「心事未了」考
明治時代に作られた曹洞宗教団の規則を見ていくと、「心事未了」という語句があるのに気付く。例えば以下のような文脈である。叢林行脚証明状〈行脚僧本人の肩書きや名前、年月日などを挿入〉明治何年月日ヨリ何年月日ニ至ル迄何寺会下(師家ノ寺ヲ云)ニ安居シ心事ヲ了ス(又ハ心事未了ト雖操行過失ナシ)依テ之ヲ証明ス〈寺院名、維那の名前、年月日、住職の署名などを挿入〉『現行曹洞宗法規大全』明教社・明治28年、58~59頁まず、そもそも「心事ヲ了ス」とは何かと言えば、禅宗の修行を通して大悟し、仏心を明らかにしたことをいう。しかし、ここでは、「心事未了」という語句も見える。それに関連して、拙僧所持の「叢林行脚証明状」を紹介しておきたい。明治廿四年冬○○寺結制ニ安居シ開單ニ至ルマテ心事未了ト雖モ操行過失ナシ因テ之ヲ証明スこれは、明...「心事未了」考
2023/07/10 04:57