しんみりと秋がやってまいりました。 明日は9月9日、重陽の節句。 ねこ森町は菊の香りに包まれています。 ねこ神社ではご祭神の羽巣手戸さまがスタンバイ。 次々と奉納されるお酒を嬉しそうに眺めていらっしゃいます。 ここ数年、人の世は混乱続き。 人がつらい顔をしていると猫たちもつらい。 猫はいつも大切な人たちの幸せを願っているのです。 羽巣手戸さまの御前で猫たちは祈りを捧げます。 「人を苦しめる災いが去りますように」 「病が癒えますように」 祈りはきっと叶うでしょう。 羽巣手戸さまはまるいおててでお酒をすくい、 人の世に向けてはらはらと撒いてゆきます。 清らかな思いは雨や露となって降り注ぎ、 しんし…
読める目を守りぬきたいサングラス変形の足へゴムぐつ伸びてくれ面会にミニスカートがまぶしすぎ病棟の灯よ病む妻を頼みますなつかしさ受話器いっぱい母の声逢う日もうない母の声しかと聞く病臭を部屋いっぱいに雨つづく看護婦のえくぼ見つけて少し癒え満月が丸く見えない目の不安二十年の距離ちぢめた血のぬくみぼくと妻不具を補い合うコンビ風に耳当てては春の音を聞く三十年偽名に生きた印のつや盆栽をいじる余生というねこ背南...