良く、道元禅師の「愛語」について記す人は多いけれども、おそらく出典にしているのは『修証義』「第四章発願利生」であって、原典である『正法眼蔵』「菩提薩埵四摂法」巻ではあるまい。「四摂法」巻というのは、恐らくは初期の段階で編集されたであろう、75巻本(「現成公案」に始まり「出家」に終わる)にも、12巻本(「出家功徳」に始まり「八大人覚」に終わる)にも収録されず、一時は、永平寺5世・義雲禅師の編集か?ともいわれていた、60巻本(「現成公案」に始まり「帰依仏法僧宝」に終わる)に見える巻である。同様に「法華転法華」巻も60巻本系に見える。なお、「95巻本」というのには、皆入っているので、鴻盟社から出ている『本山版縮刷正法眼蔵(全)』を買っていただくと、一冊で皆読める。さて、そうなると、この「60巻本正法眼蔵」という...天桂伝尊禅師の「愛語」について