【本】中村文則『列』~相対的にしか幸福を感じられない不幸と呪い~
1、作品の概要 『列』は中村文則の中編小説。 2023年10月5日に刊行された。 群像2023年9月号に掲載された。 152ページ。 列に並ぶことを通して、相対的にしか感じられない現代社会における幸福を描いた。 2、あらすじ 「私」は気付いた時から列に並んでいて、なぜ列に並んでいて、自分が何者なのかの記憶をなくしていた。 他者より一歩でも先に進みたい、この列から離れて逸脱したくない。 様々なトラブルに見舞われながら列に並び続けることに固執する「私」だったが・・・。 猿の生態を研究している大学の非常勤講師の草間は、大学院生の石井と一緒に猿の群れを観測し続けていた。 非常勤講師という不安定で低収入…
2023/10/11 19:53