Follow @hayarin225240 5 急いで決めた転職だったが、新しい職場の就業環境は思っていたよりもきちんとしていることがわかってきた。 高層ビルに囲まれた静かな公園エリアに、その介護施設はひっそりと佇んでい …
創作小説の発信サイトです。近未来SF・社会派フィクションを中心に、心の琴線に触れる物語世界をお届けします。
近未来社会を舞台にした「サイレント・レジスタンス」が好評連載中。音が規制された監視社会で抵抗の道を探る物語です。元々は児童文学中心でしたが、現在は大人向け社会派フィクションへと移行しています。SF・社会批評に関心ある方におすすめ。週1回の更新を心がけています。
Follow @hayarin225240 5 急いで決めた転職だったが、新しい職場の就業環境は思っていたよりもきちんとしていることがわかってきた。 高層ビルに囲まれた静かな公園エリアに、その介護施設はひっそりと佇んでい …
Follow @hayarin225240 4 僕は新しい職場、介護施設で働き始めた。 プログラマーの夢を半ば諦め、住んでいたアパートを引き払い、この施設の職員寮へと引っ越してきたのだ。 ここは家賃が周辺相場の半額以下で …
Follow @hayarin225240 3 施設の中は夕食の真っ最中だった。 大きなテーブルを囲むお年寄りたち。懐かしい光景だけれど、僕はこの日常に飽き飽きして辞めてしまった人間だった。 空の食器を抱えたジャージ姿の …
Follow @hayarin225240 2 ハローワークを出ると、僕はビル街をぶらぶらと歩き始めた。 近くには、すぐに面接してくれる老人ホームがあるらしい。一時間後に担当者と会う予定だった。 空はどんよりと曇っている …
Follow @hayarin225240 1 灰色のコンクリート壁が道の両側に伸び、無秩序な落書きがその表面を覆っていた。 壁に挟まれた細い道の先で、大きなトンネルが口を開けている。一台の大型トレーラーがエンジンを唸ら …
Follow @hayarin225240 あらすじ 耳の不自由な青年が描く、異星からの侵略に立ち向かう静かな戦い。 プログラマーになる夢を胸に、熊本から福岡へ移り住んだ聴覚障がいを持つ主人公。しかし現実は厳しく、ハロー …
Follow @hayarin225240 13 嵐からちょうど一年が経ち、アラアラ国には平和が戻っていました。 港には、サレド国から来た一隻の大きな客船が停まっていました。 その船は、タント・ピエールが故郷に帰るために …
Follow @hayarin225240 12 タント・ピエールは、アラアラ島に取り残されてしまいました。 空はどんよりと曇り、風12が強く吹き始めていた。嵐が近づいているのを肌で感じます。 海は荒れ始め、大きな波が立 …
Follow @hayarin225240 11 アラアラ島では、人々が次々と船に乗り込み、島を離れていく姿が見られました。 嵐の前触れで風が強く、波も激しくうねっています。 港では、小さな帆船が何隻も揺れながら出港を待 …
Follow @hayarin225240 10 タントは船がほぼ完成すると、次は島民の避難を指揮する重要な役目を担うことになりました。 しかし、耳が聞こえないタントにとって、大勢の人々に指示を伝えるのは簡単なことではあ …
Follow @hayarin225240 9 タントは、アラアラ島を守るために、占い師ヨシュアの言葉を反芻しました。 「アラアラ島が嵐で沈むかもしれない…」 生真面目なタントは、眠れない夜が続きました。 ヨシュアがタン …
Follow @hayarin225240 8 国王の目はきらきらと輝いていました。 その瞳には、長い間失われていた希望の光が宿っていました。 「タント、君のおかげだ」 国王は感謝の言葉を口にすると、タントの肩に手を置き …
Follow @hayarin225240 7 タントはアラアラ山を見上げて、深呼吸をした。 「よし、これで準備は万全だ!」 彼の前には、大きなリュックサックが置いてあり、中には乾燥させたシャドウリーフがぎっしり詰まって …
Follow @hayarin225240 6 大臣に就任したタントは、アラアラ国の人々が長い間抱えていた大きな問題に、さっそく着手しました。 それは、山の頂上に住む「ドゥーム・ツリー」と呼ばれるお化け植物でした。 この …
Follow @hayarin225240 5 嵐の夜、タント・ピエールは命こそ助かりましたが、あの轟音と共に永遠に音の世界を失いました。 けれども、彼の瞳は以前にも増して輝きを放っていました。 橋の建設現場では、誰より …
Follow @hayarin225240 4 タント・ピエールが引き続き隣町の橋の建設現場で働き始めたのは、クリオの父親の紹介でした。 嵐の遭難事故で耳が聴こえなくなって以来、彼はジェスチャーを交えた口話や筆談など、独 …
Follow @hayarin225240 3 タントがクリオ少年の家族に助けられてから、何日かが経ちました。 その間に、タントは体力を取り戻しましたが、嵐で遭難した際の影響で、完全に聴力を失っていました。 指で振動を感 …
Follow @hayarin225240 2 目を覚ましたとき、タントは柔らかな砂の上に横たわっていました。 空は青く澄み、風は穏やかでした。けれども体中が痛み、動くこともままなりません。 周囲の音は、まるで綿で包まれ …
Follow @hayarin225240 1 タント・ピエールはサレド国で尊敬されている大臣でした。 国の未来を担う重要な使命を果たすため、彼はある日、大きな船に乗り込みました。 遠い彼方の国と国交を結ぶという使命を果 …
Follow @hayarin225240 あらすじ サレド国の大臣タント・ピエールは、嵐に遭い、遠いアラアラ国に漂着する。彼は一命は取り留めたが失聴してしまう。 現地の少年クリオと家族に助けられ、健康を回復した後、橋の …
ネクロバズとむくつけき勇者たち 41 白衣とウェディングドレス
Follow @hayarin225240 41 ケンジとエミリーが研究所に着いた時、結婚式はすでに始まっていた。 春の陽射しが研究所の白壁を優しく照らし、玄関前には蝶が舞うように大勢の人々が集まっていた。 数台のテレビ …
Follow @hayarin225240 40 ウインドベル自然科学研究所で、所長の結婚式が行われようとしていた。 空は晴れ渡っている。 雲ひとつない。 おまけに研究所の庭には、満開のチェリー・ブラッサム。 K4地区の …
Follow @hayarin225240 39 春の陽気が街に戻ってきた。 チェインバーグ市の中心部では、閉ざされていたシャッターが一つ、また一つと開かれていく。 商店街には人々の姿が戻り始め、かつての活気を取り戻そう …
Follow @hayarin225240 38 大バエは、チェインバーグ市街までやってきている。 商店街は全てシャッターを降ろしていた。 リプリーは繁華街を歩いていた。 時折、銃殺された大バエの死骸に出くわした。 大バ …
Follow @hayarin225240 37 その日の朝、小学生の男の子は、いつものように学校へ向かう途中でコンビニに立ち寄った。 店内のテレビから流れるニュースに、彼は足を止めた。 「チェインバーグ国定公園で発生し …
Follow @hayarin225240 36 夜明け前、トラックはチェインバーグのM地区に到着した。 パルチノンの出張工場の中に…。 倉庫内はもちろん、作業所も無人だった。 若者はトラックを製品搬出所に入れた。 パル …
Follow @hayarin225240 35 チェインバーグの深夜。禁猟区は荘厳な静けさに包まれていた。 密林の中を一台の大型トラックが駆け抜けて行った。トラックのキャビンは、木々の隙間を縫う月の光りを浴びて、まだら …
Follow @hayarin225240 34 ケンジはレストラン「サム」へ顔を見せた。 リンダはチェインバーグからサムの元へ戻ってきているはずだったが、また勤めに出たとのことだった。 チェインバーグの頃に手にした賞与 …
Follow @hayarin225240 33 どれくらい気を失っていたのだろう? ケンジは朦朧として立ち上がった。 とにかく、考えるよりも行動しなければ。 ろくに考えられる状態ではないのだから…。 で、何をすればいい …
Follow @hayarin225240 32 ケンジがハエに関する事の一部始終を、ノートパソコンに入力し終え最後のピリオドを打った瞬間、モニターが青白い光を放ったまま突如として消えた。 研究所全体が闇に飲み込まれるよ …
Follow @hayarin225240 31 夜半、ウインドベルの研究所の通りに、黒いアウトランダーが止まった。 中にいる男は、上気した赤い顔をしていた。 男は後部席から、ゴルフバッグを担ぎ出した。 研究所の門をくぐ …
Follow @hayarin225240 30 オットーとケンジは、研究所の事務室のデスクでコーヒーを飲んでいた。 オットーは毎年、年明けに研究所でコーヒーを飲むことにしている。今年はケンジがその相手だった。少し疲れた …
Follow @hayarin225240 29 凍てつく風が吹き抜けるウインドベルのK4地区。 年が明けても、この街の喧騒は変わらない。 リプリーにとっては日常かもしれないが、オットーとケンジの年明けは、まるで嵐の中を …
Follow @hayarin225240 28 パルチノングループの取締役社長は、二階事務所に来ていた。そこは第五セクション会議室だった。 社長は金ラメの入ったスーツを着ていて、小太りの神経質そうな顔をしている。 屈強 …
Follow @hayarin225240 27 パルチノン食品工業。かつてウィンドベルに進出し、その後撤退した企業だ。 ウィンドベルの前市長ハーバーの誘致で、山間部に工場を建設。だが、3年後、工場の廃液から有害物質が検 …
Follow @hayarin225240 26 病院の廊下に、ぎこちない空気が漂っていた。 リプリー警部補は、まるで敵地に乗り込むかのような険しい表情で歩みを進めていた。 彼の後ろを、若き研究助手のケンジが慌てて追いか …
ネクロバズとむくつけき勇者たち 25 リプリー警部補の嘘だらけな朝
Follow @hayarin225240 25 翌朝、目が覚めると、ケンジはすぐにベッドから降りた。 窓の光りが、まだ焦点の定まらない視線をいたずらにもてあそんだ。 カーテンを開けてから、リプリーの部屋へ行ってみた。 …
Follow @hayarin225240 24 ケンジは昼下がりに、ホテルから外出して、リンダのアパートへ立ち寄った。 別に用事がなくても、なんとなく訪れてしまう状況というものが、人間にはある。 本当はさっさとチェック …
Follow @hayarin225240 23 リプリーが国定公園から病院へ引き返した時、すでに日暮れていた。 病棟の各棟は、街灯の中にぼんやりとたたずんでいた。 スバルは外来駐車場にとめてあった。 隣の白いセダンと比 …
Follow @hayarin225240 22 スバルにたどり着いて街へ引き返す時、あの忌まわしい群れが、道端で餌を啄んでいる光景に出食わした。 ヘッドライトが照らし出す煌々とした道路に、不吉な影が落ちていた。 腐臭が …
Follow @hayarin225240 21 ほとんどのハエが飛び立ち、その姿が見えなくなった後、リプリーは滝壺の近くに留まっている一匹を狙い定めた。 そのハエは片方の羽根を折っていて、飛べずにいた。 近づくと、ハエ …
Follow @hayarin225240 20 滝壺から離れてすぐに、リプリーは戦懐が走った。 まだ巣穴を確認できなかったが、どこからか重い羽音が聞こえてくるのだ。 一匹の黒い鳥が森の中から飛んできた。 その鳥は、滝壺 …
Follow @hayarin225240 19 その頃、リプリーとディックは、禁猟区の森をスバルで走っていた。 リプリーは出し抜けにデカイくしゃみをした。 まるで鼻づまりのカバみたいな、超特大のくしゃみだった。 ディッ …
ネクロバズとむくつけき勇者たち 18 夕暮れのレッド・ブーツ
Follow @hayarin225240 18 リンダは近所の工場に勤めていて、この時は出勤時間が迫っていた。 時刻は16時20分。 あと一時間で準夜勤の交代時間なの、とリンダは言った。 中学生のアレンは冬休みで、一日 …
Follow @hayarin225240 17 ケンジは病院の煉瓦門を抜け、受付で聞いた住所に向かうバスを待った。 時刻表を見る間もなく、バスはやってきた。 彼は運転手の後ろの席に座った。 シートに腰を下ろした瞬間、体 …
Follow @hayarin225240 16 リプリーと別れた後、ケンジはオットーの病室にいた。 オットーはあれから、処置室で点滴を受けているらしい。 ケンジは備付けの折り畳み椅子に座り待ち続けていた。 オットー所長 …
Follow @hayarin225240 15 タバコの匂いが充満しているリプリーのセダンの中。 車内は下水道より臭かった。 古びたシートには焦げ跡があり、ダッシュボードには埃が積もっていた。 窓ガラスには手の跡がくっ …
Follow @hayarin225240 14 午後三時、リプリーは市立病院を出て、スバルのWRX S4を走らせた。向かう先はチェインバーグの禁猟区だ。 車内はホコリだらけで、後部座席には三冊の週刊誌とボロボロの黒い雨 …
Follow @hayarin225240 13 オットー所長はベンチに座り、足首にアンクルウエイトを巻いて、ゆっくりと屈伸運動をしていた。 リプリーは所長の前に立ち、ニヤニヤしながら言った。 「何だ、コサックダンスの練 …
Follow @hayarin225240 12 チェインバーグ市立病院は、ケンジの想像よりもずっとこじんまりとしていた。 敷地内には小高い丘が点在し、豊かな緑に覆われている。 白く輝く建物は新築のように見えたが、玄関に …
Follow @hayarin225240 11 彼女が入れたコーヒーはお世辞抜きで美味しかった。 「お母さんの名前はリンダ・フックスというの。あなたの好きな女性に少し似ているわ」 エミリーは壁のピンナップを指して言った …
Follow @hayarin225240 9 サムの店で所長と電話で喧嘩し、むかっ腹を立ててアパートに戻った。 アパートの部屋は見違えるほど綺麗になっていた。 汚れが溜まっていたシンクも、今はピカピカに輝いている。 古 …
Follow @hayarin225240 9 「マスター、エミリーは何を聴いているんだい?」 ケンジはバーカウンターで居眠りしていたが、奥の部屋の騒音で目が覚めた。 マスターは向かいのシンクで何かを作っていた。 「ヴァ …
Follow @hayarin225240 8 夕暮れ時に研究所を訪ねたが、誰もいなかった。 ケンジはいつものように、自転車を玄関脇に置くと、スペアキーで玄関の戸を開けた。 玄関から研究室の廊下を見渡したけれど、奥の壁ま …
Follow @hayarin225240 7 立ち直り準備中 クリスマス一週間前のある日、ケンジはお気に入りのレストラン「サム」に座っていた。 彼はいつもここに来るたび、ふと彼女が現れるのではないかと期待してしまう。 …
Follow @hayarin225240 6 レストラン「サム」 ウインドベルの市街地の外れにある静かな丘は、富裕層によって別荘が建てられた場所だった。 市街地では、普通の家々が等間隔に建ち並び、住民たちは平穏な休日を …
Follow @hayarin225240 4 リプリー警部補の依頼 研究所を訪れたワゴン車の持ち主は、一階の事務所が無人なのを確かめると、今度は二階へ上がってきた。 老朽化した建物の階段は、どんなに忍び歩いても容赦なく …
Follow @hayarin225240 3 偽装パンダとバイト代 ウインドベル駅を中心とした賑やかな市街地から二十キロも離れた、人目につかない裏町の一角。そこには、時代を感じさせる古びた看板がかかる自然科学研究所がひ …
Follow @hayarin225240 2 ウインドベルの光 ウインドベルは、自然と文化が調和した、珍しい近代都市の一つだ。 街の遊歩道は、小川や木立で彩られ、市民に安らぎを与えている。 ここでは、野生動物の保護も積 …
Follow @hayarin225240 1 密猟者 真夜中、チェインバーグの森はとても静かだった。二人の男が禁猟区の山中を歩いていた。二人とも黒ずくめの格好で、散弾銃を背負っている。森の中に入ってからというもの、彼ら …
Follow @hayarin225240 あらすじ かつて環境問題を引き起こし、ウィンドベルを去ったパルチノン食品グループは、新たな街チェインバーグで再び活動を開始した。彼らは驚異的な速さで成長し、チェインバーグの人々 …
Follow @hayarin225240 7 とっとこ山のむこうがわへ行くと、かきの木がたくさんならんでいる林がありました。 ここでは、りょうりのおばあさんからきいた、めずらしいきのこがとれるのです。 「あのきのこは、 …
Follow @hayarin225240 5それからしばらくして、またエミが熱を出しました。 さむい夜のことです。 園長先生と女の先生が、ろうかでエミのにゅういんのはなしをしています。 「こんなさむいところにいるよりも …
Follow @hayarin225240 1 その年の冬はとてもさむくて、とっとこ山のふもとの村は雪がつもっていました。 村には親のいない子どもたちのしせつがあり、二十人ぐらいの子どもたちがいっしょにくらしていました。 …
Follow @hayarin225240 25 ハンドサインの約束 「それで、辞めた後はどうするんだ?」 ディーが計器類のチェックをしながら、レイに尋ねた。 レイはシートに深くもたれ、窓の外を見つめていた。 「母国に帰 …
Follow @hayarin225240 24 キャビンのシートが足りない パイロットのレイはもちろん、エンジニアのディーはレイの隣の座席に座ることになった。 操縦室はこの二人で定員締め切りだった。 X50の狭いキャビ …
Follow @hayarin225240 23 お守り アキュラ星の空は赤く染まっていた。 脱出フライトまであと3時間しかない。 X50の機体は緒方とディーが必死に整備していた。 レイは操縦席で日本の輸送船と連絡を取っ …
Follow @hayarin225240 22 異星での別れ X50のフライト当日。 マリコをはじめとする子供たちは、由里子と共に、脇田よりも早く村を出発し、船へと向かっていた。 かつて彼女たちの騒ぎ声で賑わっていた小 …
Follow @hayarin225240 21 レイの馬飼い計画 久し振りに緒方が、村の住まいへ姿をみせた。 「ねえ、マリコ君。レイはどこにいるか知ってる?」 緒方は、宇宙船の修理に没頭していたせいで、ひげを剃ることも …
Follow @hayarin225240 20 星の馬と優しさ エンジニアのディーがあんなことを言っていたものの、脇田にはレイが頑なに人を拒否しているように見えた。 口を利かないどころか、食事の時でさえ、ろくに皆の前に …
Follow @hayarin225240 19 失くした自信 夜が明ける前に、ディーの声で目が覚めた。 「オガタさん、オガタさん!ジャパンから返事が来たんです!」 ディーはコクピットからエンジニア室に駆け込んできた。緒 …
Follow @hayarin225240 18 心の傷を癒やすのは… 「脇田さん、脇田さん」 村からX50へ向かう途中、船の下から緒方が呼んでいた。 脇田は慌てて土手を駆け降りた。 「海へ行ってたんじゃなかったんですか …
Follow @hayarin225240 17 星の息吹 アキュラの朝はいつも爽やかだ。 今朝も美しい太陽の光で目を覚ました。 子供たちは船の外で元気に遊んでいた。 レオはパソコンを村に持ち込み、景色を眺め、アキュラの …
Follow @hayarin225240 16 交信手段と心的外傷 脇田たちは、村の生活に少しずつ慣れてきていた。 特にマリコとユキオは、村の生活に馴染もうと、村人の交流の中にできるだけ身を置くようにしていた。 村人た …
Follow @hayarin225240 15.神様の馬とワガママな男 草原が光っている。 最初は、広大な湖かなと脇田は思った。 たくさんの草の緑が風になびいて、水のようにきれいだった。 遠くに、青い山が見えた。 この …
Follow @hayarin225240 14.草原の向こうに 朝になったら、外はすごい騒ぎだった。 どうしたんだろう? みんなが集まってるのが見えた。 でも、起きるように言われなかったから、そのまま寝てた。 ずっと寝 …
Follow @hayarin225240 13.ミラクルフルーツの贈り物 一行は、森の中の少し開けた場所にたどり着いた。 そこは太陽の光が差し込み、周囲の暗闇とは対照的に、明るく華やかな雰囲気だった。 緒方はその手前で …
Follow @hayarin225240 12 トンネルの向こうの不思議な村 彼らはトンネルに入っていった。トンネルは広く、深く、一本道だった。 トンネルの壁には、所々に火のついた松明が立てられていた。 松明の光は、岩 …
Follow @hayarin225240 11 先客 一行は丘を下りて、海に向かって歩き始めた。 だが、その途中で、彼らは驚くべき光景を目にした。 それは、カプセルのような形をした物体だった。 彼らの乗っていた宇宙船の …
Follow @hayarin225240 10 ストレンジ・ワールド 脇田はカプセルの窓から外を見た。 目に入るのは、赤く燃えるような空と、奇妙な形をした岩や植物だけだった。 ここは本当にマリナスなのだろうか。彼はそう …
Follow @hayarin225240 9 闇夜の赤い眼 夜が更け、カプセルの外は闇に包まれた。 カプセルの中は、天井のほのかな光が室内をぼんやりと照らしていた。 日没し、カプセルの外に異変があった。 夜を待ち受けた …
Follow @hayarin225240 8 レオの笑顔 『ねぇ、脇田さんって、変わっているね』 マリコはユキオにそう言った。二人は不時着した星の海岸にある避難カプセルの中にいた。 カプセルは母船から分離されたもので、 …
Follow @hayarin225240 7 黒い海に沈みゆく船 海の色が、どことなくおかしかった。 空はすっかり晴れ上がっているというのに、まるで分厚い雲が影を落としたような真っ黒い海だった。 森の木々も、雑草も、目 …
Follow @hayarin225240 6 ジョージ・デラクの決断 宇宙船はマリナスに入港する二日前、突然の危機に直面した。 それは何の前触れもなく、人々に襲いかかった。 「キャー!」 客室が左に大きく傾き、船客は座 …
Follow @hayarin225240 5 退屈な宇宙の旅 結局、宇宙旅客船ノーヴァは予定より三十分程遅れて、地球を後にしたのだった。 脇田はマリコのはしゃぎ声で眠りを妨げられ、しばらくぼんやりとしていた。 マリ …
Follow @hayarin225240 4 絵描きと音楽家 客室。 船が飛び立つ直前、パーサーに呼び出された猫背の男が席を外した。 マリコはその男の名前がジョージ・デラクだと知った。 「ジョージ・デラク…」と彼女はつ …
Follow @hayarin225240 3 機長はどこ行った? コクピットは出航前だというのに、やけに騒がしかった。 深くて重い鼻息が、まるでエンジンの音のように室内にとどろいている。 時折、鼻をすする音や咳払いの音 …
Follow @hayarin225240 2 マリコと猫背の男 出航間際になって、さらに二人の男性が入ってきた。 背の高い男性は奥の方へ、猫背の男は、マリコの向かいに座った。 マリコは抱いていた膝を降ろして、今度は軽く …
Follow @hayarin225240 1 月夜に浮かぶクジラ 月が明るく光る夜、東京湾には、クジラにそっくりな巨大な船が停泊していた。 その船は、海上の微かな潮風に横たわるように、静かに宙に浮かんでいた。 船の …
Follow @hayarin225240 あらすじ 地球から遥か彼方の惑星マリナスを目指す宇宙旅客船ノーヴァ。旅行客は宇宙空間の気ままな旅を満喫していた。ノーヴァは小惑星帯を航行中に氷の塊に衝突する。宇宙船は大きな損傷 …
Follow @hayarin225240 「ママ、ママ。わたしのお人形、知らない?」 この春、小学生になったばかりのアスミは、夕ごはんのしたくをしているママにたずねました。 たずねたのは、今日はこれで三回目です。 「さ …
Follow @hayarin225240 15 ファットオーブ最後の謎 ひとつだけ、ぎもんがある。 それはハメット先生がどうしてファットマンに変身できたか、ということだ。 ランディが言っていたことだけど、勇者という …
Follow @hayarin225240 14 ファットマンの復活 デパートは、テレビの画面で見た警察官でいっぱいだった。 ハメット先生の姿は見つからなかった。 やがて、何人かの警察官が、男の人をとりおさえていた。 盗 …
Follow @hayarin225240 13 アイダ先生の危機 日曜日にランディは、ぼくの家に遊びにきていた。 なんだか、ふたりでいっしょに生活しているみたいだけど、ほんとうにあいつとぼくは仲がいいんだ。 ぼくはある …
Follow @hayarin225240 12 デコボコなふたり 病院へ帰ると、病室にはアイダ先生がまっていた。 ぼくらのすがたを見つけると、アイダ・クレストは顔が赤くなった。 やっぱり、ハメット先生が好きなんだ。 ハ …
Follow @hayarin225240 11 ファットオーブ ぼくらと先生はマーキュロ駅で汽車にのった。 この町には、昔、勇者マーキュロが住んでいたという伝説があるらしい。 ランディがそう言うし、先生だってそのことを …
Follow @hayarin225240 10 どろぼうが街にふたたび 土曜日になると、ぼくらはふたたび病院へ行った。 今日は学校も休みだし、話をする時間はたっぷりあった。 ランディはとちゅうで買い物をしようといいだし …
Follow @hayarin225240 9 招かれざる面会者 ぼくとランディは学校ではたしかに落ちこぼれなのかもしれないけど、それでも友だちのことは好きだし、先生が病気だったら、やっぱり心配する。 けっして悪い子ども …
Follow @hayarin225240 8 ハメット先生の災難 今日もハメット先生は学校へ来なかった。 今日で三日目だ。 ぼくとランディは休み時間にとなりのクラスをのぞいてみた。 アイダ・クレストはしょんぼりしていた …
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Follow @hayarin225240 4 タント・ピエールが引き続き隣町の橋の建設現場で働き始めたのは、クリオの父親の紹介でした。 嵐の遭難事故で耳が聴こえなくなって以来、彼はジェスチャーを交えた口話や筆談など、独 …
Follow @hayarin225240 3 タントがクリオ少年の家族に助けられてから、何日かが経ちました。 その間に、タントは体力を取り戻しましたが、嵐で遭難した際の影響で、完全に聴力を失っていました。 指で振動を感 …
Follow @hayarin225240 2 目を覚ましたとき、タントは柔らかな砂の上に横たわっていました。 空は青く澄み、風は穏やかでした。けれども体中が痛み、動くこともままなりません。 周囲の音は、まるで綿で包まれ …
Follow @hayarin225240 1 タント・ピエールはサレド国で尊敬されている大臣でした。 国の未来を担う重要な使命を果たすため、彼はある日、大きな船に乗り込みました。 遠い彼方の国と国交を結ぶという使命を果 …
Follow @hayarin225240 あらすじ サレド国の大臣タント・ピエールは、嵐に遭い、遠いアラアラ国に漂着する。彼は一命は取り留めたが失聴してしまう。 現地の少年クリオと家族に助けられ、健康を回復した後、橋の …
Follow @hayarin225240 7 立ち直り準備中 クリスマス一週間前のある日、ケンジはお気に入りのレストラン「サム」に座っていた。 彼はいつもここに来るたび、ふと彼女が現れるのではないかと期待してしまう。 …
Follow @hayarin225240 6 レストラン「サム」 ウインドベルの市街地の外れにある静かな丘は、富裕層によって別荘が建てられた場所だった。 市街地では、普通の家々が等間隔に建ち並び、住民たちは平穏な休日を …
Follow @hayarin225240 4 リプリー警部補の依頼 研究所を訪れたワゴン車の持ち主は、一階の事務所が無人なのを確かめると、今度は二階へ上がってきた。 老朽化した建物の階段は、どんなに忍び歩いても容赦なく …
Follow @hayarin225240 3 偽装パンダとバイト代 ウインドベル駅を中心とした賑やかな市街地から二十キロも離れた、人目につかない裏町の一角。そこには、時代を感じさせる古びた看板がかかる自然科学研究所がひ …
Follow @hayarin225240 2 ウインドベルの光 ウインドベルは、自然と文化が調和した、珍しい近代都市の一つだ。 街の遊歩道は、小川や木立で彩られ、市民に安らぎを与えている。 ここでは、野生動物の保護も積 …
Follow @hayarin225240 1 密猟者 真夜中、チェインバーグの森はとても静かだった。二人の男が禁猟区の山中を歩いていた。二人とも黒ずくめの格好で、散弾銃を背負っている。森の中に入ってからというもの、彼ら …
Follow @hayarin225240 あらすじ かつて環境問題を引き起こし、ウィンドベルを去ったパルチノン食品グループは、新たな街チェインバーグで再び活動を開始した。彼らは驚異的な速さで成長し、チェインバーグの人々 …
Follow @hayarin225240 7 とっとこ山のむこうがわへ行くと、かきの木がたくさんならんでいる林がありました。 ここでは、りょうりのおばあさんからきいた、めずらしいきのこがとれるのです。 「あのきのこは、 …
Follow @hayarin225240 5それからしばらくして、またエミが熱を出しました。 さむい夜のことです。 園長先生と女の先生が、ろうかでエミのにゅういんのはなしをしています。 「こんなさむいところにいるよりも …
Follow @hayarin225240 1 その年の冬はとてもさむくて、とっとこ山のふもとの村は雪がつもっていました。 村には親のいない子どもたちのしせつがあり、二十人ぐらいの子どもたちがいっしょにくらしていました。 …
Follow @hayarin225240 25 ハンドサインの約束 「それで、辞めた後はどうするんだ?」 ディーが計器類のチェックをしながら、レイに尋ねた。 レイはシートに深くもたれ、窓の外を見つめていた。 「母国に帰 …
Follow @hayarin225240 24 キャビンのシートが足りない パイロットのレイはもちろん、エンジニアのディーはレイの隣の座席に座ることになった。 操縦室はこの二人で定員締め切りだった。 X50の狭いキャビ …
Follow @hayarin225240 23 お守り アキュラ星の空は赤く染まっていた。 脱出フライトまであと3時間しかない。 X50の機体は緒方とディーが必死に整備していた。 レイは操縦席で日本の輸送船と連絡を取っ …
Follow @hayarin225240 22 異星での別れ X50のフライト当日。 マリコをはじめとする子供たちは、由里子と共に、脇田よりも早く村を出発し、船へと向かっていた。 かつて彼女たちの騒ぎ声で賑わっていた小 …
Follow @hayarin225240 21 レイの馬飼い計画 久し振りに緒方が、村の住まいへ姿をみせた。 「ねえ、マリコ君。レイはどこにいるか知ってる?」 緒方は、宇宙船の修理に没頭していたせいで、ひげを剃ることも …
Follow @hayarin225240 20 星の馬と優しさ エンジニアのディーがあんなことを言っていたものの、脇田にはレイが頑なに人を拒否しているように見えた。 口を利かないどころか、食事の時でさえ、ろくに皆の前に …
Follow @hayarin225240 19 失くした自信 夜が明ける前に、ディーの声で目が覚めた。 「オガタさん、オガタさん!ジャパンから返事が来たんです!」 ディーはコクピットからエンジニア室に駆け込んできた。緒 …
Follow @hayarin225240 18 心の傷を癒やすのは… 「脇田さん、脇田さん」 村からX50へ向かう途中、船の下から緒方が呼んでいた。 脇田は慌てて土手を駆け降りた。 「海へ行ってたんじゃなかったんですか …
Follow @hayarin225240 17 星の息吹 アキュラの朝はいつも爽やかだ。 今朝も美しい太陽の光で目を覚ました。 子供たちは船の外で元気に遊んでいた。 レオはパソコンを村に持ち込み、景色を眺め、アキュラの …