ニールにベッドに押し倒されると乗っかってきてキスをしてくる。「ふ」頭の中がとろけそうになるほどのキスだ。そのうち、ニールが離れていくのが分かる。「ニー」自分の肌にニールの唇が触れていく。強く吸われる時もあれば、優しく吸われる時もある。「あ・・・・・・」胸の尖りを舐められる。「ん」とても優しく舐めたり噛んでくる。こんなのは初めての経験なので、どうやってこんなテクを身に付けたのか分からなく、その思いを口にし...
オリジナルBL&MLを毎週月・水・金の夜21時に更新!※アスリートCP/医者CP/リーマンCP/学生CP/短編も有ります。
妄想&空想が好きです(*≧m≦*) 浸るのも大好きです。 プロフのイラストはTwitterでお友達になった豆たろさんに描いて頂きました。 豆たろさん、ありがとうございます〜♪ オリジナルでBL小説を書いてます。 他のジャンルも多少あります。 性的表現がございますので、苦手な方はご遠慮ください。
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ニールにベッドに押し倒されると乗っかってきてキスをしてくる。「ふ」頭の中がとろけそうになるほどのキスだ。そのうち、ニールが離れていくのが分かる。「ニー」自分の肌にニールの唇が触れていく。強く吸われる時もあれば、優しく吸われる時もある。「あ・・・・・・」胸の尖りを舐められる。「ん」とても優しく舐めたり噛んでくる。こんなのは初めての経験なので、どうやってこんなテクを身に付けたのか分からなく、その思いを口にし...
1週間後、ニールは聞いてくる。「ネイサン、話がある」おそらく、この間の話だろう。1週間もあれば、こちらの気持ちも整理がついた。「ニール、この間の話か?」「うん。僕と家族になって一緒に暮らして欲しい。ネイサンを愛してる。離したくないんだ」少し間を置いて答える。「基本、私はマイペースな人間だ。自分のやりたいことしかしない。それでも良いのか?」「うん、良いよ」真剣な面持ちなんて初めて見た。だから、一生懸...
ここに住んでから5年後の、ニールの言葉。「ネイサン。一緒に暮らそう」「暮らしてるだろ?」「ネイサンは僕から離れないよね?」「ニール?」「僕は知ってるよ。学生時代からずっと僕だけを見ていたよね。アサミもヨシも僕を見てくれていたけれど、彼等は卒業したら日本に帰国した。もう、ここに来ることはないだろう。でも、ネイサンは違うよね?」その言葉には驚いた。「何を言って・・・・・・」「僕、知ってるよ」「何を・・・・・・」「...
ニールにベッドに押し倒されると乗っかってきてキスをしてくる。「ふ」頭の中がとろけそうになるほどのキスだ。そのうち、ニールが離れていくのが分かる。「ニー」自分の肌にニールの唇が触れていく。強く吸われる時もあれば、優しく吸われる時もある。「あ・・・・・・」胸の尖りを舐められる。「ん」とても優しく舐めたり噛んでくる。こんなのは初めての経験なので、どうやってこんなテクを身に付けたのか分からなく、その思いを口にし...
1週間後、ニールは聞いてくる。「ネイサン、話がある」おそらく、この間の話だろう。1週間もあれば、こちらの気持ちも整理がついた。「ニール、この間の話か?」「うん。僕と家族になって一緒に暮らして欲しい。ネイサンを愛してる。離したくないんだ」少し間を置いて答える。「基本、私はマイペースな人間だ。自分のやりたいことしかしない。それでも良いのか?」「うん、良いよ」真剣な面持ちなんて初めて見た。だから、一生懸...
ここに住んでから5年後の、ニールの言葉。「ネイサン。一緒に暮らそう」「暮らしてるだろ?」「ネイサンは僕から離れないよね?」「ニール?」「僕は知ってるよ。学生時代からずっと僕だけを見ていたよね。アサミもヨシも僕を見てくれていたけれど、彼等は卒業したら日本に帰国した。もう、ここに来ることはないだろう。でも、ネイサンは違うよね?」その言葉には驚いた。「何を言って・・・・・・」「僕、知ってるよ」「何を・・・・・・」「...
「ネイサン、どうしたの?」その声にハッと気がつく。思わず、言っていた。「再会した頃のニールを思い出していた」ニールは笑い出す。「笑うことないだろ」「寝ているのかと思ったら、そんなことかあ」あの微笑にヤラれた自分が情けない。今では、エンジェルよりも小悪魔のほうが似合っているニールが可愛い。あの時、ヨシに聞かれた言葉で自分は考え込んでしまったが、それでも可愛いと思ったのは確かだ。「ニール」「なに?」「...
大学を卒業して再会するまでの10年間は、故郷であるバージニアへ戻っていた。このバージニアからニールの故郷は遠い。もう、お守りをしなくても良いと思うと気が楽だ。論文の発表会でニューヨークに行った時、ニールがいるだなんて思わなかった。会場で声を掛けられただけでも驚いたのに、それがニールだなんて夢にも思っていなかったからだ。誰にも覚えられていない。そういう思いはあったのに、誰かに覚えられているというのは嬉...
あの連中と再会してからのニールは昔のニールに戻っている。自分では気がついてないのだろう。布団の中で大人しく抱きしめられているニールは目がトロンとなってきている。このまま寝てくれると、こちらとしても有難い。あの頃のニールは、恋愛対象というより保護欲をそそられる対象だった。あの日本人5人にくっつくというより、アサミにくっついていた。あんなガリガリのもやし体型の人間だと頼りなさそうな気がして、いつも目は...
ニールはネイサンに聞いていた。「それはそうと、どうして分かったの?」「なにが?」「ほら、あの5人の特徴を言い当てたでしょ。どうして、そんな風に思ったのかなと思って。ね、どうして?」「そりゃ、ニールを見てたら、あの5人に目が行くだろ」「僕?」「そ、ニールを見てたら、自然と5人の」そこで区切ったネイサンは、思わず自分が何を言っているのか分かったからだ。「あ、その、ニール?」だが、ニールは学生時代の顔に...
いつもお越しいただきありがとうございます。短編ですが、前作の『社員研修は腐の宝庫』の続編になります。登場人物はニールとネイサンの2人です。~あらすじニールはアメリカにあるステイツ大学に通っていた。その時、出会ったのは日本人5人で、そのうち仲の良かったのはアサミとヨシの二人だった。それでも、その5人は色々と教えてくれたり、遊んでくれたりしていた。自分の事を深く知らない、その5人の傍を離れたくなかった...
いつもお越し頂きありがとうございます。今作の「社員研修は腐の宝庫」はいかがでしたでしょうか?主人公はダブルアサミというところで、朝巳と浅海でした。しかも、舞台はニューヨークでした。意外なところに、意外な人がいたものです。朝巳と雄吾の関係はどうなっていくのでしょうか?また、朝巳に対しての気持ちを自覚したストーカー浅海は?そのストーカー浅海に拉致られてしまった朝巳は?今までにはない「腐」が散りばめられ...
自分の部屋に戻ると鍵を閉める。ミニ冷蔵庫から缶ビールを取り出し、一口飲む。「お疲れ! ビバ、社員研修! 今度は2年後だ!!」 さぁ、2年後の社員研修はどこで何をしようかな。こういうのがあると嬉しいよな。雄吾には一人旅での腐探しはやめろと言われたが、一人旅でなければいい。というわけで、来年は水泳スタッフだけでの旅にしようかな。場所は沖縄か、いや、それとも北海道?せっかくだから、ダイビングできる場所だ...
「たっだいまー」奥から声が返ってくる。「朝巳、裏から入れって何度言わせる」「そう怒んないでよ。奥からだとナースにお土産渡せないじゃん」すかさずナース婦長が返事をする。「ありがとうございます」「みんな同じものだけど、ごめんね」「そんなことないです。嬉しいです」1人ずつに手渡し、最後に兄に渡し頬にキスをする。兄は固まってしまった。「アメリカでは、これぐらい普通だよ」ナースの1人からフォローされる。「兄...
そんな光景をストーカー淺海は見ていた。帰りの便が同じ。幸か不幸か、どちらに取れば良いのだろう。あの時――。冷ややかな目で足を撃ってきた。しかも、アキレス腱だ。歩けるようになるまで待てなかった。ピザの滞在日数にかかるからだ。でも、あの体は忘れられない。もう一度、抱きたい。触りたい。この手で、あの体を触り、食事を共にしたい。銃なんて危ない物はない場所で。アナウンスが流れてくる。包帯を巻き、松葉杖もついて...
そんなこんなで夏休みも、あと1日になってしまった。空港まで雄吾と衛は見送りに来てくれた。「それじゃ、2年後に」「雄吾、元気でね」「朝巳も」「ん」衛は社長に迫っている。「私の任期は、いつまで?」「あと10年か」衛は片目をつり上げ、まさにデビルになっている。「そんなにもあるの?」「なんなら、日本で社員研修とかはどうだ?」「いい考えかも」朝巳は、そのデビル衛に封筒を渡す。「朝巳、これは何?」「衛へのプレゼ...
ふと見ると、ネイサンは寝息を立てている。思わず呟いていた。「このベールでベッドにくくりつけてやろうか」そう思ったが、その寝顔にキスを落とすだけにする。しかし、お腹空いたなあ。途中で買った食料を取り出すとレンジに突っ込みスイッチを入れ、大好きなオニオンスープを作り1人で食べる。「むふ♪ 美味しい♪ たまには街に出るのも良いな」そんなにも時間を置かずに声がかかる。「良い匂いがする」「ネイサンも食べる?」...
さよなら、僕の初恋の人。僕は、ネイサンと一緒に生きて、ニューヨークに骨を埋める。アサミのベール姿を観る事が出来て嬉しかったよ。秀才のガリ勉だったネイサンは、君たち5人組を羨ましがっていた。僕がアサミとヨシの背中に隠れていた理由も知っていた。だからこそ、君たちが日本に帰国すると側に居てくれた。僕を色眼鏡で見ない5人は、かけがえのない存在だ。でも、ネイサンは僕のことを知っている。僕と結婚したのを、あっ...
そして、皆の祝福を受けたニールは――。お気に入りの③の部屋に居た。「ふふ。皆に祝って貰えて嬉しかったぁ」「騙されてないか心配だったけどな」「言い出したのはヨシだから大丈夫とは思ったんだよ」「で、ケーキはどこに置く?」「冷蔵庫の中」大好きなケーキもあるし、Happyだ。「冷蔵庫の中は空で良かったな。ケーキが箱ごと入った」「箱ごと? ったく、横着なんだから。そういう場合は小分けにしてよね」「なら自分でしろ」「...
雄吾をデッサンしながら、こう言っていた。「ニールとネイサン、良い雰囲気だったね」「羨ましいか?」「どっちがネコになるのかなあ?」すると雄吾は吹き出した。「きったね」「そりゃ、ニールだろ」「だよねぇ。どう考えてもニールだよね。ネイサンがネコだったら」雄吾は叫んでくる。「考えるな!」「考えられない」「他人のことは考えるな。自分のことだけ考えろ」「だよね、そうする」そこで飲物がない事に気がつく。「あ、そ...
タイマーが鳴る。タイマーとIHのスイッチを切った雄吾は盛り付けてくれている。「出来たぞ。なら、お前が逃げないように見張ってやるよ」「よろしく」「で、他に言いたそうだな」「そう?」「言えよ。聞いてやる」「母の、最期の言葉なんだ。“後悔しない生き方をして”その言葉を思い出したんだ。場所は何処でも良い。でも、できるならニューヨークで。ここは、私の人生において扉を開けてくれた場所だから」「そっか。俺にとって、...
雄吾は英語で言ってくる。『once more』なので、こっちも英語で応じてやる。『2年間で経理を育てる。育たなくても、私が居なければ自然とできるようになるだろう。彼にならできる。そう思っている。だから、私の部屋を作ってて』そう言うと、雄吾は嬉しそうな顔になった。『引っ越すかな』『どこに?』『ここの13階から上は、全室3DKさ』『眺め良いだろうな』これぐらいの日常会話なら、ブランクあっても喋れる。『ユーゴ』『ち...
「雄吾」ゆさゆさと体を揺さぶる。「ほら、起きて。雄吾、起きろ!」「んー・・・・・・、なんだよ」目を擦りながら起きてこようとする雄吾に言ってやる。「お腹空いた」「はいはい。なんかあったかなぁ・・・・・・」ベッドから降りた雄吾は裸のまま、台所でゴソゴソと探している。その背中を見て決意する。「雄吾」「待ってな。今、お、スパみっけ」スパって、スパゲティかと思うと嬉しくなる。「2年後、ここに来る」「うん」「2年間、待て...
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ニールにベッドに押し倒されると乗っかってきてキスをしてくる。「ふ」頭の中がとろけそうになるほどのキスだ。そのうち、ニールが離れていくのが分かる。「ニー」自分の肌にニールの唇が触れていく。強く吸われる時もあれば、優しく吸われる時もある。「あ・・・・・・」胸の尖りを舐められる。「ん」とても優しく舐めたり噛んでくる。こんなのは初めての経験なので、どうやってこんなテクを身に付けたのか分からなく、その思いを口にし...
1週間後、ニールは聞いてくる。「ネイサン、話がある」おそらく、この間の話だろう。1週間もあれば、こちらの気持ちも整理がついた。「ニール、この間の話か?」「うん。僕と家族になって一緒に暮らして欲しい。ネイサンを愛してる。離したくないんだ」少し間を置いて答える。「基本、私はマイペースな人間だ。自分のやりたいことしかしない。それでも良いのか?」「うん、良いよ」真剣な面持ちなんて初めて見た。だから、一生懸...
ここに住んでから5年後の、ニールの言葉。「ネイサン。一緒に暮らそう」「暮らしてるだろ?」「ネイサンは僕から離れないよね?」「ニール?」「僕は知ってるよ。学生時代からずっと僕だけを見ていたよね。アサミもヨシも僕を見てくれていたけれど、彼等は卒業したら日本に帰国した。もう、ここに来ることはないだろう。でも、ネイサンは違うよね?」その言葉には驚いた。「何を言って・・・・・・」「僕、知ってるよ」「何を・・・・・・」「...
「ネイサン、どうしたの?」その声にハッと気がつく。思わず、言っていた。「再会した頃のニールを思い出していた」ニールは笑い出す。「笑うことないだろ」「寝ているのかと思ったら、そんなことかあ」あの微笑にヤラれた自分が情けない。今では、エンジェルよりも小悪魔のほうが似合っているニールが可愛い。あの時、ヨシに聞かれた言葉で自分は考え込んでしまったが、それでも可愛いと思ったのは確かだ。「ニール」「なに?」「...
大学を卒業して再会するまでの10年間は、故郷であるバージニアへ戻っていた。このバージニアからニールの故郷は遠い。もう、お守りをしなくても良いと思うと気が楽だ。論文の発表会でニューヨークに行った時、ニールがいるだなんて思わなかった。会場で声を掛けられただけでも驚いたのに、それがニールだなんて夢にも思っていなかったからだ。誰にも覚えられていない。そういう思いはあったのに、誰かに覚えられているというのは嬉...
あの連中と再会してからのニールは昔のニールに戻っている。自分では気がついてないのだろう。布団の中で大人しく抱きしめられているニールは目がトロンとなってきている。このまま寝てくれると、こちらとしても有難い。あの頃のニールは、恋愛対象というより保護欲をそそられる対象だった。あの日本人5人にくっつくというより、アサミにくっついていた。あんなガリガリのもやし体型の人間だと頼りなさそうな気がして、いつも目は...
ニールはネイサンに聞いていた。「それはそうと、どうして分かったの?」「なにが?」「ほら、あの5人の特徴を言い当てたでしょ。どうして、そんな風に思ったのかなと思って。ね、どうして?」「そりゃ、ニールを見てたら、あの5人に目が行くだろ」「僕?」「そ、ニールを見てたら、自然と5人の」そこで区切ったネイサンは、思わず自分が何を言っているのか分かったからだ。「あ、その、ニール?」だが、ニールは学生時代の顔に...
いつもお越しいただきありがとうございます。短編ですが、前作の『社員研修は腐の宝庫』の続編になります。登場人物はニールとネイサンの2人です。~あらすじニールはアメリカにあるステイツ大学に通っていた。その時、出会ったのは日本人5人で、そのうち仲の良かったのはアサミとヨシの二人だった。それでも、その5人は色々と教えてくれたり、遊んでくれたりしていた。自分の事を深く知らない、その5人の傍を離れたくなかった...
いつもお越し頂きありがとうございます。今作の「社員研修は腐の宝庫」はいかがでしたでしょうか?主人公はダブルアサミというところで、朝巳と浅海でした。しかも、舞台はニューヨークでした。意外なところに、意外な人がいたものです。朝巳と雄吾の関係はどうなっていくのでしょうか?また、朝巳に対しての気持ちを自覚したストーカー浅海は?そのストーカー浅海に拉致られてしまった朝巳は?今までにはない「腐」が散りばめられ...
自分の部屋に戻ると鍵を閉める。ミニ冷蔵庫から缶ビールを取り出し、一口飲む。「お疲れ! ビバ、社員研修! 今度は2年後だ!!」 さぁ、2年後の社員研修はどこで何をしようかな。こういうのがあると嬉しいよな。雄吾には一人旅での腐探しはやめろと言われたが、一人旅でなければいい。というわけで、来年は水泳スタッフだけでの旅にしようかな。場所は沖縄か、いや、それとも北海道?せっかくだから、ダイビングできる場所だ...
「たっだいまー」奥から声が返ってくる。「朝巳、裏から入れって何度言わせる」「そう怒んないでよ。奥からだとナースにお土産渡せないじゃん」すかさずナース婦長が返事をする。「ありがとうございます」「みんな同じものだけど、ごめんね」「そんなことないです。嬉しいです」1人ずつに手渡し、最後に兄に渡し頬にキスをする。兄は固まってしまった。「アメリカでは、これぐらい普通だよ」ナースの1人からフォローされる。「兄...
そんな光景をストーカー淺海は見ていた。帰りの便が同じ。幸か不幸か、どちらに取れば良いのだろう。あの時――。冷ややかな目で足を撃ってきた。しかも、アキレス腱だ。歩けるようになるまで待てなかった。ピザの滞在日数にかかるからだ。でも、あの体は忘れられない。もう一度、抱きたい。触りたい。この手で、あの体を触り、食事を共にしたい。銃なんて危ない物はない場所で。アナウンスが流れてくる。包帯を巻き、松葉杖もついて...
そんなこんなで夏休みも、あと1日になってしまった。空港まで雄吾と衛は見送りに来てくれた。「それじゃ、2年後に」「雄吾、元気でね」「朝巳も」「ん」衛は社長に迫っている。「私の任期は、いつまで?」「あと10年か」衛は片目をつり上げ、まさにデビルになっている。「そんなにもあるの?」「なんなら、日本で社員研修とかはどうだ?」「いい考えかも」朝巳は、そのデビル衛に封筒を渡す。「朝巳、これは何?」「衛へのプレゼ...
ふと見ると、ネイサンは寝息を立てている。思わず呟いていた。「このベールでベッドにくくりつけてやろうか」そう思ったが、その寝顔にキスを落とすだけにする。しかし、お腹空いたなあ。途中で買った食料を取り出すとレンジに突っ込みスイッチを入れ、大好きなオニオンスープを作り1人で食べる。「むふ♪ 美味しい♪ たまには街に出るのも良いな」そんなにも時間を置かずに声がかかる。「良い匂いがする」「ネイサンも食べる?」...
さよなら、僕の初恋の人。僕は、ネイサンと一緒に生きて、ニューヨークに骨を埋める。アサミのベール姿を観る事が出来て嬉しかったよ。秀才のガリ勉だったネイサンは、君たち5人組を羨ましがっていた。僕がアサミとヨシの背中に隠れていた理由も知っていた。だからこそ、君たちが日本に帰国すると側に居てくれた。僕を色眼鏡で見ない5人は、かけがえのない存在だ。でも、ネイサンは僕のことを知っている。僕と結婚したのを、あっ...
そして、皆の祝福を受けたニールは――。お気に入りの③の部屋に居た。「ふふ。皆に祝って貰えて嬉しかったぁ」「騙されてないか心配だったけどな」「言い出したのはヨシだから大丈夫とは思ったんだよ」「で、ケーキはどこに置く?」「冷蔵庫の中」大好きなケーキもあるし、Happyだ。「冷蔵庫の中は空で良かったな。ケーキが箱ごと入った」「箱ごと? ったく、横着なんだから。そういう場合は小分けにしてよね」「なら自分でしろ」「...
雄吾をデッサンしながら、こう言っていた。「ニールとネイサン、良い雰囲気だったね」「羨ましいか?」「どっちがネコになるのかなあ?」すると雄吾は吹き出した。「きったね」「そりゃ、ニールだろ」「だよねぇ。どう考えてもニールだよね。ネイサンがネコだったら」雄吾は叫んでくる。「考えるな!」「考えられない」「他人のことは考えるな。自分のことだけ考えろ」「だよね、そうする」そこで飲物がない事に気がつく。「あ、そ...
タイマーが鳴る。タイマーとIHのスイッチを切った雄吾は盛り付けてくれている。「出来たぞ。なら、お前が逃げないように見張ってやるよ」「よろしく」「で、他に言いたそうだな」「そう?」「言えよ。聞いてやる」「母の、最期の言葉なんだ。“後悔しない生き方をして”その言葉を思い出したんだ。場所は何処でも良い。でも、できるならニューヨークで。ここは、私の人生において扉を開けてくれた場所だから」「そっか。俺にとって、...
雄吾は英語で言ってくる。『once more』なので、こっちも英語で応じてやる。『2年間で経理を育てる。育たなくても、私が居なければ自然とできるようになるだろう。彼にならできる。そう思っている。だから、私の部屋を作ってて』そう言うと、雄吾は嬉しそうな顔になった。『引っ越すかな』『どこに?』『ここの13階から上は、全室3DKさ』『眺め良いだろうな』これぐらいの日常会話なら、ブランクあっても喋れる。『ユーゴ』『ち...
「雄吾」ゆさゆさと体を揺さぶる。「ほら、起きて。雄吾、起きろ!」「んー・・・・・・、なんだよ」目を擦りながら起きてこようとする雄吾に言ってやる。「お腹空いた」「はいはい。なんかあったかなぁ・・・・・・」ベッドから降りた雄吾は裸のまま、台所でゴソゴソと探している。その背中を見て決意する。「雄吾」「待ってな。今、お、スパみっけ」スパって、スパゲティかと思うと嬉しくなる。「2年後、ここに来る」「うん」「2年間、待て...
その日の夜。店長から、ちょっと、と声を掛けられる。「なんでしょうか?」「雅君、イラストを描いたら1枚につき+1,000円ね」「なにが……」「イラストのお金。時給は上がらないが、イラスト一枚のお金。安いけど」「頂けるんですか?」「うん」「ありがとうございます」店長は嬉しそうな表情をしていたが、次は神妙な面立ちになった。「で、ここからは言葉使いについてだ。淳史から話しを聞いたのだけど、優ちゃんもそうだけど、...
泣き顔になっていた斎藤さんは顔を洗ってくると、一緒におでんの仕込みをしていく。「よく売れるのは肉と大根とじゃがいもと玉子。まず、先に玉子と大根を茹でるよ」「はい」冷蔵庫から玉子を3パックと大根を10本取り出してきた。見てると、大根は1本を4等分にし、それをまた2等分にしている。「分厚い……」「1本150円だからね、少し厚めにするの。先に大根を下茹でして、これに人参と昆布を合わせて串を刺し。そして汁に入れ...
斎藤さんは、淳史さんに言葉遣いがなってないと言うことでクドクドと説教されていた。「でも」「でもじゃない。いくら相手が知り合いだろうが、さっきのような言葉遣いはダメ! たわいのない話しならいいが、仕事の話しなら尚のこと。さっきのは自分の事を構ってくれないからと言って、駄々をこねる子どもと同じだ!」「ちが」「違うと思うなら、さっきの言葉遣いは悪かったと謝罪するんだな。私は、そんな部下なら即刻クビにする...
「び、ビックリした……」「いきなり……。優介君、どこに?」すると、テレビの向こうに人が現れた。『はい』「友兄、紅茶クッキーどうなってるの? 早く納品してよー」『その声は、優介か』「優介か、じゃないよ。なに、まだ寝てたの? あのね、いくら時差があろうと、そんなにも変わらないんだからね。寝るのがそんなに好きなの? この寝ぼすけ! 紅茶クッキー、発注したら1週間後にはこっちに着いていたのに。まだ来てないよ!...
面接を受けた3日後は、コンビニのバイト初日だ。おっとりとした店員さんではなく、初心者コースを担当してくれた人だ。「初めまして、斎藤優介です。よろしく」「雅治です。よろしくお願いします」「そういえば、正月の異種に参加してくれてたんだって? ありがとね」「はい。シュークリーム美味しかったです」「ありがと。それ作ったの、私なんだ」「そうなんだ。美味しくって、ここまで買いに来たほどで」「嬉しいなあ」それで...
「ああ、思い出した。俊平先生の連れだった人だ」「その俊平先生とは」「大学の教授ですよ。クリスマスがきっかけで、正月のチラシを渡したら、その場で申し込んでくれた」「なるほど。でも、そんな理由で応募されるのは癪に障るな。とりあえず2週間働いて貰って、その後、結果を出します。いいですか?」「はい、お願いします」先輩は文句を言ってるみたいだ。「店長、私の時は1ヶ月だったのに、どうして短いの?」「若者は飽き...
履歴書を渡すと、店長さんは黙ってしまった。「あの……」「ちょっと待ってて」大声を張り上げる。「徹君、まだいる?」「昼食タイムです!」「ちょっと、こっち来て」「はい」少し待つと、先輩はやって来た。「お待たせ致しました」「徹君、たしか、この大学だったよね?」「どの大……」俺の履歴書を渡している。「ああ、はい。そうです、この大学です」「ちょっと読んでて」「俺、私が?」「そそ」2人の会話は終わり、店長は俺の方...
いよいよ、今日はバイトの面接日だ。ドキドキしながら電車を乗り継ぐ。チリリン♪と鳴る。同時に声がかかる。「いらっしゃいませ~」「あの……、面接に来たのですが」「雅様ですね。お時間までもう少々お待ちくださいね」「はい」ドキドキする。そういえば、面接だなんて初めての事だ。なんて思ったら、チリリン♪と鳴る。「いらっしゃ、あれ、徹君どうしたの?」「お腹空いたー」「道場は?」「今日は休み」「本業は?」「はい、これ...
そこはシュークリーム屋ではなく、シュークリームの卸問屋になっている。それに、コンビニ 、喫茶バー、バイク屋もある。しかも、コンビニとバイク屋の上はアパートだ。ここに引っ越そうかな。あのマンションは1年契約だし、あと少しで更新だし、ちょうどいいと言えばちょうど良い時期なんだよね。そう思いながらコンビニに入る。「いらっしゃいませ~」元気の良い声が出迎えてくれる。お菓子売り場に足を向けると、それはあった...
自分のマンションに戻り荷物を片付けようとしていたら、ある紙袋に気がつく。これって何だっけと思い、袋を開ける。その中には色々と入っているが、ある文面で分かった。「あ、正月の、あの時」そうだよと思い出した。福袋と称して一人一袋貰ったんだ。その福袋の中には、500㎖のペットボトル2本、6個入りのミニシュークリーム、道場のパンフレットが入っている。シュークリームは賞味期限がまだ先だったので1つを口に入れる。...
就職かあ。大学行くのも、あと1教科だけだし、たしか就職の申込みは5月だったような気がする。ま、とりあえず3月末のセミナーに申込みして受けるところからしないと。あの俊平が、こんな事を言ってくるだなんて思ってもいなかった。たしかに、俺は世間知らずだ。俊平に甘えきってしまう。だからこそ、それが留年する元にもなったのだから。俺って亀のような進歩力だなあ。でも、新潟に戻ろうという気はない。ここで、東京で頑張...
あぁ、よく寝た。伸びをすると声が掛かる。「おはよ」俊平は、もう起きてたみたいだ。「おはよ、俊平」「治……」「なに? もっと寝ろって?」「いや、朝飯は昼と一緒でもいいよな?」「うん、別に良いよ」どうしたのだろうと思うと、なんと筋を違えたそうだ。「マッサージして貰ったのに?」すると、こう返ってきた。「30分程前に目が覚めてシャワー浴びていたんだ。足が滑って風呂場で転んだ。その時、筋を違えてしまって……」「そ...
徹との会話を思い出し、悟さんの言葉「耳、治った」と言う言葉も思い出す。思い出したら、そんなことかと思い立つ。「優介、聞いているのか? 今後、いっさ」まだ続くようなので遮ってやる。「ごめんなさい。悟さんも音楽家なんですね。まさか、アレが原因で動きが鈍っていたなんて他人には話しませんので、ご心配なく。でも、徹はそれに気がついてますよ」「優介、おま」また遮ってやる。「それより、悟さんの本気出したの、初め...
こちらは講師陣。反省会も終わり、あとは寝るだけだ。カズキは今にも寝そうな雰囲気だ。「つっかれたー」そんなカズキの相手をしているユウマはまだ元気一杯だ。「すぐ捕まったくせに」「最初のアレでくじかれたんだよ」「ああ、アレね。アレにはさすがの私も参ったよ」「サトルは元気一杯だし」「水分補給するほど余裕あったみたいだからな」「もう、死んだ」「はいはい、グッスリ寝て下さい」徹は荷物を手に帽子を被る。それを見...
先に温泉に入り、まったりする。「ふー……。ああ、いい気持ちだ。いい汗かいたなあ」温泉から出ると俊平からLINEが入っていた。見ると、チェックアウトするぞと入っている。「もう出るの?」なのでLINEで返す。“もう出るの? 俺、温泉入っていたのに”即答で返ってくる。“17時チェックインでツインを取っているんだ。だからシングルはチェックアウトする”おぉ、さすが俊平だ。“準備するから待ってて”と返すと、自分の部屋へ戻りチェ...
叫んでいたのは俊平だ。その最後に見せた笑顔に見覚えがあったからだ。「思い出したー! その顔、そのぎこちないクールな笑顔……。短距離のインテリバイオリン野郎か!」「やっとか。てーか、俊平先生、今頃気付いたの? 俺、クリスマスの時から気付いてたよ」「あのクール野郎が、やんちゃになったな」「ふふふん」「あの頃は“私”だったくせに、“俺”になってるし……」「あの頃は自分の殻を脱ぎたくて反抗期真っ盛りだったからね。...
カーン!!カンカンカンカン、カーン!!!!!タオルで耳元を拭き隠していたが、やはり堪える。優介、そんなに何度も叩くものではない。優介の元気な声も頭に響いてくる。「終わりでーす! モヤシを倒すことが出来て凄いですねー! そのモヤシ君、未だにノビてますよ」ユウマがカズキの上に乗っかる。「カズキ、起きろ!」「ぶ……」徹も元気だ。「お疲れ様でした。このお土産は福袋です。中身を確認しながら聞いて下さい。今日の...
優介の手からペットボトルを攫う。「え?」飲みきるが、ほとんど残ってなかった。少ないが、それでもなんとか治まった。「ちょ、ちょっと悟さん。俺の」「ご馳走様」「俺の-」「お、耳、治った」「耳?」徹がこんなことを言ってくる。「治ったって何が?」ユウマが声を掛けてくる。「サトル、なにやってるんだ」「ユウマ、一緒にやるか?」「どうしたの、サトル君。水分補給したかったのか? 余裕だねえ」「あいつらのヌルくてな...
「ふー……。生き返ったー」「大丈夫?」「もう大丈夫。終わりは優介だろ?」「うん、耳栓必要だね」「耳塞いどく。しかし、さすが師匠だね。あの音を聞いても動けるだなんて、俺には真似できないや。根っからの音楽家ではないんだな」「なんか違いあるの?」「頭はまだいいけど、耳をヤラレルとキーンとなって聞こえも悪くなり、平衡感覚もなくなるんだよ」「そうなんだ……」「全力出したくても出せないんだよな」「知らなかった。借...
開始から15分後。「へっへー、悪いねえ。本気出させて貰ったよ。おや、サトル君、なに遊んでいるんだ?」「本気だせと?」「出してやんなよ。私だって出したんだ」「それは希望があったのか?」「そうだよ。皆が“本気だしてこい”って言うから、いいのか?本当に本気出していいんだなと聞くと、“こい!”って言うからさ」「私の場合、まだ誰も言ってこないから本気出さないで欲しいと思っているのかもしれないな」「希望がなければ出...