「鶯のさやけし歌」鶯のさやけし歌は明け方の森に響き渡り顕界と幽界に光が照りとおる樹下に座し仙骨から息を吐く木漏れ日がやわらかく私を撫でるのだ仲春の風は清らかに甘く私の幽体に棲むイノチたちに安楽を与えているそれがこの春彼岸の数日であったいま この夜明け前私は自室のソファーに体を預け傍らの線香の香りの中で呼吸を深めてこの春彼岸の記憶に酔いしれているなんとも甘美な安楽よ心の第三隔壁をすり抜け神我を直撃す...
詩人・木村浩欣の2013年8月からのブログです。 日本文化・東洋思想・神秘思想を基盤に、和歌・俳句・写真詩の創作をして、「祈りの詩文芸」に取り組んでいます。皆々的との楽しい交流を希望しおります。合掌・感謝・詩人・木村浩欣。
「鶯のさやけし歌」鶯のさやけし歌は明け方の森に響き渡り顕界と幽界に光が照りとおる樹下に座し仙骨から息を吐く木漏れ日がやわらかく私を撫でるのだ仲春の風は清らかに甘く私の幽体に棲むイノチたちに安楽を与えているそれがこの春彼岸の数日であったいま この夜明け前私は自室のソファーに体を預け傍らの線香の香りの中で呼吸を深めてこの春彼岸の記憶に酔いしれているなんとも甘美な安楽よ心の第三隔壁をすり抜け神我を直撃す...
「紅椿の幻」 神が来し海上の道岬椿 ( 本井 英 )和歌三首 ちはやぶる神代は地上に在りしかな 紅椿落つ鎌倉の寺 旭日の空をじーっと眺めいる この一刻に久遠おもいて 春の森に鶯啼きて輝ける 座せば無尽の過去と未来よ俳句七句 浄智寺の椿の赤に海を見る 紅椿吾が心源に落ちたるか 藪椿ことばに生きる一花あり 街ゆかば花を数えて弥生かな 春の夜の花のかほりは幻ぞ 鎌倉の路地裏に立ち...
「風と遊ぶ白木蓮」 白木蓮の散るべく風のさからえる ( 中村 汀女 )和歌三首 精霊の乗りて遊びし白木蓮 ひとひらゆれて風の光れる 春彼岸朝焼けの野に座したれば アマテラスの歌天地に満ちたり 人の世に哀し嬉しと吾も酔う 祈りに開く春の花にも俳句七句 白木蓮は男神か路地灯す やわらかき風と遊びて白木蓮 そのかほり宇宙にとけて白木蓮 やわらかき春風に立ち君おもう 森の歌しず...
「春霖と雪柳」豚肉とシメジを炒めてツユの素とゴマダレで食べる今朝は春霖君にも食べさせて「おいしい」って笑わせたいけれど君はここにはいない開けた窓から雨の香りと音が滑り込むシトシト ピチャピチャ自動車の水しぶきの音雨粒の香りうっかりそれは甘いのだと言いたくなるがその直感を今朝の私は疑ってみる耳をすませて頭も心も空っぽにしてこの今朝の春霖に向き合う雨上がりには ミミズが出るかな雪柳は濡れるかな河津桜は...
「初桜のひとひら」 初さくら誰へともなく夜の言葉 ( 岡本 眸 )和歌三首 神いずこ人の問いたる河岸に 彼岸桜のひとひらの散る 春の空青を濃くして光たる 河津桜のひらく朝かな 春彼岸いのちのひかりを祈りなば 死の無き国の滲みいずるか俳句七句 陽の降りし河津桜と春の空 初さくら全てよろしと呟ける 蒼天のゆくへを知るか初さくら 春彼岸かぞえきれない星の下 春昼や茅葺屋根の苔...
「形無き妙なる音楽」三月の東の朝の空には雲が踊るまっさらな蒼天は昇りゆく旭日に色彩を変じてゆき踊り続ける雲達はあるいは渦を結びあるいは千切れゆき日の出の輝きに燃え上がってゆく野辺に座しそれを眺める私は自分の感情の風通りの良さを発見して驚いていた鹿の角の先端を百会にあてがい仙骨から細く深く息を吐く鹿の角の先端を百会にあてがい光明真言を唱える万生の念弦は大気に滲みこの旭日の光線に歓喜している陽光の歓喜...
「春灯と黒き道」 春眠や大き国よりかへりきし ( 森 澄雄 )和歌三首 円覚寺の門前の池にひとひらの 梅の散りたる朝の静けさ 風やわしさねさし相模の朝空に 雲は舞いたり神代は明日かと 白き梅ちりそむる朝あゆみけり 出発も終焉も彼方にありしか俳句七句 春灯や黒き道こそ終わりけれ 観梅や空の海にも光りたり 春情や去りし友あり来たりし友あり 春の夢ねてもさめても色遊ぶ 春時雨...
「白梅の白の理由」 竜天に登るわたしは靴を履く ( 鍵和田 秞子 )和歌三首 春彼岸あさひ拝みて吾も座す 仰ぎし空の色のうつろい ちはやぶる春告草に宿る神 その音楽の始まりに立つ たらちねの母の御霊におろがみて 懺悔文となえる春の朝かな俳句七句 啓蟄や落葉の香りて肚に満つ 春分に鳥のとよみて光満つ 仰ぎなば雲も舞いたり春彼岸 満天の夜空を知れり梅夜月 白梅の白の理由は人...
「早春の謎の音楽」早春の森の梢をホオジロがゆらすそこ声は歌なのか 呼びかけなのか私は歩みを止めて彼の姿を追う梢のゆれる音ホオジロの啼く声私の足音この音楽は何処から来たのか私の胸に響く勾玉がシュルシュルと空間を呑み込むこの二月の朝陽は鋭い音もなく鋭く照り通る二月の陽ざしそれを柔らかさに変換しているのは土の匂いであり梢の呼吸でありホオジロの喜びなのだ音のゆらぎの後先を空っぽの耳が探すのだが私の心は そ...
「梅の枝の目白」 白梅や父に未完の日暮れあり ( 櫂 未知子 )和歌三首 彩雲の風に光りて春来たり 赤子笑みする街の真昼に 浄刹に父母の御心問いし夜に 北極星の真白く光れる 梅が枝を目白ゆらせば春の空 歌に満ちたる常世ありしか俳句七句 二月には梅に遊びし目白かな 梅の枝を目白ゆらせば風笑う 梅林に目白のはらから歌こぼる 風光る人法の世も透き通り 天法の降りて楽しや山笑う 彩...
「チガウという」私はチガウと言うチガウ チガウ ソウジャナイ と何がチガウのか何でもいいのさ何が何であれそれはチガウのだこの世が欲する正しさがチガウと 私は云っている私たちが呼吸する大気は何だ私たちが踏みしめる大地は何だ私たちの空想は何だ誰が真実を知っているのか自分だけが真実を知っているのか神か 仏か 先祖か 宇宙か彼らなら真実を知っているのか私はチガウと云うこの蒼天の輝きは 一体なんだ私の心耳に...
「浄刹にても梅咲くか」 夭折も天寿も梅の花の中 ( 有泉 七種 )和歌三首 色しらぬ白梅ひらく相模の野 鳥の歌にもミロク世ありしか 風ゆるみ春告草の白ひかる 蒼天あおぐ白き輝き 佐保姫の舞のはじまる野をゆけば ホオジロ歩く軽やかさかな俳句七句 神に問う浄刹にても梅咲くか 光降る春告草の仰ぐ空 樹下に座し目蓋とじても風光る 春陰に眼光するどき忠魂碑 生死と云う恐ろしき語と春の...
「紅梅かほる」 カントより妻が難解冴え返る ( 坪内 稔典 )和歌三首 紅梅を黄泉の娘にささげたい 泪も涸れた朝の月かな 蒼氓もこの立春に天仰ぐ 地上浄土は我らが開くと 梅の香をたどりて彷徨う枯野には 幽かに舞ひたる詩の神あり俳句七句 立春やモヒカン少年はしり出す 冴え返る海に朝陽の光る道 明け方の海に背を向け春の月 梅月夜第一義なる祈り事す 紅梅の夜明けに咲きて音も無し ...
「パイライトの見えざる火花」パイライトの金色の玉は見えざる火花を撒き散らし白金の五鈷杵は現界と幽界の七層の壁を貫いてほの白く灯る正月の藤沢の街遊行寺の境内カタチなき一者の流出は石段の内部に満ち溢れ満ち溢れ満ち溢れ万生の眠りの内側からこの世界を支え続けている阿弥陀如来の歓喜の掌よ正しき幸福と叫ばれる真白き欺瞞と歪真の心眼は陰から陰へと動いてゆくデジタルからデジタルへ人間の感情は情報の狂乱にやつれ朝露...
「枯野の初時雨」 待つ春や氷にまじるちりあくた ( 智 月 )和歌三首 冬の野に梅の芽いまだかたけれど この日この時おしみて歩む 彼の人も美に灯の心持つ 明日の浄土は我らが開くと 春隣り死の無き国に顔むけて 枯草を踏む今日の一歩か俳句七句 一月や未だ色無き天もあり 老猫と吾が心琴に冬深し 街路樹の歌を聴いては春を待つ 冬晴れの鎌倉駅の中国人 初時雨きのうを忘れ降りしきる ...
「冬椿のしずく」 山の雨やみ冬椿濃かりけり ( 柴田 白葉女 )和歌三首 遊行寺に天女の彫刻みつけては その見下ろせる街の後先 詩の神冬天の雲ながしては 猫も蟻も花もゆれたり 出発の朝の泪のありしこと 忘れる峠の汗のきらめき俳句七句 冬靄の森の深さにひそむもの 寒月や瞑目しても蜜の色 雨粒をキラとのせたり冬椿 寒椿のぬれて光れる路地の裏 冬椿のしずくに映る宇宙かな 古暦...
「盲なる巨大客船」不可解な熱気を帯びた見えざる嵐がこの冬枯れの野辺に音を滲ませる遠くの列車のリズムにも似て人の人の人の言語中枢に真っ黒いモノリスが置かれてゆく信用で食べてる銀行家たちはハラハラしながらポーカーゲームを続けているそれを眺めるこの河原乞食もまたこの明滅を繰り返す気象予報に夢中なのだ常なる事なきこの天地に未だ見たことのない朝焼けのその空には白鷺が一羽川上へ飛んで行くだろうか明日か 来月か...
「寒林の白き息」 寒晴れや浮上しそうなガスタンク ( 小檜山 繁子 )和歌三首 自意識と云う小さき船が川岸に 長く眠りて春を待ちいる 勾玉の光れる音を胸に秘め 泪のあとの空の輝き ぬばたまの夜のひずみに垣間見る 古き森にも鳥声の満ち俳句七句 あらたまの風もやさしき枯木立 正月の夜のしじまの浅き夢 霜ひかる泪と笑いのそのハザマ 寒晴れや空っぽの眼が空を見る 黒き夢みな暖め...
「新年の謎」 新年の謎のかたちに自在鉤 ( 平井 照敏 )和歌三首 年立つや明日の謎を数えては 影なき昨日の息を吐ききる 真夜中のコンビニにタバコを買いたれば 艶本みつめる少年のあり 新年の街に太鼓がコダマする 神を忘れた人々の群れ俳句七句 カタチなき風に真向い玉の年 正月の街ぶるぶると太古の音 寒暁や九羽の白鷺北へ飛ぶ 吾は立つ黙して光る霜の朝 勾玉を胸に音聴く枯野かな ...
~謹賀新年~ (2025)☆令和七年皇紀2685年西暦2025年元旦国歌 ~「君が代」~君が代は千代に八千代に さざれ石の巌となりて苔のむすまで☆皆々様新年 明けましてあめでとうございます。この新年を寿ぎ皆々様のさらなる御健勝と御多幸を誠心を込めて御祈念申し上げます。☆☆☆☆☆☆和歌三首☆ちはやぶる すめらみくにのいやさかにみたまのふゆを かがふらせませ☆しずかなる あおひとくさのかげひなたみたまのふゆを ...
「冬天に迷いなし」 山眠るまばゆき鳥を放ちては ( 山田 みづえ )和歌三首 寒月の大山の胸に沈むころ 背中にあびる朝陽ありけり ちはやぶる阿夫利神社に祈りことせむ 天狗遊びし久遠に真向い 汝も目覚む幽なる風の冴える朝 イノチあるもの皆かがやきて俳句七句 輝ける目覚め問いかけ山眠る 初霜の白の光れる朝の野辺 スーパーへ自転車できる空っ風 仰ぎなば無言を破る冬銀河 引地川...
「冬椿の歌」 冬麗やまだまだ回る摩尼車 ( 片山 由美子 )和歌三首 暁闇の森に旭日走りなば 樹の影しずけき明日へと伸びる 静かなる革命見つめる長き夜に 一陽来福マジマジと呑む 一面の銀杏落葉の黄金の 冴えたる風を胸に満たして俳句七句 冬うらら草に霜ふる夜明け前 仲冬に閑寂という言葉を呑む 十二月に海を見下ろす阿夫利山 絶後なる歳晩の天晴れ渡る ふり返り朧なる明日年おし...
「FBからの転載」(24・10・29)今年も、FBでいろいろ書かせて頂きました。本年も、まだ二か月ありますし、まだまだ、駄々洩れで、語り続けると思いますが、FBは、時間がたてば消えてしまう、メディアです。特別な記事をここに転載して保存したいと思います。まずは私自身の学びの深化のために、そして、このブログを楽しんで下さる方々の喜びと気づきの種になりましたら、嬉しく思います。今回は、三つの記事を載せます。合...
「ザザザザーン」秋の海風はかわいている伊豆の城ヶ崎の断崖絶壁岩礁を洗う大海の呼吸青い海と青い空そして無窮の水平線ゴジラよりも生々しく眼前に屹立する巨岩響いているのだ とぎれることなく唯に唯に岩礁を洗う潮騒だけがザザーンドッパーンザザザザーンおおわだつみの雄叫びか全てを呑み込み浄化する大海に毅然と立ち尽くす巨岩は万陣の風と共に響き続けている黒曜石を運ぶ縄文の船もこの巨岩は見下ろしたのか無数の朝陽と無...
「稲架と岩礁」 整然と神話の国の稲架の列 ( 川崎 慶子 )和歌三首 ちはやぶる龍宮窟の天窓の ちぎれて哀し雲の光れる 天高し稲架の影にて仰ぎなば 天地開闢明日にあるらし 今ここに未来も過去も握りしは 吾が手なりしか神の手なりしか俳句七句 吾が血にも稲架を見つめる祖霊の眼 新涼や少女の瞳の奥の謎 晩秋の生死一瞬の波濤かな 岩礁に素風を遊ぶ秋の潮 石廊崎の擬宝珠が仰ぐ秋の...
「天蓋花の白き輝き」 江ノ電のタタンタタタン秋うらら ( 大野 鵠士 )和歌三首 陽の去来かさね沁みたる岩礁に 常に新たな秋の風かな うつし世もかくり世にても透き通る 名月に祈る死者たちの旅 曼殊沙華の生死こえたる輝きは 虚空を渡る船をよびたり俳句五句 秋爽の伊豆のかなたの水平線 残り香の浄土に帰するか曼殊沙華 そのなみだ天蓋花の白は知る 死人にも出発のあり彼岸花 浄刹に君...
「名月と聖石と私」(2024年中秋の名月)中秋の名月の夜ベランダに大きな鏡を寝かせてその上にパワーストーンをならべた聖石達に月光浴をしていただくのだヘマタイト ラヴラドライト クリスタル極彩色の感情の内側から私もしばらく満月を仰ぐのだがそれでは月の心は分からない流れゆく九月の夜の薄雲に月光は自らの歌をのせながら色彩を与えてゆく中秋の夜の涼気と虫の声皓皓たる月光に聖石たちをあずけて自室のソファーにも...
「曼殊沙華ちる」 ひとりきてふたりで帰る曼殊沙華 ( 矢島 渚男 )和歌三首 無量なる時空やどせし曼殊沙華 慈悲に満ちたる懐かしき明日 今ここに確かに幽かに曼殊沙華 土の香りを織りたる如くに 恋なくば新しき世も無きことを 赤く刻みて曼殊沙華ちる俳句七句 彼岸花を揺らせる風の細きこと 天蓋花色なき風を赤くする 曼殊沙華名も無き風をなぐさむる 咲き散るも滅びを知らぬ曼殊沙華...
「曼殊沙華の白に虹」 神々の水引細工曼殊沙華 ( 石井 弘子 )和歌三首 ちはやぶる伊豆山神社の秋の朝 潮風あびてはミロク世を祈る 曼殊沙華の白き精霊おもひなば 浄土光れる音楽ありしか 石廊崎の岩礁の知る空の色 虚空の無限に響く波音俳句七句 浄刹を天蓋花の白に知る 曼殊沙華の色の中にも虹があり 浄土の笑み伝えたりしか死人花 深秋や振り返り見る遠き明日 絶壁に金風無限を睨...
「エメラルドの淡き光」はずした念珠のエメラルドの淡き光夜のしじまに透き通るティンシャの音色覚醒を待ちわびるDNAサマディーはこの骨盤に用意されているのに未だ 私は それを使えない唯々 無限の虚空をブラックコーヒーとともに呑み込んでいる街をゆく乙女たちの声色は細くなったその理由が分からない観音の千の掌は千の香りを自在に操り人々の正直さを導いている道具たちは首座を降りたのだ心は中心を思い出しその出生地へ...
「紅蓮華もあそぶ」 天日へせり上がりたる蓮の花 ( 村上 喜代子 )和歌三首 ちはやぶる神世は地上に在りしかな 紅蓮ひらく7月の朝 御仏の救い歌ひて開きしは 紅蓮の香の千年のわざ 伝説を知らぬ童も見つめたる 紅蓮あそぶ地上のよろこび俳句七句 紅蓮をゆらせる風はいずこより 泥中に炎ありしか紅蓮のいろ 蓮池はドラゴンフライの極楽ぞ 紅蓮の幽なる光の届く場所 薄明の蓮の花弁を...
「白蓮のひかり」 白蓮の落花は明かり置くように ( 森 高武 )和歌三首 万霊の声なき声をのせたるか 白蓮ひらくひとひらの空 薄明に白蓮ひらく花園に あの人もあの人も連れて行きたし 古への人の知らざる白蓮の 何を願いて蒼天に咲く俳句七句 白蓮の花弁のスジを数えけり 白蓮の花芯の黄金しずかなり 蓮ひらく心と言葉のカタチして 天日を大地にうつし白蓮華 やわらかき朝日に直き...
「とめどなく岩清水」 まだ逃げるつもりの土用鰻かな ( 伊藤 伊那男 )和歌三首 山笑う丹沢山の奥沢に せせらぎの音かなでたる歌 ちはやぶる神遊びたる石清水 吾身ひたせば生死こえたり 夢さめて又夢なるか現世に 君の歌いし人の心よ俳句七句 夕暮れの土用鰻の男気よ 人神も羅(うすもの)まといて街をゆく 夏服の後輩汗する遊行寺か 滴りも人を抱きし山静か 音の神の歌とめどなく石...
「白い野獣」瞑想を終えた午前一時ソファーにもたれて息をおろす念珠のルビーの赤の深みを見つめる「てえへんだ!!てえへんだ!!」とテレビもネットも騒ぎ続けているがこの水面の白波は深海魚の千年の夢見にどのような気脈を繋げているのか仙骨から鼻に抜ける吐息SNSで見た美女の笑みと言葉爽風に満ちた由比ヶ浜の朝焼け見えざる重さを焼却しつづける私のペン泥の中に踊る白い野獣よ君はまだ自らの奇跡を知らない天地の鏡はこの...
「白百合ゆれる」 星の夜も月夜も百合の姿かな ( 闌 更 )和歌三首 泪も笑みも唯に見つめる山百合の 静けき朝の水音の満つ 山百合の前に立ちては振り返る たどりし道の影と顔たち 万年も億年ものち咲く百合の花 人は如何にかそれを歌うか俳句七句 深山に白百合ゆれる眩しさよ 瀬音にも百合の香しみる山の朝 百合ゆれる仙女の幽の誘いに 山神の御宝なりし白百合よ 神はただ遊ぶばかり...
「夏の花売人」 水晶の念珠つめたき大暑かな ( 日野 草城 )和歌三首 たまきわる稲のイノチを賜りて 詩の河辺を歩く朝かな ちはやぶる風鈴ゆらぐ夏社 あまたの願いを見下ろす眼差し 街の灯の静けく光る夏の夜に 花売人の笑みのこぼるる俳句七句 朝おきて麦茶のみほす小暑かな 路地裏でタバコ燻らす大暑かな 土の香を肚におさめて夏の陽よ 色満ちて夏暁の由比ヶ浜 短夜や歴史の裏の裏の...
「7月の朝霧」この7月の明け方の広い田んぼの端に座しお日様の昇りくるのをじーっと眺めているはるばると朝霞青鷺が啼きながら飛ぶのだ彼方の叢林には霞がゆらぐなんとも艶やかな天地だろうか7月の田んぼの稲は青々とゆるりゆるりと風を受けている東の空には点々とUFOみたいな雲の群れ薄明はしだいに赤みを増してゆく清らかに燃えてゆく大空柔らかな爽風の只中に座し私はじーっとそれを見ているうっすらとたゆたう朝霞のその向...
「紫陽花がひらく」 紫陽花に水よりも濃き水の色 ( 今井 尚子 )和歌三首 青深く心潜りて紫陽花の はじけて放つ空を写して さやかなる山の瀬音に蜥蜴あり ピタと止まりて吾を見つめる 夏シャツの襟にのりたる髭面を たれて拝する関帝廟かな俳句七句 沢のおと晩夏の闇へねむり入る 涼風の岩の苔にもやわらかし 紫陽花のはじけて湿る路地の蔭 老鶯の森の朝には君がいない 瑠璃蜥蜴水...
「河鹿笛の歌いしモノ」 冷房車大地の底へ濡れて入る ( 和田 悟朗 )和歌三首 たまきわる夏のいのちの長くなり 太陽の音はらに満ちたり 我儘は詩人の務めと覚えけり 群れの外へと走る鉄馬よ 老鶯の朝陽の森にうたひなば なぜに無尽の喜びありしか俳句七句 サングラス昨日を探せど見つからず 早乙女の死の無き国か泉殿 扇風機まだ見ぬ明日も回りしか 波音に忘我の息の磯涼み 母の...
「白銀の波ひとつ」観ずる者によって観ぜられる者が出現し観ずる者と観ぜられる者との等距離から両者を等価に観ずる者が出現するこの三者は太陽と月と地球であるアマテラスとツクヨミとスサノオであり三尊は廻り廻り廻り廻り続けて発光と受光とその観測の三つの作用を重層的に共有してゆく音に満ちた漆黒大宇宙の見えざる軸喜びと悲しみと両者を同等に眺める真我ワタシと云うミクロコスモスアナタというマクロコスモス真理は常に神...
「風の七耀」 さみだれや天河を前に家二軒 ( 蕪村 )和歌三首 輝ける五月の鏡に額ずきて 天法満つる世を祈りたり この夏に秘すべきモノ明むるモノ数えたり 風の七耀あが身に浴びては 御仏の父母をおろがみ夜が明ける 直き心に座するよろこび俳句七句 夏の雲洋食店の窓の外 月涼し数えきれない想いに降る 吾は誰ぞ問えば名のある夏の風 南風に問えば無名の吾も遊びたり 五月雨や天...
「水面に踊る夏暁」 六月の木の闇に棲みひとを恋ふ ( 文狭夫 佐恵 )和歌三首 ぬばたまの夜座の静けき時の間に 色の満ちたる音の天地よ ちはやぶる弁財天の御堂にて モザイク模様の願い香りぬ 生きる者死に行く者の連なりて 三万年の言霊が抱く俳句七句 波音の肚に響きて夏の日々 学童の笑い歩きて五月の陽 夏来る水の記憶の深さより 六月の雲のちぎれてなお甘し 相模川の水面に踊...
「草の詩の泉」あたり前の日常あたり前の真昼あたり前の風の匂い心は第三隔壁から風景を眺め深奥の我には何も届かない窓は閉じられたことはないというのにこの地球に生まれた目的を私は歌うしかし誰の作った歌だろうか私は本当に森を見ているのだろうか私は本当に貴方を見ているのだろうか手続きと交換と消費そして創作約束があるかのように昨日は今日になり明日が生まれるその影のような法則は本当の意味を握っているのか空は本当...
「千年のアヤメの色」 さみだれや船路にちかき遊女町 ( 几 薫 )和歌三首 夏の夜に吾が心琴を見つめいる 荒き音と細き音のその背中 花アヤメの色の理由をおもへども 覚え届かぬ神世ありしか 詩にぎり砂漠の街を歩むれば 温き手を持つ友の笑みする俳句七句 わたつみの眠りあたたむ五月雨か 朝焼けの川辺に座してタバコのむ 円月と踊る女神か皐月波 見つめても見つめてもアヤメの...
「海原に月涼し」 はつなつの竹を叩けば竹の音 ( 藤本 美和子 )和歌三首 海原を月の光のまっすぐに 諸人に沿う静けき秘密よ 泪なき四角き真白き言葉たち 全てを焼きて夜座の涼 冴え冴えと五月の円月あおぎなば 吾が心源に波音の沁む 俳句七句 夏美という女に惚れた三十年前 初夏の月ふねをいざない銀の夜 昨日の無き少年のごとく五月くる 短夜や楽しき事も山盛りに 女と云...
「最後の春霖」令和五年の五月一日である今年最後の春霖だ五月五日には立夏である柔らかく細い雨さっぱりとした甘い香りが半分空いた窓から滑り込む桜の蜜か 躑躅の蜜か 藤花の蜜か春天はそれを喜びこの雨に織り混ぜたのか時空の微細に満ち渡る振動の一閃のひび割れから黄金の甘露が現世に滲み出ている華やかさと残酷さを背中合わせにしたような思春期を想う人は皆 その過酷な門をくぐる生き急ぎ 待つことに倦みやみくもに走り...
「春のかたみ」 死は春の空の渚に遊ぶべし ( 石原 八束 )和歌三首 空光るさねさし相模の川べりを 詩を担ぎて歩むは楽し 幻想を病と云いし世は滅び 足下に薫る土のよろこび ちはやぶる氏神さまに祈りせば 春の仕舞ひに藤花かほる俳句七句 悪友も良友も知る春の空 鳥の歌きよめて朝の春時雨 旅立ちし春の形見にルビーの色 春雷を待ちて燻らすタバコかな 大山の笑う夕焼け追いかける ...
「勾玉と夏隣り」 旅人の墓に飯供(お)き夏近し ( 角川 源義 ) 和歌三首 晩春の朝の雨にもさやけしは 猫の瞳の直き光りよ 夏を呼ぶ風に向かいて歩むれば 昨日の明暗すべて滅する 故郷は夜空の向こうに在りしかな 花咲く地上で友と仰ぎぬ俳句七句 晩春のルチルに映る吾が瞳 建長寺の門の厚みや春の暮れ 草かげに時空のくずれ春の宵 亡き人の浄土おもへば長閑かな 値上がりし米...
「静けき春の夜に」 大いなる夜桜に抱かれにゆく ( 井上 弘美 )和歌三首 しろたへの春の雲にも薄明かり 江の島岩屋の波音ひびきて 高照らす春暁の陽をおろがみて 世のさきはえを請い祈みまつらむ たらちねの母の泪を忘れまじ 世人を救えと叫ぶなみだを俳句七句 帰り道仰げば高き春の月 静けき夜に春のかたみの句をひねる 天然霊止人造霊止に弥生尽 春霖は彼我の別なき土に沁む 春の...
「迷妄の動く城」その悲しみは悲しみによって救われた。この世間は云わば迷妄の動く城金色の73本の足を律動なく運び草の声も知らず風の色も知らずメディアの号令に心を汚しながら自らの狂気も知らずに不滅の巨大な生命の森を進んでゆくその悲しみは悲しみによって救われた戦の向こうに天国があると富の向こうに至福があるとこの迷妄の動く城は金色の73本の足を律動なく運び自覚なき群衆を無責任に操作してメディアの音楽に汚さ...
「心の底に花の雨」 ( 相州藤沢の白旗神社境内の弁慶藤 ) 春しぐれ一行の詩はどこで絶つか ...
「無為の人にも廻る天」 踏青や火を経しものの透きとほる ( 野見山 ひふみ )和歌三首 自らの奇跡をしらぬ怪物は 濡れたる土を胸に塗り込む 人そしり己が不浄に迷いては 懺悔文となうる夜の暗さよ 吾は眠る光る草地の夜明け時 鳥もとよみて風は虹色俳句七句 山笑うところどころに桜咲き 母なるか江の島岩屋の春怒涛 風光る吾が夢知りて開くが如くに 鶯も歌いて楽し花見堂 人知れず風...
「江の島の水平線」 春深しひよこに鶏冠兆しつつ ( 三村 純也 )和歌三首 ちはやぶる弁財天の岩屋にて 外国人の瞳かがやく 世の人はテレビの嘘を知ることなく 人を恨みて己忘れる あさ霞森に鶯啼くころに 座して満ちたる草の心よ俳句七句 春暁も死人の微笑か泪仏 花時の無用の用に背を伸ばす 江の島の水平線へと春が行く 五十にて知る春雨の柔らかさ 白梅よ散るな もう泣きたく...
皆々様へ、旧年中は誠に多くの方々に多大なご教導を賜りましたことに、心より御礼感謝を申し上げます。ネット空間に於きましても、現実空間に於きましても、実に多くの方々の励ましと知恵と、情報と、心的宝物を、頂きながら、私自身もこのブログを中心にして、「祈りの詩文芸」に励むことが出来ました。心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。詳細は省きますが、旧年中に私の近しい親族に不幸がありましたので、本年...
「おーむーうーまー」おーむーうーまーおーむーうーまーりーら りーら りーらおーむーうーまー黄金のマニ宝珠が虹色に燃え上がる五鈷杵のプラズマは心の窓を開くのだがその向こう側には虚空が広がるばかりだおーむーうーまーおーむーうーまーりーら りーら りーらおーむーうーまー幼き妖女の沈黙の庭で三千年の歴史が繰り返される私はその渦為す時空の只中で死んだこともなく生きたこともない男でも女でもないただプラズマ気流...
「稲の香の千年」 寝覚して久しくなりぬ秋の夜は 明けやしぬらむ鹿ぞ鳴くなる (新古今和歌集 447 秋歌下 西行法師)和歌三首 風に揺れ稲の穂ひかる道を行く 千年の過去千年の未来 稲の香を知らぬ祖霊の無き事を いかに伝えん次の世人へ スーパーへ米買いに行く道すがら 草の色にも天道を訊く俳句七句 光も闇もまだ始まらぬ秋の朝 空の色いくつ知りたる案山子かな 秋水の来たりし場...
「里芋の甘さ」 芋洗う女に月の落ちにけり ( 言 水 )和歌三首 ちはやぶる大地母神の御心を 宿せたりしか里芋の甘さ コーヒーの湯気を見つめて聴いている ブルースの音心の底へと 龍神の御心おもう門前に 風にさやけし夜明けの虫の音俳句七句 里芋の煮えるまで呑むタバコかな 里芋を母に献じて吾も食す 里芋の甘さも新た朝の風 蓮の実の落ちたる泥に吾は眠る 蓮の実の明日をいざなう...
「カミキリ虫を見ていない」 山深く年経るわれもあるものを いづちか月のいでて行くらむ (新古今和歌集 1919 釈教歌 行基菩薩)和歌三首 たらちねの母の御霊をおろがみて 朝に祈るにぎにぎし国 早朝にキャベツ食らいて窓を見る 鳥声とよみて光にじめり 道問わば呼吸がすべてと人のいう 吾が呑む息は宇宙を知れりと俳句七句 秋日和杖もつ友の背中にも 秋天を足の裏から眺めてみる 秋暑...
「思い出せ」まだ罪を知らなかった幼童のころ私は誰だったのか思ひ出せないのだ剥奪された神話強制された忘恩それが正義だった大人たちは誰も本当のことを語らなかったテレビを見て外国語を学べそうすれば立派な搾取人になれるそれが成熟だラベルと数字が無ければ人には成れない社会だったファンタジーを歌う者は狂人と呼ばれ収容所に閉じ込められたまだ罪を知らなかった幼童のころ私は誰だったのだろうか想い出せないのだまだまだ...
「彩雲を仰ぎて」 住吉の岸の田を墾り蒔きし種 かくて刈るまで逢はぬ君かも (万葉集 1748 秋相問 水田に寄する 柿本朝臣人麻呂)和歌三首 秋風を自転車できり朝の道 実る田んぼの真ん中をゆく 明治の時江戸の時その人の顔うかがいて うつろう時の風の無常よ 人の恩報いる道を想う時 麦茶のコップの露の輝き俳句七句 秋めくやバッタの飛びし草の下 涼新た長袖をきて走る人 仲秋...
「鈴虫の声」 稲妻のわれて落ちるや山のうへ ( 丈 草 )和歌三首 不可思議や心を探す秋の空 鳥の知りたる秘密を欲して 鈴虫の声に満たされ我眠る 峨峨たる山の記憶いだきて 父の幽浄土のひかり満たしては 笑みして立ちし吾が枕元俳句七句 鈴虫の声の夜にも句をひねる 秋蝉は無尽の時を歌いけり 風のなか遊びて肥えて稲雀 何も無き世を遠くみて重陽か 黙座せば光とおして水澄めり 秋...
「UFOを探す」 天の海に雲の波立ち月の舟 星の林に漕ぎ隠る見ゆ (万葉集 1072 雑歌 天を詠む 柿本朝臣人麻呂)和歌三首 龍神の見下ろす寺の門前で 夢まぼろしの我も立ちたり ちはやぶる八幡神の御前にて 万生偕楽祈る朝風 さまよえば人それぞれの背中あり 物陰さがす残暑の街俳句七句 明日の謎とUFOさがす星月夜 秋の朝に草露に濡れた靴 走り去るさねさし相模の秋の...
「稲穂の風波」初穂の田んぼの電線に椋鳥の群れがとまっている東の空には朝日と彩雲涼やかな九月の風が稲穂の波を洗うのだ美を探して私は立っている田んぼの端で稲一粒に宿る神の光もうすぐお彼岸の収穫だもうすぐ あの黄金の稲架(はざ)が立つのだ日本人を日本人たらしめてきたいとも雄々しき頼もしさよ米によって育まれなかったDNAがこの国にあるだろうかアマテラスから賜りし我らが貴き御宝ぞ中秋の稲穂の風波よその虹色の...
「鏡の泉の開花」調身 調息肚をゆるめゆったりと全ての息を吐き出す焦りと力みを捨てて静かに細く長く鼻から息を肚に満たしていく言葉を追わないしかしイメージは在るがままに遊ばせる二週間前の夜明けの山中のせせらぎの音水の冷たさ石ころたちの硬さ青紅葉をゆらす涼やかな風山全体の無数の木の葉たちが光合成を始めていた水瀬の音が全てに満ち渡っていたその清水のなかに吾が身を浮かべたのだ心の友と伴になんという大きな祝福...
「初秋の水瀬」 此石に秋の光陰矢の如し ( 川端 茅舎 )和歌三首 御仏に額づく朝に息を吐く 音の鏡の妙なる色へと ぬばたまの夜の彼方で泣く人の 昨日のゆくへは誰も知らない 残る蝉生きろ生きろと叫びたり 曼荼羅模様の開き廻りて俳句七句 白帝と色なき水瀬に立ち尽くす 白き水掬えずにいる素秋かな 秋始め湖畔に立ちし友の笑み 八月の水瀬に流れて再誕す 秋立つや瓶の蟻にも明日が...
「泣き続ける蝉」 野の秋へ鈴ふるように花の咲き ( 岩津 厚子 )和歌三首 幽窓の母の微笑をおろがみて 万民豊楽いのる朝焼け 秋蝉は情報弱者の耳に沁む 踊らされても夜明けは来るかと 赤とんぼ自転車の前飛びたるは 氏神様への道の朝時俳句七句 勾玉の音さやかなる素秋かな 魚屋のオヤジが睨む秋の昼 稲妻は草ぐさの夢ひらきたり 秋の園老女の瞳の奥底に 終戦忌78年泣き続ける蝉 ...
「昨日も今日も明日も」八月の蝉がけなげに鳴いている炊き立てのお米の香り淹れたてのコーヒーの湯気PCで流すブルースの響き私は安楽椅子でタバコを燻らす金色のスプレーで着色した扇風機30年前の苦闘と巨大な歓喜の記憶掠れてはいるが針金のように細く硬いこの三年間離れた友人と近づいた友人リアルとネットの友人たちと裏側で蠢く 光と影見えている人々と見えていない人々語り続ける人々と黙り続ける人々八月の蝉がけなげに...
「秋霖の耳内に香る」 物いえば唇寒し秋の風 ( 松尾 芭蕉 )和歌三首 冥界の父の祈りに守られて 吾が歌の業一線を弾く ぬばたまの秋の夜には虫の声 恋なき天地の無きを奏でて 大宇宙始まりしより途切れなく 我らに連なる生命の謎俳句七句 新秋の風の香りの謎を聴く 八月や禅寺に座す地蔵尊 残暑かなゴーヤ選びし老女の手 天高しカラスが見下ろす我は誰 水澄めど歴史に暗き少女の眼 秋霖...
「天球の一指」 わがおもひ空の煙となりぬれば 雲居ながらもなほ尋ねけむ (新古今和歌集 1007 貫之)和歌三首 夢世より零れ落ちたる吾が身なら 久遠の色を焼き付けて去る 天帝の御宝なりし我らなり 慈愛ならざる時もなかりし 入道雲はるかに眺め歩むれば 昨日の泪忘れたる明日俳句七句 嘘と真を誰も知らない秋に入る 色の無き水だけが知る宇宙の愛 沈黙の歌の満ちたる...
「FBからの転載」(23・08・24)フェイスブックから幾つかの記事を転載させていただきます。今回は特に「構え」や「目論見」はないのですが、いい記事がありますので、私自身の学びの深化と、皆々様の良質な気付きに、資することがあればと、考えて、この転載を行います。永い記事に成りますので、数日かけて、少しづつお楽しみくださいませ。☆「記事その①」研究者・演説家・教育者・職人ヒーラー・祈祷師・軍人・役人・行...
「時空の風穴」睡蓮に夏の陽は白々としていてあらゆる色が流れ着く漆黒を私も亦 忘れている神の光を心に映せばそれはこの世に顕われるしかし それを人々はみな忘れ去っている夢幻のようにアヤフヤなこの世に私達は生を授けられた一日一日 一歩一歩を刻み続けてきた大宇宙の永遠を仰ぎながら嘘と真の喜びを嗅ぎ分けてきた生まれ来る者と 死にゆく者とに満ち溢れた一瞬一瞬に点が波打ち荒れ狂う人の世時間が直線ではない事を想い...
「紫陽花も眠る」 大仏の鼻梁真夏の黒びかり ( 高室 有子 )和歌三首 老鶯の歌のびやかに坂道を 自転車で下る朝の楽しさ 麗人の微笑あかるき街角に 昨日の昏き人の足並み ベビーカー押したる母を拝すれば 国の明日の幸を乞い祈む俳句七句 欠けたれば満ちたる明日の晩夏光 どのシャツも汗を知りたる半夏生 紫陽花も星を仰ぎてまた眠る 音の無き風を探して青田波 鎌倉の男も泣きて夏怒...
「夏燕が風を切る」 別々にゐるくらがりの涼みかな ( 白 雄 )和歌三首 夏燕の風切る街を我ゆかば 人の仰ぎし雲の大きさ 夏燕のひととき降りし水たまり 写りし空の蒼の深さよ 天涙を想ひて朝の窓をあけ さやけし鳥の声を呑みこむ俳句七句 江の電から海風を見るサングラス 暗き顔あかるき顔に夏灯 眼を閉じて三十年前の滝の音 夏雲の父と相撲をしたのかな ジリジリと溶けたる如き夏の...
「謎深き五月の青嵐」言葉なんてモノは答えを知らないこの五月の青嵐よ君は何処から来たのだここで何をしているのだそして 何処へゆくのだ私が溶け込んでいるこの街に青嵐よ 君は突然やってきて一日中走り回った立夏の一日の全ては君の息吹で満たされたその謎に心を向けたのは私だけではないはずだ言葉なんてモノは答えを知らない森は狂ったように歓喜しただろうか鳥たちは安らぎを覚えただろうか私は魚たちの仄かな覚醒を感じ...
「サイダーの泡」 サイダー瓶全山の青透き通る ( 三好 潤子 )和歌三首 浄智寺の苔に影さす昼下がり 合掌したる女と風 キラキラと鎌倉路地の水音は 何を流して何を運ぶか 空っぽのグラスに沁むる夏の陽は 過ぎたる春の残り香を知る俳句七句 夏きたる淡き雲ゆく空の色 午後四時の薔薇の疲れを見つめいる 父の幽ともに喰らいしシラス丼 陽の音をパラソルに乗せ女がゆく ...
「爽風のゆくへ」 夏きざす屋上に飼う兎にも ( 児玉 輝代 )和歌三首 人の幸こふる祈りの真夜中に 心耳にのこる水音の妙 涼やかな森の葉ずれの音ききて 言葉を捨てる息を吐き出す 雨つぶの草打つ時を想いなば 遊女の夢の滝のまぼろし俳句七句 爽風のゆくへ明るき夏きたる 自転車の影も回りて清和かな 大風に宇宙の音の滲む夏 夏暁や記憶うつろう雨の音 朝涼やカラスが...
「本源の泉よ」聴いて下さったのだ父も母も私が叫ぶ言葉を呑みこんでくださった。烈しい痛みとともに呑みこみながら少年の明日の輝きを心の奥底で父母は感じて下さっていたのだ。ああ、ああ、父母の背中にある久遠よ時空のカラクリなど木端微塵に砕いてしまう内なる泉よ今朝の森の静けさに伸び伸びと輝く鳥たちの歌声よ全ては同じ場所からやってきたのだ過酷な旅と年月をくぐりぬけて蒼き潮の中に歪みゆく心琴を響かせながらこの...
「春暁の桜」 水音にたそがれさそふ夕桜 ( 成瀬 櫻桃子 )和歌三首 あからひく春暁の野にさまよへば 女神微笑の桜花咲く 朝風のさやに静けき野をゆきて ウグイスのこえ森に満ちたり コーヒーの湯気にまどろむ机上にて 桜花の心をあれこれ思う俳句七句 春暁や風色に沁む桜かな 春風に吾が恋人を尋ねけり 見上げれば桜並木に風光る 歩れば記憶はぎ取る桜花 ウグイスの歌に踊りし桜...
「ひとひらの浮世」 花の雨白山の雷ともなひ来 ( 新田 祐久 )和歌三首 万丈の空をうめたる桜花 眺める人の明日にも咲きたり 川をゆく魚にひとひら桜ふる 流れ流れて海に消えるか 古より桜を愛でる人のあり 浮世にやわし人の心よ俳句七句 一面の空に桜のみちあふる 黒木肌にひとひら光る桜道 水に降るひとひら流れ桜花 鳥とよむ朝にさやけし桜花 春暁や花にみちゆく光かな 玉ひ...
「FBからの転載」(23・03・18)記事その① (23・03・09)洟垂れ金太郎小僧のくせに昔から渋い親父に憧れている。昔から、多分、小学校5年生くらいから、でも、全然ダメ、渋い親父になんか、全然なれない。ずーっとクラプトンが神だった。でも、自分は天才バカボンの息子。小学校5年生のとき、隣りに建っている中学校の校舎が刑務所にしか見えなかった。思春期そのものに向き合う自我の発達が出来て居なかったのだ。...
「妖女と詩神と波濤」老子は牛の背にゆられ西へと去っていった気まぐれな教えは 今も東洋人の心を洗っている釈尊の祈りは巨大な嵐となり日本国へと東漸した官僧はみな童の真光を讃えますらお達の身勝手を諫めたああ 三千年天地の舞踏は今もなお人々の心の内と外とを遊楽している幻相こそが此の世のまこと言葉の背中のその背中意識の背中のその背中大気変現の未発の中春の怒涛は宝鏡を洗い今年もまた紅白の梅を咲かせたのだ妖女...
「紅梅の渦なす時空」 ひらきたる薄紅梅の空に触れ ( 深見 けん二 )和歌三首 紅梅の一技に走る静けさや 朝には猫の仰ぐ空へと 死人には死人の春か紅梅の ひとひらの散る一刻の無限 紅梅の一花に面する今ここに 渦なす時空を呑みこみて立つ俳句七句 紅梅に浮かびし焔ゆめの底 春濤や音に日輪かぎろひぬ 春潮にワカメをとりし男の背 はるかなる富士の真白き春の空 紅梅に幽なる翁な...
「白梅の散りそむる」 木の間とぶ雲のはやさや春浅き ( 三好 達治 )和歌三首 白梅や罪も穢れも清め去り 新しき世の号令をまつ 白梅の夜も知らずに散りそむる 染むべき色も定まらぬまま 白梅のひとひらの知る大宇宙 人の手に乗る風の遊戯よ俳句七句 雀らの松果体にも春の陽か 祈り人の水面みつめる寒の明 麗らかや花を探して鎌倉路地 風光る稲村ケ崎の波しぶき 白梅や古寺の戸に影...
「細き手に年新た」 高き屋にのぼりて見れば煙たつ 民のかまどはにぎはいにけり (新古今和歌集、賀歌、仁徳天皇御製歌、707、)和歌三首 行く雲のちぎれて軽ろき光あり スズメ集いて歌う声にも 神前に祈る朝の静けさに 一年の謎歩き始める また一人友は苦しみ脱ぎ捨てり 生きる喜び新たに賜り俳句七句 細き手に影うつろいて年新た 神やしろ少女微笑の花の春 正月に人の仰ぎし空の蒼 初富...
「正月の餅」 みよし野は山もかすみて白雲の ふりにし里に春は来にけり (新古今和歌集、春歌上、摂政太政大臣、01、)和歌三首 世の人に幸あれと祈る朝には 幽なる母の温もり憶える この町に宿無人の在りしこと 思ひて食らう正月の餅 正月の涙の人に降る朝日 柔らかく温かく冴え冴えとして俳句七句 正月の友の笑美こそ我が宝 一月の風は何処から神世から 学童の風と走りて年立ちぬ 詩よ踊...
「不二の音楽」富士山の天辺に冬の大気は冴え冴えとして日輪は燦然として輝いている巨大な富士山明快なる姿に底知れぬ謎を抱きつつ悠然として大宇宙を仰ぎ続けている夢か うつつか 幻か見つめれば見つめるほどに不可思議なる神山だ縄文人はこの山に 何を見たのだろうかどんな願いを託したのだろうか心の行き先を問いかけたのだろうか連綿とした父母の想いを重ねたのだろうかその大いなる富士山の天辺にいま 太陽が座ろうとして...
~謹賀新年~ (2023)☆令和五年皇紀2683年西暦2023年元旦国家 ~「君が代」~君が代は 千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで☆皆々様新年 明けましておめでとうございますこの新年を寿ぎ皆々様の御健勝と御多幸を誠心を込めてお祈り申し上げます☆☆☆☆☆☆和歌三首☆ちはやぶる すめらみくにのいやさかにみたまのふゆを かがふらせませ☆しずかなる あおひとくさのかげひなたみたまのふゆを かがふらせま...
南無観世音菩薩南無観世音菩薩南無観世音菩薩南無観世音菩薩...
「清水が躍る」 冬の水一技の影も欺かず ( 中村 草田男 )和歌三首 深山の山せせらぎを見つむれば 精気はじけて宇宙ひらける 冬天の陽を呑みこみて歌ひたる 山せせらぎの祈りみちたり 吾をまねく童の幽か森の中 行けば帰れぬ愛の国かな俳句七句 冬の夜に乳房のかほり肚のなか 寒風に達磨鼻水たらしたか 冬の水踊りて清めて時果てる 海しらぬ清水は無しと空が云う 枯園には父親たちの光...
「諸人に冴ゆる星」 短日や仏の母に留守たのみ ( 古賀 まり子 )和歌三首 仏壇に献じたコーヒーの湯気に立つ 母の笑みこそ吾が浄土なり 麗人の背中にやわし光みて たむける歌を耳内にさがせり 冽冽たる冬のせせらぎ見つめれば 国を守りし祖父の眼差し俳句七句 宝船麗人の手に十二月 磯の夢よりしぶしぶ起きて冬の朝 冽冽と瀬音いだきて山眠る 草ぐさの種に夢ある冬田道 眼をとじて...
「FBからの転載」(22・11・25)フェイスブックから幾つかの記事を転載させていただきます。まず、斉藤一治氏のFBの記事から、三島由紀夫氏についての記事を書き写させていただきます。斉藤氏は現代日本の偉大なる古神道家であらせられます。私はいつも、FBにおいて斉藤氏の記事にしたしみ、氏の精錬実直なお人柄と、遠大深淵なる、「真理」への理解の豊かさに感銘を受けています。令和の全ての日本人の真の幸福のため...
「秘密の花」「たいくつ」と呼べばいいのか「おもしろい」と名付ければいいのか判然としない日常をドンブラコと滑っている驚嘆と滑稽のあひだでカレンダーの数字を進み約束が囁かれる最後の審判の時を今か今かと待ちながら中庸の座布団に風通しの良い頭蓋をあずけて鼻風船を膨らましている心眼をひらけば神秘の曼荼羅は公園のブランコのようにすぐそこにあり当たり前のように人々の遊楽を待っているのだがだれもかれもその楽しさ...
「葡萄の眠り」 其中に金鈴をふる虫一つ ( 高浜 虚子 )和歌三首 幾度も死地をくぐりし兵の 宝なりたる君に幸あれ 諸人の生に宿りし宝あり 久遠の光をその身に宿して 愛しさを見つめる眼の奥底に 縄文人の祈りありけり和歌三首 朝風のなでる葡萄は眠りけり 暁闇に少女眠りて虫時雨 秋蝉や真言となうる吾が耳に 蜻蛉やまたお前かと森の門 蜻蛉や土中の夢を飛びまわる 秋水の流...
「龍雲の高き空」 此石に秋の光陰矢のごとし ( 川端 茅舎 )和歌三首 和合仏みおろす机上に吾がペンは 時を削りて灯をともしたり 草露に足を濡らして行く野には 鳥の歌にも秋色にじめり 龍雲の高き空にも風走る 新しき世のかほり放ちて俳句七句 嬉しきはサラサラとした素風かな 自転車の影も汗ばむ残暑かな 天高く龍雲およぐを子が仰ぐ 秋澄むや瀬音に秘する光かな 彼の...
「拈華微笑」 ☆ 蓮葉の濁りに染まらぬ心もて なにかは露を玉とあざむく (古今和歌集、165、夏、遍昭、) ☆ 白蓮の闇を脱ぎつつ膨らめり ( 小枝 秀穂女 )和歌三首 華の前で瞑目したる我が心 拈華微笑の真をさぐりて 白蓮のしずけき光を拝すれば 業の滅びし浄土おぼえる 紅蓮のひとひらの散る朝風に 想ひ出すのは君のほほえみ俳句七句 白蓮はほほえむ赤子の如く...
「夏の木槿にひらく」 亀泳ぐ手足ばらばらの涼しさよ ( 鈴木 貞雄 )和歌三首 朝露の夏の木槿にひらきたり 笑顔にひらく人の心よ 宝玉の朝のしじまに眠りたり 愛の夢見る乙女のごとくに 青山を飛びし来世を想うにも 今朝に拝する御仏の光俳句七句 七月や夢見る石がポケットに 梅雨明けや茶番列車が荒れ地を行く 湘南の街灯さびしき夜涼かな 48回目で初めての挽夏光 三拝し息をお...
「眠るような薔薇」 薔薇よりも淋しき色にマッチの焔 ( 金子 兜太 )和歌三首 静けさに日ごとにゆるむ愛もあり 黄色いバラの眠るが如くに 風かほるさねさし相模の流木に 宇宙の道を心にて問う 宝玉の窓辺の水に眠らせて 君の幸せ眼裏に描きぬ俳句七句 流木に波の記憶と月涼し 流木の星を数えて海の旅 宝玉の涼しく眠る窓辺かな 夏の灯の背中に友の顔をみる 夏うしお江の島仰ぐ南の...
「音のあいだ」 潮の香へ開く改札夏つばめ ( 奥名 春江 )和歌三首 目をつむり飴をなめれば君がいる 記憶の窓辺に白鳩がとび 蒼天を背負いて慈眼をこぼしたり 鎌倉大仏背中の窓 君をおもふ世をおもふ父をおもふ 大庭神社へたどる道筋俳句七句 夏木立音のあいだに常世みつ 夏闇へタバコの煙のみだれゆく 甘き風ひやし中華をすする音 洗ひ髪ソロモン王の夢の床 丸裸ふんどしさがして...
「江の島の艶なす音」 住江のきしによる浪よるさへや ゆめのかよひぢ人目よぐらん (古今和歌集、559、詠人不知、恋歌、)和歌三首 一天の雷鳴を待つ我が玉は 静けき今朝の浜辺にねむれる ぬばたまの夜露にぬれて眠りなば 夢にも君の微笑もとめて 鏑矢の一閃夜を切り裂けり 新しき世の胎動ひびきて俳句七句 飛ぶものも泳ぎしものも夕焼けの下 汗だくの少年死なず夏嶺かな 六月の富士の仰...
「薫風と天に飛ぶ」 偽りのなき世なりせばいかばかり 人の言の葉うれしからまし (古今和歌集712、詠人不知、恋歌、)和歌三首 悠々と夏の涼風あびいたり 眼裏によぎる母の影とも 夕空に久遠の宇宙を仰ぎなば 不可思議のはな粛々とおもふ 恋神の我が手をとりて導くは 光も闇もとどかぬ海なり俳句七句 言葉を呑み言葉をこぼし清和かな 夏至あけて朝に吠えたる犬があり 夏夕べ君の記憶と...
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「鶯のさやけし歌」鶯のさやけし歌は明け方の森に響き渡り顕界と幽界に光が照りとおる樹下に座し仙骨から息を吐く木漏れ日がやわらかく私を撫でるのだ仲春の風は清らかに甘く私の幽体に棲むイノチたちに安楽を与えているそれがこの春彼岸の数日であったいま この夜明け前私は自室のソファーに体を預け傍らの線香の香りの中で呼吸を深めてこの春彼岸の記憶に酔いしれているなんとも甘美な安楽よ心の第三隔壁をすり抜け神我を直撃す...
「紅椿の幻」 神が来し海上の道岬椿 ( 本井 英 )和歌三首 ちはやぶる神代は地上に在りしかな 紅椿落つ鎌倉の寺 旭日の空をじーっと眺めいる この一刻に久遠おもいて 春の森に鶯啼きて輝ける 座せば無尽の過去と未来よ俳句七句 浄智寺の椿の赤に海を見る 紅椿吾が心源に落ちたるか 藪椿ことばに生きる一花あり 街ゆかば花を数えて弥生かな 春の夜の花のかほりは幻ぞ 鎌倉の路地裏に立ち...
「風と遊ぶ白木蓮」 白木蓮の散るべく風のさからえる ( 中村 汀女 )和歌三首 精霊の乗りて遊びし白木蓮 ひとひらゆれて風の光れる 春彼岸朝焼けの野に座したれば アマテラスの歌天地に満ちたり 人の世に哀し嬉しと吾も酔う 祈りに開く春の花にも俳句七句 白木蓮は男神か路地灯す やわらかき風と遊びて白木蓮 そのかほり宇宙にとけて白木蓮 やわらかき春風に立ち君おもう 森の歌しず...
「春霖と雪柳」豚肉とシメジを炒めてツユの素とゴマダレで食べる今朝は春霖君にも食べさせて「おいしい」って笑わせたいけれど君はここにはいない開けた窓から雨の香りと音が滑り込むシトシト ピチャピチャ自動車の水しぶきの音雨粒の香りうっかりそれは甘いのだと言いたくなるがその直感を今朝の私は疑ってみる耳をすませて頭も心も空っぽにしてこの今朝の春霖に向き合う雨上がりには ミミズが出るかな雪柳は濡れるかな河津桜は...
「初桜のひとひら」 初さくら誰へともなく夜の言葉 ( 岡本 眸 )和歌三首 神いずこ人の問いたる河岸に 彼岸桜のひとひらの散る 春の空青を濃くして光たる 河津桜のひらく朝かな 春彼岸いのちのひかりを祈りなば 死の無き国の滲みいずるか俳句七句 陽の降りし河津桜と春の空 初さくら全てよろしと呟ける 蒼天のゆくへを知るか初さくら 春彼岸かぞえきれない星の下 春昼や茅葺屋根の苔...
「形無き妙なる音楽」三月の東の朝の空には雲が踊るまっさらな蒼天は昇りゆく旭日に色彩を変じてゆき踊り続ける雲達はあるいは渦を結びあるいは千切れゆき日の出の輝きに燃え上がってゆく野辺に座しそれを眺める私は自分の感情の風通りの良さを発見して驚いていた鹿の角の先端を百会にあてがい仙骨から細く深く息を吐く鹿の角の先端を百会にあてがい光明真言を唱える万生の念弦は大気に滲みこの旭日の光線に歓喜している陽光の歓喜...
「春灯と黒き道」 春眠や大き国よりかへりきし ( 森 澄雄 )和歌三首 円覚寺の門前の池にひとひらの 梅の散りたる朝の静けさ 風やわしさねさし相模の朝空に 雲は舞いたり神代は明日かと 白き梅ちりそむる朝あゆみけり 出発も終焉も彼方にありしか俳句七句 春灯や黒き道こそ終わりけれ 観梅や空の海にも光りたり 春情や去りし友あり来たりし友あり 春の夢ねてもさめても色遊ぶ 春時雨...
「白梅の白の理由」 竜天に登るわたしは靴を履く ( 鍵和田 秞子 )和歌三首 春彼岸あさひ拝みて吾も座す 仰ぎし空の色のうつろい ちはやぶる春告草に宿る神 その音楽の始まりに立つ たらちねの母の御霊におろがみて 懺悔文となえる春の朝かな俳句七句 啓蟄や落葉の香りて肚に満つ 春分に鳥のとよみて光満つ 仰ぎなば雲も舞いたり春彼岸 満天の夜空を知れり梅夜月 白梅の白の理由は人...
「早春の謎の音楽」早春の森の梢をホオジロがゆらすそこ声は歌なのか 呼びかけなのか私は歩みを止めて彼の姿を追う梢のゆれる音ホオジロの啼く声私の足音この音楽は何処から来たのか私の胸に響く勾玉がシュルシュルと空間を呑み込むこの二月の朝陽は鋭い音もなく鋭く照り通る二月の陽ざしそれを柔らかさに変換しているのは土の匂いであり梢の呼吸でありホオジロの喜びなのだ音のゆらぎの後先を空っぽの耳が探すのだが私の心は そ...
「梅の枝の目白」 白梅や父に未完の日暮れあり ( 櫂 未知子 )和歌三首 彩雲の風に光りて春来たり 赤子笑みする街の真昼に 浄刹に父母の御心問いし夜に 北極星の真白く光れる 梅が枝を目白ゆらせば春の空 歌に満ちたる常世ありしか俳句七句 二月には梅に遊びし目白かな 梅の枝を目白ゆらせば風笑う 梅林に目白のはらから歌こぼる 風光る人法の世も透き通り 天法の降りて楽しや山笑う 彩...
「チガウという」私はチガウと言うチガウ チガウ ソウジャナイ と何がチガウのか何でもいいのさ何が何であれそれはチガウのだこの世が欲する正しさがチガウと 私は云っている私たちが呼吸する大気は何だ私たちが踏みしめる大地は何だ私たちの空想は何だ誰が真実を知っているのか自分だけが真実を知っているのか神か 仏か 先祖か 宇宙か彼らなら真実を知っているのか私はチガウと云うこの蒼天の輝きは 一体なんだ私の心耳に...
「浄刹にても梅咲くか」 夭折も天寿も梅の花の中 ( 有泉 七種 )和歌三首 色しらぬ白梅ひらく相模の野 鳥の歌にもミロク世ありしか 風ゆるみ春告草の白ひかる 蒼天あおぐ白き輝き 佐保姫の舞のはじまる野をゆけば ホオジロ歩く軽やかさかな俳句七句 神に問う浄刹にても梅咲くか 光降る春告草の仰ぐ空 樹下に座し目蓋とじても風光る 春陰に眼光するどき忠魂碑 生死と云う恐ろしき語と春の...
「紅梅かほる」 カントより妻が難解冴え返る ( 坪内 稔典 )和歌三首 紅梅を黄泉の娘にささげたい 泪も涸れた朝の月かな 蒼氓もこの立春に天仰ぐ 地上浄土は我らが開くと 梅の香をたどりて彷徨う枯野には 幽かに舞ひたる詩の神あり俳句七句 立春やモヒカン少年はしり出す 冴え返る海に朝陽の光る道 明け方の海に背を向け春の月 梅月夜第一義なる祈り事す 紅梅の夜明けに咲きて音も無し ...
「パイライトの見えざる火花」パイライトの金色の玉は見えざる火花を撒き散らし白金の五鈷杵は現界と幽界の七層の壁を貫いてほの白く灯る正月の藤沢の街遊行寺の境内カタチなき一者の流出は石段の内部に満ち溢れ満ち溢れ満ち溢れ万生の眠りの内側からこの世界を支え続けている阿弥陀如来の歓喜の掌よ正しき幸福と叫ばれる真白き欺瞞と歪真の心眼は陰から陰へと動いてゆくデジタルからデジタルへ人間の感情は情報の狂乱にやつれ朝露...
「枯野の初時雨」 待つ春や氷にまじるちりあくた ( 智 月 )和歌三首 冬の野に梅の芽いまだかたけれど この日この時おしみて歩む 彼の人も美に灯の心持つ 明日の浄土は我らが開くと 春隣り死の無き国に顔むけて 枯草を踏む今日の一歩か俳句七句 一月や未だ色無き天もあり 老猫と吾が心琴に冬深し 街路樹の歌を聴いては春を待つ 冬晴れの鎌倉駅の中国人 初時雨きのうを忘れ降りしきる ...
「冬椿のしずく」 山の雨やみ冬椿濃かりけり ( 柴田 白葉女 )和歌三首 遊行寺に天女の彫刻みつけては その見下ろせる街の後先 詩の神冬天の雲ながしては 猫も蟻も花もゆれたり 出発の朝の泪のありしこと 忘れる峠の汗のきらめき俳句七句 冬靄の森の深さにひそむもの 寒月や瞑目しても蜜の色 雨粒をキラとのせたり冬椿 寒椿のぬれて光れる路地の裏 冬椿のしずくに映る宇宙かな 古暦...
「盲なる巨大客船」不可解な熱気を帯びた見えざる嵐がこの冬枯れの野辺に音を滲ませる遠くの列車のリズムにも似て人の人の人の言語中枢に真っ黒いモノリスが置かれてゆく信用で食べてる銀行家たちはハラハラしながらポーカーゲームを続けているそれを眺めるこの河原乞食もまたこの明滅を繰り返す気象予報に夢中なのだ常なる事なきこの天地に未だ見たことのない朝焼けのその空には白鷺が一羽川上へ飛んで行くだろうか明日か 来月か...
「寒林の白き息」 寒晴れや浮上しそうなガスタンク ( 小檜山 繁子 )和歌三首 自意識と云う小さき船が川岸に 長く眠りて春を待ちいる 勾玉の光れる音を胸に秘め 泪のあとの空の輝き ぬばたまの夜のひずみに垣間見る 古き森にも鳥声の満ち俳句七句 あらたまの風もやさしき枯木立 正月の夜のしじまの浅き夢 霜ひかる泪と笑いのそのハザマ 寒晴れや空っぽの眼が空を見る 黒き夢みな暖め...
「新年の謎」 新年の謎のかたちに自在鉤 ( 平井 照敏 )和歌三首 年立つや明日の謎を数えては 影なき昨日の息を吐ききる 真夜中のコンビニにタバコを買いたれば 艶本みつめる少年のあり 新年の街に太鼓がコダマする 神を忘れた人々の群れ俳句七句 カタチなき風に真向い玉の年 正月の街ぶるぶると太古の音 寒暁や九羽の白鷺北へ飛ぶ 吾は立つ黙して光る霜の朝 勾玉を胸に音聴く枯野かな ...
~謹賀新年~ (2025)☆令和七年皇紀2685年西暦2025年元旦国歌 ~「君が代」~君が代は千代に八千代に さざれ石の巌となりて苔のむすまで☆皆々様新年 明けましてあめでとうございます。この新年を寿ぎ皆々様のさらなる御健勝と御多幸を誠心を込めて御祈念申し上げます。☆☆☆☆☆☆和歌三首☆ちはやぶる すめらみくにのいやさかにみたまのふゆを かがふらせませ☆しずかなる あおひとくさのかげひなたみたまのふゆを ...
皆々様へ、旧年中は誠に多くの方々に多大なご教導を賜りましたことに、心より御礼感謝を申し上げます。ネット空間に於きましても、現実空間に於きましても、実に多くの方々の励ましと知恵と、情報と、心的宝物を、頂きながら、私自身もこのブログを中心にして、「祈りの詩文芸」に励むことが出来ました。心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。詳細は省きますが、旧年中に私の近しい親族に不幸がありましたので、本年...