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ユノさんとチャンミンさんが穏やかに、時に激しく愛し合うホミンホミンホブログです。鍵記事はヨジャ絡み!

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2015/10/26

1件〜100件

  • 肌色の宝物 19

    ぼくたちの新しいゲームが出来上がり、みんなでプレイしてみてバグがないことを確かめて。ヒチョリヒョンが販売を委託している会社に渡して、ぼくたちの仕事は一区切りだ。その会社の専務で次期社長のチェ・シウォンさんはぼくたちが作るゲームを気に入ってくれていて、ひとりのユーザーとして貴重な意見をくれたりする。今回も企画段階から、ユーザー目線で意見を出してくれていた。そのチェ・シウォンさんが山ほどの差し入れを持...

  • 肌色の宝物 18

    スヨンとふたりで母の日のプレゼントを選び、スヨンは自分の家用にもかわいいお皿を買った。「ふふっ、オッパがいいお店を見つけてくれてよかった。また来ますね。」「ええ、いつでもお越しください。お待ちしています。」スヨンは車で来ていて、プレゼントもひとりで実家に届けに行ってくれることになった。体験教室は旦那さんとも相談してから決めるということだった。スジョンさんは日曜日はお店を休んで工房にいるらしい。窯は...

  • 肌色の宝物 17

    その二日後、ぼくは妹のスヨンといっしょにあの陶器のお店を訪れた。正直、偶然あの人に遭遇するんじゃないかという期待と不安が頭の中でせめぎ合っていたけど。母の日が目前に迫っていることを言い訳にして、お店のドアを開けた。「いらっしゃい、、あら、シムさん。」「こんにちは、チョン先生。」「ヤダ、先生なんてやめてくださいよ。」あの人の従妹であるスジョンさんは、今日も輝くような笑顔だ。そういえばあの人の笑顔も輝...

  • 肌色の宝物 16

    「じゃあチョンさんは陶芸は初めてじゃないんですね。」一瞬ふたりともこちらを向いたけど、すぐに誰のことかわかったようで隣りの人がにっこり微笑んでくれる。「私、もうちょっと片付けするね。」先生が離れていって、ぼくと隣りの人が棚の前に残された。「おれのことは『ユノ』って呼んでください。どっちも『チョン』だからややこしいし。」「ああ、えっと、、ユノ、さん。」うわっ、恥ずかしい///当のユノさんはうれしそうに...

  • 肌色の宝物 15

    「シムさんって几帳面なんですね。」「へ?」いきなり隣りの人に話しかけられて、ぼくはマヌケな返事をしてしまった。「あら本当。とても初めてとは思えないくらいキレイですね。すごく整ってるわ。」「あ、いや、そんなことは。難しくて思うようには作れてないんですけど。」「いえ、本当にキレイですよ。それに引き換えオッパのはwwww」先生がクスクス笑い出したから、隣りの人はまた唇を尖らせてぷっと頬を膨らませる。丸文...

  • 肌色の宝物 14

    先生は棚に移動した作品の横に置いてある紙の上に小さな土の塊を乗せていく。「この部屋の窓は開けないんですけど、万が一紙が動いてしまわないように、です。」ぼくが先生の手元をじっと見ていることに気づいたのか、気になっていたことを先回りして教えてくれた。「なるほど、そういうことですね。」「えっと、シムさん?」先生はぼくの名前を書いた紙を見たんだろう。「はい。」「来週も来ていただけますか?」「はい、もちろん...

  • 肌色の宝物 13

    人生で失敗したら簡単にはやり直せない。特にぼくのような少数派の人間には・・・だからこそ臆病になり、いつだって初めの一歩を踏み出せない。「そろそろ時間ですので、仕上げてください。」先生の呼びかけに一瞬ざわついたけど、すぐにみんな集中して自分の作品の仕上げにかかった。仕上げると言っても、初めてだからどこでやめたらいいのかわからないけど。先生が「終わってください。」と言うまで器の表面を滑らかに、できるだ...

  • 肌色の宝物 12

    隣りの人は、しばらく「うわぁ」とか「ひゃあ」とか小声で言いながら土をいじっていて。ぼくは気になって仕方なくてなかなか集中できずにいたけど、少ししたら声が聞こえなくなった。横目でチラッと見ると、集中しているのか唇を尖らせて熱心に作業している。ふふっ、子どもみたい。頬が緩みそうになるのを必死でこらえて作業するうちに、隣りの人のことは頭の中で小さくなっていった。途中で何度か先生が前で次の工程を説明してく...

  • 肌色の宝物 11

    その人は、走ってきたからなのか暑くもないのに手の甲で額の汗をぬぐい。持っていたビジネスバッグを足元のカゴに入れて、椅子を引いて座る。その勢いで土を覆った布を取ろうとするから、つい声をかけてしまった。「あ、あの、」「はい?」「エプロンを先につけたほうが、、」自分のエプロンを指でつまんでそう言うと、その人はポカンとしてぼくの顔をしばらく見つめたあとハッとして、「あ、ああ、そうですね。忘れてました。」は...

  • 肌色の宝物 10

    「では、土に触れてみてください。」女性陣は、「うわぁ」とか「キャー」とか、何やら叫びながらこわごわ触っているようだ。まったく、黙ってできないものかと呆れてしまう。ぼくも触ってみて、心の中で「ひゃっ!」と叫んだ。冷たくて、しっとりしてて、まるで、、、突然後ろからバタバタと大きな足音が聞こえてきて、それがどんどん近づいてくる。「ごめん!遅くなった!」反射的に振り向いたら、飛び込んできたのは男性で。「も...

  • 肌色の宝物 9

    ぼくも含めて生徒が全員準備できたことを確かめて、先生が教壇に立つ。「改めまして、『CRYSTAL』陶芸教室にようこそ。私はこのお店の店主で陶芸をしているチョン・スジョンと申します。どうぞよろしくお願いします。」先生が自己紹介してお辞儀をしてくれて。「よろしくお願いします。」ぼくたちも異口同音に挨拶を返す。「今日は初日ですから、土を触ってもらうことから始めたいと思います。」つまり先生はその準備をしてくれて...

  • 肌色の宝物 8

    机の上にはエプロンと、こんもりした塊に濡れた布をかぶせた物が置いてある。服が汚れないようにエプロンをつけるんだろうと思って広げてみたら、思っていたのとはちょっと違う?「それはいわゆる割烹着というものです。サロンエプロンではお袖が汚れてしまいますから。」確かに長い袖がついているから服は汚れないけど・・・これって食堂の女将さんが着てるやつ、だよなww女性陣からも笑いが起こっている。「泥染めという染色法...

  • 肌色の宝物 7

    初めて入ったお店の料理に満足して、隣りの陶器のお店に戻る。注文した料理が来るまでの間に、妹たちとのグループカトクに母の日のプレゼントのことを流して。下の妹からは『任せる』と一言だけ。上の妹は送った写真を見て気に入ったようで、自分も見に行きたいと返事が来て。それならと、ぼくはしばらく休みだから来られる日を連絡して、と返しておいた。陶器のお店は外の照明が灯っていて、ドアの上にさっきは気づかなかった小さ...

  • 肌色の宝物 6

    土がついてるってことは、、「もしかしてこちらの陶器はあなたの作品なんですか?」「ええ、そうです。よろしければゆっくりご覧ください。」うっかり入ってきてしまったけど、有名な作家さんだったりするのかな。もしそうなら、ぼくには手が出ない値段がついてる可能性もあるってことか?「こちらの食器類は、普段使いしていただけるようにお手頃な価格設定にしています。」心の声が漏れてたかな。よく見ると、ディスプレイの下の...

  • 肌色の宝物 5

    えーっと、この辺りだと思うんだけどな。気になるお店の外観や看板は覚えてるんだけど、走るバスの車窓から見ていたものだから、場所ははっきり覚えていない。バスはあちらからこちらへ走ってるんだから、通りのこちら側には違いないんだけど。「あ、あった。」思わず大きな声を出してしまって、周りの人にチラ見された。うん、思ったとおり美味しそうな匂いがしているけど、だからこそお客さんでいっぱいだ。ここで少し待てば入れ...

  • 肌色の宝物 4

    ウチの会社は光化門にある韓屋をリフォームした建物だ。ゲストハウスを営んでいたのが廃業して売りに出ていたのをヒチョリヒョンが買ったらしい。個室がいっぱいあって、大きさもいろいろあるから、それぞれ仕事の仕方や個性に合わせて部屋が割り当てられている。他にも在宅で働いてる人もたくさんいるけど。ぼくは小さな個室、キュヒョンは一番大きな部屋にキャラクターデザイン部のみんなといっしょにいる。ヒチョリヒョンの部屋...

  • 肌色の宝物 3

    「終わったか。」「ええ、なんとか。」「おお、お疲れ。仕上げは若いヤツらに任せて、しばらく休んでいいぞ。」ヒチョリヒョンは満足そうにハグしてくれて、背中をぽんぽんと叩いてくれた。「あざ~す。キュヒョンは?」「それが、メインキャラクターが気に入らないって一から練り直すんだと。たぶん今夜は徹夜だろうな。」「え~~、また?!」「ああ、またまたまたまた、だww」キュヒョンはこのところ、最後まで作ったキャラク...

  • 肌色の宝物 2

    ぼくはシム・チャンミン、ゲーム機関連の会社に勤める会社員だ。大学校に入るまでは両親と同じ教師になろうと思ってたんだけど、入学式で隣り合わせたチョ・ギュヒョンと友だちになったのが運の尽きで。共通の趣味がゲームとアニメというオタク体質だったのが災い(?)して、ふたりで最高のアニメゲームを作ろう!と盛り上がってしまった。それからぼくたちは入学した当初の専攻科目は進級・卒業の必要最低限に留め、ゲームソフト...

  • 肌色の宝物

    「あっち~い。」「暑いって言うな、よけい暑くなる。」「けど暑いんだもん、仕方ないじゃん。」「仕方ないって、、ちょ、何だよその汗ぇ!マジで暑苦しいわ!」「え~、そんなこと言ったって汗かきなんだから仕方ないじゃん。」「仕方ない仕方ないっておまえ、」「あ、」「なんだよいったい!?」ぼくはたったいますれ違った人たちの中に、知ってる人がいたような気がして振り向いた。けれど、それがどの人だったのか後姿だけでは...

  • 悪魔と死神 あとがき

    はい、例によって突然『完』となりました(;^_^A アセアセ・・・今回はずいぶん短かったですね、すみません。突然降って湧いたお話だったのですが、このラストシーンが書きたかっただけなんですwww不老不死の薬の作り方を教えた悪魔の話とか、いまもなお生きているその薬を飲んだ人たちの話とか。書き始めたらめちゃくちゃ長くなりそうなので・・・まあ、次のお話へのつなぎ部分だと思っていただけたらうれしいです←おい次のお話...

  • 悪魔と死神 40

    「ユノッ?!」おれのすぐ後ろでヒチョルの声がして、「ユ、、ノ、、」目の前にはチャンミンの顔をあった。自分でも何が起こったのかわかるまでに少し時間が必要で。ああ、そうか。おれはチャンミンといっしょにヒチョルのデスサイズで切られたんだ・・・「ユノおまえ、なんてことを、、」「ごめん、ヒチョル。体が、勝手に、、動いちまった、、、」「ユ、、ノ、、ごめん、ね、、」チャンミンの体が黒い煙の塊になったと思ったら、...

  • 悪魔と死神 39

    悪魔と闘ったことがないから実際見るのは初めてだけど。悪魔の武器はそれぞれ自分に合ったものを使うらしい。チャンミンが持っているのは身長よりまだ少し長いくらいの棒で。両手を使って自分の体の前でくるりと回転させてから、小脇に抱えるように構えた。ヒチョルは両手で持ったデスサイズを最上段に構え、スッと間合いに入るとザっと振りかざす。それをチャンミンの棒が下から跳ね上げ、ガンっと鈍い音が鳴る。ヒチョルの一撃を...

  • 悪魔と死神 38

    おれはヒチョルとチャンミンのジャマにならないように、少し後ろに下がった。修道女はもう息がおかしくなっていて、目もうつろになってきている。血液が気管に入ったのか、息を吐くとボコボコと音が鳴り、吸おうとしてもゼーゼー言うばかりでうまく吸えなくなっていた。「そろそろだな。」「マジで美味しいのかな。」ヒチョルは指を鳴らし、チャンミンは舌なめずりしているのが後ろからでも見えるようだ。「先に、始めようか。」ヒ...

  • 悪魔と死神 37

    死神と悪魔の戦いは、どちらかが命を落とすまで続く。おれはチャンミンと会うまで悪魔と遭遇したことがなかったから、あのときが初めての闘いになるはずだった。だけど、どうしてもチャンミンとやり合う気にはなれなくて、チャンミンが魂を食らうのを黙って見ていたバカなおれ。おれがあのときのことを思い出して感傷的になっている間に、眼下には悲惨な光景が広がっていた。修道女は握ったはさみを自分の首に突き立て、そこからお...

  • 悪魔と死神 36

    突然、強烈な『死』の匂いを感じて修道女を見ると。いつの間に立ち上がったのか、医療用具が入れてあるキャビネットの前にいて。その手にははさみが握られていた。「あ、」反射的に止めなきゃと思ってしまったけど、死神であるおれが人の生き死にに関与できるはずもなく。「突発的だな。」やはり『死』の匂いをかぎ取ったのか、デスサイズを携えたヒチョルがとなりに現れてつぶやいた。「それだけショックが大きかったんだな。」「...

  • ご挨拶

    5月になりました‼️その前に4月27日、東方神起日本デビュー17周年記念日に来てくれましたね(♡>艸ω...

  • 悪魔と死神 35

    室内がずいぶん様変わりしている。ベッドは並んでいるけど、研究室のようだった場所がすっかり片付けられて。あのときはいた、白衣を着た人たちがいなくなっている。「病院みたい。」チャンミンもおれと同じことを思ったようだ。まあ、修道院長はここのことを『医務室』と言っていたから、本来の形に戻っただけなのか。けど、修道女は大きなショックを受けたようで、しばらく固まったように突っ立っていたけど。突然両手で顔を覆っ...

  • 悪魔と死神 34

    ヒチョルは修道院長を見張り、おれとチャンミンは修道女を見張っていた。修道女はベッドに腰かけたまま、脱力した姿勢でどこを見るともなくぼんやりしていたけど。突然ハッとして立ち上がり、走り出そうとして立ち止まる。いまが真夜中だということを思い出したのか、息を整えてから音を立てないようにそっとドアを開けた。「こんな時間にどこへ行くんだろうね。」「さあ、外出、ではなさそうだけど。」修道女は足音を忍ばせ周囲に...

  • 悪魔と死神 33

    チャンミンは人の心が読めると言った。たぶんおれの心も読めるんだろう。つまりそれはおれの気持ちを知ってるってことで。それでも離れたいと思ってるんだったら。おれのことを好きじゃないってことで。思わせぶりな態度を取ったのは、チャンミンが悪魔だから。ただ、それだけのことだったのか・・・「おーい、ユノ~」「え?」「何ぼんやりしてんだ?」「あ、ごめん。」「それでこれからのことなんだけど、例のふたりには別の監視...

  • 悪魔と死神 32

    「指示した人のためって言いながら、実際は自分を褒めてもらうために必死になってる。」「へえ、チャンミンって人の心がわかるのか?」「まあね、悪魔なら誰でもできることだけど。」へえ~、そうなんだ・・・へ?ってことは、、「チャンミンまさか、おれのっ」『おーい、部屋で待ってるぞ。』ヒチョルの声が頭の中に響いて、おれの疑問は吹き飛ばされた。「あの修道士と大司教、やっぱり怪しい。」ふっいつもの椅子に座ったチャン...

  • 悪魔と死神 31

    「ねえお願い、どうしてもこの薬を完成させたいの。完成させることができたら、すぐにでも私を殺していいから。」『悪魔は人間を殺さない。おまえが死ぬのを待つだけだ。』「そんな、、、どうしたらいいの。このままじゃ私は、、あのか」あの、か???あの、、、方?!『おまえは子どもたちを救うために薬を作っているんじゃなかったのか?』「え?あ、ああ、そうよ。子どもたちを救うために」『そうか、まあいい。だがこれ以上何...

  • 悪魔と死神 30

    窓の外はすっかり暗くなり、周りのざわめきも静まったころ、修道女がつと顔を上げた。「そこに、、いるんでしょ?」部屋の中を見回し、顔を上げて天井付近を見回す。どうやらチャンミンを探しているようだ。『何の用だ。』おれのとなりに浮いているチャンミンが悪魔仕様の恐ろし気な声を出す。普段おれとしゃべってるときはもっときれいな声なんだけどな。「お願い、私はどうしてもあの薬を作り出さなきゃいけないの。」『だから?...

  • 悪魔と死神 29

    おれは少し考えて、修道女を見張ることにした。修道女の部屋はチャンミンの部屋よりはかなり広いけど、家具などが少なく殺風景なのは変わりがない。修道女は部屋に入るとすぐに、チャンミンのと似たようなベッドにどさりと音をさせて落ちるように座った。両手で顔を覆い、うつむいて肩を震わせて。ときどき漏れる嗚咽で彼女が泣いているとわかる。彼女はいったい何を泣いているんだろう。治験に失敗して子どもたちが亡くなったこと...

  • 悪魔と死神 28

    修道院長はいったん置いた受話器をもう一度持ち上げ、誰かに部屋にくるよう伝えて。しばらくして遠慮がちなノックのあと扉が開いて、あの修道女が入ってきた。もちろんチャンミンもいっしょで、おれのとなりに並ぶ。「たったいま大司教様からお電話をいただきました。あなたをしばらく休ませるようにって。」「大司教様から?」「ええ。修道士さまがあなたのことをとても心配してくださって、大司教様に進言してくださったそうです...

  • 悪魔と死神 27

    「なんか意味ありげな会話だったな。」「あんた、誰でも怪しく見えるんじゃないの?」「バカ野郎、おれの勘は外れたことがないんだ。」そうだったっけ?「ともかくおれはあの修道士をマークしてみる。おまえたちはここであの修道女と修道院長を見張ってろ。」「わかった。」「はいはい。」ヒチョルはチャンミンをひと睨みしてから修道士の跡を追って飛んでいった。おれたちは寸の間目を見交わして、チャンミンが修道女を見張り、お...

  • 悪魔と死神 26

    修道院長との話を済ませ、若き修道士は席を立つ。修道士の背中を見送る修道院長が見るからにホッとしているのが気に入らないけど。「なんか怪しくないか?」「あのおばあさん?」「ばあさんって修道院長だろうがよ。」「ぼくは『ばあさん』なんて言ってない!おばあさんって言ったんだ!」このふたりはよっぽど相性が悪いんだろうか。それにどちらが悪魔なのかわからなくなるときがある。まだ言い合いしているふたりを残してひとり...

  • 悪魔と死神 25

    それから数日後、チャンミンが上級教会とやらから誰かが来ると耳にしてきて。ヒチョルにもそのことを伝え、3人で待ち構えていると、ひとりの修道士がやってきた。年は30代半ばくらいだろうか。「ひとりってめずらしいな。」「そうなのか?」「いつも何人かで来るんだって。」チャンミンのつぶやきにヒチョルが反応するから俺が答えた。「ふーん。」来訪者は修道院長の部屋でお茶を飲みながら、挨拶と少し世間話をして。「で、今日...

  • 悪魔と死神 24

    おれたちが考えたことを戻ってきたヒチョルに話した。「なるほどな、教会のもっと上の地位にいるヤツか。それはあるかもな。」ヒチョルはニヤリとして手のひらであごを撫でる。「で、そっちは何か新しい情報はないの?」ヒチョルは直接問いかけたチャンミンを寸の間不機嫌そうに眺めたけど、ふっと肩をすくめていつもの雰囲気に戻った。「以前呼び出された悪魔たちが呼び出した人間を探したけど、うまくいかないらしい。」「見つか...

  • 悪魔と死神 23

    そそのかした、または指示した相手がもしも修道院の中にいるとしたら、例の修道女よりも上の地位にいるに違いない。「あいつの上っていったらひとりしかいないけど、あのおばあちゃんが不老不死だとは思えないよ。」「あー、そうか。けどさ、不老不死の薬って別に若返るわけじゃないんだろ?あの年齢のときに飲んだとしたら、」「まあ理屈はそうだけど、あんなおばあちゃんになってるのに飲もうと思うかな。それにあの人、本当に敬...

  • 悪魔と死神 22

    おれたちが張り付いてから、修道女は怪しい動きをしていない。地下室のあの部屋には毎晩行ってるけど、いまは子どもたちはいなくて、白衣を着た研究者っぽい人たちが何やら作業をしている。きっとチャンミンの髪の毛と爪を分析してるんだろう。「あんなことしても何もわからないと思うんだけどな。」「おれもそう思う。」悪魔も死神も人間とは違う。細胞だか遺伝子だかの情報を調べたところで、不老不死の謎が解けるとは思えない。...

  • 悪魔と死神 21

    「なあチャンミン、」「うん?」夜中にこっそり動くこともあるかもしれないと寝ている修道女をふたりして見張っているけど、退屈で仕方ない。人間にはおれたちの姿は見えないし声も聞こえないから、しゃべって時間をつぶした。「その不老不死の薬の作り方を教えた悪魔の話って、チャンミンは知ってるんだよな?」「うん。魔界では知らないヤツはいないくらい有名な話なんだけど、実話だとは思わなかった。」「ふーん。それで、その...

  • 悪魔と死神 20

    それから毎日おれたちは交代で例の修道女を見張った。昼間、チャンミンには寺男としての仕事があるからおれが。夜はふたりで張り付く。一度だけ彼女がチャンミンを呼び、髪の毛と爪を切られたんだけど。そのあと手に持ったはさみで顔を傷つけられた。おれも空中から見ていたからすぐに飛んで降りたけど、当然チャンミンの反応のほうが早くて。チャンミンは修道女の手首をつかんでひねり上げる。「悪魔に切りつけるなんて勇気がある...

  • 悪魔と死神 19

    「ユノ、、」ヒチョルが飛び去ってから、チャンミンがベッドのおれのとなりに腰を下ろす。「なんで言ってくれなかったの?」「もう終わったことだから。それにああするって決めたのはおれ自身だし。チャンミンのせいじゃないよ。」おれは本気でそう思ってるんだけど、チャンミンは納得できないようで。「もしかしてぼくが悪魔だから?悪魔だから本当のことを話してくれなかったの?」「そんなんじゃない。おれはチャンミンが悪魔だ...

  • 悪魔と死神 18

    結局のところ、これといっていい方法があるわけじゃなく。先ずはいままで不老不死の薬の製法を訊くために悪魔を召還した人間を探し出し、その周りにいるヤツを探ることしかできない。おれたち死神は仕事があるからあまり自由が利かないし、とりあえず、そういう人間に遭遇したことのある悪魔が動くことになった。チャンミンはもちろんあの修道女の周りを探ることになり、おれもそれに同行する。ヒチョルはこの件で動いている死神と...

  • 悪魔と死神 17

    「じゃあ、ぼくの契約者をそそのかしたヤツを探し出すってこと?」「そうだ。」「神様は何でもお見通しなのに、そいつが誰だかはわからないの?」チャンミンは悪魔らしい悪い笑みを浮かべて挑戦的なセリフを吐く。おれはそれを見てズクンと胸が高鳴ってしまって。「おいユノ、俺たちの神様がバカにされてるってのに、なんて顔してんだよ。」「え?」自分の顔を撫でまわしてみてもどんな顔をしているのかわからなくて。「まあいい。...

  • 悪魔と死神 16

    「けど、その話がいまの状況に繋がるとは思えないけど。」「まあな。ここからは魔王様の考えなんだけど、薬の効果が切れてきてるんじゃないかって。」「切れてきてる?ってことは、、」「不老不死じゃなくなるってこと?」「そうなるな。」ヒチョルに向けていた目をチャンミンに向けると、チャンミンは何か考えているようで、自分の下唇を指でつまんでいる。その仕草、好きだったな。いや、おれはいまも・・・「それってつまり、ぼ...

  • 悪魔と死神 15

    「昔、人間に不老不死の薬の作り方を教えた悪魔がいたことを知ってるか?」へ?ホントにあったのか?「聞いたことはある。錬金術ってやつが盛んだった時代に、錬金術師たちが乗った船で全員の頭の中に作り方を少しずつ分けて教えたって。」「それはみんなで力を合わせて薬を作れってこと?」「ふふっ、ユノはやっぱり優しいね。けど、悪魔はそんな優しくないよ。」「じゃあ、、」「殺し合いさせたのさ、最後のひとりにならないと薬...

  • 悪魔と死神 14

    「どうしよう、ぼく魔王様に殺されるかも・・・」チャンミンはマジで怖いのか顔色が悪くなっている。だけどヒチョルはのんびりしたもので、「あー、大丈夫だと思うぞ。おまえさんだけじゃなくて他にも何人か同じような契約を持ち掛けられたのがいたみたいだから。」と教えてくれたけど。「「え?」」これにはおれもびっくりしてしまって、チャンミンとふたり顔を見合わせた。「不老不死の薬を欲しがる人が他にもいたってことなのか...

  • 悪魔と死神 13

    「実は以前から寿命を全うせずに亡くなる人間が増えてることが問題にはなってたんだが、」「それって自死が増えてるとかじゃなくて?」おれの実感を投げかけてみた。「確かに最近増えてるけど、それじゃないんだ。」「ぼくたちが関係してるとかでもなく?」チャンミンも自分の立場から問いかける。「その場合は魔界から報告が来るからな。昔と違って天界と魔界の連絡は密に取るようになってる。」「へえ、そうなんだ。」「なんだ、...

  • 悪魔と死神 12

    チャンミンはこの修道院で、いわゆる寺男(てらおとこ)的な仕事をしているらしい。人間からは小柄で小太りの老人に見えていると。そりゃこんなイケメンが修道院にいたら目の毒だよな。夜中に連れていかれたチャンミンは、子どもたちの亡骸をあの部屋から聖堂に移す作業をさせられたらしい。あの部屋は地下室で、エレベーターもなく狭い階段をひとりひとり抱き上げて運んだそうだ。悪魔は体力も身体能力も人間よりはるかにあるけど...

  • 悪魔と死神 11

    チャンミンが戻ってきたのは夜が明けてからだった。待っている間にヒチョルから、おれの受け持ち区域に別の死神が補充されたことと、、ちょっとおおごとになるかもっていう連絡がきた。チャンミンにそのことを話すと、顔をしかめて「え~、めんどうだなあ~」と言ったあと、ハッとして「おおごとってまさか、魔王様も巻き込むってこと?!」「さあ、そこまでは言ってなかったけど。」言いながら、そういうこともあるのかと思い、「...

  • 悪魔と死神 10

    チャンミンの周りの空気が震えて、「はい。」寝ていた風を装った声で返事して、ゆっくりとドアを開けに行った。ドアの外には焦った様子の修道女が立っていて、「大変なの、すぐに来て!」と叫ぶように言ってどこかへ走っていった。おれには人間の服を着たチャンミンにしか見えないけど、さっきの修道女には違う形に見えているんだろう。「ごめん、ちょっと行っていい?」「ああ。逃げないだろ?」「逃げないよ。あんたといっしょに...

  • 悪魔と死神 9

    「「あ、ごめん!」」ふたり同時に謝ったことにふたりとも驚いて顔を見合わせ、、寸の間見つめ合ってからつと目を逸らせた。なんとなく気まずくて何を言っていいのかわからない。「ごめん、懐かしくてつい触っちゃって。」チャンミンから先に改めて謝ってきて、「あ、いや、そういう、つまりその、触られるのがイヤとかじゃなくて」言い訳しようと思うけど、ヒチョルの声が聞こえたから、なんて言うわけにはいかず。「あのあと、大...

  • 悪魔と死神 8

    おれは正直複雑な心境だった。しばらくチャンミンを監視するってことは、ずっといっしょにいるということで。そのこと自体はうれしいんだけど、でもな、、、「悪いな、そういうわけだからしばらくくっついてるぞ。」「別に悪くはないけど、、」チャンミンもなんとなく居心地悪そうに見えるのは気のせいではないだろう。以前、おれとチャンミンは互いに惹かれ合っていた。それはもう理屈じゃなく、人間で言えば魂が惹かれ合ったんだ...

  • 悪魔と死神 7

    人間にとって、死神も悪魔も似たようなモノかもしれないけど。おれたちはまったく違うモノだ。先ず、所属が違う。悪魔は魔界、おれたち死神は天界。つまりおれたちはあの天使と同じ所属になる。生き物の生死をつかさどる神様が統べるのが天界で、生が天使、死が死神、というだけなんだけど。なんで天使は愛されて、死神は嫌われるのかわからない。おれたちが仕事しなければ魂は転生できないっていうのにな。悪魔が所属している魔界...

  • 悪魔と死神 6

    「けど、それで薬ができると思ったんだろうな。」「たぶんね。だから人体実験までしたんだろうけど。」「で、失敗したわけか。」なんだか気分が落ち込んできた。「けどよ、これって由々しき問題だよな、俺たち天界人にとって。」「っていうか神様にとって、だろ?」ヒチョルとおれは顔を見合わせてから、チャンミンを見る。「へ?」チャンミンは自分を指さして小首を傾げ、「ぼく?」ときょとんとしているけど。「そりゃおまえ、お...

  • ご挨拶

    四月になりました!!昨年末から、チャンミンさんのソロミニアルバム・ユノさんのソロミニアルバム・東方神起のミニアルバムときて、やっと『Bigeast FANCLUB EVENT 2022 TOHOSHINKI The GARDEN ~TOURS~』のお知らせが来ました!!!5月7日幕張メッセを皮切りに、真駒内・ぴあアリーナ(横浜)・大阪城ホール・マリンメッセ福岡・Aichi Sky Expoと、6会場23回公演が行われます。ライブはミニアルバムの楽曲からになるのかな?...

  • 悪魔と死神 5

    「で?いったいどんな契約をしたんだ?」部屋の中を見回しながらあれこれ考えていて、ヒチョルの声で我に返った。「それは守秘義務ってやつで、」一瞬でヒチョルの纏う空気が色を変えて。「てめえ、ふざけんなよ。」ヒチョルにすごまれたチャンミンは困ったような顔をして降参したとでも言うように肩をすくめる。「不老不死の薬を作りたいんだってさ。」「はあ?不老不死だぁ?ったく、たかが人間のくせに何考えてんだ。」「自分の...

  • 悪魔と死神 4

    ベッドに寝かされていた子どもたちは全員が息絶えたのに、周りの大人たちはまだ右往左往して蘇生させようとしている。その中でひとり、天井を仰ぎ何かを探すように視線をさまよわせている人がいた。ヒチョルがまとめた魂と記憶を天に送りに行ってる間、チャンミンとふたり宙に浮かんで下の様子を眺めている。「もしかしてアレが契約主か。」「ああ、そうだよ。」「どうして?なんでダメだったの?そこにいるんでしょ?」「おい、呼...

  • 悪魔と死神 3

    おれたちはそれぞれの受け持ちに対して静かに仕事をこなしていった。デスサイズの柄で対象者の記憶を巻き取り、鎌で肉体と魂を切り離す。といっても全部子どもだし、どうやら眠らされていた期間があったようで、記憶の巻き取りはあっけなく済んだ。魂の切り離しも、、子どもだからか、たぶん10歳前後くらいだろうが、生への執着がまるで感じられなかった。死を迎える人間たちの中には、やたら抵抗して逃げようとする人もいる。だい...

  • 悪魔と死神 2

    『おい、そろそろ始まるぞ!』ヒチョリヒョンの声が大きく響いて我に返った。おれにとっては大きな声だけど、おれたち以外には聞こえない。「悪い、行くわ。」「待って、ぼくも行く!」さっきは人間の服を着ていたけど、瞬時に悪魔装束?になったチャンミンがとなりに立っていた。「おまえの契約者はだいじょぶなんだろ?」「何も感じないから大丈夫だと思うけど、念のために行くよ。」おれとチャンミンはいわば商売敵だからいっし...

  • 悪魔と死神

    おれはふわりと宙に浮かんで、今日の仕事場になる建物を眺める。都会を離れた田舎町の、森を切り開いたような広い敷地内に点在する建物。通りに一番近いところには一目でカトリックの教会とわかるとんがった屋根が見える。「修道院でいったい何があるって言うんだ?」ざっと見たところで、いまのところどこにも異常の兆しはない。どこかに何かないかと眺めていたら、なぜか心惹かれる場所で目が留まった。「うん?まさか、、」迷わ...

  • ストロベリーナイト 23

    途中からウトウトしながら聞いていたと思うけど、睡眠学習よろしく内容はちゃんと覚えている、と思う。シウォンさんが『仲間』と呼ぶ人たちの半分以上が同じ大学校の卒業生だということ。そこは財閥系の学校で、財閥を含む財界人の子どもが多く通っていたこと。入学早々、構内でシウォンさんに声をかけられ、濃い顔が好みじゃなかったから誘いを断ったのに、その後もしつこく追い掛け回されたこと。そのせいで一時期学校に行けなく...

  • ストロベリーナイト 22

    「横になるといいよ。」みんな、特にさっきおれに酒を注ぎに来ていた人たちはまだ盛り上がっていたけど、気分が悪くなったと言って抜けさせてもらった。もちろんチャンミンもいっしょだったからブーイングの声が追いかけてきたけど。みんなをなだめるシウォンさんの声が、閉まるエレベーターの扉の隙間から聞こえた。ここに泊まるときは毎晩チャンミンがいっしょだから、部屋をアップグレードしてもらってベッドが広くなっている。...

  • ストロベリーナイト 21

    テーブル席はいっぱいだったから、チャンミンとふたりでカウンター席に座った。「ユノ、大丈夫?飲まなくてもよかったのに。」おれの歓迎会だと言ってシャンパンを差し出されたら飲まないわけにはいかない。酒に弱いおれでも、シャンパン一杯くらいだいじょぶだと思っていたのにメンバーが何人か酒を注ぎに来て。チャンミンがおれは酒が弱いからと言っても聞いてくれず、見かねたのかシウォンさんが止めてくれるまで続いた。その人...

  • ストロベリーナイト 20

    それからシウォンさんがスカイラウンジに集まっている『仲間』におれを紹介してくれた。と言っても、名前とチャンミンのパートナーということだけ。それだけしか必要としない『仲間』ということだろう。全員が同伴者を連れていて、当然男ばかり。中には、トランスこそしていないものの性自認は違うかもしれない人もいて。おれは行ったことがないけど、いわゆるハッテン場ってこんな感じなのかなと思った。全部で30人くらいいたから...

  • ストロベリーナイト 19

    「おまえさんみたいに節操のない男に厳しいだけさ。」ふいに斜め後ろから声がして、おれの肩に腕が回される。さっきまでカウンターの向こう側にいたはずの美しい人が、おれのとなりでニヤリと笑んで見せた。「節操がないなんて失礼だな。いまは愛する人一筋ですよ。ねえキュヒョナ?」シウォンさんはそう言いながら、テーブルのとなりの席でおれたちを見上げて会話を聞いていた人の肩に手を置いた。「ふん、どうだか。」その手を払...

  • ストロベリーナイト 18

    「チャンミン。」チャンミンが先に立って歩き出そうとするのを呼び止めて。おれの意思が伝わるように、少し上目に手を差し出す。チャンミンは一瞬目を見張ったけど、少し照れたように笑み、首を傾げてから、差し出したおれの手を取る。「恋人同士だから、ね。」「うん、そうだね。」バーには、おれが思っていたよりたくさんの人がいて。「ああ、ユノさん。来てくれたんですね。」カウンターではなく、テーブル席にいたチェ・シウォ...

  • ストロベリーナイト 17

    おれの晩飯は、チャンミンが厨房に頼んで弁当を作ってくれた。それを持って部屋に戻り、ひとりで弁当を食べる。いまごろチェ・シウォンさんはレストランで〇十万もするワインを飲みながら、ごちそうを食べてるんだろうな。いや、この弁当だってめちゃくちゃ美味いけど。たとえいっしょに食べられなくても、同じレストランの中にチャンミンがいて、視線を感じられたり気配を感じられるだけでもしあわせなのに。ごちそうさまをして、...

  • ストロベリーナイト 16

    「シウォンさんがユノの取り引き先の代表だったなんてね。」全部話したら、なんとかチャンミンの怒りは解けたようだ。「なあ、あの人ってどんな人なんだ?」「うーん、いい人、なんだと思う。思うけど、なんていうか、ぼくたちとはちょっと人種が違うかな。」「人種?」「あの人は本物の財閥の御曹司だからね、ぼくたちみたいな中途半端な経営者とは違うんだ。」中途半端な経営者か、、チャンミンたちの家もウチなんかよりは金持ち...

  • ストロベリーナイト 15

    厨房から出てきたチャンミンの手にはさっきとは違う瓶があった。「こっち。」さっき歩いてきた方向とは反対方向の突き当りのエレベーターに乗って、チャンミンが最上階のボタンを押す。客用のとは違ってゆっくり上がる小さな箱の中、チャンミンがほーっと息を吐いた。「で、なんでユノが誘われるようなことになったの?」へ?なんでそんな低い声?それに体中から怒りのオーラが出てないか?「えっと、それはその」おれが説明しよう...

  • ストロベリーナイト 14

    チャンミンが固まっていたのはほんの少しの時間で、「ごめんユノ、悪いんだけど手伝ってくれる?話は歩きながら聞くから。」チャンミンはそう言うと、おれがさっき床に落としたビジネスバッグを拾い上げ、小部屋の奥にある扉を開いて中に入る。おれたちがいた部屋はどうやら休憩室のようなところだったみたいで、奥のドアの向こうはロッカールームになっていた。チャンミンは上着の内ポケットからキーケースを取り出して、慣れた手...

  • ストロベリーナイト 13

    スタッフエリアの小部屋はあっという間に甘い空気で満たされて、、、「ゆの、、」「ちゃんみん、、」見つめ合った後、どちらからともなく顔を近づけて・・・『チャンミン!どこにいる!?』本来なら周りにいる人には聞こえないはずの、チャンミンの耳に装着されたイヤホンから漏れてきた怒声にふたりとも固まった。美しいお兄さんがすぐそばにいて怒鳴られたような気分だ。忌々し気にチッと舌打ちしたチャンミンが、マイクのスイッ...

  • ストロベリーナイト 12

    駐車場から走って走ってフロントの前を通り過ぎてレストランへ直行した。連泊だからフロントで手続きする必要はないけど、お兄さんに挨拶もせず走り抜けたことを怒っていないだろうか。チャンミンはレストランの入り口の受け付けのところで何か書類に目を通していたけど、たぶんおれの足音を聞いて、顔を上げた。「おかえりな」「ごめんチャンミン、話がある。」チャンミンはめちゃくちゃうれしそうな笑顔を顔に張り付けたまま固ま...

  • ストロベリーナイト 11

    おれが考え事をしていて黙っているのをどうとったのかわからないけど、「いきなりいろいろ言われても困りますよね。でも僕たちは真剣なんです。」若社長はひとりで熱く語っている。「これからもずっとお付き合いいただきたいから今日のところはムリにとは言いませんが、」今日のところは、ってことは会うたびにしつこく誘われるってことか。「もしも気が向いたら、ここに来てください。」立って行ってデスクの引き出しから小さな四...

  • ストロベリーナイト 10

    「そこは、ものすごく美しい兄弟が経営してましてね、」お?「ゲイカップルの宿泊を嫌がるホテルが多いのに、そこは歓迎してくれるんですよ。」おお?「そのふたりもぼくと同じで親から見放されてましてね、」おおお?「手切れ金代わりにもらったホテルをふたりで守ってるんですが、」おおおお?「ちょうどいいからそこを僕たちの事務所代わりにして、何かあるとそこに集まるんですよ。」おおおおお?「あの、、ユノさん、どうかし...

  • ストロベリーナイト 9

    「だけど、僕は父には感謝していますよ。見放してくれたおかげで僕は僕として生きられますから。」自分が自分として生きられる、か。「あなたはいかがですか?」おれは、、「家族はまだ、知りません。」大学生になって以来就職してからも、実家を離れてソウルにいた間は自由に過ごせた。同性の恋人もいて・・・だけど父さんが病気になってからはそれどころじゃなかったってこともあるけど。チャンミンと出会って久しぶりに生きてる...

  • ストロベリーナイト 8

    「国を変えるって、、」おれは絶対、めちゃくちゃ間抜けな顔をしていると思う。「ああすみません、言い方がオーバーでしたね。別に政治団体を作ろうっていうわけじゃありません。ただ、少しでも僕たちが生きやすい状況を作っていこうと思っているだけです。」それだけでも結構大きなことだと思うぞ。「すでに何人か、同じ志を持つ人が集まっています。そこにあなたも参加していただけませんか?」「急にそんなこと言われても、」表...

  • ストロベリーナイト 7

    「そんな怖い顔、しないでくださいよ。僕はただ、美しい人が好きなだけなんです。」「美しい人って、、」「あなたの『とても大切なご友人』はきっとものすごく美しいに違いないから、一度だけでもお目にかかりたいと思いまして。」こいつはいったい何がしたいんだ?「申し訳ありませんが、あなたにおれの大切な人を紹介する気はありません。」「ふふふ、あなたの『大切なご友人』は『大切な人』でしたか。やはりあなたは『こちら側...

  • ストロベリーナイト 6

    なんとか契約書にサインと印鑑をもらってホッとして、すぐに帰り支度を始めたおれのとなりに若社長が移動してきた。思わず体が拒否反応を起こしてのけぞってしまう。「さあ今日こそディナーをごいっしょしていただきますよ、チョン、いえ、ユノさん?」許可も得ずに名前で呼ぶとは、取引先の社長じゃなきゃぶん殴ってるところだ。「あなたとは年齢も同じくらいだし、親の跡を継いで会社を経営しているという共通点もありますから、...

  • ストロベリーナイト 5

    「やあ、チョン・ユンホ代表さん、お久しぶりですね。会いたかったですよ。」「いつもお世話になっております、チェ・シウォン代表さん。」大の男が恋人でもない男に向かって『会いたかった』とはあまり言わないと思うけど。この人はそういうセリフをサラッと言ってのける人のようだ。商談のあらましはこの会社の担当者と練ってある。あとはこの代表のサインと印鑑をもらうだけなんだけど。本来ならこんな大きな会社の代表はウチみ...

  • ストロベリーナイト 4

    「いってらっしゃいませ、チョン様。」言葉も態度もホテルマンだけど、表情のあちこちにおれのカレシ感が漂うチャンミンに見送られて仕事に向かう。早朝おれの腕の中から抜け出したチャンミンは、ホテルのバックヤードにあるというお兄さんといっしょの部屋に戻り。身支度を整えて、いまはフロント業務に就いている。朝食はいつもレストランの厨房で立ったまま食べると言っていたけど、今朝はちゃんと食べられたんだろうか。甘い夜...

  • ストロベリーナイト 3

    その夜は久しぶり、といっても前々週の水曜日に愛し合ったからえっと、、日数を数えているうちに何も考えられなくなる。「ゆの、ゆの、ゆの~っ」昂って舌足らずの発音でおれの名を呼ぶチャンミンに呼応するおれのオレ。ああ、この瞬間がたまらない。生まれてきてよかったって心底思える。「ちゃんみん、、」「ん、、」事後のこの気怠い時間もチャンミンとだからこそ価値がある。「今年の誕生日は、おれにとって特別な日になった。...

  • ストロベリーナイト 2

    以前はソウルにいるのはなんだか落ち着かなくて、できるだけ早く光州に帰りたかった。だから早朝に家を出てソウルで一泊して。翌日夕方まで仕事をしたら車を飛ばして帰る、っていう一泊二日の強行軍で出張していた。だけどチャンミンと知り合ってからは少しでも長くいっしょにいたくて。前日の夜にはソウルに来て、チャンミンと夜を過ごし。いままでより一件に割く時間を長くして、新規開拓もがんばって。二日だったのを三日にして...

  • ストロベリーナイト

    ソウルに出張するときはいつも泊まっていたホテルがリフォーム中で、急遽探したホテルの最上階。そこにあるバーで出会ったおれの天使、チャンミンのおかげでソウル出張が楽しくなった。普段は離れ離れでも、いまはテレビ電話的な通話ができるから毎日のように顔を見て話ができる。だけど、、やっぱり大好きな人の体温を感じたくて、最近はソウル出張の頻度が増している。『じゃあ、次は6日ね?』「うん、朝母さんのワカメスープを...

  • ナイトラブ 17

    「お兄さんはおれのこと、」「あ、それは大丈夫ですよ。ちゃんと認めてくれてます。だってぼくがいいって思ったんだから。」えーっと、心配してると誤解させたみたいだけど、今朝のことはまだ聞いてないのかな。「実は今朝フロントでお兄さんとお会いしたんです。」「え?兄と?あ、今朝はフロントだったのか。」「それで、『弟のことよろしくな。』って言ってくれて。」「え?兄がそんなことを?」「おれ、すごくうれしくて大きな...

  • ナイトラブ 16

    「ホテルは男性カップルの宿泊を喜びません。そういう、いわゆるラブホテルといわれるところもそうなんです。まあ、男女のカップルでもマナーの悪い人たちはいますけど。」あー、どうしてだかはなんとなくわかる。「汚し方が違うんですよね。」「そうなんです。アレはシーツだけなら洗濯できれいになりますけど、マットレスまで汚れるとシミになってしまって。それにその、、」「別の汚れは落ちないですか。」「残念ながら。シーツ...

  • ナイトラブ 15

    昨夜のことを思い出せば、初めてってことはないだろうけど。できるだけ優しく怖がらせないようにチャンミンさんを解していく。事前準備は念入りに施したらしく、顔を近づけるととてもいい香りがした。ソコは最初から柔らかく、それほど時間をかける必要はなさそうだ。ゴムをつけ、ジェルをまとわせ、十分に広げて……「あ、、」おれにしがみつくチャンミンさんはもう震えていなかった。眉根を寄せたせつない顔が、半分開いた唇の間か...

  • ナイトラブ 14

    「あの、すみませんぼく、」「あ、謝らないでください。大丈夫です。汚したらダメですもんね。」「あ、ありがとうございます。それと、、ゴム、」「もちろん使いますよ、大丈夫です。」「はい、ありがとう。じゃあさっそく」自分で服を脱ぎ始めるチャンミンさん。「あ、ちょっと待って。」おれはチャンミンさんの手首を掴んで動きを止めた。「え?えっと、話が先、ですか?」またチャンミンさんの眉尻が下がって情けない顔になる。...

  • ナイトラブ 13

    繁華街からは遠く、ビジネス街からも少し離れた場所だけど、まだ夜早いから表通りは車が多い。窓の遮光カーテンをしっかり閉めて、部屋の灯りも少し暗くした。約束の9時ちょうどにドアを小さくノックする音が聞こえて。すぐにドアを開けるとチャンミンさんが立っていた。「こんばんは。」にっこり笑うチャンミンさんの手には一泊できるくらいのバッグがぶら下がっていた。必要なものは全部持ってくる。そう言ってはいたけど、いっ...

  • ナイトラブ 12

    得意先を約束通りに訪問し、リモート会議などでまとめた契約のサインをもらう。最後の会社で少しトラブルがあって予定より遅くなってしまったけど、すぐに帰るんじゃなくて今夜も泊まるから気が楽だった。車に戻って携帯を見たらチャンミンさんからカトクが入っていて。『急にレストランの仕事が入りました。9時に伺えると思います。夕食は済ませておいてくださいね。』時刻を確認すると5時を過ぎていたから、きっと仕事中だろう...

  • ナイトラブ 11

    あれからすぐに携帯の連絡先にチャンミンさんの電話番号を登録して。カトクアプリでID検索をかけると、ちゃんと『シム・チャンミン』と出た。トークルームに招待して、「チョン・ユンホです。」と送るとすぐに既読がついて。『明日戻られたら連絡くださいね。』と送られてきた。『はい。』と送ってから、短すぎたかなと思ったけど次の言葉が難しい。楽しみにしています。はあまりに露骨だし。がんばります!はもっと露骨だ。考え過...

  • ナイトラブ 10

    「では、失礼いたします。」「は、はい。」礼儀正しくお辞儀をしてくるりと向こうを向き、2~3歩歩いて急に振り向いた。後姿をぼんやり見ていたおれは、きっとめちゃくちゃ間抜け面していたに違いない。「あの、明日チェックアウトのご予定でした、よね。」あ、そうだ。明日も得意先回りをして、すぐに帰ろうと思ってたんだった。「あ、あの、、いまから頼んで連泊にしてもらうことはできますか。」「もちろんです!よろしければ...

  • ナイトラブ 9

    すみません、バタバタしております(;^_^Aバタバタしてたら、なんと総拍手数が29万回をかなり過ぎているではありませんか?!ありがとうございますありがとうございます。。バタバタしているのでお礼はまたゆっくりと(;^_^A アセアセ・・・___________大きな口で食べられるようなキスに翻弄され、気がつけば裸に剥かれてベッドの上に組み敷かれていた。唇は覆われたままなのに、チャンミンさんも半裸状態で。もしかして...

  • ナイトラブ 8

    「えっと、、チャンミン、さん?」「はい、シム・チャンミンいいます。チョン・ユンホさんですね。」「ユノ、って呼んでください。」「はい。ではユノさん、ユノさんはぼくに敬語を使ってくださらなくてもいいんですよ。ぼくのほうが2コ年下ですから。」「え?」「あ、すみません。宿泊予約のデータを見させていただきました。」あ、そうか。ホテルの従業員だから見られるんだ。けど、急に敬語はいらないって言われてもなあ。それ...

  • ナイトラブ 7

    いつもはシングルルームを取るんだけど、急に取ることになった初めてのホテルだったからか、ダブルしか空いていなかった。だからなのか、窓際に小さなテーブルを挟んだ二脚の椅子のセットが置かれていた。おれが先を歩いて奥の椅子に座り、バーテンダーさんはあとをついてきて手前の椅子に座る。いきなりベッドに腰掛けるってわけにはいかないだろうと思っての選択だったけど、もしかして失敗だったか?自分が奥に座ってしまって身...

  • ナイトラブ 6

    「え?え?なんで?」部屋に押し入ってきた人の顔を見て、おれはプチパニックになってしまった。だってそれは、あのバーテンダーさんだったから。「ふふっ、ですからお忘れ物をお届けに。あ、それより先ほどは兄が失礼なことをいたしまして、申し訳ございませんでした。」「え、兄?」「ええ、ちょっと過保護でして。」ちょっと照れくさそうに前髪をかきあげる仕草がかっこいい。「あの、中に入れていただけませんか?それともご迷...

  • ナイトラブ 5

    自分の部屋に戻る間も部屋に入ってからも、頭も心も後悔でいっぱいだった。どうしてあんな軽はずみなことをしてしまったんだろう。酒のせいにはしたくない。出先だから気が緩んだなんて言いたくもない。もう何年も忘れていたトキメキを思い出したから。一晩だけの相手としてじゃなく、本気で知り合いたかったから。そんな言い訳を並べたところで、相手に迷惑をかけた事実は消えてなくならない。はあ胸の中に充満したモヤモヤをなん...

  • ナイトラブ 4

    「へえ、イチゴのカクテルなんてあったんだ。」「ええ、生のイチゴを潰して入れていますから食感もお楽しみいただけると思います。」「おれ、果物は何でも好きだけど、中でもイチゴが一番好きなんです。」何言ってんだ、おれ。「そうだと思いました。だっていろんな種類がある中で真っ先にイチゴのカナッペを召し上がられたから。」あ、、ちょっとびっくりしてしまったら、勘違いされたみたいで真顔になって頭を下げられた。「申し...

  • ナイトラブ 3

    おれは、自分ではわからないけど、人より口が小さいらしく、よくある四角いクラッカーはひと口では食べられない。だからかじって食べようとすると、上に乗ってる具が落ちたり、粉々に割れて破片があちこちに散らばったりするんだけど。ここのクラッカーはサイズが小さくて、乗ってる具もちょうどいい感じの盛り上がり方だから、親指と人差し指でつまんで口に入れると、おれの口に合わせたようにきれいに入った。「ん、んまい。」「...

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