Follow @hayarin225240 5 急いで決めた転職だったが、新しい職場の就業環境は思っていたよりもきちんとしていることがわかってきた。 高層ビルに囲まれた静かな公園エリアに、その介護施設はひっそりと佇んでい …
創作小説の発信サイトです。近未来SF・社会派フィクションを中心に、心の琴線に触れる物語世界をお届けします。
近未来社会を舞台にした「サイレント・レジスタンス」が好評連載中。音が規制された監視社会で抵抗の道を探る物語です。元々は児童文学中心でしたが、現在は大人向け社会派フィクションへと移行しています。SF・社会批評に関心ある方におすすめ。週1回の更新を心がけています。
Follow @hayarin225240 37 その日の朝、小学生の男の子は、いつものように学校へ向かう途中でコンビニに立ち寄った。 店内のテレビから流れるニュースに、彼は足を止めた。 「チェインバーグ国定公園で発生し …
Follow @hayarin225240 36 夜明け前、トラックはチェインバーグのM地区に到着した。 パルチノンの出張工場の中に…。 倉庫内はもちろん、作業所も無人だった。 若者はトラックを製品搬出所に入れた。 パル …
Follow @hayarin225240 35 チェインバーグの深夜。禁猟区は荘厳な静けさに包まれていた。 密林の中を一台の大型トラックが駆け抜けて行った。トラックのキャビンは、木々の隙間を縫う月の光りを浴びて、まだら …
Follow @hayarin225240 34 ケンジはレストラン「サム」へ顔を見せた。 リンダはチェインバーグからサムの元へ戻ってきているはずだったが、また勤めに出たとのことだった。 チェインバーグの頃に手にした賞与 …
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Follow @hayarin225240 5 急いで決めた転職だったが、新しい職場の就業環境は思っていたよりもきちんとしていることがわかってきた。 高層ビルに囲まれた静かな公園エリアに、その介護施設はひっそりと佇んでい …
Follow @hayarin225240 4 僕は新しい職場、介護施設で働き始めた。 プログラマーの夢を半ば諦め、住んでいたアパートを引き払い、この施設の職員寮へと引っ越してきたのだ。 ここは家賃が周辺相場の半額以下で …
Follow @hayarin225240 3 施設の中は夕食の真っ最中だった。 大きなテーブルを囲むお年寄りたち。懐かしい光景だけれど、僕はこの日常に飽き飽きして辞めてしまった人間だった。 空の食器を抱えたジャージ姿の …
Follow @hayarin225240 2 ハローワークを出ると、僕はビル街をぶらぶらと歩き始めた。 近くには、すぐに面接してくれる老人ホームがあるらしい。一時間後に担当者と会う予定だった。 空はどんよりと曇っている …
Follow @hayarin225240 1 灰色のコンクリート壁が道の両側に伸び、無秩序な落書きがその表面を覆っていた。 壁に挟まれた細い道の先で、大きなトンネルが口を開けている。一台の大型トレーラーがエンジンを唸ら …
Follow @hayarin225240 あらすじ 耳の不自由な青年が描く、異星からの侵略に立ち向かう静かな戦い。 プログラマーになる夢を胸に、熊本から福岡へ移り住んだ聴覚障がいを持つ主人公。しかし現実は厳しく、ハロー …
Follow @hayarin225240 13 嵐からちょうど一年が経ち、アラアラ国には平和が戻っていました。 港には、サレド国から来た一隻の大きな客船が停まっていました。 その船は、タント・ピエールが故郷に帰るために …
Follow @hayarin225240 12 タント・ピエールは、アラアラ島に取り残されてしまいました。 空はどんよりと曇り、風12が強く吹き始めていた。嵐が近づいているのを肌で感じます。 海は荒れ始め、大きな波が立 …
Follow @hayarin225240 11 アラアラ島では、人々が次々と船に乗り込み、島を離れていく姿が見られました。 嵐の前触れで風が強く、波も激しくうねっています。 港では、小さな帆船が何隻も揺れながら出港を待 …
Follow @hayarin225240 10 タントは船がほぼ完成すると、次は島民の避難を指揮する重要な役目を担うことになりました。 しかし、耳が聞こえないタントにとって、大勢の人々に指示を伝えるのは簡単なことではあ …
Follow @hayarin225240 9 タントは、アラアラ島を守るために、占い師ヨシュアの言葉を反芻しました。 「アラアラ島が嵐で沈むかもしれない…」 生真面目なタントは、眠れない夜が続きました。 ヨシュアがタン …
Follow @hayarin225240 8 国王の目はきらきらと輝いていました。 その瞳には、長い間失われていた希望の光が宿っていました。 「タント、君のおかげだ」 国王は感謝の言葉を口にすると、タントの肩に手を置き …
Follow @hayarin225240 7 タントはアラアラ山を見上げて、深呼吸をした。 「よし、これで準備は万全だ!」 彼の前には、大きなリュックサックが置いてあり、中には乾燥させたシャドウリーフがぎっしり詰まって …
Follow @hayarin225240 6 大臣に就任したタントは、アラアラ国の人々が長い間抱えていた大きな問題に、さっそく着手しました。 それは、山の頂上に住む「ドゥーム・ツリー」と呼ばれるお化け植物でした。 この …
Follow @hayarin225240 5 嵐の夜、タント・ピエールは命こそ助かりましたが、あの轟音と共に永遠に音の世界を失いました。 けれども、彼の瞳は以前にも増して輝きを放っていました。 橋の建設現場では、誰より …
Follow @hayarin225240 4 タント・ピエールが引き続き隣町の橋の建設現場で働き始めたのは、クリオの父親の紹介でした。 嵐の遭難事故で耳が聴こえなくなって以来、彼はジェスチャーを交えた口話や筆談など、独 …
Follow @hayarin225240 3 タントがクリオ少年の家族に助けられてから、何日かが経ちました。 その間に、タントは体力を取り戻しましたが、嵐で遭難した際の影響で、完全に聴力を失っていました。 指で振動を感 …
Follow @hayarin225240 2 目を覚ましたとき、タントは柔らかな砂の上に横たわっていました。 空は青く澄み、風は穏やかでした。けれども体中が痛み、動くこともままなりません。 周囲の音は、まるで綿で包まれ …
Follow @hayarin225240 1 タント・ピエールはサレド国で尊敬されている大臣でした。 国の未来を担う重要な使命を果たすため、彼はある日、大きな船に乗り込みました。 遠い彼方の国と国交を結ぶという使命を果 …
Follow @hayarin225240 あらすじ サレド国の大臣タント・ピエールは、嵐に遭い、遠いアラアラ国に漂着する。彼は一命は取り留めたが失聴してしまう。 現地の少年クリオと家族に助けられ、健康を回復した後、橋の …
Follow @hayarin225240 7 立ち直り準備中 クリスマス一週間前のある日、ケンジはお気に入りのレストラン「サム」に座っていた。 彼はいつもここに来るたび、ふと彼女が現れるのではないかと期待してしまう。 …
Follow @hayarin225240 6 レストラン「サム」 ウインドベルの市街地の外れにある静かな丘は、富裕層によって別荘が建てられた場所だった。 市街地では、普通の家々が等間隔に建ち並び、住民たちは平穏な休日を …
Follow @hayarin225240 4 リプリー警部補の依頼 研究所を訪れたワゴン車の持ち主は、一階の事務所が無人なのを確かめると、今度は二階へ上がってきた。 老朽化した建物の階段は、どんなに忍び歩いても容赦なく …
Follow @hayarin225240 3 偽装パンダとバイト代 ウインドベル駅を中心とした賑やかな市街地から二十キロも離れた、人目につかない裏町の一角。そこには、時代を感じさせる古びた看板がかかる自然科学研究所がひ …
Follow @hayarin225240 2 ウインドベルの光 ウインドベルは、自然と文化が調和した、珍しい近代都市の一つだ。 街の遊歩道は、小川や木立で彩られ、市民に安らぎを与えている。 ここでは、野生動物の保護も積 …
Follow @hayarin225240 1 密猟者 真夜中、チェインバーグの森はとても静かだった。二人の男が禁猟区の山中を歩いていた。二人とも黒ずくめの格好で、散弾銃を背負っている。森の中に入ってからというもの、彼ら …
Follow @hayarin225240 あらすじ かつて環境問題を引き起こし、ウィンドベルを去ったパルチノン食品グループは、新たな街チェインバーグで再び活動を開始した。彼らは驚異的な速さで成長し、チェインバーグの人々 …
Follow @hayarin225240 7 とっとこ山のむこうがわへ行くと、かきの木がたくさんならんでいる林がありました。 ここでは、りょうりのおばあさんからきいた、めずらしいきのこがとれるのです。 「あのきのこは、 …
Follow @hayarin225240 5それからしばらくして、またエミが熱を出しました。 さむい夜のことです。 園長先生と女の先生が、ろうかでエミのにゅういんのはなしをしています。 「こんなさむいところにいるよりも …
Follow @hayarin225240 1 その年の冬はとてもさむくて、とっとこ山のふもとの村は雪がつもっていました。 村には親のいない子どもたちのしせつがあり、二十人ぐらいの子どもたちがいっしょにくらしていました。 …
Follow @hayarin225240 25 ハンドサインの約束 「それで、辞めた後はどうするんだ?」 ディーが計器類のチェックをしながら、レイに尋ねた。 レイはシートに深くもたれ、窓の外を見つめていた。 「母国に帰 …
Follow @hayarin225240 24 キャビンのシートが足りない パイロットのレイはもちろん、エンジニアのディーはレイの隣の座席に座ることになった。 操縦室はこの二人で定員締め切りだった。 X50の狭いキャビ …
Follow @hayarin225240 23 お守り アキュラ星の空は赤く染まっていた。 脱出フライトまであと3時間しかない。 X50の機体は緒方とディーが必死に整備していた。 レイは操縦席で日本の輸送船と連絡を取っ …
Follow @hayarin225240 22 異星での別れ X50のフライト当日。 マリコをはじめとする子供たちは、由里子と共に、脇田よりも早く村を出発し、船へと向かっていた。 かつて彼女たちの騒ぎ声で賑わっていた小 …
Follow @hayarin225240 21 レイの馬飼い計画 久し振りに緒方が、村の住まいへ姿をみせた。 「ねえ、マリコ君。レイはどこにいるか知ってる?」 緒方は、宇宙船の修理に没頭していたせいで、ひげを剃ることも …
Follow @hayarin225240 20 星の馬と優しさ エンジニアのディーがあんなことを言っていたものの、脇田にはレイが頑なに人を拒否しているように見えた。 口を利かないどころか、食事の時でさえ、ろくに皆の前に …
Follow @hayarin225240 19 失くした自信 夜が明ける前に、ディーの声で目が覚めた。 「オガタさん、オガタさん!ジャパンから返事が来たんです!」 ディーはコクピットからエンジニア室に駆け込んできた。緒 …
Follow @hayarin225240 18 心の傷を癒やすのは… 「脇田さん、脇田さん」 村からX50へ向かう途中、船の下から緒方が呼んでいた。 脇田は慌てて土手を駆け降りた。 「海へ行ってたんじゃなかったんですか …
Follow @hayarin225240 17 星の息吹 アキュラの朝はいつも爽やかだ。 今朝も美しい太陽の光で目を覚ました。 子供たちは船の外で元気に遊んでいた。 レオはパソコンを村に持ち込み、景色を眺め、アキュラの …