いつも読みに来ていただきありがとうございます!このブログも11年と18日目です。今作は、あの利根川が主役です!簡単なあらすじを紹介します。会社を退職した利根川はフリーターとして真っ先にしたことは部屋探し。そこから高瀬探しをするのかと思いきや、なんとニューヨークへ観光しに行くこと!無事にニューヨークへ着くのでしょうか。しかし、飛行機は利根川の思いとはうらはらに赤道直下にある島に漂着してしまった。利根川は...
オリジナルBL&MLを毎週月・水・金の夜21時に更新!※アスリートCP/医者CP/リーマンCP/学生CP/短編も有ります。
妄想&空想が好きです(*≧m≦*) 浸るのも大好きです。 プロフのイラストは自動生成AIに描いてもらいました。 オリジナルでBL小説を書いてます。 他のジャンルも多少あります。 性的表現がございますので、苦手な方はご遠慮ください。
たったそれだけの事なのに、桑田は目くじらを立てる。松井は、桑田の怒りを収めようと声をかける。「お前の気持ちも分かるが、我慢しろ。それにやることは」「松井はあんなことを言われて悔しくないのか。腹立たないのか」「なんの事だ? さっきのは単なる社交辞令だろ」「どこがだ」新田は我慢していた。「今は仕事中だ。怒りは夜まで待ってろ」元宗も言ってくる。「新田はいいよな」宮田はこれだ。「そうそう。自分だけ良いよう...
13時前にはドドンッとやってくる。食洗器をフル稼働させながら、3人は焼いたりサラダを盛ったり、食器類を取り出したりしていく。「そろそろ、こっちを出すかな」ユウマは呟くと鍋を持ち表に出る。ガラッとドアが開き、声が聞こえてくる。「お疲れ様です」「お疲、あ、サトル」「大変だった?」「これからが一番大変だと思う」「食べたのか?」「3人とも食べたよ。あと、経済との関係が悪くなってる。アフターよろしく」「仕方ない...
12時になったが誰も来ないので3人は一番乗りで食べる。「たまにはいいな」「ゆっくり気分で食べれるだなんて久しぶりだな」「出来立て美味しい。あのきゅうりがこうなるとは思いもしなかったな」2人の声は重なる。「見事に酒の肴だ」「たく、二人そろって」「いい味出してるよ」 「それはありがとう」12時半を過ぎると5人が入ってくる。「お疲れ様です」「お疲れ様」「ハンバーグだ!」「嬉しい、2個もある」「1つがドンとあ...
3人そろって20分後にはハンバーグのタネだけでなく、サラダのきゅうりとスープの材料もカットし終わる。「味はコンソメでいいかな?」「任せる」ピーと音が鳴る。「何の音?」「米が炊けた音だな。サラダはレタスではなくキャベツか。千切りにでもするか」「赤みがないな」「スープに人参入れるから大丈夫」「カレーの時に買った人参か」「誰かさんが大量に買ったから」「タカだろ」ユウマは手際よく米をジャーに移していく。「う...
2階からはマサとユウマの2人が飛んできた。「ジュンヤが喚き散らしてるって言ってたけど」「まるっきりキレてないし。これの、どこが怒り飛ばしてるって言うんだ?」紐で床を打ち、言ってやる。「包丁を持てないのが3人いる。そんな奴らはハンバーグとサラダと味噌汁だ」「それなら、包丁は1人か2人にさせればいいのでは?」「見てみろ、これはきゅうりみたいだぞ」そう言ってまな板を指すと、2人は唖然としている。「え?」「そ...
ジュンヤは3階で王様になっていた。昨日まではずっと2階だったので、しばらく6人の動きを見ていた。耐えられなくなり、床を叩くと6人がビクッと体を震わす。「この音に反応してどうする」「助っ人に来たんだろう。何してるんだよ」そんな声を無視してやる。「昨日も、ここでやってたんだろう。にしては動きが鈍いな」「昨日は……、教育から3人来たから」「誰?」3人の名前を教えてくれたので、共通点を見つけた。「なるほど、バ...
「助っ人が欲しいです」 その声に専務はこう言う。「金髪君、3階を手伝って」 「私が、ですか?」金髪ジュンヤは驚きの声を出していたが、専務は一言だ。「その方が昼食を取りやすいだろう」確かにと思い、はいと返事をする。カズキは荷造り紐をジュンヤに渡す。 「これ渡しとく」「効果は?」「微妙?」 専務の声は続いている。「残りは2階だ。チーフ、今日はどれぐらいだ?」「お造りは127で、寿司は250です」 「えらく多...
31日は5時開始だ。立ったまま寝ることができる医学10人だが、他の10人はそんなことはできない。それに比べ、女子は30分早めとはいえ、7時半開始になる。始まると同時に専務から羊羹を渡される。「それを食べて今日を乗り切ろう。本来なら社長からの言葉だが、社長は昼から来られる。年末最後の日だ。やるぞ!」「おー!」1人の男子学生の前に立つ。「今日は、解体ショーはない。昨日の3人と金髪君は1階だ」「はい」「1階に下りる...
30日は、経済6人で3階の食堂だ。先日やっていた医学3人は、今日は2階で他の7人と一緒にお造りと刺身だ。ジュンヤはボソッと呟く。「今日から、あの6人か」マサは、その呟きを拾う。「美味しいものが食べれるのかな」ユタカはこれだ。「カズキの鞭さばき見たかったな」その声にカズキは返す。「昨日は私が味見したからね。今日のはどうなるかねぇ」サトルはこれだ。「3人ともお疲れでした」スズメはこれだ。「やっぱり、白衣が一...
社長は、今回は今までよりもスタッフの人数が多いと話してくれた。一昨日まではバイト含め55人だったが、昨日は88人、今日は90人。明日、明後日は95人で、最終日の1日は100人をちょっと超えると。それで、昨日は忙しかったのかと2人は納得した。皆より早めに昼食を食べたのは正解だったみたいだ。1階に下りると社長は指揮を執る。「予定通りにやるぞ」だが、専務は反論していた。「しゃ」が、すぐさま社長は遮る。「福山君よろし...
29日の10時過ぎ、社長は3階の食堂に上がってくる。「福山君」しかしボスは遮る。「大丈夫ですか?」「もう大丈夫だよ。ありがとう。今日も11時にするから」「今日は大事を取って中止した方がいいですよ」「中止にはしない。私の代わりに、君にやってもらうから」「は?」「それに、ずっと3階で賄いしかしていないだろう。そこの2人も一緒に1階に下りて」その言葉にスズメは珍しく短い言葉しか出なかった。「私たちも、ですか?...
サトルは水を入れたコップを渡す。それを見た専務は飲み干すと一息ついたみたいだ。その専務にサトルは優しく声をかける。「社長がどうされましたか?」「足を滑らせて、倒れたんだ」「頭からですか?」「勢いよく尻もちついて、そのまま後ろに倒れて……。誰でもいいから、早く医者を」落ち着いたと思っていたが、専務の声は段々と大きくなり叫んでいた。が、サトルは後ろの連中に声をかける。「整形外科関連を専攻してるのは誰だ?...
てんやわんやで忙しいのは3階だけでなく、1階も同じくてんやわんやになっている。2階にいる連中には1階の騒ぎが気になったのだろう。ちらっと覗くとすぐ戻る。「テレビ局も来てるよ。人数がえらいことになってる」「先に食べてきていいよ」「お先に頂きます」「ごゆっくりどうぞ」7人は3階の食堂に行くと、ドアから溢れかえっている人たちを目にして驚きの声を上げていた。「こんなにも居たのか?」なんとか中に入ると声が聞...
28日の昼食は和風カレーだ。昨夜、仕込んでおいた漬け汁の中に薄切りに切った大根を入れる。同時にカレーに入れる具材を切り、頭と骨と肉を取り除いた出し汁に入れて煮込んでいく。12時過ぎても誰も来ない。「先に食べるか」「一番乗り、いいねぇ」「美味しい。お代わりしよ」12時半を過ぎると、ドドドッとくる。「凄い音だな」ドアが開くと同時に声が聞こえてくる。「お疲れです」「今日はなんですか?」「休憩終わりだな」3人は...
新田だ。「明日の味見。一口飲んで感想教えて」そう言われ小皿を差し出されたので新田は飲む。「美味い。なに、これ」「カツオの出汁でカレーと福神漬けを作るから、そのベースとなるものだ」スズメの声も聞こえてくる。「こっちにも」「ダメ」「ケチ。カズキ君」「仕方ないなあ。一口だけだよ」「ありがとぉ」スズメは一口含むと、これだ。「あ、今。今ね、一瞬、うどん食べたいと思ってしまった。お代わり~」「誰がやるか。タカ...
3人で出し汁と福神漬けに使う調味料を探し味見をしていく。カズキはブロックを格子切りにすると薄くスライスしていく。タカは厚めに切ると、何を思ったのか差し出してくる。「はい、これ」それを見てボスは聞いていた。「皆も食べてると思う?」「社長が見てたからな」「食べてないだろうな」「なら、代表として3人で」その言葉で3人は手を合わせる。「頂きます」3人とも口に放り入れる。「美味いわ」「さすが出来立て」「いい...
「で、明日の夕食は何にするの?」社長の、その声で3人は考え込む。「ちなみに、薄味だと食べれる」友明はボソッと呟く。「和風カレーにするか」「それなら、味は一つで十分だね」「で、サラダを付けるか」カズキはスズメに言う。「スズメ、私たちは買い物に行こう」「鰹節がたくさんいるな」「買いだめする?」社長は一言だった。「カツオならあるよ」「あるんですか?」「丸が5本とブロックが1ダースきたから。いくつ欲しい? ...
2本買った長芋は1本しか残らなかった。しかたないので、山かけごはんと豚汁、サトルが持ってきたプロテイン、ジュンヤが持ってきたゆで卵を夕食にする。その夕食を食べながら社長は話してくる。「森山さんは来年の3月にならないと来れないから、2日までの昼食を君たちに作ってもらいたいんだ。特に福山君、村上君、早瀬君の3人。残りは2階で」「森山さん、酷いんですか?」しかし社長は新田の言葉を無視する。「ほかの11人も...
12時前になると10人がくる。「あれ、なんでボスが」「豚汁は薄めと濃いめ、どちらがいいですか?」皆が薄めというので6人をキッチンに入れる。「このマグロ、美味い」「毎年、マグロが食べれるのだけど」「新田は、それが目当てで来てるのか」「来てよかったと思ってる。そう思わない?」「まあ、ボスの手料理なんてレアものだからな」誰かが声をかけてくる。「ほかの9人は?」「2Fでやってる」「ちなみに夕食はどうするの?」「...
大学生のアルバイト事情 #28 R18 軽く性描写あります!
11時を過ぎると2人くる。見るからに高校生だと分かる。「お疲れ様です」「お疲れ様です。マグロ丼だあ」「豚汁は薄めと濃いめがありますが、どちらがいいですか?」「味見していいですか?」どうぞと言って、両方を小皿に入れて渡す。その高校生は微妙な表情をしている。「薄味でお願いします」「はい、こちらでどうぞ」「ありがとうございます」2人は仲良く座っている。「やっぱり美味しい。これがあるから毎年来るんだよね」「毎...
買い出しの2人が戻ってくると、マグロの身は綺麗に整列しており、頭で出汁を取ったのだろう。「スズメ、濃いめと普通、どっちがいい?」「どっちでも」「私たち21人は普通でいいけど、濃いめの方が量はいる」「34人だっけ」「その中でも高校生や大学生はいるけど」カズキの声が聞こえる。「ねえ、長芋5本で足りるかな?」「足りなかったら買いに行けばいい。人参2、シイタケ1、長芋3、長ネギ1、こんにゃく2、肉1で好きなのを...
27日の午前中、教育学5人は1階、経済学6人は2階、医学10人は3階で賄いの手伝いだ。しかし、10人もいらないので、3階の食堂のテーブルで2階の仕事をする。でも、9時半を過ぎても3階の食堂のお姉さんが来ないので、急遽3人がキッチンに入る。いつもの仕事に年末年始の仕事もあるので、27、28、29日は忙しくなるから、こんなイレギュラーなことがあると困る。お造り、お刺身という仕事があり、そういう繊細な仕事に向いている医...
教育学部の福田と小林が持ってきたのはカロリーメイトだ。それを見ると、皆は笑っていた。「何がおかしい?」「いや、お前らって最高のコンビだよな」「朝飯にちょうどいい」「誰かさんのおかげで朝飯も自由になってね。3食付きが、まかない1食になったからどうしようと思っていたんだ」「朝飯はカロリーメイトとプロテインだな」ジュンヤは自分が持ってきたのを出す。「これも食べるといいよ」ジュンヤが出してきたのは玉子だ。...
その日もため息が出る。「量が多いのはまだいいが、肝心の味がなあ」「昨日のは、スズメが中華にしたよな」「今日はどうだろう」食堂に行くと、医学のボスとカズキがキッチンに立っているので声をかける。「何を作ってるの?」カズキは一言だった。「豚しゃぶ」「うまそう」「これなら塩味も抜けてボスが作ったソースを付けて食べれば大丈夫。その代わり、固いしゃぶになるけど」「塩辛くなければいい」ボスは呟いている。「夕食は...
初日はなんとか終わり、ぐっすりと5時まで寝る。月末30日と31日は30分ずつ早くなっていくが起きれるだろうかと不安だ。だけど、皆の目覚ましにセットしている時間が微妙に違う。しかも、これだ。「だー! うるさい!」「消しても、消しても」「うるさいのは、お前の声だ!」お陰で、目が覚めていた。朝食は自分でご飯をおにぎりにして食べる。カップラーメンは置かれてあるが、それを食べようという気はない。インスタントのみそ...
25日は準備というのもあり、予定通りの21時に終わる。2人の女性社員は泊まるので荷物を持ち奥へ入る。「麗奈、大丈夫か?」「大丈夫よ。夕食も食べたし、あとは寝るだけだからね」「明日から男は6時からだけど」「女性は8時だもんね。7時まで寝る」「朝食は食べろよ」「分かってるよ。ほら、行った、行った」「もめごと起こすなよ」「人を何だと思って」「知っているから言ってるんだよ」喚いている夫にキスしてやる。「麗奈……」「...
朝7時半を過ぎると、社員やほかのアルバイト達が集まってくる。社長含め正社員はたったの7人。ほとんどがアルバイトだということが分かった。「今日は準備の日だ。男子が多いので、1階と2階に分かれて。チーフ、あとはよろしく」1階と2階に皆が分かれる。途端に、誰かが麗奈に声をかける。「まさか、レナ?」「誰?」「私よ、ハルカ」「はるか?」しばらく考え込んでいたが分かったみたいだ。「えー! あ、あのハルカ?」「まあ...
翌日の朝、6時半になろうとしている。新田は3人を叩き起こし、他の部屋へ行く。医学部と教育学部の皆はすでにいなかった。もしかして、食堂に言ったのかと思い行くと、温かいにおいと空気が迎えてくれる。「あ、残りがきた」「みんな早起きだな」「お宅のリーダー夫妻が作ってくれたよ」「松井が?」「尻に敷かれていた」「10分早起きしてたら見れてたね」「お前ら、言うなって言っただろ」松井の妻はこれだ。「みんなが買ってきた...
「んで、寝室はどこ?」「あ、こっちだよ」そう言うと、新田を先頭にして皆はついていく。「この右側は女子専用ね」「はい」「で、左側は和室になってるから」「ん」和室に入る。「麗奈、どうしたの?」「なにが?」「女子は右側って」「だって一人なんだもん」その言葉に松井は笑う。「大丈夫って言ったの誰だよ」「だって、他の二人は明日からでしょ。今日は私一人だけだから。私を守ってね?」「こいつらから?」「そうだよ」「...
新田は食堂のお姉さんに声をかけている。「森山さん、森山さん」「なに、新田君」「明日の朝食は買ってきてるのを食べるから、お昼からよろしくお願いします」「どうせパンなんでしょ」「実は、夕食用にと買ってきた物なんだけど、まさか作ってくれてたなんて思っていなかったから。頂いちゃったし」「クリスマスだしね」「ありがとうございます。片付けはしておきますね」「それじゃ、お願い。私は帰るわ」「お疲れ様でした。明日...
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いつも読みに来ていただきありがとうございます!このブログも11年と18日目です。今作は、あの利根川が主役です!簡単なあらすじを紹介します。会社を退職した利根川はフリーターとして真っ先にしたことは部屋探し。そこから高瀬探しをするのかと思いきや、なんとニューヨークへ観光しに行くこと!無事にニューヨークへ着くのでしょうか。しかし、飛行機は利根川の思いとはうらはらに赤道直下にある島に漂着してしまった。利根川は...
「それでは、経済学部の松井です。ニューヨークで双子を育てています」「新田敏夫です。世界を飛び回っています」「元宗です。子どもはカナダに行っていて夫婦2人でレストランしています」「宮田です。今はフリーとして仕事をしています」「桑田耕平です。会社を興して30年ですが、軌道に乗っています」それでは、そのほかの方たちよろしく。「田宮俊平です。そのほかの方たちで紹介されて良かった。忘れられてるかと思ったよ。し...
うちの子紹介のページです。当ブログにお越しいただきありがとうございます。このブログも、先月の6月27日で丸々11年を迎えることができました。本日で11年と16日です。そう、12年目に突入しました~!記念として、うちの子の紹介をさせていただきます。まず、医学部卒業生から。「ボスである福山友明です。ドイツに行って、正式にメスドクとなりました。パースでクリニックを経営していますが、これからはメスドクとしてオペを...
いつもお越しいただきありがとうございます。11周年に突入しての作品です。『挑戦するのに年齢は関係ない』はいかがでしたでしょうか?本当に5年ぶりに登場しました、博人と友明。あれから、本当に5年の月日が経ちました。やっとパースに帰ってきた友明。そして、その息子のジュン。ジュンが信頼を寄せているジュンヤ。この3人がメインの話になりました。各々が、自分のやりたいことを模索しながら生きていく。この5年間、どのよう...
そのタロットをテーブルの上に置き、心の中で占いたいことを呟く。 10枚なんて置けないから、5枚引きにする。過去、現在、近未来に、結果。その結果として出たのは、カップⅣの逆位置。このカードは、腕を組んだ若者が目を閉じていて、カップを持った雲が若者に近づいている絵だ。しかし、正位置では、若者はそのカップに気が付いていない。なにしろ目を閉じているからだ。でも、今、出たのは逆位置。若者は、そのカップに気が付き...
ニューヨーク行きの飛行機に乗る。隣の席は、先ほどの人が既に座っている。「パードン」「ぷ、プリーズ」「サンキュ」離陸後、お決まりのスナックタイムがくる。「ミスター」私はフランス人だ。ドイツ語でもいいが、フランス語で応じる。 「テナチュール(紅茶をストレートで)」国際線のCAらしく、すぐフランス語で応じてくる。「ウィ、ムッシュ(どうぞ)」いよいよ、私の第5人生の始まりだ。どくろマークに、いや違った。マ...
ジュンヤはジュンの未来を知っている。あのいじめっ子と一緒にいるだろう。何度占っても、ジュンの傍にいるのが現れるからだ。ジュン。逃げ場所は一つだけではないよ。新しく作っていくものだ。10年間、私を逃げ場所に指名してくれてありがとう。君の未来に幸あれ。声がかかる。「前、通ります」「どうぞ」通りやすくシートと足の間を開けてやる。その人はたどたどしい英語だけど意味が通じたのが嬉しかったのか、安心顔をしてシー...
ジュンヤとジュンのパース出発日は同じ日だった。ジュンヤは飛行機でシンガポールへ行き、そこからアメリカへ。ジュンはエドのジェットで、庭から直接ドイツのフォン・パトリッシュ家へ。ジュンはジュンヤがどこに行ったのかは知らない。でも、また会えるだろう。そんな気がする。鞄の中にはジュンヤ先生から貰った2通の手紙が入っている。手紙とはいえ、サークルの皆と同じものだ。「2年後、自分はいなくなるだろう。自分の可能...
ジュンヤは机上勉強ならどんとこいの執念で合格した。実技及び研修先は、あの人が迎えてくれたので安心してアメリカに発てる。そのジュンヤに、一緒に暮らしているAは言いにくそうだ。「A、今までありがとう。待たなくていいからね」「あのさ……」「なに? 思い切って言ってみて」「アンディなんだけど」その名前に気持ちはグラつく。「う、うん……」「バツイチだって知ってた?」「知らない」「一緒になっても怒らない?」「Aはア...
何かを挑戦するのに、きっかけはなんでもいい。ただ、必要なのは、やる気ではなく、行動することだ。その行動力で、3人は自分の道を決めていく。友明は5年間という年月をかけて、再びメスドクに。ジュンは勇気を持つことができ、目出度くトニーから逃れることができた。そして、ジュンヤは自分の気持ちに気が付く。それから、2年後。ジュンはものの見事にドイツの高校の留学テストに受かった。住む所は、待ち人が住んでいる所。...
一方、ジュンに体当たりを食らい倒れこんでしまったトニーは呆然としていた。負けたのがショックだからではない。その後のジュンの行動だった。「うるさい、黙れ。黙って言うことを聞いてればいいんだよ」そう言うとキスされた。できるなら、抱きしめたかったのだが、すでにジュンは走り去っていた。柔らかかったジュンの唇。自分の唇に指をあてなぞる。「ジュン……」虐めないでと約束をさせられたが、俺はお前を追いかけるからな。...
途端にトニーは黙ってしまった。あれ、ほっぺたってこんなにも柔らかかったっけ。なんかグニュグニュしてるし。恐る恐る目を開けると、トニーの驚いた眼があった。まさか、これはほっぺたでなく、トニーの……、く、ち?思わず走っていた。やっちゃった。やっちゃった、やっちゃったよ。ほっぺたにするつもりが、口にしてしまった。うー……。でも、口って、あんなにも柔らかいんだね。トニーも驚いていたし。僕も驚いて走って逃げてし...
「ハッ!」「なんの」「トウッ!」「へぇ、本当に合気道やってるみたいだな」全然、当たらないし、掠りもしない。しかも、トニーも合気道ができるみたいだ。「くそぉ……」「おら、どうした。かかってこい!」こうなると、アレしかない。「これは喧嘩じゃないからなっ」「分かってらあ」1年前のドイツで、ヒロがダディを負かした。あの時に見たアレをトニーにする。低くかがむと、トニーめがけてタックルしてやる。「ってやー」しか...
ジュンヤ先生に言われ納得したジュンは、意気揚々と夏休みを過ごす。そんなジュンに、今日もトニーは振り向かせようと手を企てている。バッタリと出会い、目がかち合う。「トニー……」「いい所で会ったな」しかし、逃げ腰になってしまうのは条件反射だ。回れ右して走ると、向こうも走って追いかけてくる。あの時、皆はなんて言ってたっけ?ほっぺたにキス。ハグする。えーと、それから、それから……と頭の中が真っ白になる。そんなこ...
全く歯が立たずに、僕は聞いていた。「いじめっ子に勝つにはどうすればいいですか?」「喧嘩ではなく、言い含める言い方にするとか、相手にしないとかかな」誰かの声が聞こえてくる。「キスしたら黙るよ」「いじめっ子は男の子なんだけど」「だから効果てきめんだよ」「そうなの?」「ほっぺたにキスをすると大丈夫」「ほっぺたかあ。なるほどね」「うん、いじめは止まるな」「たしかに、止まりそうかも……」いや、本当に止まるのか...
大学のドイツ語の講師として働くことが決まったと、ジュンヤ先生に話している。フランスとドイツ旅行に行ったことを卒業論文にして提出したら、雇ってくれたらしい。ジュンヤ先生に話しているのを見ていると、羨ましかった。「おめでとう、良かったね」「フランスとドイツに行けたからです。ジュンヤ先生、ありがとう」「君が行きたいと思って行動したからだよ。礼を言うのなら、君自身にだよ」「大学に、ここの語学サークルのこと...
当の本人に聞けばいいのだけれど、どのように聞けばいいのか分からない。あれから1年経っても、まだ残像は残っている。ジュンヤ先生は、あの人とキスをしていた。覗いてはいけなかったかもしれない。でも、真後ろだったから気になって見てしまったんだ。他の大学生と高校生の2人も一緒になって、3人で上から覗いていた。見終わると、その2人はトイレに行ってしまった。僕はどうすることもできなかった。2人はトイレから戻ってくる...
ジュンはダディである友明に同じことを聞いている。途端にトモは怒り出す。「なんで、そういうことを聞くの!」「どんなものなのかなと思って」「ジュンは女の子と結婚するんだろ」「そうだよ。マミィのような可愛い女の子とするんだよ」「それなら、そんなことは知らなくてもいいことだろ」「そうなんだけど……」「なんだよ、モジモジして」そこでハッと気が付いたのか、こんなことを言う。「お前、女の子でなく男の方が好きなのか...
ジュンの言葉。「男同士でキスするのは、気持ちいいの?」あまりにもストレートな言葉にショックで言葉が出なかった。やっと頭が動き、言葉が出てくる。「よくテレビで見るハグして頬にする、あれは挨拶だよ」「ほっぺたでなく、ここだよ。口なの」そう言って、自分の口に指を置く。その仕草に、これはどこかで男同士のを見たなと気が付くと言っていた。「ジュンは男相手に、そこにキスをしたいのか?」「え? い、いや、どんなも...
ヒロは頭を優しくポンポンと叩いてくれると、ハグしてくれる。だから、この言葉を添えてハグをし返す。「ありがとう」ヒロにハグをされたまま聞いていた。「ねえ、ヒロ」「ん?」「あのね、僕、ずっと考えていたのだけど分からなくて。聞いても良いかな?」「何? 言ってごらん」その優しい口調と言葉に勇気を貰い、聞いていた。「男同士でキスするのは、気持ちいいの?」すると、ヒロは黙ってしまった。優しく頭や肩を叩いてくれ...
教育学部の5人は関内駅の構内へと向かう。「高橋。あれ、あいつどこ行った?」「後ろ」「後ろか」そう言うと、くるっと後ろを向く。「たか、あ!」「んじゃ、16日までバイなら」「裏切り者ぉー」彼女となった武田と連れ立って、高橋は一緒に歩いていく。その高橋に向かって吠えている海堂を置いて、他の3人もサッサと構内を歩いていく。それを見ていた経済学4人は呟いていた。「バイト先で彼女を見つけるとは」「さすが高橋」「し...
「結婚するって言った?」その声で、皆は一斉にざわつく。「ボスが?」「誰と?」「嘘だろ」「そんな気配なんて」そんな言葉にボスは戸惑う。「ん? 私が? いや、違う。私でなく……、違うから!」「違うって、なにが?」「いつ結婚するんだ?」「もしかして、遠距離恋愛してたとか?」その遠距離で思い出す。「あ、主語がなかったか」その言葉に皆は頷くと、素直に主語を口にする。「ナツだよ」「なつ?」「夏って何? 誰かのあ...
キッチンも掃除が終わり一息ついた頃、社長が食堂へやってきた。「お疲れ。皆には迷惑かけたね」バイト料を一人ずつ手渡してくれる。ありがとうございましたとお礼を言って、奥の和室に入る。布団は、いつの間にか押し入れに畳み込まれていた。現金でもらい、皆の懐と表情は明るい。荷物を持ち、21人の集団は関内駅へと向かう。駅前には2台のロールスロイスが停まっている。医学部のサトルとユタカは、その2台に近づく。「お迎え...
翌日はアルバイト最終日だ。ワンから買い物リストをもらい、買い物をして帰ってくると人数が増えている。「なんで2人がいるの?」「有志だから」「いつも2人でいるんだね。なんか羨ましいな」「いや、そうい」「新田、こいつはここで彼女をゲットしてるんだぞ。どう思う?」高橋は叫ぶ。「カイド―!」その叫びに対し海堂は両手をグーにしてガッツポーズする。「GO!」新田は驚いている。「彼女って……」「2階の女性スタッフ。片...
こちらは経済5人と松井の嫁。「ほら、これで食べるからな。欲しくない奴は食べなくていい」「新田、そういう言い方はよせ」「私は自分の気持ちをこの3人に話した。あとはお前たちの出方次第だ」そう言うと、餅をまな板に置くと包丁で切っていく。「おお、スパスパと切れる。やっぱり包丁で切る方が早いな」大変な思いをして餅を割った昼間を思い出すと、水でふやけさせた餅を切る方が効率がよいと気づく。「焼くか、煮るか。どっち...
教育学5人はスタンダードに餅を焼く。焼きノリがあるので、それをぐるぐる巻きにして醤油を付けて食べる。「美味いっ」「2つだなんて取りすぎたかなと思ったけど、食べきったな」「あー、満腹」「満足だ」もう一つ声が足りない事に気が付く。「高橋は?」「そういえば、どこ行ったんだろう」ジャジャジャジャーンッと効果音が聞こえてくると高橋が何かを持ってきた。「高橋、どこに」「これ見て」そう言って、持ってきた物を4人に...
サトルはタカに言う。「餅は夕食に食べるって」「何個?」「3個」3個をサトルに手渡す。すると、新田と海堂も言ってくる。「こっちにも2つ」「だって、さっき3個」だが新田は強気だ。「10人で3つだよと言ってるんだから。経済は2つ」同じく海堂も強気に出る。「教育も2つ。夕食まで時間あるから水に浸しておこうかな」その言葉に新田はすかさず応じる。「それ、いい考え。包丁で切りやすくなってるかもね」サトルはボスに聞...
キッチンに入ると、ボスは包丁の柄の部分を握り持っている。「ボス、今の音はなに?」「餅が割れた音」「は?」餅ではなく、どこかの台を壊したのではないかとキッチン台を見ていく。そんなサトルに声をかける。「乾燥しきってないからレンジで30分焼いたらパリパリになって、包丁のこの部分で叩き割っただけ」だけどサトルは目ざとく見つける。「ググっていたのか」「バレたか」サトルと一緒にキッチンに入ってきた新田はこう言う...
新田と海堂とタカとワンの4人は餅を割っていく。が、3分もしないうちにお手上げ状態だ。「らちが明かない」「時短できないかなあ」「パッカーンって割りたいね」タカは、その3人に言ってやる。「レンガみたいに固くなっていれば割れるけど、そこまで固くないから無理」3人は考え込むと、ワンは何かがひらめいたみたいだ。そんなワンの表情に気づいたタカは、ワンに声をかける。「何を思いついた?」「工具でやればどうだろう?...
皆が具材をカットし終えると、タカは新田と海堂を伴って上がってきた。「重かったー」その言葉に、サトルは聞く。「なにをそんなに持ってきたんだ?」「はい、これ」そう言ってタカはビニール袋を差し出すので、サトルは中を見ると言っていた。「お前ね、限度というものを知らないのか?」「雑煮を作るって言ったら、皆が入れるんだよ」そう言うと、新田と海堂の方を指さす。「餅を貰った。あの2人に手伝ってもらったんだ」その餅...
翌日の1月1日は、経済6人は1階、教育5人は2階、医学部5人は2階、残り5人は3階食堂に分かれる。「今日は何人だって?」「100人越え」「最高人数だな」「買い物……。店、開いてるかな」「そういう場合は」皆して拝む。「サトル様」「やめろ。そういうのは、ここ横浜では効かないから」「都内だけか……」皆は色々とメニューを口にするが、それをヒントにタカはあるメニューを口にする。「雑煮は? ここ魚屋だからアラや骨は十分に...
その夜、医学部の10人の夕食はサトル持参のプロテインとジュンヤ持参のゆで卵、残り物の野菜で簡単に作った野菜炒め、味噌汁だ。それらを和室で食べながら、ユタカが勝手に取り付けた盗聴器を聞いていた。ボスは考え込む。「うーん、こうなるとはな」スズメはこれだ。「そっかあ、あの金魚の糞はそう思っていたのか。ってことは、年上か」サトルは簡潔だ。「二浪したのか」マサは素直に気持ちを口にしていた。「経済を一発合格した...
コンシェルジュを2時間もやっていると薄暗くなってくる。客足も途絶え気味になってきたのでジュンヤも店内に入り模様替えを手伝う。「明日もしますか?」「いや。明日は正月用に海鮮と寿司と造りの販売だけ」チーフは声をかけてくる。「専務、その量ですが……」「なんだ、歯切れ悪いな」「実はお造り384と、寿司が248入っています……」「えらく多いな。ジュンヤ様効果か?」「それもありますが、解体ショーの時の注文で、130ずつ。今...
一方、こちらは1階に下りたジュンヤは一人だけ店先に設置されたブースにいた。当然のことながら黄色い声援付きだ。離れている店内にまで、それが聞こえてくる。「うーむ、離しているとはいえジュンヤ様ビームは凄いな」「余波がここまで響いてくる……」「あの時は何が起きたのか分からなかったが、これか……」「彼一人で大丈夫かな」「店内に誘導してとは言ったけど。あ、でも大丈夫そうだ」数人が入ってくる。「いらっしゃいませ」...
洗面スペースに寄り顔を洗うとキッチンに出る。「代わるよ。お疲れ様ー」「お疲れ。話し合い、終わった?」「うん、終わった」松井は聞いていた。「新田、あの3人は」「今はパス! ほら、来るよ」途端に、威勢よくドアが開く。「お疲れ様ですー」「お疲れ様。一人一皿ね」「はーい! お、ハンバーグだ」「こっちのスープ美味しそう」「ご馳走様でした」「このサラダ、ビールが欲しくなりそうだ」「松井、グラス足りないから先に...
たったそれだけの事なのに、桑田は目くじらを立てる。松井は、桑田の怒りを収めようと声をかける。「お前の気持ちも分かるが、我慢しろ。それにやることは」「松井はあんなことを言われて悔しくないのか。腹立たないのか」「なんの事だ? さっきのは単なる社交辞令だろ」「どこがだ」新田は我慢していた。「今は仕事中だ。怒りは夜まで待ってろ」元宗も言ってくる。「新田はいいよな」宮田はこれだ。「そうそう。自分だけ良いよう...
13時前にはドドンッとやってくる。食洗器をフル稼働させながら、3人は焼いたりサラダを盛ったり、食器類を取り出したりしていく。「そろそろ、こっちを出すかな」ユウマは呟くと鍋を持ち表に出る。ガラッとドアが開き、声が聞こえてくる。「お疲れ様です」「お疲、あ、サトル」「大変だった?」「これからが一番大変だと思う」「食べたのか?」「3人とも食べたよ。あと、経済との関係が悪くなってる。アフターよろしく」「仕方ない...
12時になったが誰も来ないので3人は一番乗りで食べる。「たまにはいいな」「ゆっくり気分で食べれるだなんて久しぶりだな」「出来立て美味しい。あのきゅうりがこうなるとは思いもしなかったな」2人の声は重なる。「見事に酒の肴だ」「たく、二人そろって」「いい味出してるよ」 「それはありがとう」12時半を過ぎると5人が入ってくる。「お疲れ様です」「お疲れ様」「ハンバーグだ!」「嬉しい、2個もある」「1つがドンとあ...
3人そろって20分後にはハンバーグのタネだけでなく、サラダのきゅうりとスープの材料もカットし終わる。「味はコンソメでいいかな?」「任せる」ピーと音が鳴る。「何の音?」「米が炊けた音だな。サラダはレタスではなくキャベツか。千切りにでもするか」「赤みがないな」「スープに人参入れるから大丈夫」「カレーの時に買った人参か」「誰かさんが大量に買ったから」「タカだろ」ユウマは手際よく米をジャーに移していく。「う...
2階からはマサとユウマの2人が飛んできた。「ジュンヤが喚き散らしてるって言ってたけど」「まるっきりキレてないし。これの、どこが怒り飛ばしてるって言うんだ?」紐で床を打ち、言ってやる。「包丁を持てないのが3人いる。そんな奴らはハンバーグとサラダと味噌汁だ」「それなら、包丁は1人か2人にさせればいいのでは?」「見てみろ、これはきゅうりみたいだぞ」そう言ってまな板を指すと、2人は唖然としている。「え?」「そ...