月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった67 BL小説 ふと手にしていた携帯に気づいた響は、誰かの言葉が聞きたくなった。 酔っているのでためらいもなく、一つの番号を押した。 五回目のコールで、声が聞こえた。 「響さん? どうしたんですか? こんな時間に」 「なんかさ……深淵の底から俺が呼ばれて
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
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月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる3 BL小説 平和なはずだった。 工藤が腕に包帯という姿でオフィスに戻ってきたのは、数日後の夕方のことである。 「工藤さん、どうしたんですか、それ!」 「何でもない」 驚いて駆け寄る良太に、工藤はにべもなく言い放った。 「何でもないってことはないだろ!」 良太は納得
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる2 BL小説 鈴木さんはいつものこと、と笑いながら自分の仕事に戻った。 「う~~~~~~~~!!」 心の中で良太は地団太を踏む。 こういう時、良太など、ただでさえ海千山千の修羅場を潜り抜けてきただろう工藤にはまだまだ太刀打ちできないヒヨッコなのだとあらためて痛感せざる
月夜の猫-BL小説です 氷花2 BL小説 「そうかて、先輩わからんかしれん思て。なんや先輩、また小食やな。せめて天ぷらうどんにしはったら?」 「俺が何食おうとお前に関係あれへんわ」 「あかんがな、ただでさえ細いのに、ほな、出血大サービスや」 ほい、と佐久間は自分が食べていた天丼のえび天をひとつ千雪のうどんの
月夜の猫-BL小説です 月鏡36 BL小説 いつの間にか、時刻は正午を過ぎ、監督から休憩の声がかかった。 良太は、俳優陣やスタッフに弁当を配り始めた。 「手伝います!」 ハキハキした声は、周りの気分をも明るくしてくれるのがいい。 新しいAD森村はにこにこ、きびきびと動いてくれる。 「あ、じゃあ、そっち
月夜の猫-BL小説です xmas2024、月鏡35など、更新しました。 BL小説 2024も大詰めということで、 xmas2024として、クリスマスシーズンのエピソード、 氷花(京助×千雪)、夢ばかりなる(工藤×良太16)など、更新しています。 月鏡35(工藤×良太42)、更新しました。
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる1 BL小説 街路樹は密やかにに葉を落とし、寒々しい冬の様相に一役かっていた。 世の中は年の終わりに近づいて、不景気ながらもやや活気づいてきたところだ。 忙しなく行き交う車を横目に見ながら、通りをトボトボ歩く広瀬良太は冷たい向かい風に肩をすくめた。 「あ~あ…」 や
月夜の猫-BL小説です 氷花1 BL小説 「あ、先輩ぃ、メシ、行かはるやろ? 俺、先行って席取っときますわ!」 研究室のドアを開けた小林千雪を廊下の向こうから大きな声で呼んだのは、法学部三年の佐久間徹という。 推理小説研究会、宮島ゼミときて、さらに修士課程にも進むつもりらしい佐久間は、千雪を追いかけるよう
■氷花(京助×千雪) ■夢ばかりなる(工藤×良太) boys love novel Xmas 2024 以前の
氷花 月夜の猫-BL小説です BL小説 傲慢俺様京助と我儘勝気受け千雪のエピソードです。 クリスマスどころではなく互いに忙しかった京助と千雪ですが、京助がいきなり北海道の山荘へ連れて行き、そこで千雪は京助の兄、紫紀と出会います。 (R18)※修正後に冊子としてご紹介予定
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる BL小説 夢ばかりなる(工藤と良太16) 沢村と良太がすったもんだあった後のエピソードです。 沢村はまだ佐々木と出会ってません。 何やら工藤の周りで不穏な動きがあり、心配する良太だが、工藤は逆に良太を遠ざけようとしているようで、良太は自分は信頼されていないと拗ねてしまう
月夜の猫-BL小説です 月鏡35 BL小説 その時ポケットで携帯が振動した。 良太は撮影から離れたところで電話に出た。 「はい、お疲れ様です。ええ、少しなら」 相手は宇都宮だった。 前々から内内で盛り上がっていた鍋の日取りを決めたいと言ってきたのだ。 「はあ、そうですね、十二月に入ると予定入れにくいので
月夜の猫-BL小説です 月鏡34 BL小説 「え、なに、なに? 良太ちゃんと匠ちゃん、合宿って何?」 主演の志村とともに、『大いなる旅人』シリーズでは、ずっと助演で入っている南澤奈々が、二人の会話を聞きつけて早速良太に問いただす。 「あ、いや、実は、千雪さんとかも来ていて、別件の仕事があるんで」 「そうな
月夜の猫-BL小説です 月鏡33 BL小説 そういえば、こんな状況、何か前にもあったな。 でもあの時は、気心知れてる藤堂さんや佐々木さんだったから、気が楽だけど、京助さんだからな。 いや、運転はきっちりしてるだろうけど。 「あの、疲れたら俺代わりますよ? 運転」 「気にするな。五時間六時間なんぞ大したこ
月夜の猫-BL小説です 月鏡32 BL小説 次に斎藤に用がある時は良太一人でもOKだな、などと、良太の嫌がりそうな顔を思い浮かべて密かに工藤はほくそ笑む。 そんな工藤の思惑が伝わったかのように、部屋で良太はくしゃみを一つした。 湯上りにぼんやりビールを飲んでいたせいかもしれない。 テレビの天気予報では
Summer Break(工藤×良太)36、月鏡31まで更新しました
月夜の猫-BL小説です Summer Break(工藤×良太)36、月鏡31まで更新しました BL小説 Summer Break(工藤×良太)36、 月鏡31、 まで更新しました 私事でいろいろあって、ぽやぽやしているうちになんともう2024年も終わりに近づいています Summer Break(工藤
月夜の猫-BL小説です Summer Break36 BL小説 「兄貴、俺ら、奥にいるんで、終わった頃ちょっと話すから」 京助はそういうと、千雪を伴って料理を手に奥へと入っていった。 間もなく会もお開きとなり、帰っていく客人たちに挨拶をしていた紫紀や小夜子だが、あらかた人の波が引いてくると、パーティ会場を
月夜の猫-BL小説です 月鏡31 BL小説 工藤は大手化粧品会社『美聖堂』の社長、斎藤と赤坂のクラブでグラスを傾けていた。 女優をしている孫を、映画に使ってほしいとゴルフ仲間に頼み込まれ、二村桃子を工藤に紹介した斎藤は、二村が今回やらかした事件だけでなく、過去にも問題を起こし、事務所がそれをもみ消した事実
月夜の猫-BL小説です 月鏡30 BL小説 「まあ、これでネットワーク繋いでも問題ない」 携帯やタブレットも問題がなく、加藤のお墨付きがでたところで、しばしのコーヒーブレイクの後、二人は帰って行った。 「なんだかんだ言っても、頼りになるよな、みんな」 何か、俺だけ、頼りないって気がする。 俺も野球以外
月夜の猫-BL小説です 月鏡29 BL小説 「朝食付きですが、昼夜の分は領収書下さい」 良太は付け加えた。 「良太はどこ泊まるん?」 千雪は小首を傾げて聞く。 「俺はクルーたちと一緒のホテルです、あ、檜山さんとか、俳優陣はプリンスとか」 「良太も俺らと一緒に泊まったらええやろ」 「え、いや、俺は監督と打ち
月夜の猫-BL小説です 月鏡28 BL小説 「そや、辻とかも秋に京都一度帰るとか言うてたし、どうにも進まん原稿、地元やったらなんぞインスピレーション降りてくるかもな。加藤はどや? たまには京都旅行とかもええで?」 「ちょっと千雪さん!」 明らかに工藤が仕向けたのだが、千雪がそれに乗っかって、「休みなら取れる
月夜の猫-BL小説です 月鏡27 BL小説 何かの時にはまた、お願いしてみよう。 良太は頭の中にメモる。 「あと一応、警備員室とかもお願いしますけど、とりあえず腹ごしらえしてください」 「そういえば腹が減ったな」 加藤が顔を上げた。 いつの間にか八時を過ぎていた。 オフィスに戻ると、千雪が手持無沙
月夜の猫-BL小説です 月鏡26 BL小説 忍び込むってのはまず難しいよな。 プロじゃないと。 俺のデスクまでくらいなら、沢村と小田先生の話は聞かれなかったと思うけど。 良太の頭に不安材料が一つ増える。 『千雪さんが戻ったら、他の階へ』 良太もメモに書いて加藤に見せる。 加藤はその間に、盗聴器の
月夜の猫-BL小説です 月鏡25 BL小説 「ああ、髭? 何や、今度のクライアントがきっちりしたとこやからて。あいつ、フリーのプログラマーやねん、一応」 鈴木さんも帰っていたので、自由にどこでもどうぞと良太が言うと、加藤は早速探知機で隅から調べ始めた。 「一応って何ですか」 「まあ、その手の業界では名の知れ
月夜の猫-BL小説です 月鏡24 BL小説 波多野はふうっと大きく息を吐いた。 「あなたとの打ち合わせには、一応音楽も聴けるように防音になっている部屋を選んで正解ですね」 「ふざけるな!」 工藤はまた激昂する。 「ふざけてませんよ、本当のことです」 「あのババアに一言言ってやらないと気が済まない!」
月夜の猫-BL小説です 月鏡23 BL小説 「一段落ついたから、お弁当買いに出るけど、良太ちゃんどうする?」 鈴木さんが立ち上がりながら良太に聞いた。 「あ、お願いしていいですか? 鈴木さんにお任せしますから」 「わかった。行ってきます」 鈴木さんがオフィスを出ると、良太はまたキーボードを叩き始めたが、そ
月夜の猫-BL小説です 月鏡22 BL小説 案の定、NTVのプロデューサーとの打ち合わせは短時間で終わり、十時半過ぎにはオフィスに戻ると、良太は昨日のパーティのお陰でできなかったデスクワークにしばし没頭していた。 新たな問題が勃発したのはそれから間もなくのことだった。 「何だ、一体これは!」 平和そうな
月夜の猫-BL小説です 月鏡21 BL小説 「携帯、電源切ってないよな……」 時々、電話に出たくない時、千雪はよく電源を切っているのだ。 「……なんや……はようから………」 ややあって、起き抜けという声が携帯の向こうから聞こえてきた。 「おはようございます。実は折り入ってご相談が」 するとあくびをする様
月夜の猫-BL小説です 月鏡20 BL小説 伯父も工藤の母親のさぎりも生まれた家の犠牲になったようなものだ。 自分がやらなければ関わり合っているものの均衡が危うくなると、その地位を何とか維持しているというところらしい。 波多野によれば。 先代は豪放磊落な男で、対立する者を殺めたこともいくらもあるという
月夜の猫-BL小説です 月鏡19 BL小説 「波多野さんはあんたの影のSPみたいなもんだから、知っててもらわないとだしさ………」 工藤は振り返って良太を抱きしめた。 「あ、え…………」 「すまなかった」 一瞬良太は耳にした言葉を聞き間違えたかと思う。 「な……に、言ってんだよっ! 何であんたがそんなこと言
月夜の猫-BL小説です 月鏡18 BL小説 「えと、だから、その、パーティが終わって帰ろうとしたら、エレベーターホールで出くわしたんですよ、そのおばあさん、ハハハ………ほんとに鼻が魔女っぽくて、鼻緒が切れて足を挫いたから部屋まで連れてってくれないかとかって………」 上目遣いに工藤を見やると、工藤は増々険しい
月夜の猫-BL小説です 月鏡17 BL小説 カリカリを新しい皿に入れてご飯スタンドの上に置くと、ウエットフードを二つに分けてこれもカリカリの横に置く。 はぐはぐと猫たちが懸命に食べるのをしばし眺めて癒しをもらってから、良太はようやくスーツを脱いでバスルームに飛び込んだ。 バスタブに湯をためるうちにシャワ
月夜の猫-BL小説です 月鏡16 BL小説 「そうだよ、何で俺に近づいてきたりしたんだよ、あの魔女オバサン! ちゃんと言っとけよな、工藤との関りがちょっとでもあるとか既成事実作ったら、警察が鵜の目鷹の目なんだし」 良太は勢い込んで言った。 「残念ながら、私はあの魔女オバサンとは仲良しこよししていません。私は
月夜の猫-BL小説です 月鏡15 BL小説 多佳子が平造を旦那の身代わりに刑務所に入れたという話を良太は思い出したのだ。 「ほんっとに、にくったらしいこと言うじゃないの。でもまあ、そういうことよ」 多佳子ははっきりと肯定した。 つまり、多佳子は京都にいることになっているのなら、ここにいるのはただの魔女で
月夜の猫-BL小説です 月鏡14 BL小説 「可愛くない子だね! 可愛い顔して」 今度は吐き捨てるように魔女がのたまった。 「ネットの動画を見せられて、おやと思ったのよ。何ごとにも動じないはずの高広が尋常じゃない形相だったからね、倒れてる部下を抱きかかえて。一体何ごとかって」 波多野が言っていたように、工
月夜の猫-BL小説です 月鏡13 BL小説 夏には千雪から工藤家のお嬢さんの話を聞いたし、先月は波多野から多佳子の名前を聞いたのを良太は思い出した。 「何しろ駆け落ちまでして組長と一緒になった人ですからね。豪胆で度胸のすわった多佳子さんは旦那の組長を鼓舞させることで組を仕切らせた。平造さんを組長の身代わりに
月夜の猫-BL小説です 月鏡12 BL小説 エレベーターが三十六階で停まると、良太は老婦人に肩を貸しながら部屋のドアの前に立った。 「ごめんなさいね、ソファまで連れて行ってくださるかしら」 「あ、はい……」 良太は見ず知らずの自分が入っていいのだろうかと逡巡したが、老婦人はバッグからカードキーを取り出
月夜の猫-BL小説です 月鏡11 BL小説 スポーツ紙へのタレコミも前もって藤堂が人を使ってやらせたことで、案の定、しっかり写真は撮られたようだ。 「明日の新聞に大々的に取り上げてくれるといいんだけどね」 「まあ、リーグ優勝した関西タイガースの立役者ですし、CMでもかなりまた顔を売りましたからね、ゴシップネタ
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です 月鏡10 BL小説 「何企んでるんや?」 振り返ると金田一耕助が立っていた。 「や、だなあ、千雪さん、何も企んだりしてませんよ」 さすが名探偵とでも言いたいところを、良太は適当にごまかした。 「そうか? 何か怪しいで」 推理作家で、青山プロダクションで
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です 月鏡9 BL小説 「どうも、すみません、準備手伝えなくて」 良太は申し訳なさげに浩輔を見た。 「全然、大丈夫です。秋山さんがいろいろ手配して下さったので、お土産運ぶくらいで」 「あれ! 良太、あたしがやった衣装、どうしたのよ!」 良太を見つけて早速文
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です 月鏡8 BL小説 すると彼女たちの声が届いたかのように、男がサングラスを取った。 「うっそ、あれ、沢村じゃない?」 二人を注目したのはラウンジにいた客だけではなかった。 明らかにプロ仕様のカメラを構えた連中が二人をしっかり撮っていた。 しばらくして
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です 月鏡7 BL小説 ところがそんな時、マネージャーの秋山を伴ったアスカが現れ、「どうしちゃったの? 沢村、小田先生なんかと」と良太に聞いてくる。 おまけに小田が帰ると、「おい、良太、お前、T大法学部なんか出てるくせに、何で弁護士じゃねーんだよ!」などと沢
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です 月鏡6 BL小説 無論沢村は佐々木の名前を出すようなことはしなかったものの、数日前、スポーツ紙には、関西タイガース沢村選手が大手企業社長令嬢といよいよ結婚か、という文字が踊り、慈善パーティの晩の二人を捉えた写真が大きくスクープされ、写真週刊誌やネットニュ
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です 月鏡(工藤×良太42)、秋も深まります BL小説 酷暑がようやく去り、秋がふかまりつつあります。月鏡(工藤×良太42)、秋のエピソードです。良太は沢村からまた難題を持ち込まれ、仕事に追われ頭を抱えつつも歳末へと突き進んでいきます。
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です 月鏡5 BL小説 「それやね。車はええ加減ボロやけど、タイヤだけはええもん履かんと」 佐々木はひとり頷いた。 「ですよね! てか、佐々木さんの車、カッコいいっすよ? 安定感あるし」 佐々木の車はボルボのステーションワゴンで、二月に軽井沢でスキー合宿をや
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった67 BL小説 ふと手にしていた携帯に気づいた響は、誰かの言葉が聞きたくなった。 酔っているのでためらいもなく、一つの番号を押した。 五回目のコールで、声が聞こえた。 「響さん? どうしたんですか? こんな時間に」 「なんかさ……深淵の底から俺が呼ばれて
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった66 BL小説 女性の方が結構年上でというだけで結婚なんてあり得ないとするようなこの街で、高校教師が、しかも男同士がつきあうとか、考えも及ばないに違いない。 先生なんて呼ばれるような人間じゃないと思っていた響だが、いつの間にかそう呼ばれることに慣れてしまった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった65 BL小説 放課後は理科系の会議があるらしいし、今日は井原の顔を見ないで終わりそうだ。 もっとも響こそ、井原とどんな顔をして会えばいいかわらからなかったから、少し胸を撫でおろしていた。 ぼんやりしていたので、ドア口に人がいるのに気づかなかった。 「和田
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった63 BL小説 何も聞かずに俺の手を握っていた井原の手はすごく温かくて。 ポトリとひとしずく、下を向いていた響の目から床に落ちた。 ほんとはすごく好きだった。 だから俺なんかといちゃいけないやつなんだって。 またひとしずく、落ちた。 もう何年も胸の奥に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった62 BL小説 だが所詮モラトリアムの中での思いの延長だ、お前の好きは自分と同じ好きではないかも知れない、響が口にしなかったのは、井原のためだと……。 いずれは井原も誰か愛する人に巡り合って、秀喜のように結婚するのだろうと。 十年越しの初恋なんかもう忘却の彼
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった60 BL小説 三号に描かれたのはひまわりで、この店では初めて風景画以外の絵となるが、他の風景画と空気感が同じである。 「いいなあ、これベネチアの匂いがする」 「さすが、響さん、感覚的! これどの絵と取り替えたらいいと思います? これ以上飾ると窮屈そうだし」
月夜の猫-BL小説です #post_titleBL小説 「ああ、どうだった? 撮影は」 「はい、順調に終わりました。小木さんて、作家さんなのに声がよくて、気さくな人で、よくわかるように説明してくれて、俺も伊万里焼きのレクチャーなら任せとけって感じです」 良太は案外穏やかな工藤の声にほっとしたらしく、幾分声を弾ませた。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった59 BL小説 「あたしも聴きたい! 本物のピアノ!」 紀子が言った。 「アップライトなら、入らないか?」 「え、ここにか?」 井原の発言に元気は考え込んだ。 「お前無茶なこと言うなよ」 響は呆れたが、元気はうーんと唸ってから、「何とかなるかも」と言う。 「
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった58 BL小説 かぐわしい香りのコーヒーが鼻孔をくすぐると響は全身がほっとするような気がした。 「一日の仕事上がりに元気のコーヒーって、ほっとするよなあ」 隣で井原が響が考えたようなことを口にした。 「そういえば元気、相談って何?」 一口温かいコーヒーを飲ん
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった57 BL小説 エチュードの一番から三番を弾いたあと、響はスケルツォの三番を弾き始める。 細かな音が目に見えぬドレープを作り広がってゆく。 古いピアノは時折響の耳にかすかな歪みを感じさせるが、それもまた音の羅列に表情を与えていく。 最後の音を弾いてからふ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった56 BL小説 確かに青山は技巧的には巧い。 だが、曲の理解度でいえば、この曲に関わっている時間が長いだけ寛斗の方が高いだろう。 それに。 瀬戸川は寛斗と一緒にコンクールに出たいに違いないのだ。 「技巧を取るか、曲の理解度を取るかでいえば、多少下手でも
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった55 BL小説 そして忘れていたシーンの中に井原がいた。 喜怒哀楽がはっきりしていると生徒が言っていたが、すぐに思い浮かぶのは笑っている井原で、怒ったり泣いたりと言ったシーンも思い出されて、そういえば忙しいやつだったと響は苦笑する。 そんな昔の思い出に浸
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった54 BL小説 遅かれ早かれ、そうなることはわかっていたさ。 黒板消しを置くと、響は手をぱんぱんと払い、準備室に入った。 考えごとをしていたので、あっという間にガツガツと弁当を平らげた響は弁当のからをビニール袋に突っ込みゴミ箱に放ると、音楽室を出た。 そ
月夜の猫-BL小説です 夢見月32 BL小説 せっかく珍しくこのあとの予定がないのにな。 工藤がそんなことを考えていると、電話が鳴った。 結局、鈴木さんが帰っていくまで、何件かの電話で時間が潰された。 秋山とアスカは、その間に工藤と夕食を一緒にする約束をして、次の打ち合わせにテレビ局へと向かった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった53 BL小説 「キョー先生は井原先生よりなんか年齢超えてるって感じ」 「ええ?」 瀬戸川の言葉に響は首を傾げる。 「だって、制服着てそこにいてもおかしくないっていうか」 「何、俺ってオッサンになってもガキっぽいってこと?」 くすくす笑いながら瀬戸川は、「顔
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった52 BL小説 いつもの井原だ。 土曜日、急にクラウスが現れて、しかも井原といる時に、響は内心焦り、イラついた。 井原は響の説明を額面通り受け取ったわけではないような気がした。 何か言いたげな顔をしていたが、今日のあのようすではさほど気にもしていないのだ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった51 BL小説 「すみません、後ろの人、静かにしてください」 響が説明をいったん切ったところで、最前列に座っていた青山という女生徒がきりりとした声で後ろでふざけ合っている男子生徒を注意した。 一瞬シーンと静まり返ったあと、響は何ごともなかったかのように黒板に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった50 BL小説 元気は鮎をつつきながら、「パーティは俺の店でやるんだが」と付け加えた。 「元気の店でか? またライブやる?」 井原は俄然目を輝かせた。 「お前は! まあ、やる予定だけどまだ詳細は未定だ。今度みんなで話すことになってる」 「わかった、俺も混ぜろ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森8 BL小説 現れたのは工藤だった。 監督と話をしながら、良太と菜摘がこちらに歩いてくるのを工藤は見ていたのである。 そこへ、男が現れた。 「へえ、あんたが噂の工藤か。なるほど、社長が社長だからな、その大事な部下に女優のコマシ方でも教え込んでいるわけだ」 「あいにく忙し
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月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)146まで更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)146、夏が来る42 まで更新しました 2024Summer、 夏にちなんだエピソードを順次アップしています ぶなの森(工藤×良太22)6 夏のエピソードです。 かぜをいたみ87(ラスト) 最後までお
月夜の猫-BL小説です ぶなの森6 BL小説 「あいつ……、よほど、お前がキモイといっていた小林千雪だって言いたかったですよ」 戻ってきた千雪に思わず良太はぶちまける。 「あの子、工藤さんにベッタリなんやて? 良太、それで面白くないわけや」 「誰に聞いたんですか~そんなこと。わかった、アスカさんだな」
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月夜の猫-BL小説です ぶなの森4 BL小説 「良太ちゃん、お弁当食べよ」 菜摘が弁当を手に良太に声をかけた。 「あ、はい。ちょっと待ってください」 良太が手配したロケ弁をスタッフが配ってくれて、みんな各々アウトドア用のストーブの周りに陣取っている。 夏とはいえ、東京の暑さとはうって変わってここは別世界のよう
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に145 BL小説 「え、でもオフとかに帰ってくるんでしょ?」 浩輔が思い切り端折って佐々木に聞いた。 「俺にはオフとか、ないで?」 すかさず佐々木がシャープに返答する。 「あ、いや、そのう、盆暮れ正月?」 暗に沢村のオフの時には一緒に帰るのだろうという質問を、浩輔は言い直した
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月夜の猫-BL小説です 月澄む空に142 BL小説 「佐々木さん、こっちで仕事がある時は戻ってくると思いますよ」 八木沼を慰めるように言う良太のセリフを聞きつけて、「戻って来たってお前には関係ないからな」と沢村がガキ大将のように喚く。 「ようあんないじめっ子なヤツとずっと友達やっとるわ、良太」 開き直って八