月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった80 BL小説 「うわっ! すみません、大丈夫ですか?」 我に返った井原は慌てて態勢を整えた。 「あ、ああ、平気」 「じ、ゃあ、よろしくお願いします」 飛び出すように部屋を出て行った井原だが、ジンジン痛む足の指もそっちのけで、そのまま洗面台まで行くと、バシ
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
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月夜の猫-BL小説です 春雷91 BL小説 工藤は良太に歩み寄って、「しょうがないな、こっちで寝るか」と良太の後ろ頭に手を当てた。 うん、と頷いた良太は何だか頑是ない子どものようで、工藤はベッドに連れて行って座らせた。 「なんだ、怖い夢でも見たのか?」 工藤は傍らに座り、良太の頭を引き寄せた。 夢が怖かったので
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人47 BL小説 「アイドルまがいによその学校の女にまで追い掛け回されよったりして、懲りたんやないですか? 弁慶が離れてしもたこともあるしな」 三田村は軽く説明した。 「弁慶?」 速水は眉を寄せて聞き返す。 「ああ、ガキの頃からずっと千雪のガードしてたみたいなやつがいて、大学進
月夜の猫-BL小説です 夏休み4 BL小説 「おお、やっと現れたね、良太ちゃん」 オフィスのドアを開けるなり、能天気な声が良太を出迎えた。 「藤堂さん、いらっしゃい」 「さきにいただいてるわよぉ」 窓際の大テーブルでは、アスカが大きな口を開けてスプーン一杯のメロンをほおばっている。 人気女優があんな大きな口を開
春雷(工藤×良太)90まで、Midsummer Dreamアップしました
春雷(工藤×良太)90まで、 真夜中の恋人(京助×千雪)46まで、 Midsummer Dream エピソード
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人46 BL小説 ………千雪くん? 速水は聞き流せない名前に訝し気な顔になる。 「携帯は切ってるし、家にもいないし、ひょっとしてこっちにいるかと電話したらいるっていわれたから。工藤さん、すみません、ちょっと千雪くんを借りたいんです。緊急で!」 ガタイの大きさに似合わない、甘めの
月夜の猫-BL小説です 夏休み3 BL小説 良太も親の背負った大きな借金という枷がなかったら、この会社に入ることはおそらくなかっただろう。 しかし子供を谷に突き落とす獅子がごときやり方でもって工藤に鍛えられてきたお陰で、世の中どんな災難が待ち受けていようと良太は軽く乗り越えられそうな自信が今はある。 「関西タイ
back next top Novels たった一人の兄を亡くしてから佳乃には家族もいなくなった。
月夜の猫-BL小説です 夏休み2 BL小説 青山プロダクションの主な業務内容は、タレントの育成、プロモーション及びテレビ番組、映画の企画制作である。 弱小とはいえ数人のタレントを抱えたこの会社の社長工藤高広は、自身は敏腕プロデューサーとして業界に名を馳せている。 所属俳優も志村嘉人、中川アスカ、小笠原裕二、そし
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人45 BL小説 「なるほど、それは知らなかったとはいえ、すまなかった。桐島さんのことはそもそも俺の一方的な話だから仕方ないとしよう。だが、そこの彼に、彼女の前で俺を侮辱するような発言をしたことに対する弁明をしてもらうのとは別の話だ」 この男が皮肉屋で性格は曲がりくねっていそう
月夜の猫-BL小説です 春雷89 BL小説 タクシーを降りると、また小雪がちらついていた。 工藤は警備員に挨拶するとエレベーターに良太を乗せて部屋に向った。 「猫にはエサやっとくから、お前はもう寝ろ」 良太と一緒に部屋に入った工藤はすぐにエアコンを入れ、コートを脱いでポールハンガーに引っ掛けると、良太のコートや
月夜の猫-BL小説です 夏休み1 BL小説 八月の太陽は惜しげもなく力強い陽射しを世の中に降り注いでいる。 夏、summer、夏休みとくれば、海、山、避暑、旅行! 誰の心の内にも俄かに遊びのムシが騒ぎ出す季節である。 いつもはああしろこうしろと席を動こうともしない額が薄くなりつつあるオヤジであろうが、キーボード
■青山プロダクションの広瀬良太は、入社以来、ああしろこうしろとこき使われてきた社長の工藤高広とは一応、付き合っ
■夏休み(工藤×良太) ■夏を抱きしめて(豪&元気) boys love novel Mid summer D
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人44 BL小説 「ただ今戻りました」 そこへ弁当やデザートなどコンビニで調達したらしい、マネージャーの菊池が戻ってきた。 「あ、小林先生、お世話様です」 菊池は千雪に気づいて声をかけた。 「こちらこそ。え、食事まだやったんですか?」 「ええ、万里子さん、あんまり外食とかの気分
back next top Novels 「いや、お前らを見るまでは、まさかあの工藤がってのがあったけど
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人43 BL小説 速水はホテルNのラウンジから自分の滞在しているホテルへと戻る道すがら、京助を呼び出して文句を言わないではいられなかった。 ひどくイラついていた。 あんなガキにしてやられるとは。 あんなガキに。 あの類のガキは躾けなおしてやる必要がある。 世の中そうそう甘い人間
月夜の猫-BL小説です Vacances27(ラスト) BL小説 後を追いかけて、ジェノバで捕まえるしかない、と、工藤はともかくエレベーターホールに向かう。 あの野郎!! 人の気も知らないで! 工藤が荷物を持って再びフロントに現れると、そこには加絵と鴻池が待っていた。 「どうした、慌ててどこへ?」 「いや、急用
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)87までアップしました BL小説 春雷(工藤×良太)87、Vacances(工藤×入社2年目良太)26、真夜中の恋人(京助×千雪)42、までアップしました。BL小説です。 真夜中の恋人、は、メリーゴーランドより以前の話になります。
back next top Novels それからしばらくは、紺野と工藤が今の仕事のことなどを語り合い
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人42 BL小説 寿々屋通いが最近日課になりつつあった。 「女将、もう一本」 「はいはい、どうぞ」 女将から酌をしてもらい、京助は厚揚げを追加で頼む。 「この里芋、美味いな」 里芋の煮物は女将のおすすめだったが、この店の煮物はどれも美味い。 味付けや食材など、女将は惜しげもなく
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人41 BL小説 空を見上げると、明るい月がぽっかりと浮かんでいる。 そのまま視線を下げると、青山プロダクションのビルが見え、二階のオフィスにはまだ煌々と灯りがついているのに千雪は気づいた。 「まだ、誰かいてるみたいやな」 千雪がそう呟いた時、ちょうど傍らを滑るように走り込んで
月夜の猫-BL小説です Vacances26 BL小説 「そんなにタレントになりてーのか? だったらいくらでもお膳立てしてやるぞ。俺を甘く見るなよ? てめーの一人や二人スターにしてやるくらい朝飯前だ」 語気も荒く、工藤は言い放つ。 「誰がいつ、あんたを甘く見たよ! 俺にだって可能性があるんならって言ってるだけだ
back next top Novels 「いや、坂口さんだけじゃなくて、オーディションで楠先生の目に留
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人40 BL小説 「授業中は当てられてもわかりません、言うといてお前、試験は満点取るし、あいつが何言うても無視やったし、お前がそういう態度取るからみんなも真似しよって」 三田村に言われて、千雪も当時のことを思い出した。 「逆パワハラか? イジメてもたんかな、やっぱ、俺」 「白々し
月夜の猫-BL小説です Vacances25 BL小説 シャンパンに負けないスプマンテの味わい。 最高級のエクストラバージンオリーブオイルを使ったトロビエッテのバジルソースやとれたてのシーフードをふんだんに使った料理が振舞われた。 「エー? 加絵が焼いたの? このパンすんごくおいしい!」 女優がそんなにバクバク
月夜の猫-BL小説です 春雷85 BL小説 「もっと音楽もお勉強しろよ」 「またそうやってバカにする」 鼻で笑ってからかう工藤に、良太は文句を言う。 「桐島さんって、でも平気でスキーとかしてたし、度胸ありますよねぇ」 「まあ、世界中公演で回ってるからな、自然と強くなるんだろ」 「そうなんですねぇ」 ついつい自
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人39 BL小説 第一、どこをどうしたらそういうことになるのか、小、中、高と三田村にはイジメに近いいじられ方をしてきた千雪にはさっぱり理解できない。 「小林くん、三田村くん、お待たせ」 何だか妙な話になりかけたところへ、桐島が現れた。 「おう、早かったな」 隣に座る桐島に、三田村が言
月夜の猫-BL小説です Vacances24 BL小説 「いいところでしょ? 私もここに初めてきた瞬間、気に入ったの。ここにいると太陽と海、それだけで何もいらなくなる」 カクテルグラスを良太にひとつ渡すと、加絵は風になびく長い黒髪をかきあげる。 「あ、ありがとうございます」 海の色をしたカクテルに口をつける
back next top Novels 一息ついたところで、サティのジムノペディにかわる。 ピアノ
back next top Novels 「やから、こうして会うてるやろ? 今。まあ、飲めや」 ごまか
月夜の猫-BL小説です Vacances23 BL小説 クルーやスタッフ共々、河崎と藤堂は翌日、ミラノから日本に発ったが、一日オフを予定していた青山プロダクションの面々をイッポーリトがちょっとしたクルーズに誘った。 良太はやっとスーツから開放され、Tシャツに短パンでクルーザーに乗り込んだ。 ラフなシャツにパン
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)83まで連載中です BL小説 春雷(工藤×良太)83、Vacances(工藤×入社2年目良太)22、真夜中の恋人(京助×千雪)37まで、BL小説連載中です。
月夜の猫-BL小説です 春雷83 BL小説 「良太ちゃん、来られたんだ?」 直子は黒のドレスだが、ロックライブに行く時とは打って変わってシックな装いだ。 「いや、工藤さんにチケット渡すことになってるんだけど」 佳乃でも現れれば彼女に渡せばいいか、と思う。 「え、良太ちゃんは?」 直子は怪訝な顔で良太を見つめた
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人37 BL小説 東京に出てきてからの、黒渕眼鏡にダサい見てくれの理由は、千雪が女の子に家まで追いかけられたからだけではなく、男に襲われそうになったということのトラウマも多分にある。 別に三田村を笑わせるためにやっているわけではないのだ。 そういえば、どうしてあの思慮深そうな文
月夜の猫-BL小説です Vacances22 BL小説 「何だ、デマかよ?」 井上は苦笑する。 「いや、実を言うと事実なんだな。そりゃ駆け引きでしょ。達也は自信満々で、金にならないなんてこれっぽっちも考えちゃいないよ。その代わり、ヒットしたらそれなりに上乗せしてもらうことになってるから、良太ちゃんも期待してて」
月夜の猫-BL小説です 春雷82 BL小説 表参道の事務所では案外早く打ち合わせが終わった。 ベテラン俳優の平岩孝次だけでなく、マネージャーや社長も現れて良太を歓待してくれただけでなく、平岩がもともと人を笑わせるのが好きなな人だったので、楽し気な雰囲気で終始した。 あちこちのドラマやCMに顔を出す人だけあって、平
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人36 BL小説 部屋の電話が鳴った時、チェストの上の時計は十一時を示していた。 割と夢中になって原稿に向かっていたので、千雪はどれだけ時間が過ぎたのもわからなかった。 「え? まだ締め切りやないやろ? あ、ひょっとして三田村か」 携帯は電源を切ってあることも多いので、三田村に
月夜の猫-BL小説です Vacances21 BL小説 ローマとは打って変わって、撮影は殊のほか順調に進んだ。 何だか開き直った良太が妙にしっくり絵の中に収まって、ディレクターもうんうん頷いている。 「いいよ、いいね、良太ちゃん!!」 藤堂が手放しで誉めまくる。 「良太、お前やっぱこれからこっちの仕事でいった方
back next top Novels 今年はチョコレートケーキとブランデーケーキを会社のみんなと社
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人35 BL小説 「お前の素性を知らないから、あいつは誤解しているんだ」 「ふーん、素性を知らなければ、俺はお前に援交目的で近づいたタチの悪い援交ボーイってわけや?」 思い切り皮肉って千雪は京助を睨み付けた。 「そんなことは言ってねぇだろ?!」 「少なくともお前のご学友はそうと
月夜の猫-BL小説です Vacances20 BL小説 眩い夏の陽射しを受けて小さな港は輝いていた。 ポルトフィーノ、イタリア語でイルカの港と呼ばれるこの入り江はリヴィエラの東側に位置し、リグリア湾を臨む断崖絶壁に囲まれているため、隣接するサンタ・マルゲリータ・リグレの町から船で渡るのが最良の手段だ。 サンレモ
月夜の猫-BL小説です 春雷80 BL小説 今回、朱雀酒造が初夏から新発売する糖質オフ・プリン体オフのノンアルコールビール、「Yes! Free!(イエス、フリー)」のCMプロジェクトで、イメージキャラクターにプロ野球レッドスターズの新鋭八木沼大輔選手を起用したのが、電映社のビジネスプロデューサーという肩書の
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人34 BL小説 「うわ、もう、昼休み終わってしまうやんか!」 腕時計を見て、千雪は焦って二人に背を向けた。 「ほんまに、くだらないことで大騒ぎして、ようも恥ずかしないな?! 先輩方!」 ちょっと振り返り、そう言い放つとたったか次の講義のある教室へと足早に向かう。 やってられへ
月夜の猫-BL小説です Vacances19 BL小説 午後八時のローマの空はまだ明るい。十時でもまだ薄闇だ。 アスカや秋山、藤堂らと軽く食事をとってから、良太はホテルの部屋に戻り、シャワーを浴びるとベッドにもぐりこんでみたものの、神経が疲れすぎているのか今度は眠れない。 ベッドから這い出すと、冷蔵庫からミネラ
春雷(工藤×良太)79 真夜中の恋人(京助×千雪)33 Vacances(工藤×入社2年目良太)18 までアッ
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人33 BL小説 「どうしたの!? 京助さん! 速水くん!!」 騒ぎを聞いて、コーヒーを取りに行っていた文子が慌てて駆けつけた。 その頃、二限目の講義のあと教授に質問があって時間をくってしまった千雪は、三限目が始まる前に図書館に行くつもりもあり、カフェテリアで手早く昼を済ませよ
月夜の猫-BL小説です Vacances18 BL小説 「よし、お疲れさま~」 ディレクターの声で一斉に空気が開放感に満たされる。 「お疲れ、バッチシじゃん、良太」 すぐ傍にいるアスカの声が遠く聞こえる。 周りのみんなも何か言っているがよくわからない。 良太は顔をあげてその男を探す。 まっすぐ向こうにようやく
月夜の猫-BL小説です 春雷79 BL小説 「昨日まる一日寝てたんだ。十分だろう」 ってことは、少なくともインフルエンザじゃなかったんだろうな。 良太は工藤の言葉から判断する。 すると工藤の背後から、「工藤様、どうぞこちらへ」という声がする。 「え、今どこです?」 相手はこのクソ寒い雪の日に出歩いたらまた風邪が
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人32 BL小説 明け方ようやく部屋に戻り、ちょっと仮眠した程度でシャワーを浴びて着替え、研究室に戻ってきた京助は、さすがに疲労困憊状態だった。 自販機で買ってきた栄養ドリンクを一気飲みして自分のデスクに足をかけ、椅子にもたれて腕組みをしたまま目を閉じていると、牧村らがやってき
月夜の猫-BL小説です Vacances17 BL小説 「さっきポスター撮りでファインダーから覗いてて思ったよ。背筋がピンと伸びたっていうか。風格っつうのか? ひょっとして初めから尾崎なんかよりよかったかもよ?」 井上に横で説明されるまでもなく、カメラの向こうの良太は開き直ったのか、さっきまでおどおどして見えた
back next top Novels 「いらっしゃい」 良太は直子につられて笑顔になった。 「あら
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人31 BL小説 「……はい、わかりました」 緊急ですぐ来るようにという教授のお達しである。 「それ、食ったら、ちゃんと帰れよ」 のんびりと、クレーム・ブリュレを口に持っていく千雪にそう言うと、コーヒーを一口飲んでから京助は慌てて席を立つ。 と思いきや、千雪に覆いかぶさるように
月夜の猫-BL小説です Vacances16 BL小説 休憩になっても、ぐーんと落ち込んだ良太は、部屋のかたすみにうずくまっていた。 「なーに暗くなってんのよ。良太なかなかうまくやってるよ。初めてやったにしちゃ、もう上出来」 アスカが傍にきて声をかけてくれる。 「ヘタな慰めはいいよぉ」 CMに出るんだ、カッコよ
月夜の猫-BL小説です 春雷77 BL小説 「お疲れ様。帰るよ」 間もなく真中が小笠原を呼びに来て、車で帰って行った。 今夜はロケで、出番もないので、当然美亜はいない。 美亜がいないと、小笠原は出番まで妙に一人静かにしていた。 スタッフは片づけをしているし、俳優陣が帰っていくうち、今日は途中から現れた坂口が宇都
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人30 BL小説 「あとは、お任せしますので、よろしくお願いします」 千雪はヘルメットを手に立ち上がった。 「あら、千雪さん、バイクなの? じゃあ、工藤さん、車変えた?」 万里子が小首を傾げて工藤を見た。 「まだ動くものを変える必要はないだろ」 「ふーん、じゃあ、志村さんの?
月夜の猫-BL小説です Vacances15 BL小説 石造りの建物の中は、入ってすぐ一瞬ヒンヤリするのだが、これだけぞろぞろとスタッフが入り込むと、空調が効いていてもちょっと動くだけで汗ばんでくる。 秋から放映予定のCMでは、この猛暑の中アスカと良太は秋物を着ているため、半端じゃなく暑いのだ。 ボルゲーゼ公園の
春雷(工藤×良太)76 真夜中の恋人(京助×千雪)29 Vacances(工藤×入社2年目良太)14 までアッ
back next top Novels もとより、自分がどう野垂れ死のうとその時はその時だと、そう割
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人29 BL小説 いかにもオフィスに用があるような顔で、京助はガードマンに会釈をしてオフィス下の螺旋階段あたりへ歩く。 朝から降っていた雨は上がったが、木立を抜ける風は少し冷たかった。 京助はエントランス横の壁に凭れて、やがて現れるだろう千雪を待った。 二十分ほど経ったろうか、
月夜の猫-BL小説です Vacances14 BL小説 売り言葉に買い言葉。後悔先に立たずなんてのもある。 後の祭り、なんて言葉も。 打ち合わせ、準備、あれよあれよという間に時間が経ち、良太は今機上の人なのだった。 あ~~~~~~~~あ………………… 何度ため息をついたか。 どうして俺ってこう、短絡的っつうか、
月夜の猫-BL小説です 春雷75 BL小説 「普段熱出したことのないやつの七度五分は、結構きつくね? しかしあんたが風邪とか、天変地異の前触れじゃねぇのか?」 加賀が突っ込みを入れてくる。 「一応人間やってるからな、これでも」 「フン、寄る年波ってやつだろ。若い時みてぇにムリがきかなくなってんじゃね?」 脱げば
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人28 BL小説 雨は朝になってもしとしとと降り続いていた。 ドアを開けて雨が降っていることに気づいた千雪は、傘を持ってドアを閉めた。 気分は絶不調だ。 あまり雨は好きではないが、理由はそれだけではないだろう。 できれば出かけたくはないが、欠かせない講義があった。 ここのところ
月夜の猫-BL小説です Vacances13 BL小説 「何で、今、そんな電話をかけてきたんだ? こっちとしてはタイミングがよすぎるぞ。ああ、なるほどな、それでか。いや、渡りに船って感じだ。ぜひ使わせてもらいたい。ああ、わかった。また連絡する」 電話を切ると、工藤は面々を振り返り、「ヴィラは何とかなりそうだ」と
back next top Novels 佳乃をホテルに送り届けてから、パワスポのミーティングに向かう
春雷(工藤×良太)73までアップしました 真夜中の恋人(京助×千雪)27 かぜをいたみ(京助×千雪)45 Va
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人27 BL小説 一呼吸おいて、速水は続けた。 「いくらでも女がより取り見取りだろう? ゲイってわけじゃないんだ。何も坊やなんか選ばなくてもいいだろ? いったいどこで知り合った? ニューヨークあたりでもよくいるが、あの手合いは絶対援助目的だぜ? お前の素性知ってるんだろ?」
月夜の猫-BL小説です Vacances12 BL小説 「何余裕ぶっこいてんだよ、きさま」 「やつの代わりを立てればいいだけの話だろ? 俺に妙案がある」 あくまでも藤堂は暢気そうに答える。 「ほう、言ってみろよ。尾崎は鴻池物産の方で指名してきたキャストだが、中川アスカの添え物としては駆け出しでもいいセンだったん
月夜の猫-BL小説です 春雷73 BL小説 平造への箱は割と大き目で、どうやらみんな同じブランドのものらしい。 ってか、これ、ラルフローレンじゃん。 「あらまあ、素敵!」 あらまあを連発して、鈴木さんは取り出したシルクのスカーフを早速肩にかけてみる。 紺地にゴールドのバラが品の好い鈴木さんによく合っている。
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人26 BL小説 六本木の大通りから少し入ったところにあるバー「サンクチュアリ」は、富裕層が利用する高級会員制クラブの系列で、VIPルームもあるシックな店だが、京助や速水にとっては高校時代からのたまり場で、加えて大抵何人もの遊び仲間が屯していた。 久々にドアをくぐると、久しぶり
月夜の猫-BL小説です Vacances11 BL小説 工藤や河崎の話している内容から、良太も大体のことは把握できた。 工藤もドラマのために河崎らと同行してイタリアに飛び、撮影用にヴィラを押さえてきたのだが、持ち主から急遽使うことになったから貸せないという連絡が入り、こちらも番狂わせもいいところなのだ。 「来週
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ45 BL小説 「おい、だからそんな恰好で寝るな」 いきなり首に引っ掛けていたタオルで頭をガシガシやられた千雪は目を覚ました。 ぼんやりしているうちに寝てしまったらしい。 「ほんまにお前の兄貴、クエナイやつや」 千雪はボソリと言った。 「だからそうだってっだろ? 兄貴のやつ、
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人25 BL小説 「桜木? 政治家というと、まさか何年か前、贈収賄事件で起訴された桜木代議士?」 「そうだ。君の言う通り、引き裂かれて自殺なんて、今時はやらないよな」 小田は苦笑いしながら振り返った。 「いえ、境遇とかは違うかもしれませんが、俺の両親、駆け落ちやったんです。母親
月夜の猫-BL小説です Vacances10 BL小説 爽やかな好天にもかかわらず、朝からオフィスは怪しい雲行きを醸し出していた。 「そのくらいの怪我、テーピングで何とかごまかせるでしょう?」 丁寧な言い回しだがはっきりと秋山は相手を見据えた。 「いや、そう簡単には行かないみたいでして。誠に申し訳ございません。
back next top Novels そりゃ、俺がいたって何ができるわけでもないし。 何より、ど
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人24 BL小説 「ああ、ちょっと話をした時にね。それに君の小説を映画化するという話じゃないか、工藤にしてみれば結構大きな仕事になるようだし、私も影ながら応援くらいはさせてもらうよ」 ワハハと豪快に笑う小田からは誠実な人柄が窺えた。 「工藤さんとは今も親しくされてはるんですね」
月夜の猫-BL小説です Vacances9 BL小説 「それで、シッポを掴んだのか」 「今、譲に調査させてるとこだ。だが、きさま、ほんとに奈々やアスカに手を出してるんじゃないだろうな? それが事実なら俺は無罪にしてやる気なんかさらさらないからな」 「るせーな、あんなガキに俺が手を出すかよ。何度もブタ箱に入り浸っ
月夜の猫-BL小説です 春雷71 BL小説 「いや、今朝、おかゆとか食べて薬飲んだけど、気力だけで動いてるみたいです。夕べは何せ、斎藤さんの付き合いだったし」 「ああ、体調悪い時あの人の付き合いはきついな。しかし、インフルじゃないのか? 病院にも行ってないわけ?」 「熱があるようなら病院行かないとですよね」
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人23 BL小説 さすがに切れ者の弁護士というだけあって、その表情からは何も窺い知れない。 「刑法と処罰について、考えているところなのですが、弁護士として実際の事件を扱っておられる先生に、差しさわりのない程度でお話を聞かせていただけたらと思いまして」 もちろん、自分が携わってい
月夜の猫-BL小説です Vacances8 BL小説 それに、昨年末の忙しい時期に十日ほども入院し、しかも工藤に別荘に連れて行ってもらったりして、逆に工藤に負担をかけてしまった良太としては非常に心苦しかったのだ。 どちらかというと休みをとって欲しいのは、工藤自身になのだが。 それにしても家族で一緒に旅行なんて何
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)70までアップしました BL小説 春雷(工藤×良太)70、真夜中の恋人(京助×千雪)22、Vacances(工藤×良太)7(良太入社2年目くらい)までアップしました。真夜中の恋人、Vacances は、エピソード―風薫る頃、からどうぞ。
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月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人22 BL小説 「捜査一課の刑事だ。だいたい、こないだは千雪を容疑者扱いしといてどの面下げて来やがるんだ! 厚顔無恥な連中だ。千雪なんかに頼らず、ちったあ自分の頭を使ってみたらどうだ?! へっぽこデカどもめ!」 むしゃくしゃしていた京助は、ちょうど現れた渋谷に当り散らす。
月夜の猫-BL小説です Vacances7 BL小説 「俺の昔話なんかお前には関係ないだろうが」 工藤はもう終ったことだというようにそう言った。 でも、じゃあ何故、「あの人」のことになるとあんなに一生懸命になるんだ? それを聞く勇気がない。 …どーせ俺なんかさ! キショーめ、飲みに行っちゃろーかなー… さっき工
月夜の猫-BL小説です 春雷69 BL小説 曽祖父がスーツを着ると、昔の人間にしては背が高く体格もよかったせいか、ロンドンの紳士ってこんな感じだろうかと思わせるような佇まいだったのを覚えている。 激高して怒るようなことはなかったが、冷たい印象が幼い工藤には曽祖父には好かれていないと思わせた。 軽井沢の別荘に通って
月夜の猫-BL小説です Vacances6 BL小説 「どうぞ」 キッチンから出てきた鈴木さんがコーヒーを谷川と井上に渡す。 「うお、ありがて~。今日は一段と美人だね~鈴木さん」 「魚武さんみたいなこと言わなくてもいいの」 ソファに腰をおろした井上はコーヒーをすする。 「…魚武って誰よ?」 「らしいってだけじゃ、
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人21 BL小説 頭から工藤をヤクザと見下しているその正義感面にはかなりムカついたが、千雪のことを見下したいが故に工藤のことを持ち出している速水に対して、反吐が出る思いがして、千雪は立ち上がる。 「根拠のない噂話なんかに踊らされて、仮にも心理学者ともあろう人が、そう知らん他人を
月夜の猫-BL小説です 春雷68 BL小説 おかゆを器に入れ、梅干しを添えて、薬や栄養ドリンクと一緒にトレーに乗せると、良太は隣へのドアを開けた。 何だか、妙にこのドアが機能している気がする。 部屋に入ると、工藤はシャワーを浴びたらしく、バスローブで頭をタオルで拭きながらリビングまでやってきた。 「シャワーとか
月夜の猫-BL小説です Vacances5 BL小説 「イっちゃってるよー、良太~」 バッチーンと背中を叩かれて、良太は「ってぇよ~~、アスカさ~ん」と振り返る。 「ドア見つめて、セツナげな顔しちゃってさ~、かーわい~ったら」 「せ…つなげになんかなってないよっ!」 アスカに追い討ちをかけられて、良太は顔をカ
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人20 BL小説 「あ、先輩! こんなとこにいた!」 お前は猛禽類か。 千雪は眼鏡の奥からよく見知った男を睨み付けた。 今日は天気もいいので南側のテラスへ続く扉が開かれ、オープンカフェになっていた。 できればこのうるさい後輩とは顔を合わせたくないし、ちょうど隅の木陰のテーブルが
月夜の猫-BL小説です 春雷67 BL小説 大学の先輩で工藤はよくしてもらったというが、実際鴻池と相対した良太からみると、工藤に対して異様な執着があるのだ。 だから工藤がよりによって良太なんかと付き合っていることが気に入らず、良太を排除して自分が理想とする相手を工藤にくっつけようとしたわけだ。 当時は工藤も鴻池の
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月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人19 BL小説 よりによって、顔を見たくもない相手とどうしてこんなところで出くわしてしまうのか。 「ええ、一応、雑誌で連載なんかやってるんで、色々忙しいんです」 振り返ると速水とその後ろには文子が立っていた。 「まあ、連載? 何ていう雑誌ですか?」 にこやかに尋ねられて、千雪
春雷(工藤×良太)66までアップしました エピソード―風薫る頃は、 真夜中の恋人(京助×千雪)18 Vacan
月夜の猫-BL小説です 春雷66 BL小説 高輪にある工藤の部屋は、何だか生活感もなく、良太もたまにマンションの中に入っているスポーツクラブに連れて行ってもらったりしたが、どちらかというと高輪の方が別宅のような気がしている。 屋上プールは最高だったけどな。 昼は開いているが、夜はドーム型の天井から空が見えるのだ。
月夜の猫-BL小説です Vacances3 BL小説 「お前がその程度でやり込められるタマじゃないってことくらい誰でも知ってるだろ!」 「ジョークもほどほどにしてよ! あたしが工藤さんみたいなオヤジとどうにかなるわけないじゃない! 奈々なんかもっとジョーク、ジョークっだわ! オヤジがいいなんて良太くらいなもんよ
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人18 BL小説 一限目の講義のあと、千雪は図書館に出向いた。 飲み会の時の宮島教授の言葉が気になっていたのだが、ここ数日忙しくて時間が取れなかったので、いつの間にか週末になってしまった。 実は三羽じゃなかったんだ、ということはつまり、他にまだ誰かがいた? 荒木志郎、小田和義、工
月夜の猫-BL小説です Vacances2 BL小説 ここのところ、青山プロダクションを標的にした根も葉もない噂が業界をちらほら飛び交っている。 そもそもは工藤本人を罵倒した記事が、出る杭は叩く、もう出ないように叩く、という手合いの女性週刊誌に載ったことが始まりだった。 裏金を遣ってキー局のチーフディレクターを
月夜の猫-BL小説です 春雷65 BL小説 「さっき聞いて私もびっくりしたのよ」 キッチンから出てきた鈴木さんが良太にコーヒーを持って来てくれた。 「犯人は捕まったし、飛行機は隅から隅まで調べたけど何も出てこなかったらしくて」 「それはよかったですね」 ほんとにテロとか聞くと良太はぞっとする。 以前、9.11以
月夜の猫-BL小説です Vacances1 BL小説 滑らかなステアリングで大型のメルセデスベンツが駐車場に滑り込むと、やがて大柄な男が後部座席から降り立った。 ライトブルーのシャツにきちんと結ばれたタイ、Vゾーンも涼しげに、例年にない暑さもものともせずスーツを一部の隙もなくビシと着こなした男に、建物の裏口にあ
月夜の猫-BL小説です Vacances(工藤×良太) BL小説 青山プロダクションの広瀬良太は、入社以来、ああしろこうしろとこき使われてきた社長の工藤高広とは一応、付き合っていることは社内でも公認だ。だが工藤のことを刷り込みしたひよこのように好きな良太としては、工藤が自分に本気とは思えないでいる。秘書兼運転手兼
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった80 BL小説 「うわっ! すみません、大丈夫ですか?」 我に返った井原は慌てて態勢を整えた。 「あ、ああ、平気」 「じ、ゃあ、よろしくお願いします」 飛び出すように部屋を出て行った井原だが、ジンジン痛む足の指もそっちのけで、そのまま洗面台まで行くと、バシ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった79 BL小説 「おい、気をつけろよ、望遠鏡、高かったんだから」 「大丈夫っすよ」 「本かよ、この箱、えっらい重い」 やがて玄関が開いて、口々に言い合いながらそれぞれ荷物を手に豪、東、最後に井原が入ってきた。 「あ、響さん、貴重な休みにありがとうございます!」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった78 BL小説 面と向かってどんな顔をすればいいのだろうとは思うのだが、響はそれ以上に会えるかどうかが気がかりだったのだ。 多少ぎくしゃくするかもしれないが、少なくとも仲間としては付き合っていってくれると考えていいのだろうか。 元気には泣きついて、いい加
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった77 BL小説 元気のきつい言葉は井原の身に染みたが、響のお断りが、荒川のせいだと思いたかった。 今度こそ、失敗はしない。 第一、引っ越しにしても、要は響と二人で会いたいという単純な目的のためといっても過言ではなかった。 それを言ったら、元気に鼻で笑われ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった76 BL小説 「響さんが荒川先生に理不尽なことを言われているのをたまたま瀬戸川と青山が聞いて、怒った彼女たちが寛斗も巻き込んでクラスでウエーブやらせて、荒川先生をとっちめたんだよ、響さんのために」 元気は淡々と続けた。 「響さんは荒川先生の言ったことを真に受け
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった75 BL小説 「しかし今の子はすごいねぇ」 元気はハハッと笑う。 「紀ちゃんがいたら、ジジクサって言われるぞ」 東が肩眉をあげて忠告した。 「高校生から見たらオッサンだろ、俺らなんか」 「まあな。それより、俺肝心なこと聞いてないっつうか、荒川先生キョー先生に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった74 BL小説 「あ、荒川センセ」 引き留めた寛斗をそれでも荒川は振り返る。 「あんまし、深く考えない方がいいよ。新任への手荒な洗礼ってよくあることだし、ただのいたずらだから! 俺先生の授業わかりやすくて好きだし」 こいつはどこでもうまく生きて行けるやつの
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった73 BL小説 「そうですね、それは思いました」 整然と瀬戸川が言った。 「でも、寛斗に話したら、じゃあ、ウエーブやろうぜって言うのに、咄嗟にそれ以外思いつかなくて、賛同しました」 「あ、俺はさ、クラスのみんなに、キョーちゃんがどうのとか話したわけじゃなくて、
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった72 BL小説 響や東の在学時にもウエーブの伝説は伝えられていたが、もどきをやったクラス数名がいたくらいで、それもサボりたいだけの動機だったから、相手にもされなかった。 「ウエーブって、マジで?」 意外過ぎる出来事に響も唖然となった。 「らしいです。ちょっと職
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった71 BL小説 「こないだ来たやつ、その酒くれたクラウスなんか、妻子あること隠してやがって、とどのつまり絶交したんだけど……俺が来るもの拒まずでつきあってたのが悪かったのかも………ほんと、ロクなことなかったな」 はああと響がため息をつく。 「そんなこんなで十年…
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった70 BL小説 マグカップにコーヒーフィルターをセットし、お湯が沸くと、元気はゆっくりと湯を注ぐ。 「キッチンとバスルーム、増築して正解でしたね」 「まあ、そっちも狭いけど」 「そりゃ、ヨーロッパ辺りと比べるとウサギ小屋かもだけど、俺からすれば十分広い」 香
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった69 BL小説 「今度は、少しずつ間を詰めて、絶対ポカしないつもりだったんだ。でも、あの金髪野郎が現れて、俺、頭に血が昇っちまって、つい、告るの早まったのかも」 井原はやはり響しか見えていないらしい。 「お前さ、外野のことも少しは考えた方がいいんじゃね?」 「外
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった68 BL小説 完全に酔っぱらって口にしている言葉が理解できていないのが元気にもわかった。 「こんな田舎で、男同士で、教員同士で、リスクが高いって、まあ、そりゃそうだなって」 響はハハハと笑う。 笑うのだが涙がぽろぽろ零れるのを拭いもせずまた酒をマグカップに
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった67 BL小説 ふと手にしていた携帯に気づいた響は、誰かの言葉が聞きたくなった。 酔っているのでためらいもなく、一つの番号を押した。 五回目のコールで、声が聞こえた。 「響さん? どうしたんですか? こんな時間に」 「なんかさ……深淵の底から俺が呼ばれて
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった66 BL小説 女性の方が結構年上でというだけで結婚なんてあり得ないとするようなこの街で、高校教師が、しかも男同士がつきあうとか、考えも及ばないに違いない。 先生なんて呼ばれるような人間じゃないと思っていた響だが、いつの間にかそう呼ばれることに慣れてしまった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった65 BL小説 放課後は理科系の会議があるらしいし、今日は井原の顔を見ないで終わりそうだ。 もっとも響こそ、井原とどんな顔をして会えばいいかわらからなかったから、少し胸を撫でおろしていた。 ぼんやりしていたので、ドア口に人がいるのに気づかなかった。 「和田
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった63 BL小説 何も聞かずに俺の手を握っていた井原の手はすごく温かくて。 ポトリとひとしずく、下を向いていた響の目から床に落ちた。 ほんとはすごく好きだった。 だから俺なんかといちゃいけないやつなんだって。 またひとしずく、落ちた。 もう何年も胸の奥に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった62 BL小説 だが所詮モラトリアムの中での思いの延長だ、お前の好きは自分と同じ好きではないかも知れない、響が口にしなかったのは、井原のためだと……。 いずれは井原も誰か愛する人に巡り合って、秀喜のように結婚するのだろうと。 十年越しの初恋なんかもう忘却の彼
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です Buon Viaggio!6 BL小説 「良太、どうかしたか?」 いきなりドアを開けられて、良太は慌てて洗面台の湯を出すとバシャッと顔を洗う。 「何でもないです」 泣き顔を見られたのが恥ずかしくて、良太はタオルでごしごし顔をこすりながら工藤の横を通り抜けた。 寝室のベッドにふてくさ
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Buon Viaggio!5 BL小説 何だよ、チクショ! 夕べはエロっぽいことばっかやりやがったくせに! ずっと撮影が続いていたし、険悪状態だったから、工藤に触れられた途端、良太はあっけなく力を吸い取られたみたいになって、泣かされどおしだった。
月夜の猫-BL小説です Buon Viaggio!4 BL小説 あちゃ~ 良太は思わず天を仰ぐ。 隣で工藤も苦笑いを隠せない。 「工藤さんまで笑うことないだろ」 良太も携帯を取り出して、数枚写真を撮った。 「まあ、お前に芸術的な観点からものを言えなんて言わないさ」 「バカにして!」 荘厳な雰囲気の中
月夜の猫-BL小説です Buon Viaggio!3 BL小説 良太とスーツケースじゃ、どっちを取るかなんて聞くまでもないだろう。 残念ながら工藤のそんな心の呟きは良太には聞こえないらしい。 それにしても工藤の身の回りのものといって、ちょっとやそっとのシロモノではないだろうに。 それに鈴木さんへの土
月夜の猫-BL小説です Buon Viaggio!2 BL小説 そこへちょうど現れたエンツォが空港へ行くなら送っていくと言ってくれたので、渡りに船と、良太はエンツォの車で空港に着いたのだ。 ところがジェノバの空港へ慌てて良太を追いかけてきた工藤は良太と一緒にいたエンツォを殴り倒した。 どうせならと、秋山ら
月夜の猫-BL小説です Buon Viaggio!1 BL小説 ぷりぷりしながらホテルの部屋に戻ってきた良太は、思わずベッドに蹴りを入れる。 ミラノでも超一流のホテルの一室。 一人だったら到底泊まるなんてこと考えもつかないだろう、広い寝室やリビング、それにバスルーム。 これでいわゆるデラックスツインだ
月夜の猫-BL小説です Buon Viaggio!(工藤×良太6) BL小説 良太を追ってきた工藤は、空港で動きを邪魔するトランクをほっぽり出して良太を探し、良太を誑かそうとしていたエンツォを殴り、良太とともにミラノにやってきた。 働きすぎだから、二人で休暇を楽しむようにとチケットを用意した部下の秋山
月夜の猫-BL小説です Cat&Dog4(ラスト) BL小説 物心ついた頃から、家には犬もネコもいろいろいた。 良太が拾ってきたのもいるが、日がな一日野球にかまけている良太より、大概ご飯をやる母親に懐いていたものだ。 もう今はない自分の家を思い出して、しばし感慨にふける。 良太が学生のとき、大学でクラ
月夜の猫-BL小説です Cat&Dog3 BL小説 意固地になってろくに口も聞いていない。 どんどん、遠くなる気がする。 工藤…… その時また、加絵が飲み物を持って工藤に寄り添うのが見えた。 工藤のバッキャロ!! 「良太ちゃーん、そろそろラスト行くよ」 「ハイッ!」 キショーメ、こうなったら、せめて
月夜の猫-BL小説です ぶなの森16(ラスト) BL小説 ゆらゆらと揺れるベッドの上で良太は素っ裸でぼんやりとあたりを見回した。。 「飲むか」 シャワーを浴びて、腰に一枚タオルを巻いただけの工藤が差し出したボトルを受け取ると、ちょっと身体を起こして半分程飲んでからそれがビールだと分かる。 「人非人! 腐れ
月夜の猫-BL小説です Cat&Dog2 BL小説 「お~~い、良太ちゃ~~ん」 なんてすぐ傍で呼ぶ声に頭を上げると藤堂がにこにこと振っている。 「疲れたかな? あと一分張りだからね。もう、バッチシだよ、良太ちゃん。特にこのリヴィエラに入ってから、神がかり的! 飲み物は?」 「あ、いえ、もう……冷たくてオイ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森15 BL小説 工藤についてクルーザーに乗り込むと、「あの、どなたの接待なんですか」と良太はあらためて聞いた。 だがコックピットの工藤は、「出すぞ」と言っただけで、クルーザーはあっという間に沖へ出て行った。 いきなりの青い眩しさに良太の視界が一瞬とぎれる。 やがてエンジ
月夜の猫-BL小説です Cat&Dog1 BL小説 アイスカフェラッテ、暑い夏の日にはぐいっと一杯、思わず、く~~~~~~~~~っつと言いたくなるくらい、とっても美味いんだけど…。 「OK! ちょっと休憩しよう。あとワンカットね、良太ちゃん」 ディレクターのその言葉に、広瀬良太はふ~~~~っとひとつ大きく
■Cat&Dog(工藤×良太5) 工藤×良太、初期のエピソードです。(R18) 良太はカフェラッテのC
月夜の猫-BL小説です ぶなの森14 BL小説 いや前田はやや年をとった感があるが、その分この店自体が﨟長けた雰囲気を醸し出している。 子どもの頃、曽祖父に連れられて入った横浜の古いバーに似たところがあってこの店に足を向けるようになったのだが、工藤にとっては思いのほかいつ来ても落ち着ける場所のひとつになっ
月夜の猫-BL小説です 花火(工藤×良太37) BL小説 八月に入って最初の土曜日、広瀬良太は後部座席にさっきから携帯で明らかに不機嫌そうな声で相手とああだこうだと話している工藤高広を乗せ、首都高速都心環状線を江戸橋ジャンクションから首都高速六号線に乗り、ジャガーを走らせていた。 ほとんど良太仕様のように
back next top Novels 「なーんか、変よね」 つんけんしているわけでもなく、良太は実
月夜の猫-BL小説です ぶなの森12 BL小説 「ああ、えっと『ぶなの森』無事オールアップです。あ、俺、明日、ヤギさんと『知床』の打ち合わせで……」 とっとと立ち去りたいばかりの良太は適当なことを並べ立てる。 「今夜はあいてるんだろう。メシでも食うか」 良太の言葉を遮るように、工藤が言った。 「……長い
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に151 BL小説 「ああ、はい、えっと、カリカリもレトルトも冷蔵庫の上のかごに入れておくので、まあこのくらいずつ」 この人ほんとに世話してくれるつもりなのか。 良太はまだ半信半疑で工藤を見た。 良太が猫たち用のテーブルの上に器に盛ったカリカリを置くと、猫たちははぐはぐと
月夜の猫-BL小説です ぶなの森11 BL小説 「お疲れ様でした~」 スタジオを出たところで、良太に声をかけてきたのは花束を抱えた菜摘だった。 スタジオでの撮影も無事クランクアップし、良太もやっと肩の荷が下りたはずだが、どうも気分の方は上昇する気配がない。 「菜摘さん、お疲れ様でした。またドラマの打ち上げ