向くとGPボスが腕を組み立ちはだかっている。「ここで何をしている?」「畑に何があるのかなと思って見ていただけです」「私が食べている」その言葉にマ...
違う声が割って入ってくる。「チャーハンやおにぎりって一番美味しいですよね」その声のしたほうに振り向くと優君がサトルと一緒に食べに来た。サトルは優君に話しかけながら椅子に座る。「優介が私の所に来た当初は、白米やチャーハンばかり食べていたな」「そっちの方がほどよく甘くて美味しかったから」「父親とは何を食べていたんだ?」「うーん・・・・・・、おにぎり、チャーハン、ヤキソバ、炊き込みご飯! これらが多かったよ。...
ボスがドイツに行って3年。マサの所に行っているけれど、何を作って食べているのかは想像が付く。だけど、と思うとマサに泣きつくしかなかった。ある日、マサが食べに来たので聞いてみる。「マサ、おチビが作る料理ってどんな物?」その言葉で察したのだろう。マサはこんなことを言ってくる。「まだ諦めてないの? あれから何年経ってるのやら」「あのボスは、送迎以外は私に任して行ったんだよ! この秘密っ子、知ってること洗...
ようやく泣き止んだスズメはマサに愚痴る。「犬って飼ってるのか?」「毎週金曜日にやってきて、日曜日は私の所から水泳教室に通って、一緒に夕食を食べて家に帰ってるよ。時間が遅いから、私がここまで送ってくる。本人は大丈夫だよと言ってるが、まだ小学生だからね」「それを聞いて安心した」半分、泣き顔になっているスズメを見て苦笑する。「でも、他の曜日は知らない」「ちなみに、料理教室は何曜日?」「夜の部は火曜日で、...
それから1年後。ついにスズメはマサに泣きついた。「マサ、頼みがある。ジュンを尾行してくれないか」「ジュンは学校だろ」「帰ってからだよ。あいつ何も食べないんだ」「スズメもお手上げか」「も、ってなんだ?」「トモヤからも言われてるんだ。最近はベッドに入る頃に帰ってくるって」「まさかとは思うが・・・・・・、女?」マサは一笑に付す。「まだ小学生だよ」「交友関係とかは」「でも、週3日は習い事してるから」「何を習って...
最初の1週間は良かったんだ。しかし、2週間目に入ると急に食べなくなった。どんなに作っても食べてくれない。せめてもの救いは学校だ。学校ではランチは給食だからだ。サトルと一緒に暮らしている優君が、あれこれと手を出してくれているので助かっているのもある。「試作したのだけど」そう言って渡すと食べていたらしい。しかし、スィーツばかりだと栄養なんて取れない。だから食事に誘ってあげてとお願いしていた。その時は、優...
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「それでは、経済学部の松井です。ニューヨークで双子を育てています」「新田敏夫です。世界を飛び回っています」「元宗です。子どもはカナダに行っていて夫婦2人でレストランしています」「宮田です。今はフリーとして仕事をしています」「桑田耕平です。会社を興して30年ですが、軌道に乗っています」それでは、そのほかの方たちよろしく。「田宮俊平です。そのほかの方たちで紹介されて良かった。忘れられてるかと思ったよ。し...
うちの子紹介のページです。当ブログにお越しいただきありがとうございます。このブログも、先月の6月27日で丸々11年を迎えることができました。本日で11年と16日です。そう、12年目に突入しました~!記念として、うちの子の紹介をさせていただきます。まず、医学部卒業生から。「ボスである福山友明です。ドイツに行って、正式にメスドクとなりました。パースでクリニックを経営していますが、これからはメスドクとしてオペを...
いつもお越しいただきありがとうございます。11周年に突入しての作品です。『挑戦するのに年齢は関係ない』はいかがでしたでしょうか?本当に5年ぶりに登場しました、博人と友明。あれから、本当に5年の月日が経ちました。やっとパースに帰ってきた友明。そして、その息子のジュン。ジュンが信頼を寄せているジュンヤ。この3人がメインの話になりました。各々が、自分のやりたいことを模索しながら生きていく。この5年間、どのよう...
そのタロットをテーブルの上に置き、心の中で占いたいことを呟く。 10枚なんて置けないから、5枚引きにする。過去、現在、近未来に、結果。その結果として出たのは、カップⅣの逆位置。このカードは、腕を組んだ若者が目を閉じていて、カップを持った雲が若者に近づいている絵だ。しかし、正位置では、若者はそのカップに気が付いていない。なにしろ目を閉じているからだ。でも、今、出たのは逆位置。若者は、そのカップに気が付き...
ニューヨーク行きの飛行機に乗る。隣の席は、先ほどの人が既に座っている。「パードン」「ぷ、プリーズ」「サンキュ」離陸後、お決まりのスナックタイムがくる。「ミスター」私はフランス人だ。ドイツ語でもいいが、フランス語で応じる。 「テナチュール(紅茶をストレートで)」国際線のCAらしく、すぐフランス語で応じてくる。「ウィ、ムッシュ(どうぞ)」いよいよ、私の第5人生の始まりだ。どくろマークに、いや違った。マ...
ジュンヤはジュンの未来を知っている。あのいじめっ子と一緒にいるだろう。何度占っても、ジュンの傍にいるのが現れるからだ。ジュン。逃げ場所は一つだけではないよ。新しく作っていくものだ。10年間、私を逃げ場所に指名してくれてありがとう。君の未来に幸あれ。声がかかる。「前、通ります」「どうぞ」通りやすくシートと足の間を開けてやる。その人はたどたどしい英語だけど意味が通じたのが嬉しかったのか、安心顔をしてシー...
ジュンヤとジュンのパース出発日は同じ日だった。ジュンヤは飛行機でシンガポールへ行き、そこからアメリカへ。ジュンはエドのジェットで、庭から直接ドイツのフォン・パトリッシュ家へ。ジュンはジュンヤがどこに行ったのかは知らない。でも、また会えるだろう。そんな気がする。鞄の中にはジュンヤ先生から貰った2通の手紙が入っている。手紙とはいえ、サークルの皆と同じものだ。「2年後、自分はいなくなるだろう。自分の可能...
ジュンヤは机上勉強ならどんとこいの執念で合格した。実技及び研修先は、あの人が迎えてくれたので安心してアメリカに発てる。そのジュンヤに、一緒に暮らしているAは言いにくそうだ。「A、今までありがとう。待たなくていいからね」「あのさ……」「なに? 思い切って言ってみて」「アンディなんだけど」その名前に気持ちはグラつく。「う、うん……」「バツイチだって知ってた?」「知らない」「一緒になっても怒らない?」「Aはア...
何かを挑戦するのに、きっかけはなんでもいい。ただ、必要なのは、やる気ではなく、行動することだ。その行動力で、3人は自分の道を決めていく。友明は5年間という年月をかけて、再びメスドクに。ジュンは勇気を持つことができ、目出度くトニーから逃れることができた。そして、ジュンヤは自分の気持ちに気が付く。それから、2年後。ジュンはものの見事にドイツの高校の留学テストに受かった。住む所は、待ち人が住んでいる所。...
一方、ジュンに体当たりを食らい倒れこんでしまったトニーは呆然としていた。負けたのがショックだからではない。その後のジュンの行動だった。「うるさい、黙れ。黙って言うことを聞いてればいいんだよ」そう言うとキスされた。できるなら、抱きしめたかったのだが、すでにジュンは走り去っていた。柔らかかったジュンの唇。自分の唇に指をあてなぞる。「ジュン……」虐めないでと約束をさせられたが、俺はお前を追いかけるからな。...
途端にトニーは黙ってしまった。あれ、ほっぺたってこんなにも柔らかかったっけ。なんかグニュグニュしてるし。恐る恐る目を開けると、トニーの驚いた眼があった。まさか、これはほっぺたでなく、トニーの……、く、ち?思わず走っていた。やっちゃった。やっちゃった、やっちゃったよ。ほっぺたにするつもりが、口にしてしまった。うー……。でも、口って、あんなにも柔らかいんだね。トニーも驚いていたし。僕も驚いて走って逃げてし...
「ハッ!」「なんの」「トウッ!」「へぇ、本当に合気道やってるみたいだな」全然、当たらないし、掠りもしない。しかも、トニーも合気道ができるみたいだ。「くそぉ……」「おら、どうした。かかってこい!」こうなると、アレしかない。「これは喧嘩じゃないからなっ」「分かってらあ」1年前のドイツで、ヒロがダディを負かした。あの時に見たアレをトニーにする。低くかがむと、トニーめがけてタックルしてやる。「ってやー」しか...
ジュンヤ先生に言われ納得したジュンは、意気揚々と夏休みを過ごす。そんなジュンに、今日もトニーは振り向かせようと手を企てている。バッタリと出会い、目がかち合う。「トニー……」「いい所で会ったな」しかし、逃げ腰になってしまうのは条件反射だ。回れ右して走ると、向こうも走って追いかけてくる。あの時、皆はなんて言ってたっけ?ほっぺたにキス。ハグする。えーと、それから、それから……と頭の中が真っ白になる。そんなこ...
全く歯が立たずに、僕は聞いていた。「いじめっ子に勝つにはどうすればいいですか?」「喧嘩ではなく、言い含める言い方にするとか、相手にしないとかかな」誰かの声が聞こえてくる。「キスしたら黙るよ」「いじめっ子は男の子なんだけど」「だから効果てきめんだよ」「そうなの?」「ほっぺたにキスをすると大丈夫」「ほっぺたかあ。なるほどね」「うん、いじめは止まるな」「たしかに、止まりそうかも……」いや、本当に止まるのか...
大学のドイツ語の講師として働くことが決まったと、ジュンヤ先生に話している。フランスとドイツ旅行に行ったことを卒業論文にして提出したら、雇ってくれたらしい。ジュンヤ先生に話しているのを見ていると、羨ましかった。「おめでとう、良かったね」「フランスとドイツに行けたからです。ジュンヤ先生、ありがとう」「君が行きたいと思って行動したからだよ。礼を言うのなら、君自身にだよ」「大学に、ここの語学サークルのこと...
当の本人に聞けばいいのだけれど、どのように聞けばいいのか分からない。あれから1年経っても、まだ残像は残っている。ジュンヤ先生は、あの人とキスをしていた。覗いてはいけなかったかもしれない。でも、真後ろだったから気になって見てしまったんだ。他の大学生と高校生の2人も一緒になって、3人で上から覗いていた。見終わると、その2人はトイレに行ってしまった。僕はどうすることもできなかった。2人はトイレから戻ってくる...
ジュンはダディである友明に同じことを聞いている。途端にトモは怒り出す。「なんで、そういうことを聞くの!」「どんなものなのかなと思って」「ジュンは女の子と結婚するんだろ」「そうだよ。マミィのような可愛い女の子とするんだよ」「それなら、そんなことは知らなくてもいいことだろ」「そうなんだけど……」「なんだよ、モジモジして」そこでハッと気が付いたのか、こんなことを言う。「お前、女の子でなく男の方が好きなのか...
ジュンの言葉。「男同士でキスするのは、気持ちいいの?」あまりにもストレートな言葉にショックで言葉が出なかった。やっと頭が動き、言葉が出てくる。「よくテレビで見るハグして頬にする、あれは挨拶だよ」「ほっぺたでなく、ここだよ。口なの」そう言って、自分の口に指を置く。その仕草に、これはどこかで男同士のを見たなと気が付くと言っていた。「ジュンは男相手に、そこにキスをしたいのか?」「え? い、いや、どんなも...
ヒロは頭を優しくポンポンと叩いてくれると、ハグしてくれる。だから、この言葉を添えてハグをし返す。「ありがとう」ヒロにハグをされたまま聞いていた。「ねえ、ヒロ」「ん?」「あのね、僕、ずっと考えていたのだけど分からなくて。聞いても良いかな?」「何? 言ってごらん」その優しい口調と言葉に勇気を貰い、聞いていた。「男同士でキスするのは、気持ちいいの?」すると、ヒロは黙ってしまった。優しく頭や肩を叩いてくれ...
夕食は豪華にケーキ付きだ。しかも、Happy Birthday to Jun!と付けてある。「ダディ……」「遅くなったけど」「ううん、嬉しい」「で、誕生日プレゼントだよ」「ありがと!」開けて見ると、セーターとジャンバーだ。「カッコいい」着てみると手障り良くて暖かい。「あったかいや」「少し大きいな。でも、そのほうが長く着れる」「ダディ、ありがとう」ヒロは、これだ。「トモが編んだ物だ」「いつ?」「博人さん!」「何が良いのか...
キッチンも掃除が終わり一息ついた頃、社長が食堂へやってきた。「お疲れ。皆には迷惑かけたね」バイト料を一人ずつ手渡してくれる。ありがとうございましたとお礼を言って、奥の和室に入る。布団は、いつの間にか押し入れに畳み込まれていた。現金でもらい、皆の懐と表情は明るい。荷物を持ち、21人の集団は関内駅へと向かう。駅前には2台のロールスロイスが停まっている。医学部のサトルとユタカは、その2台に近づく。「お迎え...
翌日はアルバイト最終日だ。ワンから買い物リストをもらい、買い物をして帰ってくると人数が増えている。「なんで2人がいるの?」「有志だから」「いつも2人でいるんだね。なんか羨ましいな」「いや、そうい」「新田、こいつはここで彼女をゲットしてるんだぞ。どう思う?」高橋は叫ぶ。「カイド―!」その叫びに対し海堂は両手をグーにしてガッツポーズする。「GO!」新田は驚いている。「彼女って……」「2階の女性スタッフ。片...
こちらは経済5人と松井の嫁。「ほら、これで食べるからな。欲しくない奴は食べなくていい」「新田、そういう言い方はよせ」「私は自分の気持ちをこの3人に話した。あとはお前たちの出方次第だ」そう言うと、餅をまな板に置くと包丁で切っていく。「おお、スパスパと切れる。やっぱり包丁で切る方が早いな」大変な思いをして餅を割った昼間を思い出すと、水でふやけさせた餅を切る方が効率がよいと気づく。「焼くか、煮るか。どっち...
教育学5人はスタンダードに餅を焼く。焼きノリがあるので、それをぐるぐる巻きにして醤油を付けて食べる。「美味いっ」「2つだなんて取りすぎたかなと思ったけど、食べきったな」「あー、満腹」「満足だ」もう一つ声が足りない事に気が付く。「高橋は?」「そういえば、どこ行ったんだろう」ジャジャジャジャーンッと効果音が聞こえてくると高橋が何かを持ってきた。「高橋、どこに」「これ見て」そう言って、持ってきた物を4人に...
サトルはタカに言う。「餅は夕食に食べるって」「何個?」「3個」3個をサトルに手渡す。すると、新田と海堂も言ってくる。「こっちにも2つ」「だって、さっき3個」だが新田は強気だ。「10人で3つだよと言ってるんだから。経済は2つ」同じく海堂も強気に出る。「教育も2つ。夕食まで時間あるから水に浸しておこうかな」その言葉に新田はすかさず応じる。「それ、いい考え。包丁で切りやすくなってるかもね」サトルはボスに聞...
キッチンに入ると、ボスは包丁の柄の部分を握り持っている。「ボス、今の音はなに?」「餅が割れた音」「は?」餅ではなく、どこかの台を壊したのではないかとキッチン台を見ていく。そんなサトルに声をかける。「乾燥しきってないからレンジで30分焼いたらパリパリになって、包丁のこの部分で叩き割っただけ」だけどサトルは目ざとく見つける。「ググっていたのか」「バレたか」サトルと一緒にキッチンに入ってきた新田はこう言う...
新田と海堂とタカとワンの4人は餅を割っていく。が、3分もしないうちにお手上げ状態だ。「らちが明かない」「時短できないかなあ」「パッカーンって割りたいね」タカは、その3人に言ってやる。「レンガみたいに固くなっていれば割れるけど、そこまで固くないから無理」3人は考え込むと、ワンは何かがひらめいたみたいだ。そんなワンの表情に気づいたタカは、ワンに声をかける。「何を思いついた?」「工具でやればどうだろう?...
皆が具材をカットし終えると、タカは新田と海堂を伴って上がってきた。「重かったー」その言葉に、サトルは聞く。「なにをそんなに持ってきたんだ?」「はい、これ」そう言ってタカはビニール袋を差し出すので、サトルは中を見ると言っていた。「お前ね、限度というものを知らないのか?」「雑煮を作るって言ったら、皆が入れるんだよ」そう言うと、新田と海堂の方を指さす。「餅を貰った。あの2人に手伝ってもらったんだ」その餅...
翌日の1月1日は、経済6人は1階、教育5人は2階、医学部5人は2階、残り5人は3階食堂に分かれる。「今日は何人だって?」「100人越え」「最高人数だな」「買い物……。店、開いてるかな」「そういう場合は」皆して拝む。「サトル様」「やめろ。そういうのは、ここ横浜では効かないから」「都内だけか……」皆は色々とメニューを口にするが、それをヒントにタカはあるメニューを口にする。「雑煮は? ここ魚屋だからアラや骨は十分に...
その夜、医学部の10人の夕食はサトル持参のプロテインとジュンヤ持参のゆで卵、残り物の野菜で簡単に作った野菜炒め、味噌汁だ。それらを和室で食べながら、ユタカが勝手に取り付けた盗聴器を聞いていた。ボスは考え込む。「うーん、こうなるとはな」スズメはこれだ。「そっかあ、あの金魚の糞はそう思っていたのか。ってことは、年上か」サトルは簡潔だ。「二浪したのか」マサは素直に気持ちを口にしていた。「経済を一発合格した...
コンシェルジュを2時間もやっていると薄暗くなってくる。客足も途絶え気味になってきたのでジュンヤも店内に入り模様替えを手伝う。「明日もしますか?」「いや。明日は正月用に海鮮と寿司と造りの販売だけ」チーフは声をかけてくる。「専務、その量ですが……」「なんだ、歯切れ悪いな」「実はお造り384と、寿司が248入っています……」「えらく多いな。ジュンヤ様効果か?」「それもありますが、解体ショーの時の注文で、130ずつ。今...
一方、こちらは1階に下りたジュンヤは一人だけ店先に設置されたブースにいた。当然のことながら黄色い声援付きだ。離れている店内にまで、それが聞こえてくる。「うーむ、離しているとはいえジュンヤ様ビームは凄いな」「余波がここまで響いてくる……」「あの時は何が起きたのか分からなかったが、これか……」「彼一人で大丈夫かな」「店内に誘導してとは言ったけど。あ、でも大丈夫そうだ」数人が入ってくる。「いらっしゃいませ」...
洗面スペースに寄り顔を洗うとキッチンに出る。「代わるよ。お疲れ様ー」「お疲れ。話し合い、終わった?」「うん、終わった」松井は聞いていた。「新田、あの3人は」「今はパス! ほら、来るよ」途端に、威勢よくドアが開く。「お疲れ様ですー」「お疲れ様。一人一皿ね」「はーい! お、ハンバーグだ」「こっちのスープ美味しそう」「ご馳走様でした」「このサラダ、ビールが欲しくなりそうだ」「松井、グラス足りないから先に...
たったそれだけの事なのに、桑田は目くじらを立てる。松井は、桑田の怒りを収めようと声をかける。「お前の気持ちも分かるが、我慢しろ。それにやることは」「松井はあんなことを言われて悔しくないのか。腹立たないのか」「なんの事だ? さっきのは単なる社交辞令だろ」「どこがだ」新田は我慢していた。「今は仕事中だ。怒りは夜まで待ってろ」元宗も言ってくる。「新田はいいよな」宮田はこれだ。「そうそう。自分だけ良いよう...
13時前にはドドンッとやってくる。食洗器をフル稼働させながら、3人は焼いたりサラダを盛ったり、食器類を取り出したりしていく。「そろそろ、こっちを出すかな」ユウマは呟くと鍋を持ち表に出る。ガラッとドアが開き、声が聞こえてくる。「お疲れ様です」「お疲、あ、サトル」「大変だった?」「これからが一番大変だと思う」「食べたのか?」「3人とも食べたよ。あと、経済との関係が悪くなってる。アフターよろしく」「仕方ない...
12時になったが誰も来ないので3人は一番乗りで食べる。「たまにはいいな」「ゆっくり気分で食べれるだなんて久しぶりだな」「出来立て美味しい。あのきゅうりがこうなるとは思いもしなかったな」2人の声は重なる。「見事に酒の肴だ」「たく、二人そろって」「いい味出してるよ」 「それはありがとう」12時半を過ぎると5人が入ってくる。「お疲れ様です」「お疲れ様」「ハンバーグだ!」「嬉しい、2個もある」「1つがドンとあ...
3人そろって20分後にはハンバーグのタネだけでなく、サラダのきゅうりとスープの材料もカットし終わる。「味はコンソメでいいかな?」「任せる」ピーと音が鳴る。「何の音?」「米が炊けた音だな。サラダはレタスではなくキャベツか。千切りにでもするか」「赤みがないな」「スープに人参入れるから大丈夫」「カレーの時に買った人参か」「誰かさんが大量に買ったから」「タカだろ」ユウマは手際よく米をジャーに移していく。「う...
2階からはマサとユウマの2人が飛んできた。「ジュンヤが喚き散らしてるって言ってたけど」「まるっきりキレてないし。これの、どこが怒り飛ばしてるって言うんだ?」紐で床を打ち、言ってやる。「包丁を持てないのが3人いる。そんな奴らはハンバーグとサラダと味噌汁だ」「それなら、包丁は1人か2人にさせればいいのでは?」「見てみろ、これはきゅうりみたいだぞ」そう言ってまな板を指すと、2人は唖然としている。「え?」「そ...
ジュンヤは3階で王様になっていた。昨日まではずっと2階だったので、しばらく6人の動きを見ていた。耐えられなくなり、床を叩くと6人がビクッと体を震わす。「この音に反応してどうする」「助っ人に来たんだろう。何してるんだよ」そんな声を無視してやる。「昨日も、ここでやってたんだろう。にしては動きが鈍いな」「昨日は……、教育から3人来たから」「誰?」3人の名前を教えてくれたので、共通点を見つけた。「なるほど、バ...
「助っ人が欲しいです」 その声に専務はこう言う。「金髪君、3階を手伝って」 「私が、ですか?」金髪ジュンヤは驚きの声を出していたが、専務は一言だ。「その方が昼食を取りやすいだろう」確かにと思い、はいと返事をする。カズキは荷造り紐をジュンヤに渡す。 「これ渡しとく」「効果は?」「微妙?」 専務の声は続いている。「残りは2階だ。チーフ、今日はどれぐらいだ?」「お造りは127で、寿司は250です」 「えらく多...