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創作小説屋
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創作小説置き場。真面目なBL物語。高校同級生カップルの29年愛等。完結・読切・色々。
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64回 / 365日(平均1.2回/週)

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尚(創作小説屋)さんの新着記事

1件〜30件

  • BL小説・風のゆくえには~うちの旦那様、お医者様なもので

    【浩介視点】朝起きたら、何となく、ちょっと、頭が重かった。でも、今日はせっかくのバレンタイン前の休日。せっかく朝から慶と一緒にチョコレートフェアに行く約束をしているのに、具合なんか悪くなっている場合じゃない。(気のせい気のせい気のせい……)頭痛は「気のせい」ということにして、先にベットから抜け出し、朝のコーヒーを落としはじめる。……と、コーヒーの匂いにつられたように、慶も起き出してきた。「はよーーー」慶は挨拶と一緒に伸びをしたかと思うと、その勢いで腕をブンブン振り回しはじめた。時々するその仕草を見る度に、なんだか子供みたいでカワイイなあ、と思っていることは内緒だ。「おはよう。昨日のスープの残り食べる?」「食べるーー」「分かった」肯いて、台所に戻ろうとした……のだけれども。「浩介」「え」いきなり腕を掴まれた。慶の...BL小説・風のゆくえには~うちの旦那様、お医者様なもので

  • BL小説・風のゆくえには~令和初・付き合いはじめ記念日・後編

    【浩介視点】おれはおそらく、普通の人よりも記憶力が良い。思い出すと、当時の感覚まで蘇ってくる。それは、母に見張られた勉強部屋での絶望感とか、不登校になったおれに対する父の冷たい視線の恐怖とか、教室の掃除ロッカーに閉じ込められた時の嘔吐したくなるような匂いとか、嫌な思い出に対するフラッシュバックほど鮮明だ。そんな記憶に囚われてしまった時、おれは急いで記憶の引き出しから、キラキラした光を引っ張りだす。「慶……」中三の時、初めて見た眩しい光。高一の時、親友だって言ってくれた時の包み込むみたいな光。そして……「高校二年。12月23日。恋人になった日」おれの一世一代の告白に、慶はポロポロと涙をこぼしてくれた。あんなに光り輝いたものを、おれは見たことがない。どんな宝石よりも美しい光。慶の光がおれを暗闇から救い出してくれる。...BL小説・風のゆくえには~令和初・付き合いはじめ記念日・後編

  • BL小説・風のゆくえには~令和初・付き合いはじめ記念日・前編

    【慶視点】12月23日は、おれと浩介の「親友」という関係に「恋人」をくっつけることになった記念日だ。浩介はやたらと記念日を大切にするので、やれ初キス記念日だの出会った記念日だの、その他諸々覚えている。反しておれはとんと無頓着。でも、さすがに、誕生日と、この「12月23日」だけは覚えている。昨年までは祝日だったから思い出しやすかった、ということも理由として挙げられる。でも、令和になった今年からは平日なわけで……「ケーキ買っておくね」朝、駅で別れる時にニコニコで浩介にいわれたけれど、インフルエンザが蔓延している月曜日は残業は必至だ……予想通り、職場の病院を出られたのは夜の8時半過ぎになってしまった。これから帰るという連絡だけして、帰り道を急ぐ。昨日と違って、今日は雨じゃなくて良かった。(……雨は、嫌いだ)浩介がおれ...BL小説・風のゆくえには~令和初・付き合いはじめ記念日・前編

  • 風のゆくえには~元祖「愛してる」記念日

    【浩介視点】11月3日。高校2年生の時、初めてキスをした記念日。それと、4年前、結婚式みたいな写真を撮って、そこで、慶が初めて「愛してる」って言ってくれた記念日。本当はデートしたかったけれど、あいにく慶は仕事。大きな学会があるそうだ。普段、慶は記念日にとんと無頓着だ(って、おれがこだわり過ぎって話もあるけど……)。でも、この11月3日はようやく「なんとなく」覚えたらしく、学会に行くことが決まってすぐに、「5時には終わるから、夜は外食しよう」と、言って、最近人気のフランス料理店の予約までしてくれた!すごい!バイト時代の先輩が働いているお店だそうで、「前から一度食べに来いって誘われてたから」なんて照れたように言っていたけれど、そういう知り合いの店におれを連れて行ってくれる、しかも記念日に!ということが更に嬉しい。嬉...風のゆくえには~元祖「愛してる」記念日

  • 風のゆくえには~「愛してる」記念日・後編

    【溝部視点】「慶が初めて『愛してる』って言ってくれた日だから、『愛してる』記念日』」なんてアホらしい話を聞いた翌日金曜日。渋谷達のマンションから出勤し、普通に仕事をして、通常通りの時間に家に帰ったのだけれども……「…………おかえりなさい」「?ただいま」何となく、鈴木の様子がおかしい。元気がないというか……でも、聞いても、そんなことはない、の一点張りで埒が明かない。と、いうことで、息子・陽太の部屋に乱入して聞いてみた。ら、「お母さん、今日は朝からずっとあんな感じだったよ」「え、なんで?」「知らね」「えー……」なんで知らねーんだよー…とガッカリしているオレに陽太がアッサリと言った。「本人に聞けばいいじゃん」「聞いても教えてくれないから陽太先生にお聞きしているんですがっ」「残念。オレも知らね」「えー見捨てるなよー考え...風のゆくえには~「愛してる」記念日・後編

  • BL小説・風のゆくえには~「愛してる」記念日・前編

    【登場人物】溝部祐太郎(みぞべゆうたろう)某大手メーカー勤務。身長169㎝。ちょっと太め。お調子者。元野球部。長年の拗らせ片思いを叶えて、2年半前に同級生の有希と結婚。現在、有希の連れ子・中学一年生の陽太と、もうすぐ1歳になる娘・よつ葉との4人家族。溝部有希(みぞべゆき)雑誌記者。身長168㎝。元バレーボール部。旧姓鈴木。渋谷慶(しぶやけい)小児科医師。身長164センチ。中性的で美しい容姿。でも性格は男らしい。桜井浩介(さくらいこうすけ)フリースクール教師。身長177センチ。慶の親友兼恋人。【溝部視点】3連休の予定を聞いたところ、「日曜日だけあるんだ〜❤」と、桜井にハート付きで返された。どこか行くのか?と聞いたら、またまたニッコニコで、「記念日だから、二人で食事にいくんだ〜❤」だ、そうだ……。そういえば、桜井は...BL小説・風のゆくえには~「愛してる」記念日・前編

  • BL小説・風のゆくえには~幸せな日々

    【浩介視点】慶のお父さんが大腸癌の手術をした……らしい。らしい、というのは、おれの知らない間に検査で発覚していて、手術も無事に終わっていて、もう退院してきた、ということを、おれの誕生日祝をしてくれた席で聞いて知ったからだ。お父さんが癌になったということも、とてもショックだけれども、(やっぱり本当の息子じゃないから教えてもらえなかったんだ。慶もおれに黙ってたんだ……)と、図々しいながらも、そんなことも思って、ショックを受けた。けれども。慶も知らなかった、というから、驚いた。「何で教えてくれなかったのかな」マンションに帰ってきて、二人並んでソファに座ったところで、慶に言ってみると、慶は軽く肩をすくめて、「面倒くさいからじゃね?」「面倒って……」なんだそれ。「でも慶なんてお医者さんなんだから、色々話を……」「専門じゃ...BL小説・風のゆくえには~幸せな日々

  • BL小説・風のゆくえにはシリーズ 目次

    主人公1:渋谷慶誰もが振り返るほどの美形。性格は一刀両断。男らしい。背が低いことがコンプレックス。主人公2:桜井浩介平平凡凡な容姿。性格、表は明るくニコニコ、裏は病んでいる。そんな二人の、高校一年生の出会いからはじまる29年の物語<『風のゆくえには』年表(2019年9月現在)>年度(4月~3月)区切り。慶の年齢は4月の誕生日迎えてからの歳。並び順は出来事順★長編…3回以上のもの・読切…一回読切・R18…具体的性描写あり。ご注意ください・旧…私が高校大学時代にノートに書いたもの【1989年4月~慶15歳(中3)】★長編『~2つの円の位置関係』:スピンオフ。享吾と哲成の物語。【1990年4月~慶16歳(高1)】★長編『~遭逢』:慶と浩介。出会いから親友になるまで読切『~遭逢裏話』:慶と出会う寸前の浩介の話。享吾と哲...BL小説・風のゆくえにはシリーズ目次

  • BL小説・風のゆくえにはシリーズ 長編目次一覧

    目次に長編の一覧をのせていたのですが、30000字を越えてエラーになったしまったため、別立てにしました。長編目次一覧↓風のゆくえには~遭逢(完結)…高校1年生(2015.11~2016.1投稿)風のゆくえには~片恋(完結)…高校2年生春~夏(2016.1~2016.2投稿)風のゆくえには~月光(完結)…高校2年生夏(2016.2投稿)風のゆくえには~巡合(完結)…高校2年生秋~冬(2016.2~2016.3投稿)風のゆくえには~将来(完結)…高校2年生冬~春(2016.3~2016.4投稿)風のゆくえには~旅立ち(完結)…高校3年生(2017.11~2018.2投稿)風のゆくえには~自由への道(完結)…大学生時代(20~22歳)(2014.12~2015.1投稿)風のゆくえには~嘘の嘘の、嘘(完結)…社会人時代...BL小説・風のゆくえにはシリーズ長編目次一覧

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係・追加のおまけ

    予定変更で、次回金曜日の読み切りをもってお休みに入ります💦今回は、先週まで連載していた「続々・2つの円の位置関係」の、最終回から3週間ほど後のお話をお送りします。-------------『~続々・2つの円の位置関係・追加のおまけ』【慶視点】高校の同級生の、溝部と山崎と斉藤がうちに遊びに来た。高校2年生の時は、浩介とおれとこの3人でつるんでいたので、余計に高校時代に戻ったような感覚になる。「なー、卒アルすぐ出る?」一番最後にうちに着くなり、溝部がこめかみに人差し指をグリグリしながら言ってきた。「さっき、電車の中で、こいつ絶対知ってるーって奴がいて……同じ高校な気がすんだけど」「えー、誰だろう」「オレが降り際、向こうもオレに気がついて、微妙な感じに頭下げてきて……」話している間に、浩介が卒業アルバ...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係・追加のおまけ

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係28・完

    【享吾視点】翌日の夜、渋谷と桜井の住むマンションを二人で訪れた。噂通り、桜井がいそいそと料理を作っていて、なんやかやと渋谷の世話をしている。まさに、奥さん、という感じだ。新居の話や仕事の話、高校の思い出話にまで花を咲かせながら(主に話していたのは哲成と渋谷だけど)夕食を取り、ソファのあるローテーブルの席に移って飲み始めたら、速攻で渋谷が酔い潰れてしまって……「飲むとすぐ寝ちゃうんだよー」桜井が手慣れた風にタオルケットを渋谷にかけてやっている。奥さんというより、母親と子どもって感じもしてきた……。幸せそうに寝てる渋谷。ああ、聞きたい話、何もしていないのに……「な、桜井」同じことを思ったらしい哲成が、桜井にチョイチョイと手招きをして、言った。「お前らってさ、あれの時、どっちがどっちなの?」ものすごい直球な聞き方だな...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係28・完

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係27

    【享吾視点】二人で一緒にドアを開け、「ただいまー」「ただいま」誰もいない部屋に向かって声をかけた。そして、見つめ合い、微笑み合い、どちらからともなく軽く唇を合わせる。「おかえり」「おかえり」コツンとオデコを合わせる。ああ……これからは、ここがオレ達の帰る家になるんだ。初めての新居での夜。終電で帰ってきたので、相当に遅い時間になってはいたけれど、もったいなくてすぐ寝る気にはなれない。「風呂、一緒に入ろーぜ?」と、いう哲成の誘いに乗って、初めて風呂に一緒に入った。哲成のマンションはユニットバスだったので、一緒に入ることはなかったのだ。「体洗ってやるー」「じゃあ、オレも」なんてお互いの体の洗い合いを始めたら、当然、そのまま扱き合いに突入して……「あー!もー!」ほぼ同時に達した数秒後、哲成がいきなり怒りだした。「そんな...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係27

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係26

    【哲成視点】8月の強い日射しの中、引っ越し作業が無事に完了した。「結婚の予定でもあるの?」と、梨華に聞かれたのは、一人暮らしには贅沢な間取りと、ダブルベッドのせいだろう。「いや。広いのは友達たくさん呼ぶためで、ダブルベッドは、花梨と一緒に寝るためだよ」しれっと答えてやったら、梨華は呆れたように、「一緒に寝るなんてあと数年だよ?」と、言ったけれど、それ以上の追求はしてこなかったので助かった。まさか、享吾と一緒に住むためなんて言えるわけがない。権利書を見られたらバレてしまうけれど、このマンションは享吾と二分の一ずつの権利で購入したのだ。ローンもそれで審査を通した。でも、表向きは、オレ一人のものとしていて、マンションの管理組合の登録もオレだけの名前にしてある。享吾の住所は、歌子さんとの家のままで、うちには「泊まりにき...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係26

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係25

    【哲成視点】「恋人みたいになりたい」と、享吾に言った結果、本当に、一緒にマンションを買うことになった。まさか、そんなことになるなんて、いまだに信じられない……嬉しくて夢みたいで、何だか毎日ふわふわしている。でも……実は、元々投げかけたことについては、まだ、解決していない。マンションに引っ越すまでまだ数週間あるので、享吾がオレが今一人暮らししている部屋に泊まりにくるんだけど……(また、もう寝てる……)享吾は夜、何もせず寝てしまう。それはもう、速攻で。一応、一緒にテレビ見てるときとかはベタベタくっついたり、ちょっとキスしたりはするんだけど、それ以上のことは、ビックリするくらい何もしてこない。(したくないのかなあ……)ベッドの中、横に寝ている享吾のスッとした鼻をなぞりながら、ジッと寝顔を見つめる。(オレは、してほしい...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係25

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係24

    【亨吾視点】朝、ベーコンの焼ける良い匂いで目を覚ました。視線を少し上にやると、コンロの前に立っている哲成の姿が見える。ここは、哲成が一人暮らしをしている都内のマンション。1DKなので、キッチンもすぐ近くだ。(そういえば、大学のはじめの頃もこんな感じだったな……)大学入学と同時に一人暮らしを始めたアパートに、はじめの頃は、哲成はよく泊まりにきてくれていたのだ。朝はコーヒーだけでいい、というのに「それじゃ大きくなんねえぞ!」とか言って、朝食を用意してくれたりして……(それから、哲成が森元真奈と付き合うことになって、泊りがほとんどなくなって……、オレが結婚してからは、こうして家で会うこともなくなって……)オレ達はどれだけ遠回りしてきたんだろう。望んでいたことは、こういう些細な日常だったのに……(でもこれからは、その日...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係24

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係23

    【亨吾視点】「オレはさ、お前ともっと……あの、恋人、みたいになりたいんだよっ」そう必死な様子で言った哲成の顔は、これでもかというくらい真っ赤で……(か……かわいい)どうにもこうにも口元が緩んで困った。そんなこと思っていてくれたなんて、全然知らなかった。むしろ、友達のままでいたいのか?と思うくらい、素っ気ないことが多かったのに。その上、ずっと気になっていたけれど、聞けなかった真実を教えてもらえた。「真奈は関係ねえだろ。ただの友達なんだから。んなことお前だって知ってるだろ」大学の時に、森元真奈と付き合うのは、家族のことが理由だと聞いてはいた。でも、そのわりにはその後もずいぶん長い期間付き合っていたし、結婚を考えている、とも言っていたので、きっかけはどうあれ、正式に付き合っているんじゃないかと疑っていた。肯定されるの...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係23

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係21-2

    【哲成視点】「心置きなく、恋人気分を味わってちょうだいね?」そう、バーのママの陶子さんは言ってくれたけど……どうすれば、恋人気分になるんだろうなあ、と思って、コの字型の反対側のカウンター席にいる、渋谷と桜井の様子を盗み見てみた。(…………距離が近い)メニュー表を一緒にみているのだけれども、ほとんど頭と頭がくっついているように見える……。(人目があるところでは、あそこまでできないよな普通……)でも、渋谷達と、もう一組、カウンターにいる女性のカップルは、すごく距離が近い。なるほどあれが恋人の距離……ふーん、と思っていたら……「恋人気分って、なんだ?」「………」享吾の冷静な声にビクッとしてしまった。そういえば、享吾には目的を言わず、だまし討ちのような形でここまで連れてきてしまったんだった……「いや、あの……」「渋谷達...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係22-2

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係21-1

    【亨吾視点】高校の同級生、渋谷&桜井カップルが連れてきてくれたのは、新宿にある女性専用のバーだった。偶数月の最終土曜日だけ、男性も入れることになっているらしい。『陶子』と、蔦の葉の絵で描かれた看板がとても洒落ている。地下にあるため窓はないのに、圧迫感のない、明るい不思議な空間のバーだ。カウンターに数席と、立ち飲みテーブルと、ソファ席がある。(出会いの場っていう意味もあるから、こういう形なのかな……)なんてついつい、経営者目線で分析してしまう。と、「いらっしゃい」カウンターの中にいたクレオパトラみたいな美人に声をかけられた。おそらくこの店のママ。凛とした佇まいの女性。「陶子さん、こんばんは」「今日はありがとうございます」渋谷と桜井が次々と頭を下げると、『陶子さん』はフッと笑みを浮かべて、オレと哲成に「こちらどうぞ...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係22-1

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係21の前

    【慶視点】小学校、中学校、高校、の同級生である村上哲成から再び連絡があったのは、6月の下旬になってからだった。「また、相談があるんだけど……」というので、今回はうちに来てもらうことにした。料理上手の浩介が張り切って作った夕飯を食べて、これまた張り切って作ったつまみをつまみながら、飲みに移行して……「……奥さんって感じだな」食器の片付けのために、浩介が台所にこもったところで、テツがボソッと言った。「話には聞いてたけど、本当に、甲斐甲斐しい奥さんって感じ……」「なんだそりゃ」話?「誰が言ってんだよ」「皆川」「あー……」何度かうちに来たことがある高校の同級生だ。やたらと浩介の甲斐甲斐しさを羨ましがっている奴。テツはなぜか眉を寄せてジーッとオレをみるとボソボソと言葉を足した。「それでいて、会話とかは普通なんだな」「普通...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係22の前

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係20

    【享吾視点】哲成と「家族」になりたい。そのことに、今さら、ようやく気がついた。哲成は小学生の時に母親を亡くしている。父親は積極的に子供と関わる人ではなかったため、哲成は、余計に幼なじみの松浦暁生に依存していたのだろう。中学生の終わり頃、松浦の役目はオレにバトンタッチされた。それからはずっと一緒にいて、そんな日々がずっと続くと信じていた。でも、高校三年生の時に、父親が再婚したことで、哲成はその新しい「家族」に溶け込もうと必死になりはじめた。そのために、森元真奈という同じ歳の女と付き合ったりしたくらいだ。梨華ちゃんが小学一年生の時に、義母が家を出ていってしまい、哲成は職場を変えてまでして、梨華ちゃんと一緒にいることを選んだ。「そのうち結婚する」と言っていた森元真奈とのちに別れることになるのも、おそらくそのことが原因...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係21

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係19-3

    【哲成視点】「じゃ、テックンにあげる」「え?」梨華からカーネーションを差し出され、キョトンとしてしまう。オレは結局、清美さんに息子として受け入れてもらえなかった。彼女にとってオレは「再婚相手の息子」でしかない。そのことは、梨華も知っているはずだ。それなのに……(あ、もしかして、墓参りしろってことか?)亡くなった母のお墓は、母の実家の本家の敷地内にある。そちらとは父の再婚を期に疎遠になってしまったため、もう何年も墓参りすらしていない。……なんてこと、梨華は知らないもんな……等々、考えを巡らせていたら、「正直、あの人を母親って言われてもピンとこないんだよねー」梨華に肩をすくめながら言われて、「え?」と梨華を見返した。あの人?ピンとこない?「だってさ、小学生よりも前の記憶なんて全然ないもん」「…………」清美さんは、梨...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係20-2

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係19-2

    【享吾視点】母の日。5月2週目の日曜日。オレがオーナーをしているワインバーで、母の日イベントを行った。発案者は歌子だ。まあ、イベントと言っても、テーブルすべてにカーネーションを飾っていることと、入り口近くにカーネーション一輪の花束をたくさん用意して、お客様に「ご自由にどうぞ」と声かけをしているだけで、あとは変わらない。演奏する曲に少し年代上の曲をまぜたくらいだ。8時のステージを終えて控え室に戻って一息ついたところで、歌子が呼びにきた。オレの両親が到着したらしい。「カーネーション渡してね?」と、一輪押し付けられて、渋々テーブルに向かう……と、「…………え」その隣のテーブルに、哲成と哲成の18歳年下の妹の梨華ちゃんが座ろうとしているから驚いてしまった。「お久しぶりです」なんて、哲成とオレの両親が話してる。どうやら偶...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係20-1

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係19-1

    【享吾視点】「………あーわかったわかった。え?1時間?そりゃ厳しいなあ……」「………?」聞こえてきた哲成の声にぼんやりと目を覚ました。カーテン越しに射し込まれている光は朝日と思われる。今、何時だろう……(っていうか、オレ、あのまま寝たのか……)哲成が風呂に入っている間に不安感が強くなってしまったため、安定剤を服用したのだ。その影響か、一緒にベッドに横になった直後、唐突な睡魔に襲われ、途中から記憶がまったくない……(まあ、寝なかったとしても、何もできなかっただろうけど……)今まで20年近くも、「何もしてはいけない」と自分を律してきたのだ。それが体に染み付いているらしく、体が素直に反応してくれない……(あの不安感はそれが原因か?)せっかく、哲成がしてもいいと言っているのに。長年溜まりに溜まった欲望を果たせたはずだっ...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係19

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係18

    【哲成視点】好きだよ。愛してるよ。そう言い合って、軽いキスを繰り返して……今日はこれ以上のことはしない、と言いながらも、このままでは進みそうだな……と思った矢先、(…………ピアノ)階下からピアノの音が聴こえてきて、唇を離した。「…………」「…………」見つめ合い……なんとなく気まずくなって目をそらす。(やっぱり、下に奥さんいるのに、こういうのはな……)ふっと息を吐いてから、少し間隔を空けて座った。ピアノの音は引き続き聴こえてくるけれど……正直、下手くそだ。「………。これ、歌子さんじゃないよな?こんな下手なわけないもんな」普通に話しかけると、享吾は少し安心したようにうなずいた。「ああ……たぶん、大人の生徒さん」歌子さんは、大人の生徒のために、土日祝もレッスンを受け入れているらしい。そういえば、発表会にも大人が何人か...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係18

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係17

    【享吾視点】地べたに座ってるのも疲れるよな、と言って、哲成がベッドに座るのを手伝ってくれた。そのまま、ゆっくりと足を擦ってくれる。温もりが伝わってきて、足に血が巡ってくるのが分かる。思い出話をたくさんしたい、と言ったのに、哲成はずっと無言だった。ザーザーと布を摩る音だけが部屋に響き渡る……と、「………お前さ」哲成がようやく口を開いた。「トイレとかどうしてんだ?」「トイレ?」いきなり、なんの話だ?「この足じゃ、トイレ行けないじゃん」「ああ……」「毎回、歌子さんに来てもらってる、とか?」なぜかムッとしている哲成。何だろう……「いや……左足は多少踏ん張れるから、壁伝いでなんとか」「ふーん……。風呂は?手伝ってもらってるのか?」「まさか。時間かかるけど一人で……って、あ」まさか、と思ってちょっと身を離す。やばい。まずい...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係17

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係16

    【哲成視点】2019年4月30日。平成最後の日。初めて、享吾と歌子さんの家を訪れた。妹の梨華に聞いた住所を頼りに行ってみたところ、本当に実家から徒歩20分ほどのところにあって驚いた。最寄り駅が違うので今まで会うことがなかったらしい。小学校が近くにある住宅街の一角で、駅から5分のところにあるのに、大通りからは奥に入っているため静かでとても環境が良い。(なんか……しゃれてるな)緑に囲まれた玄関口。英語で書かれたピアノ教室の看板。こんな洒落たところに二人で住んでるんだ。二人で相談してこの家を建てたんだ。……なんてことを思うと、胸のあたりがモヤモヤしてくる。(だから今まで来なかったんだよな……)18年半も享吾と歌子さんのことから目を背けてきた。18年半、オレは何をしてきたんだろう……(子育て………かな)そんなことを思っ...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係16

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係15-2

    【哲成視点】渋谷慶と会うのは、20年以上ぶりになる。でも、待ち合わせに現れた渋谷は、若干歳を取ったものの相変わらずの超美形で、当時と同じくキラキラしたオーラを振りまいているので、間違えようもなかった。「おーテツ!久しぶり!」明るい声も変わらない。相変わらず人懐こい感じだ。「テツ、全然変わんねーな」ニコニコと言われたけれど……そんなことはない。オレは変わった。変わってしまった、と思う。「久しぶりだなー何年ぶりだー?」「んー……大学の時に高校の文化祭でバッタリ会って以来だから、20……何年だろうな」「うわーそうかー懐かしいな!」「…………うん」やたら嬉しそうにしてくれるから、何だか申し訳なくなってきた。オレは懐かしくて会いたかったわけではない。渋谷と桜井の話を聞きたかっただけなのだ。そんな後ろめたい気持ちを隠しなが...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係15-2

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係15-1

    【哲成視点】3月中旬。歌子さんに言われた。『そんなつもりないのに期待もたせるようなことするのはやめて?』『私、これ以上、享吾君が傷つくの、見たくないのよ』『だから……それができないなら、会わないで?』享吾の奥さんである歌子さんには『会わないで』という権利はある。でも、そんなこと、言われたくなかった。ふざけんな、と思った。でも……帰宅の道中で一人になり、冷静に考えて……ことの重大さに気が付いて血の気が引いてしまった。亨吾の病気はせっかく良くなっていたのに、オレに会ったことでまた復活した、ということだ。それが享吾にとって良い事のわけがない。だから、連絡は取るけれど会わない、という距離の取り方をすることにした。会ったらきっと、また触れたりして『期待させて』しまう。だからこのまま会わずにやんわりと離れていこうと思ったの...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係15-1

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係14の前

    【浩介視点】2019年4月20日土曜日急遽、慶が村上哲成という高校の同級生と会うことになった。昨日の夜、同じく同級生の山崎から連絡が入ったのだ。村上哲成が会いたがっている、と。慶と村上哲成は、小学校・中学校も同じだったらしい。みんなに「テツ」って呼ばれてた、小柄で眼鏡の男子生徒、という風に記憶している。バスケ部だった村上享吾と仲が良かったから、バスケ部関係で見かけたことは何度もあるけれど、おれは話したことはほどんどない。山崎は高3の時に同じクラスだったらしく、その同窓会で会ったときに、連絡先を交換したらしい。(急に会いたいって……何かの勧誘だったりしないよね?)と、思ったけれど、口に出すのは失礼だから飲みこんだ。慶は単純に、懐かしい友達に会えることを楽しみにしている。「何かあったら連絡して?」「何かって何だよ」...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係15の裏話

  • BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係14

    【享吾視点】扉の向こうに立っている哲成を見て、ふいに、中学三年生の時のシーンが頭の中によみがえった。誰もいない家の中。入院した母のことを思って暗く沈んでいた自分。突然鳴ったインターフォン。そして……『よ!高校見学、行こうぜ?』ドアの向こう、にこにこしながら立っていた哲成。あれは平成2年のはじまりのことだった。その平成も今日で終わる。でも、眼鏡の奥の哲成の瞳は、あの時と少しも変わらない。クルクルした愛しい瞳……「キョウ、具合大丈夫か?」「あ……うん」後ろ手に扉を閉め、眉を寄せたままこちらにきた哲成に、肯いてみせてから、ゆっくりと上半身を起こした。(足……まだ無理だな)足の感覚はまだ戻っていない。無理に体勢を変えて動かないことに気が付かれたくないので、腰に負担はかかるけれど、布団の中で伸ばしたままにする。哲成は、立...BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係14

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