cry for the moon【交錯】/6
そして少年は『良くあるハナシ』を語る。 ・・・・・・近くも遠い国で、おんながひとり、捨てられた。と。 まるで飽きられた人形の様に、 まるで壊れてしまった玩具の様に、 無造作に、 廃棄されていた。と。 そんなことは日常茶飯事で、 そんなことは『ヨクアルハナシ』で、 そんなことは誰れも気にも留めない些末な事だと。 弱き者の末路。 救いはそこに無いのか、 弱き者は、救われはしないのか、 「ひとのいのちなんてとくべつなものじゃないよね」 あの少年は無邪気に、曇りの無い眼差しで、 そう微笑んで傍らに立つ『はる』の手を取った。 「・・・・・・・・・・・・よくある、はなし・・・・・・、」 ああ、・・・・・・…
2023/03/03 20:58