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山田オツト・詰子
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2024/04/05

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  • みたらしから飛騨牛へ

    岐阜県高山市荘川に来ている。ちょっとしたプチ旅行だ。僕は健康維持のために、毎日30分のウォーキングを日課としている。これは旅先でもするように心がけていて、この日もいつも通り歩くことにした。妻の詰子は道の駅に行って土産物を探すと言う。国道沿い...

  • 幸運が続く日

    妻の詰子と岐阜県高山市荘川に行く。156号沿いの道の駅「清流長良川あゆパーク」で休憩する。もちろん、あゆの塩焼きをいただくためだ。駐車場の隣に設置されたテントであゆを焼いていて、いい匂いが漂っている。注文をしようとすると、スタッフのお姉さん...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子は医者の勧めでリベルサス(血糖を下げる薬)を服用している。3月からは、吐き気の副作用が酷いという理由で7mgから3mgの効果の弱い薬に変えた。その甲斐あって身体は楽になったようで食欲も増している。しかし、検査結果によっては再度7mg...

  • 母と暑い日のコタツ

    母は79歳。この歳になると、さすがに身体のあちこちにガタが出る。このところ夏日が続いたせいか、あせもができたと言う。先週は胃カメラの検査も受けた。明日はその結果を聞きに、母と一緒に病院へ行く。そのため、今夜は実家に泊まることにした。22時を...

  • 長期投資は気長に、夫婦の会話は気楽に

    僕と妻の詰子は 老後のために株式投資をしている。ニュースを見ていると「日経平均株価の上げ幅が一時2000円超え 初の6万8000円台に」という見出しが目に入った。「詰子ちゃん、日経平均が初めて6万8000円台になったらしいよ」「日経平均は、...

  • オツト、きゅうり初心者でやらかす

    プランター菜園で枝豆ときゅうりを育てている。きゅうりは初挑戦で、指南書を見ながらやっている。妻の詰子が聞いてくる。「枝豆ときゅうりはどう?」「このまえさ~、きゅうりなんだけど、本にわき芽をかき取るって書いてあったからやったんだけど、切っちゃ...

  • もう二度とやらん

    母を病院へ連れて行った。胃カメラの検査だ。いつも苦しい思いをするので母は嫌がっていたが、それをなだめて連れて行った。検査が終わり、母を実家に送り届け、帰宅すると妻の詰子が心配そうに聞いてくる。「お母さん、どうだった?」「『もう二度とやらん』...

  • デザートは別腹

    今日の晩ごはんはお好み焼きだった。妻の詰子はデザートにバナナを美味しそうに食べている。僕が食器を下げようとすると、詰子の皿にお好み焼きがひと欠片残っている事に気づいた。「詰子ちゃん、このお好み焼き食べないの?」「もうお腹がパンパンだもん」詰...

  • 詰子とサンダル

    暑い日が多くなってきた。僕も妻の詰子も、普段はスポーツサンダルを履いている。通気性が良くて疲れず、歩きやすいので気に入っている。僕たちは同じモデルのスポーツサンダルを履いていて、色も同じで見分けがつきにくい。詰子がサンダルを履いて、これから...

  • えのきとそうめん

    リビングに行くと、いい匂いがする。肉を焼いた匂いだ。どうやら妻の詰子が料理したようだ。「詰子ちゃん、いい匂いがするよ」「うん、えのきと肉を炒めて食べた」「美味しかった?」「ん~、えのきが歯に挟まってる」それを聞いて思わず笑ってしまう。「ハハ...

  • 午前7時10分の怪

    神戸シェラトンに泊まっている。朝、部屋のドアが「カチャ」と閉まる音で目が覚めた。どうやら妻の詰子が朝風呂に行ったようだ。起きるにしてはまだ早い。もう少し眠っていようと思って目を閉じた。どれほど経っただろうか。突然大きな音を立ててテレビが鳴り...

  • 神戸にて、幸福の段取り

    神戸ベイシェラトンホテルにやってきた。2023年以来、約3年ぶりだ。2度目の利用とあって勝手が分かっている。妻の詰子の頭の中は満喫するための段取りでいっぱいだ。チェックインして、まずプールに行く。ひと泳ぎした後、温泉にゆっくり浸かる。風呂上...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子は医者の勧めでリベルサス(血糖を下げる薬)を服用している。副作用が酷いので、3月から効果の弱い薬(7mgから3mg)に変えている。詰子が診察を終えて車に戻ってきた。「どうだった?」シートベルトを締めながら尋ねると、彼女は短く答えた。...

  • ゴールデンウィークにはじまる家庭菜園

    今年は家庭菜園できゅうりと枝豆をやろうと思っている。ゴールデンウィーク中にホームセンターに苗を買いにいきたい。妻の詰子に声をかける。「詰子ちゃん、あそこに行きたいんだ」言ったはいいが、肝心の「ホームセンター」が出てこない。詰子が首をかしげた...

  • インスタントコーヒーの悲劇

    コーヒーを淹れようとキッチンに立つ。コーヒーといってもインスタントだが、その瓶を見るとカラになっているので新品の蓋を開ける。そのとき、手から瓶が離れてシンクの中に落とし、中身がこぼれ出た。つい、大声が出る。「あぁ~、くっそ~」妻の詰子に話す...

  • 夫婦は似てくるという話

    妻の詰子が研修に行くと言うので、車で30分の距離を会場まで送っていく。2時間の研修だそうだ。詰子が研修を終えるまでホームセンターで買い物をして、コメダで時間をつぶそうと計画した。「詰子ちゃん、ホームセンターに行って買い物してくるよ」「あのさ...

  • 同じベッドで眠るということ

    セントレアにあるフォーポイントバイシェラトンに泊まっている。部屋はキングサイズのベッドで、当然、妻の詰子と同じベッドで寝ることになる。朝目覚めると、詰子が聞いてくる。「オツトくん、寝れた?」「寝れない。詰子ちゃんが寝返りする度にベッドが揺れ...

  • 攻撃してくるテーブルと椅子

    中部国際空港セントレアに来ている。これからレストラン街で、妻の詰子と夕食を取る。詰子が「海老味噌ラーメン」を食べたいと言う。どこから聞いてきたのか分からないが、確かに美味そうだ。目的の店舗を調べて行ってみることにした。食券を買うとテーブル席...

  • 完全なる蛇足

    リビングに行くと妻の詰子が苦しそうにしている。「詰子ちゃん、どうしたの?」「牛キムチ食べたら気持ち悪くなった」最近、詰子は“牛キムチ”に夢中だ。豚キムチの変化球として自作を繰り返し、日々研究を重ねている。「今日は牛キムチにコチュジャン入れた...

  • なんだコレ?

    僕は毎朝起きたら白湯を飲む。いつものように、コップ一杯分の水を鍋に入れて火にかける。沸いた白湯をコップに注ぐと茶色の液体になっていることに気づいた。「なんだコレ?」つい声が出た。それを聞いた妻の詰子が振り返って言う。「何を文句言ってるの?」...

  • 水耕栽培、油断したらこうなった

    冷蔵庫の中の玉ねぎから芽が出てきた。調べると水耕で手軽に栽培できるようなので育ててみようと思う。妻の詰子に報告する。「詰子ちゃん、玉ねぎの芽がどんどん育ってるよ」「ホントだ」「ある程度伸びたら薬味で食べることにするよ」順調に育っている。あま...

  • 叔父の家に増えた“新しい家族”

    法事で叔父の家に行く。叔母つまり奥さんが20年ほど前に亡くなり、さらに昨年お母様も亡くなってひとりで寂しく過ごしている。お宅に着くと、なんと、家族型ロボットの「らぼっと」がお出迎えしてくれた。「家族が増えたって言うから犬でも飼ったのかなと思...

  • 意外な角度から攻撃された気分だ

    3月の初めに特定健康診査を受けた。例年、結果は概ね良好で問題になるような診断を受けたことがないが、今年はコレステロール値が高く、肝臓の数値も悪い。再検査で血液検査と腹部の超音波エコー検査を受けたので、これから結果の説明を聞く。かかりつけ医が...

  • 今年も夏野菜の季節がやってくる

    昨年、家庭菜園でナスと枝豆を育てた。今年はきゅうりと枝豆にしようと考えている。妻の詰子が言ってくる。「オツトくん、そろそろ夏野菜の準備をしたほうがいいんじゃない?」「ホントだ。忘れてた。先日ホームセンターに行ったときに見てくればよかったよ」...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子は医者の勧めでリベルサス(血糖を下げる薬)を服用している。副作用が酷いので、先月から効果の弱い薬に変えている。詰子が診察を終えて車に戻ってきた。「詰子ちゃん、どうだった?」「『数値がちょっと上がってるけど、全体的に悪くはない。もう少...

  • 焼酎はお湯割りで

    毎晩、僕は寝酒に焼酎のお湯割りを飲む。妻の詰子もそのことを知っているので、テレビで得たという焼酎情報を僕に教えてくれた。「オツトくん、九州の人が焼酎を飲むときは、大抵、お湯割りなんだって」「へぇ~」「だから6:4 とか7:3とか書いてある専...

  • 荘川の蕎麦と、道の駅の孫の手

    岐阜県高山市荘川町に来ている。荘川蕎麦が有名だ。昼にホテルをチェックアウトして、「むろや」という店で蕎麦とヒレカツを食べて帰るのが僕たちの慣例だ。食事を済ませたら、高速は使わず下道でゆっくり帰ることにした。途中、美並の道の駅に寄った。売店を...

  • 温泉、ビール、そして寝落ち

    フェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜高山白川郷にやってきた。2025年9月以来、約半年ぶりである。隣接する道の駅にある天然温泉が良質でとても気に入っており、定期的に訪れることにしている。1時間ほどかけてゆっくり温泉に浸かったあと、食堂で...

  • ご近所さんに誘われて、思いがけない学びの時間

    1年ほど前に引っ越してきた隣人とごはんを食べに行くことになった。僕の親くらいの世代の人で、年配の老夫婦である。妻の詰子に報告する。「詰子ちゃん、お隣さんの爺さんに会って挨拶をしたんだけど、ごはん行こうって誘われたよ」「そうなんだ」「うん。『...

  • インコの動画と僕の口ぐせ

    妻の詰子がYouTubeを見てひとりごとを言っている。「詰子ちゃん、どうしたの?」「このインコさ〜、すごく頭が良いもん。『アレクサ目覚ましかけて、リンダリンダかけて』って言ってる」「あぁ〜、それ、見たことあるな」飼い主の意に反して、言うこと...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子は医者の勧めでリベルサス(血糖を下げる薬)を服用している。主な副作用として吐き気や食欲減退などがあり、食事の取れない日が続いている。詰子が診察を終えて車に戻ってきた。「詰子ちゃん、どう?」「先生に気持悪いって言ったら、『とりあえず値...

  • はじめての大阪上本町

    名古屋を出たときは春の陽気だったが、また冬に逆戻りしたようだ。妻の詰子はダウンジャケットを着てこなかったことを悔やんでいるようである。僕たちはシェラトン都ホテル大阪に移動した。はじめて利用するホテルだ。大阪の地理には詳しくないが、ホテルのあ...

  • オツト、比叡山へ行く

    琵琶湖マリオットホテルに滞在している。このホテルには何度も来ているが、いつもダラダラ過ごしてばかりで観光をしたことがほとんどない。せっかくなので今回は比叡山延暦寺に行こうと思う。妻の詰子に聞いてみる。「比叡山に行こうと思うんだけど、詰子ちゃ...

  • 詰子の誕生日

    妻の詰子の誕生日である。お祝い旅行ということで、琵琶湖マリオットホテルへやってきた。詰子がチェックインを済ませると嬉しそうに近づいてくる。「オツトくん、誕生日だから、温泉付きの部屋にアップグレードしてくれたよ。しかも『お部屋にシャンパンのサ...

  • メモは語らず

    早いもので3月に入った。妻の詰子が手帳を見ながら悩んでいる。「あのさ~オツくん明日の予定に『24』って書いてあるんだけど、何のことだか思い出せないんだよね」「ハハハハ」「『24』っていう数字を見れば思い出せると思って書いたと思うんだけど…」...

  • 老後資金と、上がらない株の話

    妻の詰子が仕事から帰ってきた。話しかけてくる。「オツトくん、今日、日経平均がすごい上がってるよ」「マジで!?」「うん、でも、私の持ってる株だけ上がらんもん」「ハハハハ」あとがき2/26、日経平均が史上初の5万9000円を突破しました。ちょっ...

  • 印鑑手帳を探して

    印鑑証明をもらうために、妻の詰子と二人で役所に行く。他の書類が入ったA4のクリアファイルに印鑑手帳を入れる。しかし、役所の前に来たとき、そのクリアファイルに印鑑手帳がないことに気づいた。「詰子ちゃん、印鑑手帳がないよ」「ハハハハ。またか~。...

  • ポルチーニってどうやつ?

    妻の詰子がテレビを見てひとりごとを言っている。「これ、食べた~い」独り言にしては、ずいぶんと力強い。僕は思わず顔を向けた。「詰子ちゃん、何の番組?」「ポルチーニ」「ぽるちいに? ポルチーニってどうやつ?」「ハハハハ」「なんで大笑い?」「ハハ...

  • 大腸カメラ検査

    今日は二年に一度の大腸カメラ検査の日だ。前日から下剤を飲んでおり、なんとも腹の調子が悪い。これから病院に行き、さらに2Lの下剤を飲む。これが結構辛い。ポリープが発見されて切除の場合1泊入院し、何もなければ日帰りだ。妻の詰子が聞いてくる。「オ...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子は1ヶ月ごとに血液検査のために診察を受けている。その検査で一番注意しなければならないのはHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)という値だ。食事に気をつけないといけない。駐車場の車内で待っていると、診察を終えた詰子が戻ってきた。「A1...

  • 衆議院選挙2026

    選挙だ。投票所は小学校だが駐車場の台数が少ないので、空いている時間帯に行きたい。「詰子ちゃん、混むから15時過ぎに選挙に行くから」「わかった」「そのあとスーパーで買い物して、晩ごはんにするから」「じゃ~、今からご飯だけ炊いてくれる?」「うん...

  • 肉の名前が思い出せない

    神戸に来ている。妻の詰子が、ハーバーランドにシュラスコの店があるので行きたいと言う。「オツトくん。シュラスコの食べ放題の店があるから行ってみたいんだよね」「あのさ~、シュラスコってどんなやつ?」「ん~、肉を焼いたやつ」「肉を焼いたやつ……?...

  • 雪の神戸、ラウンジにて

    大阪から神戸に移動した。神戸マリオットホテルに泊まる。ここもはじめてくるホテルだ。外は寒く、とても出かける気にならない。ラウンジで妻の詰子とお茶を飲むことにする。「オツトくん。外、雪が降ってるんじゃない?」「ホントだ。みぞれっぽいね」テレビ...

  • あべのハルカスで転びかけた日

    大阪に来ている。妻の詰子とあべのハルカスの展望台に行くことにした。大阪マリオット都ホテルから直行で行ける。展望台に来るとさすがに高く、大阪平野が、まるで巨大な地図のように足元へ広がっている。詰子と並んで、ゆっくりと回廊を歩いていると、突然そ...

  • パニーニって何だっけ?

    大阪マリオット都ホテルにやってきた。はじめての場所はワクワクする。あべのハルカスの上層階にあるホテルで、それだけで非日常感が強い。夜、ラウンジの灯りが柔らかく揺れていた。カクテルタイムのざわめきの中、妻の詰子がスモークサーモンをつまんで言う...

  • 詰子ちゃんは常識を超えてくる

    リビングの扉を開けた瞬間、ふわりと香ばしい匂いが鼻をくすぐった。炒め物の匂いだ。油が跳ね、肉が焼け、タレが焦げるあの幸福な香りだ。妻の詰子に聞く。「詰子ちゃん、何食べたの?」「ハハハハ。あのさ~、私が何を食べたか聞くのやめてくれる?」「なん...

  • 詰子、マイナンバーと闘う

    リビングに足を踏み入れた瞬間、空気がピリッと張りつめた。ソファの上では、妻の詰子がスマホを片手に、何かと闘っている最中だった。「めんどくさいな〜。字が見えんがや〜」小さく唸りながら、役所から届いた案内状を睨みつけている。どうやらマイナンバー...

  • いつか行く道

    実家に帰る。母は1年前に脳梗塞を患い、それ以来記憶がおぼつかない。様子を見るために定期的に帰ることにしている。「ただいま〜。調子はどう?」「変わりないわ。」「それは良かった。」困っていることがないか母に確かめると、電波時計を指して言う。「こ...

  • 歯とハサミとトンテキの攻防戦

    琵琶湖マリオットホテルに来ている。朝食会場には、色とりどりの料理が並び、まだ眠気の残る身体をやさしく刺激してくる。ソーセージをひと口かじった瞬間だった。前歯に、鋭い痛みが突き刺さる。「あぁっ、ダメだ」思わず声が漏れると、妻の詰子が顔を上げた...

  • 平泳ぎに決まっとるがや

    琵琶湖マリオットホテルに来ている。妻の詰子とプールでひと泳ぎすることになった。「ひと泳ぎするか」そう言ったものの、僕は泳ぎが得意ではない。一応、沈まずに進むことはできるが、遅いし、すぐに息が上がる。対して詰子は、高校まで水泳部に所属していた...

  • 琵琶湖マリオット、いつもの時間

    琵琶湖マリオットホテルにやってきた。何度も訪れているはずなのに、玄関をくぐるたび、胸の奥がふっと軽くなる。ここでは観光などしない。ただ温泉に浸かり、好きな酒を飲み、妻の詰子とゆるやかに時間を過ごす。それだけで十分だ。温泉で火照った身体をラウ...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子は医者の勧めでリベルサス(血糖を下げる薬)を服用している。巷で痩せる薬と言われているものだ。主な副作用として、吐き気、食欲減退などがあり、体調のいい日もあれば悪い日もあって、一様でない。詰子が診察を終えて車に戻ってきた。「詰子ちゃん...

  • いつの間にか、たんこぶ

    夕方、リビングに向かうと、妻の詰子が額に手を当てながらこちらを振り向いた。「オツトくん」呼ばれて顔を上げると、彼女はどこか不思議そうな表情をしている。「なに?」「なんかね、記憶がないんだけど……ここに、たんこぶができてる」そう言って、前髪を...

  • 謹賀新年 2026

    新しい年が静かに明けた。例年どおり、我が家の正月はどこへ出かけるでもなく、ゆるやかな時間だけが流れていく。すべてがのんびりとした空気に溶け込んでいた。年末に、実家の母から烏賊の塩辛をもらった。試しに一口食べてみると、思わず唸るほど旨い。塩気...

  • 痛みのない夜

    僕は歯が悪い。近ごろは、歯が染みて美味しく食事ができない。歯医者に通っているが、先生の方針でなかなか神経を抜いてもらえなかったが、いよいよ今回抜くことになった。治療を終えて帰宅すると妻の詰子が聞いてくる。「どうだった? 抜いてくれた?」「う...

  • そのビタミンC、そんなにすごいの?

    右手の中指の爪に縦に線が入っている。しかも薄くなってペラペラしている。最近、爪が割れたり欠けたりすることが増えた。妻の詰子に相談してみる。「詰子ちゃん、最近、爪が割れるんだよね」詰子が顔だけこちらに向ける。「そうなの?」「うん。ビタミン不足...

  • 冬の京都で鼻から水が入る

    琵琶湖マリオットホテルから京都に移動してきた。今日はウェスティン都ホテル京都で一泊する。京都は1年2か月ぶり、このホテルは2年半ぶりだ。どこにも観光はしない。妻の詰子がプール好きなので、プールを楽しんでからホテルの温泉につかり、そのあと美味...

  • 去年も言ってたよ

    琵琶湖マリオットホテルにやってきた。8月以来、4ヶ月ぶりの再訪である。チェックインを済ませ、部屋に入ると、詰子は待ちきれないとばかりに袋を開けた。河西いちご園の、真っ赤に熟れた宝石のようないちごが顔をのぞかせる。ひと粒つまんで口に運んだ瞬間...

  • オツト、餃子の皮から作る

    今日は僕が餃子を作る。美味しい餃子を求めて皮から作ることにした。小麦粉を水に溶き、手のひらで押し返すように捏ねる。しっとりとした生地の塊から丸く伸ばし、薄い円盤に仕立てる。タネを包み込むと、16個の餃子が並んだ。焼き上がる音が、油の中で弾け...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子は1ヶ月ごとに血液検査のために診察を受けている。その検査で一番注意しなければならないのはHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)という値だ。食事に気をつけないといけない。駐車場の車内で待っていると、診察を終えた詰子が戻ってきた。「詰子...

  • 詰子の愛あるツッコミ

    昨日のオツト日記にて—— 「詰子が半袖短パンで真夏のような部屋を作ってる」とのこと。ふふん、言いたい放題ね。でもね、寒がりなのはいいけど、家の中でダウンベストってどうなのよ。まるで登山家。それに、あのリビングのドア。私が「開けておいて」って...

  • 我が家の暖房事情

    めっきり寒くなった。先日、我が家のある名古屋でも初雪を観測した。完全に冬の到来だ。僕は寒がりなので、長袖長ズボン、靴下を履き、家の中でもダウンベストを着ている。一方で妻の詰子は暑がりで寒さに強い。だが、そんな詰子でもこの寒さはこたえるようだ...

  • 焼酎とアロマ

    僕は寝酒に焼酎のお湯割りを飲む。台所でスマホをいじりながら飲むのがいつものスタイルだ。リビングから鼻をすする音が聞こえてくる。振り返ると、妻の詰子がティッシュを手にしていた。「詰子ちゃん、どうしたの?」「鼻が詰まった」そう言うと、詰子は小瓶...

  • 染みない日

    僕は歯が悪い。上手く噛めず硬い食べ物が苦手だ。それに加え、熱い飲み物や冷水が染みるようになってきた。食事の度にストレスになり、楽しむどころかただの試練になってしまった。その症状は酷くなるばかりだが、どういうわけか、今日は違った。料理を口に運...

  • 噛めないけれど、笑える

    僕は歯が悪く、52歳で入れ歯をしている。歯はすっかり弱り果て、かつてのように硬いものを豪快に噛み砕くことはできない。煎餅を食べていると、上手く噛めずクチャクチャ言ってしまう。妻の詰子が言ってくる。「オツトくん、クチャクチャ言ってるよ」そんな...

  • 新潟味のれん本舗/お米でつくったふんわりチップス

    先日、実家から帰るとき、母からお土産をもらった。スナック菓子で「お米でつくったふんわりチップスえび味」と書いてある。家に戻って妻の詰子に見せると、すぐに封を開けて食べはじめた。食べるとサクサクの食感で、口の中に入れた途端、溶けてなくなる。と...

  • 母と僕はそっくり!?

    母は昨年末に脳梗塞を患った.あのときは覚悟を決めたが、今では奇跡的に復活した。たまにボケたことを言うが、それが病の後遺症なのか、ただの老化なのかは定かでない。そんな母から電話がかかってきた。「ドコモからメールが来たんだけど読んでも意味が分か...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子が、背中が痛いと言う。筋を違えたようだ。ここ最近、このような不調が続いていて辛そうだ。きっと運動不足か食事が偏っているか、生活の歪みが積み重なっているように思えた。そんな詰子は、今日、月に一度の診察日で血液検査を受ける。病院の駐車場...

  • みかんと柿と、いつものやり取り

    2泊3日の南紀白浜の旅も、最終日の朝を迎えた。妻の詰子と朝食会場に足を運ぶと、部屋のカードキーがないことに気づいた。僕には昔から、手に持ったものをどこかへやってしまう悪癖がある。「あれっ、カギがない」慌てる僕に、詰子は落ち着いた声で言う。「...

  • 胃薬までがフルコース

    マリオット南紀白浜。朝食は、旅の楽しみのひとつ。特にこのホテルの焼きたてクロワッサンは、僕の中で殿堂入りしている。けれど、僕は朝が苦手で、いつもギリギリまで布団にしがみついている。妻の詰子はというと、朝食会場に一番乗りしたいタイプで、僕の寝...

  • グビグビ日和

    南紀白浜に行く。ゴールデンウィーク以来、半年ぶりの再訪だ。名阪国道を走り、針テラスでひと休みする。肉まんを買って腹ごしらえをすることにした。妻の詰子が飲み物を買いに行ったのだが、どういう訳か手ぶらで帰ってきた。「詰子ちゃん、どうしたの?」僕...

  • ピントが合わない日常

    目が、ぼやける。遠くを見ようとすれば霞み、近くを見ようとしても輪郭が定まらず、焦点を移動させる度に全くピントが合わない。スマホを見ていたあとにテレビに目をやると、その映像が曖昧でストレスを感じる。「めんどくさいな……」そう言いながらテレビの...

  • 風邪かと思えば、ただの寒さ

    朝、目覚めてリビンクに行くと、妻の詰子が体温計を手にしてソファに腰掛けていた。「詰子ちゃん、どうしたの?」声をかけると、詰子は少し眉を寄せて答えた。「ん〜、体がだるい。ちょっと微熱だし……。風邪、引いたかも」「マジで?」そしてその日の夜。夕...

  • 昨日と今日は違う

    朝起きてリビングに行くと妻の詰子が辛そうにしている。数日前に寝違えて、それから背中が痛いらしい。「詰子ちゃん、ご機嫌いかが?」「背中が痛いよ」「昨日はちょっと楽になったって言ってたじゃん」「昨日と今日は違うの」確かに、詰子の言うとおりだ。詰...

  • 深夜の蕎麦

    夜も更け、そろそろ寝る時間だ。しかし、どうも小腹が空いて寝れそうにない。何か食べようと食品棚を開けると、奥のほうから蕎麦の乾麺が出てきた。手に取ると封が開いている。いつ開けたのか分からない。賞味期限を確認しようと裏面を探すが、その肝心な部分...

  • 文句じゃなくて、事実です

    急に寒くなった。今日の名古屋の最高気温は16℃。長袖長ズボンですっかり衣替えだ。昼になり、妻の詰子と外に昼食を取りに行くことになった。目当てのレストランに車で向かう。案内された席に腰を下ろした瞬間、僕の顔が思わずしかめ面になる。「さむっ、エ...

  • 詰子と相場と、ちょっと政治

    僕と妻の詰子は老後のために株式投資をしている。今ではそれが詰子の趣味となり、プロトレーダーのような振舞いで挑んでいる。詰子がご機嫌に話してくる。「日経平均が5万円に行きそうだよ」「ホント?」「うん、高市さんの影響がすごいね」「詰子ちゃんが持...

  • 寝れば治る、では済まない話

    今日も無事に一日が終わり、妻の詰子と晩ごはんを食べ終えたところだ。突然、詰子が大きなため息をつく。「はぁ〜」「どうしたの?」「食べ過ぎた」「ーーーー。寝れば治るんじゃない」「ハハハハ」詰子が大声で笑うが、何がそんなにおかしいのか分からない。...

  • 閉店間際のスーパーマーケット

    妻の詰子とスーパーマーケットにやってきた。いつものように詰子がカートを押しながら、ふたりで並んで進んでいくと、陳列棚の切れ目に差しかかった。次の島へ進むか、それとも左に曲がるか。そこで僕たちの動きがすれ違った。詰子は右側からふいに左へと身を...

  • 胃薬は先手必勝?

    僕は胃腸が弱い。暴飲暴食をすると必ず胃が痛くなり下痢を起こす。にもかかわらず、外食をすると調子をこいて食べて過ぎてしまい、胃薬を飲むことになる。妻の詰子はそんな僕を見て呆れて笑う。先日、詰子に誘われてピザの食べ放題に行った。詰子のお気に入り...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子には持病があり、1ヶ月ごとに血液検査のため診察を受けいる。「詰子ちゃん、検査はどうだった?」「カリウムがすごい少なくなってて、その値が低いと不整脈が出やすいんだって。利尿剤と一緒に出ちゃってるから調整する薬を増やすんだって」「そうな...

  • オツト、お好み焼きを作る

    今日の晩ごはんは僕が作る。お好み焼きを作ることにした。プロが作るそれとは違い、キャベツを切って焼くだけだ。素人の僕でも失敗の確率は極めて低い。市販の粉を溶き、キャベツを粗みじんにして混ぜる。ちょっとキャベツが多かったようだが、まぁいいだろう...

  • 詰子ちゃんなら傘なしで

    今日は朝から雨が降っている。すっかり秋めいて涼しくなった。妻の詰子が出かける支度をしている。徒歩で3分の距離にある職場に、これから出かけるようだ。詰子が聞いてくる。「雨降ってる?」「たぶん」「どのくらい?」「ん~、さっきは結構降ってたけど、...

  • オツト、またひとりでやらかす

    僕は寝酒に焼酎を飲む。飲むときは決まってお湯割りだ。夏だろうが冬だろうが関係ない。お湯を沸かすときは電子レンジを使う。沸いたのでカップを取り出したら、アツアツのお湯が手にかかってしまった。「あっつ〜」妻の詰子を見ると、呆れた顔をして言ってく...

  • オツト、出血する

    風呂から上がって体を拭く。バスタオルを見ると僅かだが血が付いている。どこかから出血しているようだ。ヒゲを剃るときにカミソリで斬ったかと思い、鏡を見るがどこも傷になっていない。痛いところもない。綿棒で耳掃除をしながら考える。そういえば、顔を洗...

  • リベルサスと100年人生

    妻の詰子は医者の勧めでリベルサス(血糖を下げる薬)を服用している。巷で痩せる薬と言われているものだが、吐き気、食欲減退などの副作用があり、詰子は昨日から全く食事が喉を通らない。かなりツライようだ。「詰子ちゃん、大丈夫?」「はぁ〜、1日食べな...

  • オツト、寝てるだけなのにうるさい

    朝起きると、どうも体が重い。リビングに行くと妻の詰子が朝食を取っている。「詰子ちゃん、おはよう」「おはよう」「なんか、体がすごい疲れてるよ」「どうしたの?」詰子が心配そうに聞いてくる。「なんか、最近、俺、自分のいびきが聞こえてるような気がす...

  • 賞味期限は笑いで超える

    お腹が空いたので何か食べようと冷蔵庫を開けた。奥に冷凍餃子を見つけたが、賞味期限を確認するととうの昔に切れている。妻の詰子に相談する。「詰子ちゃん、この餃子、賞味期限切れてるんだわ」「いつまで?」「去年の9月24日。ちょうど1年前だな」「ハ...

  • 今年も、月見の季節がやってきた

    テレビのCMを見てると、季節柄「月見〇〇」「〇〇月見」という商品が流れてくる。妻の詰子が言う。「どこもかしこも、なんでも月見にすればいいと思っとるな」確かに詰子の言うことにも一理ある。だが、季節の訪れを告げる風物詩のように、この時期だけ姿を...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子は月に1回のペースで、医者で血液検査をしている。一番注意しなければならないのはHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)という値だ。病院の駐車場で待っていると、詰子が診察を終えて戻ってきた。「詰子ちゃん、今日の検査はどうだった?」「ちょ...

  • 見えない自販機と見えない未来

    妻の詰子は、夜な夜な、我が家から歩いて三分ほどの距離にある事務所(詰子の職場)に出かける。誰もいない事務所でお茶を飲み、ひとりの時間を楽しんでいる。今日も出かけるのかどうか気になったので聞いてみた。「詰子ちゃん、今日も事務所に行くの?」「ち...

  • 詰子、夜勤に行く

    近頃、妻の詰子に変な癖がついたようだ。詰子の職場は我が家から歩いて三分ほどで、坂道を下ればすぐに辿り着ける距離にある。夜になると「ちょっと夜勤に行ってくるわ」と言って玄関を出ていくのだ。向かう先は、職場のすぐそばにあるコンビニ。目的はただひ...

  • 聞こえてるようで、聞こえてない

    僕は二つのことを同時にできない。テレビを見ながら他人と会話をするなんてもってのほかだ。妻の詰子が話しかけてくるが、テレビに集中しているせいで、その場しのぎの言葉を並べてるだけの曖昧な返答をしてしまう。「ちょっとオツトくん、さっきから全然、私...

  • 美顔器と沈黙の詰子

    妻の詰子が鏡を見ながら顔に美顔器をあてている。「詰子ちゃん、何やってるの?」無視して鏡とにらめっこだ。「詰子ちゃん、聞こえてる?」「フフフ……」微かに鼻を鳴らして、含み笑いをしている。仕方がないので、大きな声で呼んでみる。「おーい、詰子ちゃ...

  • 旅先では、なぜか食べすぎる

    セントレアにあるフォーポイントバイシェラトンに泊まっている。普段の生活では朝食を取らないのに、旅先での朝食ビュッフェはいつも食べ過ぎてしまう。不思議だ。今日も例外なく、お腹がパンパンだ。もうすぐチェックアウトの時間になるので帰りの支度をして...

  • 裏返しでも前向きに

    セントレアにあるフォーポイントバイシェラトンに泊まっている。これから空港内のレストランで夜ごはんを食べる。空港まではホテルの送迎バスで行く。「詰子ちゃん、そろそろバスが来るから行くよ」「うん、わかった」部屋であわてて支度をしている妻の詰子を...

  • 詰子、肉を食らう

    中部国際空港セントレアに行くため知多半島道路を走る。途中の大府SAで昼食を取ることにした。車を停めて歩いていくと立て看板があり、そこにある大きなチャーシューが乗っているラーメンの写真に目がいってしまう。「詰子ちゃん、何食べる?」「北海道味噌...

  • 3回のMRIとパンツの話

    今年もお盆がやってきた。今日は妻の詰子の実家に行って、お母さんに挨拶をする。「お母さん、調子はどうですか?」「いやぁ、手が腫れちゃって」手のひらを見せてもらうと、むくんでいるというか、少し腫れているように見える。お母さんが続けて言う。「医者...

  • 詰子、腰をやる

    妻の詰子がツラそうな顔をして仕事部屋に入ってきた。「オツトくん、腰がすごい痛いんだわ」「どうして?」「わから〜ん」軽いぎっくり腰のようだ。詰子は泣きそうな表情をしながら、牛歩の運びでリビンクまで何とかたどり着く。「詰子ちゃん、大丈夫?」「う...

  • 今日は診察の日

    妻の詰子は月に1回のペースで、医者で血液検査をしている。病院の駐車場で待っていると、詰子が診察を終えて戻ってきた。「詰子ちゃん、どうだった?」「全部問題なし。A1cも正常値範囲内」「マジで? 肝臓も?」「うん。問題なし」「すごいね」詰子はほ...

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セカンドライフ・スマイルズ 〜山田オツトと詰子の日記〜

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