ドアを開けると、声が聞こえてくる。「いらっしゃ」その声を遮ってやる。「よっ」「ボス?」「コートが欲しい」「ジャンバー着てるのに?」博人さんが口をはさんでくる。「コートを荷物に入れてなかっただけ」「博人さんっ」ジュンヤはその言葉に笑っていた。「これ、土産」「私に?」「ジュンが世話になってるから」「ダンケ」「店員さん、どのコートがオススメですか?」「本気で買うんだ?」「当り前よ。クルーザーで帰り着いた...
オリジナルBL&MLを毎週月・水・金の夜21時に更新!※アスリートCP/医者CP/リーマンCP/学生CP/短編も有ります。
妄想&空想が好きです(*≧m≦*) 浸るのも大好きです。 プロフのイラストは自動生成AIに描いてもらいました。 オリジナルでBL小説を書いてます。 他のジャンルも多少あります。 性的表現がございますので、苦手な方はご遠慮ください。
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ドアを開けると、声が聞こえてくる。「いらっしゃ」その声を遮ってやる。「よっ」「ボス?」「コートが欲しい」「ジャンバー着てるのに?」博人さんが口をはさんでくる。「コートを荷物に入れてなかっただけ」「博人さんっ」ジュンヤはその言葉に笑っていた。「これ、土産」「私に?」「ジュンが世話になってるから」「ダンケ」「店員さん、どのコートがオススメですか?」「本気で買うんだ?」「当り前よ。クルーザーで帰り着いた...
「ん-……、ぐっすり寝たぁ」「やっぱり、ずっと海の上だと体に悪いな」「そうだね。せめて2週間までだね」朝食を食べ終えて宿を出ると露店で昼食用に食料を買い込むと、ジュンに連絡を入れる。ツーコールで出てきた。『ダディ!』「夕食は何だ?」『何が良い?』「フルコース」『じゃあ、買い物に行く』「先に、皆に土産を私に行くから遅くなるけど」途端に声に元気がなくなる。『夕食までには帰ってこれない?』「遅くても17時過...
ここオーストラリアには無数の無人島があるが、宿のある島もいくつかある。そのうちの一つにクルーザーを停め、大地に足をつける。途端、足がぐらつく。「大丈夫か?」「なんかグラついたような、地震か?」「ずっと海の上だったから、今日はここで慣らしておく方がいいかもな」「さむぃー」「食事つきの宿だ。メニューに文句つけるなよ」「そっちこそ、言わないように」その島の住人は寒くても活気がある。露店だが、あるお店を見...
2日後、友明は自分で作った外套を身に付ける。「あったか~」「よく、こんなのを作れたな」「これで颯爽と歩けばモデルになれるかな」「無理」「キッパリ言わなくてもいいでしょ」「モデルというのは長身でバランスのとれた均整をしている体格の持ち主だ」「分かってるよ」なにしろ、トップモデルがいるのだから。「友みたいに寸胴体型だと」「言うな」「絶対にモデルは向いてない」「分かってるって言ってるだろ」友明は毛糸を1...
一方、博人と友明は南太平洋の海上を進んでいる。「寒いぃー」「ここまで寒いとは思わなかったな」「コートまで送ってしまった。羽織る物がなーい」「どこかで買うか?」「そうする。シンガポールに着けて。そこで」だが、博人は遮る。「シンガポールは夏だ。冬物は売ってない。それに、南アメリカ半島を回ったところだ」友明は寒さに呻っている。「まったく、冬になることが分かって冬服をスーツケースに入れたくせに」「そういう...
「戻って、くるって。本当か……」「1週間後にな」「1週間……」ユタカの呟きはスズメの耳には届かない。スズメは叫ぶことしかできないでいる。「ジュン、頼むから食べてくれよ-」本当に、こいつは煩いなと思いながら聞いていた。「ジュンは何を食べているんだ?」「自分で作って食べてる」「作れるならいいのでは?」「ユタカまで、それ言うか」ユタカは、こいつとは話にならないと思い立ち上がろうとした瞬間、スズメの表情が目に飛...
そして、中華店では今日も店長は項垂れる。「あー、やばい、やばいよぉ……」ボスからパース到着予定日のメールが着たのだ。どうしよう。正直に話すか。いや、話したら何か言われそうだ。でも、マサからも話しを聞くだろうな。ジュンヤは別にいいのだけど、と思うと、もう1人いることに気がつく。トモヤだ。絶対に、あいつと会う。そうしたら、あいつはジュンのことを持ち出す。いつも母屋のドア前に置かれている食事トレイに、防犯...
フランス・ドイツ旅行から帰ってきて、1年経った。トニーのちょっかいを躱しながら、スズメの料理は手を付けずに自分の食べたい物を作って食べている。そんなある日、大きな荷物が4つも届いた。送り主はダディとヒロだ。そのうちの一つに”手紙有り”という文字が見えたので、それを開き見る。真っ先に目に入った言葉は、これ。「帰国日が決まった」思わず声が出ていた。「やったー!」手紙を読んでいく。ふんふん、荷物は部屋に置...
「まあ、その為に必死になって勉強してたからな」友明は、博人の呟きは聞こえていないのだろう。「情熱のスペイン! 私がスペイン語を専攻したのは憧れだったからなんだ」「スペインのなにが?」その言葉に友明は目が一瞬光る。「スペインと言えば、海! 海賊になりたいという気持ちがあったから」その言葉に博人は納得する。「友も男だな」「だろ」「マザコンだけではなかったというわけだ」「マザコンじゃないって、言ってるだ...
あれから5年。仮が取れ、正式に医師免許を取得した友明は博人と共に帰国する。日本ではない、オーストラリアのパースだ。ジュンヤにも話したが、机上勉強はドンとこいなので2年スキップして、2年間で卒業した。その後、大学病院で専科決めの研修だ。必死で勉強した友明はルンルンな表情だ。シンガポールでは皮膚科だったが、ここドイツで再出発し再びメスドクになった。そんな友明に博人は感嘆していた。「よく頑張ったなあ」「...
翌日、GPボスにも土産を渡したいので、イヨンに別れを告げ家に帰る。途中、いじめっ子トニーの姿を見かけてしまい、隠れていた。「なんで、こういう所にいるかねぇ・・・・・・」違う道を通って家に帰る。リビングに干していた大量の洗濯物は乾いている。片付けることはしないのだが、全部が半袖なので仕方ない。見るからに寒そうなので片付けることにした。買物もして帰ってきたし、畑作業をしよう。どれぐらい畑にいたのだろう。声が掛...
「うわぁ!」マサは説明してくる。「シャープペンシルとボールペンはよく使うと思う。それに、こっちは万年筆と言って、社会人になったら必要になるよ」「なんだか、大人になった気分」「使ってくれると嬉しい」「ありがとう、マサ。こんなお土産だと釣り合わないね」「ううん、そんなことないよ。ジュンの気持ちが詰まっているから、大事に着させて貰うから。それに、このエッフェル塔はチョコレートを食べても飾り物になるからね...
マサはダディからの土産を開けると驚いている。「何だったの?」「これだよ」そう言って見せてくれたけれど、分からなかった。マサは分かるのか教えてくれた。「これはドイツよりスペインだな」「スペイン?」「イベリコ豚だよ。今日の夕食は、これを食べよう」「いいの?」「美味しいよ」「食べたことあるの?」「ないけど、スペインのイベリコ豚は美味しいと評判だからね」夕食は、そのイベリコ豚をスライスしてくれた。「美味し...
「ジュン、お帰り」「ただいまー」「迎えにいけなくてごめんね」「いいよ、気にしてないから」そう言うと、はいと言って土産を渡す。「ありがとう」「どういたしまして」「2つ、いや、3つあるよ」「フランスとドイツで買ったの。もう一つはダディからのだよ」マサは嬉しそうだ。「ジュンからの土産なんて楽しみだな。なんだろう」「ダディのも楽しみでしょ?」「なんとなく分かるから。でも、楽しみなのかな」マサは僕が買ったの...
パースに着くと、まっさきにマサにメッセージを入れる。返信の中身を見ると、昼過ぎならいいよとのことだ。昼過ぎということは洗濯して昼ご飯食べて行く事になる。とりあえず洗濯をしよう。ダディとヒロにハグされ、とっても楽しかった旅行。あと1年。スズメを、あと1年振り回せと言われたがどうやればいいのだろう。マサに聞いてみよう。ご飯はどうしようと思いながらキッチンに行く。何も買わずに帰ってきたから何もないや。パ...
「今回、フランスに行った時、オフィスに寄って飛び入りで仕事をしたのだけど、ドイツでボスと再会して合気道した。あれで、自分の考えがパーになった。やっぱり、私は自分のやりたいことを全うしたいって思うようになった」「モデルに戻るのか?」「戻らないよ」「催眠術師になるのか?」「癒しの心療だ!」「あそこのクリニックか?」「違う。勉強する場所はアテがある。でも、あの人が迎えてくれるかどうかは話をしてみないと分...
そのAは話しかけてくる。「で、これらを引っ張り出してどうする気だ?」「逃げない事に決めた」「そっか」「ねぇ、アンドリュー」Aは、その名前にビクつき逃げ腰になっている。「逃げないで、アンドリュー」アンドリューという名前に抵抗があるAはジュンヤの腕から逃げようともがいているが、ジュンヤは逃がさない。アンドリューの首根っこを捕まえている。すでに、学生時代の感覚に戻っている。「私は日本には帰らない。それは、...
パースに着き、家に帰ると倉庫に入る。部屋に戻らない私の後をAはついてくる。勉強好きのボスに触発され、しかも語学で博人先生に負けを認めさせた私はドクターバッグを取り出す。「ジュンヤ?」「ごめん。あっちでボスに会って。使わないだろうと思って奥に突っ込んでいたのに」「いいよ。元々は俺だけの夢だったから」ドクターバッグを眺めながら呟く。「でも、オペはしない」「しないではなく、メスで切れない、だろう」Aを見て...
走り出した私の後ろをゴロゴロとスーツケースを転がす音が追いかけてくる。「歩くと言ったのに」「ジュンヤ先生、走らないでー」「坂道で下りなのにー」「あー、荷物が勝手にどっかに行くー」「自分の荷物はしっかり持ってろ」「僕の荷物―」「荷物の方が軽いのか」「そういえば、フェリー乗り場まで下り坂だ」「行きはシャトルバスだったような」「帰りもシャトルバスにすれば良かったかも」皆の声を背に、私は走りAにハグしていた...
無事にシンガポールに着いた。さあ、パースは目の前だ。「みんな、歩くよ。迷子にならないように大学生3人、しっかり見るんだよ」「はい」腕を摑まれる気配がするので身を翻す。なんか、こればかりだな。「アンディ・・・・・・」「ジュンヤ、私はシンガポールで暮らしている」それ以上、声を聞きたくない。アンディの声に、被せる。「アンディ、さよなら。お幸せに」一夜の思い出だけでいい。そう思うと声を出す。「さ、歩くよ-」「は...
アメリカでは、男同士でも結婚はできる。だけど、堂々と町中を歩くほど自分の神経は図太くない。この島から出なくてもいいので気は楽だ。この島を買い取ったニールは、結局8年間で観光目的ではなく、家族向けや恋人向けへのキャンプやピクニックをはじめ、プールやアスレチック、レストランに展望台、またシューティング等といった施設を建築し、お金が目的の島ではないことを行政に申請した。お金が発生するのは、利用料だけ。1...
ニールはなんでもないという表情だ。「ネイサンが、あいつらと接触したのは知っているよ。言っておくけど、僕は責めているわけではないから。僕のためにいっぱい苦しんだのだろうと思ってるよ。ネイサンは勉強するために大学に入学したからね」「ニールは何のために入学したんだ?」「僕も勉強するためだよ」「一緒だな」「うん、そうだね。でも、ネイサンほど真面目じゃなかったから」「たしかに、そうだな」「そこは否定してよね...
ニールにベッドに押し倒されると乗っかってきてキスをしてくる。「ふ」頭の中がとろけそうになるほどのキスだ。そのうち、ニールが離れていくのが分かる。「ニー」自分の肌にニールの唇が触れていく。強く吸われる時もあれば、優しく吸われる時もある。「あ・・・・・・」胸の尖りを舐められる。「ん」とても優しく舐めたり噛んでくる。こんなのは初めての経験なので、どうやってこんなテクを身に付けたのか分からなく、その思いを口にし...
1週間後、ニールは聞いてくる。「ネイサン、話がある」おそらく、この間の話だろう。1週間もあれば、こちらの気持ちも整理がついた。「ニール、この間の話か?」「うん。僕と家族になって一緒に暮らして欲しい。ネイサンを愛してる。離したくないんだ」少し間を置いて答える。「基本、私はマイペースな人間だ。自分のやりたいことしかしない。それでも良いのか?」「うん、良いよ」真剣な面持ちなんて初めて見た。だから、一生懸...
ここに住んでから5年後の、ニールの言葉。「ネイサン。一緒に暮らそう」「暮らしてるだろ?」「ネイサンは僕から離れないよね?」「ニール?」「僕は知ってるよ。学生時代からずっと僕だけを見ていたよね。アサミもヨシも僕を見てくれていたけれど、彼等は卒業したら日本に帰国した。もう、ここに来ることはないだろう。でも、ネイサンは違うよね?」その言葉には驚いた。「何を言って・・・・・・」「僕、知ってるよ」「何を・・・・・・」「...
「ネイサン、どうしたの?」その声にハッと気がつく。思わず、言っていた。「再会した頃のニールを思い出していた」ニールは笑い出す。「笑うことないだろ」「寝ているのかと思ったら、そんなことかあ」あの微笑にヤラれた自分が情けない。今では、エンジェルよりも小悪魔のほうが似合っているニールが可愛い。あの時、ヨシに聞かれた言葉で自分は考え込んでしまったが、それでも可愛いと思ったのは確かだ。「ニール」「なに?」「...
大学を卒業して再会するまでの10年間は、故郷であるバージニアへ戻っていた。このバージニアからニールの故郷は遠い。もう、お守りをしなくても良いと思うと気が楽だ。論文の発表会でニューヨークに行った時、ニールがいるだなんて思わなかった。会場で声を掛けられただけでも驚いたのに、それがニールだなんて夢にも思っていなかったからだ。誰にも覚えられていない。そういう思いはあったのに、誰かに覚えられているというのは嬉...
あの連中と再会してからのニールは昔のニールに戻っている。自分では気がついてないのだろう。布団の中で大人しく抱きしめられているニールは目がトロンとなってきている。このまま寝てくれると、こちらとしても有難い。あの頃のニールは、恋愛対象というより保護欲をそそられる対象だった。あの日本人5人にくっつくというより、アサミにくっついていた。あんなガリガリのもやし体型の人間だと頼りなさそうな気がして、いつも目は...
ニールはネイサンに聞いていた。「それはそうと、どうして分かったの?」「なにが?」「ほら、あの5人の特徴を言い当てたでしょ。どうして、そんな風に思ったのかなと思って。ね、どうして?」「そりゃ、ニールを見てたら、あの5人に目が行くだろ」「僕?」「そ、ニールを見てたら、自然と5人の」そこで区切ったネイサンは、思わず自分が何を言っているのか分かったからだ。「あ、その、ニール?」だが、ニールは学生時代の顔に...
いつもお越しいただきありがとうございます。短編ですが、前作の『社員研修は腐の宝庫』の続編になります。登場人物はニールとネイサンの2人です。~あらすじニールはアメリカにあるステイツ大学に通っていた。その時、出会ったのは日本人5人で、そのうち仲の良かったのはアサミとヨシの二人だった。それでも、その5人は色々と教えてくれたり、遊んでくれたりしていた。自分の事を深く知らない、その5人の傍を離れたくなかった...
いつもお越し頂きありがとうございます。今作の「社員研修は腐の宝庫」はいかがでしたでしょうか?主人公はダブルアサミというところで、朝巳と浅海でした。しかも、舞台はニューヨークでした。意外なところに、意外な人がいたものです。朝巳と雄吾の関係はどうなっていくのでしょうか?また、朝巳に対しての気持ちを自覚したストーカー浅海は?そのストーカー浅海に拉致られてしまった朝巳は?今までにはない「腐」が散りばめられ...
自分の部屋に戻ると鍵を閉める。ミニ冷蔵庫から缶ビールを取り出し、一口飲む。「お疲れ! ビバ、社員研修! 今度は2年後だ!!」 さぁ、2年後の社員研修はどこで何をしようかな。こういうのがあると嬉しいよな。雄吾には一人旅での腐探しはやめろと言われたが、一人旅でなければいい。というわけで、来年は水泳スタッフだけでの旅にしようかな。場所は沖縄か、いや、それとも北海道?せっかくだから、ダイビングできる場所だ...
「たっだいまー」奥から声が返ってくる。「朝巳、裏から入れって何度言わせる」「そう怒んないでよ。奥からだとナースにお土産渡せないじゃん」すかさずナース婦長が返事をする。「ありがとうございます」「みんな同じものだけど、ごめんね」「そんなことないです。嬉しいです」1人ずつに手渡し、最後に兄に渡し頬にキスをする。兄は固まってしまった。「アメリカでは、これぐらい普通だよ」ナースの1人からフォローされる。「兄...
そんな光景をストーカー淺海は見ていた。帰りの便が同じ。幸か不幸か、どちらに取れば良いのだろう。あの時――。冷ややかな目で足を撃ってきた。しかも、アキレス腱だ。歩けるようになるまで待てなかった。ピザの滞在日数にかかるからだ。でも、あの体は忘れられない。もう一度、抱きたい。触りたい。この手で、あの体を触り、食事を共にしたい。銃なんて危ない物はない場所で。アナウンスが流れてくる。包帯を巻き、松葉杖もついて...
そんなこんなで夏休みも、あと1日になってしまった。空港まで雄吾と衛は見送りに来てくれた。「それじゃ、2年後に」「雄吾、元気でね」「朝巳も」「ん」衛は社長に迫っている。「私の任期は、いつまで?」「あと10年か」衛は片目をつり上げ、まさにデビルになっている。「そんなにもあるの?」「なんなら、日本で社員研修とかはどうだ?」「いい考えかも」朝巳は、そのデビル衛に封筒を渡す。「朝巳、これは何?」「衛へのプレゼ...
ふと見ると、ネイサンは寝息を立てている。思わず呟いていた。「このベールでベッドにくくりつけてやろうか」そう思ったが、その寝顔にキスを落とすだけにする。しかし、お腹空いたなあ。途中で買った食料を取り出すとレンジに突っ込みスイッチを入れ、大好きなオニオンスープを作り1人で食べる。「むふ♪ 美味しい♪ たまには街に出るのも良いな」そんなにも時間を置かずに声がかかる。「良い匂いがする」「ネイサンも食べる?」...
さよなら、僕の初恋の人。僕は、ネイサンと一緒に生きて、ニューヨークに骨を埋める。アサミのベール姿を観る事が出来て嬉しかったよ。秀才のガリ勉だったネイサンは、君たち5人組を羨ましがっていた。僕がアサミとヨシの背中に隠れていた理由も知っていた。だからこそ、君たちが日本に帰国すると側に居てくれた。僕を色眼鏡で見ない5人は、かけがえのない存在だ。でも、ネイサンは僕のことを知っている。僕と結婚したのを、あっ...
そして、皆の祝福を受けたニールは――。お気に入りの③の部屋に居た。「ふふ。皆に祝って貰えて嬉しかったぁ」「騙されてないか心配だったけどな」「言い出したのはヨシだから大丈夫とは思ったんだよ」「で、ケーキはどこに置く?」「冷蔵庫の中」大好きなケーキもあるし、Happyだ。「冷蔵庫の中は空で良かったな。ケーキが箱ごと入った」「箱ごと? ったく、横着なんだから。そういう場合は小分けにしてよね」「なら自分でしろ」「...
雄吾をデッサンしながら、こう言っていた。「ニールとネイサン、良い雰囲気だったね」「羨ましいか?」「どっちがネコになるのかなあ?」すると雄吾は吹き出した。「きったね」「そりゃ、ニールだろ」「だよねぇ。どう考えてもニールだよね。ネイサンがネコだったら」雄吾は叫んでくる。「考えるな!」「考えられない」「他人のことは考えるな。自分のことだけ考えろ」「だよね、そうする」そこで飲物がない事に気がつく。「あ、そ...
タイマーが鳴る。タイマーとIHのスイッチを切った雄吾は盛り付けてくれている。「出来たぞ。なら、お前が逃げないように見張ってやるよ」「よろしく」「で、他に言いたそうだな」「そう?」「言えよ。聞いてやる」「母の、最期の言葉なんだ。“後悔しない生き方をして”その言葉を思い出したんだ。場所は何処でも良い。でも、できるならニューヨークで。ここは、私の人生において扉を開けてくれた場所だから」「そっか。俺にとって、...