月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった62 BL小説 だが所詮モラトリアムの中での思いの延長だ、お前の好きは自分と同じ好きではないかも知れない、響が口にしなかったのは、井原のためだと……。 いずれは井原も誰か愛する人に巡り合って、秀喜のように結婚するのだろうと。 十年越しの初恋なんかもう忘却の彼
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
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月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ11 BL小説 昨年末、大和屋のイベントプロジェクトの件で出演依頼をしたものの、所属事務所には断られたため、まだ古谷に直接合ったことはなかったのだが、MLBで活躍したレジェンド野茂同様、古谷は良太にとってはやはりヒーローなのだ。 「お前、何寝ぼけたこと言ってんだよ
back next top Novels 「なに?」 志央は何の気なく聞き返した。 「賭けはもうやめに
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ10 BL小説 仕方なく良太は、あれは仕事の合間でスタッフも周りに何人もいたのだと、何度も言い訳メールをするはめになった。 「ただでさえ、マスコミ押し寄せてるんだ、気をつけろよ」 「冗談じゃない! ってか工藤、社長、どこ行ったんだよ」 他にもその手の電話やらメー
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください22 BL小説 「なーんか、ちっぽけだよな、俺なんて。お前が羨ましいよ。外から見たらちっぽけなもんだろ、日本なんて」 「そうじゃないでしょ、志央さん」 「え…?」 志央は小首を傾げて七海を見上げる。 「おじいさん、ひとりにしたくないんでしょ、ほんとは」 優しい目が志央
back next top Novels 銀座の中央通り沿いには海外ブランドの直営店が立ち並んでいるが
back next top Novels 「ほんとにラーメンでいいのか?」 「いいです。しっかりつかまっ
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ8 BL小説 特に自然や地球温暖化などに関しては下柳のように熱弁を振るうことはないにせよ、機会さえあればそれこそ今ある仕事も良太や秋山に丸投げしてそっちに飛びつきたいのだろう。 だがいかんせん、一国一城の主ともなれば、どうしても放り出すわけに行かないものもある。
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください20 BL小説 「な、なんだ」 心の中まで見透かされた気がして、志央は顔を赤らめる。 「堺が決算報告と予算案の作成をいつまでにやればいいか、とさ」 「そ、うだな、創立祭あけくらいには欲しいが、堺も次期生徒会長に立つことになってるし忙しいよな。遅くても総会の五日前くらいに
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ7 BL小説 そんな様子を見やった良太は、どうせ工藤のことだから、斎藤に良太を引き合わせたというのは、いずれまた自分の代わりに良太を人身御供に差し出そうという魂胆があるに違いないと睨んでいる。 危ない、危ない、自分から火の中に飛び込んじまうとこだった。 この
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください19 BL小説 週明け、それでも弁当を手に志央の現れた七海は、叱られて尻尾を垂れた犬のようにシュンと肩を落とし、恐る恐る志央を窺い見た。 「嫌いになりました? 俺のこと」 バカ正直もほどほどにしろ、教室の前で何てことを言うんだと、土曜の晩のことが頭を掠めて一瞬にして
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ6 BL小説 しかしまさか、撮られているのが良太とは思わなかった工藤は、それを見て苦笑せざるを得なかった。 「かなりの腕だ。そんじょそこいらのカメラマンのやり口じゃないな。名前も…ない」 アスカがわざわざ見開きで置いていったに違いないと怒りつつも、良太はわたわた
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください18 BL小説 キスなんて遊びでいくらでもしたことがあるのに、こいつのキスって何かいいかも……、なんて思ったのもつかの間、七海の手が志央のシャツの中に滑り込む。 「はっ…やめろ…!」 一気に目が醒める。 「やめろってるだろっ!」 声を上げた志央に、七海も一旦手を止め
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ5 BL小説 「あのっ」 そんな二人に割り込むように声をかけたのは、アスカをしてしたたかと言わせた市川だ。 「あ、悪い、市川さん、ほっといて。沢村、調子悪いとてんで不機嫌でさ」 「すごい、ほんとにお二人、仲いいんですね。始めまして。NTVの市川と申します」 さ
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください17 BL小説 ポットの中のブーケガルニは、ミントやカモミールなど美央が育てていたハーブで志央が美央を真似て作ったものだ。 「このミントって、サラダにしてもうまいんですよねー」 しばらく黙ってお茶をすすっていたと思った七海がほのぼのと口にするので、志央は噴き出した。
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ4 BL小説 みんな、何かしら人より厄介な人生を抱えて生きてきたせいなのか、この会社の面々に今までもどれだけか助けられたか知れない。 いや、抱えてなくてもか。 ふと、ドラマの撮影前にわざわざアスカがオフィスに立ち寄ったのは、別に良太をからかおうというわけでもな
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください16 BL小説 「わっ、すんません」 志央がわざと七海の手を取って、「お前の手、暖か~い」なんて言うと、七海は慌てて手を引っ込める。 意識してるしてる、いい反応じゃん。 まるきり女の子くどいてるみたいだ。 今時こんなウブそうな女の子いないぞと、心のうちで志央はニヤ
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ3 BL小説 KBCで六月放映予定のドラマ『花の終わり』のロケに二月の終わりからかかりきりで、北海道や東北方面にしげしげと足を運んでいるのだが、未だに何かにつけて悶着を起こす監督と脚本家の間で四苦八苦だ。 何しろ、スポンサー側が山之辺芽久というモデルあがりの女優
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください15 BL小説 一方、屋上の件は幸也たちにも話したが、その問題もまだ解決していない。 そっちを調べるのは大山と西本に任せておくとしても。 七海ともしばらく昼休みデート、できないかもな。 ここのところ一日一回はあのぬーぼーとした七海の笑顔を見ないと何だか落ち着かな
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ2 BL小説 確かに市川と仲はいい。 だがそれはあくまでも互いに仕事上でのことだ。 「第一、このいかにもどっか怪しいとこみたいに撮りやがって、これ、NTVの玄関横なんだぞ! パワスポのみんなとメシ食って、俺がたまたま彼女を乗っけてっただけで! 周りにみんないるし
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください14 BL小説 「楽しそうだな、志央」 幸也に皮肉られて志央は慌てて顔を引き締めた。 この頃ついつい顔が緩みがちになる。 七海とつきあいだしてからだ。 つきあうといっても昼飯を一緒に食べるだけのことだが。 七海のやつ、明日は何をつくってくれるんだろう、なんて思え
月夜の猫-BL小説です 春のエピソード、追加しました BL小説 桜の便りもちらほらきかれ 長い冬にもようやく春の兆しがみえてきた感があります。 Primavera2025 に、「月の光が静かにそそぐ(工藤×良太32)」追加しました。 「逢いたい」の後エピソードです。 アレクセイとロジァ も、まだ変更
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ1 BL小説 乃木にある青山プロダクションの静かなオフィスに無粋な喚き声が響き渡ったのは、桃の節句も過ぎて、時折強烈な春の嵐に見舞われながらも暖かな日差しが混じるようになった三月も始めのことである。 「ちょっとぉ、うるさいわよ、良太。大きな声出さないでくれる? た
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ BL小説 「逢いたい」のあとになります。相変わらずドラマ撮影では面倒な面々に振り回されている良太だが、ある日写真週刊誌に良太と局アナの写真が意味ありげに掲載されて慌てふためく。案の定沢村に揶揄されたり、妹や友人からどういうことだと電話やメールが相次ぎ……。
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください13 BL小説 あいつら…! 志央の横をすり抜けて逃げたのは、確かに以前掴まえたタチの悪い方の三人だ。 「おい、大丈夫か?」 七海は足元にうつ伏せに倒れている男子生徒に声をかけた。 生徒は顔を上げた。 「お前、近藤…?」 殴られて腫れ上がり、鼻血だか、傷口からの
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください12 BL小説 「どういうつもりって、そりゃ…」 志央のきれいな笑顔を頭に浮かべ、にんまりした七海に、勝浩が畳み掛けるように続ける。 「あのさ、君のためを思って言うんだけど…会長には深入りしないほうがいいよ」 「え?」 七海は勝浩の真剣な眼差しをまともに見つめた。 「
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください11 BL小説 トロいやつをちょっとイジメてやろう、くらいは子供の頃の自分を思い起こせば志央にも十分思い当たる。 だが、それがエスカレートし、暴行にまで至るその経緯が理解し難い。 二人ほど逃げられてしまったが、今まで締め上げた連中は八人ほどだ。 何を聞いても答えな
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください10 BL小説 くっそ、何で邪魔するんだ! しかも昼休みだぞ! イライラしながら生徒会室のドアを開けた志央を、三人の男が待っていた。 「どうやら、賭け以外でも退屈の虫退治の仕事がまたやってきたようだぞ」 幸也がさも面白そうな口調で言う。 「嬉しそうに言うな。何かあ
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください9 BL小説 俺だって高いほうなのに、見上げるわけだ。 志央は苦笑する。 「体重は最近測ってねーけど、一〇〇㎏まではいってませんよ」 デブっては見えないが、アイスホッケーで鍛えられた体格は並じゃない。 「ハーフって、ひょっとして、その茶髪、地毛?」 「はあ。ハー
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください8 BL小説 「へー、お前、帰国子女?」 志央は実際そのイメージから意外に思う。 「ええまあ、へへへ」 帰国子女、なんて言葉とも縁がなさそうな男は、大盛り弁当を志央の目の前で小気味いいほどガツガツ平らげていく。 美味そうに食うなー 見事な食べっぷりに志央はしば
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください7 BL小説 放課後の生徒会室では、志央が勝算あり、と内心ほくそ笑んでいる傍らで、珍しく焦りの色を見せている男がいた。 「それ、入力するんだろ? 俺、手が空いてるから、手伝おうか?」 黙々と領収証を整理してExcelに入力していく勝浩の傍で、さっきからうろうろしながら
月夜の猫-BL小説です 逢いたい15(ラスト) BL小説 部屋を出る前に良太は工藤と今後のスケジュール確認をした。 坂口のドラマが入ってくるとなると、尚更工藤の忙しさに拍車がかかりそうだ。 「この辺り、レッドデータアニマルのドキュメントとの調整が必要になりますよね」 「お前は今のドラマが終わったら少しは
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください6 BL小説 「昔、転校した先でイジメられて、それがトラウマんなってて…どうもイジメとかって、異様に反応しちゃって」 なるほど、それでこんなガタイしてても気が弱い、と。 所在なく頭を掻きながら話す藤原を見ながら志央は勝手に納得する。 「そういや、何かイジメにあって入院
月夜の猫-BL小説です 逢いたい14 BL小説 時間は人の思いなんかそっちのけで過ぎていくし、どんなにこのままずっとこうしていたいなんて言ってみたところで、無慈悲にも朝はくる。 ほんと、沢村の気持ちが嫌ってほどわかるって…… やたら眩しい光に目が覚めた良太がむっくりベッドに起き上ると、工藤はとっくにル
#月夜の猫-BL小説です 笑顔をください5 BL小説 「そこで何をしている」 つかつかと男たちに近づいて、志央は声をかける。 「やべ、城島…」 大男を小突いていたうちの一人がボソリと呟く。 「転校生に何か用があるのか? もう授業が始まる。さっさと教室に戻ったらどうだ」 志央は男たちを睨みつける。 「いや、
月夜の猫-BL小説です 逢いたい13 BL小説 下着とワイシャツ、それにポカリスエットを買って良太がホテルに戻ると、工藤はソファセットでタブレットを開き、また電話をしていた。 良太は邪魔をしないようにと思いながら広いバスタブに湯を張ると、ゆっくりと身体を沈めた。 工藤に逢いたくて、札幌まで来てみたのだが
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください4 BL小説 「武士に二言はないよな?」 念をおす志央に、幸也は苦々しく唸る。 二年生の堺勝浩は、現在生徒会会計を務めている。 実は昨年の夏休み、東京ディズニーランド近くのホテルで、志央も幸也もそれぞれ女の子と一緒に部屋に入ろうとして、よりによって家族と一緒に宿
月夜の猫-BL小説です 逢いたい12 BL小説 「また連絡してくれ」 「お疲れ様です」 「ではよろしく」 工藤は坂口と宇都宮に素っ気なく返すと、良太を肩に抱えながら出口へと向かう。 コートと良太の預けた土産物の袋を手にバーを出て、工藤は良太をエレベーターに乗せたが、酔いと疲れで頭は眠っているらしい。
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください3 BL小説 対面式に続いて委員会の紹介、運動部、文化部各部のオリエンテーションと続いて午前中のカリキュラムは終わる。 「もう一回、携帯賭けて勝負だ! 負けたら携帯諦めてやってもいい!」 さて、品行方正な生徒会長の裏では、どうしても負けを認めたくない志央が、学食で昼
月夜の猫-BL小説です 逢いたい11 BL小説 良太の中では、工藤の機嫌がこれ以上悪くならないうちに切り上げたい話題なのだが。 「こいつに役者なんか無理ですよ」 案の定工藤の口調が尖ってきたのを良太はヒシヒシと感じる。 「ほう? 何だか天下のプロデューサー工藤高広の台詞とは思えないな」 口元には笑みを浮
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください2 BL小説 まだ制服も初々しい新一年生の目がこの美貌の生徒会長に釘付けになっているのを見渡して、当人の横で幸也が人の悪そうな笑みを浮かべた。 志央とは対照的に見栄えのよいルックスと口のうまさで大概の女をコロリと参らせるという、ちょっと危ない大人っぽい雰囲気を持つ男だ
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください1 BL小説 「やっぱここにいたな、志央」 もうすぐ予鈴が鳴るという頃になって、長谷川幸也は生徒会室のドアを開けた。 しまった、という顔で城島志央は振り返る。 「ホームルームのあとすぐ対面式だから、準備をしてただけだ」 「とか何とか、俺を避けてたくせに。…っと、こい
月夜の猫-BL小説です 逢いたい10 BL小説 「川崎だっけ? あ、そういえば君の番組にはよく出てるよね、関西タイガースの沢村。彼って結構気難しいって聞いてるけど」 何だかもう馴染みの友人相手かのように、宇都宮は気さくに話しかけてくる。 「はあ、まあキッズリーグの頃からの腐れ縁のよしみで……」 工藤と坂
月夜の猫-BL小説です 逢いたい9 BL小説 まあ、確かに山内ひとみは演技、美貌ともに申し分ないだろう。 だが、都合つけといてくれ、という坂口の言葉からして、有無を言わせないところがあり、ひとみから文句の一つや二つは覚悟しなければならないだろう。 うっわあ、どうしよう、俺、つい、口がすべっちゃってって
月夜の猫-BL小説です 逢いたい8 BL小説 「そうかぁ? 彼女の方は満更でもないみたいじゃないか? ドラマ、お前のプロデュースだろうが」 なおも坂口は引き下がらない。 「別の仕事で手いっぱいなんで、広瀬に任せてます」 任せてって丸投げの間違いだろ。 工藤のセリフを耳にして、良太が心の中で突っ込みを入れ
月夜の猫-BL小説です 卒業3(ラスト) BL小説 「力、帰るの? 成瀬も?」 啓太が不思議そうに見上げる。 「こいつの合格祝いやるんだよ」 ぶっきらぼうに力が言った。 「何だよ、ここでみんなでやればいいじゃん」 東山の言うことはもっともだった。 「うっせえな、二人だけでやるんだよ!」 「…力っ!」
月夜の猫-BL小説です 逢いたい7 BL小説 「女子高生っても卒業前の三年生から女子大生になるって設定だからな」 坂口が一人頷く。 「にしたって、女子高生、十八歳と俺四十二歳が恋愛しちゃっていいんですかね、下手すると援交?」 「だから君なんだよ。ほかの四十二歳じゃ、ほんとに援交オヤジにしか見えないだろ」
月夜の猫-BL小説です 卒業2 BL小説 あの二年の終わりの面談の時も、担任の加藤の前でカムフラージュしたつもりが最後には変装とかすっかり忘れていた美月である。 卒業式もご愛嬌で眼鏡をかけていたが、傍にいた啓太の母親と何やら意気投合したようで、写真を撮りあったりして素に戻っていた。 「でも何といっても成瀬
月夜の猫-BL小説です 逢いたい6 BL小説 それでも数日ぶりに工藤の顔を見て何やらほっとした良太は、向かいの二人に顔を向ける。 二人は和やかに笑い、冷酒を酌み交わしている。 今夜の打ち合わせはどうやらこの三人だけだったようだ。 テーブルにはジンギスカン鍋がドンと置いてあり、その美味そうな匂いが良太の
月夜の猫-BL小説です 卒業1 BL小説 透明な空気が空を一層高くしていた。 今年は朝晩の冷え込みが激しく、ここ数日少しばかり春めいた風が校庭のメタセコイア並木の枝を揺らしていくようになった。 とはいえまだコートが手放せない三月初旬の十二日は都立南澤高校の卒業式だった。 午後三時頃から「ワンちゃん猫
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イケメンの元生徒会副会長幸也と一学年下で生徒会の役をしていた可愛いけど負けず嫌いの勝浩の話と、大柄だが気のいい
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月夜の猫-BL小説です 西高東低13 BL小説 佑人は力の背中に腕をまわし、ぎゅっと抱きしめる。 「佑人……」 力はそんな佑人を見つめながら再びその唇をふさぐ。 舌を絡ませながら今度はゆっくりと味わうように嬲る力に必死で応えようとする佑人だが、しばらくすると身体の中で力の熱がまたぞろ圧迫感を増しているの
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった60 BL小説 三号に描かれたのはひまわりで、この店では初めて風景画以外の絵となるが、他の風景画と空気感が同じである。 「いいなあ、これベネチアの匂いがする」 「さすが、響さん、感覚的! これどの絵と取り替えたらいいと思います? これ以上飾ると窮屈そうだし」
月夜の猫-BL小説です #post_titleBL小説 「ああ、どうだった? 撮影は」 「はい、順調に終わりました。小木さんて、作家さんなのに声がよくて、気さくな人で、よくわかるように説明してくれて、俺も伊万里焼きのレクチャーなら任せとけって感じです」 良太は案外穏やかな工藤の声にほっとしたらしく、幾分声を弾ませた。
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった58 BL小説 かぐわしい香りのコーヒーが鼻孔をくすぐると響は全身がほっとするような気がした。 「一日の仕事上がりに元気のコーヒーって、ほっとするよなあ」 隣で井原が響が考えたようなことを口にした。 「そういえば元気、相談って何?」 一口温かいコーヒーを飲ん
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった57 BL小説 エチュードの一番から三番を弾いたあと、響はスケルツォの三番を弾き始める。 細かな音が目に見えぬドレープを作り広がってゆく。 古いピアノは時折響の耳にかすかな歪みを感じさせるが、それもまた音の羅列に表情を与えていく。 最後の音を弾いてからふ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった56 BL小説 確かに青山は技巧的には巧い。 だが、曲の理解度でいえば、この曲に関わっている時間が長いだけ寛斗の方が高いだろう。 それに。 瀬戸川は寛斗と一緒にコンクールに出たいに違いないのだ。 「技巧を取るか、曲の理解度を取るかでいえば、多少下手でも
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった52 BL小説 いつもの井原だ。 土曜日、急にクラウスが現れて、しかも井原といる時に、響は内心焦り、イラついた。 井原は響の説明を額面通り受け取ったわけではないような気がした。 何か言いたげな顔をしていたが、今日のあのようすではさほど気にもしていないのだ
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった50 BL小説 元気は鮎をつつきながら、「パーティは俺の店でやるんだが」と付け加えた。 「元気の店でか? またライブやる?」 井原は俄然目を輝かせた。 「お前は! まあ、やる予定だけどまだ詳細は未定だ。今度みんなで話すことになってる」 「わかった、俺も混ぜろ
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった49 BL小説 「響さんは何か隠してる」 井原はまた唐突に口にする。 「響さんがどうかしたんですか?」 「おい、お前、響さん、響さんて気安そうに! どういう了見だ?」 何気なく聞いた豪に、井原が突っかかる。 「いや別にどういう了見も何も………」 わけが分か
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった48 BL小説 「なあ、あの人、向こうで付き合ってたとかそういう話、聞いてるか?」 井原は必死な顔で元気に聞いた。 「響さんがそんなこと俺に話すと思うか?」 「だよな……」 元気の冷ややかな口調に井原はまた一つ溜息をついた。 「響さんを訪ねてきた金髪碧眼の色
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった47 BL小説 クラウスが井原にきつい視線を送っていたことで、おそらく響に別れを告げられた男が、井原を見て新しい恋人かと聞いたのだろう構図が井原の頭にくっきり浮かんだ。 Liebhaber、は何となく聞き取れた。 それが恋人という意味だろうことくらいは知っ
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月夜の猫-BL小説です ぶなの森1 BL小説 青森県と秋田県にまたがって数千年前から存在しているぶなの原生林は、世界最大級といわれている。 世界遺産に登録されたこの白神山地には、貴重な動植物が生息しており、手つかずの自然が広がっており、真夏というのにひんやりとした空気は動きを止めていた。 数日前からこの地で
月夜の猫-BL小説です ぶなの森(工藤×良太22) BL小説 良太は海外出張中の青山プロダクション社長工藤の命により、小林千雪原作のドラマ『ぶなの森』のロケで青森にいた。ロケの間中、良太はヒロイン役の人気俳優田辺菜摘に懐かれて、不倫話の相談を受けたりしているうちに、スタッフの間で二人のことを邪推した噂が広
月夜の猫-BL小説です 2024Summer BL小説 2024夏始■夏が来る(井原×響&元気)■Blue Moon(工藤×良太)boys love novel初夏にちなんだエピソードを順次アップしています 以前のエピソードに少し手を加えたり、新しいエピソードもアップする予定です。
back next top Novels 「ちょっと羨ましいかなと」 「え、天野さん、ひょっとしたら直ち
月夜の猫-BL小説です 夏が来る42 BL小説 江藤先生と秀喜のウエディングパーティは、集まったみんなが暖かく二人を祝福し、大盛況といえるうちに、最後みんなに送り出された二人は終始笑顔だった。 「幸せそうだったな、江藤先生」 パーティのあと、にゃー助の世話をしてから井原の家に来た響はぼそりと言った。 「先生
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ87(ラスト) BL小説 「小夜子の作るケーキのがメチャうまいぞ」 「またお前、小夜ねえのことバカにしよって」 「ほめてるんだろーが。マギーのケーキはもう金輪際ごめんだがな」 小夜子の名前が出ると、千雪はちょっと口を噤む。 「あと、何か月やったっけ」 「十二月まで五カ月だろ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に142 BL小説 「佐々木さん、こっちで仕事がある時は戻ってくると思いますよ」 八木沼を慰めるように言う良太のセリフを聞きつけて、「戻って来たってお前には関係ないからな」と沢村がガキ大将のように喚く。 「ようあんないじめっ子なヤツとずっと友達やっとるわ、良太」 開き直って八
月夜の猫-BL小説です Isla De Pinos19(ラスト) BL小説 東京を拠点に、京都や奈良、伊豆と、観光や温泉巡りを満喫し、新宿や銀座で買い物を楽しんだルクレツィアがやっと帰るという日、工藤は嫌がる良太を無理やり連れて、彼女を空港へ送っていった。 助手席に陣取ったルクレツィアは何だかだと工藤に話し
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ86 BL小説 「やつらって?」 アスカが聞いた。 「ああ、こないだ捕まえたやつら」 「捕まえた? ユキが?」 アスカが妙に突っ込んでくる。 「やから、情報提供して、警察が捕まえよったやつらのことや」 千雪の適当な説明にちょっと怪訝そうな顔をしたが、「とにかく、工藤さんも工藤さ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に141 BL小説 「俺、たまたま一人でおった時に、黒人の軍団に取り囲まれてもて、向こうは何かぎゃあすか言っとんやけど、俺、何ゆうてるかちっともわかれへんし、小突きよるし、怖うなってもて、にいちゃあーん、助けてやあ、て、でかい声あげたんや」 「え、それで?」 良太もその展開には
月夜の猫-BL小説です Isla De Pinos18 BL小説 工藤は会場からずっと紫紀と何やら話し込んでいたため、その後ろにくっついていた良太も、必然的に小夜子の相手をしていた。 「そうなの。うちにいる子達も原の家にいる子もみんな千雪ちゃんが拾ってきた子なのよ」 確かに千雪とよく似ているのだが、言葉ははん
月夜の猫-BL小説です Isla De Pinos17 BL小説 シャツ一枚でのろのろとじゅうたんから身体を起こし、上着のポケットに携帯を戻してから、良太は散らばったズボンやタイなどを見回して苦笑した。 あーあ、あんなに絶対許さないって思ってたのに、簡単に悪党の手に落ちてる自分が笑えるぜ…。 「んで、その悪党
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に140 BL小説 「いや、浩輔、知らん間に営業しよることあるし、案ずるよりっていうやろ?」 佐々木が慰めるでもなく言った。 「佐々木さんまで、適当なこと」 「大丈夫だって。まあ、何かあったら、河崎に行ってプライベートジェットで飛んでくればいいよ」 藤堂が笑う。 「またそういう
月夜の猫-BL小説です Isla De Pinos16 BL小説 大きな腕に抱き込まれ、わずかに目を開けた途端飛び込んできた工藤の色めいた視線の熱さに貫かれるともう、脳髄まで蕩けていく。 思わず目線を落としたつもりが、工藤の胸に顔をうずめると、フレグランスに混じった工藤の汗の匂いがシャツを通して鼻腔をくすぐり
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ85 BL小説 千雪が良太を見つけてから結構もたついたので、二十分ほど経ったろうか。 工藤はドアをガンガンノックした。 その間に秋山と井上も駆け付けた。 「良太!!」 工藤が叫んだ。 「……工藤……さん!」 良太の声が中から聞こえ、やがてドアが開くなり、みんなが中へとなだ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に139 BL小説 「先生にもお伺いを立てたらね、週一回は必ず、佐々木ちゃんと一緒にお稽古すること、お稽古の状況を月一回は必ず報告することって」 「それでお許しが出たの?」 楽し気に報告する直子に、良太はちょっと恐る恐る尋ねた。 「もちろん。あ、それでね、そのあと沢村っち、佐々木