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「ボクは死んだ。でもトゥーリオを一人にしておけなくて、ゴーストになってこの地に留まってる。それでボクは満足だし、トゥーリオも喜んでくれている……本当はヴァンピーロになって一緒に生きたかったけど、トゥーリオはボクがヴァンピーロになったら百年も経たないうちに彼を捨てて、どこかへ行ってしまうだろうって言うんだよ。そんなことあるわけないのに。ボクたちはいつもそのことで口論する。今となってはどっちが正しいのか...
【いいねの数だけ自分の作品の名言を言え】華KAGEROU本編
ツイッターでのタグ遊び。自作のお気に入りのセリフや場面を抜き出してみました!ネタばれあります。未読の方はご注意下さい。●・・・・・・●・・・・・・●・・・・・・●・・・・・・●華KAGEROU1巻 専制君主の無茶ぶり💖=・=・=・=・=・=・=・=・=紙本を適当に開いたところで目についたセリフを選んでみたんですが、一発目はミシェルだったー(笑)プライム・レジェクトの絶対君主として君臨するオーナーのミシェル。セ...
【いいねの数だけ自分の作品の名言を言え】君は天からの贈り物編(華続編)
ツイッターでのタグ遊び。自作のお気に入りのセリフや場面を抜き出してみました!ネタばれあります。未読の方はご注意下さい。●・・・・・・●・・・・・・●・・・・・・●・・・・・・●君は天からの贈り物1巻 友情と恋の狭間で=・=・=・=・=・=・=・=・=悪漢たちに襲われて、危機一髪のところで救出されたアスラン。そのショックでアスランは寮から自宅に戻って引き籠ってしまう。そのアスランの実家に訪ねてきたルーク...
俺はいつかつくろう。 女を守るための花園を。 彼女が、辿りつけなかった現世(うつしよ)の楽園。 それは贖罪なのかすらわからないけれど、「それでも俺は、」 救われたいなんて思わない。 救えるだなんて思わないさ。 ただ俺は、 こんどこそ、きっと。 守り抜いてみせる。 ~fin~
俺はひとり、昏い場所に立っている。あの日から、彼女が消えたあの日から。 暗がりの中、ただ待ち続けていた。暗闇の中、闇雲に探し続けていた。 光は届かない。そうか、もう―――もう、 悪寒で我に返った。あの瞬時に、流れたらしい汗が、躰を冷やしはじめていたせいだ。 じじじじ、と。いつの間にか消えていたらしい外灯が点く。不安定な灯り。それでもその弱い光が俺の思考を現実へと引き戻した。 既にあのふたりの姿は無い。深く息を吐いて、強張った指を数回握った。 ・・・・・・ああ、―――ああ、そうか俺は、恐怖していたのか。 妙に冷静に、そう理解をし、 そしてあの美しくも歪なふたりを思い、苦く嗤った。 あのね、お兄さ…
そして少年は『良くあるハナシ』を語る。 ・・・・・・近くも遠い国で、おんながひとり、捨てられた。と。 まるで飽きられた人形の様に、 まるで壊れてしまった玩具の様に、 無造作に、 廃棄されていた。と。 そんなことは日常茶飯事で、 そんなことは『ヨクアルハナシ』で、 そんなことは誰れも気にも留めない些末な事だと。 弱き者の末路。 救いはそこに無いのか、 弱き者は、救われはしないのか、 「ひとのいのちなんてとくべつなものじゃないよね」 あの少年は無邪気に、曇りの無い眼差しで、 そう微笑んで傍らに立つ『はる』の手を取った。 「・・・・・・・・・・・・よくある、はなし・・・・・・、」 ああ、・・・・・・…
はる、」 少年は慌てることなく、変わらない口調で俺の背後に呼びかけた。「このひとは『違う』。大丈夫」 少年がそう云った途端。ふ、っと気配が消える。 全身に汗が滲んでいた。なんだこれは。・・・・・・恐怖? 少年は、「お兄さん、」と、俺の手首を掴み、強張ったまま自分の意思に逆らい続けている俺の指を一本一本ゆっくりと外すと、すっ、と自ら躰を引いた。 そして、「はる、」 少年は再び俺の背後に呼びかけた。ざわざわと葉擦れの音。「おいで杳(はる)。帰るよ」 ざっ、と。足音。 突然露になった気配に驚きながら俺が顔を上げると、そこには、遮光レンズのゴーグルをかけた少年が立っていた。 当然目許は見えない。それで…
きれいなひとだね、」 長い沈黙の後、少年がそう云った。「お兄さんに似ている」 そう云われ、少し驚いた。 似ているなんて云われたことは無い。 俺は少年に向けた彼女の写真を見つめた。 そうか、似ているのか。 血の繋がりを思い、苦さが胸に広がる。「・・・・・・姉だ、」 少年の反応を見て、はずれだったかとがっかりしながら答える。「お姉さん。・・・・・・そう、・・・・・・」 少年は俺に写真を返す。「お姉さんは、どうしたの? どっか行っちゃったの?」「・・・・・・なんでそう思う?」「だって、『見たこと無いか』だなんて訊くってことは。そういうことでしょう?」「そうか・・・・・・そうだな、・・・・・・」 俺は…
・・・・・・天使が居るのよ。 そう云って、寂しそうに微笑む彼女。 ・・・・・・そうだいつだって彼女は寂しそうに笑っていた。「・・・・・・天使、」 声に出ていたらしい、少年の視線がまた俺に向いていた。 訊いてみようか。 駄目で元々。少しでもなにか掠れば。「この女を、見たことは無いか?」 ポケットから取り出して写真を見せる。 少年がそれを受け取り、ちょっと首を傾げた。「・・・・・・・・・・・・、」 沈黙が酷く重い。 鴉がばさりと、何処かで羽ばたいた。
「お兄さん?」 その声で我に返った。少年が心配そうに俺を見ていた。 どうしてか、俺は吸い寄せられる様に、少年にふらりと近づいた。 少年は、警戒するでもなく、ただ俺を見ている。 鴉が「かぁ」と一声だけ鳴いた。 一瞬空気が密度を増した気がした。何故だろう、胸がざわざわとさざめく。 少年は俺を見上げている。 ・・・・・・純な表情。あどけない顔だ。 綺麗なものしか、知らない。無垢な貌。 眼の色が、・・・・・・灰色なんだな。やっぱり純粋な日本人じゃないのか?「・・・・・・・・・・・・ねぇ、お兄さん。あっちに『街』があるでしょう? 工場の跡地。あそこにはひとがたくさん住んでいるんだって。あのね、あの街に居…
あれはいつのことだったか。彼女が云っていた。それを不意に思い出した。 夕陽の残光に、その淡い金色の髪が煌めいている。 なんだか酷く非現実的な情景だった。だから思い出した。彼女がいつか云っていた、あの言葉を。 金色の光に縁取られた輪郭。まるでその姿そのものが発光しているかにも見えた。 『・・・・・・ほんとうよ? 黄昏のなかに天使をみたのよ』 不躾な俺の視線を感じたのか、少年が顔を上げ俺を見た。 肌が白い。但しそれはあくまでも日本人の肌の色。 貌立ちは寧ろ地味だ。 プラチナに近いブロンドの髪。脱色しているにしては妙に馴染んでいる。とすれば、地毛なのか? お坊ちゃん学校の、制服。それを規則通りに乱れ…
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねぇ? 信じる?』 いつだったか、 『・・・・・・ほんとうよ? 黄昏のなかに天使をみたのよ』
―――――――――はぁーーーーー、 外に出て、思いっきり息を吐き出した。 見えていない筈なのにその息に、 たくさんの言葉が色んな大きさを持って、 含まれているみたいに思えて、 舌打ちをして脚で踏みつけた。 上を向いて、空気を吸い込む。 何度も、 何度も、 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺、演技下手糞すぎるな、」 なのにアイツは気づかない。違和感は薄らとあるんだろう。そりゃあそうだよな。 ふと、 この中庭に面した、アイツの居る、2階のベランダ窓に眼を向けた。 ちらりと過った影。―――影。影か・・・・・・、 俺は息を吐き出す。云えない言葉を、 アイツが失くした、 俺たちの永遠を。
「よう、」 一応ドアをノックして、だけど返事を待たずに部屋に入る。鍵はかかっていない。そもそも鍵なんてついてすらいない。「けーとさん、」 俺の姿を認めて、 室内にいた男は、ふわりと笑う、見慣れた笑顔。曇りのない、表情。 窓辺の空気が僅かに揺れた。思わず向けてしまった視線をそこからずらす為に「最近肩凝るんだよなぁ」と独りごちながらそのまま首を左右に動かす俺。不自然じゃないよな。 その奥にある大きな窓から入ってくる柔らかな日の光で室内は明るい。バルコニーがついているんだっけ? パイン材の白いフローリング。淡いクリーム色の壁紙。かなり広い部屋。床に大きなクッションが3個。無造作に置いてある。ベッド脇…
石畳をゆっくりと踏みしめながら深い呼吸を繰り返す。 静かな空間に俺の呼吸音が吸い込まれていく。 なにを話そう。なにがNGだったっけ? 考え出すと頭ん中がぐっちゃぐちゃになるな。あー。もう、こんな悩むの性に合わねーんだよ。 玄関に立ち、無意識にインターフォンを探してしまった。そういえば無いんだったっけ。 扉に手をかけると難なく開いた。不用心だなって思ったけれど、訪問時間伝えてるし、そういやモニターでチェックしてるんだったか。社長が云ってたな、セキュリティは万全だって。 ここで声を出しても。応える者はいない。そう聞いている。 靴を脱いで中に入って周囲を見回しながら歩く。 天井が高い。 静かだな。 …
窪 美澄『ふがいない僕は空を見た』小説あらすじと感想|映画情報も
窪 美澄『ふがいない僕は空を見た』 ずっとずっと気になっていた小説をやっと読むことができました。 私が最初にこ - yumeitoの映画や小説窪 美澄『ふがいない僕は空を見た』小説あらすじと感想|映画情報も https://yumeito.com/hugainaiboku-novel-movie/ 2022年3月25日