月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった68 BL小説 完全に酔っぱらって口にしている言葉が理解できていないのが元気にもわかった。 「こんな田舎で、男同士で、教員同士で、リスクが高いって、まあ、そりゃそうだなって」 響はハハハと笑う。 笑うのだが涙がぽろぽろ零れるのを拭いもせずまた酒をマグカップに
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
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back next top Novels オフィスビルが林立する汐留は巨大複合都市であると同時に今や観
月夜の猫-BL小説です 好きだから87 BL小説 「だから、沢村っちの父親が興信所を使って沢村っちを調べさせてることとか、相手が男だとか言ったからとか、それから、沢村っちの部屋とかあたしの部屋の盗聴してるとか、確か、佐々木ちゃんの名前は出してないけど、迂闊に会えないから沢村っちが我慢してるとか、そんなこと……ど
back next top Novels 「俺に下手な芝居をさせんなよ、バカヤロ!」 ひとり、エントラ
back next top Novels 翌朝、谷川を待ってオフィスにいた良太に、工藤から電話が入った
back next top Novels 工藤に水波のことを報告すると、不可抗力だ、無駄に悔んだりする
back next top Novels 「……お前は、結局そんなことしか考えられない奴だったってわけか
back next top Novels 天野さんが言ったことがもし本当なら、小宮山さんと運転手は繋が
月夜の猫-BL小説です 好きだから85 BL小説 十二月も中盤に差し掛かると、世の中も忙しなく歩みを速め、賑わしさに拍車がかかる。 青山プロダクションのオフィスでも、例年のイベントである業者を招いての忘年会の準備が始まっていた。 何せ社員の少ないこの事務所では社の一大イベントにもかかわらず、準備から実行までもう
back next top Novels 「マコちゃんに嫌われちゃっても知らねーぜ?」 藤堂の顔を見た
back next top Novels 無論降板予定者の代役などということは伝えていないが、西野は良
月夜の猫-BL小説です 好きだから84 BL小説 そんな顛末を今西は聞いたのだろう。 それ以降、佐々木も仕事は仕事とわきまえてはいたが、植山のことがあってから意識過剰になっているのかもしれない。 我に返ると、今の状況を思い出して、今度は頭痛がしそうだった。 気が付くとバットの快音は消えていて、佐々木はふいに強
back next top Novels 「さっきジャスト・エージェンシーの佐々木さんが会社に電話をよこ
back next top Novels 「足に怪我をして救急車で病院に。山倉さんがついて行ってくれたん
月夜の猫-BL小説です 好きだから83 BL小説 目一杯の笑顔と期待に満ちた目で、八木沼は勝手に佐々木の両手を握りしめた。 「こないなめちゃきれいな人とと一緒できるとか、俺、超うれしい!」 大型犬のような無垢な目の八木沼は佐々木を覗き込んでいる。 「あ、いや、俺は……」 「え???? 男なん?」 それで離れる
back next top Novels act 5 &
back next top Novels 嫌な予感は当たってほしくなかった。 森村には二時間おきにラ
back next top Novels 「か…わさき…さん?」 「お前の部屋なんかとっくに調べてあった
back next top Novels この仕事が決まってから、八木沼が出た番組をチェックしたりした
back next top Novels そうなるとやはり今回のドラマ関係者に絞られてくるのではないか
月夜の猫-BL小説です 好きだから81 BL小説 朝、十時半に迎えに行くからと今西に言われていた佐々木が十時少し前にオフィスに行くと既に直子は来ていて、室内は温かかった。 「おはよう! 今日一団と寒いね~! 昨夜お稽古遅くなったでしょ?」 「おはよう。はあ、みっちりやられよった。片付け終わったら一時過ぎ」 はあ
back next top Novels 「でも河崎さんは、実力があるって認めたら切り捨てたりしないよ。
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)26まで更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)26、誰にもやらない33、好きだから80、 まで更新しました
back next top Novels 「そう。富田さん、工藤さんの先輩プロデューサーで、工藤さんがバ
back next top Novels だが、タイミング的なものもあるが、同じ空間にずっと一緒にいて
back next top Novels 浩輔の脳裏に、かつての情景がオーバーラップする。 何度もそ
back next top Novels 「そうですね。逆にスタジオ以外でも小宮山さんをマークしたら」
月夜の猫-BL小説です 好きだから79 BL小説 「なるほどね、しかし受けた仕事はきっちり結果を出しておられる。見かけ云々は、私の卑屈さからなんですよ。センスもない上に地も悪い。だからクリエイターは見かけにこだわらないやつがいいとかね。それに地がよくなければ、センスだけではどうにもならないものもありますからね」
back next top Novels 「やめてくださいよ、だから、俺は使いモノにならなくて逃げ出した
back next top Novels スタジオでの撮影はあと二日は続く。 『猫の手』に連絡すると
back next top Novels 「ぜひまた試飲していただきたいが、私も飲んでみたが確かにうなず
back next top Novels 少し太りじしの体躯を細めの椅子に詰め込んだその顔には、中間管
back next top Novels 「それから割とすぐ撮影に入って、しばらくして、三人が具合が悪く
back next top Novels 沢村と別れたことはまだ誰にも話していない。 それでもここし
back next top Novels 「何ゆうて、ブーたれてるコースケちゃんの可愛さには負けるわ」
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)22まで更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)22、誰にもやらない29、好きだから76、バレンタインデー、良太、走る4(ラスト) まで更新しました
back next top Novels 三人とも大事を取って一晩入院してもらうことにして、良太はスタ
back next top Novels 「いや、俺のせいなんす! ごめんなさい!」 歯が浮きそうな美
back next top Novels act 4
月夜の猫-BL小説です 好きだから75 BL小説 仕事上は順調すぎて笑えるくらいな状況で、これでもどうしてもな仕事以外はセーブしているのであるが、直子も自分の仕事以外でも届け物をしたり、取引先に受け取りに行ったりとてきぱき動いてくれている。 オフィスでの服装にはジャストエージェンシー時代から何の制限もないが、
back next top Novels ソファに引っ掛けた良太の上着のポケットで、携帯がけたたましく
back next top Novels 「浩輔」 「はい」 佐々木に呼ばれ、心ここにあらずだった浩輔
月夜の猫-BL小説です バレンタインデー、良太、走る4 BL小説 「じゃあ、私もそろそろ」 コートを羽織り、スカーフを巻いた鈴木さんも、ちょっとおしゃれをしている。 「今夜は娘とミュージカルを見に行くのよ」 「そうなんですか。まどかさんによろしく」 鈴木さんがドアを開けると小雪交じりの風がオフィスに舞い込んだ。
back next top Novels 俺がおかしいと、良太も気が付いているらしい。 たった今のス
back next top Novels 「いい絵じゃないか」 浩輔の前には氷が入ったウイスキー、河崎
back next top Novels 口には出さなくても拗ねているのは一目瞭然の顔で、良太は鰆をつ
back next top Novels 撮影にちょくちょく顔を出し、森村は持ち前の明るさで撮影クルー
back next top Novels 良太が知る限り、プライベートでなければ無精髭はないし、八木沼
back next top Novels 河崎は手を尽くして、浩輔の消息を追った。 フィレンツェの美
back next top Novels 「あ、お帰りなさい」 「お前らもう今日はその辺にしておけ。警察
back next top Novels 「悪いけど、モリー、バレンタインのそろそろ届き始めてるから、撮
back next top Novels ACT 12 &n
back next top Novels 浩輔とはまた別の意味で暴君河崎の罵倒にも無茶な命令にも動じな
back next top Novels 「いやあ、それで合格するとは俺も思ってなかったが、何とか司法修
back next top Novels 急に騒めき始めた空気に、そろそろ出るかと思うのだが、何となく
back next top Novels 「どういうつもりか知らんけど、とにかく、これ以上浩輔にちょっか
next top Novels 二月も中盤に差し掛かると、今年も商業戦線に乗っかったバレンタインデーを盛
◇工藤と良太 ショートショート 毎年バレンタインデーには、所属俳優宛てに沢山のプレゼントが届くが、巷では義理チ
back next top Novels 「お疲れ様でした」 鈴木さんを見送って振り返った森村が、「や
月夜の猫-BL小説です 好きだから70 BL小説連 ふと出がけに見た直子の心配そうな顔が目に浮かぶ。 直子にはあらゆる面で世話をかけっぱなしで、これ以上心配をかけたくはないのだが。 横浜新道出口で降りると、そのまま国道一号線を進み、佐々木は江ノ島方面へとアクセルを踏んだ。 江ノ島が見えてきたところで、一三四号線へ
back next top Novels 汐留は東京の観光名所のひとつであると同時に、建ち並ぶ超高層ビ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)16まで更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)16、 好きだから69、誰にもやらない22 まで更新しました 雪のデカダンス25(ラスト)、 最後までお付き合いいただきありがとうございました☺
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に16 BL小説 「心当たりはありませんか? すみませんがそちらの方も見てください」 伊藤に言われて、森村と鈴木さんもやってきた。 「どこかで見たような感じの方ですけど、うちにはこういう方おりませんわ」 鈴木さんがおっとりと首を傾げた。 「俺もわかりません。もっと何か特徴ないんで
back next top Novels これでもう、沢村の声を聞くこともない。 でも、愛してた。
back next top Novels 佐々木のお達しで浩輔は二年ぶりに一張羅のスーツに袖を通し、佐
back next top Novels 大阪から名古屋のフジタ自動車に寄って工藤が戻ってきたのは、翌
月夜の猫-BL小説です 雪のデカダンス25(ラスト) BL小説 「そうそう、あの二人、学生の、あの子らも、一応坂本さん心配してきてくれたのよ」 笑いを含んだ声でアキ子が言った。 「へえ、あいつらが?」 「学生なんてバカばっかだと思ってたけど、悪い子じゃないみたいね」 最後に、ありがとう、とアキ子に言われて携帯
back next top Novels 「近くのかかりつけの医院の先生や。こないだ、おかんが足、ケガし
back next top Novels しかも時間が限られているのだ、急き立てられるように、ああでも
back next top Novels 「なるほど、小宮山さんに目をつけたのは、やっぱギャンブルの噂だ
back next top Novels 良太と千雪がスキーを外してロッジに入ると、窓際のあたりに黒い
back next top Novels 「どこでも、何だったら、しゃれたバーとかでもかまわないぞ」 「
back next top Novels act 3
back next top Novels 五時少し前に、良太はコインパーキングに車を停めると、大通りか
back next top Novels 雪煙を上げてゲレンデにきれいなシュプールが描かれ、黒のスキー
back next top Novels 「どういったものをお探しでしょう?」 「えっと、とにかく、ダサ
back next top Novels たったそれだけの優しさだけでも、浩輔は幸せでいられたのに。
back next top Novels スタッフだけでなく、俳優陣でもこのドラマシリーズに初参加して
月夜の猫-BL小説です 雪のデカダンス22 BL小説 「その、思い切りバカにした笑いやめてもらえます? 俺だってちょっとは傷つくし」 良太はむきになる。 「頼りないお兄ちゃんだから大事なんだよ。傍に不埒な社長なんかいたりするしな」 ニヤニヤ笑いながら工藤は良太の方に腕を回して顔を近づける。 「ちょ……、窓の外
back next top Novels どこかで別れを言わなければならない。 それはずっと考えてい
back next top Novels ふと気づくと、目の前のウイスキーのグラスがすっかり汗をかいて
back next top Novels 会社へと戻ると、二人は一緒に部屋へと上がる。 「今日はゆっく
月夜の猫-BL小説です 雪のデカダンス21 BL小説 テーブルの上が片づけられるのもわからず畳の上でぐっすり寝ている良太に毛布をかけてやり、工藤は風呂に入ることにした。 プライベートでゆったりと温泉につかるなど滅多にないことだ。 湯船の中で長い脚を存分にのばし、工藤は風呂の淵に腕をかけてもたれかかる。 秋山が勝
back next top Novels ACT 11  
back next top Novels 浩輔は河崎のニューヨーク出張中にこっそり会社を辞めた。 河
back next top Novels 「スタジオでひとみの前にライトが落ちてきた」 唐突に口にした
back next top Novels その良太は食べて飲んで疲れが出たのか、うつらうつらし始めた。
back next top Novels もともと一度も生のゲームでの沢村を見ていなかったことを悔いて
back next top Novels 『今夜はお部屋でお待ちしてます』とか『夕べはとってもステキで
back next top Novels 「明日以降、急ぎの仕事がなければ、これからそっちに行く。飯は食
月夜の猫-BL小説です 雪のデカダンス19 BL小説 「ガキの頃のトラウマだとさ」 「ほっといてください」 からかうように言う工藤に、千雪がちょっとむきになって答える。 なーんか、二人、いい雰囲気って感じなんだよなぁ。 あ~やしいな~。 人妻ときれいな獲物を前に舌なめずりしているオヤジって図? 京助に内緒で、
back next top Novels 場内ではいつの間にか奪三振競争の優勝選手が決まり、賞品を手渡
back next top Novels 河崎は浩輔にカードキーもくれた。 猫の世話のために、河崎の
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)8更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)8、雪のデカダンス18、好きだから61、誰にもやらない14、 更新しました
back next top Novels 「申し訳ありません!」 下手をすればひとみが大怪我を負ってい
月夜の猫-BL小説です 雪のデカダンス18 BL小説 雪はいっこうに弱まる気配がない。 上り坂のカーブをのろのろと上がること五分。 「あれかな、看板って」 薄暗い街灯に照らされて雪を被ってはいるもののスキーという文字が見える。 左に折れて割りとすぐにかなり広い塀に囲まれた入り口が見えてきた。 「高級ホテル
back next top Novels よっしゃ! やった! ひとりテレビでゲームを見ていた佐々木
back next top Novels シーツを握りしめる浩輔の目じりから涙が零れ落ちた。 あんな
back next top Novels 「フン、まあ、いいんじゃないか。明日は何時頃そっちを出るんだ?
月夜の猫-BL小説です 雪のデカダンス17 BL小説 「それじゃ彼女、ここの看護師さんだったんですか?」 「ええ。二年程前、急に辞めて……。東京に行ったって聞いてたけど」 良太が聞くと、若い看護師は何となく言葉を濁す。 何か事情があるのだろう。 「そうですか。俺は送ってきただけなんですけど、坂本さんのことも気
back next top Novels ジャイアンツの正捕手で過去ゴールデングラブ賞を受賞している爽
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった68 BL小説 完全に酔っぱらって口にしている言葉が理解できていないのが元気にもわかった。 「こんな田舎で、男同士で、教員同士で、リスクが高いって、まあ、そりゃそうだなって」 響はハハハと笑う。 笑うのだが涙がぽろぽろ零れるのを拭いもせずまた酒をマグカップに
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった67 BL小説 ふと手にしていた携帯に気づいた響は、誰かの言葉が聞きたくなった。 酔っているのでためらいもなく、一つの番号を押した。 五回目のコールで、声が聞こえた。 「響さん? どうしたんですか? こんな時間に」 「なんかさ……深淵の底から俺が呼ばれて
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった66 BL小説 女性の方が結構年上でというだけで結婚なんてあり得ないとするようなこの街で、高校教師が、しかも男同士がつきあうとか、考えも及ばないに違いない。 先生なんて呼ばれるような人間じゃないと思っていた響だが、いつの間にかそう呼ばれることに慣れてしまった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった65 BL小説 放課後は理科系の会議があるらしいし、今日は井原の顔を見ないで終わりそうだ。 もっとも響こそ、井原とどんな顔をして会えばいいかわらからなかったから、少し胸を撫でおろしていた。 ぼんやりしていたので、ドア口に人がいるのに気づかなかった。 「和田
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった63 BL小説 何も聞かずに俺の手を握っていた井原の手はすごく温かくて。 ポトリとひとしずく、下を向いていた響の目から床に落ちた。 ほんとはすごく好きだった。 だから俺なんかといちゃいけないやつなんだって。 またひとしずく、落ちた。 もう何年も胸の奥に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった62 BL小説 だが所詮モラトリアムの中での思いの延長だ、お前の好きは自分と同じ好きではないかも知れない、響が口にしなかったのは、井原のためだと……。 いずれは井原も誰か愛する人に巡り合って、秀喜のように結婚するのだろうと。 十年越しの初恋なんかもう忘却の彼
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった60 BL小説 三号に描かれたのはひまわりで、この店では初めて風景画以外の絵となるが、他の風景画と空気感が同じである。 「いいなあ、これベネチアの匂いがする」 「さすが、響さん、感覚的! これどの絵と取り替えたらいいと思います? これ以上飾ると窮屈そうだし」
月夜の猫-BL小説です #post_titleBL小説 「ああ、どうだった? 撮影は」 「はい、順調に終わりました。小木さんて、作家さんなのに声がよくて、気さくな人で、よくわかるように説明してくれて、俺も伊万里焼きのレクチャーなら任せとけって感じです」 良太は案外穏やかな工藤の声にほっとしたらしく、幾分声を弾ませた。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった59 BL小説 「あたしも聴きたい! 本物のピアノ!」 紀子が言った。 「アップライトなら、入らないか?」 「え、ここにか?」 井原の発言に元気は考え込んだ。 「お前無茶なこと言うなよ」 響は呆れたが、元気はうーんと唸ってから、「何とかなるかも」と言う。 「
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった58 BL小説 かぐわしい香りのコーヒーが鼻孔をくすぐると響は全身がほっとするような気がした。 「一日の仕事上がりに元気のコーヒーって、ほっとするよなあ」 隣で井原が響が考えたようなことを口にした。 「そういえば元気、相談って何?」 一口温かいコーヒーを飲ん
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった57 BL小説 エチュードの一番から三番を弾いたあと、響はスケルツォの三番を弾き始める。 細かな音が目に見えぬドレープを作り広がってゆく。 古いピアノは時折響の耳にかすかな歪みを感じさせるが、それもまた音の羅列に表情を与えていく。 最後の音を弾いてからふ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった56 BL小説 確かに青山は技巧的には巧い。 だが、曲の理解度でいえば、この曲に関わっている時間が長いだけ寛斗の方が高いだろう。 それに。 瀬戸川は寛斗と一緒にコンクールに出たいに違いないのだ。 「技巧を取るか、曲の理解度を取るかでいえば、多少下手でも
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった55 BL小説 そして忘れていたシーンの中に井原がいた。 喜怒哀楽がはっきりしていると生徒が言っていたが、すぐに思い浮かぶのは笑っている井原で、怒ったり泣いたりと言ったシーンも思い出されて、そういえば忙しいやつだったと響は苦笑する。 そんな昔の思い出に浸
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった54 BL小説 遅かれ早かれ、そうなることはわかっていたさ。 黒板消しを置くと、響は手をぱんぱんと払い、準備室に入った。 考えごとをしていたので、あっという間にガツガツと弁当を平らげた響は弁当のからをビニール袋に突っ込みゴミ箱に放ると、音楽室を出た。 そ
月夜の猫-BL小説です 夢見月32 BL小説 せっかく珍しくこのあとの予定がないのにな。 工藤がそんなことを考えていると、電話が鳴った。 結局、鈴木さんが帰っていくまで、何件かの電話で時間が潰された。 秋山とアスカは、その間に工藤と夕食を一緒にする約束をして、次の打ち合わせにテレビ局へと向かった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった53 BL小説 「キョー先生は井原先生よりなんか年齢超えてるって感じ」 「ええ?」 瀬戸川の言葉に響は首を傾げる。 「だって、制服着てそこにいてもおかしくないっていうか」 「何、俺ってオッサンになってもガキっぽいってこと?」 くすくす笑いながら瀬戸川は、「顔
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった52 BL小説 いつもの井原だ。 土曜日、急にクラウスが現れて、しかも井原といる時に、響は内心焦り、イラついた。 井原は響の説明を額面通り受け取ったわけではないような気がした。 何か言いたげな顔をしていたが、今日のあのようすではさほど気にもしていないのだ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった51 BL小説 「すみません、後ろの人、静かにしてください」 響が説明をいったん切ったところで、最前列に座っていた青山という女生徒がきりりとした声で後ろでふざけ合っている男子生徒を注意した。 一瞬シーンと静まり返ったあと、響は何ごともなかったかのように黒板に
月夜の猫-BL小説です ぶなの森9 BL小説 良太の心にわだかまりを残したまま、工藤は東京に戻ってしまった。 だが良太は最後のパーティが終わるまでここにいなくてはならなかった。 海棠役の流とヒロインを慕う青年佐原が森でヒロインを探すシーン、ヒロインが池に浮かんでいるのを見つけるシーンの撮影が終わり、ロケ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に149 BL小説 そしてどうも工藤としても鈴木さんには頭が上がらないらしいことも良太は知っている。 「でもさ、あのオフィスで、平然としていられる鈴木さんこそ、人格者だと思わない?」 「それ、俺も昔思たわ。鈴木さん、何があっても動じないって感じで、美味しいお茶とか出してくれ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森8 BL小説 現れたのは工藤だった。 監督と話をしながら、良太と菜摘がこちらに歩いてくるのを工藤は見ていたのである。 そこへ、男が現れた。 「へえ、あんたが噂の工藤か。なるほど、社長が社長だからな、その大事な部下に女優のコマシ方でも教え込んでいるわけだ」 「あいにく忙し
back next top Novels 「京助ってば、ちょっとマジ過ぎない?」 香坂が肩をすくめる。
月夜の猫-BL小説です ぶなの森7 BL小説 どうせ良太がイタリアにいくことは当分ないのだから、余計なことを考えなくて済むだろう、と。 だが、よもや案外早く良太にそれが知れることになろうとは、工藤も思っていなかった。 「嫌だ…いやだってば! バカやろ…」 「何が、嫌だって?」 そんな工藤の言葉が合図のように
back next top Novels 「研修は四月からやろ? スキーは行けるな」 千雪が良太に聞い
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)146まで更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)146、夏が来る42 まで更新しました 2024Summer、 夏にちなんだエピソードを順次アップしています ぶなの森(工藤×良太22)6 夏のエピソードです。 かぜをいたみ87(ラスト) 最後までお
月夜の猫-BL小説です ぶなの森6 BL小説 「あいつ……、よほど、お前がキモイといっていた小林千雪だって言いたかったですよ」 戻ってきた千雪に思わず良太はぶちまける。 「あの子、工藤さんにベッタリなんやて? 良太、それで面白くないわけや」 「誰に聞いたんですか~そんなこと。わかった、アスカさんだな」
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に146 BL小説 「そうだ、良太さん、ニューヨーク行く前、壮行会やりましょうよ」 天野が語気を強めて言った。 「そんな大げさな。たかだか三か月なのに」 「壮行会という名を借りた飲み会」 真面目にそんなことを言う天野に、良太はまた笑った。 「わかりました」 「約束ですよ」 「そ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森5 BL小説 「あの女とは何でもない」 工藤は言うのだが、どうやら今はそうだとしても昔はよろしくやっていたらしい。 まだほかにもあちこちに工藤の女がいるに決まっている、と言ったのは、青山プロダクション所属のイケメン俳優、小笠原だ。 そんなことをいわれると、良太としては工藤がイタ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森4 BL小説 「良太ちゃん、お弁当食べよ」 菜摘が弁当を手に良太に声をかけた。 「あ、はい。ちょっと待ってください」 良太が手配したロケ弁をスタッフが配ってくれて、みんな各々アウトドア用のストーブの周りに陣取っている。 夏とはいえ、東京の暑さとはうって変わってここは別世界のよう
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に145 BL小説 「え、でもオフとかに帰ってくるんでしょ?」 浩輔が思い切り端折って佐々木に聞いた。 「俺にはオフとか、ないで?」 すかさず佐々木がシャープに返答する。 「あ、いや、そのう、盆暮れ正月?」 暗に沢村のオフの時には一緒に帰るのだろうという質問を、浩輔は言い直した
月夜の猫-BL小説です ぶなの森3 BL小説 小林千雪といえば、時折警察にも知恵を貸して解決した事件も多々あるミステリー作家として巷では知られているが、助教としてT大法学部に在籍している。 その彼を一躍有名にしたのが、分厚い黒渕メガネとぼさぼさの髪、超ダサダサのファッションセンスで、学内の女子学生の間では、ダサ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に144 BL小説 良太の周りで、何か大きな波がやってきて全てを流してしまうような、そんな思いが徐々に大きくなっていくような気がしていた。 そして良太自身もまたその波にのまれようとしている。 その波は工藤やこの青山プロダクションにとっても何かしら変化をもたらすのだろうと思われ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森2 BL小説 良太も業界内では彼女の不倫の噂は耳にしていたが、今のところ噂どまりなのは、相手の父親である代議士からの圧力と局側による彼女の所属する大手事務所Aプロへの忖度もあり、マスコミやスポンサー側へはもらさぬよう関係者に厳重に緘口令がしかれている所以だった。 昨今、不倫には
月夜の猫-BL小説です ぶなの森1 BL小説 青森県と秋田県にまたがって数千年前から存在しているぶなの原生林は、世界最大級といわれている。 世界遺産に登録されたこの白神山地には、貴重な動植物が生息しており、手つかずの自然が広がっており、真夏というのにひんやりとした空気は動きを止めていた。 数日前からこの地で
月夜の猫-BL小説です ぶなの森(工藤×良太22) BL小説 良太は海外出張中の青山プロダクション社長工藤の命により、小林千雪原作のドラマ『ぶなの森』のロケで青森にいた。ロケの間中、良太はヒロイン役の人気俳優田辺菜摘に懐かれて、不倫話の相談を受けたりしているうちに、スタッフの間で二人のことを邪推した噂が広
月夜の猫-BL小説です 2024Summer BL小説 2024夏始■夏が来る(井原×響&元気)■Blue Moon(工藤×良太)boys love novel初夏にちなんだエピソードを順次アップしています 以前のエピソードに少し手を加えたり、新しいエピソードもアップする予定です。
back next top Novels 「ちょっと羨ましいかなと」 「え、天野さん、ひょっとしたら直ち
月夜の猫-BL小説です 夏が来る42 BL小説 江藤先生と秀喜のウエディングパーティは、集まったみんなが暖かく二人を祝福し、大盛況といえるうちに、最後みんなに送り出された二人は終始笑顔だった。 「幸せそうだったな、江藤先生」 パーティのあと、にゃー助の世話をしてから井原の家に来た響はぼそりと言った。 「先生