chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
Pithecanthropus Erectus https://squeezeme.hatenablog.com/

本、映画、音楽、ラジオ、ムーミン、スポンジ・ボブが好きです。レゴも。読んだ本などの感想をブログに書いています!

kazuki_shoji
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2022/01/25

arrow_drop_down
  • 松浦理英子『ヒカリ文集』

    「偽物でも本物でも、上手な笑顔には優しさが宿っているじゃないですか。それで十分ですよ。あるのかないのか証明できなくて伝わりもしない本物の愛より、偽物であっても目に見える笑顔の方が人の役に立つと思います。(後略)」(p.230) ヒカリという名の女性が、かつてとある学生劇団に所属していた。 ヒカリは、その劇団内の男女計六人と恋愛関係になる。 「サークルクラッシャー」という言葉が、実在人物をモデルにした作中劇の中の架空(おそらく)の人物から使われているけれども、どうもそうとは言いきれない。 なぜなら「サークル」は「クラッシュ」しなかったからである。 ヒカリの別れ際が鮮やかというか、独特すぎて、振ら…

  • トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の冬』山室静訳

    悪気なく明るい、そういう人が世の中に一定数は存在している。 暴力的にほがらかで、情け容赦なく親切で、うんざりするほど優しい人たち。 彼らにうしろめたさを抱くようなナイーブな時期もかつての私にはあったが、きっと、ムーミントロールがヘムレンさんに覚えた気持ちも、私と同じようなものではないかと思った。 舞台は冬のムーミン谷。 いつも冬眠して春を迎えるムーミン一家だが、とある夜に、ムーミントロールだけが冬眠から目覚めてしまう。 皆が寝静まる家の中でムーミンは孤独を感じる。 厚い雪に覆われている外を歩きまわる。 誰もいないように思われたけど、「おしゃまさん」という女性と出会う。 含蓄に富みまくった彼女の…

  • 手塚治虫『火の鳥 別巻 ギリシャ・ローマ編』

    この本には「エジプト編」「ギリシャ編」「ローマ編」「漫画少年版 黎明編」の4作品が収録されている。 火の鳥・エピソードゼロ、的な感じで私は楽しんだ。 ラブリーな火の鳥ちゃんの、キュートな物語だった。 ところで、妄想力を解き放ち、木を見て森を見ずな読書を心掛けている私ですが、「エジプト編」での洞窟の火おこしシーンには、「おお」と思わずにはいられなかった。 どんな場面かというと、主人公の男性とヒロインの女性が、洞窟で雨宿りするのだけれど、 これによく似た場面が、『火の鳥 太陽編』で登場するのだ。 犬上と、十市媛(とおちのひめみこ)が、洞窟(祠だけど)の中に身を隠し雨宿りをするのである。そしてかなり…

  • 手塚治虫『火の鳥11 太陽編 下』

    そうだ 今の私はもう人間じゃない 肉体はもう死んだんだ (p.397) 残り数ページのところで、マリモという名の狼が、草原を疾走し、異空間のようなところに飛び込んで、狼化したスグルのもとへ辿り着く場面が見開きで描かれている。 私はそこからページをめくることができずにいた。 走るマリモの体の躍動感と、真剣な眼差しに目を奪われていたというのもある。 ここには有無を言わせぬ迫力がある。その迫力に気圧されていたというのもある。 しかし私が固まってしまった最大の理由は、もう少しで『火の鳥』が終わってしまうことに気がつき、うろたえてしまったからである。 あ、終わる。え、ちょっと、どうしよう。俺はどうすれば…

  • 手塚治虫『火の鳥10 太陽編 上』

    登り切るぞ バベルの塔め おれのロック・クライミングの力を見ろ!!(p.338) 舞台は中大兄皇子とか中臣鎌足が生きていた頃。だから600年代後半くらい。 主人公は狼マスクの男。 Wikipediaによると「古代日本最大の内乱」と呼ばれている「壬申の乱」にいたるまでの不穏な背景が描かれている。 海を渡ってやって来た仏教と武力を利用して、支配力を強めようとする権力者と、それに反抗する、土着信仰に生きる人々たち。 両者の衝突は各地で起きるが、仏教勢力の圧倒的な武力の前ではなすすべもない。 このままでは日本は仏教勢力に暴力的に覆いつくされ、支配者に都合の良い教えをありがたく信仰する蒙昧な国民ばかりに…

  • トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の夏まつり』下村隆一訳

    「あたい、もう、またねむくなっちゃったわ。いつも、ポケットの中が、いちばんよくねむれるの」 「そうかい。たいせつなのは、じぶんのしたいことを、じぶんで知ってるってことだよ」 スナフキンは、そういって、ちびのミイをポケットの中へいれてやりました。(p.119) 舞台は6月のムーミン谷。 ムーミンママとミムラが、玄関先に腰掛けている場面から物語は始まる。 ムーミンママは船のミニチュアのようなものを作っている。ムーミントロールにプレゼントするのだ。 ムーミントロールはというと、池のほとりで水の中をのぞきこんでいた。 そこに、ムーミンママが小型の船をもってやって来る。 ムーミントロールとムーミンママは…

  • 手塚治虫『火の鳥9 異形編・生命編』

    あれは この場所が とざされた世界だからです ここでは…時間(とき)が狂い 逆行もいたします (p.15とp.111) 『異形編』の主人公はとある女性。 彼女は幼少期より父親から虐待を受けていた。 成長した彼女は、「父親の病気を治させない」ために、「父親の病気を治そうとする女性」を斬り殺してしまう。 そして彼女が殺したその「父親の病気を治そうとする女性」とはなんと、 三十年後の自分自身だったのだ。 なぜそんなことがありえるのかというと、なんというか、彼女が「時空のるつぼ」みたいな空間に足を踏み入れてしまい、殺人もその空間で行われたから、だと思う。 彼女はその空間から基本的に外で出ることはできな…

  • 手塚治虫『火の鳥8 乱世編 下・羽衣編』

    わたしは遠い遠い国から来たといいましたね…… その国は じつをいうと 今から千五百年も未来の国なのですよ (『羽衣編』p.313) 高熱を出した平清盛は回復することなく、早々に没する。 そしてここから、混沌を極める乱世編の「本番」が始まると言っても良い気がする。 それくらい、この後の展開はすさまじい。 いくさ、恋愛、裏切り、殺人、火の鳥、いくさ、恋愛、猿、犬、死…これらがもう怒涛の勢いで、次々と鬼気迫りまくりで描かれていく。 義経は、いくさに強くて、男前で、そして、すごく嫌な奴でね…。 弁太は、顔の造作を色んな人から笑われてきて、おぶうはそんなこと言わなかったけど、そのおぶうは…。 素朴で優し…

  • 手塚治虫『火の鳥7 乱世編・上』

    この鳥は山鳥や 雉の仲間なんだわ 異国の鳥で 羽がきれいなだけで…… ただの鳥なんだわ たぶん (p.204) 舞台は1172年。 京都では、絶頂期にある平家一族が、ぶいぶい言わしている。 『平家物語』の世界である。 弁太、という素朴で怪力な木こりの男と、平清盛が本作の主役といえると思う。 火の鳥は、「火焔鳥」という伝説の鳥として語られている。 平清盛は老いていた。そう長く生きられないことも知っている。 自分が死ねば、平家は一気に凋落することも知っている。 だから絶対に死ぬわけにはいかない、と清盛は思う。 そして火焔鳥を追い求める。 歴史って、解釈や想像の余地がたくさんあるから面白い。 生き証…

  • トーベ・ヤンソン『ムーミンパパの思い出』小野寺百合子訳

    あのころは、世界はとっても大きくて、小さなものは、いまよりもっとかわいらしく、小さかったのです。わたしはそのほうがよっぽどすきです。わたしのいう意味がわかりますか。(p.117) このように、ムーミンパパはしばしば、読者に語りかける。 ここで想定されている読者とは、ムーミントロール、スニフ、スナフキンの3人。 本書は、ムーミンパパが子どもたちのために書いた「思い出の記」=自伝である。 ムーミンパパの孤独な出自から、ムーミンママとの劇的な出会いまでを描いた、愛と勇気の冒険譚。 ほがらかで、どこかドライな語り口は、なんともいえないユーモアがあり、また、かわいらしくもある。 このように一見するとほん…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、kazuki_shojiさんをフォローしませんか?

ハンドル名
kazuki_shojiさん
ブログタイトル
Pithecanthropus Erectus
フォロー
Pithecanthropus Erectus

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用