月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった60 BL小説 三号に描かれたのはひまわりで、この店では初めて風景画以外の絵となるが、他の風景画と空気感が同じである。 「いいなあ、これベネチアの匂いがする」 「さすが、響さん、感覚的! これどの絵と取り替えたらいいと思います? これ以上飾ると窮屈そうだし」
月夜の猫-BL小説です #post_titleBL小説 「ああ、どうだった? 撮影は」 「はい、順調に終わりました。小木さんて、作家さんなのに声がよくて、気さくな人で、よくわかるように説明してくれて、俺も伊万里焼きのレクチャーなら任せとけって感じです」 良太は案外穏やかな工藤の声にほっとしたらしく、幾分声を弾ませた。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった59 BL小説 「あたしも聴きたい! 本物のピアノ!」 紀子が言った。 「アップライトなら、入らないか?」 「え、ここにか?」 井原の発言に元気は考え込んだ。 「お前無茶なこと言うなよ」 響は呆れたが、元気はうーんと唸ってから、「何とかなるかも」と言う。 「
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった58 BL小説 かぐわしい香りのコーヒーが鼻孔をくすぐると響は全身がほっとするような気がした。 「一日の仕事上がりに元気のコーヒーって、ほっとするよなあ」 隣で井原が響が考えたようなことを口にした。 「そういえば元気、相談って何?」 一口温かいコーヒーを飲ん
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった57 BL小説 エチュードの一番から三番を弾いたあと、響はスケルツォの三番を弾き始める。 細かな音が目に見えぬドレープを作り広がってゆく。 古いピアノは時折響の耳にかすかな歪みを感じさせるが、それもまた音の羅列に表情を与えていく。 最後の音を弾いてからふ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった56 BL小説 確かに青山は技巧的には巧い。 だが、曲の理解度でいえば、この曲に関わっている時間が長いだけ寛斗の方が高いだろう。 それに。 瀬戸川は寛斗と一緒にコンクールに出たいに違いないのだ。 「技巧を取るか、曲の理解度を取るかでいえば、多少下手でも
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった55 BL小説 そして忘れていたシーンの中に井原がいた。 喜怒哀楽がはっきりしていると生徒が言っていたが、すぐに思い浮かぶのは笑っている井原で、怒ったり泣いたりと言ったシーンも思い出されて、そういえば忙しいやつだったと響は苦笑する。 そんな昔の思い出に浸
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった54 BL小説 遅かれ早かれ、そうなることはわかっていたさ。 黒板消しを置くと、響は手をぱんぱんと払い、準備室に入った。 考えごとをしていたので、あっという間にガツガツと弁当を平らげた響は弁当のからをビニール袋に突っ込みゴミ箱に放ると、音楽室を出た。 そ
月夜の猫-BL小説です 夢見月32 BL小説 せっかく珍しくこのあとの予定がないのにな。 工藤がそんなことを考えていると、電話が鳴った。 結局、鈴木さんが帰っていくまで、何件かの電話で時間が潰された。 秋山とアスカは、その間に工藤と夕食を一緒にする約束をして、次の打ち合わせにテレビ局へと向かった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった53 BL小説 「キョー先生は井原先生よりなんか年齢超えてるって感じ」 「ええ?」 瀬戸川の言葉に響は首を傾げる。 「だって、制服着てそこにいてもおかしくないっていうか」 「何、俺ってオッサンになってもガキっぽいってこと?」 くすくす笑いながら瀬戸川は、「顔
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった52 BL小説 いつもの井原だ。 土曜日、急にクラウスが現れて、しかも井原といる時に、響は内心焦り、イラついた。 井原は響の説明を額面通り受け取ったわけではないような気がした。 何か言いたげな顔をしていたが、今日のあのようすではさほど気にもしていないのだ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった51 BL小説 「すみません、後ろの人、静かにしてください」 響が説明をいったん切ったところで、最前列に座っていた青山という女生徒がきりりとした声で後ろでふざけ合っている男子生徒を注意した。 一瞬シーンと静まり返ったあと、響は何ごともなかったかのように黒板に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった50 BL小説 元気は鮎をつつきながら、「パーティは俺の店でやるんだが」と付け加えた。 「元気の店でか? またライブやる?」 井原は俄然目を輝かせた。 「お前は! まあ、やる予定だけどまだ詳細は未定だ。今度みんなで話すことになってる」 「わかった、俺も混ぜろ
月夜の猫-BL小説です 夢見月31 BL小説 「真岡が?」 工藤は聞き返した。 「前回の誓約を破らはったいうことですわな」 厳しい顔をしている工藤に、千雪は軽い口調で言った。 「偽のスクープで、沢村とアスカさんのことすっかり信じ込まはったんやな、沢村の父親も真岡弁護士も」 「だからあんなバカげたマネをした
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった49 BL小説 「響さんは何か隠してる」 井原はまた唐突に口にする。 「響さんがどうかしたんですか?」 「おい、お前、響さん、響さんて気安そうに! どういう了見だ?」 何気なく聞いた豪に、井原が突っかかる。 「いや別にどういう了見も何も………」 わけが分か
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった48 BL小説 「なあ、あの人、向こうで付き合ってたとかそういう話、聞いてるか?」 井原は必死な顔で元気に聞いた。 「響さんがそんなこと俺に話すと思うか?」 「だよな……」 元気の冷ややかな口調に井原はまた一つ溜息をついた。 「響さんを訪ねてきた金髪碧眼の色
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった47 BL小説 クラウスが井原にきつい視線を送っていたことで、おそらく響に別れを告げられた男が、井原を見て新しい恋人かと聞いたのだろう構図が井原の頭にくっきり浮かんだ。 Liebhaber、は何となく聞き取れた。 それが恋人という意味だろうことくらいは知っ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった46 BL小説 しかも家までつきとめるとか、いったいどうやって……。 響はクラウスのことなど井原には知られたくなかったのだが、車を家の前に置いているから帰れとも言えない。 家に近づくと、門の中から長身の男が出てきて、響を認めると、「ヒビキ!」と呼んだ。 「何
月夜の猫-BL小説です 夢見月30 BL小説 「加藤が仕掛けといた網にかかりよったらしうて」 千雪が声を落として言った。 「勢い込んでさっき連絡してきよったんですけど、何や、制作プロダクションに所属しとったらしいねんけどそれやめて、闇バイトみたいな形で、ダークウェブでフェイク動画作りまっせいうて、ぼろ儲けし
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった45 BL小説 祖父がまだ車を運転していた時、車二台分のガレージを作ったので、今は父親のセダンの横に響のヴィッツが入っているが、ちょうど一台分くらいの駐車スペースは玄関の前にあり、ピアノのレッスンに来る生徒の親が停めている。 二人はのんびり歩いて元気の店に向
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった44 BL小説 「いやあ、もう何年振りかだから、どこへでも」 そう言った井原は、車に乗り込むと北アルプスへと続く道を上っていく。 「おい、この車、スタッドレス履いてるのか?」 「そりゃもちろん。まだまだ上の方は雪があったりしますからね」 さらに上がると、断崖
月夜の猫-BL小説です 夢見月29 BL小説 アスカには幾分気を使ったようだが、工藤は既に自分のデスクで、電話の向こうの誰かに怒鳴りつけていた。 あーあ、誰だか知らないが気の毒に。 間が悪かったな。 しかし実際、工藤の機嫌だけでなく、このオフィスも良太がいないとなると火が消えたようになるだろうな。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった43 BL小説 それから不動産屋に戻ると、井原はたったか契約金を支払った。 「さてと、ランチ行きましょう! お礼に奢ります!」 大家に簡易ガレージ設置のことを確認してもらい、OKが出たところで、井原の提案に響も、「そういえば、腹減った」と頷いた。 「やっぱ土
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった42 BL小説 「いい車って言うなら、元気のランドクルーザーじゃないすか」 井原は不動産屋への道を軽くハンドルを切りながら車を走らせる。 「ああ、でかいよな。でも器材積むし、あの黒、元気に似合ってる感じ」 「まあ、そうっすね」 ちょっと拗ねたような口調の井原
月夜の猫-BL小説です 夢見月28 BL小説 「知り合いの雑誌編集者のまた知り合いの女の子が務めてるスナックに坂本がたまに来てて、明日からシンガポールだから今夜は飲むぞとかって騒いでたらしい。えらく羽振りがよかったから覚えてたって」 「それ、夕べの話ですか?」 「残念ながら一昨日の話」 「ってことはもう、坂本
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった41 BL小説 「からかわないでくださいよ、それより十時くらいで大丈夫? 土曜日」 井原は真剣な目を向けてくる。 「ああ、いいよ」 「じゃあ、十時に迎えに行きますから、よろしく」 響の返事をもらい、慌てて美術室を出たと思うと、また井原は戻ってきた。 「あのさ
月夜の猫-BL小説です 夢見月27 BL小説 「ほんとに助かった。ご自宅の方はクリーニング業者を入れて、きれいにしてもらったから、くれぐれも万里子さんにお礼を言っておいてくれよ」 アスカがマスコミの手から逃れるために、自宅を提供してくれた万里子や井上には良太も感謝しかなかった。 お陰で、一番マスコミがうる
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった40 BL小説 それが功を奏したか、生徒たちには割と早く顔を覚えてもらえたと、一年生クラスの二回目の授業を終えた昼休み、響は美術室を訪ねた。 「ああ、音楽っていいですよね~、そういう手段っていうか、もちろん、響先生の手腕があってこそだけど。俺なんか、キュビズム
月夜の猫-BL小説です 夢見月26 BL小説 江藤とアスカの人気俳優同士の不倫騒動は、不倫動画の日時にアスカにはしっかりしたアリバイがあったことで、俄然動画がフェイクであることが取り沙汰されて間もなく、週刊文化芸能編集部編集長並びに文化芸能社社長が緊急記者会見を開き、編集部の担当記者がネタ元をきちんと調べ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった39 BL小説 「彼女ができないって叫ぶ前に、ちっとは引き締めろよ。身も心も。紀ちゃんを見返してやれって気になんないのかよ」 元気にきっちり言われた東は、「わかった! 明日から俺はポテチを断つ!」と一人喚く。 「明日と言わず、今日からにすれば? 響さんは、
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった38 BL小説 「何か、ドイツ語っぽい言葉で怒ってなかった?」 席に戻った響に心配顔の井原が尋ねた。 「嫌なやつから。何でこの番号わかったのか。うちに電話して聞いたのかも。クソ!」 腹立ちまぎれに響は言い放つ。 「嫌なヤツって、大丈夫? 何ならボコってやるけど
月夜の猫-BL小説です 夢見月25 BL小説 「江藤が前に関係したらしいってモデル、昔江藤が共演したっていう番組から見当つけて、同じ事務所のモデルに近づいて聞き出したら、まあ簡単に詳細まで話してくれたぜ」 一見優し気なイケメンの山倉はやたら女子に受けがいい。 「今話題の不倫動画も、あれ、絶対リーナだよね、
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった37 BL小説 「俺は好きな子からしかもらわないって決めてるから悪いって断った」 井原が断言すると、東が、「くっそ、俺もそんな科白はいてみたいよ」と自棄っぱちに言い放つ。 「響さんも実は女の子に色々もらってたでしょ?」 元気が響に振ってきた。 「俺はないよ。と
月夜の猫-BL小説です 夢見月24 BL小説 「内輪だけだったから、親しい方ばっかだったな。原さんご夫婦とか、九条さんとか、五所乃尾さんとか、あ、今の家元のパパね。あとは理香さんや速水さん、親戚の綾小路さんとか、そんなところ?」 アスカの言うそんなところ、はやはり著名人やセレブばかりである。 だからと言
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった36 BL小説 以前祖父がヨーロッパ旅行のついでに響を訪ねて来てくれた時に、響はたまたまクラウスがいたので紹介したが、二人になった時、クラウスと付き合っていることを祖父には告げた。 祖父は案の定、それをきちんと受け入れてくれた。 しかし、父親にも話してくれ
月夜の猫-BL小説です 夢見月23 BL小説 「一月二十五日の、二十二時前だな。わかった。スケジュールを調べてみる」 早速良太から秋山にも連絡が入った。 手帳やタブレットをチェックした秋山だが、その日はアスカの数少ないオフの日だった。 「アスカさん、一月二十五日のこと、覚えてるか?」 テレビの前に陣取っ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった35 BL小説 「俺も勝手に誰か振り込んでくれねーかな! そしたら部屋借りて、自信もって女の子ゲットに全力を尽くす!」 東が拳を上げて宣言した。 「お前のアーティスト魂はちっせえんじゃないの?」 元気はスタッフを呼んで、生ビールを追加した。 「俺、じゃあ、久
月夜の猫-BL小説です 夢見月22 BL小説 「千雪さん風に言えば、こっちはフェイクだってわかってるわけですからね。それに、江藤さんって、ひとみさんに言わせると叩けば埃がでるらしいですし、あの動画も元は江藤さんとアスカさんじゃない誰かと一緒のものだったのかもしれない」 良太は江藤についてももう少し突っ込んで
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった34 BL小説 「ということで、とにかく、響さんの都合に合わせますから」 にこにこしているからそうは見えないかもだが、結構井原が押しが強いのは変わらないようだ。 「まあ、俺は土曜日か祝日しか空いてないぞ」 不承不承な顔で響は言った。 「大丈夫です!」 井原は
月夜の猫-BL小説です 夢見月21 BL小説 「でもさ、事実かどうかじゃなくて、疑惑ってだけでもう決まっちゃうようなもんじゃない」 アスカの言うことに秋山もはっきり否定ができなかった。 しかも江藤とアスカが親し気に歩いている動画などが出回ったからには、誰しもクロ確定とするだろうと思われた。 「事実じゃな
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった33 BL小説 「でも響さん、あんまし変わんないですね。高校の時も女子どもが超クールビューティとか騒いでた。超超クールって」 井原の盛大な響賛美に、「今も女子どもが言ってる」と、響の前に座る東がちょっと上目遣いに響を見て笑う。 「俺? 何それ」 響はまともに聞
月夜の猫-BL小説です 夢見月20 BL小説 そんな江藤と、ドラマや映画で主演を張る、美人だが悪を許さない的なはっきりしたキャラが人気のアスカとのスキャンダルだからこそ、マスコミが騒いでいるのだ。 だが、優柔不断なヤツ、とひとみは江藤を一刀両断、どちらかというと嫌っていた。 「あいつ、コソコソ共演者つま
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった32 BL小説 放課後、井原は毎日のように音楽室に顔を出すのだが、なんのかのと言いつつも、いつの間にか井原が来るのを待っている自分がいる。 今頃井原は何年生を教えているんだろうなどと、響は授業中もふと考えてしまうこともある。 ただ、このままそんな付き合いが
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった63 BL小説 何も聞かずに俺の手を握っていた井原の手はすごく温かくて。 ポトリとひとしずく、下を向いていた響の目から床に落ちた。 ほんとはすごく好きだった。 だから俺なんかといちゃいけないやつなんだって。 またひとしずく、落ちた。 もう何年も胸の奥に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった62 BL小説 だが所詮モラトリアムの中での思いの延長だ、お前の好きは自分と同じ好きではないかも知れない、響が口にしなかったのは、井原のためだと……。 いずれは井原も誰か愛する人に巡り合って、秀喜のように結婚するのだろうと。 十年越しの初恋なんかもう忘却の彼
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった60 BL小説 三号に描かれたのはひまわりで、この店では初めて風景画以外の絵となるが、他の風景画と空気感が同じである。 「いいなあ、これベネチアの匂いがする」 「さすが、響さん、感覚的! これどの絵と取り替えたらいいと思います? これ以上飾ると窮屈そうだし」
月夜の猫-BL小説です #post_titleBL小説 「ああ、どうだった? 撮影は」 「はい、順調に終わりました。小木さんて、作家さんなのに声がよくて、気さくな人で、よくわかるように説明してくれて、俺も伊万里焼きのレクチャーなら任せとけって感じです」 良太は案外穏やかな工藤の声にほっとしたらしく、幾分声を弾ませた。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった59 BL小説 「あたしも聴きたい! 本物のピアノ!」 紀子が言った。 「アップライトなら、入らないか?」 「え、ここにか?」 井原の発言に元気は考え込んだ。 「お前無茶なこと言うなよ」 響は呆れたが、元気はうーんと唸ってから、「何とかなるかも」と言う。 「
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった58 BL小説 かぐわしい香りのコーヒーが鼻孔をくすぐると響は全身がほっとするような気がした。 「一日の仕事上がりに元気のコーヒーって、ほっとするよなあ」 隣で井原が響が考えたようなことを口にした。 「そういえば元気、相談って何?」 一口温かいコーヒーを飲ん
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった57 BL小説 エチュードの一番から三番を弾いたあと、響はスケルツォの三番を弾き始める。 細かな音が目に見えぬドレープを作り広がってゆく。 古いピアノは時折響の耳にかすかな歪みを感じさせるが、それもまた音の羅列に表情を与えていく。 最後の音を弾いてからふ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった56 BL小説 確かに青山は技巧的には巧い。 だが、曲の理解度でいえば、この曲に関わっている時間が長いだけ寛斗の方が高いだろう。 それに。 瀬戸川は寛斗と一緒にコンクールに出たいに違いないのだ。 「技巧を取るか、曲の理解度を取るかでいえば、多少下手でも
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった55 BL小説 そして忘れていたシーンの中に井原がいた。 喜怒哀楽がはっきりしていると生徒が言っていたが、すぐに思い浮かぶのは笑っている井原で、怒ったり泣いたりと言ったシーンも思い出されて、そういえば忙しいやつだったと響は苦笑する。 そんな昔の思い出に浸
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった54 BL小説 遅かれ早かれ、そうなることはわかっていたさ。 黒板消しを置くと、響は手をぱんぱんと払い、準備室に入った。 考えごとをしていたので、あっという間にガツガツと弁当を平らげた響は弁当のからをビニール袋に突っ込みゴミ箱に放ると、音楽室を出た。 そ
月夜の猫-BL小説です 夢見月32 BL小説 せっかく珍しくこのあとの予定がないのにな。 工藤がそんなことを考えていると、電話が鳴った。 結局、鈴木さんが帰っていくまで、何件かの電話で時間が潰された。 秋山とアスカは、その間に工藤と夕食を一緒にする約束をして、次の打ち合わせにテレビ局へと向かった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった53 BL小説 「キョー先生は井原先生よりなんか年齢超えてるって感じ」 「ええ?」 瀬戸川の言葉に響は首を傾げる。 「だって、制服着てそこにいてもおかしくないっていうか」 「何、俺ってオッサンになってもガキっぽいってこと?」 くすくす笑いながら瀬戸川は、「顔
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった52 BL小説 いつもの井原だ。 土曜日、急にクラウスが現れて、しかも井原といる時に、響は内心焦り、イラついた。 井原は響の説明を額面通り受け取ったわけではないような気がした。 何か言いたげな顔をしていたが、今日のあのようすではさほど気にもしていないのだ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった51 BL小説 「すみません、後ろの人、静かにしてください」 響が説明をいったん切ったところで、最前列に座っていた青山という女生徒がきりりとした声で後ろでふざけ合っている男子生徒を注意した。 一瞬シーンと静まり返ったあと、響は何ごともなかったかのように黒板に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった50 BL小説 元気は鮎をつつきながら、「パーティは俺の店でやるんだが」と付け加えた。 「元気の店でか? またライブやる?」 井原は俄然目を輝かせた。 「お前は! まあ、やる予定だけどまだ詳細は未定だ。今度みんなで話すことになってる」 「わかった、俺も混ぜろ
月夜の猫-BL小説です 夢見月31 BL小説 「真岡が?」 工藤は聞き返した。 「前回の誓約を破らはったいうことですわな」 厳しい顔をしている工藤に、千雪は軽い口調で言った。 「偽のスクープで、沢村とアスカさんのことすっかり信じ込まはったんやな、沢村の父親も真岡弁護士も」 「だからあんなバカげたマネをした
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった49 BL小説 「響さんは何か隠してる」 井原はまた唐突に口にする。 「響さんがどうかしたんですか?」 「おい、お前、響さん、響さんて気安そうに! どういう了見だ?」 何気なく聞いた豪に、井原が突っかかる。 「いや別にどういう了見も何も………」 わけが分か
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった48 BL小説 「なあ、あの人、向こうで付き合ってたとかそういう話、聞いてるか?」 井原は必死な顔で元気に聞いた。 「響さんがそんなこと俺に話すと思うか?」 「だよな……」 元気の冷ややかな口調に井原はまた一つ溜息をついた。 「響さんを訪ねてきた金髪碧眼の色
月夜の猫-BL小説です ぶなの森4 BL小説 「良太ちゃん、お弁当食べよ」 菜摘が弁当を手に良太に声をかけた。 「あ、はい。ちょっと待ってください」 良太が手配したロケ弁をスタッフが配ってくれて、みんな各々アウトドア用のストーブの周りに陣取っている。 夏とはいえ、東京の暑さとはうって変わってここは別世界のよう
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に145 BL小説 「え、でもオフとかに帰ってくるんでしょ?」 浩輔が思い切り端折って佐々木に聞いた。 「俺にはオフとか、ないで?」 すかさず佐々木がシャープに返答する。 「あ、いや、そのう、盆暮れ正月?」 暗に沢村のオフの時には一緒に帰るのだろうという質問を、浩輔は言い直した
月夜の猫-BL小説です ぶなの森3 BL小説 小林千雪といえば、時折警察にも知恵を貸して解決した事件も多々あるミステリー作家として巷では知られているが、助教としてT大法学部に在籍している。 その彼を一躍有名にしたのが、分厚い黒渕メガネとぼさぼさの髪、超ダサダサのファッションセンスで、学内の女子学生の間では、ダサ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に144 BL小説 良太の周りで、何か大きな波がやってきて全てを流してしまうような、そんな思いが徐々に大きくなっていくような気がしていた。 そして良太自身もまたその波にのまれようとしている。 その波は工藤やこの青山プロダクションにとっても何かしら変化をもたらすのだろうと思われ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森2 BL小説 良太も業界内では彼女の不倫の噂は耳にしていたが、今のところ噂どまりなのは、相手の父親である代議士からの圧力と局側による彼女の所属する大手事務所Aプロへの忖度もあり、マスコミやスポンサー側へはもらさぬよう関係者に厳重に緘口令がしかれている所以だった。 昨今、不倫には
月夜の猫-BL小説です ぶなの森1 BL小説 青森県と秋田県にまたがって数千年前から存在しているぶなの原生林は、世界最大級といわれている。 世界遺産に登録されたこの白神山地には、貴重な動植物が生息しており、手つかずの自然が広がっており、真夏というのにひんやりとした空気は動きを止めていた。 数日前からこの地で
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月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ85 BL小説 千雪が良太を見つけてから結構もたついたので、二十分ほど経ったろうか。 工藤はドアをガンガンノックした。 その間に秋山と井上も駆け付けた。 「良太!!」 工藤が叫んだ。 「……工藤……さん!」 良太の声が中から聞こえ、やがてドアが開くなり、みんなが中へとなだ