子どもの頃から空想癖があり、読むこと、書くことが好きでした。読書、音楽、映画といった趣味の話を中心に書きます。新聞記者の仕事についても書くつもりです。
プリンス「KISS」 ねっとりとしたチュパチュパ音が最高 ファンキーなギターも聴きどころ (おすすめ名曲名盤)
パレード アーティスト:プリンス&ザ・レヴォリューション ワーナーミュージックジャパン Amazon プリンス「KISS」 Prince 「KISS」 人気歌手プリンスは一見、何だか気持ち悪い。裏声も、ルックスも、やたら肌をさらすところも。それが聴くうちに、かっこよく思えてくる。プリンスになりたいと思うほどに。 一番好きな曲「KISS」(1986年のアルバム「パレード」に収録)は、ねっとりとしたチュパチュパ音が最高だ。そして、ファンキーなギターが聴きどころ(プリンスが演奏)。中盤のギターソロもかっこいい。伴奏がシンプルで、プリンスの甲高い裏声がよく味わえるのも、いい。「アッ」といったあえぎ声(…
INXS「キック」 ファンクの色気とロックの力強さを兼ね備える ハッチェンスは歌も、叫びも、ささやき息も、いい (おすすめ名曲名盤)
キック アーティスト:INXS マーキュリー・ミュージックエンタテインメント Amazon INXS「キック」 INXS 「Kick」 豪州出身のファンクロックバンド、INXS(インエクセス)は、1987年のアルバム「キック」に尽きる。良い曲ぞろいで、傑作だ。 高校年代ごろ、レンタルCD店で借り、テープにダビングして聴いていた。 INXSは、ファンクの色気とロックの力強さを兼ね備える。 ビートルズやローリング・ストーンズ、そして、プリンスのファンらしい。プリンスも関心を寄せていて、ライブでINXSの曲をカバーしていたようだ。カリスマ的なボーカルのマイケル・ハッチェンスの歌声やルックスは、ドアー…
アイ・サレンダー(SHM-CD) アーティスト:レインボー ユニバーサル ミュージック Amazon くたびれたので、音楽の記事は、お手軽なテーマで・・・ 真っ先に思いつくのは、レインボーの「治療不可」。 www.youtube.com ベートーベンの交響曲第9番「合唱」の第4楽章「歓喜の歌」を演じる。普通にかっこいい。最後の笑い声がシュールだ。歓喜の歌だから? そして、なぜ、「治療不可」なのか? あと、それにしても、この曲、どうにかならないものか。 日清どん兵衛のCMが刷り込まれていて、どうしても、「天ぷらそーばー、食ーべよー」という歌詞が反射的に頭を駆け巡ってしまう。 これぞ、治療不可かも…
「源氏物語の時代」(山本淳子著)を読んで考えた ビアンカ・フローラ論争~定子と彰子~清少納言と紫式部
「源氏物語の時代」 ビアンカ・フローラ論争 幼なじみで活発なビアンカか、富豪の令嬢でおしとやかなフローラか──。テレビゲームソフト「ドラゴンクエストV(ファイブ)」に花嫁選びイベントがある。どちらを選ぶべきか、1992年の発売から30年以上を経た今も、ネット上で論争が続く。 「フローラを選ぶべきよ。私のことは心配しないで」と、遠回しに気を引くビアンカを、けなげとみるか、ウザいとみるかは、論点のひとつだ。 フローラは、言動が乏しく、影が薄い。選択の前日夜も早々に寝ていて、悩みはなさそうに見えた。ただ、「主人公との縁談が進んでいたのに、ビアンカの恋心を察して、花嫁選びを提案した。思いやりがある」と…
セルジオ・メンデス「モーニン」 ジャズの定番曲をポップにアレンジ ブレイキーの泥臭い演奏とは違った味わいがあり好演 (おすすめ名曲名盤)
Sergio Mendes - Brasil '66, Ye-Me-Le Amazon セルジオ・メンデス「モーニン」 Sergio Mendes & Brasil '66 「Moanin'」 ブラジル出身のピアノ奏者セルジオ・メンデスは1960年代のボサノバ・ブームの火付け役の1人だ。ヒット曲「マシュ・ケ・ナダ」は、ポルトガル語で歌う曲としては異例の世界的な人気を獲得した(1966年のアルバム「セルジオ・メンデス&ブラジル‘66」に収録)。 www.youtube.com ブラジルの歌手ジョルジ・ベンの作品のカバー。女性歌手2人のコーラスを取り入れたアレンジが秀逸だった。セルジオのピアノもい…
チャック・マンジョーネ「チェイス・ザ・クラウズ・アウェイ」 フリューゲルホルンに癒やされる ジャズ期のブレイキー、キースとの共演も聴いてほしい (おすすめ名曲名盤)
Chase the Clouds Away アーティスト:Mangione, Chuck A&M Amazon チャック・マンジョーネ「チェイス・ザ・クラウズ・アウェイ」 Chuck Mangione 「Chase The Clouds Away」 フリューゲルホルン奏者チャック・マンジョーネは、ジャズからフュージョンに転向して「フィール・ソー・グッド」「サンチェスの子供たち」といった親しみやすいヒット曲を連発し、時代の寵児となった。 フリューゲルホルンはトランペットに似た楽器。温かく優しい音色がよく味わえる1975年のアルバム「チェイス・ザ・クラウズ・アウェイ」のタイトル曲が一番好きだ。 w…
パット・メセニー「シークレット・ストーリー」 爽やかでドラマチック 波の音からスパッとピアノに切り替わるところが最高にかっこいい (おすすめ名曲名盤)
シークレット・ストーリー アーティスト:パット・メセニー ユニバーサル ミュージック Amazon パット・メセニー「シークレット・ストーリー」 Pat Metheny 「Secret Story」 ジャズギター奏者パット・メセニーの音楽は爽やかでドラマチックだ。1992年のアルバム「シークレット・ストーリー」は集大成と言える傑作。 カンボジア音楽を取り入れ、クラシックの管弦楽団とも共演した収録曲「ファインディング・アンド・ビリービング」が素晴らしい。 www.youtube.com 3部構成で、第1部はカンボジアのコーラスを効果的に加えて緩急を付ける。第2部は管弦楽団の落ち着いた調べから川の…
2025年1月26日にブログを開設してから1カ月たった。この間(2月25日まで31日間)のアクセス数は1500件程度、一日平均は50件程度だった。 Amazonアソシエイトの審査に向けたノルマの3件販売は、全くできていない。1件も売れていない。記事に張った商品紹介のクリック数は現時点で33件。100件クリックされて1件売れるかどうかぐらいだろうと想像しているので、まだまだだ。 記事は132本。このうち70本ほどは、Facebookに投稿した記事の転載で、60本ほどが新たに書いたもの。Facebookの投稿で使えそうなものは、2月半ばに使い果たし、その後は新規の記事を書いていった。Faceboo…
ジャコ・パストリアス「ジャコ・パストリアスの肖像」 当初から自分のスタイルを確立していた早熟の天才 (おすすめ名曲名盤)
ジャコ・パストリアスの肖像(期間生産限定盤) アーティスト:ジャコ・パストリアス SMJ Amazon ジャコ・パストリアス「ジャコ・パストリアスの肖像」 Jaco Pastorius 「Jaco Pastorius」 大輪の花を咲かせ、ふっと消える打ち上げ花火に、エレキベース奏者ジャコ・パストリアスを思う。1970年代半ばにジャズの表舞台に現れるや、革新的な演奏でスターに上り詰め、ベースを花形楽器に押し上げたかと思うと生活が荒れ、87年に35歳で世を去った。 76年にソロデビューアルバム「ジャコ・パストリアスの肖像」を放った。収録曲は、良く言えば、バラエティー豊か。悪く言えば、統一性がない。…
「黒魔術の手帖」澁澤龍彦 タロットカードは使う人の感性で自由に解釈すればいいとの捉え方が面白い ジル・ド・レエに関する考察もある
「黒魔術の手帖」 「黒魔術の手帖」澁澤龍彦 澁澤龍彦のエッセイ集。 はてなブログの「今週のお題・本屋さん」で、澁澤龍彦の本のことを書いたら、懐かしくなり、久々に読み返した。 www.tetch-review.com 「古代カルタの謎」と題するエッセイは、タロットカードについて書いたもの。タロットカードを持っていたので、興味深く読んだ。 タロットに興味を持ったきっかけは、友人に勧められた本「秘法カバラ数秘術」(斉藤啓一)。 カバラ数秘術は、生年月日をもとに算出する「運命数」が、1~9、11、22の11種類あり、運命数で性格や人生、相性などを見るという占い的な要素のある思想だ。例えば運命数1はリー…
グロリア・エステファン「オエ・ミ・カント」 満を持してスペイン語の歌 祖国キューバへの思い グロリアの歩みに共感 (おすすめ名曲名盤)
カッツ・ボース・ウェイズ アーティスト:グロリア・エステファン エピックソニー Amazon グロリア・エステファン「オエ・ミ・カント」 Gloria Estefan 「Oye Mi Canto」 キューバ出身の歌手グロリア・エステファンは祖国の音楽を生かし、ラテンポップの旗手となった。 一番好きな曲は「オエ・ミ・カント」(1989年のアルバム「カッツ・ボース・ウェイズ」に収録)。ラテンパーカッションのリズムや哀愁漂うギター、ピアノもさることながら、グロリアの熱い歌声、そして、それが母語のスペイン語だというのがいい。 www.youtube.com グロリアは子どもの頃、キューバ革命の難を避け…
ジプシーキングス「セイバー・フラメンコ」 音楽的ルーツのフラメンコへの敬慕 パコ・デ・ルシアの曲に似ているのも興味深い (おすすめ名曲名盤)
Savor Flamenco アーティスト:Gipsy Kings Altafonte Amazon ジプシーキングス「セイバー・フラメンコ」 Gipsy Kings 「Savor Flamenco」 フラメンコから派生した音楽だが一般的にはフラメンコよりなじみ深い。 フランスのバンド、ジプシーキングスは1980年代後半から90年代初めにかけ「ジョビ・ジョバ」「バンボレオ」「ボラーレ」といったヒット曲を放った。 持ち前の乗りの良い音楽で好評を得ながら、フラメンコのリズムや演奏スタイルに即す曲もわずかにあるのが、興味深い。 例えば「セイバー・フラメンコ」(2013年の同名アルバムに収録)。「ジョ…
「メフィスト」三山のぼる 美貌の魔女アルマと相棒の流動玲二 クールな2人の微妙な関係がいい
「メフィスト」第2巻 「メフィスト」三山のぼる 美貌でクールな魔女アルマが主人公の漫画。全6巻。 面白い。著者の代表作で傑作。とにかくアルマが魅力的。 1~2巻は、不老不死の謎を解こうと降魔術に没頭する過程で、少年を誘拐、殺害する性的倒錯者となった流動玲二(るどう・れいじ)との物語。ここが読みどころだ。 16世紀末の魔女狩りで火あぶりに処されたアルマが、流動の降魔術で現代によみがえる。流動とともに、16世紀末のフランスにタイムスリップしたアルマは、魔女狩りを繰り返す残虐な領主と再び対決する。 一方、流動は、かつて思いを寄せた女性・葉子との間に起きた悲劇から、心に傷を抱えていた。そのことを知った…
澁澤龍彦的な音楽を考えてみた 大学を卒業して古里を離れるまでに、よく通った書店があった。 友人との待ち合わせの場所でもあった。 街の小さな書店だが、個性が光った。 人文系の品ぞろえが充実し、単行本の隣に関連の文庫本を置くなど、独特の並べ方がしてあり、目当ての本を手に取る時に新たな本との出合いがあった。当時、田舎では珍しい洋書も置いていた。 澁澤龍彦、伴田良輔、三島由紀夫、コリン・ウィルソン、秋田昌美、種村季弘、稲垣足穂といった作家は、この書店で知った。 特に、澁澤龍彦には、はまった。 1959年にサディズムの語源とされるフランスの作家マルキ・ド・サドの著作「悪徳の栄え」を翻訳出版し、性描写が含…
「人狼草紙」楠桂 「私を思い出して。そして、昔のように愛して」と心の中で念じる菊丸に、完全に感情移入した
「人狼草紙」第7巻 「人狼草紙」楠桂 あらゆる妖力を持つ伝説の半人半獣の生き物、人狼。純血の人狼の血肉を、死にきれずに現世を漂う邪悪な怨霊どもが喰らうと、妖(あかやし)になるという。また、その心臓を喰らった妖は不死身となるという─── 戦国時代を舞台に、純血の人狼の主人公・狼牙王と、それを追う妖、狼牙王を助ける男装の女剣士・菊丸の物語。全7巻の漫画。 面白い。はまった。 狼牙王は、かつて大勢の妖に喰われて妖力を失い、人間の女の胎内に宿って転生し、過去の記憶を失っていた。 かつて狼牙王が伴侶として選び、自らの血を分け与えて妖力を持たせ不老不死とした人間の女・お菊は、菊丸として生き、転生した狼牙王…
デッド・カン・ダンス「トゥワード・ザ・ウィズイン」 エリザベスの歌が「天使」なら、リサは「巫女」 ライブの「キャンタラ」は神懸かり具合がすごい (おすすめ名曲名盤)
Toward the Within アーティスト:Dead Can Dance 4ad Amazon デッド・カン・ダンス「トゥワード・ザ・ウィズイン」 Dead Can Dance 「Toward The Within」 豪州出身のバンド、デッド・カン・ダンスのダークな音楽は、一種の儀式だ。ボーカルのリサ・ジェラルドの呪文のような詠唱が妖しさ満点。 よく並び称される英国のバンド、コクトーツインズのエリザベス・フレイザーの歌声が「天使」とすれば、リサは「巫女」か。 www.tetch-review.com 持ち味が堪能できるのは1994年のライブ盤「トゥワード・ザ・ウィズイン」。 名曲「キャン…
ビョーク「アズ・ア・ジャズ・シンガー」 聴こえるほど息継ぎが大きく、演歌のような抑揚、こぶし 歌唱力を味わうならライブ盤がいい (おすすめ名曲名盤)
Bjork As a Jazz Singer ビョーク「アズ・ア・ジャズ・シンガー」 Bjork 「As a Jazz Singer」 音が聴こえるほど息継ぎが大きく、演歌歌手のように抑揚を付け、こぶしを効かせる。アイスランドの歌姫ビョークは個性が際立つ。代表曲「ハイパーバラッド」(1995年のアルバム「ポスト」に収録)を聴いて好きになった。 純粋にビョークの歌を味わうなら、伴奏がシンプルなライブ盤がお勧めだ。初期のアルバム4枚のライブ盤をまとめた「ライブ・ボックス」(2003年)は必携アイテム。歌い回しを変えており、聴き比べも楽しめる。 例えば、これも代表曲の「ヒューマン・ビヘイビア」。 伴…
「謀聖 尼子経久伝」武内涼 強大な相手に仕掛ける謀略戦がじっくりと描かれる 敵の参謀や忍者が人間くさい悪役で魅力的
「謀聖 尼子経久伝」第2巻 「謀聖 尼子経久伝」武内涼 戦国時代屈指の山城・月山富田城(島根県安来市)を拠点とし、知略に長けて「謀聖」と呼ばれた戦国大名・尼子経久(あまご・つねひさ)の生き様を描く。全4巻。 家臣の山中鹿介は、毛利氏に滅ぼされた尼子氏の再興に奮闘し、志半ばで果てた悲運の武将で、忠義の人物として、戦前の小学校教科書に物語「三日月の影」が載った。その鹿介と比べ、経久の知名度は低い。そもそも、尼子氏の知名度が低い。 私も、尼子氏と言えば、子どもの頃に読んだ学習漫画「少年少女日本の歴史」(小学館)で描かれた「毛利元就に倒される悪役」というイメージしかなかった。 その経久に焦点を当てたの…
パコ・デ・ルシア「アルモライマ」 アラブの弦楽器ウードを演奏 フラメンコの源流のひとつ、イスラム文化を訪ねる旅だ (おすすめ名曲名盤)
アルモライマ アーティスト:パコ・デ・ルシア ユニバーサル ミュージック Amazon パコ・デ・ルシア「アルモライマ」 Paco De Lucia 「Almoraima」 フラメンコギター奏者のパコ・デ・ルシアは「右手に伝統、左手に革新」が信条だった。 伝統的な演奏の第一人者でありながら、ジャズミュージシャンと共演したり、バンド演奏の形態を取り入れたりと、従来の枠を越えてフラメンコの音楽的可能性を追求し、ファンの裾野を広げた。 代表曲のひとつ「アルモライマ」(1976年発表の同名アルバム収録)では、ギターのほか、アラブの弦楽器ウードを奏でる。手拍子、足拍子も加わって、フラメンコ感もたっぷりだ…
カマロン・デ・ラ・イスラ「ヴィヴィレ」 パコ・デ・ルシアの「アンダルシアのジプシー」とギターのフレーズが同じ カマロンは気合十分の叫び 2人の関係がうかがえる (おすすめ名曲名盤)
Vivire アーティスト:Camaron De La Isla,Paco de Lucia,Tomatito Polygram Amazon カマロン・デ・ラ・イスラ「ヴィヴィレ」 Camaron De La Isla 「Vivire」 フラメンコ歌手カマロン・デ・ラ・イスラは、フラメンコギター奏者パコ・デ・ルシアと同様に、フラメンコにロックやジャズの要素を取り入れるなど新風を吹き込んだ。 パコがチック・コリア、アル・ディ・メオラらジャズ・フュージョンの演奏家と共演して知名度を高めたのに、カマロンはこうした活動に消極的で、ローリング・ストーンズやジプシーキングスからのオファーを断った逸話があ…
「ゾウが教えてくれたこと」入江尚子 人間に聞こえない低周波音で会話 数を認知して足し算もできる
「ゾウが教えてくれたこと」 「ゾウが教えてくれたこと」入江尚子 ゾウに魅せられた研究者が、ゾウの意外な能力や生態を解説する。 例えば、ゾウは、人間には聞こえない低周波音で仲間同士、会話していること。 動物園のゾウを見ても、ほとんど無言に思えるのは。ゾウが無口なのではなく、人間に聞こえない低周波音を主に使っているからだという。 研究で解析できただけでも、「ンモォー」「ブブブブ」など80種類以上あり、おなじみの「パォーン!」は警戒音声、つまり、人間で言うと「キャー!」という叫び声に当たるのだとか。 数を認知し、足し算ができるという話も面白い。 ユリウス・カエサルは「ゾウは陸上動物のうち、人間に次い…
「室町ワンダーランド」清水克行 室町時代の警察は目の前に死体があっても知らん顔 相撲は土俵がなく、激闘だった
「室町ワンダーランド」 「室町ワンダーランド」清水克行 「畳が敷き詰められた和室」「一日3度の食事」など、現代の日本的なものは、だいたい室町時代~戦国時代にできあがったが、今とは異なるものもあるとして、現代と対比させながら、室町時代の文化を解説する。 日本中世史を専門とする著者が「週刊文春」連載コラムをまとめた。2023年12月までの掲載分のうち58回分を再編集している。 国技とされる相撲も様相が違い、江戸時代までは土俵がなかったという話が面白い。 言われてみればなるほどだが、「日本最古の漫画」と言われることもある「鳥獣戯画」(平安時代末期~鎌倉時代初期に描かれたらしい)には、土俵が描かれてい…
ジョン・ゾーン「ネイキッド・シティ」 狂ったようなサックス乱れ吹きと、通常のジャズの粋な演奏が目まぐるしく切り替わる (おすすめ名曲名盤)
Naked City アーティスト:Zorn, John Nonesuch Amazon ジョン・ゾーン「ネイキッド・シティ」 John Zorn 「Naked City」 疾風怒濤のサックス奏者ジョン・ゾーンは、アクが強すぎて好みが分かれるだろう。 大学時代、インダストリアル・ロックやノイズ・ミュージックに興味を持ち、その延長でゾーンを知り、はまった。 1990年のアルバム「ネイキッド・シティ」に収録された代表曲「スナッグルパス」は、狂ったような乱れ吹きと通常のジャズの粋な演奏が目まぐるしく切り替わる。♪タラララン、ジャーン…という感じのピアノもいい。おもちゃ箱をひっくり返したような曲だ。 …
オーネット・コールマン「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」 ♪プァーワワーワ、プァーワワ…というフレーズが狂ったように繰り返され、楽しい (おすすめ名曲名盤)
ダンシング・イン・ユア・ヘッド アーティスト:オーネット・コールマン ユニバーサル ミュージック クラシック Amazon オーネット・コールマン「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」 Ornette Coleman 「Dancing In Your Head」 大学時代に、友人の勧めで「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」を聴き、こんなジャズもあるんだ、と驚いた。 サックス奏者オーネット・コールマンが1977年に放ったアルバム。 収録曲「テーマ・フロム・ア・シンフォニー」は、♪プァーワワーワ、プァーワワ…というフレーズが狂ったように繰り返される。♪トントントントン…と、まさに、釘を打つような音も加わ…
「ゲゲゲの家計簿」水木しげる 売れっ子になるまでの困窮をリアルに描く
「ゲゲゲの家計簿」 「ゲゲゲの家計簿」水木しげる 水木しげるが神戸でアパートを経営しながら紙芝居を描いていた下積み時代の1951年から、漫画「テレビくん」が第6回講談社児童まんが賞を受賞して売れっ子になり、水木プロダクションを設立した65年までの歩みを描く。上下2巻の漫画。 この時期に自ら付けていた家計簿が発見されたことがこの作品を描くきっかけになったという。作中に家計簿が登場し、売れっ子になるまでの困窮ぶりがリアルにわかる。 あまりにも所得申告が少ないとして脱税を疑った税務署の職員が訪ねてきたエピソードもある。「この所得は人間が生活できる金額ではない。でも、あなた生活しているでしょう?」と言…
サンタナ「サンタナ」 ラテン路線こそ真骨頂 何か、やらかしそうな躍動感あふれるデビュー作 (おすすめ名曲名盤)
サンタナ アーティスト:サンタナ ソニーミュージックエンタテインメント Amazon サンタナ「サンタナ」 Santana 「Santana」 ラテンロックを開拓したギター奏者カルロス・サンタナは、ラテン路線を貫くべきだった。何か、やらかしそうな躍動感があふれるデビューアルバム「サンタナ」(1969年。バンドのサンタナ名義)が最高傑作だ。 収録曲「ソウル・サクリファイス」は、導入で期待感をあおる。野性的なラテンパーカッションに続き、♪チャチャチャララ……チャチャーチャチャララ……といった小刻みなギターで、じわじわと盛り上げる。その後の♪チャランチャランチャラン…という速弾きがかっこいい。 リマ…
ジョン・マクラフリン、ジャコ・パストリアス、トニー・ウィリアムスの「トリオ・オブ・ドゥーム」 ジャコをかすませるマクラフリンのカオスなギター (おすすめ名曲名盤)
トリオ・オブ・ドゥーム(期間生産限定盤) アーティスト:トリオ・オブ・ドゥーム SMJ Amazon ジョン・マクラフリン、ジャコ・パストリアス、トニー・ウィリアムスの「トリオ・オブ・ドゥーム」 John McLaughlin Jaco Pastrius Tony Williams 「Trio Of Doom」 ジャズ・フュージョンのギター奏者ジョン・マクラフリンは、これ見よがしで協調性のないところが面白い。 それがよくわかるのが、1979年のライブで結成したユニット「トリオ・オブ・ドゥーム」での演奏(スタジオ収録音源を加えて2007年にCD化)。 自作曲「ダーク・プリンス」ではカオスな速弾き…
「厳島」武内涼 毛利元就が黒すぎる ものすごく冷徹な策士 敵方の誠実な武将・弘中隆兼が主人公だと思って読んだ
「厳島」 「厳島」武内涼 戦国時代の「厳島の戦い」に至る謀略戦を描く小説。面白くて一晩で読破した。 この戦いで、毛利元就は、陶晴賢を破って大名にのし上がった。 中国地方の有力大名・大内家を事実上乗っ取った晴賢に対し、元就はまだ小領主。大軍を擁する晴賢と戦うには、大軍が身動きを取りにくい厳島で決戦を挑むしかない。いかに晴賢を厳島におびき出すか、元就が知恵を絞る。 読後の率直な感想。 元就、黒すぎる。ものすごく冷徹な策士。降参した相手を「許す」と言いながら殺してしまうなど、容赦ない。 人間不信を招くばかりか、心に傷が残るような策略を敵に仕掛けておきながら、自分の息子3人には「何があろうと仲良くしろ…
ハービー・ハンコック「ロックイット」 DJスクラッチのキュッキュッ音、すかしたシンセ、コミカルな太鼓・・・今聴くと古臭くチープにも思えるが、味がある (おすすめ名曲名盤)
フューチャー・ショック(期間生産限定盤) アーティスト:ハービー・ハンコック SMJ Amazon ハービー・ハンコック「ロックイット」 Herbie Hancock 「Rockit」 ジャズピアノ奏者ハービー・ハンコックは、電化ジャズ路線を走っていた頃の曲が味わい深い。 例えば「ロックイット」(1983年のアルバム「フューチャー・ショック」に収録)。レコードをキュッキュッと言わすDJのスクラッチを効果音に取り入れ、斬新な曲だった。ハービーのドヤ顔が浮かんでくるようだ。 www.youtube.com しつこいまでのキュッキュッ音に、ハービーのすかしたシンセサイザー、キューバの太鼓バタドラムの…
チック・コリア「スペイン」 リターン・トゥ・フォーエバー版はエレピのコロコロした演奏が美しく、フローラ・プリムの歌声もいい (おすすめ名曲名盤)
ライト・アズ・ア・フェザー (完全盤) アーティスト:チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエバー ユニバーサル ミュージック Amazon チック・コリア「スペイン」 Chick Corea 「Spain」 ジャズピアノ奏者チック・コリアは、スペイン音楽に傾倒し、曲に取り入れた。 代表曲「スペイン」しかり。フラメンコギター奏者パコ・デ・ルシアにささげた「イエロー・ニンバス」「フラメンコ」しかり。「僕の心の故郷はスペインだ」と語っていたといい、スペイン愛あふれるアルバム「マイ・スパニッシュ・ハート」も、よく知られる。 「スペイン」は、チックが率いるフュージョンバンド、リターン・トゥ・フォーエバ…
「鬼役」シリーズ。坂岡真 勧善懲悪の安心ストーリー 詰めの甘い主人公がじれったく、引き込まれる
「鬼役」第1巻 「鬼役」シリーズ。坂岡真 江戸時代の将軍の毒味役「鬼役」で、剣の達人である矢背蔵人介(やせ・くらんどのすけ)が、悪人を懲らしめるストーリー。安心して読めるし、中毒性がある。 父に勧められて図書館で手に取り、はまった。現在34巻まで出ているようだが、20巻まで読んだ。1冊に4話程度の短編で、読みやすいのもいい(短編で連続したストーリーを構成するパターンもある)。 本当に憎たらしい悪人が出てきて、蔵人介がピンチに陥ることもあるが、最後には悪人を倒すので、安心して読めて、爽快感がある。 蔵人介は、詰めが甘い性格で、最初は悪人を追い詰めず見逃したら、そのせいで善人が殺されてしまい、蔵人…
スティーリー・ダン「幻想の摩天楼」 洗練されつつも初期の泥臭さを残し、フェイゲンのボーカルと合う (おすすめ名曲名盤)
幻想の摩天楼(SHM-CD) アーティスト:スティーリー・ダン ユニバーサル Amazon スティーリー・ダン「幻想の摩天楼」 Steely Dan 「The Royal Scam」 スティーリー・ダンは、ドナルド・フェイゲン(キーボード、ボーカル)とウォルター・ベッカー(ベース)が多数のミュージシャンを雇って厳選した演奏で曲を作るユニットとして知られる。 初期のバンド形態は途中で崩壊し、曲はジャズ・フュージョン色を強めていった。 個人的には、過渡期のアルバム「幻想の摩天楼」(1976年)が一番好きだ。 だんだんと洗練されつつも、初期の泥臭さが残るのがいい。フェイゲンの癖のあるハスキーボイスと…
ジェフ・ベック「ワイアード」 歌心あふれるギター 「レッド・ブーツ」はファンキーなキーボードや妖しいシンセと掛け合い (おすすめ名曲名盤)
ワイアード アーティスト:ジェフ・ベック ソニーミュージックエンタテインメント Amazon ジェフ・ベック「ワイアード」 Jeff Beck 「Wired」 ジェフ・ベックは、歌うようにギターを弾く。音色に味があり、情感たっぷりだ。 ボーカルのないインストゥルメンタル・ロックの先駆者。名曲「レッド・ブーツ」(1976年のアルバム「ワイアード」に収録)では、力強いドラムやファンキーなキーボード、妖しいシンセサイザーと掛け合い、ギターに叫ばせる。 www.youtube.com ベックが関心を寄せていたスティービー・ワンダーのファンク、ジョン・マクラフリンのジャズ・フュージョンの色合いが濃い点で…
「ヘルンとセツ」田淵久美子 テンポが良く読みやすい 小泉八雲の人柄、作家としてのこだわりがわかる
「ヘルンとセツ」 「ヘルンとセツ」田淵久美子 家庭に恵まれずに苦労して育ち、新聞記者として身を立てる中、日本の神秘性に惹かれた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。 明治維新で没落した武家の娘として貧しいながらも強く生きる小泉セツ。 その2人の生き様と、松江での出会い、結婚を描く。 セツは、2025年秋に始まるNHK朝の連続テレビ小説「ばけばけ」の主人公。 著者は、島根県出身の脚本家。2人それぞれの視点に切り替えながら、テンポ良くストーリーが進み、読みやすくて一気に読破できる。読後感も爽やか。 2人とも、出会う前に貧困や離婚を経験していたという共通点がある。 八雲が松江に来てから早い段階で、互いに…
2024年の映画鑑賞メモ 「メイズ・ランナー」は舞台設定が面白さの全て 「かがみの孤城」はラストもよく爽やか
メイズ・ランナー [Blu-ray] ディラン・オブライエン Amazon 2024年の映画鑑賞メモ ①メイズ・ランナー ②かがみの孤城 ③奇跡のシンフォニー ④RUN ⑤フォール 今年は忙しくて、あまり映画を見られなかった。 「メイズ・ランナー」(2014年、米国)は、謎の隔離エリアに暮らす少年少女が、怪物のすむ壁の迷宮を突破して外に出ようと挑む。漫画「進撃の巨人」と似たような舞台設定。なぜ、ここに隔離されているのかを含めて謎で、この舞台設定が面白さの全て。ハラハラしながら見た。ラストは不満。続編の第2作、第3作は惰性で見たが、もはや迷宮の話ではないし、あまりお勧めできない。 www.you…
イングヴェイ・マルムスティーン「アルケミー」 速弾きを強調せずに緩急を付け、曲想豊か 「ブルー」はイングヴェイ流のブルース (おすすめ名曲名盤)
アルケミー アーティスト:イングヴェイ・J・マルムスティーンズ・ライジング・フォース ポニーキャニオン Amazon イングヴェイ・マルムスティーン「アルケミー」 Yngwie Malmsteen 「Alchemy」 メタルの速弾きギター奏者イングヴェイ・マルムスティーンを聴くなら、歌のないインストゥルメンタル曲がお勧めだ。 豊かな曲想は、速弾きを強調せず適度に緩急を付けた曲で見せる。例えば異色作「ブルー」(1999年のアルバム「アルケミー」に収録)。イングヴェイ流のブルースで、情感たっぷりだ。速弾きを交え、ギターを泣かせまくる。これが、かっこいい。 www.youtube.com 同じアルバ…
ナイン・インチ・ネイルズ「ザ・ダウンワード・スパイラル」 騒々しいだけでなく深みがある ピンクフロイドへのオマージュも (おすすめ名曲名盤)
ザ・ダウンワード・スパイラル アーティスト:ナイン・インチ・ネイルズ ユニバーサル インターナショナル Amazon ナイン・インチ・ネイルズ「ザ・ダウンワード・スパイラル」 Nine Inch Nails 「The Downward Spiral」 1990年代に隆盛を迎えたインダストリアル・ロックは、サンプリング+ドラムの打ち込み+メタルのギター+叫び声という感じのダークな音楽だ。 2大バンドのひとつ、ナイン・インチ・ネイルズは、ただ騒々しいだけでなく、動と静のメリハリの付け方がうまくて深みがあり、今なお引きつけられる。プリンスやピンクフロイドにも影響を受けたといい、音作りへのこだわりが似…
「もっと知りたいラファエッロ」池上英洋 「キリストの変容」はミケランジェロに対抗意識を燃やして制作した傑作
「もっと知りたいラファエッロ」 「もっと知りたいラファエッロ」池上英洋 ラファエロの傑作「キリストの変容」は、上段真ん中のイエスが宙に浮く構図が、当時としては斬新で画期的だったらしい。 この作品、穏やかなラファエロが、ごう慢なミケランジェロに対抗意識を燃やして制作したものだという。 「キリストの変容」 本書によると、ミケランジェロは気難しくごう慢な人物で、ダ・ヴィンチやラファエロを嫌っていた。 ダ・ヴィンチは穏やかな人物で、ずっと年下のミケランジェロにも礼儀正しく接していたが、ミケランジェロは公衆の面前で、ダ・ヴィンチに対し「絵ばかり描いて、彫刻を作らない愚か者」的なことを言っていたらしい(ミ…
2023年の映画鑑賞メモ 「劇場版マクロスF サヨナラノツバサ」はラストがせつなくて、とてもいい 「テラビシアにかける橋」は途中までいい話なのに、、、悲しくなる
劇場版 マクロスF ~サヨナラノツバサ~ [Blu-ray] 中村悠一 Amazon 2023年の映画鑑賞メモ ①劇場版マクロスF サヨナラノツバサ ②テラビシアにかける橋 ③パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト ④蜜蜂と遠雷 ⑤はじまりのうた BEGIN AGAIN 「劇場版マクロスF サヨナラノツバサ」(2011年、日本)は、劇場版2部作の完結編。マクロスシリーズお得意の三角関係を描きつつ、ラストがせつなくて、とてもいい。 www.youtube.com 「テラビシアにかける橋」(2007年、米国)は、逆にラストが腑に落ちないけど、そのほかは面白い。近所の森を想像上の王国に見立てて交流する少…
レオ・ロハス「スピリット・オブ・ザ・ホーク」 現代版「コンドルは飛んでいく」に癒やされる (おすすめ名曲名盤)
Spirit of the Hawk アーティスト:Rojas, Leo ソニーミュージックエンタテインメント Amazon レオ・ロハス「スピリット・オブ・ザ・ホーク」 Leo Rojas 「Spirit Of The Hawk」 レオ・ロハスは、エクアドル出身のサンポーニャ奏者。 南米アンデスのフォルクローレの定番曲「コンドルは飛んでいく」を演奏している動画をネットで見つけて気に入り、アルバム「スピリット・オブ・ザ・ホーク」(2012年)を入手した。 ヒーリングミュージックとして聴いても、良い作品。癒やされる。フォルクローレファンに限らず、広く音楽ファンに勧めたい。 www.youtube…
クスコ「リング・オブ・ドルフィン」 持ち味のフォルクローレ調を加えつつ、暗くて美しく深みのある作品 (おすすめ名曲名盤)
リング・オブ・ドルフィン アーティスト:クスコ ソニー・ミュージックレコーズ Amazon クスコ「リング・オブ・ドルフィン」 大学時代、ニューエイジ・ミュージックのバンド、クスコにはまった。 ドイツのバンドで、ケーナ、サンポーニャといった南米アンデスの笛の音を再現した作品で知られる。 「コンドルは飛んでいく」「花祭り」といったアンデスのフォルクローレは、幼い頃から父によく聴かされ、なじみがあった。 お勧めのアルバムは「リング・オブ・ドルフィン」(1989年)。 持ち味のフォルクローレ調を加えながら、暗くて美しく深みのある作品に仕上げている。森の国、メルヘンの国ドイツらしいと感じさせる作品だ。…
「マラドーナ自伝」ディエゴ・アルマンド・マラドーナ著 「あれはディエゴの手だったんだよ」 サッカー選手100人の寸評も面白い
「マラドーナ自伝」 「マラドーナ自伝」ディエゴ・アルマンド・マラドーナ著 本人目線の自伝で、子どもの頃から時系列で追って書いてあるので、少しかったるくて、読みにくい面はある。 周辺の人物がたくさん出てきて、分かりにくい面もある。 それでも、マラドーナ本人がどう感じ、何を考えていたか分かるのはいい。 アルゼンチンが優勝した1986年W杯について書かれた章が面白い。はっきり言って、この章から読み始めた方がいい。 特に「神の手ゴール」と「5人抜きゴール」があった準々決勝のイングランド戦。 ※※※以下、本文から引用※※※ 1986年6月22日、僕が生きている限り絶対に忘れない日だ。イギリス人たちを相手…
2022年の映画鑑賞メモ 「ドント・ブリーズ」「クワイエット・プレイス」は音を立てたら殺されるという恐怖がテーマ
ドント・ブリーズ [AmazonDVDコレクション] ジェーン・レヴィ Amazon 2022年の映画鑑賞メモ ①ドント・ブリーズ ②クワイエット・プレイス ③22年目の告白 ④インターセクション ⑤コラテラル 1位、2位とも音を立てたら殺されるという恐怖がテーマの作品。 「ドント・ブリーズ」(2016年、米国)は、大金をため込んでいる元軍人の老人宅に忍び込んだ泥棒の若者3人組が、盲目ながら聴覚が鋭い老人に襲われる。最後まで目を離せない。スティーブン・ラングが不気味な老人を好演。 www.youtube.com 「クワイエット・プレイス」(2018年、米国)は、地球外からやってきた聴覚が鋭い怪…
オジー・オズボーン「月に吠える」 アオーッと遠吠え のこぎりを引くようなギターもいい (おすすめ名曲名盤)
月に吠える(期間生産限定盤) アーティスト:オジー・オズボーン SMJ Amazon オジー・オズボーン「月に吠える」 メタルの帝王オジー・オズボーンの持ち味が存分に発揮されているのは、怪奇趣味を押し出したソロ活動初期、1980年代の作品だ。 とりわけ、お気に入りのアルバムは「月に吠える」(1983年)。 www.youtube.com タイトル曲が最高。 アオーッ…と狼のような遠吠えが入る演出や、ハッハッハッハ…という笑い声も相まって、不気味さを醸し出す。 オジーのハイトーンボイスはもちろん、2代目ギター奏者ジェイク・E・リーのシャープな演奏が冒頭から全開で、のこぎりを引くようなリフがいい。…
TOTO「TOTOⅣ~聖なる剣」 広大な大地を想像させる「アフリカ」 リズミカルな歌がいい「ロザーナ」 (おすすめ名曲名盤)
TOTO IV~聖なる剣 アーティスト:TOTO ソニーミュージックエンタテインメント Amazon TOTO「TOTOⅣ~聖なる剣」 1980年代はハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)とアダルト・オリエンテッド・ロック(AOR)という対照的なロックが同時に盛り上がった。 HR/HMが「悪ガキのロック」だとすれば、AORは「洗練された大人のロック」。AORは廃れたが、代表格のバンド、TOTOは今聴いても、色あせていない。 www.youtube.com 一番好きな曲は、1982年のアルバム「TOTOⅣ~聖なる剣」に収録されたヒット曲「アフリカ」。 ドラムのループに続き、ブラス&マリンバ風の…
「GILLES VIVO」 前半の伝記はイタリア語表記のため読めず 後半の写真集目当てで買った
「GILLES VIVO」 「GILLES VIVO」 ヤフオクに安く出品されていたので落札(ジル関連の別の本と2冊セットで2300円、プラス送料810円)。 F1ドライバー、ジル・ヴィルヌーヴの伝記と写真集。 前半が伝記と思われるが、イタリア語表記のため読めない。 後半の写真集目当てで購入した。 スノーモービルレーサー時代の写真もあった。 そして、カーレーサーとして注目されるきっかけになった、1976年、北米フォーミュラ・アトランティック大会の一戦、トロワリヴィエール(カナダ)の様子も。 このレースに、ゲスト出場したF1ドライバーのジェームス・ハント(この年の年間チャンピオン)らを押さえて優…
自分の好きなところは「天真爛漫さ」だ。 、、、というか、自分は、天真爛漫らしい。 大学時代に、人に指摘されるまで、気づかなかった。 気づいてからは、それが自分の魅力なのだと考えるようにしている。 これに関しては、ほろ苦い思い出がある。 大学時代、サークルの後輩(A子)に恋愛感情を寄せられていた、らしい。 そのことに全く気づかないうちに、A子は、私に脈がないと判断して断念。 そこで、かねてA子に好意を寄せていた私の友人(B男。同じサークル。同級生)がA子に接近。晴れて2人はカップルになったというのが結末だ。 いかに鈍い私でも、2人がカップルになったことは、わかった。 ただ、A子が私を好きだったこ…
2021年の映画鑑賞メモ 「君の名は。」はハッピーエンドで安心 「万引き家族」「パラサイト半地下の家族」は面白いが結末が悲しい
「君の名は。」DVDスタンダード・エディション 神木隆之介 Amazon 2021年の映画鑑賞メモ この年のベスト5 ①君の名は。 ②万引き家族 ③パラサイト半地下の家族 ④殺人の追憶 ⑤ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 www.youtube.com 「君の名は。」(2016年、日本)は、ロマンチックなアニメ作品。 東京に暮らす少年と地方に暮らす少女の身に、奇妙な入れ替わり現象が起きて、互いに相手の存在に気づく。互いにだんだん惹かれる2人。しかし・・・この後、悲劇が判明する。 実際に見てほしいので、説明はこの程度にしておくが、ラストがハッピーエンドで良かった。同じく新海誠監督の作品で以前…
アル・ディ・メオラ「エレガント・ジプシー」 メタル界にも波紋を広げた速弾きギタリスト
エレガント・ジプシー(期間生産限定盤) アーティスト:アル・ディ・メオラ SONY(ソニー) Amazon アル・ディ・メオラ「エレガント・ジプシー」 Al Di Meola 「Elegant Gypsy」 一分の隙もない、緊迫感あふれる演奏とは、このことだ。 フュージョンのギター奏者アル・ディ・メオラの代表曲「レース・ウィズ・デビル・オン・スパニッシュ・ハイウェイ」。 1977年のアルバム「エレガント・ジプシー」に収められた、この曲は、緊張と弛緩のバランスが巧みで、2分過ぎからの高速と中速のギターリフ、一瞬の間の繰り返しが圧巻。タイトル通り高速道路上のレースさながらのスリルが漂う。 www.…
ホレス・シルバー「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」 疾走感があふれて爽快 眠気が吹き飛び元気が出る
ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ (紙ジャケット仕様) アーティスト:ホレス・シルバー ユニバーサル ミュージック (e) Amazon ホレス・シルバー「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」 Horace Silver 「Blowin' The Blues Away」 朝、車を走らせる時によく聴く曲は、ジャズピアノ奏者ホレス・シルバーの「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」(1959年の同名アルバムに収録)。 疾走感あふれる爽快な曲で、眠気が吹き飛び、元気が出る。ホーンが威勢よく鳴り響き、ピアノソロは軽やかで弾むようだ。 www.youtube.com 同じアルバムの収録曲「シスター・セイ…
ギターのフレーズがとてもかっこよくて好きな曲と言えば、私の場合、AC/DCの「サンダーストラック」、ガンズ・アンド・ローゼズの「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」、デレク・アンド・ザ・ドミノスの「いとしのレイラ」、ジェフ・ベックの「スキャッターブレイン」、ディープパープルの「バーン」といったところか。 これらの曲の場合、偉大なギター奏者に敬意を払い、最初から最後までじっくりと拝聴する。 一方で、曲全体を通して聴くというほどではないけど、何だか気になって、そこだけ聴いてしまう、さらには、そこだけ繰り返して聴いてしまう「癖になるギターのフレーズ」が含有される曲というものも、世の中には、ある。 …
「金子博写真集 No.13 フェラーリ126CK&126CX 1981」 ヴィルヌーヴ見たさに購入
「フェラーリ126CK&126CX 1981」 「金子博写真集 No.13 フェラーリ126CK&126CX 1981」 この薄さ(78ページ)でこの値段(3300円)は高いなあ、と思いながらも、ジル・ヴィルヌーヴ見たさに購入。 126CKは、F1のフェラーリ初のターボ車。操縦性の悪さに苦しみながらもエースドライバーのジル・ヴィルヌーヴがモナコGPとスペインGPで優勝した。 造形のかっこよさは、歴代フェラーリF1マシンの中でも屈指ではないだろうか。 フェラーリのF1マシンで一番かっこいいと思うのは、シュモクザメみたいな形の312T4(1979年)。 当時、フェラーリ史上最も醜いマシンと言われた…
デビッド・サンボーン「アップフロント」 ファンク色の強い軽快な作品 サックスがむせび泣く
アップ・フロント アーティスト:デイヴィッド・サンボーン ダブリューイーエー・ジャパン Amazon デビッド・サンボーン「アップフロント」 David Sanborn 「Upfront」 ジャズ・フュージョンのサックス奏者デビッド・サンボーンは「泣きのサンボーン」と言われる情感たっぷりの音色を出す。 個人的には、ファンク色の強い軽快な作品が好きで1992年のアルバム「アップフロント」が最高傑作だと思う。 サンボーンを聴き始めた大学時代に発売され、収録曲「スネイクス」は今もよく聴くお気に入りだ。 www.youtube.com この曲はイントロのベースがわくわく感をそそり、オルガンがファンク感…
ティエスト「エレメンツ・オブ・ライフ」 メロディー繰り返しの長いイントロ 女性歌手の歌に癒やされる
エレメンツ・オブ・ライフ アーティスト:ティエスト,マキシ・ジャズ,ジェス,ジュリー・トンプソン,シャルロット・マーティン,BT,クリスチャン・バーンズ エイベックス・トラックス Amazon ティエスト「エレメンツ・オブ・ライフ」 Tiesto 「Elements Of Life」 オランダのDJ、ティエストはトランス・ミュージック路線をひた走っていた初期がいい。 2007年のアルバム「エレメンツ・オブ・ライフ」は、ティエストのトランスの到達点と言える傑作。歌入りの曲が特にいい。 一番好きな曲は「エブリシング」。 同じメロディーを繰り返すトランスならではのじらしのイントロに2分ほど耐え、ゲス…
「川瀬巴水作品集」 「川瀬巴水作品集」 川瀬巴水は大正、昭和期の版画家。 夜景が好きなのか、夜景の作品が多く、空の色がきれい。 表紙に使われている作品「馬込の月」とか。 夜景の「平泉中尊寺金色堂」は、雑誌の川瀬巴水特集を見て、最初に引かれた作品。イラストみたいだなと思った。 「平泉中尊寺金色堂」 夕景もある。「出雲松江(三日月)」は空がフランスの三色旗みたい。「田子之浦之夕」はほんのり夕日に染まった富士山がいい。 雪景色や雨模様を描いた作品も多くある。「雪の金閣寺」が、雪が多すぎて面白い。 (2019年9月11日Facebook投稿を転載) ランキング参加中読書 ランキング参加中Think<書…
「三国志 秘密の皇帝」 お気に入りキャラ伏寿は、いよいよ、、、なのか
「三国志 秘密の皇帝」バーチャル背景 「三国志 秘密の皇帝」 NHKのBSで放送中のドラマ「三国志 秘密の皇帝」(2017年、中国)が面白い。 映画ではなくテレビドラマだが、とりあえず「映画」カテゴリーで書いておく。 漢の献帝(劉協)に、実は、そっくりな双子の弟がいて、ひそかに入れ替わって皇帝となり、漢王朝をないがしろにする実力者・曹操に対抗するというストーリー。 劉協の弟・劉平は、幼い頃ひそかに楊家に引き取られ、楊平として育った。楊家と親しい司馬家の司馬懿とは幼なじみ。死去した献帝の策を受けた皇后・伏寿らにより、劉平は、献帝の弟だと知らされ、献帝になり代わる───という設定だ。 基本は、策略…
ピンクフロイド「鬱」 不気味さ、幻想的な雰囲気は残しつつ親しみやすいメロディー
鬱(完全生産限定盤)(紙ジャケット仕様) アーティスト:ピンク・フロイド SMJ Amazon ピンクフロイド「鬱」 Pink Floyd 「A Momentary Lapse Of Reason」 プログレッシブロックバンド、ピンクフロイドのアルバムでは、1987年の「鬱(うつ)」が一番好きだ。 リーダーのロジャー・ウォーターズが脱退し、デビッド・ギルモアを中心とする新生フロイドの第1弾。一般的には「フロイドらしさがなくなった」と言われ「狂気」「ザ・ウォール」といった、ウォーターズ時代のアルバムと比べて評価が低いのが、残念だ。 不気味さ、幻想的な雰囲気は残しつつ、親しみやすいメロディーが前面…
アヌーシュカ・シャンカール「トラベラー」 インドの弦楽器シタールの奏者がフラメンコとコラボ 速弾きが圧巻
Traveller by Anoushka Shankar (2012-03-20) Amazon アヌーシュカ・シャンカール「トラベラー」 インドの弦楽器シタールの奏者アヌーシュカ・シャンカールのアルバム「トラベラー」(2011年)が素晴らしい。 インド音楽を源流のひとつとするフラメンコとのコラボ作品。 収録曲「ブレリア・コン・リカルド」は、フラメンコの手拍子を背景に、シタールとピアノが掛け合いを演じる。ジャズっぽい雰囲気もあり、とてもかっこいい。 フラメンコ歌手カマロン・デ・ラ・イスラの名曲「ラ・レジェンダ・デル・ティエンポ」を思い出した(ジャズ風味を加えたフラメンコで、キーボードの速弾き…
「ジョン・エヴァレット・ミレイ展図録」 「オフィーリア」は緑色が鮮やかで、きれい 虚ろな表情も面白い
「ジョン・エヴァレット・ミレイ展図録」 「ジョン・エヴァレット・ミレイ展図録」 ミレイは19世紀のイギリスの画家。 図録の表紙に使われている代表作「オフィーリア」がいい。 川を流されていく狂気の女性オフィーリアの虚ろな表情や細かい描写も良いし、何と言っても緑色が鮮やかできれい。 「ハムレット」の登場人物で、木の枝に花輪をかけようとして枝が折れて川に落ち、歌いながら、おぼれ死んでしまうのだとか。 「マリアナ」 「マリアナ」はイギリスの詩に登場する、婚約者に捨てられた孤独な女性を題材にした作品。服の紺色が美しい。 以前、作品集を買った同時代のイギリスの画家ウォーターハウスも、オフィーリアや、マリア…
マイルス・デイビス「ドゥー・バップ」 ヒップホップを取り込んだ異色作 クールな演奏が引き立つ
ドゥー・バップ アーティスト:マイルス・デイヴィス ワーナーミュージック・ジャパン Amazon マイルス・デイビス「ドゥー・バップ」 Miles Davis 「Doo-Bop」 ジャズの帝王マイルス・デイビス(トランペット奏者)の曲で一番好きなのは「ザ・ドゥー・バップ・ソング」。ヒップホップを取り込んだ異色作で、遺作でもあるアルバム「ドゥー・バップ」(1992年)に入っており、とにかくかっこいい。クールな演奏が引き立っている。 ジャズファンに限らず広く音楽ファンに勧めたい。 www.youtube.com 延々と繰り返されるシンセサイザーのメロディーはヒップホップデュオ、ギャングスターの「D…
「和樂 2019年8月号」 小原古邨は色使いがきれいで、小鳥の絵が可愛らしい
「和楽 2019年8月号」 「和樂 2019年8月号」 かかりつけの歯科医院の待合室にあり、ミュシャの名前にひかれて手に取った。特集で紹介されていた小原古邨の「梅花に鷽(うそ)」を見て気に入り、今井書店吉成店で購入。 特集によると、小原古邨は明治〜昭和初期の日本画家。フェノロサの助言を受け、海外輸出向けに大量生産可能な木版画を手掛けるようになったとか。 知らなかったが、色使いがきれいで、小鳥の絵が可愛らしい。 小原古邨「梅花に鷽」 特集は、葛飾北斎ら江戸時代の浮世絵版画の海外での人気を受けて生まれた、小原古邨ら明治以降の新版画の解説も興味深かった。 ミュシャの特集はまずまず。影響を受けた画家や…
2020年の映画鑑賞メモ 「ザ・ウォーク」は、ツインタワーの間で綱渡りをした大道芸人の伝記
ザ・ウォーク [AmazonDVDコレクション] ジョセフ・ゴードン=レヴィット Amazon 2020年の映画鑑賞メモ この年のベスト3 ①ザ・ウォーク ②ガタカ ③トレイン・ミッション www.youtube.com 「ザ・ウォーク」(2015年、米国)は、米国のワールドトレードセンター、ツインタワーの間で綱渡りをした実在の大道芸人の伝記映画。そこに至るまでのドラマも面白いし、圧巻は綱渡りのシーン。高所恐怖症なので、ハラハラした。 ガタカ [AmazonDVDコレクション] イーサン・ホーク Amazon www.youtube.com 「ガタカ」(1997年、米国)は、人工授精と遺伝子操…
AC/DC「ライブ」 ギターリフの合間に「アンガス!」と観客が合いの手 まるで曲の一部だ
AC/DC Live: Collector's Edition アーティスト:AC/DC Legacy Amazon AC/DC「ライブ」 シンプルで武骨なサウンドにダミ声のボーカル。AC/DCは好みが分かれるロックバンドだろう。 とにかく男臭くて熱い。スタジオ録音盤ではなく、ぜひともライブ盤で聴いてほしい、できればライブ映像でステージパフォーマンスも見てほしいバンドだ。 1992年のライブ盤「ライブ」は丸ごとお勧め。代表的な曲がそろい、ベスト盤とも言える。ビデオもあり、もちろん持っている。 収録曲で特にお勧めなのは「ホール・ロッタ・ロジー」。 www.youtube.com 冒頭、ギター奏者…
「可愛い音楽」について、考えてみた。 真っ先に思い浮かんだのは、ケイト・ブッシュの「嵐が丘」。 www.youtube.com 甲高くて可愛らしい歌声。 プロモーションビデオのケイトの踊りも可愛らしい。 歌声が可愛いと言えば、ディープ・フォレストの「スウィート・ララバイ」。 www.youtube.com アフリカの民族の歌声を取り入れている。 可愛いというか、不思議な声? ディープ・フォレストは、フランスの音楽ユニットで、民族音楽とエレクトロビートを組み合わせた曲を作る。大好き。 音色が可愛らしい曲を探してみよう。 パッと思い浮かんだのは、スパイロジャイラの「モーニング・ダンス」。 www.…
コクトーツインズ「トレジャー」 エリザベス・フレイザーの神秘的な美声
TREASURE アーティスト:コクトー・ツインズ コロムビアミュージックエンタテインメント Amazon コクトーツインズ「トレジャー」 Cocteau Twins 「Treasure」 世界一の美声の歌手は誰か。 英国のドリームポップバンド、コクトーツインズのエリザベス・フレイザーは有力候補の1人だろう。 ささやくような裏声は「天使の歌声」と呼ばれ、地声の歌と多重録音して引き立て、神秘性を醸し出す。 QNTALのシグリッド・ハウゼン、ステラマラのソーニャ・ドラクリッチといった美声ボーカルを探していて、知った。初めて聴いた時は衝撃を受け、すぐさま気に入った。 ハイトーンの凄い美声という点では…
「イラストレーション メイキング&ビジュアルブック マツオヒロミ」「百貨店ワルツ」 大正ロマン、昭和モダンをテーマに和装の女性を描く
「イラストレーション メイキング&ビジュアルブック マツオヒロミ」 「イラストレーション メイキング&ビジュアルブック マツオヒロミ」 「百貨店ワルツ」 マツオヒロミさんは松江市出身のイラストレーター。 竹久夢二の作品に影響を受けたそうで、大正ロマン、昭和モダンをテーマに和装の女性を描く。 憂いのある表情の女性が良く、植物を題材に緻密に描かれた着物の柄や背景の装飾が美しい。 昨年春に日南町美術館に行った時、出雲市での個展のポスターをひと目見て気に入り「百貨店ワルツ」を購入。同人誌時代の作品もいくつか、ヤフオクで探して入手していた。先日、今井書店に行った時に「イラストレーション メイキング&ビジ…
「もっと知りたい葛飾北斎」 水や風の表現をいろいろと工夫した足跡がうかがえる
「もっと知りたい葛飾北斎」 「もっと知りたい葛飾北斎」 画集で歩みをたどってみて、葛飾北斎は水や風の表現をいろいろ工夫した人だと思った。 晩年のシリーズ作品「富嶽三十六景」の中でも有名な「神奈川沖浪裏」は手前に波を大きく描き、遠くに小さく富士山が見える構図の妙もさることながら、波頭がカギ爪みたいな形に描かれ、白い点々の水しぶきも相まって迫力がある。 波の水面が濃い青色2色で、しま模様みたいに塗り分けられているのも面白いし、白い波頭が際立ち、迫力が増している。 波を大きく描くという構図は若い頃の作品「賀奈川沖本杢之図」にもみられる。 西洋画の技法を試していた頃の作品で、版画ながら特殊な方法でグラ…
デレリアム「カルマ」 エニグマとディープ・フォレストに倣いつつポップに
カルマ アーティスト:デレリアム カッティング・エッジ Amazon デレリアム「カルマ」 Delerium 「Karma」 カナダの音楽ユニット、デレリアムは1997年のアルバム「カルマ」で名を上げた。エニグマやディープ・フォレストのように宗教音楽や民族音楽とエレクトロビートを組み合わせつつ、ゲストの女性歌手を前面に出してポップさも併せ持つ。 www.youtube.com 収録曲「サイレンス」がヒットした。この曲は、グレゴリオ聖歌とエレクトロビートの取り合わせに、スパニッシュなギターを加えて哀愁も漂わせる。 ゲスト歌手サラ・マクラクランがゆったりと包み込むように歌う。サビの「サーーーイレン…
「もっと知りたいカラヴァッジョ」 「果物籠」は本格的な静物画の先駆け
「もっと知りたいカラヴァッジョ」 「もっと知りたいカラヴァッジョ」 カラヴァッジョはダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロらに続く世代のイタリア人画家。 光と影、暗闇を巧みに描き、のちのルーベンスやレンブラント、フェルメールらに影響を与えたらしい。 「果物籠」 図書館で画集を借りて見て、一番気に入ったのは「果物籠」という静物画。ブドウの粒の白っぽい質感まで描く腕前もすごいが、当時は人物が描いてない絵は珍しく、本格的な静物画の先駆けだったという。 画面下の台から籠が手前にせり出すように描かれ、立体感を感じさせる手法も取り入れている。 やっぱり当時はなかなか受け入れられなかったのか、純粋な静物画…
「ウォーターハウス夢幻絵画館」 神話や古代史、小説を題材にロマンチックな作品
「ウォーターハウス夢幻絵画館」 「ウォーターハウス夢幻絵画館」 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの画集。 神話や古代史、小説を題材にロマンチックな作品を描いている。 「クレオパトラ」 お気に入りは「クレオパトラ」。意志の強そうな表情がいい。 (2019年7月20日Facebook投稿を転載) ランキング参加中読書 ランキング参加中Think<書くことは考えること> ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ ウォーターハウス夢幻絵画館 (ToBi selection) 作者:川端 康雄,加藤 明子 東京美術 Amazon
アンダーソン・ブラフォード・ウェイクマン・ハウ「閃光」 ウェイクマンのキーボードが聴きどころ アンダーソンの伸びやかな歌声もいい
Anderson Bruford Wakeman & Howe アーティスト:Anderson,Bruford,Wakeman,Howe LEGACY RECORDINGS Amazon アンダーソン・ブラフォード・ウェイクマン・ハウ「閃光」 プログレッシブロックバンド、イエスはメンバーの入れ替わりが激しく、分裂した時期もある。分裂期に「イエス」を名乗れなかった方のバンド、アンダーソン・ブラフォード・ウェイクマン・ハウのアルバム「閃光」(1989年)が好きだ。 イエスの黄金期のメンバー5人中4人が結成した。イエスの顔であるボーカルのジョン・アンダーソンが参加しており、紛れもなく「イエス」と言っ…
きょう(7日)は、山間部の和牛繁殖農家の取材。覚悟はしていたが、取材先の農家まで、あと数百メートルというところで、雪道にはまり、立ち往生した。 30分ほど雪かき。スコップは、柔らかい雪向けのプラスチック製と、凍った雪にも使える鉄製のスコップを使い分けた。両方あると便利だ。 雪かきをして、何とか動けるようにはなった。ただ、これ以上進むと、またはまると思い、車を置いて、長靴に履き替え、歩いて行った。 3時間ほどいろいろと話を聞かせてもらっていると、取材中に子牛が生まれた。 生まれたばかりの子牛を見るのは初めて。子牛を愛おしそうに拭いてあげる農家の笑顔が印象に残った。その様子を撮影。 車に戻ってみる…
「白頭の人」富樫倫太郎 大谷吉継が主人公の異色作 秀吉は心優しい大人物の設定
「白頭の人」 「白頭の人」富樫倫太郎 戦国大名・大谷吉継を主人公にした歴史小説。 盟友の石田三成や娘婿の真田信繁(幸村)と比べ、知名度が低く地味な吉継を主人公にしたところが面白いと思い、手に取った。 吉継は素直でおとなしい人物として描かれ、影が薄い。 ハンセン病と思われる業病にかかり、闘病の暗い影もつきまとう。 豊臣秀吉が心優しく懐の深い大人物として描かれ、光っている。 秀吉を慕い、天下を取らせたいと願いながら、秀吉に信頼されない黒田官兵衛も、いい味を出している。 平馬(吉継)は、三成や加藤清正、福島正則とともに、秀吉の子飼いの将として育てられる。 ほかの3人ほど手柄を立ててないのに、素直な性…
「ドラゴンズ・ドリーム ロジャー・ディーン幻想画集」 東洋にも西洋にも見える異文明の風景
「ドラゴンズ・ドリーム ロジャー・ディーン幻想画集」 「ドラゴンズ・ドリーム ロジャー・ディーン幻想画集」 英国のイラストレーター、ロジャー・ディーンの描く風景画は、幻想的という言葉がぴったりだ。 東洋のようで、西洋のようにも見える。過去のようで、未来のようにも見える。 どこのいつの光景か分からない秘境や異国文明の風景だ。 オーラ 画集の解説によると、ディーンは子どもの頃、父親の仕事の関係で、英国のほか、ギリシャ、キプロス、香港に住んだことがあり、香港では中国の水墨画に引かれ、影響を受けたという。 この画集はもう絶版になっていて、Amazonでは定価の2倍近い7000円くらいで売られていた。ヤ…
ウェザーリポート「ヘヴィ・ウェザー」 ポップで親しみやすい最高傑作 ジャコが前面に出てきた
ヘヴィ・ウェザー(紙ジャケット仕様) アーティスト:ウェザー・リポート ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル Amazon ウェザーリポート「ヘヴィ・ウェザー」 Weather Report 「Heavy Weather」 ジャズバンド、ウェザーリポートの最高傑作(1977年発表)。収録曲「バードランド」「ティーンタウン」とも、さまざまなミュージシャンがカバーした。 大学時代、ジャズ好きの友人に勧められて聴き、気に入った。特に、ベース奏者ジャコ・パストリアスが大好きになった。フラメンコギター奏者パコ・デ・ルシアの次に好きなミュージシャンだ。 「ヘヴィ・ウェザー」はポップで親しみやすい…
「ミュシャ装飾デザイン集」 惜しげもなく手の内をみんなに還元
「ミュシャ装飾デザイン集」 「ミュシャ装飾デザイン集」 アルフォンス・ミュシャが作った図案集「装飾資料集」と「装飾人物集」をまとめた本。ミュシャは一番好きな画家だ。 昨年春、米子市美術館で開かれたミュシャ展で見て、そんな図案集を作っていたことを知り、本になっているなら、ほしいと思っていた。 このミュシャ展、多数の作品を網羅していて、ミュシャの歩みや人となりがうかがえ、すごく面白くて2時間くらい、じっくり鑑賞し、分厚い図録も買って帰った。 ミュシャは作品も素晴らしいけど、社会貢献的な考え方を持っていた人だと分かり、ますます好きになった。 装飾資料集や装飾人物集は、いわば著作権フリーの図案集で、惜…
「美術手帖 2014年4月号 特集ポップ・アート」 「ヘアリボンの少女」は、訴えかけるような眼がいい
「美術手帖 2014年4月号 特集ポップ・アート」 「美術手帖 2014年4月号 特集ポップ・アート」 リキテンスタインの「ヘアリボンの少女」が表紙に使われているのが気に入り、ヤフオクで入手した。 「ヘアリボンの少女」は、絵画の中で屈指のお気に入りの作品。訴えかけるような眼が良い。 若い頃、会社の先輩方や同期の仲間と100人規模の合コンを企画した際、参加募集チラシの作成を担当。「ヘアリボンの少女」を斜めにして3枚ずらして重ねたものをデザインに使った記憶がある。 (湯村タラの「タラ・ガール」を使ったチラシも作ったことがあるので、もしかしたら混同しているかもしれないが、、、) 当時、Photosh…
2019年の映画鑑賞メモ 「グランド・イリュージョン」 謎解き、どんでん返しの連続
グランド・イリュージョン Blu-ray ジェシー・アイゼンバーグ Amazon 2019年の映画鑑賞メモ この年のベスト3 ①グランド・イリュージョン ②カメラを止めるな! ③トレマーズ 「グランド・イリュージョン」(2013年、米国)は、マジシャン4人組とそれを追うFBI捜査官の物語。謎解きやどんでん返しの連続のストーリーで面白い。 www.youtube.com テンポが良く、派手な演出も好み。 カメラを止めるな! [DVD] 濱津隆之 Amazon 「カメラを止めるな!」(2017年、日本)は、映画のメイキングをコメディ風に面白く見せる。前半は、B級感たっぷりのゾンビ映画。後半は、その…
昨日(5日)夜、「読書」「音楽」「映画」「Think<書くことは考えること>」「雑談・日記を書きたい人のグループ」の5つのグループに参加した。 公式グループは、3つまでしか参加できないのは、少し残念だ。 みなさんのブログを参考にさせてもらい、より良いブログにしたい。 ランキング参加中読書 ランキング参加中音楽 ランキング参加中映画 ランキング参加中Think<書くことは考えること> ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ
「別冊太陽 ルノワール 色の魔術師」 「絵は人を楽しませ、喜ばせるものであるべきだ」との信念に共感
「別冊太陽 ルノワール 色の魔術師」 「別冊太陽 ルノワール 色の魔術師」 ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」は大好きな名画。 ダンスホールの人々を描いた作品で、真ん中の女性の表情もそうなのだが、絵全体が明るく優しい。 昔、ジグソーパズルを買って完成させたのを思い出す。 以前、島根県立美術館で何かの企画展の時に見た「イレーヌ嬢」も良いなと思った。 で、ルノワールに好感を持っていたが、裸婦をよく描いた画家というイメージがあるくらいで、実はあまりよく知らなかった。 先日、買った画集「別冊太陽 ルノワール 色の魔術師」を見たら、人となりや作風の変遷が分かって、より親しみがわいた。 …
「石本正 自選画集」 哀愁漂う舞妓や裸婦 眼の描き方がすごくいい
「石本正 自選画集」 「石本正 自選画集」 島根県三隅町(現浜田市)出身の日本画家・石本正の画集。 ヤフオクで見つけ落札。A3くらいの大判本で、厚さ3センチくらいある。 中古だが、定価4万8000円のところ、送料含め4314円と格安で入手でき、久々にうれしかった。 舞妓を描いた作品 舞妓や裸婦をよく描いた。 哀愁漂う表情というか、眼の描き方がすごくいい。 2002~03年に浜田勤務だった頃、地元の石正美術館で見て気に入った。 浜田を離れてから石正美術館には行ってないが、見覚えある作品が何点かあり、懐かしかった。 島根県立美術館所蔵の作品も載っている。 古代ギリシャ彫刻風の作品「耀」 古代ギリシ…
「コウノドリ」第17巻、鈴ノ木ユウ 「できることはやるし、できないことはやらない」 離島の医師の心意気
「コウノドリ」第17巻 「コウノドリ」第17巻、鈴ノ木ユウ 産科医を主人公にした医療漫画。 第17巻は島根県の隠岐諸島を舞台にしており、地元の実在人物をモデルにした医師が登場する。 なかなか面白かった。 以前は島に産科医がおらず本土に行かないと出産できなかったこと、助産師が中心となり100%ではないものの、島で出産できる態勢を整えたこと(経産婦の正常分娩のみ対応。初産やリスクの高い分娩は本土へ)、もともと内科医だった医師が産科医と総合診療医を引き受けていることなど、離島の周産期医療の問題が描かれている。 作中、妊婦の容態が急に悪化し、島の病院の環境ではリスクの高い帝王切開手術をするかどうかの決…
「賭ケグルイ」原作=河本ほむら、作画=尚村透 ここぞという時は勝つので、安心して読める
「賭ケグルイ」 「賭ケグルイ」原作=河本ほむら、作画=尚村透 娘に勧められて読んだら面白くて、即座に全巻買いそろえに行った(いま7巻まで出ている)。 ギャンブルの強さで序列が決まり、負けて借金を負うと奴隷扱いという学園を舞台に主人公・蛇喰夢子が、学園を支配する生徒会と戦うストーリー。 主人公は時々負けるが、ここぞという時は勝つので、安心して読める。 基本的にはイカサマと心理戦。 相手のイカサマを逆手に取り、予想外の手で勝つ。 イカサマがなく、ハッタリで押しきる場合もある。 ギャンブルはオリジナルのゲームが毎回用意され、それも面白い。 主人公は、基本的には、計算ずくのクールキャラ。 賭けのスリル…
2016~18年の映画鑑賞メモ 「セッション」は物語良し、音楽良し 劇中の曲「キャラバン」は疾走感
セッション [DVD] マイルズ・テラー Amazon 2016~18年の映画鑑賞メモ <2016年> この年のベスト3 ①セッション ②カリフォルニアダウン ③オブリビオン 「セッション」(2014年、米国、原題 Whiplash)は、一流ドラム奏者を志す若者アンドリューが、陰湿なしごきを繰り返す音楽学校の鬼教師フレッチャーに立ち向かうストーリー。フレッチャー役の俳優、J・K・シモンズが本当に憎たらしく好演していて、引き込まれる。 そして、音楽がいい。特に「キャラバン」。ジャズの定番曲で、さまざまなミュージシャンが演奏している。アート・ブレイキー(ドラム奏者)の力強い演奏や、ミルト・ジャクソ…
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