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tadano こんにちは、ただほん です。今日は5/22発売の浅倉秋成三著書の「俺ではない炎上」の書評をお送り
「六人の噓つきな大学生」で注目された浅倉秋成の最新作「俺ではない炎上」。 今回も読みごたえのある作品となってました。 【あらすじ】 外回り中の大帝ハウス大善支社営業部長・山縣泰介のもとに、支社長から緊急の電話が入った。 「とにかくすぐ戻れ。絶対に裏口から」 どうやら泰介が「女子大生殺害犯」であるとされて、すでに実名、写真付きでネットに素性が晒され、大炎上しているらしい。 Twitterで犯行を自慢していたようだが、そのアカウントが泰介のものであると誤認されてしまったのだ。 誤解はすぐに解けるだろうと楽観視していたが、当該アカウントは実に巧妙で、見れば見るほど泰介のものとしか思えず、誰一人として言い分を信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも……。 ほんの数時間にして日本中の人間が敵になり、誰も彼もに追いかけられ、ともすると殺されそうになる中、泰介は必死の逃亡を続ける 前作「六人の嘘つきな大学生」と同様に、物語の各章は登場人物のそれぞれの名前が冠されており、登場人物の視点を切り替えながら進んでいく構成である。 前作は就活のグループディスカッションという限定的な空間で進む作品でしたが、今回は自分のSNSを他人に悪用され、塗り衣を着させられたことをきっかけに炎上した事からの逃亡劇であるため、かなり広い空間表現であるため、前作とは異なる舞台設定であり、面白かった。 ただ、伏線回収は見事であり、読み終わることで理解する時系列や犯人の動機があきらかになり、非常に楽しめました。 また、家族/会社/取引先など各方面から見られる「自分」という部分も大きな要素になっており、読み終わった後「自分は各方面からどんな風に見られているんだろう?」「自分は各方面によってどんな風に振舞っているんだろう?」と考えさせられました。 ただ、前作は「絶対映像化してほしい!」と思ったのとは対照的に、小説だからこそ成り立つ物語だと思いました。 現在社会で問題となっているSNSの顔の見えない人間の暴力性を描いていて、物語として面白いのだが、映像化には演出家の腕がかなり試される作品かなと読んでいて思いました。
ポンカスホラーを観続けること。 最近、少々しんどくなって、質の良い映画も観るようにしてます。 でも基本はポンカス。 そして小説をとにかく読み倒す! …