日本にいる間、日曜日ごと(2回だけ)に夫にチーズ屋さん、クリストフの容態を聞いていた。1回目は「長時間の放射線治療が効いている」という希望の持てる知らせだったけど、2回目は「え、院内感染!?」放射線で弱っていたところへ黄色ブドウ球菌に感染。家族もガラス越しでしか会えない隔離された病室だったのに、なぜ?息子さんは夫に「もう父に会うことはないでしょう」と言ったそうで、「どういうこと?もう望みはないって...
娘カップルはボルダリングにはまり、週2回壁をよじ登っている。だんだん難易度の高い壁に挑戦していて、先週、娘は難易度“中”の壁の頂上まで上ったところで、「足が滑って一気に落ちた!」と聞いて母は一瞬青くなる。「どのくらいの高さの壁?!」「わたしの身長の3倍以上」というから5mくらいか。もちろん地上にはマットレスが敷いてあるので「かすり傷だけ」。でも「落ちている間に、これまでの人生が早回しで見えた」そうい...
というタイミングでフランスチームの開会式ユニフォームが発表された。中央の私服はパリオリンピック企画委員長のトニ・エスタンゲ。その左の私服はベルルッティ副社長のアントワーヌ・アルノーPhoto de ©KacperKasprzykそう、作ったのはLVMH傘下(やっぱり)のベルルッティ(高級メンズシューズブランドだけど服も作るの?)ブリジット・マクロンはよくルイ・ヴィトンの服を着ている 。デザインが好きなんだろうけど、彼女がパリ...
邦訳が再版になり、出版社に招待された作家のシドニー。行こうか、行くまいか、ギリギリまで迷い、遅れて空港に着くと、出発が3時間遅れていて飛行機に乗れてしまう。関空では編集者、溝口が待っていた。お話はシドニー(イザベル・ユペール)と溝口(伊原剛志)の、なんとも非現実的な雰囲気の6日間。第一、シドニーが招待された理由も現実味がない。訳書が再版になる度、著者を招待していたら日本の出版社は全部倒産してしまう...
1940年代後半、イタリアの田舎町。戦後の物資不足で人々の生活は貧しいけど、新しい民主主義への希望が感じられる。夫と3人の子供、寝たきりの義父と暮らすダリア。家事の合間に縫物や傘修理の内職に走り回り、ちょっと気に入らないことがあると暴力を振るう夫に耐えている。長女のマルセラはそんな母を見るのが、自分の将来を見るようで辛い。「どうして逃げ出さないの!」「逃げるって・・・どこへ行けって言うの?」そこへ突然、...
茶色くて2-3㎜で、外で見れば可愛いと思えるけど、それが群れをなしてうちの中にいると可愛くない。台所の壁際をせかせかと歩き、流しまで上ってきている。食べ物は全部隠し、猫がいるから殺虫剤は危いよね、と思いつつモノプリに見に行ったら、アリ&ゴキブリ専用で「子供、動物にも安心」という殺虫剤を見つけた。しかしあまり効果なし。数時間で戻って来る。ゴキブリは小動物より頑丈だから、アリとゴキブリを一緒くたにしてい...
コレージュ3学級(14~15歳)のフランス語の授業でロンサールの詩を勉強している。若い先生、ジュリアンは「Astéisme」という手法を「誰かを褒める時、非難のように聞こえる表現を用いること」と説明し、生徒たちの“ピンと来ない”という表情を見て、例を挙げる。「例えば『レスリー、その新しいヘアスタイル、素敵だね』という代わりに『レスリー、何そのヘアスタイル!』…」先生が言い終わらないうちにクラスは騒然となった。「...
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日本にいる間、日曜日ごと(2回だけ)に夫にチーズ屋さん、クリストフの容態を聞いていた。1回目は「長時間の放射線治療が効いている」という希望の持てる知らせだったけど、2回目は「え、院内感染!?」放射線で弱っていたところへ黄色ブドウ球菌に感染。家族もガラス越しでしか会えない隔離された病室だったのに、なぜ?息子さんは夫に「もう父に会うことはないでしょう」と言ったそうで、「どういうこと?もう望みはないって...
スーツケースは無事に着いているだろうか?フランスなら心配になる。ヤマトは出発フロアの隅にあり、控えの紙を見せると「JL45…!」と係員が叫び、「ここに受け取りサインをしてください」「それは受け取ってから…」と言いかけて、2日前に別れたスーツケースが既に横にあるのに気づいた。日本のサービスは素晴らしい。ところで朝の8時前だと言うのに羽田は混んでいる。怖いほど誰もいなかった2022年6月の羽田出国してから夫に日...
帰りの便は10時20分、ということは8時すぎに羽田、ということは7時に出なければならない。「送っていくよ」と言っていた子供たちも7時と聞いて黙ってしまった。空港定額タクシーは予約しにくいので、着いてすぐから探し始める。果たして2週間先だというのに、どこも「予約がいっぱいで承れません」。連休は終わったのに、ウィークデイの早朝からみんなどこへ出かけて行く?電話予約ができる某タクシー会社も「いっぱいです」と...
けっこう頻繁に日本に来ているのは、ホームに入った母を見舞うためだ。彼女の雑用を片付けたり、買い物したり。その合間に子供たちに会い、打ち合わせが少し。実家の整理も続けなければいけないけど、これは8割方終わったところで止まっている。母は、最近のことは何度も聞くけど、しっかり会話ができるし、ユーモアもある。去年夫が会いに来たときは「まぁいいオジイサンになったわね!」97歳の母に「いいオジイサン」と言われた...
新百合ヶ丘は思ったより時間がかかり(移動にはいつも思ったより時間がかかる)息子とシェアハウスに着いたのは夜8時半すぎ。大きなキッチンで、娘と彼が鶏のグリルとズッキーニとポテトの準備に奮闘している。サロンには、料理を作ってひとりで食べている人、パソコンに向かっている人がポツポツ。そのうちテーブルのひとつでポーカーが始まり、仕事帰りの人も着いてにぎやかになった。顔ぶれはナイジェリア人、台湾人、ヴェトナ...
飛行機の座席は、最前列(前部はファースト&ビジネスなので区切りの最前列)を予約してあった。隣はお父さんと2歳くらいの子供。泣き続けたら眠れない…と心配になったけど、とても大人しく、大奮闘のお父さんの方が騒がしいくらい。彼はおむつ、タオルケット、食糧など荷物が多いので座席前のスペースが広い最前列を予約していた。ところがこの席は、TV画面やテーブルがひじ掛けに組み込まれているため倒せない。つまりひじ掛けを...
娘が日本に発って(正確には、一緒に行って置いてきて)から4か月。先日、やっと彼女が残していった衣類を片付けた。洗濯した浴衣を畳んでいたら、どこからともなくタマが現れて、浴衣の上にゴロリと横になる。洗剤の匂いしかしないのに、どうしてわかったの?浴衣の柄を見分けるはずもないし…おまえは天才猫か?娘の不在を一番悲しんでいるのは間違いなくタマ、彼女の”べべ”。(勢いわたしはおばぁちゃん)メッセンジャーで話す...
朝市の商店主たちは重労働だ。午前3時に起き、冷蔵室の商品をトラックに積み、市場に着くのが5時。それから出店を設置して商品を並べ値段をつけ終わると7時。早起きのお客がやってくる…とクリストフから聞いた。商品数が多い八百屋のエルザおばさんは午前3時出発と言っていた。店じまいは午後2時ごろ。残った商品をトラックに積み、帰って冷蔵室に入れると午後4時を過ぎている。2か所の市場で週に2回ずつ、それを17歳の時...
朝市の“クリストフのお店”でチーズを買うようになったのは、娘がお腹にいたときだから27年前 。当時はクリストフと奥さんと、品のいい中年のおばさんの3人で店を仕切っていた。クリストフが夏のバカンスを取る40日間は、他のチーズ屋に行くけど、それ以外は浮気をせず、毎週日曜日、顔を合わせていれば仲良くもなる。「息子さんはコンテ、娘さんは固めのロカマドゥール、あなたはあまり熟成していないロブロション、ご主人は・・・・...
娘カップルはボルダリングにはまり、週2回壁をよじ登っている。だんだん難易度の高い壁に挑戦していて、先週、娘は難易度“中”の壁の頂上まで上ったところで、「足が滑って一気に落ちた!」と聞いて母は一瞬青くなる。「どのくらいの高さの壁?!」「わたしの身長の3倍以上」というから5mくらいか。もちろん地上にはマットレスが敷いてあるので「かすり傷だけ」。でも「落ちている間に、これまでの人生が早回しで見えた」そうい...
というタイミングでフランスチームの開会式ユニフォームが発表された。中央の私服はパリオリンピック企画委員長のトニ・エスタンゲ。その左の私服はベルルッティ副社長のアントワーヌ・アルノーPhoto de ©KacperKasprzykそう、作ったのはLVMH傘下(やっぱり)のベルルッティ(高級メンズシューズブランドだけど服も作るの?)ブリジット・マクロンはよくルイ・ヴィトンの服を着ている 。デザインが好きなんだろうけど、彼女がパリ...
邦訳が再版になり、出版社に招待された作家のシドニー。行こうか、行くまいか、ギリギリまで迷い、遅れて空港に着くと、出発が3時間遅れていて飛行機に乗れてしまう。関空では編集者、溝口が待っていた。お話はシドニー(イザベル・ユペール)と溝口(伊原剛志)の、なんとも非現実的な雰囲気の6日間。第一、シドニーが招待された理由も現実味がない。訳書が再版になる度、著者を招待していたら日本の出版社は全部倒産してしまう...
1940年代後半、イタリアの田舎町。戦後の物資不足で人々の生活は貧しいけど、新しい民主主義への希望が感じられる。夫と3人の子供、寝たきりの義父と暮らすダリア。家事の合間に縫物や傘修理の内職に走り回り、ちょっと気に入らないことがあると暴力を振るう夫に耐えている。長女のマルセラはそんな母を見るのが、自分の将来を見るようで辛い。「どうして逃げ出さないの!」「逃げるって・・・どこへ行けって言うの?」そこへ突然、...
茶色くて2-3㎜で、外で見れば可愛いと思えるけど、それが群れをなしてうちの中にいると可愛くない。台所の壁際をせかせかと歩き、流しまで上ってきている。食べ物は全部隠し、猫がいるから殺虫剤は危いよね、と思いつつモノプリに見に行ったら、アリ&ゴキブリ専用で「子供、動物にも安心」という殺虫剤を見つけた。しかしあまり効果なし。数時間で戻って来る。ゴキブリは小動物より頑丈だから、アリとゴキブリを一緒くたにしてい...
コレージュ3学級(14~15歳)のフランス語の授業でロンサールの詩を勉強している。若い先生、ジュリアンは「Astéisme」という手法を「誰かを褒める時、非難のように聞こえる表現を用いること」と説明し、生徒たちの“ピンと来ない”という表情を見て、例を挙げる。「例えば『レスリー、その新しいヘアスタイル、素敵だね』という代わりに『レスリー、何そのヘアスタイル!』…」先生が言い終わらないうちにクラスは騒然となった。「...
人工妊娠中絶の権利が憲法に加えられた式典で、TF1のジャーナリストに聞かれたマクロン大統領。「間違った情報やでっちあげのシナリオが横行し、信じる人がいること。それが当事者、家族を深く傷つけること」持って回った言い方に、「それはブリジット・マクロンが男性だという噂のことですか?」「もちろんそうです」マクロンは答え、「これ以上話したくない」と苦々しく。この噂を知らなかったわたしは(読者の方に教えていただ...
娘カップルが新百合ヶ丘のシェアハウスに入居して2か月。部屋は狭いけどバス&トイレつき、キッチンやサロンの共有スペースは広くてきれい。サロンで会ったイギリス人の女性は「何でも聞いて」と親切そうだった。数週間経って聞いてみたら、「住人がアホばっか」「!?」娘曰く、英、米、豪、仏・・・つまり白人たちが、アフリカ系の住人に差別的発言&態度をするのだと。「それも精神年齢を疑っちゃうような、あからさまな差別」と...
片頭痛防止対策のひとつで、月に1回オステオパシー (骨矯正術)に通っている。うなじの左側が凝って-先生曰く“ブロック”されていて-それが片頭痛の一因になっているらしい。カイロプラクティックのように骨をポキポキせず-しても1回くらいー両手を頭や首筋に当ててじっとしている。だけなのに、よく効いてここ数か月大きな片頭痛になっていない。こういうのをマジックハンドと呼ぶのでは。なにしろ先生はオペラ座ダンサーた...
猫たちがソファを気に入ったのはいいけど、気に入りすぎて彼らの場所になってしまった。メリディアンヌ(méridienne)と呼ばれる長椅子で雑誌を読むのが夢だったけど、いつ行っても先客がいる。近寄るとキッと睨まれるので、「はいはい、お邪魔はしません」元祖メリディアンヌ。人間が寝そべり、猫は床、が正しかった。Edouard Manet 1862何がそんなに気持ちいいかというと、生地でしょうね。前のズタズタソファは皮でひんやりし...
相続をめぐる家族紛争が週刊誌をにぎわしていて、渦中の人、アヌーシュカ・ドロンがラジオで話していた。アラン・ドロンにはアントニー(59歳。母親はナタリー・ドロン)、アヌーシュカとアラン=ファビアン(33歳と30歳。母親はロザリー・ファン ブレーメン)の3人の子供がいる。この3人が、ドロンの近年の“伴侶”ヒロミさんを追い出した。追い出すまでは団結していた3人が仲間割れ。ドロンが遺産を圧倒的に多くアヌーシュカに...
娘はイヴリーに彼と住んでいて、2人とも近くのアトリエを仕事場にしている。6~7人の画家やイラストレーターが共同で使っている。そこで“Porte ouverte/ドア開けっぱなし”と呼ばれる作品の公開日があった。郊外と言っても、「Marie d’Ivry/イヴリー市役所」はRER-C線でオステルリッツ駅から2つ目。夫とプラットフォームで待っていたら、あと1分で着くはずの電車が突然「削除」の掲示。「着く1分前に削除ってどういうこと?!...
80年代に人気だったKookaïに会社更生法、天下のギャラリー・ラファイエットグループが経営難!のニュースにびっくりしたのが今年2月。そしたら今度はコントワール・デ・コトニエとプランセス・タムタム。どちらもUniqlo (正確にはFast Retailing)の傘下で、コトニエは67店舗のうち28。タムタムは69店舗中27が消えることに。かつて若い子が夢見るブランドだったのに…でもその“かつて”は2000年代初めだから20年も前だ。Uniqloがこ...
ブランシュが弁護士に事情を話すところから物語は始まる。ブランシュは学校の先生、この仕事に情熱を持っている。ある晩、パーティでグレゴリーと出会った。銀行員で美男のグレゴリーの熱い口説きにブランシュはときめく。彼は理想的な男性に見えた。そこからはトントン拍子で、間もなくブランシュは妊娠し、グレゴリーはメッツに転勤になる。家族-とりわけ双子のローズ-と離れるのは心が痛んだが、転勤なら仕方ない。彼女は故郷...
なぜ、マクロンはシャツを2枚着ているのか?ストライプのピンクに合わせてピンクのシャツだから、色的にはマッチしているけど、なぜ重ね着?キャッチの「マクロンはよく働くのでシャツが2枚買える」は面白くなく、納得もできない。「それにジーンズの形が悪い」と娘。でもブリジット・マクロンの服装のほうにダメ出しが多かった。「いくら脚が自慢でも、この歳で膝を出しちゃダメ」とわたし。「この歳でキラキラのバスケットシュ...
ゴールデンウィーク最後の日、東京-ヘルシンキのJALに乗った。なぜ経由便かというと-値段もあるけど-JALの直行便は朝9時、ということは遅くとも7時に羽田到着、ということは5時半出発、ということは4時半起き。つまり最後の日は全く使えず、前夜は殆ど眠れない。ヘルシンキ経由は夜11時で、最後の日が丸々使える。飛行機は空いていて、真ん中4席に娘と2人。折り重なりながら横になれた。娘は、寝息を立てているのに、機内...
Mode offに服を持って行ったとき。店員さんが仕分けをする間待ち、名前を呼ばれてカウンターに行ったら、殆どの服がひとつのボックスにまとめられ、セーターが2枚、別のボックスに入っていた。この2枚は買い取れないのね、と思ったら、実は逆だった。“殆どの服”の中にはソニア・リキエルの夏物(30数年前のだけど)もあったので、「これもダメなんですか?」と聞いたら、「流行りじゃないんで」わたしはソニアだけ拾い出し、200...
娘が着いてから毎日片づけじゃ可哀そうだから、日帰りで何処かに行こう。夫とは山(箱根)に行ったから海?最後の週末、わたしたちは江の島へ出かけた。田園都市線の中央林間で待ち合わせた息子は、短パンにプリントシャツ、水着、バスタオル持参で、コート姿の女2人を「ナニ、その恰好!」笑ったが、現実は寒くて、わたしたちが正解だった。江の島の駅を出ると、目の前が海。思ったより人が多い。カラスもたくさんいて、鷹に似た...
毎日2回は通る道に小さい神社、桜神宮がある。その隣は幼稚園。人が忙しく行き来する駅前通りで、その一画だけ時間の流れ方が違う。ある日、ピンクの花がたくさん咲いているのを見て、初めて入ってみた。ピンクの花は、実は細い短冊で、その木は“縁むすびの木”。こんな小さい神社に、こんなに多くの人が願い事(読まなかったけど)をするんだと感心。桜にちなんだピンクの“花帯”も、近眼のわたしが花と見間違うくらい美しい。それ...
夫が発ち、入れ替わりに娘が着いてからは、前回の続きで実家の整理をする。男2人はあまり頼りにならないからだ。夫はちょこっと手伝っては昼寝をし、息子は、まぁ仕事があるから仕方ないけど、時間は限られている。「2時間で帰ってくるから、ここの押し入れと本棚をお願いよ」と男2人に言い置いて、帰ってくると全然進んでいない。「ナニしてたの!?」「いろいろ議論することがあって」と息子。「そう、なかなか面白かった」と...
去年の7月、送ってきてくれた友人が羽田の閑散を見て「日本も終わりだ」とつぶやいたのを思い出す。たしかにSF映画みたいだった。10か月後、夫を送りに来た出発ホールは人が溢れ、ほぼ全部閉まっていたお店も7割方開いている。3年間、待ちかねた外国人が復活祭休暇にやってきて、連休前に帰るところ?セキュリティチェックに入る人たちの長蛇の列。JALのスタッフが「Face Expressをすると早く行けますよ」搭乗券とパスポートを...
夫は正味8日間の滞在で、10数年ぶりで会う友人たちと食事をしたり、箱根にも行ったのであっという間に過ぎ、発つ日になった。彼の飛行機は夜11時なので、最後の一日、息子と過ごそう、と駅に向かって歩いていたら、「補聴器を忘れた!」「わたしが取ってくるから(そのほうが早い)ゆっくり(つまり通常のスピードで)歩いてて。パスポートは持った?」「パスポート?」「買い物したら免税のとき要るでしょ」夫はコートのポケット...
今回、田園都市線沿線にAirbnbを探したけど、夫と2人、喧嘩せずに過ごせる広さのが見つからない。日本の国境が開き、桜の季節(『桜=4月』と思っている外国人が多い)、それに円安も手伝って外国人が押し寄せているからか。結局、ワンルームを2つ借りることになった。ある朝、わたしの部屋で一緒に朝ご飯を食べ、「支度してくるから」、と夫は自分の部屋に帰った。30分後、ドアのベルを鳴らしたけど返事がない。シャワー中?...
「水の音」の朝ご飯は、夕ご飯に負けず美味しかった。鯵の一夜干しは、温められるようにコンロが用意されていて、玉ねぎとジャガイモのお味噌汁は鍋ごと来る。お重の中には、卵焼き、ミニ昆布巻き、鰯の甘辛煮、鱈子炒り…こんな風に一口ずつ、色んなものが味わえる日本の食事に感激する。朝食には順応性がない夫が、「コーヒー、ハム、フロマージュ・ブラン!」と騒ぐかと思ったら、喜んで全部食べていた。その後、「モトを取らな...
「水の音」という小涌谷のホテルには、大浴場2つと貸し切れる露天風呂がいくつかあった。各階に作務衣が各サイズ用意され、部屋にはバスタオルと小さいタオル、足袋ソックスが入った温泉用の籠。夫は小さいタオルを取り出し「何に使うの?」「これで身体を洗ったり、浴場に入るとき、なんとなく前を隠すのに使うんだ」と息子。「何を隠す?」「・・・・」「ほかの人がしているようにすればいいの」とわたし。ところがちょうど食事時の...
ホテルに荷物を置いたのは13時過ぎ。「この辺でお昼を食べられるとこありますか?」と聞くと、「すぐ近くにフランス料理のレストランがあります」。ここまで来てフレンチを食べたくないけど、お腹が空いてえり好みは言ってられない。お店の名前はROI(王様)、お客さんは誰もいない。お昼のメニューは:ハンバーグ、メンチカツ、ポークソテー、シーフードグラタン。どれもスープとサラダつき。日本で(本場の)味を、とわたしはハ...
わたしは東京で諸々用事があるけど、久しぶりに日本に来る夫のために、1泊でどこかへ出かけよう。「山がいい」と言われ、思いつくのは箱根。近いし、山だし…何よりわたしには思い出のある場所。その昔、おばあちゃんが「二束三文で」土地を買い、「もしかしたら温泉が出るかも」と庭のあちこちを掘り返したけど、何も出なかった。温泉を諦め、茅葺の山小屋のような家を建て、わたしたちは毎年夏休みをそこで過ごした。当時は小涌...
年金改革反対のスト&デモが頻度を増し、週一になっている。日本に発つ日に当たりませんように、とお祈りまでしたのに、13日、12回目のストにぶつかってしまった。RATP(パリ交通公団)は「ほぼ正常」とニュースで言っているけど、RERをよく使う友人が「ニュースはトラブルを過小評価する、スーツケース持って混んだB線に乗るのは避けた方がいい」前日、デモのコースが発表された:オペラからバスティーユ。デモ隊が終着点に着くの...
年金改革でエマニュエル・マクロン支持が落下し、野党連合NUPESは、チンピラのようなヤジや暴言で国会を混乱させ評判を落とした。それを傍観し、時々まともな発言(「マクロンは象牙の塔に篭り、国民の声を聞かない」「49.3の連発は民主主義の危機」…)をしていたマリーヌ・ルペンが一気に点数を稼いだ。先週のアンケートで「1週間後に大統領選を行えば」第一回投票でルペンは31%獲得。与党のエドゥアール・フィリップ28%、急進...
一昔前のフランスで、子供の名前はカレンダーに記されている聖人名、歴史的に知られている人の名前に限られていた。それが“自由化”されたのが1993年1月。その後に生まれた子供にはテス、ケヴィン、オセアンヌ(océan/大洋のギリシャ語)…など外国名が出てきて、それでもまだ常識的だったのが、最近、戸籍責任者が仰天するトンデモナイ名前が続出:Nutella(ニュテラ:仏版ピーナツバター)Fraise(フレーズ:イチゴ)Anomalie (...
「エイプリルフールの冗談かと思いました」とニュースキャスター。社会福祉&連帯閣外相マルレーヌ・シアパが4月8日発売の『プレイボーイ』に、女性の権利について長いインタビューを載せ、表紙に(服を着て)登場する。2017~2022年(マクロン大統領1期目)に、男女平等&差別廃止担当閣外相、次いで市民権担当大臣と若くして重要ポストに就いた。でも一見、政界より芸能界のほうが似合いそうな雰囲気の40歳。photo:causeurエ...