本・小川洋子 「耳に棲むもの」

本・小川洋子 「耳に棲むもの」

作品紹介・あらすじ耳の中に棲む私の最初の友だちは涙を音符にして、とても親密な演奏をしてくれるのです。補聴器のセールスマンだった父の骨壺から出てきた四つの耳の骨(カルテット)。あたたかく、ときに禍々しく、静かに光を放つようにつづられた珠玉の最新作品集。オタワ映画祭VR部門最優秀賞・アヌシー映画祭公式出品世界を席巻したVRアニメから生まれた「もう一つの物語」「骨壺のカルテット」補聴器のセールスマンだった父は、いつも古びたクッキー缶を持ち歩いていた。亡くなった父と親しかった耳鼻科の院長先生は、骨壺から4つの骨のかけらを取り出してこう言った。「お父さまの耳の中にあったものたちです。正確には、耳の中に棲んでいたものたち、と言えばよろしいでしょうか……」。「耳たぶに触れる」収穫祭の“早泣き競争”に出場した男は、思わず...本・小川洋子「耳に棲むもの」

2025/03/18 22:06